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2005.11.06

[フィナンシャル ジャパン] 『Remember YAMATO!』 戦艦大和の轍を踏んではならない

『Remember YAMATO!』 戦艦大和の轍を踏んではならない 
西川りゅうじん氏 (フィナンシャル ジャパン 11月号掲載)


「死ニ方用意!」
 戦後六〇年を締めくくる一二月一七日、全国東映系で公開予定の映画『男たちの大和/YAMATO』(監督・脚本/佐藤純彌、原作/辺見じゅん、出演/反町隆史、中村獅童、渡哲也、鈴木京香、仲代達矢、音楽/久石譲、主題歌/長渕剛)を、ぜひともご覧いただきたい。

 一九四一年一二月八日の太平洋戦争開戦の前日までに広島の呉にて公試運転を終了し、極秘に建造された世界最大最強の戦艦「大和」は、帝国海軍の象徴のみならず、すべての日本人の憧れであり誇りだった。しかし、既に戦争の趨勢は大艦巨砲を競う時代から戦闘機の性能と数が勝敗を決する時代へと変わっていた。
 敗色濃厚となった四五年四月六日、沖縄へ向かう水上特攻作戦の命を受ける。一機の護衛の戦闘機にも守られることなく片道分の燃料だけを積み出撃。翌日、米軍機の猛攻撃に遭い、東シナ海に沈没した。「死ニ方用意!」の掛け声の下、招集後間もない一〇代半ばから二〇代の若者が大半の約三〇〇〇人(艦隊全体では七〇〇〇人)の乗組員のほとんどが亡くなり、生存者はわずか二七〇余人だった。

大和の最期と二重写し
 どうしてそこまで馬鹿な事態に至ったのか?
 狂信的な精神主義の末路だったで片付けられるだろうか?
 否、戦後も日本人はまったく歴史から学んでいない。
 日本列島改造論による狂乱地価とその後の暴落を経験しながらも、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと持ち上げられて調子に乗り、地本主義にしがみついてバブルを生み崩壊させた。日本中の個人、法人、金融機関、自治体、国までが一丸となって集団自殺したようなものだ。そして、一〇年以上経った今もまだその傷による後遺症
から脱し切れていない。
 あるいはITの分野でも、デジタルの時代が来るのがわかっていて、当初はアメリカにデジタル技術でも負けていなかったのに、それまでアナログ技術で世界をリードしていたために、ハイビジョンをはじめ官民が国をあげて時代遅れのアナログ路線を突っ走り自滅した。
 昨今でも、アメリカ市場では「プリウス」など環境に優しいハイブリッド車でリードする日本車が一人勝ちだなどと悦に入っていたら、気が付けばベンツやBMWといったヨーロッパ車は、環境基準はもちろん馬力もトルクも加速も燃費も騒音も振動もガソリンエンジンの性能を凌駕するエンジンを、日本が捨てたディーゼルによって作り出していた。既にヨーロッパではディーゼル車しかないという状況になり、一気に世界の自動車市場の地図を塗り替えつつある。
 しかし、実はその「コモンレール」という新たなディーゼルの技術は日本の方が元々先んじていたのだ。
 私は、石原都知事が真っ黒なペットボトルを振り回して「ディーゼル車NO作戦」などと言って条例を作った時から、明らかにバランスを欠いていると自動車雑誌等で警鐘を鳴らしたが、今や後の祭りである。
 それらは戦艦大和の最期と二重写しになる。零戦という当時世界最高水準の戦闘機をもって真珠湾攻撃の奇襲に成功を収め、戦艦に代わる飛行機の時代の到来を熟知していたにもかかわらず、日露戦争でバルチック艦隊を打ち破った過去の栄光にしがみついて大艦巨砲主義を突き進み敗北した。
 アメリカが「リメンバー・パールハーバー」と言うならば、日本は「リメンバー・ヤマト」、もう二度と戦艦大和の轍を踏まないと心に刻むべきだ。


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[にしかわ・りゅうじん]マーケティングコンサルタント
1960年、神戸市生まれ。商業開発研究所レゾン所長。
本格焼酎マーケティング研究会座長として昨今の焼酎ブームを演出するなど、
官公庁や森ビルをはじめ、さまざまな企業への実践的コンサルには定評あり。
アッシー、ジモティ、コヤジなど流行語の造語でも知られる。


(追伸)「週刊!木村剛」は、金融経済月刊誌「フィナンシャル ジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は、「フィナンシャル ジャパン」11月号に掲載したものです。

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2005 11 06 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク

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