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2007.11.11

[フィナンシャル ジャパン] 珠江デルタが“熱い”

「フィナンシャル ジャパン」 11月号掲載
第2特集 昇る中国 中国が日本を超える日より

あまりにも急激な発展を遂げた中国は、「今後さらに成長できるのか」「発展により生じた、都市と地方の格差問題をどうするか」という課題に直面している。その解決策として期待されているのが、「汎珠江デルタ経済圏」構想だ。さらなる成長を牽引し、格差問題を解決するか

外資誘致策が成功

 中国南部を流れ、香港とマカオの間を抜けて南シナ海に注ぐ河・珠江。その肥沃な河口地帯「珠江デルタ」は、世界中から製造業が進出し、中国で最も富んだ地域として知られる。アジアの金融センターである香港に隣接していたこともあり、外資の進出は早かった。中国政府も改革・開放後から市場経済のモデル地域として発展を促
進してきた。アメリカでIT不況の風が吹いた2001年ごろ、シリコンバレーにあったハイテク工場が労働力と土地の安さを求めて、こぞって工場を中国に移転させた。IBMやデルコンピュータなど、IT関連の大企業が現地生
産を展開している。日本の松下電器産業や三菱電機、カシオ計算機なども進出している。
 とりわけ製造業が集まった背景には、“広東省式”委託加工方式がある。これは外資の製造業に土地、工場などを提供して委託加工という形でで製造するもの。合弁や独立資本で会社を設立するよりも手続きや税金の支払いが手軽という利点がある。中国国内での販売には制約があるが、輸出時の税制においても優遇を受けられる。
 一大「加工貿易」都市として成長した広東省。その省都である広州は、「中国のデトロイト」になろうとしている。フランスの自動車メーカーのプジョーが撤退したことにより自動車産業は一時低迷した。だが、日系自動車メーカーが参入したことにより、再び盛んになり始めている。プジョー撤退後の工場に入り、年間24万台の生産能力を持つ広州ホンダのほか、06年には広州トヨタ自動車が生産を開始。それに伴い、デンソーなど部品メーカーが参入している。日産自動車も東風汽車集団との合弁会社を設立している。
 広東省ではほかにも、1980年に経済特区に指定された深圳、珠海の成長が著しい。香港に近いという地理的優位性のある深圳には、製造業だけでなくサービス業、情報通信産業など多くの外資系企業が参入。珠海では、電子・電機関連や石油化学のほか物流、衣料品製造など、さまざまな企業が事業展開している。

GDP20%成長が20年
「東莞の奇跡」

 珠江デルタの中でも特に伸びているのが東莞市だ。深圳と広州の中間にあり、面積は神奈川県程度。人口は約1200万人で、2年前の約750万人から急速に膨れ上がっている。躍進が始まったのは、85年に「珠江デルタ経済開発区」に指定されてからだ。
 以前はライチの生産地としてられた東莞市。GDP(国内総生産)がここ20年、毎年20%ずつ上昇するなど、その成長ぶりは驚異的で、「東莞の奇跡」と呼ばれている。市人民政府の江凌副市長は「積極的にインフラ整備を行っ
たことと、人材を供給できたことが成功要因。これからの3年間も15%程度の伸びを維持できる」と自信を見せる。
 東莞市への産業集積が進んでいることを示す好例がパソコンだ。通常パソコンを作るには、液晶から半導体・電子部品、プラスチックなど、さまざまな種類の製造工程を経なければならない。そのため、本体完成までに国境をまたぐことは珍しくないが、ほとんどを市内で済ませることができ、本体の95%までを製造できる。
 携帯電話をはじめとしたIT産業、ハイテク産業の進出はめざましく、中国でシェア拡大を目指すフィンランドの携帯電話最大手ノキアが、10万人規模の工場を持っている。ほかにも台湾や日本の多くの企業が中国での製造拠点を東莞市に置いている。
 ただ、あまりに急激に発展したため、人口が急増し、エネルギーの供給が追いつかないなどの課題も抱えている。

9省2地区を1つの経済圏に

 中国の経済発展の推進力となった珠江デルタ。今後も中国にとって、非常に重要な存在であることは間違いない。それを裏付けるのが、「汎珠江デルタ経済圏」構想だ。これは香港、マカオと広東省という従来の珠江デルタを中心に、内陸部の四川省や雲南省、湖南省や江西省など8省をあわせ、合計9省2地区で1つの経済圏を完成させる構想だ。
 具体的には、税金引き下げなどの貿易障壁の撤廃、観光分野での協力、教育機関の交流を活発化させるという計画が進められている。
 また、省をまたぐ大規模なインフラ整備も行われている。高速道路や鉄道などを建設し、物流や人の移動がスムーズにできるようになる。経済圏内の主要都市を1時間で行き来できる高速鉄道のプロジェクトも計画されている。高速道路建設はすでに着工しており、香港から福建省、江西省、湖南省などを結ぶ工事が進んでいる。これにより、沿岸部に拠点を置く企業が内陸部への事業拡大をしやすくなる。このため、急激な発展で生じた地域格差の解決策としても期待されている。裕福な香港や広東省が、まだ富んでいるとはいえない貴州省などを経済的に引っ張っていくことができる。まさに、鄧小平が提唱した「先に豊かになれるものが豊かになり、貧しいものを引っ張る」という先富論の完全な実現が見えてくる。
 過去20年の発展で、「先に豊かになれるものが豊かになる」点はすでに達成した。だが、「貧しいものを引っ張る」という部分は未達成であり、それが深刻な格差問題となっている。汎珠江デルタ経済圏構想は、その解決の糸口として大きな期待を担う。
 たしかに環境問題やエネルギー不足など、成長という「光」に伴う「陰」も生じている。しかし、さらなる発展の牽引役にしたい政府の思惑と、世界規模での効率的な事業展開を実現し、中国市場での存在感を増したい海外企業のそれは一致している。珠江デルタの勢いは衰えることなく、今後も中国躍進の推進力となるだろう。


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071107mag01


ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「小沢代表 辞意撤回の先にあるもの」


民主党の小沢代表が辞任の意向を示した後に撤回、続投を表明。
「政策はどうでもいい。総選挙に追い込んで衆議院で過半数をとる」という、
これまでの民主党の戦略は国民にとってはマイナスになるものだった。
今回の事件でそれはどのように変わるのか。

http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134

http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/071107/071107mag_ozawa83.html

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