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2004.06.16

監査役と内部監査にもスポットライトを!

 皆さん、こんにちは。木村剛です。6月11日のコラム「マスコミが指摘しないカネボウと三菱自動車の共通点は何か?」に対するトラックバックが結構あったのに驚きました。じつは、監査役という地味なネタだったので、「こりゃ、反応薄だろうな」と思いながら書いていたのです。

 ところが、「監査役は機能していない」「監査役は働いていない」「監査役は名誉職だ」などというご指摘の花盛り。結構、皆さん、批判的にみているんだなあ、ということを改めて感じたわけです。例えば、「Days of SpeakEasy」さんは、「日本では監査役は全く機能していません」と一刀両断。「時事解説BLOG」さんは、「日本の監査役とは一種の名誉職のようになっていて本当には機能していないように思われる」と指摘していますし、「Clala-Flala」さんも、「日本において監査役とは『経営者の経営が正しいことを、建前として証明する』御用聞きみたいになっていないでしょうかね」と言っています。
 また、「H-Yamaguchi.net」さんが「社長によって『監査役にしていただいた』監査役の場合、その社長に弓を引くのはかなり『勇気』のいることだろう」と分析してくれている一方で、「自給自足生活」さんは、「元経営陣の場合、自分のしてきたことを正当化するので誤りを正せないもしくは正そうとしない人を選んでいる」と指摘しつつ、「社外の場合、ほとんど出社もしないので当然企業の不正などわかるはずもないしわかろうとしない人を選んでいる」と鋭くメスを入れています。
 「isologue」さんが紹介してくれている事例はなかなかシュールで笑えますが、本当のところは笑えませんよね(^^;)。「以前、結構有名なベンチャー企業の社長とメシを食っているときに、『ところで、監査役って何する人なんですか?うちにもいるけど何やってるかよくわかんなくて。』と言われて、結構びっくり。(苦笑)」というんですから。「enter sandman」さんによる「私の親は『監査役』は社長などの親戚がなるものだと言っていました」というお話も大変象徴的です。
 じつは、「fareaster」さんが「内部監査、というシステムも……日常の活動について監査が入り、不具合を直していく、というシステムであることがよくわかりました」と指摘してくれていますが、監査役が機能する必要条件(ちなみに、十分条件ではありません)として実務的に重要なものは、内部監査というメカニズムなのです。実際問題として、この内部監査というメカニズムが有効に働いていないと、監査役はなかなかその権能を果たし切ることは難しいと思われます。
 委員会等設置会社における監査委員会も、その点については同様です。監査委員会を組成しただけでは機能しませんし、現実問題として、「内部監査」という業務と機能を十分にかつ円滑に実施できるだけの理解力と実行力を兼ね備えている方はそうそうおりません。
 私が、件のコラムで敢えて監査役――仕事がないので、「閑散役」と呼ぶ人もいる――にスポットライトを当てたのは、わが国における議論は得てして「器の議論」――美しい設計図を巡る教科書的な議論――があまりにも多すぎて、実務に耐え切れないケースが極めて多いからです。私の会社は、リスク管理やコンプライアンスのアドバイスを現場でしていますから、そういう感じを人一倍持っています。
 例えば、「監査役が機能していないから、委員会等設置会社にすべきだ」という意見が聞かれますが、現場からみている私のような者からしますと、「そういう器の議論ばかりして、どうやって実務的に機能させるのかという観点がないから、現実問題としてうまくいかないんだよ」という思いをついつい抱いてしまうのです。実際、実務面の詰めがない改革は、機能せずに改悪になってしまうケースすらしばしばみられます。だからこそ、
 なぜ不祥事は防げなかったのか。
 なぜ、監査役は機能できなかったのか。
 何が問題で監査役は機能できないのか。
 それは、委員会等設置会社に変更すれば機能すると言えるのか。
などという問題点を実務的に突き詰めていかなければならないと思うのです。そういうことを疎かにして、特定の個人の問題に帰してしまうと、結局、対策は「個々人が倫理観を高めるしかない」などという精神論で終わってしまいます。そして、「『代表者が変わるたびに同じ事を繰り返す』体質を持っている」(by「8 count」さん)ことは是正されないのです。
 「Law Maniac」さんは、「私は、メディアではなく、上場各社の株をお持ちの株主さんに申し上げたい。取締役や監査役の職務遂行に、ダイレクトにYES・NOをつきつけられるのは、株主さんだけです。株主総会に足を運んで質問したり、委任状によるとしても議案ごとに議決権を行使したり、株主としての責任を、積極的に果たしてください。その積み重ねが、会社を『良く』する原動力になります」と説いておられますが、私はそういう株主からの要求に応えていくためにも、内部監査の充実のような実務的な対処を経営陣や監査役の方々に求めていきたいのです。
 「週刊!Good News」さんが大正9年に行なわれた三菱商事の場所長会議におけるスピーチを紹介しています――「不正には正義を、権謀には正直をもって、われわれは行動すべきである」と。一流企業を名乗るのであれば、そういう台詞を正々堂々と言えるような内部管理のメカニズム(内部監査を含んだ)を実務的に構築しておきたいものです。

2004 06 16 [06. リスク管理の勘所] | 固定リンク

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