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2006.10.28
[フィナンシャル ジャパン] 日本の男性は早死にするのか!?
「フィナンシャル ジャパン」11月号掲載
【FJメディカル 一世紀を生きる】 「沖縄クライシス」から見える日本の未来
世界でトップクラスの長寿国――。日本に与えられた「栄冠」は、もしかしたら過去のものになるかもしれない。
厚生労働省がこのほど発表した2005年の日本人の平均寿命は、男性が78.53歳、女性は85.49歳で前年よりそれぞれ0.11歳、0.01歳縮んだ。
男女ともに平均寿命が前年を下回ったのは1999年以来6年ぶり。女性は21年連続で「世界一の長寿」の地位を守ったものの、男性はアイスランドに次いだ前年の2位から4位に後退。香港、スイスに抜かれた。
「沖縄クライシス」から日本の未来が見える?
厚労省によれば、日本人の平均寿命が縮んだ理由は05年にインフルエンザが流行して高齢者の死亡が増えたことに加え、自殺の増加も影響したためという。ただ、同省は平均寿命が今後延びていく傾向は変わりないとする。
しかし本当に寿命は延びるのだろうか。日本人男性の生活習慣が、平均寿命に影響しているという想像は間違いではないだろう。
実は、「沖縄クライシス」という言葉がある。「長寿県」とされた沖縄で男性の平均寿命が急速に縮んだという事実に、専門家たちが衝撃を受けたことを指す。
02年発表の調査では、00年度に平均寿命が最も長い都道府県は男性が長野県で78.90歳、女性は沖縄県で86.01歳だった。長野は90年以来、沖縄は75年以来の1位。ところが沖縄の男性は95年度調査の4位から、00年度には26位へと順位が急落した。
なぜだろうか。沖縄といえば南国の温暖な気候と、健康的な郷土料理で知られ、これが長寿の秘訣とされてきた。ところが最近は違うらしい。
沖縄県がまとめた「健康おきなわ2010」の中間評価報告書によれば、県内では平均寿命の延びが鈍く、肥満や多量の飲酒によって、県民の健康状態が悪くなっているという。沖縄の30歳代以上の肥満度は、男女とも00年度から5年連続全国1位。その結果のためか、中高年男性で喉頭がん、食道がんの割合が全国平均より高い。また肝疾患の死亡率や飲酒運転による死亡事故の発生率も高くなっている。
特に男性は若くなるにつれて健康のあらゆる数値で順位を落とし、今後も改善の期待はもてないという(以上は「沖縄タイムス」06年7月26日社説を参照)。
沖縄では、南国ならではの陽気な「飲酒文化」に加え、アメリカが71年まで統治していたことで、欧米式の脂肪の多い食事が若い世代を中心に広がったようだ。食生活と運動不足が「沖縄クライシス」の背景となっていると言っても間違いではあるまい。
国レベルでの危機が生じる?
「沖縄クライシス」のように日本の平均寿命ランキングが世界の中で急低下するという可能性は否定できない。「日本人は健康だ」。こうした根拠のない慢心から、食生活に配慮が足りない点が私たちになかっただろうか。健康によいとされる日本食を中心にした食生活をしたのは、1947-49年に生まれた団塊の世代まで。60年代ごろから食生活は欧米式になり、スナック菓子やファーストフードが日本に広がった。
運動の面でも心配だ。厚労省が00年に10年計画で始めた「健康日本21」というプロジェクトがある。運動、喫煙、糖尿病など九分野の計70項目で達成目標をかかげた。04年に出た中間報告で把握できた53項目のうち、20項目で実績が悪化。特に運動関連の項目の数値が低く、30-60歳代の男性の3割が肥満との結果が出た。
内臓に脂肪が蓄積された肥満で、糖尿病などの生活習慣病を引き起こしやすくなった状態を表す「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群)という言葉がある。メディアに頻繁に登場するようになったが、日本に約2500万人いるとの推計もある。
沖縄女性の強さに日本の男は学ぶべきか
欧米式の食生活を続けた上に運動不足の重なった人が、今後、高齢化する。その流れが平均寿命に影響を与えることは間違いない。男性の平均寿命が急速に縮み、少子化はともかく、高齢化が防げたという笑えないジョークが未来の日本で流行るかもしれない。
長寿を享受できる方法はなんだろう。「沖縄クライシス」を尻目に、長寿日本一を誇る沖縄女性の強さに、秘密があるようだ。
一般に女性は男性よりも飲酒や喫煙の量が少ない。さらに沖縄料理は、①煮込みの肉料理が多く脂肪が取り除かれている ②豆類(特に豆腐)がよく使われ良質のタンパク質が豊富 ③野菜類や海藻類も多い④天然だしを使い塩分と砂糖の摂取が少ない――などの特長を持っている。
そして沖縄のおばあさんたちは、太平洋戦争では日本で唯一の地上戦が戦われた悲劇と米軍統治の厳しさをくぐり抜けた。健康な食生活と強い精神力が、長寿を享受できる理由となった。神様が沖縄のおばあさんたちにご褒美を与えたのだろう。
「女性」、特に沖縄の女性たちの元気さが、健康に自信の持てない日本の男性の指針になる。こうした時代がやってきたのかもしれない。
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