« [本のソムリエ] 企業再生ファンドの実務 | トップページ | [週刊!神部プロデューサー] 期待を裏切り続けた木村剛!! »

2004.10.13

[コラム] 小倉昌男氏ならば郵政とどう戦うか? 

 皆さん、こんにちは。木村剛です。今週はヤマト運輸と日本郵政公社の問題について論じてみたいと思います。

 私は「クロネコヤマトの宅急便」の生みの親である小倉昌男氏を尊敬している。不条理な運輸省行政に異を唱え、孤立無援で戦い抜いて、お客さまの支援をバックに一大企業を育て上げた手腕はただ者ではない。
 なかでも痛快だったのは今から約二十年前のこと。
 ヤマト運輸は運輸省に対して真っ向から喧嘩を仕掛ける。当時はSサイズとMサイズだけだったので、Sサイズより小さいPサイズを二百円安くして提供しようと考えたのに、同業者の反発を恐れた運輸省はなかなか認可しようとしない。
 世論を味方につけて戦うことを決意したヤマト運輸は、八三年三月に申請書を提出。このとき、運輸省に「実施は六月一日を予定している」と通告した。五月十七日には、一般紙の朝刊に「六月一日から二百円安いPサイズ発売」という広告をぶち上げた。
 それでも運輸省が認可しそうになかったため、五月三十一日の朝刊に「Pサイズの発売は運輸省が未だに認可しないため、六月一日の開始予定を延期せざるを得なくなりました」と再び大々的に広告を打ったのだ。
 その結果、運輸省の対応の遅さを批判する世論が盛り上がった。無視し切れなくなった運輸省は、七月六日に渋々認可する。
 何とも見事ではないか。まさに快挙である。
 お上には誰も逆らえないと信じ込んでいた時代に、一民間企業が、お上に楯突き、お上を叱責し、そしてお上を屈服させてみせたのだ。
 ヤマト運輸はわが国における「改革」のシンボル企業である。
 そのヤマト運輸が、今度は日本郵政公社に新たな喧嘩を仕掛けている。ゆうパックの新料金体系は「官の殴り込みに他ならない」と主張して、「日本郵政公社は独占事業であげた利益をもとに競争しようとしています」という一面広告を新聞に展開。九月二八日には日本郵政公社を独占禁止法違反で提訴した。
 小倉昌男氏を尊敬するヤマト運輸ファンとしては大々的にサポートしたいところだが、どうにも気持ちが盛り上がらない。それは、これまでのヤマト運輸の戦いは消費者のために値下げするというものだったのに、今回は消費者の便宜を図るというよりも、ドル箱となっているコンビニ宅急便の寡占利益を守るためという風に見えなくもないからだ。
 私も経営者の端くれだから、いらだつヤマトの気持ちは分かる。しかし同時に、既存の運輸業者に殴り込みを掛け続けてきたヤマトらしくないとも感じる。
 小倉昌男氏であれば正々堂々と競争を受けて立ち、自らのコスト構造を完全公開して、ゆうパックが不当廉売であることを立証して見せるのではないか。
 実際、日本通運がコンビニでゆうパックと競争している例もある。アナリストたちが「ヤマトの料金は高い」と陰口を叩いているのも知っているはず。
 ヤマト運輸は今後も「改革」の象徴であってほしい。だからあえて言う――民間企業の横綱として郵政公社を迎え撃ち、返り討ちにしては如何でしょうか、と。

(追伸)「週刊!木村剛」は、10月21日創刊の総合ビジネス誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は、「フジサンケイビジネスアイ」に10月11日に掲載したものです。
 今月21日に総合ビジネス誌「フィナンシャルジャパン」を創刊するとともに、28日に新著「おカネの発想法」を上梓することを記念して、今月26日にタカシマヤタイムズスクウェア紀伊国屋書店新宿南店7Fの紀伊国屋サザンシアターにて記念講演を無料にて催します。お時間のある方は是非お立ち寄りください。申し込みはコチラまで。


2004 10 13 [04. 経済政策を語ろう!] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15160/1655669

この記事へのトラックバック一覧です: [コラム] 小倉昌男氏ならば郵政とどう戦うか? :

» 安くしてよ~ [ヤースのへんしん から]
宅配便業者って、特定の会社にだけ「特別料金」を提案して、旨味のある部分だけとって 続きを読む

受信 2004/10/13 9:44:01

» 確かにヤマトは高いよ。 [えみっちぃの見る風景 から]
木村剛さんの本日のBlogより。 私も昔(といっても、5,6年前)、コンビニでアルバイトをしていた。 その時の、宅配サービスは、殆どヤマトが参入していた... 続きを読む

