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2006.05.23

[木村剛のコラム] 内部統制は「和魂米才」で!

 5月1日、新会社法が施行された。主な内容としては、有限会社制度の廃止、1円起業の制度化など色々と挙げられるわけだが、このところ話題になっているのは、取締役会において、内部統制の構築に関する基本方針を決定することが義務化されたことだろう。

 この「内部統制」という代物は、最近とみに評判の悪い米国資本主義が産み出したコンセプトである。80年代、米国企業において粉飾決算が多発したことを切っ掛けに産み出されたこの概念は、九二年九月に公表された「内部統制の包括的フレームワーク」として、とりあえずの結実をみた。その後、世界各国に普及し、内部統制に関するデファクト・スタンダードとなる。
 したがって、「内部統制」というコンセプトを臓腑に落とし込むためには、その発祥地である米国資本主義を理解しなければならない。そのためには、米国資本主義の根底に流れる「ルール」という考え方を学ばなければならない。その「ルール」という考え方を学ぶことこそ、「内部統制」の本質を理解することにつながる。
 しかし、それは意外に難しい作業である。米国資本主義と日本資本主義が大きく異なっているからだ。一言で言えば、「ルール文化」と「ムラの文化」の違いと言ってよい。だから、内部統制を機能させるためには、米国と日本の本質的な違いを見極めた上で、日本企業にあった形で導入しなければならない。
 実は、この重要な論点を明確に意識した上で書かれている書籍は極めて少ない。このため、数ヶ月後には、解説書の内容を鵜呑みにして、形式的に内部統制を導入した日本企業から、「こんなはずじゃなかった」という恨み節が続々と噴出するだろう。
 その昔、菅原道真は、「和魂漢才」を唱道した。その心は、日本人は日本に特有なる大和魂というものを根底としなければならないが、中国は歴史もあり、文化も開けており、孔子・孟子のような聖人賢者を輩出するくらいの国だから、政治・文学その他の分野において日本より一日の長がある。だからこそ、漢土の文物学問をも修得して才芸を養わなければならない、ということだった。
 その故事にならえば、日本人は、大和魂を根底としつつも、米国は資本主義経済に関しては歴史もあり、資本主義の文化も成熟しているから、日本より一日の長があるところもある。だからこそ、米国の資本主義を修得して経営能力を養い、日本独自の資本主義を形成しつつ、商いを発展させねばならない。つまり、「和魂米才」が必要なのだ。
 「内部統制」に関しても同じことが言える。「米国のままやればいい」と丸呑みするのではなく、「米国産だから嫌だ」と敬遠するのでもなく、日本独自の資本主義に一番合う形で消化していくべきだろう。
 会社法は、経済活動を行うすべてのプレーヤーが遵守しなければならない「ルール」である。良くも悪くも、日本の資本主義経済は、この「ルール」に基づいて運営される。最近、「ルールに違反しなければ何をやってもよい、という考え方が問題だ」という主張が蔓延しているが、それは単なる精神論であって、世の中の改善には役に立たない。そういう問題意識があるのならなおさら、「どのようにより良いルールを設定すればよいのか」という議論をなすべきだ。
 感情的な外資ハゲタカ論や無批判の米国賞賛論を排し、「和魂米才」の発想で、現実的な解を求めていかねばならないのではないか。

(追伸)「週刊!木村剛」は、金融経済月刊誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は5月22日にフジサンケイビジネスアイに掲載されたものです。

【読者の皆様へ】
6月10日(土)に講演会を開催します。

テーマ:「和魂米才の発想法」--米国流でも日本流でもない企業経営
会 場: 丸ビル8F コンファレンススクエア
詳細は
こちらでご覧ください。
こちらでお申込いただけます。

2006 05 23 [04. 経済政策を語ろう!] | 固定リンク

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引用: 米国資本主義と日本資本主義が大きく異なっているからだ。一言で言えば、「ルール文化」と「ムラの文化」の違いと言ってよい。だから、内部統制を機能させるためには、米国と日本の本質的な違いを見極めた上で、日本企業にあった形で導入しなければならない。 (... 続きを読む

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5月上旬まで文字通り死ヌ程忙しかったので、新会社法の事をすっかり忘れてた。重要なマイルストーンの要素を忘れるとはチトいただけないにゃぁ。 続きを読む

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