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2004.11.05

[ブロガー新聞] 新潟地震マスコミ批判騒動に見る「参加型ジャーナリズム」

 こんにちは。今回のブロガー新聞の一日編集長を務めることになった「ネットは新聞を殺すのかblog」です。
 今回のブロガー新聞のテーマは「参加型ジャーナリズム」。この原稿を書くに当たり1週間ほど前からいろいろ考えていたのですが、それを全部ボツ。急きょ「新潟地震マスコミ批判騒動」を取り上げることにしました。やっぱ、これをやるっきゃないでしょ。
 

 ことの顛末は「週刊!木村剛」の読者ならご存知と思いますが、簡単にあらすじを・・・。木村さんが、新潟越中地震の現場での取材記者の傍若無人ぶりを書いたブログにリンクを張り「これが真実だ」と書いたことについて、新聞記者である「ガ島通信」さんが「ちょっと待った」をかけたわけです。裏も取っていないのに真実だと断言していいのか、というのがその主な主張でした。これに対し木村さんは、公器であるマスコミでも間違った情報を載せるのだから、個人のブログに噛み付くことはないだろう、と反論したのです。まあお互い大人ですし、感情的にはなりつつも紳士的な議論で、「お手を拝借シャンシャン」となりました。
 ちょっと簡略化し過ぎというお叱りもあるかと思いますが、詳しくは該当エントリーを見ていただくということでご容赦ください。

▼「週刊!木村剛」はマスコミか?

 さてこの騒動の中で、今後のブログ議論のあり方、参加型ジャーナリズムのあり方に関する重要なテーマが幾つか浮かび上がってきました。1つは「週刊!木村剛」のような超人気ブログは事実上のマスコミになっているのではないのか、ということです。別の言い方をすれば、木村さんのような有名人は公人か私人か、有名ブログは公明正大である必要があるのか、正しい情報を伝える必要があるのか、といった問題です。
 このテーマに関してはいろいろな意見が出ています。
 ゆびとまさんは、「週刊!木村剛は、ブログの世界の中では、既に『マスメディア』として扱われているのかもなぁ、と思いました。マスメディアに代わるものとして、多くの人に期待されている」と書いています。確かにenter "ゴッゴル" sandmanさんの「木村さんみたいに、影響力がある人が、こういう話をとりあげてくれてうれしい」、こにのつぶやきさんの「マスコミの横暴ぶり(中略)を早速、「週刊!木村剛」でとりあげているのを見て、ちょっと嬉しかったです」といった意見は、「マスコミに取り上げられてうれしい」というような感じに似てなくもないです。
 これに対して木村さんは「皆さんに勘違いされているかもしれませんが、私は公人でも公務員でもありません」とはっきり明言されています。

▼ブログは事実関係に責任を持つべきか

 さらに木村さんは「公器であるはずの大マスコミですら(根拠となる事実関係が不明瞭な主張は)許されているのに、個人的な趣味で書いているブログで許されないとは考えられません」と主張しています。
 この意見に対しFireside Chatさんは、「ぼくは、『週刊!木村剛』をふくめ、ブログジャーナリズムは中立である必要はないし、大いに偏っていいと思っている。ネットの中で、右に偏り、左に偏り、上や下にも偏って、それらの言説に淘汰のメカニズムや読者の選択のメカニズムが働き、全体として社会的コンセンサスが形成されるのが、健全な『参加型ジャーナリズム』ではないだろうか」として木村さんの意見を支持されています。ぷろとたいぷさんは「『パワーブログだから発言を慎むべき』というスタンスはどうなのかと思う。木村さんのブログの面白いところは、木村さんという有名人がブログというチャネルを使って好き勝手に主観を述べていることだ。これが最大の価値であると言って良いと思う」と木村さんの意見を支持。my.Huruasto.orgさんは「木村剛さんは、有名人だけれど『公人』ではないはず」として、木村さんに「公正・無私」を期待してはならない、としています。
 マスコミであれブログであれ情報を鵜呑みにする方が悪いという意見(YUWSHI's Blogさん、としゆきは犯人じゃないさん)も見受けられました。
 一方下を向いて歩こうさんは、反対意見です。「インターネット界隈では木村氏の影響力は非常に大きいのです。(中略)ある意味マスコミと同じ力を持ってしまっているのです。そこに、ソースのあいまいなマスコミへの批判(ネット界隈の人が大好きなネタ)を載せてしまうのはマズイのでは?」としています。超有名ブロガーの切り込み隊長さんも「『プロであるマスコミが嘘を書いているから、趣味で書いてるブログが嘘であってもいいでしょ』というのは情報の(正確さによる)つながりを前提としたネット上のコミュニティのあり方を否定してしまう」と批判されています。
 このテーマの議論は今後も続きそうですね。

