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2008.05.10

[週刊!スモールビジネス] ペット保険の事業化に成功 

 2007年12月、アニコム損害保険は、金融庁より損害保険業免許を取得し、日本で初めてペット保険専門の保険会社が誕生した。
 大手保険会社はじめ、これまで参入しては撤退が続いたペット保険において、唯一といっていい成功事例となった。先人が失敗を続けるなか、なぜアニコムだけが成功したのか。そのヒミツを探った。

 そもそも人間の健康保険の実験

 アニコムインターナショナルの代表取締役を務める小森伸昭は東京海上出身。同僚から頭一つ抜ける優秀な人材だった。経済企画庁に出向し、白書の編纂に携わり、健康保険制度の分析
を行ったという経験を持つ。
 その時、病院同士でカルテを共有化し、過剰な診療や検査を減らすことができれば、健康保険制度をより改善できるのではないかと考えた。しかし、実証分析をしないと現実的な論理展開はできない。それなら人間同様に家族の一員となりつつあるペットで実験できるのではないかと考え、退社の道を選びペット保険を作った。
 「保険の制度設計自体は動物でも人間でもモノでも大きな差はありません」。小森は過去の失敗事例を参考にこだわり抜き、「お客さまに満足して継続いただける保険ができた」という。実際、創業から8年たった現在も、保険の制度設計自体に大幅な変更はないという。

 動物を家族として扱う

 完璧だと自負した保険の加入頭数が増えない苦しい日々もあったが、加入者が増えた要因は「動物をペットとしてではなく家族として扱ってきた」ことにあるという。「たとえば、契約書やコールセンターで『オスですか? メスですか?』と聞くのと『男の子ですか? 女の子ですか?』と聞くのでは温かみが違います」
 アニコムでは、動物はペットではなく家族という考えのもと、契約者とのコミュニケーションに改善を重ねてきた。
オフィスをネットで生中継する掲示板を開設しお客さまの質問や意見に一つひとつ答えるのもそのためだ。結果、信用が必須と言われる保険の販売において、地道に契約者の信頼を得てきた。それが、口コミとなり、加入頭数の増加につながった。
 「文言や伝え方の工夫は私よりよほど現場の社員が勉強して気をつかっています」。実際、ロールプレイングなど、社員同士が切磋琢磨する場を設けているという。

ロールプレイングが社員の力を高める

 創業8年、売り上げは連結でおよそ60億円。保険会社の免許も得て、アニコムは次のステージに入っている。信頼が不可欠な保険会社において、カリスマ性のある社長だけでは立ち回れなくなりつつある。
 「人材育成については、まだまだ勉強を始めたばかり。でも、これからは社員の力がますます大切になってくる」。そう言う小森社長のこだわりはロールプレイング。
 「ロールプレイングは発表会みたいなもの」。各チームで、業務についての寸劇を演じる。そのなかで、リスクの高いところや、お客さまに高い価値を提供できるところを明確化する。「業務フローを書くよりも的確に業務が見えます」。 信頼を高めていくため、組織としての成熟化も合わせて目指す。

 共済から保険へ

 とはいえ、アニコムは大きな課題の最中にある。これまでアニコムクラブの会員に向けて共済として提供していた「アニコムどうぶつ健康保障共済制度」(同社のグループ会社が運営を受託)が改正保険業法の影響で終了。2008年4月からアニコム損害保険として新たに補償を提供する。アニコムクラブとアニコム損保に連続性はなく、改めて加入者を募らなければならない。どれだけのお客さまが、改めて契約をしてくれるのか、アニコムの新たなステージに向けた信用力が試される。(文中敬称略)


中小企業を芯から元気にするマガジン 『BIZMO』 
 特集ーヒット商品の舞台裏より

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