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2006.05.18
ニッポン・ウーマン 第三章 炎のゆらめき(119)
利洋と日未子のグラスに赤ワインが注がれた。目の前には鮑のグリエが置かれている。
「お好みでお醤油もお使いください。また別の美味しさが味わえると思います」
鴨田が説明した。鮑を盛った皿の隣に醤油を入れた小さな皿があった。
「醤油でフランス料理をいただくのも楽しいね」
利洋が言った。
「フランス料理って、バターっぽくって濃いというイメージがあるでしょう。ソースが決め手と言うくらいだから。それに比べてイタリア料理や日本料理は手間もかけているけれど、素材を生かしているのよね。それでフランス料理も刺激を受けて、素材を生かす料理が多くなったの」
「今回の料理も本当に素材が生きているね」
利洋は鮑を美味しそうに食べた。
「素材を生かすために、フランス料理にも醤油が使われるようになったそうよ。これはキッコーマンの方からの受け売りだけど…」
日未子は、少し照れくさそうに言った。
「キッコーマンは素晴しい、先見性のある会社だよ。数百年間も千葉県の野田というところで醤油を作り続け、それを世界に広げたわけだからね」
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【著者】 江上 剛 (えがみ ごう)
昭和29年、兵庫県生まれ。早稲田大学政経学部卒。第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。広報部次長時代に対応した総会屋事件が、映画「呪縛・金融腐食列島」のモデルとなる。平成15年退行、作家専業に。主な著書に「非情銀行」 「起死回生」「腐蝕の王国(上・下)」など。
2006 05 18 [16. 小説「ニッポン・ウーマン」] | 固定リンク
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