▼ダメマスコミの性根は直らないのか

 さて浮かび上がってきたもう1つのテーマとは、やはりマスコミ被害の問題です。災害現場での傍若無人ぶり、先に結論ありきの取材手法などの問題です。これはトラックバックテーマにも挙げたのですが、あまりにも批判意見が多くここでは紹介しきれません。木村さん本人も書かれてますし、「これが新潟県中越地震の真実だ」のトラックバック欄にも多く出てきます。興味のある方、特にマスコミ関係者はぜひそちらをご覧下さい。わたし自身は、マスコミの人間としてこうした批判を謙虚に受けとめるとともに、マスコミ被害を受けた方に対しお詫びしたいと思っています。
 ではどうすれば、こうした問題をなくすことができるのでしょう。わたしのブログにも「自分の業界の膿は自分で出せ」というお叱りのコメントが多数寄せられています。「倫理委員会のようなものを設置せよ」という提案もありました。実はマスコミは業界としても企業としても、マスコミ被害をなくすための組織や勉強会、シンポジウムといったものに継続的に取り組んでいます。それでも問題はなくならないのです。my.Hurusato.orgさんは、「マスコミの構造的な問題をマスコミという枠の中で解決するのは相当に困難なのではないか。これは官庁も銀行も企業も同じだろう。社会全体の中で何らかの解決が図れれば、それでいいはずだ。意欲的なマスコミの方たちにこそ、その点に気づいてもらえたらと思う」と書いています。

▼参加型ジャーナリズムに期待

 わたしは参加型ジャーナリズムがこうしたマスコミ被害のかなりの部分をなくすことができるのではないかと考えています。参加型ジャーナリズムとは、編集権をコミュニティーの中に分散させる新しい形のジャーナリズムです。何をニュースとみなすか、どのような取材マナーであるべきかなど、コミュニティーが決定するわけです。
 実は参加型ジャーナリズムの究極の形をわたしはまだ思い描けていません。今後の技術革新や一般市民の意識変化にともない、参加型ジャーナリズムはわれわれが想像もできないような形に発展するのだと思います。
 しかし最初の形としては、韓国の新聞社では当たり前になっている記者ブログや、3万人以上の市民記者を抱える韓国のオーマイニュースのようなものになるのだろうと思います。
 記者ブログ上で記者に対して直接コメントを書けて、しかもほかの読者までもがそのやりとりを読むことができればどうでしょうか。記者の取材の仕方や記事の書き方が大きく変わるのではないでしょうか。

▼日本における参加型ジャーナリズム

 日本ではライブドアが準備中のニュースサイトや、それにこの「週刊!木村剛」が参加型ジャーナリズムと呼べるものになりつつあるのではないかと思います。今回のマスコミ批判騒動でも、こにのつぶやきさんが「木村さんの記事が議論の呼び水になり、皆自分なりに考えた意見をトラックバックを通じて述べ合うというのは、とても有意義だと思いました。マスコミにより恣意的な意見の押しつけではない、多方面からの角度からの意見の交換は物事を立体的に見ることができて、一面的なものの見方、ステレオタイプな考え方の排除に役立ちます」と書いておられます。そうです。これこそが参加型ジャーナリズムだと思うわけです。晴れ、時々エッセイさんは「誰でもが自由に情報を発信でき、その情報は玉石混合であり、その取捨選択はブログを読む個人に委ねられているのです。議論は無駄ではないと思います。大いにするべきです。もちろん感情的にならずに。個人攻撃にならないように。ということは大原則だと思いますが」。ということで「週刊!木村剛」には今後もどんどん議論を巻き起こしていただきたいわけです。

▼まとめ

 以上が今週の「ブロガー新聞」でした。気をつけた点としては、情報の収集です。小林Scrap Book Heartlogicが書いておられる通り、情報の受け付け、解説、発信は木村さんが既に行っています。それを真似てもしかたがないので「ブロガー新聞」は情報の収集に努めました。「週刊!木村剛」、ガ島通信さん、それにわたし自身のブログに寄せられるトラックバックはもちろんのこと、単にリンクを張っているブログ、同じテーマのブログのエントリーなども探しました。使ったツールは、ライブドアの未来検索や、東京工業大学のblogwatcher、日本進出の準備を進めているテクノラティなどです。かなりの数のエントリーを読みましたが、トラックバックを読むだけとさほど変わらない結果になったことは否めません。残念。11月3日の休日をまるまる一日費やしたのに。トホホホ・・・。
 またしてもトラックバックでボコボコに非難されるんだろうな。「プロのくせに、なんだこのテイタラクは」とか・・・。あのー言っときますけど、今日はわたしの誕生日なんです。ですからお手柔らかにお願いします。お手柔らかに。

2004 11 05 [23. ブロガー新聞] | 固定リンク

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