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2005.12.22
[ブログ小説] ニッポン・ウーマン 第一章 海の誘い (29)
ベッドを見る。まだ玲奈がシーツの中で身体を丸くしている。くっきりとシーツが玲奈の形に盛り上がっている。
時間はまだ午前七時だ。無理に玲奈を起こすことはないだろう。今日は、とくに予定もない。ゆっくりとホテルで過ごして、夕食をどこかで食べるだけだ。夕食の場所については雅行から連絡があるはずだ。彼は、ここから少し離れた場所にある東横インに泊まっている。
玲奈が「ナハテラスに泊まろう」と言った。日未子は、雅行と同じ東横インでいいじゃないかと思った。
断然、安いからだ。どうせホテルは寝るだけ…。「東横インの方が、ずっと安いわよ」。彼女は、ちょっと不満そうに「日未子は貧しいのね」と口元を歪めた。彼女の言い方が、悔しくて、「いいわ。ナハテラスにしましょう」と日未子は言った。玲奈は、「だから日未子が好きよ」。
結局、二人でツインルームを一泊約34,000円で借りる羽目になった。なのに、玲奈は寝るだけ…。
日未子は、彼女を起こさないようにそっとバスルームに入り、バスに湯を注ぎ始めた。
バスルームは広くゆったりしている。湯の音が、玲奈の眠りを妨げないようにドアを閉めた。パジャマを脱ぎ、用意された脱衣籠に丁寧にたたんで入れる。下着も脱いだ。
バスの縁に腰を下ろす。ひんやりとした感触が、裸の身体を僅かに緊張させる。柔らかな湯気が立ち上り、バスルームを満たし始める。手を湯に浸して温度を確かめる。丁度よい温度だ。そのまま湯をかき混ぜながら、バスに湯が満たされて行くのを眺めている。
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【著者】 江上 剛 (えがみ ごう)
昭和29年、兵庫県生まれ。早稲田大学政経学部卒。第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。広報部次長時代に対応した総会屋事件が、映画「呪縛・金融腐食列島」のモデルとなる。平成15年退行、作家専業に。主な著書に「非情銀行」 「起死回生」「腐蝕の王国(上・下)」など。
(追伸)この「ニッポン・ウーマン」は12月21日発売の「フィナンシャル ジャパン」に掲載されております。
2005 12 22 [16. 小説「ニッポン・ウーマン」] | 固定リンク
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