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2005.03.29

[木村剛のコラム]ドント・インベスト・ジャパン?

 日本政府は、「インベスト・ジャパン」という標語を掲げ、外国から日本への対内投資残高を、平成18年末までの5年間で倍増させることを公約している。小泉首相も1月19日の施政方針演説において、「外国企業にとって日本を魅力ある市場にしてまいります」と表明していた。

 対日直接投資を促すため、74項目にのぼる「対日投資促進プログラム」を進めており、平成16年上期には、対日直接投資額が対外投資額を初めて上回った。
 政府は、ジェトロや各府省庁に総合窓口案内を設置し、一つの窓口で手続きができるようにするなど、『明確・簡潔・迅速』な行政手続の実現を図ろうと努力している。
 目玉とされていた政策は、国境を越えたM&Aを円滑にする「三角合併」の導入。ところが、フジテレビvsライブドアの煽りを受けて、それを盛り込んだ会社法案に異変が生じてしまった。
 「三角合併」の解禁を一年先送りしてしまったのだ。「三角合併」とは、外国企業が日本企業を合併する際に、日本国内に合併専用の100%子会社を設立させて、そこに親会社である外国企業株を譲渡し、十分な財産的裏付けを持たせた上で、その子会社を当該日本企業と合併させるという手法のことである。
 そもそも、この「三角合併」自体、『明確・簡潔・迅速』ではない。まさに『不明確で複雑で滞りがち』の手続きだ。もともと米国政府は、もっと簡便な外国株と日本株との直接の株式交換を求めていたが認められず、外国株に限って通常よりも手続きが煩雑でコストと手間が掛かる「三角合併」を義務付けることが合意された経緯がある。
 この「三角合併」を盛り込んだ会社法案は、企業の国際化に対応するため、商法の一部と有限会社法など現行会社法制を統合するもので、半世紀ぶりの大改正といってよい。3年の長きにわたる議論の結晶だ。それが、今回の3週間程度の騒動でひっくり返ってしまうのだから日本という国はおそろしい。
 もっとも、今回の会社法案は、その一方で敵対的買収策への対抗策も強化している。いわゆるポイズンピルを正式に認めたのだ。すでに産業用制御機器製造のニレコは、新株予約権を利用したポイズンピルを導入した。こうした例にならって多くの日本企業がこの一年以内にポイズンピルを採用するとみられている。
 今から断言しておこう。
 現在の異常なポイズンピル・フィーバーは、結局のところ、買収の危機を煽ってポイズンピルを売り歩く外資系業者の懐を暖かくして終わるだけだ。外資嫌いが外資を儲けさせている――この愚かな構図にそろそろ気付くべきなのではあるまいか。
 買収されるのが否なら、株価を上げるか、株主を説得するか、もしくは非上場にしてしまえばよい。サントリー、竹中工務店、ビックカメラなど非上場でも優良企業はいくらでもある。「上場は偉くて、非上場は偉くない」という短絡的な価値判断から脱皮すべきだ。
 施政方針演説において小泉首相は、「外国からの投資は、日本にとって脅威ではなく、技術や経営に新しい刺激を与え、雇用の拡大につながるものです」と正論を説いていた。この程度の常識すらわきまえない人々が口を揃えて、「小泉は経済音痴だ」などと批判している。本当に片腹痛い。

(追伸)「週刊!木村剛」は、総合ビジネス月刊誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は、「フジサンケイビジネスアイ」に3月21日に掲載したものです。

2005 03 29 [04. 経済政策を語ろう!] | 固定リンク

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