« 「週刊!小松原営業部長」[コマログ]―第2回「月刊!木村剛」編集会議のご案内 | トップページ | [週刊!尾花広報部長]  ゴー社長の血液型 »

2004.09.25

[BLOG of the Week] 第4次産業としての選挙

 皆さん、こんにちは。木村剛です。毎週土曜日は、トラックバックしていただいた方々を中心に、私が独断と偏見でお気に入りのブログを一つ選んでご紹介する「BLOG of the Week」の日です。第21回「BLOG of the Week」において私が選んだのは、「Vanilla chips」さんの「六ヶ所村奇譚」です。

 Financial Japan ONLINE「太郎とふるげんの国会乱トーク」でお伝えした河野太郎議員からの問題提起に応えたもので、具体的な事例や数値を基に論理を積み上げています。核燃料サイクル施設に賛成の人も反対の人も是非一読していただきたい分析です。それでは、「Vanilla chips」さんの「六ヶ所村奇譚」をお楽しみください。

[六ヶ所村奇譚] 

「第1次産業、第2次産業、第3次産業ってあるでしょ。六ヶ所村には第4次産業があるんですよ」
「第4次産業?」
「そうです」
「いったい…、どんな産業なんですか?」
「選挙です」

核燃料サイクル施設が集中する青森県六ヶ所村。この村の議員定数は20人だ。村議会選挙では候補者1人あたり2千万の金が動くといわれている。2千万×20で4億。有権者数9千名弱の小さな村にとって、4年に1度動く4億という金はまさに一大産業と呼べるもののようだ。・・・

しかし、この金の出所はいったいどこなのか?
まずは村の財政を見てみよう。六ヶ所村の財政力指数は平成14年度で1.77という数字になっている。多くの自治体は1未満で、1に近ければ財源に余裕があると見なされるのだが、それを大きく超えている。村に巨額の金をもたらすのはもちろん核燃である。固定資産税と電源三法交付金。そして、こうした核燃マネーがもたらす潤沢な村の予算から、公共事業として開発に金が振り向けられるわけだ。議員のほとんどが建設業者など利権を持つ人たちであり、議会では与党と野党に分かれて、利権をめぐり争っている。むつ小川原開発がやって来て以降、建設業者は増え続け、今では80あまりの建設業者が村の中にひしめいている。

世の中には核燃に反対している人も大勢いるわけだが、六ヶ所村の議会には反核燃を訴えている議員はいないのだろうか?
かつては六ヶ所でも激しい反核燃運動があったが、今ではすっかり下火となっている。利権をめぐる争いの場と化している村議会の中に、核燃反対派が付け入る隙はない。そもそも六ヶ所村において反核燃の姿勢を明確にすることは危険なことである。あらゆるところから圧力がかかり、干されてしまう。また、六ヶ所村では地縁、血縁などといった結びつきが強固で、選挙の票読みはかなり正確にできるという。そのような中で得票数が事前の票読みより1票でも足りなければ、「入れなかったのは誰だ」となる。とてもじゃないが、反核燃候補に投票できる雰囲気ではない。近年の六ヶ所村での選挙結果を見ると村長選、村議選ともに、反核燃を訴えた候補の得票は2桁で、当選ラインには遠く及んでいない。

核燃はすでに村民の生活の中に深く入り込んでいる。核燃サイクル事業を行っているのは全国の電力会社が出資している日本原燃という会社だが、村の多くの人が日本原燃やその関連企業で働いていたり、それらの企業が取引先だったりする。自分が働いていなくとも、だいたい家族や親戚の中にそうした企業に勤めている人がいる。
核燃から入る金で生計を立てているのに、どうして核燃に反対できようか?六ヶ所村には他にこれといった産業はない。六ヶ所村に生きるということは核燃とともに生きるということなのだ。・・・

