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2004.11.16
[週刊!岡本編集長] ナレッジはいかにして蓄積されるか
「フィナンシャル ジャパン」の発行会社であるナレッジフォアは、ナレッジを生み出す会社である。
しかして、このナレッジなるものはいかに生み出されてくるのか。この「知識創造プロセス」分野の泰斗はピーター・センゲ、あるいは私もずいぶんお世話になっている野中郁次郎先生ということになるのだろうが、そんな先生方のむつかしい本を読まなくても、「フィナンシャル ジャパン」編集部にいると知識創造のプロセスが実感できる。
最初はゼロである。
「光ありき」? ではその光は木村剛がもたらしたものであろう。
で、「雑誌を作ろう」ということでお金を集める、人を集める、お膳立てを整える、たいへんな苦労の末に編集部を立ち上げて、キックオフした後から知識創造のプロセスはスタートする。
でもやっぱりゼロからのスタートだ。私はまず、「フィナンシャル ジャパン」のブランド・アイデンティティの議論を1カ月かけて行い全員で共有した。なぜなら、ブランドは読者へのプレゼンテーションがどのように受け入れられるかについての指針であり、読者にとって、広告主にとって、あるいは編集側自身にとっての「FJとはなにか」の問いに回答を与えるものであって、雑誌編集を通してのブランド作りこそ雑誌作りの肝ともいえるものだからである。
そこから、望ましいアイデンティティに沿った体裁を考え、企画を立案する。
しかしアイデアが浮かばないこともある。あるいは「こういう企画をやりたい」と思っても、どこにアプローチしたらよいのかわからない、どうすれば企画が実現するのかわからないケースもある。資源とナレッジが不足しているからである。
創刊準備号は、そうした過程の中で苦しみながら生み出されたものだ。ブランド・アイデンティティからは外れてはいないが、やはりどことなく物足りなさを感じられた方も少なくないだろう。
その後、準備の過程のリサーチでお目にかかった方や、外部の協力者からの情報がどんどん蓄積されてくる。FJを見て「おもしろい! こんな人を紹介してあげよう」といってくださる方のご紹介はほんとうにありがたい。
また、新しい編集部員を採用して、人脈や知恵が加わる。さらに部員が取材経験や編集経験を積むことで、新しい切り口を見つけたり、斬新なネタの出し方、よい企画の立案方法を発見する。ページデザインや写真の撮り方も、写真家やアートディレクターの指導によって上達してくる。
まさに「ナレッジとは蓄積されるもの」だと実感できる。続ければ続けるほど、新規の資源が獲得され、経験度数が上がり、その情報がミーティングやITによる情報共有で個人の知識に落とし込まれ、そこで再生産されたナレッジが誌面に反映されて、雑誌のクオリティが向上するという循環である。
では、そのサイクルの原動力となっているものはなんだろうか。
私は、「判断に困ったら、読者の立場になって考えろ」と言っている。「その次に、われわれを取り巻く環境やライバル誌のことを考えろ」。これ以外の判断要素はないかもしれない。
つまり、「FJを読む読者に最高のものを届けたい、読者に雑誌を見てもらって喜んで欲しい」という姿勢以外に、知識創造のサイクルを最大化する原動力はないということなのである。
それを忘れてしまったら、われわれの使命は失われたことになるし、ナレッジの進化が止まるので媒体が自然に競争力を失っていくだろう。
世にあるものは、すべてあるべくしてある。自然の摂理に逆らって、どのような主体も存立し得ないのは、かくなる原理のなせる技なのだと思う。
2004 11 16 [21. 週刊!岡本編集長] | 固定リンク
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