« NTT対ソフトバンク戦争の行方 [コラム] | トップページ | 「『月刊!木村剛』編集会議」のご案内―「週刊!小松原営業部長」[コマログ] »

2004.07.31

プロ野球vsサッカー:観客vsプレーヤー[BLOG of the Week]

 皆さん、こんにちは。木村剛です。8月1日(日)早朝にフジTV「報道2001」に出演します。自民党国会対策委員長の中川秀直氏、民主党幹事長の藤井裕久氏、経済評論家の三宅久之氏とご一緒する予定です。お時間のある方は是非見てください。
 さて、毎週土曜日は、トラックバックしていただいた方々を中心に、私が独断と偏見でお気に入りのブログを一つ選んでご紹介する「BLOG of the Week」の日です。第13回「BLOG of the Week」において私が選んだのは、「Unforgettable Days」さんが書いた「サッカーファンから見た近鉄とオリックスの合併にまつわる問題」です。

 近鉄とオリックスの合併に始まり、ライブドアの参入、もはやお約束となったナベツネの暴言を巡って、たくさんのトラックバックをいただきましたが、その中でも、独自の視点から、地に足のついた主張を展開していらっしゃるのが印象的でした。私も根っからのサッカーファンで、Jリーグ開幕時にジーコとコンビを組んでいたアルシンドのスピードとテクニックにうならされたクチです。最近の鹿島アントラーズをみていると、小笠原のプレイスタイルは好きなのですが、それを活かせるフォワード不足に悩まされている感じがして残念です。
 「Unforgettable Days」さんによる詳細な分析と主張のうち、「観客ではなく、プレーヤーを増やせ!」という鋭い主張の部分を抜粋してご紹介しましょう。お時間のある方は、リンク先の全文を是非お読みください。後半に掲載されていますが、個人的には、「グラウンド付近における学童保育の併設」などというアイデアはなかなかグッドだと思います。さあ、お楽しみください。

