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2008.05.10

[フィナンシャル ジャパン] 消費者庁を設立する前に

フィナンシャル ジャパン6月号 伯楽諫言 木村 剛

 やること為すこと停滞気味の福田政権において、着実に進んでいる案件が一つだけある。

 それは、消費者庁構想だ。「消費者重視」は、福田内閣における数少ない目玉政策だといえる。
 3月27日に、首相の諮問機関である国民生活審議会が報告書を公表したのだが、熟読すると、なかなか興味深いことが書いてある。
 「消費者関連法における直罰規定の拡大や、法人に対する罰金の増額等を検討すべき」「現在課徴金制度が導入されていない消費者関連法について、新たに何らかの行政上の金銭的不利益処分制度の導入を図る」「既に課徴金制度が導入されている法律についても、その範囲の拡大等を検討することが適当」「親会社や支配株主に対する責任追及を可能とする方策について検討すべき」「積極的に解散命令を活用することや、再犯歴がある個人は会社設立に関与する資格を剥奪する制度を構築することも考えられる」。
 どうだろう。かなり強烈な文言の連続に驚かれるのではないか。
 その中でも、「経済法規としての是正措置ないし救済措置という法目的の実現を優先させる刑事手続きとは別個の法体系の下で、違法・不正行為を幅広く対象として被害者の救済の拡充を図ることが考えられる」という文章は極めて味わい深いものがある。
 わかりやすく言い換えれば、悪質商法で得た業者の違法収益を政府が没収して、被害者の救済に充てるということだ。悪徳商人の蔵から金銭を盗み出し、庶民に分け与えた鼠小僧の現代版である。
 そのこと自体は悪いことではない。悪質業者が存在していることは事実であり、それによる被害者が後を絶たないことも確かであるから、こうした法制度を構築することに意義はあるだろう。
 しかし、現実に運用するとなれば、解決すべき重要な点が一つある。それは、「悪質商法=違法行為」として認定される以上、対象となる消費者関連法の条文が、世の中の現実と商売の実際に適合している必要があるということだ。
 残念ながら、わが国の場合、現場を知らない素人が、机上の空論で立法し、きれいごとの解釈論で法を運用する結果として、消費者保護ではなく、消費者を排斥してしまったり、不必要なコスト高を招いてしまう例が無数にある。
 そういう実態を改善せずに、罰則や罰金の強化だけが先行すれば、現在の「コンプライアンス不況」をさらに深刻化させるだろう。
 じつは、足元を見ても、改正貸金業法、改正建築基準法、金融商品販売法に加えて、改正割賦販売法が実態無視の方向に流れつつある。「包括支払可能見込額」という文言が盛り込まれ、「調査義務」が課される方向だからだ。
 最悪の場合、改正貸金業法における総量規制のような悪影響を信販会社やクレジットカード会社に及ぼすことになる。消費者に対する与信はさらに絞り込まれることになるだろう。
 これに加えて、消費者庁の鉄槌が下されれば、経済活動は、窒息状態になる。中長期的に縮小する日本市場を見捨てて、海外に軸足を移す企業が続出しよう。
 経済評論家の三原淳雄氏は、「地獄への道は正義の小石で敷き詰められている」と説いていた。正に至言だ。福田政権は、懲りずに愚かな政策を繰り返すのか、それとも正気に戻ることができるのだろうか。ここは正念場である。

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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「胡錦濤主席来日と福田内閣」

5月6日、中国の胡錦濤国家主席が来日した。
農薬混入の冷凍ギョーザや東シナ海の天然ガス田の共同開発問題、
チベット問題など日中間には解決しなければならない様々な問題がある。
それに対して福田内閣は斬り込むことが出来るのか。注目のポイントを語る。


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2008 05 10 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク

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