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2005.06.16
[週刊!岡本編集長] 「近頃、骨太の歴史小説がない」とお嘆きの諸兄に
皆さんこんにちは、日々平安な岡本呻也です。
久々に骨太の歴史小説を読んでみたいと思ったんですよ。でも、シバリョーなんかが定型をつくっちゃって、すでに有名になっている話だと面白くないじゃないですか。そこで新たに書いていただくことにしたんです。それが21日発売のFJ8月号から連載を開始する、「権力の回廊 徳川三百年を創った男たちの軌跡」。筆を執っていただくのは、岳宏一郎先生です。
今回の小説のテーマは、徳川三百年の治世を支えた男たちの、すさまじいまでの権力闘争に肉薄することによって、日本人の持つ権力観をえぐり出すことです。
第一回は、家康とともに今川家に人質となっていた徳川家中随一の切れ者、信長と家康の同盟に続いて、秀吉と家康の仲を取り持つことにも成功した徳川家の筆頭家老石川数正の生涯を、憎いほどうまい筆致で取り上げています。
構想としては、家光の時代までの徳川家を支えた本多正信・正純父子、酒井忠世などの三河武士の系譜をまず辿ります。その後、三河武士以外の俊英たちが幕府の権力に迫ろうとします。堀田正盛、新井白石などです。彼らは、将軍を支える幕閣という立場ではあったのですが、実質上権力をほしいままにした人たちです。
暴れん坊将軍のモデルになった徳川吉宗は自ら実権を持ちますが、その後は松平定信、田沼意次といった人たちが権力の中心にしゃしゃり出てきます。彼らはどのように権力を手にしたのか、また運命にもてあそばれて実権を失っていったのか、権力をめぐって踊った人間たちの骨太のドラマが展開します。
筆者の岳宏一郎先生は、関ヶ原の合戦をめぐる大名たちの生死を賭けた壮絶なドラマを圧倒的な迫力で描いて時代小説ファンをうならせた『群雲、関ヶ原へ』でデビューされました。
その後、黒田官兵衛の一代を描いた『軍師官兵衛』、利休の七哲を描いた連作『花鳥の乱』、本能寺の変を公家の視点から描くというチャレンジに見事に成功した『天正十年夏ノ記』といった、他の作家とは全く違う角度からの歴史への鋭い切り込みを見せる作品群で知られています。また人物の心理描写、群像描写には定評のあるところです。「権力の回廊」は、岳先生の得意技が生かせる題材だと思われますので、ご期待いただいて間違いないでしょう。
岳先生は今回の小説を準備するにあたって、多くの一次史料を渉猟されております。例えば第1回、「戦国猿 石川数正」では、小牧・長久手の戦いが和睦に至るまでの経緯を、新史料に基づいて書いています。綿密な史料の検討から、これまでにない人物観が打ち出されてくるかもしれません。わたし自身、この歴史小説の連載の今後の展開がたいへん楽しみです。
2005 06 16 [21. 週刊!岡本編集長] | 固定リンク
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