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2007.12.09
[フィナンシャル ジャパン] 復活かけた“攻め”の再編
苦悩続きの百貨店業界が動く
売り上げが減少し続ける百貨店業界がいま、経営統合ラッシュだ。
老舗百貨店がプライドを捨て、消費の呼び込みに躍起になっている。
“攻めの再編”が始まった。
10年連続売り上げが減少し続ける百貨店業界
大丸と松坂屋ホールディングスが9月、「J・フロントリテイリング」を設立した。阪急百貨店と阪神百貨店は10月に経営統合し、「エイチ・ツー・オーリテイリング」としてスタートした。来年4月には、三越と伊勢丹が持ち株会社「三越伊勢丹ホールディングス」を立ち上げる。百貨店業界では生き残りをかけた再編が進んでいる。
日本百貨店協会によると、全国の百貨店の売上高は2006年度で、ピークだった1991年度と比べて80%に落ちた。97年度からは10年連続で前年割れ。苦境に立たされている。
今年に入って数字は若干上向いてはいる。07年上半期(1─6月)の売上高は、前年同期に比べ0.6%増と10年ぶりにプラスに転じた。8月単月では、前年同月比1.4%増加している。だが、これは中元商戦の前倒しや猛暑という一時的な要因によるもの。明らかな好転の兆しとはまだいえない。
百貨店業界に詳しいジャーナリストの溝上幸伸氏は、相次ぐ再編を“攻めの再編”とみている。「売り上げが下がったから統合しているのではない。むしろチャンスととらえている」と分析する。中でも販売・管理システムで成功している伊勢丹と大丸は、統合を機にそれぞれの長所を活かせる場が拡大することになる。
「売れる商品」を売り場に伊勢丹が成功した理由
伊勢丹が成功している理由は商品の単品管理だ。百貨店では従来、商品をロット(製造時の最小製造数単位)で注文する。同じ商品でもサイズや色ごとに注文するわけではない。
だが、伊勢丹は売れ筋の「サイズ」「色」を限定して注文を出す方式に変えた。たとえばシャツだ。ほかの百貨店では、「100枚」などのロット単位で一括して注文するため、たとえ一部のサイズや色ばかり売れたとしても、100枚が全部なくならない限り、新たな注文は出せなかった。結果として、売り場や倉庫には、売れないサイズ・色の商品が残ることになる。
伊勢丹はそこを改善した。注文単位が小さくなるため、たしかに手間がかかる。しかし、売れ筋のサイズ・色の商品を効率よく出せるようになった。消費者がそのとき一番「買いたい」と思っている商品を売り場に供給できるこのシステム。当然、不良在庫を減らすこともできた。溝上氏は「伊勢丹は、このシステムに自信がついたので、三越で試したいと考えたのです」と語る。
現場管理で成功した大丸サービス力で売る高島屋
接客の効率化で成功したのが大丸だ。多くの百貨店では、社員が在庫管理などの裏方の仕事をし、アルバイトが販売を担当していた。大丸はこれを入れ替え、売り場を強化したのだ。社員が担当することで接客の質は上がった。また、たとえば接客に時間がかかる靴売り場で、希望のサイズを倉庫に取りにいく時間を考慮に入れて人員配置をするなどし、販売員が客と接する時間を増やした。同時に待ち時間を減らして顧客満足度を高めることに成功した。この方式は、統合する松坂屋にも導入される。松坂屋が持つ一等地、銀座の店舗を再開発することで、統合効果が期待できそうだ。
統合が相次ぐなか、わが道を行くのは高島屋だ。単独で売上高1兆円規模を誇る高島屋は、「ベテランの力」を活かして質を高め、サービス力で売る。「従業員個々人が持つ能力の高さが、ほかの百貨店にはないところ」と溝上氏は話す。
03年に西武百貨店とそごうの持ち株会社として設立された「ミレニアムリテイリング」は不採算店舗を閉鎖、スリム化が進んでいるところだ。
統合の成否を分けるもの
三越や松坂屋の老舗百貨店は景気が落ち込んだときもブランド力に甘んじて販売システムを強化しないままだった。しかし、腰が重かった老舗もようやく動き出した。百貨店業界は大きな変革の時期を迎えている。
インターネットショップの出現やスーパーが高級イメージを打ち出した店舗を展開するなど、従来、百貨店を利用していた客層にとっても、商品購入のチャンネルは多様化している。百貨店の敵は百貨店だけではない。
また、消費者の目も厳しくなっている。「目の肥えた消費者に買ってもらうには、販売力を強化しないと生き残れない」と溝上氏は言う。そんな時代だからこそ、統合を単に「商品入荷ルートの統合「コストの削減」に終わらせていてはいけない。百貨店の強みである「信用力」や「ブランド力」、「豊富な品ぞろえ」や「接客サービス」をさらに強化した上で、新しい商品や手法を取り入れる必要がある。それが実現できるかどうかが、経営統合の成否を分ける。
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