この六ヶ所村という村はとてもいびつな場所だということだ。1万1千人ほどの人口に130億という村の予算。立派に舗装された道路にまばらな人影。前の村長は汚職の疑惑の中、首を吊って自殺したという。この村のどこを歩いていても、核燃という厚い雲に覆われていて、そこに晴れ間は見えない。そんないびつな構造の上に、電力の消費者であるわれわれはあぐらをかいて座っている。そして、窓の空いた部屋で冷房を入れ、見もしないテレビのスイッチをつけている。・・・

核燃サイクルの総事業費は約19兆円とされている。1万円札にして積み上げれば19万メートル。成層圏を突き抜けるほどの額である。当然こうした費用はわれわれの電気料金に跳ね返ってくる。・・・核燃という迷惑施設を六ヶ所村に押し付け、利権に支配される村の構造を作り出したのも、元はと言えば、自分が豊かな生活を享受できればそれでいいという利己的な欲望や、核燃サイクルの話なんてどうでもいいというわれわれの無関心に原因があるのではなかろうか。

先に見たように、今や六ヶ所村や青森県という地元から核燃を止めることは極めて難しくなっている。また、官僚が核燃サイクルの馬鹿馬鹿しさに気づいて計画を止めてくれるということもないだろう。彼らの中には既に核燃サイクルが破綻していることに気づいている者もいるが、もしここで止めると誰かが責任を取らなければならない。今の時点で責任ある立場にいる人はそれを避けたいから、問題は常に先送りされる。そうして計画は少しずつ進んでいく。一人一人の官僚は有能でも、官僚制というシステムは根本的な問題を抱えているようだ。

2004 09 25 [22. BLOG of the Week] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15160/1511912

この記事へのトラックバック一覧です: [BLOG of the Week] 第4次産業としての選挙:

» その金で何が買えるか〓19兆円お買い物コンテスト [VANILLACHIPS から]
*19兆円お買い物コンテストやります。詳しくは以下を読んでね。  キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!  って、何かといいますと奥さん、驚かないで聞いてください... 続きを読む

受信 2004/09/25 13:49:02

» 原発かぁ~ [ヤースのへんしん から]
選挙が産業になる。まあ、選挙はサービス業って言葉もある。 金権選挙と言うが、住民 続きを読む

受信 2004/09/25 15:08:27

» 核燃料再処理施設についての再考 [いのっち日記 から]
本日のキムタケさんのエントリ第4次産業としての選挙では、六ヶ所村奇譚(「Vanilla chips」さん)が取り上げられています。正直言って、ビックリしましたね... 続きを読む

受信 2004/09/25 16:03:46

» 私は甘ったれか? [まーどんなの備忘録 から]
原子力開発の話題はいつも自己矛盾に陥る。 「週刊!木村 剛」 第4次産業としての選挙[BLOG of the Week]を 読んでいても痛感した。 自分の住む... 続きを読む

受信 2004/09/26 2:37:44

» http://www.hurusato.org/wordpress/index.php?p=178 [my.Hurusato.org から]
第4次産業としての選挙 「週刊!木村剛」の9月25日のエントリー。Vanilla chipsさんの「六ヶ所村奇譚」が、「BLOG of the Week」... 続きを読む

受信 2004/09/27 12:36:59

» 我が家、いや我が国は借金地獄 [まーどんなの備忘録 から]
9月26日付の朝日、産経、日経新聞に『明るい未来のために いま、財政構造改革が必要です』という財務省の政府広報が載っていた。 ちょうどその朝、谷垣財務大臣がTV... 続きを読む

受信 2004/09/28 14:32:21

» ローカルな選挙と世界への影響 [fareaster から]
核燃サイクル事業に19兆円、実際にはもっとかかると言われています。ただ、これらの 続きを読む

受信 2004/10/01 22:19:35

» 核燃の解決には、六ヶ所村の決断も必要なのではないか? 3 [my.Hurusato.org から]
核燃サイクルは誰の問題? VANILLACHIPSさんの10月3日のエントリー。トラックバック、ありがとうございました。 最初に私が差し上げたコメン... 続きを読む

受信 2004/10/04 8:28:17