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2004.11.22
[フィナンシャルi] 急増する地方の再生ファンド
都道府県単位など地方レベルでの事業再生ファンド(基金)が急増している。県をまたぐ広域のファンドも含め、すでに二十五件以上のファンドが設定(予定)もしくは運用開始されており、ほぼ全国をカバーした。ファンド急増の背景には、地銀レベルでも不良債権処理の最終段階を迎え、融資先企業の再生へ本腰をいれ始めたことがある。
地域レベルの事業再生ファンドは、地方銀行など地域金融機関と投資会社が共同で設計したファンドで、その地銀の融資先企業を対象に債権を買い取り、再生を助けるのが目的だ。
具体的には、ファンドは一部の債権放棄も含めて対象企業の財務健全化を実現し、事業領域の見直しなどを指導する。主として、その企業の収益力向上を通じた債権回収額の増額により投資を回収する。
再生実績を重視
地銀主導のケースが多いため、県単位の企業を投資対象とするファンドが多いが、中には近隣の県の金融機関が共同で企画したファンドもある。中堅・中小企業が対象のため、大手企業対象のファンドほど投資利回りは期待できないが、地銀同士で他の地域のファンドへ出資するなど、利回りより再生実績重視の投資家を集めてファンド組成している。
十月には、沖縄海邦銀行が投資会社リサ・パートナーズ運用の「かいほう事業再生ファンド」をスタートさせたほか、東京都が「東京チャレンジファンド」(運用は大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツ)を作った。また、足利銀行など栃木県内の金融機関が今夏作った「とちぎ地域企業再生ファンド」(運用はとちぎインベストメントパートナーズ)は十月末に、産業再生機構が支援している皮革メーカーの栃木レザーを第一号投資先に決めた。
日本政策投資銀行のまとめによると、地域型の事業再生ファンド(計画の公表ベース)は十月までで二十五件ある。複数県対象のファンドがあるので、すでにほぼ全国をカバーしている。その他にも設立の動きは盛んで、地域型再生ファンドは年内にも三十件に到達する勢いだ。
地域型の再生ファンドが登場したのは昨年の秋以降のことだ。急増の背景には、まず、体力のある地銀が引当金不足の解消など抜本的な不良債権処理の準備を終え、しっかりしたコア事業を持ちながら過剰債務に悩む企業の再生を助ける段階に入ったことがある。
それに、金融庁が昨春出した「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」で、事業再生ファンドを例示して、地域の中小企業の再生支援策を求めていることも各地域金融機関の動きを後押ししている。 また、日本政策投資銀行や中小企業基盤整備機構からの出資という公的な資金支援を受けるケースもある。
登場1年で課題も
そんな地域型の再生ファンドだが、登場から一年で早くも課題も見えてきている。ファンド業界によると、ファンドを設けたけれども対象企業が見つからない事例や、ファンドが地銀の希望する企業向けの債権を買い、地銀側の不良債権オフバランス化が進んでも、その対象企業の再建策が作りにくいケースなどが出ているという。
逆に、再建策がはっきりしている企業の場合、ファンドの投資から一、二年で、「卒業」することが多い。
六件のファンド運用を獲得しているリサ・パートナーズの田中敏明常務は「各地銀はいろんな仕組みを試しており、有力地銀は複数のファンドを持つことになりそうだ。我々としてもニーズに応えたファンドの提案をしていく」と言う。同社は、対象企業ごとにファンドを作り、投資家も募集する方法により、最近、ファンド運用受注を増やしている。
地域金融機関の間では、この一年、とにかく再生ファンドを作るのがブームの様子だった。今後は、対象企業の再建に適した仕組みを考えてのファンド企画が増える見通しで、地域の中堅・中小企業の再生を通じた地域経済の活性化へ向け、金融機関の試行錯誤はまだまだ続く。
(ジャーナリスト 和田勉)
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1966年京都府生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、日本経済新聞社に入社。産業部や国際部などの記者を経て、1998年から3年間、テレビ東京に出向して経済部記者を務めた。2001年からフリーの経済ジャーナリストに。著書に『買収ファンド』(2002年4月、光文社新書)、『企業再生ファンド』(2003年4月、同)、『事業再生ファンド』(2004年8月、ダイヤモンド社)がある。
(追伸)「週刊!木村剛」は、総合ビジネス月刊誌誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は、「フジサンケイビジネスアイ」に11月15日に掲載したものです。
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