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2005.04.05

[木村剛のコラム] 日本男児、外資恐るるべからず

 フランスを代表する世界第二位の小売業カルフールが、大手スーパーのイオンに日本国内の8店舗を売却するという。2000年12月に進出してから、たった4年しか経っていない。完敗と言ってよいだろう。
 苦しんでいるのは、何もカルフールだけではない。1990年代に次々と日本に上陸した有名外資系企業は意外に苦戦している。

 カルフール日本法人のロイック・デュボア元社長は「日本の消費者はレベルが高い」と嘆じたという。日本の国内マーケットには新製品がドンドン投入されているから、既存商品がすぐに古臭くなってしまう。カルフールは、体力に任せて低価格競争はできても、ブランドや品質にこだわる消費者ニーズに応えることはできなかったようだ。
 日本独特の商慣行や現地の収益レベルに耳を傾けることなく、「ノン、それはカルフール流ではない」と言い張って、外国本部のやり方を押し付ける例も目立ったと聞く。
 この手の話は、私自身、米国資本の下、日本拠点のマネジメントを2年間体験したから、皮膚感覚で分かる。日本に進出してくる有名な外資系企業は、自分たちのやり方に自信を持っている。それが日本に通用するはずと信じている。さらに言えば、本国並みに自分たちのブランドが知れ渡っていると勘違いしがちだ。
 だから、日本拠点のマネージャーが、会社のためを思って、「ボス、残念ながら、日本ではまだまだ有名じゃないんです」とか「ボス、そのやり方は日本には合いません」などと言おうものなら、翌月には左遷かクビが待っている。
 トップが本部からの派遣外人で、ナンバーツーが日本人という組み合わせは最悪のケースが少なくない。商売が成功すれば、トップの外人は「オレのマネジメントが良いからだ」と主張して賞与分配の大半をわがものとし、損を出したら、「ローカルの社員が問題だ」と言い張って、身代わりに日本人を切る。そういう例は枚挙に暇がない。
 しかも、外国資本が要求する利益水準は、日本資本の想像を遥かに超えて高い。ROEでみると、三〇%と三%くらいの違いがある。そして、その高いターゲットをクリアできなければ、当然のごとく、厳罰と粛清が待っている。
 じつは、真っ当な日本企業であれば、日本の国内マーケットにおいて外資に負けるはずがない。外資より日本を良く知っているし、外資ができない日本語を駆使できるし、ROEの低さを反映させて、外資より安い価格を提示できる―。どうしたら、外資に負けることができるのだろうか。
 それ故に、かつて私は、外資ではなく、日本資本を仰ぐことを選んだ。それが会社経営上有利だからだ。
 低いROEで満足していただける日本の株主というのは、日本企業が世界に誇れる希少資源。こんなに優しい株主に支えられていながら、外資ごときに負けるとすれば、それは経営者の能力が足りないからだ。
 稚拙な外資脅威論に耳を傾ける暇があったら、日本の株主に手をあわせて拝んで感謝しながら、日本のお客さまに標準を合わせた商品を開発し、外資をしたたかに蹴散らす秘策に思いを巡らせるべきなのである。

(追伸)「週刊!木村剛」は、総合ビジネス月刊誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は、「フジサンケイビジネスアイ」に4月4日に掲載したものです。

2005 04 05 [04. 経済政策を語ろう!] | 固定リンク

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