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2004.10.27
[コラム] 上場だけが人生じゃない!
皆さん、こんにちわ。木村剛です。本日はコラムの日で、話題となっている西武鉄道の問題について書いてみようと思います。
西武鉄道の有価証券報告書における虚偽記載に関して、10月13日に開催された堤義明コクド会長の記者会見はなかなかに味わい深いものであった。
その中でも、「西武鉄道の株価は中身と比べて安すぎると考えている。解散しても(一株当たりの資産価値は)もっと高い。上場廃止になっても損をしたということにはならないのではないか。そもそもなぜ西武鉄道を上場しなければならなかったのか私には分からない」という堤会長の言葉は含蓄深かった。
文言どおりに受け取れば、堤会長は上場に価値を見出していないようだ。
だから、必死で上場廃止をストップしようという必死さがない。
マスコミは、どうしてもスキャンダラスな方向に議論を引っ張りたがるので、インサイダー取引などの表面的な現象に囚われがちだが、ここで一番重要な問い掛けはそんなことではない。
上場のことを「ゴー・パブリック(go public)」と言うが、まさしくそれは、会社を個人の所有物から公の所有物――すなわち、誰の所有物になってもよいもの――に変わったということを意味する。その意味で、上場という行為は「欲しかったら買収してもいいよ」という対外的な宣言を意味するのであり、不特定多数の株主から文句を言われる立場になるということなのだ。「上場益は自分の懐にほしいけれど、経営権は渡さないよ」という経営者のエゴは許されない。
つまり、オーナーシップを主張したいのであれば、上場などしないほうがいい。経営に介入されたくないのであれば、株式公開などするべきではない。商法がどうとか、証券取引法がこうだとか、ディスクロージャーはこういう風にやれなどと細かな指示を受けたくないのであれば、上場会社の社長などサッサと辞めたほうが良いのである。
堤会長は、今春発覚した総会屋事件のときに、そのことを思い知ったのではないか。そうであれば、いま西武鉄道が選択すべきは「ゴー・プライベート(go private)」であるはずだ。前向きに上場を止めればよいのだ。堤会長が本当に「一株当たりの資産価値はもっと高い」と信じているのなら、1000円を超える値段で西部鉄道株をすべて買付ければよい。もともと浮動株は一部に過ぎないのだ。コクドにしてみれば、大した資金が必要なわけでもない。
そうすれば、「インサイダー取引だ」「高く買わされた」などと陰口を叩かれる必要はなくなる。協力してくれた会社にも迷惑をかけなくて済む。急落前の価格で正々堂々と全部買い付ければいいのだ。文句のある人は売ってくる。
非上場よりも上場が偉いというわけでもない。サントリー、リクルート、YKK、竹中工務店、ヨドバシカメラなど隆々たる非上場企業も少なくない。
「ゴー・パブリック」という行為が、一攫千金を意味するのではなく、会社の運命や経営権の所属を公に委ねる行為にすぎないことが理解されれば、「上場>非上場」でないことは分かるだろう。
紋切り型の報道をしていては、堤義明会長の心の内を読み切ることはできないのではあるまいか。
(追伸)「週刊!木村剛」は、総合ビジネス月刊誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は、「フジサンケイビジネスアイ」に10月25日に掲載したものです。
11月8日に金融問題に対する提言を行なっているNPO「金融イノベーション会議」のシンポジウムがあります。私は司会兼第二部の「金融庁の政策評価を評価する」というテーマのパネルディスカッションのコーディネーターを務めます。詳しくはこちらをご覧ください。
(予告)今週のブロガー新聞編集長は「Watch IT,ケータイ,ベンチャー」さんでテーマは『モラル』です。
2004 10 27 [04. 経済政策を語ろう!] | 固定リンク
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