« 近鉄vsライブドア:「感情論」と「勘定論」 | トップページ | 土曜日に「週刊!小松原営業部長」がスタートします! »

2004.07.13

文部科学省と厚生労働省の狭間に放置された子供たち

 皆さん、こんにちは。木村剛です。先週土曜日に「専業主婦の逆襲」さんの「出生率について」三部作を「BLOG of the Week」に選出し皆さんにご紹介させていただきました。「安心して子育てができる環境」ということを唱える政治家は多いようですが、そのために実施する政策内容は曖昧模糊としていて、要するに、女性に対して「産め!」と言っているだけという場合が少なくないようです。そういう意味では本当に失礼な話です。

 長男の出産に立会った際、カミサンの手を握りしめながら、わが子が生まれてくる様を一部始終みていた私は、その瞬間、本能的に「女性というのはスゴイ」と感服させられた記憶があります。「こりゃあ、どうひっくり返っても、男は敵わない」と思い知らされましたね。その後も、乳児の間は夜泣きで24時間睡眠不足(私は熟睡していましたが・・・)。歩き回るようになったらなったで、各種の心配が尽きない。ウチは2年違いのガキ2人だけですが、わがカミサンながら、よくやってくれていると感謝しています。
 木村家におきましては、ダンナは外で生活費を稼ぎ、カミサンは家で子供を育てるという完全分業制なのですが、専業主婦のカミサンをみていても大変だなと思いますから、働きながら子供を育てていらっしゃる女性の苦労は並大抵のことではないと思います。そういう風に思っていましたら、「まりさん」という方から格好のEメールが届きましたので、以下にご紹介させていただきます。

 

年金制度問題に興味を持ってから木村さんのBLOGを拝見しております。年金のあり様に大きな影響を与える少子化対策について、木村さんご自身のご意見を伺いたく、突然で失礼とは思いましたが、私はトラックバックできないので、尾花部長宛にメールをお送りさせていただきました。

 99年に「新エンゼルプラン」が策定されましたが、出生率は依然として下がり続けています。当該プランの本来の趣旨は、安心して子育てができる環境を整備するためのもののはずです。。

 しかしながら、現場での対応をみていると、年金制度等を維持することを目的として、子供を産ませるための枠作りだけをしているような傲慢さが感じられます。「ジャックと豆の木」の金の卵を産む雌鳥じゃあるまいし、「生め!」といわれて生めるものではありません。

 その一例ともいえるのが、私自身が今直面している我が子が通う学童クラブの問題です。学童クラブとは何であるかご存知ですか?

 簡単にいえば、親が働く小学生の放課後ケアしてくれるもので、改正児童福祉法において、「放課後児童健全育成事業」として、「その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業終了後に児童厚生等の施設を利用して(中略)その健全な育成を図る事業」として明確に規定されています。保育園で7時頃までケアされていた子供を、小学校に入学したからといって2時半頃に下校した以降放っておけるはずがなく、学童クラブは、保育園と比較して少子化対策としてあまり注目されていませんが、特に低学年の子供にとり、非常に重要な役割を果たしているのです。

 ところが、この1、2年で、全児童対象の放課後の子供の遊び場確保という事業(仮にA事業とします。登録制の校庭解放とでも思って下さい。)と一体化されてしまい、更に予算削減のため学童クラブ職員の非常勤化案が出される等、流れは実質的な学童クラブ廃止の方向にあり、現状、さまざまな問題が生じています。

 学童クラブの建物は、学校の中にありますが、学校の児童であっても、クラブにいる間の当該児童への責任の所在は不明確です。なぜならば、学校は文部科学省下、学童クラブは厚生労働省下にあるからです。

 学校では、学童クラブへ建物を貸しているだけという認識のようなのです。学童クラブの申込に学校へ行った時、申込場所がわからなかった私は、たまたま通りかかった当時の教頭に場所を尋ねると、「学童クラブは、学校とは一切関係ありませんので、あちらで聞いてください。」と言われてしまいました。

