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2004.06.03
情報価値が変化する時代にブログはどういう役割を果たすか?
皆さん、こんにちは。木村剛です。5月26日のゴーログ「ブログはメディアになれるか」にたくさんのトラックバックをいただきありがとうございます。それにしても、少なからぬ方々が現在のマスコミ報道のクオリティに対してかなりの不満を抱いていることが浮かび上がってきて、興味深く拝見しました。
例えば、「Mutter to myself」さんは、「Australiaに住んでいた時、同じ報道でも日本のメディアからの情報と、Australia等の欧州メディア……やUSのメディアでは全くと言って良い程違う印象を与えられてしまう。日本にいた時は気付かなかったのが、海外で暮らして初めて情報操作、ある意味マインドコントロールされていたんだなと気付いた。いわばマトリックスという映画で主人公が真実に『気付く』のに似ていると思う」と告白しています。もっとも、「高嶺の花にくびったけ」さんは、そういう状況を見切って、こう言い切っています。
既存メディアには収集・加工・分配という機能があるはずだったけれど、加工能力の不足を「中立性」とかなんとかいってごまかしているようです。写真と同じで主観や主張が入ってないものは面白くないですね。ただこんなでした。という写真や報道では誰も見向きもしなくなります。収集や広告が主になって加工が従になったから最近の新聞は主張も特色もなくなったのではないでしょうか。システム的問題だけではなく、メディアに携わる人たちの質が低いという人材的な問題も大きいと思います。いろんなブログを見ていると、新聞記者なんかよりはるかに知的な人が大勢いらっしゃるように思いますね。
この点に関しては、「KOu」さんも、「個人レベルで良質思考を生産している方はけっこういますし、3割打者や時々ホームランの侮れないバッターを含めると相当な数になると思います」と同意しています。ブログの将来が期待されるところです。
このようにブログが台頭してくる中で、わが国のマスコミは現在何をしようとしているのでしょうか。「fareaster」さんは、「かつて、日銀の発表や政府報道において、資料配布時の順番を取ることが重要だったことがある、と聞いたことがあります。しかし、今はWebでの同時報道が普通になり、資料配布自体を争うことはなくなりました。同様に、企業からの発表も、『資料が配られる』ような文書に関しては、わざわざ会見場に行く必要はない、というのが現実でしょう」と指摘した上で、「では、記者会見が開かれるのはなぜか。一つは、不祥事などで『頭を下げる絵がほしい』というマスコミの要請があると思います。企業側としても、一般市民に対しては、まず頭を下げておくことで反感を和らげる、という効果が計算されているのでしょう。ただ、この様な情景は、ショーであり情感に訴えるものであると思います。政治においては、数字だけがすべてではなく、情感に訴えることで自分の主張を通すという技術はありですので、一概に否定はできません。ただ、現状を見ると情動部分が大きすぎるのではないか、と感も否めないのです」と喝破しています。
もっとも、「百式の田口」さんの言葉を引きながら解説した「KOu」さんの以下の部分を読んだ上でわが国マスコミの煽情性に鑑みると、「情報価値の変化」についていけない既存マスコミが視聴者の煽情的な部分に訴えかけて生き残ろうとしている最後のアガキなのではないか、という穿った憶測も湧き起こってきます。
情報の価値が変化している。以前は「正しい知識」が価値を持っていたが、現在は急落している。変わりに台頭してきたのは「正しい知識のありか」と「個々の思考」である。……この「情報価値の変化」はマスコミを初め、多くの情報商売屋さんには産業革命と言っていいほどの影響力があるはず。だって、自分たちの扱ってきた商品の価値が下がるわけですから。おまんま食えなくなります。……以前は「正しい知識」が価値を持っていたが、「正しい知識」の価値たる要素は、 ・人が知らないことを知っている ・その情報を手に入れられる人が少ない ・それがより正しい、詳しい といったところにありました。分かりやすい例では、昭和初期のインテリ達が「おフランスでは~ざます」と自慢していたことか。……現在はどうかというと、グーグることで誰でも情報にアクセスできます。