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2007.06.17

[フィナンシャル ジャパン] 景気ウォッチャー調査

『フィナンシャル ジャパン』 6月号掲載 ≪気になる指標の読み方≫

景気は熱過ぎず冷め過ぎず「人肌」が良い?
 “景気ウォッチャー調査”は、どのような経緯で誕生したのか?  個人が肌で感じる景気には、どのような特徴があるのか?  その実態は地方発の情報を重視し、一般の個人を調査対象とする点では世界にも類を見ない画期的な指標だった。

地方発の情報を重視せよ

 「景気ウォッチャー調査」とは、一般の経済統計では観測できない「街角景気」を指数化したものだ。タクシー運転手や商店主、飲食店の経営者、自動車ディーラーなど、街角景気を肌で感じることのできる人々を調査することで景気実感を把握し、景気動向の判断に役立てている。第一生命経済研究所の永濱利廣主任エコノミストは「先
進国には企業経営者を調査対象にした統計はあるが、一般の個人を対象にした経済統計はあまり聞かない。世界でも稀な指標だといえるだろう」と指摘する。
 この世界にも類を見ない指標が誕生したのは2000年のこと。1999年12月20日の日本経済新聞は、“画期的な景況調査――地域動向把握に国民参加”と題し、「『景気ウォッチャー調査』が2000年1月から始まる。経済企画庁が各地域のシンクタンクの協力を得て、地域の景気に関連深い動きを観察できる立場にある人々から『景気
ウォッチャー』を任命する。その生きた情報を活用、景気動向の迅速かつ的確な把握のための重要な補助材料にする。こうした国民参加型の景況把握システムは前例のない画期的なものである。~中略~来年2月半ばの1回目の公表が今から楽しみである」と報じている。新指標誕生への期待感の強さが伝わってくるようだ。
 同調査が、当時の経済企画庁(現内閣府)の長官だった作家の堺屋太一氏の肝いりで始まったのはよく知られるところ。しかし、われこそが発案者の一人であると名乗るのが、立命館アジア太平洋大学元教授の荒川宜三氏だ。その経緯について同氏は、「堺屋長官が大阪視察に訪れた際、関西のシンクタンクの代表者と懇談する機会があった。長官は『景気動向に関する情報はほとんどが東京発であり、地方発の情報は極めて限られている』という点に問題意識を持ち、さらに『経済統計は発表までに時間がかかりすぎるのが現状だ。これを打開するために何か良い案はないか?』との提案がなされた。後刻、私は経済企画庁に新指標の素案を送り、『景気早期把握検討委員会』がこれを正式に採用して新しい経済調査が誕生した。これが『景気ウォッチャー調査』だ」と語る。地方発の情報を重視する発想が、新指標誕生の契機となったことを物語る。

味わい深い「自由回答」

 景気ウォッチャーとして選ばれるのは、全国で2050人。実際の調査では、3カ月前と比べた景気の判断や2~3カ月後の予想を5段階で質問しており、5段階の判断にそれぞれ点数を与え、各回答区分の構成比をかけてDIを算出する。
 なお、全員が横ばいなら指数は50となる。つまり、指数が50以下なら景気の現状や見通しが悪く、指数が50以上ならそれが良いことになる。「同指数は鉱工業生産に先行する傾向が確認されており、速報性を備えた先行指標として非常に有用。一時的な特殊要因の影響を受けにくく、統計としての信頼性も高い」(永濱氏)。
 また判断項目に合わせて、その判断理由を詳細に調査しているのも特徴。判断理由の質問は「自由回答」という形式がとられ、景気判断理由集として地域ごとにまとめられている。この自由回答のコメントは、なかなかユニークだ。
 ちなみに2月調査では「昨年度より暖かいためアイスクリームは好調だが、それ以上に中華まんやおでんといった冬商材の落ち込みが大きく、トータルでは減少している(沖縄=コンビニ)」「卒業生の就職活動も終盤だが、中小零細企業は採用活動を継続しており、大学の就職部に未内定学生の紹介を求めている(近畿=学校[大])」「客の財布のひもは以前より緩くなっているが、良いもの、欲しいものとそうでないものへの反応が全く異なる(南関東=百貨店)」などの声が聞かれた。肌で感じる景況感には人によって温度差があり、現場の声ならではの臨場感がある。いっそのこと、これらの声を各地方の方言のままにすれば、さらに味わい深い経済指標になるのでは?

2007 06 17 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク

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