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2006.06.24

[フィナンシャル i] マンション購入 大きな節目

 2006年3月、日銀は5年半続いた量的緩和政策を解除し、本来の金利誘導による景気政策への転換を宣言した。(株式会社東京カンテイ 市場調査室長 中山 登志朗)

 当面はゼロ金利政策が維持されるが、長期金利は解除後早々に上昇が始まり、金融機関は住宅ローン金利を引き上げつつある。
 フラット35の平均金利も3.23%(5月末現在)まで上昇している。
 本稿はこのような金利先高状況を受け、団塊ジュニア世代(平均34歳)のマンション購入を想定し、年収600万円を基準とした場合に、住宅ローン金利の上昇が首都圏の購入可能エリアをどのように変化させるのかをシミュレートしたものである。
 なお、価格の2割を頭金として準備し、年間のローン返済額が年収の25%以内に収まる“健全な住宅購入”を前提として購入可能エリアを算出している。

 首都圏の新築マンションは、2001年から2005年までの全駅の平均価格が4,050万円である。現行の変動金利2.375%では年収600万円の場合、4,454万円以下の物件が年収の25%以内の返済で購入可能である。
 この条件による試算では、東京23区の外側地域であれば概ね新築マンションが購入可能となる。南西に延びる東急田園都市線や東急東横線では、都内と神奈川県の境である多摩川が、購入可能と困難の境を成している。 例えば、東急田園都市線の「二子玉川」(5,528万円)と「二子新地」(3,771万円)の間、東急東横線では「新丸子」(4,455万円)と「武蔵小杉」(4,403万円)の間に境界線がある。
 また埼玉県方面では分譲価格が安くなるため、「田端~上野」間でも購入可能となる。千葉県方面では、「両国」(4,117万円)、「森下」(4,235万円)、「木場」(3,980万円)に購入可能/困難の境界がある。
 金利が3.00%に上昇すると、購入可能額は4,059万円と約400万円低下する。金利負担分が増加し、相対的に真水部分である購入可能額が減少するためである。さらに金利が4.00%に上昇すると、購入可能額は3,529万円と現状から約1,000万円も低くなる。このように金利の上昇は購入可能額の低下に直結しており、購入可能エリアを市街地から遠方にするか、駅から離れた物件を探すか、専有面積のやや小さい物件を探すなど、購入条件の下方修正を余儀なくされる。
 ただし、金利2.375%→5.00%の上昇による沿線ごとの移動距離は、総武線32.0km、京王線31.5 kmに対して、小田急小田原線10.7 km、西武池袋線12.1 km、東武東上線12.8 kmと違いが明らかである。これは沿線ごとの価格水準や距離圏ごとの価格差が異なることに起因する。沿線平均では金利1%の上昇につき3.7km郊外方面に購入可能駅が遠のくこととなる。

 実際に金利が上昇すれば、マンション市場では駆け込み購入が増加し始める。まだ金利が低水準のうちに購入しようという考えが強まるからである。現行金利の適用がある完成在庫がここのところ急激に減少しているのもこの心理的要因によるものである。ただし金利がさらに上昇して5.00%を超えるような状況になれば、反対に購入を見送るケースが増加することが予測される。
 一方で、新築マンションに拘らなければ居住条件の選択肢は広がり、中古流通市場が広域で活性化する可能性もある。
 このように金利の上昇一つとっても購入条件は大きく変化する。地価上昇や消費税改定論議も含め、マンション購入は今大きな節目の時期を迎えていると言えるだろう。

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中山 登志朗(なかやま としあき)
株式会社東京カンテイ 市場調査室長 主任研究員。
不動産市況全般の調査・分析を担当。市況レポート“Kantei eye”編集長。
今回のコラムの詳細データはhttp://www.kantei.ne.jp/に掲載


(追伸)「週刊!木村剛」は、金融経済月刊誌「フィナンシャルジャパン」(年間購読はココ)および「フジサンケイビジネスアイ」(購読希望はココ)とメディア・コラボレーションしています。本日の記事は6月12日にフジサンケイビジネスアイに掲載されたものです。


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