これだけで、2つの価値が下落したことになります。残る「より正しい、詳しい」という価値は、情報氾濫や2ちゃんを極とした個々の「情報嗅ぎ分け」能力が鍛えられることでクリアします。誰にでも手に入るものには価値はありません。これが「正しい知識」の価値が下がる と言っている理由です。そして、人々が「正しい知識」の代わりに求めるのが「思考(正しい知識から創造した考え)」です。 「・・・っで、どうしたらええの?」 「・・・っで、みんな何すんの?」 「・・・っで、これからどうなんの?」 「・・・っで、何が儲かんのさ?」 本来「正しい知識」は素材です。それだけでは何も始まりません。そこから何を引っ張り出したか?ということが必要な訳で、みんな「思考」はやっています。でもそれには質が伴います。よい思考はよい結果を生みます。良く使えば。だから、良質の思考をみんな求めるようになります。良質の思考は誰にでも簡単に手に入りません。
「KOu」さんによるこの問題提起は、重要な環境変化を指摘しているように私には思えます。それは、モノ書きとしての私の実感でもあるからです。
私なりの言葉で言えば、情報価値の源泉は、「情報取得」から「分析加工」に移りつつあるということだと思います。 私がモノ書きをはじめた15年前、作業の8割は「情報取得」に費やされていました。お役所が公にした報告書ですら一揃いさせるのが大変な時代だったんです。事実確認からインサイダー情報の入手に忙殺されていたと言っても過言ではありませんでした。しかも、入手した資料の保管が大変で、物理的にスペースを確保し、しかもその整理を不断に行なっていなければいざというときに情報を使えませんから、もの凄く労力がかかるんです。
その状況を一変させたのがインターネットの登場でした。私はネットの登場がモノ書きの作業を一変させたと実感しています。作業の大半を占めていた「情報取得」の労苦が2割程度にまで劇的に低下しましたからね。保管や整理も格段に楽になっています。それで、モノ書きは「情報取得」から「分析加工」へと作業の焦点を移すことが可能になりました。
その結果、モノ書きの世界でも、インサイダー情報やディープスロート(密通者)で売るタイプの人よりも、伯楽(名馬の鑑定人)のように玉石混交の中で「玉」を見分けることのできる人の方が浮上しやすくなってきています。そして、そういう劇的な環境変化の下で、「ブログ」という新しいツールが登場してきている。「モノ書き」出身の私としては、そこに面白い時代の流れを見る思いがするのです。
「テレビや新聞は、双方向性という点でWEBにはかないません。そしてリアルタイムに世論を反映させるということでWEBが最上位に立つことは、もう誰もが認めるところです。そのWEBの中でも、即時性が最も高いと思われるのが、Blogなのかもしれません。Blogは、ホームページ的要素とBBS的な要素を持ちあわせています。主張を述べることができるホームページ的要素。トラックバックで意見を返ることができるBBSに近い要素。ですから、Blogは議論の展開に一役買います」(by「MENTHOL BLOG」さん)ということですから、なおさら今後のブログの展開にワクワクドキドキしてしまうのです。「一般ニュースサイトと違い、ブログの特徴はインタラクティヴに情報をやり取りできることだ。今までのニュースサイトと違い一方通行ではない。情報の双方向キャッチボールによって情報がもっと膨らみ、それを共有できるようになる」(by「MASAHIKO」さん)ところに魅力を感じてしまうのです。
「カトラー」さんからは、「木村氏は、これまでマスコミ情報の一方的な受け手であった一般の人々がレベルの高い情報発信を行っていくことで、ブログが社会的な影響力を持つ新しい大衆メディアとして成長していくはずだという主張を展開している。ブログを始めて、まだ3ヶ月にしかならない私だが、メディアとしての新しい可能性をブログに対して強く実感している。『週刊!木村剛』は、そうしたブログの可能性を最もラジカルに実験している場といっても良いだろう」という暖かいエールをいただきました。これからも、「週刊!木村剛」は「ブログの可能性を最もラジカルに実験している場」として読者の皆さんとともに様々な試みをしていきたいと思います。
2004 06 03 [08. メディア/広告の将来を占う] | 固定リンク
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