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2005.04.20
[フィナンシャルi] 鋼材価格上昇で中国にインフレ圧力
近年、ブラジルやオーストラリアなど鉄鉱石の有力産地で輸出が急増している。背景には、世界最大の鉄鉱石の消費国である中国で鉄鋼の生産が増加していることがある。
中国では、国内需要が盛り上がるなか、自動車や船舶を生産するための鋼板、オフィスビル・マンションを建設するための建材など、各種鋼材の生産活動が活発になっている。中国政府は、過熱気味の投資を抑制するための引き締め政策を強化しているが、その効果はこれまでのところ限定的なものにとどまっており、鋼材生産が減退する気配はみられない。
鋼材については、ある程度中国国内で生産できるが、原料となる鉄鉱石については供給能力が圧倒的に不足しており、海外からの調達に頼らざるを得ない状況だ。(第一生命経済研究所 主任エコノミスト 門倉 貴史)
中国の通関統計によると、2004年の鉄鉱石輸入額は前年比+161.5%と急伸した。鉄鉱石の輸入の6割をブラジルとオーストラリアに頼っているため、2004年はシェアの大きい両国から中国に向けた鉄鉱石の輸出が急伸したとみられる。
輸出が好調であるため、ブラジルやオーストラリアでは鉄鉱石の採掘・生産が大幅に拡大している。有力鉄鉱石メーカーの間では生産能力の増強を図る動きも出始めてきた。鉄鉱石メーカーが生産能力の増強を開始したことで、いずれは需要の超過が解消されることになろう。
もっとも、メーカー各社の投資が生産能力に転じるまでには数年の期間を要するため、鉄鉱石の需給が均衡してくるのは早くとも2007年以降になる。
鉄鉱石業界ではメーカーの寡占化が進んでいるため、国際市場で鉄鉱石の需給が逼迫した場合、供給側の価格交渉力が強まりやすい。実際、最近では需給の逼迫を背景として、メジャー3社とも各国の鉄鋼メーカーとの価格交渉でかなり強気の姿勢を示すようになった。
たとえば、ブラジルの大手鉄鉱石メーカーと日本の鉄鋼メーカーとの間で今年3月に妥結された2005年度の鉄鉱石・基準取引価格は、前年比+71.5%と過去最高の伸びを記録した。中国の鉄鋼メーカーとの交渉においてもほぼ同様の伸びで落ち着くもようである。
鉄鉱石価格の急騰による日中鉄鋼メーカーのコスト負担は大きく、鋼材への価格転嫁は避けられない。日中の鉄鋼メーカーは鉄鉱石の価格が71.5%引き上げられれば、鋼材価格は10%から20%程度値上がりするとしている。
産業連関表を使って、鋼材価格が値上がりした場合に日中の物価に最大限どれだけの上昇圧力が生じるかを試算すると、日本については、鋼材価格が20%上昇すると国内企業物価が+0.23%p押し上げられ、消費者物価が+0.10%p押し上げられる。
一方、中国については、鋼材価格20%の上昇で生産者物価が3.01%p押し上げられ、消費者物価には1.03%pの上昇圧力がかかる(図表)。
鋼材価格上昇がもたらす潜在的なインフレ圧力は日本よりも中国で強く現れる。これは、各種の経済活動における鋼材の投入割合が日本に比べて圧倒的に高いためだ。中国のインフレ率は、食料品価格の沈静化により足下で鈍化傾向にあるが、素材価格全般の上昇を受けて、今後は食料品の要因とは別にインフレ懸念が強まる可能性が高い。
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門倉貴史(かどくら たかし)
第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト
1971年神奈川県生まれ。95年慶應義塾大学経済学部卒業後、(株)浜銀総合研究所入社。
99年に日本経済研究センター、2000年にシンガポールの東南アジア研究所に出向。2002年4月より現職。マクロ経済、アジア経済などを担当。主な著書に「中国経済大予測」(日本経済新聞社、2004年)、「少年犯罪と地下経済」(PHP研究所)など。
(追伸)「週刊!木村剛」は、総合ビジネス月刊誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は、「フジサンケイビジネスアイ」に4月4日に掲載したものです。
2005 04 20 [14. フィナンシャルi ] | 固定リンク
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