 また、学童クラブの建物の前が児童に対して危険な作りだったときには、その責任の所在が学校にないとかで、なかなか修理をしてもらえませんでした。また、A事業との一体化で職員がケアするべき児童数が増えたため学童クラブに来ているはずの生徒が行方不明になっても一日誰も気が付かなかった(幸い、大事には至りませんでしたが)というような問題も起きていますし、職員が非常勤化されてしまった別の地域では、実際、児童の怪我が多発しています。

 このような現状にもかかわらず、権限を委譲されている区役所では、兎に角、予算の削減に躍起のようです。学童クラブに今ある機能が、子供の安全確保と心のケアに必要だということを全く理解していただけていないようで、いつも別の大義名分と本旨をすりかえてきます。そういえば、設計図の段階では存在した避難階段が実際には設置されていなかったというようなこともありました。実際に事件が発生してからでないと、役所は動いてくれないようなのです。

 「安心して子育てができる環境」とは、大人が便利なだけのツール作りではないはずです。量的な拡大だけはでなく、質的向上が如何に大切かは学校という枠組みをみれば誰にでも理解できることでしょう。子供が健やかに育つための質が伴わずして安心して子供を産み育てる気にはならないと思うのですが(実際、なりません!)、いかがでしょうか。

 大変申し訳ないことですが、私は、このEメールをいただくまで、「学童クラブ」という単語を存じ上げておりませんでした。確かに、働いている親たちにとって、保育園で午後7時まで面倒をみてくれていたものが、小学校になって午後2時半に帰ってくるということでは、対応不可能ですよね。それが「学童クラブ」の縮小というかたちで、「安心して子育てができる環境」がますます遠くなっているのが現実だというのであれば、「何が少子化対策なのか!」と憤りたくもなることでしょう。
 しかも、「学童クラブ」の運営が円滑に行われていないのは、学校が文部科学省の縄張りで、学童クラブが厚生労働省の監督下にあるからだというのですから、何をかいわんやです(また、厚生労働省かよぉ~)。少子化対策を声高に唱える政治家は、こういう細かいけれども有効な政策を実現することに汗をかいていただきたいと思います。
 「週刊!木村剛」は、このようなEメールおよびトラックバックを大歓迎しています。皆さんの周りで起こっている行政機関の理不尽をお知らせください。適宜ご紹介し、世論喚起のお手伝いをさせていただきたいと思っています。まりさん、Eメールありがとうございました。

(追伸)昨日から待望の「月刊!木村剛」創刊号が書店に並んでおります。是非、是非、ご購入いただき、ご友人やお知り合いにブログの素晴らしさを喧伝していただければ幸いです。

2004 07 13 [05. 年金問題を斬る] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15160/936092

この記事へのトラックバック一覧です: 文部科学省と厚生労働省の狭間に放置された子供たち:

» 市町村に地域活動基金、3000件事業化目標・総務省 [McDMaster's Weblog から]
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20040316AT1F1501715032004.html これまで NPO 等が担... 続きを読む

受信 2004/07/13 9:10:45

» 学童問題 [無菌室育ち3はお堅いのがお好き から]
学童クラブって、うちの方では学童保育って言ってる。いわゆる「学童」。 鍵っ子にす 続きを読む

受信 2004/07/13 11:20:29

» よい子の味方 Ⅱ(昨日に続く) [専業主婦の逆襲 から]
さー、今日こそは「スーパー銭湯」で「幸楽焼そば」を 食べながら「マツケンサンバⅡ 続きを読む

受信 2004/07/13 13:10:18

» EQの必要 [Ochanoko から]
最近、以前によく耳にした、EQ(心指数)に関する本を読みました。 EQは、情動状 続きを読む

受信 2004/07/13 13:57:54

» 池尻中学校の廃校利用の問題 [データバックアップメモ - extended - から]
週刊!木村剛: 文部科学省と厚生労働省の狭間に放置された子供たち より。  「週刊!木村剛」は、このようなEメールおよびトラックバックを大歓迎しています。皆さん... 続きを読む

受信 2004/07/13 19:48:29

» サイレントマジョリティーが表舞台にやってきた [c572 blog から]
「週刊!木村剛」2004.07.13”文部科学省と厚生労働省の狭間に放置された子 続きを読む