「サッカーファンから見た近鉄とオリックスの合併にまつわる問題」 

 私は、サッカーファンです。Jリーグファンであり、なんと言っても鹿島アントラーズのファンです。そんな私には、基本的には「近鉄とオリックスの合併」と言うのは「他人事」です。大きな問題意識も持っていないし、また、直接関わる問題でもありません。ですから、この問題に口を出す資格が、自分には無いだろうと思っています。
 けれども、プロ野球ファンだけが見えていない問題が多々あることに呆然とします。それらは、Jリーグファンであれば1998年度におこった横浜フリューゲルスの横浜マリノスへの吸収合併で直面していますし、バレーボール、ラグビー、アイスホッケーなどでも直面してきた問題です。そこで、ちょっと外から見た視点で書いてみようと思います。
 確かにプロ野球に限らずプロスポーツを黒字化しうる莫大なマネーソースはテレビの放映権料です。そして、そのテレビで放映されるためには、他のテレビコンテンツとの競争に勝つ必要があります。そのためには、コンテンツとしての魅力、すなわちエンターテイメント性が必要になってきます。そう考えると、「観客」を意識したファンサービスが必要とは言えます。
 しかし、「観客のためのサービス」と言う時点で、既にMLBのサービスとの発想が違っています。米国にはご存知のように、ベースボール以外にも、バスケット、フットボール、ホッケーの4大プロスポーツがあります。MLBの各球団は、MLB内部でのポジションだけでなく、これら他のプロスポーツとの競争下にあることを自覚しているはずです。
 そうなると「見るのが面白いスポーツ」だけでは勝ち抜けません。「やってみて楽しそうなスポーツ」である必要があります。つまり、競技人口を増やす必要があるのです。MLBのファンサービスは、主として子供を大切にします。それは、よく「子供に夢を与える」と言う表現で美化されますが、現実的には、子供と言うのプレーヤを他競技と奪い合っている中での獲得手段でもあるのです。普段、野球をして遊ぶ子供は、自然と野球を見るようになるでしょう。そして、子供が野球をやり、見るようになれば、親も野球に興味を持ちます。子供が貴重なリソースであると言うのは、このような野球マーケットへのゲートキーパーでもあるからです。
 もちろん、日本のプロ野球でも野球教室を開くなどして、子供に野球の楽しさを伝えるイベントを行っています。しかし、他競技との競争の中で必死に子供を野球に繋ぎとめておこうとする米国MLBとの必死さは歴然としています。
 特に、日本国内での主要な競争相手であるサッカーと比べるとどうでしょうか? 確かにJリーグのテレビ視聴率は伸びていません。野球と比べて、入場者数の定義が違うものの、やはり動員力は小さいと言えます。逆にだからこそ必死なのでしょうが、子供へのアピールは日常的に行われています。クラブに所属するユースクラスの選手であれば、トップクラスの選手と直接試合をする経験を持てます。それ以外でも、普段の練習後からファンサービスのためのサインは当り前です。さらには、芝生の校庭を増やすための呼びかけをして、実際に芝生の校庭を持つ学校に、元Jリーガーを派遣してサッカー教室を開くことで、サッカー競技を広めようとしています。試合当日のボールボーイは、近くのユース年代あるいはジュニアユース年代のチームにお願いし、試合前に紹介されて観客から拍手を貰えます。さらには、ナショナルトレセン制度によって、小さい頃から優秀と判断されたプレーヤは、最先端の育成を受けられるよう、全国的な組織ができあがっています。このように、日本全体に、子供の頃からプロのサッカー選手の生活がどのようなものなのかを体験できる機会を整えて、サッカー人口の増大を目指しています。あるいは、地域のスポーツ施設の中核を担うと言う立場から、他のスポーツ競技者を育成することに乗り出し、クラブへの所属意識を高めるなどの努力を行っています。
 今、野球をプレーする環境は非常に狭まってきています。社会人野球も企業の撤退があり、高校野球の人気低下があります。さらに、イチローや松井が野球を始める切っ掛けとなっている、親子でのキャッチボールなども都心ではスペースの関係からやりにくくなっています。それに対して、サッカーでは「おらが町のJリーグクラブ」と言うことで、全国にJリーグ入りを目指すクラブが誕生しつつあり、地元に根ざした活動から、ファンを増やしています。そこでは、気軽にサッカーボールを蹴り合える環境が整ってきます。都心でも、野球のボールを車にぶつけたら大事ですが、サッカーボールがちょっとぶつかったくらいであれば、汚れ程度で済みます。この辺の状況も違ってきています。
芸能界と言う縮図を見ても、一昔前までは、ビートたけしなどの野球チームが話題になりましたが、今や、ハロプロやフジの女子アナのフットサルが話題です。サッカーが女性のプレーヤーを獲得することに成功していることの脅威を、野球ファンはもっと真剣に感じるべきです。
 つまり、今、「ファンの視線で」などとファン第一思想でプロ野球経営を考えるべきであるような評論が多いですが、それでは役に立ちません。「プロ野球ファン」と言う「観客」の立場で考えるのではなく、「野球ファン」と言うプレーヤを増やすための方策を考えるべきです。
そう言う点では、名球界が全国の野球教室を開いているのは、早くから危機感を感じとっているのかもしれません。
 ただ、彼らであれば、子供たちにサービスするのも良いでしょうが、往年の活躍を知っていて憧れを持っている親の世代との野球教室なんてのがあっても良いのかもしれません。今の子供たちには、新庄や松坂が教えてあげて、そのお父さんたちは金田や王とキャッチボールをするなんてことがあったら、またグローブを買うお父さんたちも出てくるのではないでしょうか。
 今、プロ野球界が一番考えなければならないことは、「観客」ではなく「野球をする人」です。

2004 07 31 [22. BLOG of the Week] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15160/1042421

この記事へのトラックバック一覧です: プロ野球vsサッカー:観客vsプレーヤー[BLOG of the Week]:

» [Sports]プロ野球vsサッカー:観客vsプレーヤー[BLOG of the Week](週間!木村剛) [いのっち日記 から]
そういえば、Jリーグが立ち上がった頃は、友人達とフットサルチームを結成して、皆でユニフォームを揃えて試合やってましたね。フットサルの魅力は、なんといっても老若男... 続きを読む

受信 2004/07/31 9:54:29

» あーーーーーっ!っと。 [電脳東京 から]
前略 木村 剛 殿 (凄く丁重だ) いま迫られているのだ。 ん? それはオレがか、木村氏がか。 当然木村氏だな。 実は、 6月29日木村氏からTBされ... 続きを読む

受信 2004/07/31 10:05:05

» サッカーと野球(自分史から) [ユグン心理学入門 から]
 私が物心ついたときには、いつのまにかプロ野球ファンになっていて、少年時代には草野球を毎日のようにやっていました。それこそドラえもんにあるような、空き地で3人く... 続きを読む

受信 2004/07/31 11:03:39

» 私もサッカーファンなので [enter sandman から]
週刊!木村剛: プロ野球vsサッカー:観客vsプレーヤー[BLOG of the Week] Unforgettable Daysさんのブログが紹介されて... 続きを読む

受信 2004/07/31 12:32:06

» 競技人口の減少。 [JUKE Blog から]
週刊!木村剛さんのBLOG OF THE WEEK に選ばれた、Unforgettable dats...さんの記事には唸らされました。 サッカーファンから見た近鉄とオリックスの合併にまつわる問題 を是非お読み下さい。 続きを読む

受信 2004/07/31 22:14:00

» 朝まで生テレビ&すばらしい考察 [ずたたん TIMELY REPORT から]
朝まで生テレビ 7月31日未明、朝まで生テレビで球界再編問題が議論されました。 続きを読む

受信 2004/08/01 3:31:21

» Natural lawn field, not artificial lawn [Return to Forever : Yr Biz Ref site から]
One more thing we need to discuss about the Japanese professional baseball is that we have to think of the type of the ballpark, especially its field, that is, artificial lawn or natural lawn. In USA, there are several Dome stadiums laid with artificial l 続きを読む

受信 2004/08/01 12:31:33

» プレーヤーを増やせ [maxfast から]
私自身は野球少年でもなく野球ファンでもなかったのですが,今息子が野球好きだから野球に興味を持つようになり,このブログにいくつか記事を書いているのです. 週... 続きを読む

受信 2004/08/01 13:35:25

» 連載・恋才③ [winwin から]
 N@oと七人の木村剛サマ 1人目のGoさまは、会社を創りました。 企業や銀行のサポートが出来るコンサルティング会社です。 【社長】になったGoさまは... 続きを読む

受信 2004/08/04 2:34:29

» プロ野球選手が今すぐ実行できる2つの改革 [Unforgettable Days から]
球団合併に関して書いた前回のコラム「サッカーファンから見た近鉄とオリックスの合併にまつわる問題」は、週刊!木村剛のBLOG OF THE WEEKに選んで頂い... 続きを読む

受信 2004/08/10 0:20:42

» プロ野球選手が今すぐ実行できる2つの改革 [Unforgettable Days から]
球団合併に関して書いた前回のコラム「サッカーファンから見た近鉄とオリックスの合併にまつわる問題」は、週刊!木村剛のBLOG OF THE WEEKに選んで頂いた... 続きを読む

受信 2004/08/10 0:22:23

» サッカーボール [そだてる から]
2006FIFAワールドカップのアジア地区予備予選が、行われている。9月8日インドに4対0で大勝したジーコ・ジャパンは、快調な滑り出し。1次予選は、32カ国を4... 続きを読む

受信 2004/09/12 2:52:45

» 歴史は繰り返す:ライブドアの規約変更騒動 [Unforgettable Days から]
ライブドアの規約変更に伴う著作権にまつわる騒動は、歴史的にこれが初めてではありません。 「歴史は繰り返す」とは言い古された言葉ですが、今回の騒動もこれに当ては... 続きを読む

受信 2004/11/29 21:12:49