受信 2004/10/13 10:22:44

» ポストにゲロ [偏食ニュース から]
新ゆうパック、宅急便より最大2220円安く 近所のローソンから宅配便で小包だすと、何千円もかかっていたのでやっぱ沖縄は運賃が高いなーとしみじみ実感してい... 続きを読む

受信 2004/10/13 10:28:36

» ひとつの文化ですな。 [grounder から]
最近結構ニュースになっていたクロネコ対ゆうパックのことを『週間!木村剛「[コラム 続きを読む

受信 2004/10/13 13:04:39

» ■より豊かになる方法・・・想像編・・・ [イージー☆ナンセンス から]
想像、勝手です。 規制もなければルールもない。 想像、自由です。 アンティーク&コレクティブルスの雑貨や旧い車が好きなんだけど、旧いだけあってコンディ... 続きを読む

受信 2004/10/13 14:20:12

» 郵政VS黒猫 [JITOU.NET から]
この問題には以前から疑問を感じておりまして、以前から愛読しているゴーログに とり 続きを読む

受信 2004/10/13 14:43:16

» ■起業 成功の秘訣・・・アピール・・・ [通りがかりのコンサルタント から]
元サーカー日本代表選手、カズこと三浦知良選手。 彼は、10代の頃ブラジルに渡り、サンパウロFCと契約。 また、日本人初のイタリア・セリエAのジェノバと契約し... 続きを読む

受信 2004/10/13 16:05:51

» ヤマト運輸の企業姿勢 [intertext から]
 今話題の週刊!木村剛のブログに「小倉昌男氏ならば郵政とどう戦うか?」というコラ... 続きを読む

受信 2004/10/13 17:06:49

» ゆうぱっくの逆襲? [いのっち日記 から]
本日のキムタケさんのコラムは、小倉昌男氏ならば郵政とどう戦うか?です。そういえば、最近やけに「ゆうぱっく」のCMが多いなぁ、と思っていました(織田裕二が爽やかな... 続きを読む

受信 2004/10/13 20:36:06

» 忍耐の方程式 [『『『 経済 』』』 ビジネス から]
「経済的成功の為の絶対条件」経済的に成功する為には経済を完璧に理解し把握する事が 続きを読む

受信 2004/10/13 20:41:08

» 新しい「プロ」と古い「組織」のゆくえ [my.Hurusato.org から]
小倉昌男氏ならば郵政とどう戦うか? 個人と組織 上のリンクは、「週刊!木村剛」の10月13日のコラム。ヤマト運輸の起業時のエピソードと、最近の郵政公社提... 続きを読む

受信 2004/10/14 8:31:44

» がんばれヤマト運輸 [ぷ~ろぐ から]
週刊!木村剛より [コラム] 小倉昌男氏ならば郵政とどう戦うか? 木村さんはヤマ 続きを読む

受信 2004/10/14 21:04:20

» 行政訴訟 [逆さから見た世間 から]
このごろ行政訴訟がはやりだした 以前はクロネコヤマトであったが、昨日はソフトバンクである 続きを読む

受信 2004/10/14 23:17:08

» ヤマト運輸よ、小倉昌男の精神を貫け! [R's Random Talk から]
木村さんが小倉さんのことを書いている! こりゃだまってられない!というわけで、急遽今日のネタです。 私にとっても、小倉さんは尊敬する経営者の一人。 こ... 続きを読む

受信 2004/10/15 0:59:23

» ヤマトの戦い(郵政民営化) [南ちゃんのお気に入り から]
10/13付けの週刊!木村剛の[コラム]小倉昌男氏ならば郵政とどう戦うか?という 続きを読む

受信 2004/10/16 16:51:02

» ヤマト運輸と郵政公社の不思議なバトル [Richstyles! から]
ヤマト運輸がなんで郵政公社に因縁つけてるのか分からない。ここまで行政と民間の立場が逆転すると呆れてものが言えない。まず、ヤマト運輸の主張に対して業界の意見が一致... 続きを読む

受信 2004/10/17 12:57:01

» 松下政経塾のお兄貴、ついに選挙へ!! [24歳 デザイン・インテリアショップ 店長さんのデザイン体験日記 から]
私がアメリカでお世話になって、ベンチャーの法整備の関係の研究をしていた松下政経塾の頼れる兄貴分・佐藤広典さんがついに選挙へ! 東京都議会の武蔵村山・東大和... 続きを読む

受信 2004/11/19 0:34:19

» 追悼・小倉昌男さん [微熱日記 から]
今年逝去されました、ヤマト福祉財団の小倉昌男さんの「お別れ会」が今月8日、東京都 続きを読む

受信 2005/08/12 1:36:38