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2005.04.22

[ゴーログ]立花隆の外資陰謀論は本当に茶番ですね!

 皆さん、こんにちは。木村剛です。最近人気急上昇(?)の立花隆先生をやはり取り上げざるを得ませんね。というのも、立花先生のように世論に対して影響を持っている方が、歪んだ憶測に基づいてチャチな外資脅威論を振り回すのは害毒が大きいからです。4月20日のゴーログ「立花隆先生は一体どうしてしまったんでしょう?」でご紹介したように、立花先生は、投資平均収益の格差をあげて「外資による日本むしりとり」と指摘していらっしゃいます。再び、「ふぉーりん・あとにーの憂鬱」さんによる鋭い解説からみていきましょう。

仮に米国資本がリスクとの相関関係を見たとしても、国内資本をはるかに上回る収益を上げているとしたと仮定したとしても、そのことが「むしりとり」を意味するのでしょうか?・・・単純に考えても、投資された資金が国内で事業に用いられる限りは、国内の経済は潤うのではないでしょうか? 
素人考えでいえば、外資が14%で金を貸し付けたとしても、その金が日本国内で20%の付加価値を生み出すプロジェクトに投下されれば、6%のサヤ部分は国内に残るわけです。たとえ14%でトントンのプロジェクトだとしても、原材料の購入や雇用の創出で、やはり日本国内の経済には好ましい影響を与えるように思われます。
この場合、「むしりとり」というのは、いったい誰による、誰からの「むしりとり」を意味しているのでしょう?
非常にうがった見方をすれば、これは単に資本家による労働者からの搾取のテーゼとか、あるいは金融業は虚業に過ぎない(したがって、金融業が儲けるのは悪だ)といった類の議論の焼き直しに過ぎないようにも思われます。
本当の問題は、日本国内の資金供給がローリスク傾向に偏向していて、合理的なハイリスク(又はミドルリスク)マネーの供給がなされていないところにあるのではないでしょうか?
そうした歪んだ資金調達プロファイルを持つ経済においては、総体的にローリスクの投資機会の価値は割高になり、ハイリスクの投資機会の価値が割安になることがあったとしても不思議はありません。こうした市場の歪みを用いて、相対的に有利な投資を行う投資家(arbitrager)が現れることは、市場の機能からみれば、寧ろ望ましいことのはずです。

 まったくもっておっしゃるとおりですね。悲しいのは、立花隆ほどの大御所が「外資=悪者」という幼稚な善悪二元論に凝り固まって事実認識すらできなくなってしまい、「とにかく外資はヤクザと同じで悪いんだ」的な文章を書き散らかしていることです。「カトラー」さんも指摘していますが、「リーマン・ブラザーズにしてみれば、こうした低レベルの言いがかりに対してまともにつきあうかどうかは別にして、ヤクザ呼ばわりされる覚えは全くないだろう」というのは正論ですよ。立花隆先生には、「明日は明日のホラを吹く」さんの「外資脅威論がなぜ悪質かというと、ビビらせる必要のない人々をビビらせて人々を望む方向に不当に誘導するのに使われる論理だからである」というコメントをお送りしたいと思います。
 いずれにしても、「ふぉーりん・あとにーの憂鬱」さんが卓見なのは、「で、結局、何をしたいのか?」と題して、こう述べていらっしゃるところなんですね。

更に分からないのは、こうした方々というのは、結局、政策論として、何がしたいのでしょう? 立花氏は・・・「小泉改革がアメリカの利益を図るためとしか思えない方向性をもって推進されてきたからである」というのですが・・・では、具体的にどうすればよいのでしょう? 外資参入のハードルを高くしたり、高率の税金をかければよかったのでしょうか? ・・・その場合に日本に必要なハイリスク・マネー(あるいはミドル・リスクマネー)はどこから調達すればよかったのでしょう?

長銀の再生もSMBCの自己資本比率向上も、全て最終的には国民負担になり得る公的資金で賄うべきだったのでしょうか? 意地悪な言い方かも知れませんが、立花氏は最近の記事では堀江氏と闇金融とのつながりを盛んに指摘していますが、もしそれが本当だとすれば、アイディアを持つ若手起業家に対するリスクマネー供給のルートが著しく限られていることこそが、闇金融とのつながりをもたらしたということもあり得るように思われます。


昨年、シティグループが欧州の債券市場で相場操縦的な行為を計画的に行っていたことが暴露され、大変な騒ぎを呼びました。仮に「外資陰謀論」があるとすれば、それは、こうした具体的な行為について検討されるべきだと思います。現行の証取法上も証券会社による相場操縦的な空売りは禁止されています。その実効性の担保が必要というのであれば、それは具体的な政策論ですし、もっともな話だと思いますが、それは「むしりとり」ではなく、寧ろ国内の資本市場の不備の問題のはずです。リップルウッドによる長銀買収とMSCBを「"むしりとり"の構図」として一括するような「外資陰謀論」は、私には百害あって一利なしのように思えますが、いかがでしょう?

 いやぁ、うならされました。改めて申し上げます。本件は、立花隆先生の負け。「ふぉーりん・あとにーの憂鬱」さんの勝ちであります。

2005 04 22 [04. 経済政策を語ろう!] | 固定リンク

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