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2008.07.06

[フィナンシャル ジャパン] 低PBR投資で勝つ

 [フィナンシャル ジャパン] 株式投資力 トレーニング講座

 株式投資は、武器の多い人が勝ちます。PBR(株価純資産倍率)という武器を自由に使いこなす人は、PBRを見ない人より、有利に戦いを進めることができます。なぜならば、日本株投資では、PBRの低い割安な株に投資したほうが、PBRが高い銘柄に投資するより高いリターンが得られる可能性が高いからです。

 道を歩いていたら、いきなり声をかけられました。「すいません。この1000円札、800円で買ってください」。1000円札が800円? そんなこと、あるわけないですね。でも、それと似たようなことが起こっています、日本の株式市場で。1株当たり純資産が1000円ある会社で、株価が800円だったりするのですから。日本株には、そんなのが、たくさんあります。現在、東証1部上場銘柄の約半数が、解散価値といわれるPBR(株価純資産倍率)1倍を割り込んだ異常事態です。
 PBRとは、株価を1株当たりの純資産で割った数字です。株価が800円で、1株当たりの純資産価値が1000円だったとすると、PBRは0.8倍(800円÷1000円)です。日本では、普通に利益を上げていて財務内容になんの問題もない銘柄が、PBR1倍を割れですよね。
 欧米の株式では、PBRは普通2~3倍です。つまり、1株当たり純資産額が1000円ならば、株価は2000~
3000円するってことですよ。なんだって、日本株ばかり、そんなに割安に放置されるのでしょう。私は、PBR1倍割れの割安株は買いの好機と見ています。ただし、投資企業を選ぶ際に気をつけなければならないことがあります。まず、今日のクイズを解いてください。

 A社とB社、どちらもPBR(株価純資産倍率)が0.5倍。ずばり、買うなら、どっち?

1


 会社の資産内容を図式化したものです。まず、A社を見てください。A社は総資産が1 兆円、自己資本が2000億円、負債が8000億円です。自己資本とは、返済義務のないお金のことです。これに対し、負債には将来の返済義務があります。銀行から借りたお金や、他人に一時的に立て替えてもらっているお金が負債です。自己資本の2000億円は俗に言う、解散価値です。A社の株式時価総額は1000億円です。A社株をすべて時価で買い取るならば1000億円必要ということです。つまり、解散価値の半分の金額で、会社が丸ごと買えることになります。
  
 割安株投資には、成長株投資とはちがった醍醐味があります。解散価値であるPBR1倍を割り込むところまで売り込まれた銘柄を買えば、いつか、割安さが見直されて株価はPBR1倍まで戻るかもしれません。たとえば、PBR0.5倍で投資して、株価がPBR1倍になったところで売れば、投資した金額は2倍になります。投資した企業の売り上げや利益が倍になって株価も倍になるのを目指す成長株投資とは異なる面白さがあります。
 ただし、PBR1倍割れ銘柄を買って、高いリターンを得るためには、一つ重要な条件があります。投資した企業が倒産しないことです……。解散価値を割り込むまで株価が売り込まれている銘柄には、倒産リスクが高くなっている銘柄も含まれています。上場企業とはいっても、本当に倒産してしまうこともありますから注意が必要です。
 倒産リスクの調査は、厳密にやれば、とても大変な作業になりますが、一つ簡単な目安もあります。自己資本比率を見ることです。自己資本比率とは、総資産に占める自己資本の比率のことです。A社は20%(2000億円÷1兆円)、B社は80%(8000億円÷1兆円)です。自己資本比率の高いB社は、自己資本比率の低いA社よ
りも倒産リスクが低いと推定されますので、ここで買うなら、B社を選んだほうが無難です。 企業は、借金が返済できなくなると倒産します。借金がほとんどなければ、つまり自己資本比率が高ければ、たとえ業績はさえなくても、倒産することはないわけです。同じPBRの低い銘柄だったら、自己資本比率の高い銘柄を選んだほうが無難なわけです。
 ただし、自己資本比率が20%のA社の倒産リスクが高いというわけでは決してありません。自己資本比率が2
0%でも財務内容に問題なく、黒字を計上している企業ならば、割安株投資として魅力的な投資対象です。でも、きちんと財務内容や業績動向を調べてから買うようにしましょう。そのような調査が自分ではできないという人は、あえて自己資本比率の低い銘柄を選ぶべきではありません。
 PBR0.5倍で投資したら、倒産しない銘柄であれば、「果報は寝て待て」。1年後か2年後か、はたまた5年後かもしれませんが、いつか割安さが見直されて、株価がPBR1倍まで上昇するかもしれません。5年なんて長すぎるなんて言わないでください。5年で株価が倍になればリターンは+100%ですから、年平均20%のリターンに
なります。他人のすすめる株を買って下がってしまったり、短期トレーディングで失敗して苦い思いをした人は、一度ぜひ、割安株の長期投資に挑戦してみてください。急がば回れ。


窪田 真之(くぼた・まさゆき)大和住銀投信投資顧問シニア・ファンド・マネー
ジャー。日本証券アナリスト協会の企業会計研究会委員。企業会計
基準委員会のセグメント情報等開示専門委員会専門委員。

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