受信 2004/07/13 22:47:19

» [経済]「学童保育」と「世代内不均衡」 [おたくなばくちうちの日記(仮) から]
木村さんのところで「学童クラブ」の話を読んで懐かしさを憶えた。 ちなみに「学童クラブ」とは放課後の小学生を預かってくれる保育園の延長線上のようなものである(乱暴... 続きを読む

受信 2004/07/14 1:30:47

» 想像力がなさ過ぎる。 [空のつぶやき から]
私と同年代で、現在の社会制度に関して発言力があると目される木村氏でさえ知らなかった“学童クラブ”と言う言葉。 私の周りでは”学童保育”と言っているのだけど。。... 続きを読む

受信 2004/07/14 3:26:46

» 「少子化対策」は「共働き世帯支援」で良いのか? [Unforgettable Days から]
年金問題について触れられることの多い「週刊!木村剛」にて、年金問題から派生した少子化対策の流れで「文部科学省と厚生労働省の狭間に放置された子供たち」と言うタイ... 続きを読む

受信 2004/07/14 17:11:08

» 子育てをしやすい環境を作る行政とは [fareaster から]
数年前、「育児休業制度」なるものができました。これは、産休を拡張した形で1年間会 続きを読む

受信 2004/07/14 21:34:29

» 保育所問題の陰に隠れる、学童保育の大問題 [……それが問題だ。 から]
このBlogでも以前から取り上げている《保育所「待機児童」》の問題については、庶民の大きな声が届き、民営化などで別の問題を抱える自治体もありますが、全体としては... 続きを読む

受信 2004/07/15 0:49:22

» 少子化について [永山の買い物blog から]
木村剛さんが、文部科学省と厚生労働省の狭間に放置された子供たちなんてタイトルで少 続きを読む

受信 2004/07/16 1:56:00

» 公の財政不足は、個人に転嫁されている? [ミズタマのチチ から]
週刊!木村剛で、学童クラブを切り口に「どれほど子供を育てづらいか」って話がありました。 保育園、学童クラブについては、保育園児と小学生のいる僕んちにとって日常... 続きを読む

受信 2004/07/16 15:37:58

» 学童 [ChokudaiのShoot!Catch!Smile! から]
学童、学童クラブ…何とも懐かしい名前だ。 自分は世話になっていたのでよくは分からなかったが、友人が良く利用していた。 最近、その学童も随分大変なことになっているらしい。 続きを読む

受信 2004/07/23 2:07:31

» 自分にできることは,何ですか? [650の無味乾燥 から]
今日も2時起き,温度計みると30度... まあ,頭はすっきりしてるんですが... さて第7回は週間!木村剛から"育児問題に関して私が出来ること"で ポ... 続きを読む

受信 2004/08/11 5:30:02

» 年金運用利回りの誤謬、そして、非少子化への光明 [■公的年金タスクフォース■ から]
皆さん、こんにちは。McDMaster です。 さてさて、アテネ・オリンピック... 続きを読む

受信 2004/09/05 23:49:42

» 「現場」の声の一つ一つを取り上げることから始めて欲しい [ジャンバラヤ -父・母・子のためのごった煮つぶやき集- から]
皆さん、こんにちは。McDMaster です。 さて、この「ジャンバラヤ」で、最 続きを読む

受信 2004/09/12 13:49:01

» 少子化を考えるヒント [JC3++日本子育て委員会 から]
少子化=こどもを生まない女性が増えている、と言われています(←ところでこういう言われ方ってものすごく女性に失礼な気がしません?)。その原因は・・・と語り出すとと... 続きを読む

受信 2004/12/07 10:27:34

» 少子化問題言論俯瞰。 [ぎょろぐ。 から]
なんかR30氏はどっか出掛けてるみたいですが、ネタ自体は続行気配なので折角ブログ... 続きを読む

受信 2005/01/10 21:04:38

» 川崎の全児童対策事業(わくわくプラザ) [武蔵野市議 川名ゆうじの武蔵野blog から]
学童保育は、当事者は熱心でもなかなか社会認知されていない実情があります。 私は、テレビやゲームではなく、生活や遊びを通じた最適な子育て環境だと思ってますが、ど... 続きを読む

受信 2005/01/14 15:58:27