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2006.11.19
[フィナンシャル ジャパン] 内部統制と役員の責任
「フィナンシャル ジャパン」12月号掲載
【会社法がわかれば商売がわかる!】 (中央大学法科大学院教授 野村 修也)
2000年に判決が下された大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件は、内部統制の構築と役員の責任を考える上で極めて重要である。
この事件は、ニューヨーク支店の行員が、約11年間にわたり無断かつ簿外で行った米国財務省証券(T-Bond)の取引による巨額損失を隠蔽するために、顧客や大和銀行所有のT-Bondを無断かつ簿外で売却し、大和銀行に約11億ドルの損害を与えた事件である。
これに対し、大和銀行の株主が、この損害を防止できなかったのは内部統制システムの不備によるものだと主張して代表訴訟を提起したところ、裁判所は、内部監査の実施方法に問題があった点を捉えて内部統制システムの構築義務違反を認定し、内部監査の担当役員とニューヨーク支店長経験者である取締役に多額の損害賠償を命じた。
内部統制システム構築義務を問題とせず、単に取締役の監視義務違反のみで責任を追及しようとした場合には、大和銀行事件のように直接的な監視が期待できない場所で、しかも日ごろ取締役と接触のない従業員が引
き起こした不祥事については、取締役の責任を追及することが難しくなる。
それに対し、内部統制システム構築義務を問題とするならば、不祥事の未然防止や、早期発見・早期是正のシステムが構築されていなかった点に、責任の根拠を見いだすことが可能となるため、それだけ取締役の任務懈怠責任が追及しやすくなる。
この点で大切なのは、①取締役が適切な内部統制システムを構築していなかったという事実と、②構築された内部統制システムの中で、個々の取締役がそれを機能させるべき職務を怠ったという事実を、分けて議論することである。
①について裁判所は、どのような内部統制システムを構築するかは経営判断の問題だと判示しているが、全面的に経営者の裁量を許すのは不合理である。やはり、構築すべき最低レベルの内部統制を前提とした上で、それを超えてどこまで充実させるかという点に経営者の裁量が働くと考えるべきだろう。
②については、いわゆる「信頼の権利」が問題となる。大和銀行事件で裁判所は、大和銀行の内部統制システムの不備をもっぱら内部検査の手法の杜撰さに求めた。そのため、責任の主体は被告取締役のうち、ニューヨーク支店長経験者と検査部担当取締役に限定された。他方で裁判所は、頭取をはじめとするそのほかの取締役については、いわゆる信頼の権利の主張を認めている。
内部統制システムに組み込まれた取締役は、代表取締役の委任を受けて互いに職務を分担し合う形になる。この連係プレーが功を奏するためには、自らの職務に専念できる責任システムを構築することが必要である。
すなわち、各取締役には、疑念を差し挟むべき特段の事情がない限り、ほかの取締役を信頼する権利が認められなければならない。その意味で、内部統制システムを構築することは、取締役の役割の明確化を通じて、信頼の権利を主張しやすくするといった側面も持つわけである。
2006 11 19 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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ほんで、内部統制のスペシャリストであるところのこの人のところに超久しぶりにトラックバック!(お久しぶりです。間違ってたら突っ込んでくださいね。w)
さてと。
*
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米、過剰規制を見直し・企業改革法緩和へ
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20061201AT2M3002Q30112006.html
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