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2006.05.20

[フィナンシャル i] 2020年に家計貯蓄率ゼロ時代!? 

 家計貯蓄率が低いことが米国の経常収支の大幅赤字の原因となっており、国際的な不均衡の背景であることは、4月のG7でも指摘されている通りだ。

 これまで米国の家計貯蓄率が低い一方で日本の家計貯蓄率は高く、これが日米間の経常収支の不均衡の原因で日米の家計貯蓄率をどうやって是正するかという議論が続いてきた。
 ところが内閣府が発表している国民経済計算を見ると、2004年度の日本の家計貯蓄率は2.7%にまで低下しており、04年の米国の1.8%と大差はない。
 05年の家計調査でみると、世帯主が65歳以上で無職の世帯では貯蓄率はマイナス17.8%で、引退して年金生活をおくっている高齢者はかなりの貯蓄取崩を行っている。

 日本の高齢化率は05年には20%に達しており、長期的に続く日本の家計貯蓄率低下は、高齢化で貯蓄取り崩しを行う高齢者が増えたことの影響が大きい。
 もっとも00年以降の家計貯蓄率の急低下には、超低金利、失業率の上昇などの一時的な要因もあるので、デフレ脱却で金利上昇が見込まれるなど当面は家計貯蓄率が上昇する要素が多い。しかし日本の高齢化は今後も続き2050年には35.7%に達すると見られているので、一時的な上昇はあっても2020年頃には家計貯蓄率はほぼゼロになると予想される。
 よく知られているように、国内の企業、政府、家計の各部門の貯蓄と投資のバランスを合計すると、経常収支に一致する。
 同じように家計貯蓄率が大幅に低下しているにも関わらず、米国の経常収支が赤字で日本の経常収支がかなりの黒字を維持しているのは、日本の企業部門の貯蓄投資バランスが大幅な黒字となっているためである。
 これは日本企業が過剰債務問題の解消のために、債務の返済をおこなってきたからだ。日本経済はほぼデフレから脱却し、過剰債務問題も改善しており、今後は設備投資の積極化や、配当の増加などによって、企業の貯蓄投資バランスの黒字は縮小していくだろう。
 そうした中で財政赤字が続けば、将来日本の家計貯蓄率がゼロになると経常収支は赤字化するはずだ。

 家計貯蓄率がゼロに低下していくにしたがって、日本経済の姿はこれまでとは大きく変わっていくだろう。例えば、日本経済は輸出主導で経済成長が続いてきたが、外需はむしろ成長を抑制する方向に働く。経常収支がゼロになるまでは、日本の対外資産は増加を続けるので海外から受け取る財産所得も増加を続ける。このため経常収支の黒字のうちで利子、配当などの所得収支の黒字は増加を続け、貿易・サービス収支はかなり早い段階で赤字になるはずだ。
 1ドル360円の時代から続いてきた円高の流れもいずれは変わる可能性が高い。
 また、これまで財政赤字は国内の貯蓄で賄うことができたが、国内の貯蓄が減少していけば、海外からの資金に頼らなければ大量の国債発行は続けられなくなる。長期金利が上昇して利払い負担が増加するなど、財政赤字の問題も現在よりもさらに深刻化する恐れが大きい。
 家計貯蓄率低下の影響はこれまでは過剰債務削減の動きで隠されているが、今後は次第に顕在化してくるだろう。

(追伸)「週刊!木村剛」は、金融経済月刊誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は5月8日にフジサンケイビジネスアイに掲載されたものです。

2006 05 20 [14. フィナンシャルi ] | 固定リンク

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