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2004.02.21
「一寸先は闇」だからこそ、問題を先送りするな! [ コラム ]
このblogでも、「イラク派兵の経済的効果」というトラックバックを頂いていますが、陸上自衛隊本隊がイラクのサマワに到着して、はや10日がたちました。幸いにも、現時点では危険な出来事は起こっておらず、現地の陸上自衛隊は、医療支援を行う病院との調整、浄水・給水活動のための水質検査など、支援活動の準備を進めているようです。
陸自本隊第2陣、10日午前にサマワ到着へ(asahi.com)
http://www2.asahi.com/special/jieitai/TKY200402100165.html
先日、私どもが主催するインタラクティブな会員制組織「KFi Club」の企画で、気鋭の軍事評論家である潮匡人さんと対談する機会があった。潮さんは航空自衛隊幹部の経験があり、わが国において最も信頼できる軍事専門家の一人である。
潮さんによれば、現在のイラク情勢はまさに混沌とした状態で、親米的なインテリ層がテロにあったり、比較的安全といわれていた陸上自衛隊の派遣先であるサマワでもロケット弾が打ち込まれたり、楽観的な見通しは根拠を失いつつあるとのこと。新たなイラク統治に向けての展望は見えにくくなっており、陸上自衛隊が1年も2年も駐留することも、ありえないことではないという。東京においてテロが起きる可能性についても、かなり強く警告されていた。
いつの世でも予定は未定だ。うまくいくときばかりではない。
うまくいかないときに対処できるように予め準備しておくというのが、プロの心得というものなのだろう。
というのも、思うがままに物事が進むということはなかなかないからだ。
破綻状態の財政事情
イラク情勢に限らず、最近の世の中の動きを見るにつけ、使い古された言葉だが、「一寸先は闇」という感を強くする。いよいよ先を読むことが困難な時代になったようだ。先週のblogでも触れておいたが、わが国の財政事情を直視すれば、誰がどう強弁しようと、実態として破綻状態に近いと認めざるを得ない。この惨状が表面化せず、現在のところ落ち着いているようにみえるのは、経済的な帰結と言うよりも心理的な思い込みにすぎまい。
したがって、恋心が一気にさめるときのように、何らの兆候もなく、いきなり他人行儀な素振りになってしまうという懸念は残る。問題が表面化する時期については、全く予断を許さないし、そのときには超低金利の時代は完全に終焉するだろう。いずれにしても、日本経済が本格復活に至るまでには紆余曲折は避けられないような気がする。
私の専門である金融の世界でも、まだまだ紆余曲折がありそうだ。
竹中金融担当相が就任した2002年秋以来、金融改革は目に見えて進捗した。少なくとも一部の銀行の問題が、金融システム全体に波及するシステミック・リスクの懸念は大幅に後退していると言ってよい。昨夏以降の株式相場の回復もあって、2003年9月中間期決算は非常に好調なものとなった。金融再生プログラムに掲げられている、来年3月末までの不良債権比率の半減目標をすでに達成した銀行も出てきている。停滞気味の小泉構造改革の中で、着実な進展をみせているのは不良債権問題の改善だけともいえる。少なくとも、頓挫した道路公団改革と比べれば、相当の出来映えだと胸を張ってよいのかもしれない。
このような事情を反映してか、マスコミにおける不良債権問題への見方は、過度の悲観から過度の楽観に振れているように感じる。しかし、大手行が抱えている大口問題先企業は、数こそ少なくなったがまだまだ残っているのだ。デット・エクイティー・スワップ(債務の株式化)などの仕組みを使って実態が変わったかのように見せかける再建計画もいまだに多い。残念ながら、問題が完全に解決したなどとは言い切れない状況にある。
先送りかつ先細りの再建計画に、未来はない
そうした中、今年も金融庁による特別検査がはじまった。特別検査とは、大手行を対象とした検査のことで、今年で3回目となる。これは、原則年1回の通常検査と異なり、市場の評価が著しく低下した債務者の経営内容に着目し、経営不振の大手企業に対する債権の査定、債務者区分の決定に目的を限って行われるものだ。
この特別検査を巡っては、大手行にまつわる様々な報道が乱舞しているが、インチキを重ねて、何とか3回目の特別検査をしのごうとしている銀行が仮にあるとすれば、それは、債務者である企業にとっても債権者である銀行にとっても、決して望ましいことではあるまい。先送りかつ先細りの再建計画に輝ける未来はないからだ。いたずらに時を浪費し、企業価値を損なうだけなのであれば、その企業に勤めている従業員にとっても、決して好ましいことではない。
事ここに及んで、いまだに問題を先送りしようと考えている銀行があるとすれば、それは、氷山に激突する寸前のタイタニック号の船長席において、必死の形相で地図を書き換えて氷山の位置をずらすことによって、大惨事の発生を回避できるかもしれないと念じている愚か者の行動と大差ないのではあるまいか。
患部の摘出手術はまだ終わったわけではない
問題先と目されている企業においては、再建するのか再建しないのか、いまだに曖昧なままで先細りの計画にしがみついて、長期衰退の道をたどっている例が散見される。これらの企業の中には、高度な技を凝らした延命装置で生き長らえてはいるが、装置を外した途端に息絶える可能性が高い企業も少なくない。生死のカギは銀行の胸先三寸という、護送船団時代の因習がいまだにまかり通っている。不良債権処理について最悪期を脱したとみられる大手行だが、特別検査も3度にわたれば、無理して着込んだ化けの皮は次第にはがれ落ちていく。問題を先送りし続けることで、メリットを享受したことなどないはずだ。その事実にいい加減気付くべきだろう。
極めて残念なことではあるが、銀行界における患部の摘出手術はまだ完全に終わったわけではない。システミック・リスクに対する懸念が和らぎ、銀行が体力を回復した今こそ意を決して膿を出し尽くすべき時だ。問題を先送りする体質とはそろそろ決別しなければならない。先が読めない不確実な時代だけに、今なすべきことを行っておかなければ、その先に何が起こるかわからないからだ。「一寸先は闇」だからこそ、先送りせずに現実を直視し、常にベストを尽くすことが求められているのだと私は思う。
2004 02 21 [04. 経済政策を語ろう!] | 固定リンク
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» 今話題の木村剛さんのblogを見て・・・ [NO-BLOG から]
「一寸先は闇」、これほど日本の「今」を現している言葉はないでしょうね。
イラク問題にしろ、日本経済にしろ、自分の将来にしろ
確実に決まった未来なんてこの世には存在しない。 続きを読む
受信 2004/02/22 2:51:17
» 週刊!木村剛: 「一寸先は闇」だからこそ、問題を先送りするな! [アジア海外駐在員便利帳 から]
木村さんのブログは毎週拝見しております。投稿された記事に対しトラックバックするのも、私にとってはよい頭の体操です。今回は週刊!木村剛: 「一寸先は闇」だからこそ... 続きを読む
受信 2004/02/22 15:22:24
» 流動的なものにレッテルを貼る愚について [明日は明日のホラを吹く -Tomorrow, I'll give you another big talk- から]
俺は新たな知見や斬新な視点のない議論や
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受信 2005/03/18 21:07:18















