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2005.06.23

[週刊!岡本編集長] 『GMとともに』

 こんにちは、「組織は戦略に従う」と思っている岡本呻也です。
 アルフレッド・スローンが書いた『GMとともに』(ダイヤモンド社)を読みました。「史上最初にして最良の経営書」と呼ばれる本です。読後感としては、まったくそのとおりですね。
 ゼネラル・モーターズを世界最大の企業に育てた本人が、その過去のすべてを振り返って書いた実に素晴らしい本です。しかも、1954年に書き上げてから、関係者が全員死亡する1963年まで出版をしなかったというのだから、この偉大な経営者の気遣いは徹底しています。ご本人はその3年後に90歳でなくなりました。ハンパじゃないっす。

 本は大きく2つの部分に分かれています。
 第1部はGMがいかにして経営システムを洗練させていったかについて、経営者の視点から記述したもの。第2部は、自動車の技術的な進歩や販売制度、海外展開、国防への貢献、人事システムなどについて細かく振り返ったものです。私は第1部が強烈に面白かったです。

 GMは長らく世界最大の企業として君臨してきましたが、ここにきて急速に業績が悪化し、大規模なリストラを表明するに至りました。いまやこのさしものエキセレント・カンパニーも曲がり角にさしかかっています。
 「偉大な先達であったスローンの教えを忘れたからだ」などと賢しら顔に非難するのは、どこかの出来損ないの新聞の社説のような感じでよろしくないと思います。経営というのはほんとに難しいものだと私は思っていますので。ただ、この本の最終章から、若干の引用をするにとどめたいと思います。これはあらゆるビジネスマンにとっての教訓を含んでいると思いますから。
 以下に述べられているのは、スローンの経験に基づいた信念であり、彼がやったのは以下のようにGMをあらしめようとしたことです。つまりここに望ましい経営のすべてが書かれていると言っても過言ではないでしょう。
以下引用。

今日のGMがあるのは、優れた人材に恵まれているがゆえ、彼らが互いに力を合わせているがゆえである。彼らが参画した企業が、各人の活動をうまく結び付けたからである。活躍の場はすべての人々に開かれている。技術知識は、科学の発展に伴いすべての人に開かれた「倉庫」から流れでてくる。生産の手法も広く公開されている。機械類も誰でも手に入れられる。市場は世界全体に広がっている。企業が多くの人から知られ、尊敬を集める秘訣は、顧客の心をとらえることに尽きるだろう。(中略)

動きが鈍ければ、どれほど規模が大きくても、どれほど名声が高くても、市場から背を向けられる。1920年代のフォードがその典型だ。フォードはかつて大きな成功を手にしたが、その成功体験をもたらした事業方針に長く執着しすぎたのだ。(中略) そのGMも、ひとたび繁栄を築いた後に失速していたかもしれない。この業界にはこれまで、いやこれからも危険があふれていて、どこでつまずくかわからない。市場、製品ともにたゆまずに変化している状況では、変化への心構えができていなければ---それどころか私の意見では、変化に対応する具体的方法を持っていなければ---、どのような組織も叩き潰されてしまう。

自動車産業は、誕生から今日まで常に、顧客の志向変化をいかに先取りするかという課題に直面してきた。新製品を開発するには何年もかかるが、それでもやはり、需要が生まれた時には準備ができているようにしておくことが、メーカーの務めである。(中略) GMの目標は、単に『すべての所得層の、すべての目的にこたえること』ではなく、『すべての所得層の、すべての人の、すべての目的にこたえること』と言えると思う 

2005 06 23 [21. 週刊!岡本編集長] | 固定リンク

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