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2006.04.09

[フィナンシャル ジャパン] 広告ビジネスは変貌するか?

 「フィナンシャル ジャパン」4月号掲載 「体験的メディア論」

 「金融機関など、すでにさまざまな分野が自由化していますが、最後の砦はこの業界でしょう。現在の日本でもっとも国家から護られている最後の護送船団ではないでしょうか」――ある大手広告代理店の営業マンが囁いた。

 多くの産業で「中抜き」が始まっている。例えば、ユニクロが成功した理由の一つは問屋を介さず、自社の流通網を作り、商品を低価格化できたことだ。広告代理店業というのは、テレビ局や新聞社から媒体の時間やスペースを買ってクライアントに売る仲介ビジネスのことだが、製造業だけでなくいろんな業界の仲介業が「中抜き」されている時代に、いまだ大成功を収めている。
 しかも、大手広告代理店数社のシェアが大きい。わが国の総広告費五兆八五七一億円(平成一六年)の中で、電通、博報堂DY、アサツーディ・ケイの上位三社が四八・一%を占めている。大手三社は世界の広告代理店の売り上げ上位一〇社にも入っており、シェアはさらに増加傾向にある。
 公正取引委員会は、「広告業界の取引実態に関する調査報告書」という報告書に、この実態を取りまとめ、広告業界の取引慣行や有力な大手広告代理店に取引が集中している構造を明らかにしている。
 総広告費の中で約三分の一と最大の割合を占めるテレビ広告に関しては、大手広告代理店に受注が集まる主な理由として、「CM枠の独占」を指摘している。キー局の一九~二三時(プライムタイム)のテレビCM枠では、大手三社が合計八二・一%のシェアを占める。
 この「寡占」は、テレビ局の前身となる民放ラジオ局創設時から株主として支えてきたことから始まる。当時、日本電報通信社(現在の電通)は民放各社の株主となり、経営基盤が固まるまで役員派遣により事業計画・番組編成の指導、経営資金の援助を行ってきた。規制産業を育てるポジションを確保したことで、業界を仕切り、業界のルールを自ら作ってきた。もし、電通なかりせば、現在の広告ビジネスの活況もなかっただろう。
 五〇年以上の取引先のある大手広告代理店は、当然のことながら、他の中小広告代理店よりも手数料が高い。公正取引委員会の報告書によると、人気番組のCM枠は売れない枠との抱き合わせになることもあるという。
 そういう各種調査の中で、買い手の意識が低いということも指摘している。「他の広告主のCM料金を知っているか」という問いに、「知らない」と答えた企業は、なんと七二・五%。要するに、価格の比較もされていないというのだ。
 こうした実態をなぜ、この時期に、公正取引委員会が取り上げたのかについては、明らかになっていない。しかし、インターネットの普及もあり、広告ビジネスが今後大きく変貌する可能性があることは事実である。成り行きを注視していきたい。

(追伸)「週刊!木村剛」は、金融経済月刊誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は、「フィナンシャルジャパン」4月号に掲載したものです。

2006 04 09 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク

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