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2008.07.05
[フィナンシャル ジャパン] インフレ時代の“負けない投資”
第7回資産運用サミット2008
北野 一 JPモルガン証券株式調査部 マネジングディレクター チーフストラテジスト
朝倉智也 モーニングスター社長 COO
木村 剛
暫定税率や日銀総裁人事など政治の迷走が目立つ中、景況感は悪化し、物価は上昇している。経済の専門家や企業トップによる講演などが行われた「第7回資産運用サミット2008」。「いま個人投資家が持つべき視点・取るべき行動」について考える機会となったようだ。詳細をレポートする(肩書きは当時)。
景況感が “ようやく”悪くなってきた
4月12日午後、東京・六本木のアカデミーヒルズ。約300人の個人投資家らが来場した「第7回資産運用サミット」の冒頭、フィナンシャル ジャパン発行人の木村剛が「日本経済と金融の行方」と題して講演した。
最近の景況感について「大企業を含めて“ようやく”悪くなってきた。だが中小企業の景況感は以前から良くなかった。年商1億円以下、従業員10人以下の小企業は深刻で、特に2007年の秋口から特に悪くなったと感じている経営者が多かったはず」と述べた。
サブプライムローン問題が表面化して以降、日本ではアメリカ経済を心配する声が高まっているが、「日本のほうが株価は下がっている。アメリカより自国の心配しなければいけない」と訴えた。
日米の対応のスピードに大きな差があることを問題視。アメリカは、シティグループのトップ更迭、中東マネーの受け入れ、FRBによる特融などが一気に行われた反面、「日本は90年代の不良債権処理を思わせる遅さ」と指摘。「福田政権はその原因を真摯に考えるべきだ」と警鐘を鳴らした。
日本の現状を憂れうべき証拠として、「欧米と日本の金融機関の貸出量が、サブプライム前と後でどれだけ変化したか」というデータを提示。07年1月と8月の各前年同月比を見ると、アメリカの法人貸し出しは1月より8月のほうが5.8ポイントも伸びて19・8%になっているし、EU(欧州連合)加盟国も同様に1.3ポイント伸びて14・5%に
なっている。一方の日本は、2.8ポイント下がって▲0.3%。前年よりも法人への貸し出しが減ったということだ。
その上で、こうした日本の現状を「行政不況」と断じた。例として、金融商品取引法の施行で金融商品の説明に何時間もかかるようになったことや、建築基準法の改悪で審査に時間がかかるようになり新規住宅着工件数が激減したことなどに言及した。
さらに、貸金業法の改悪でグレーゾーン金利が廃止され、商工ローンなどの貸金業者による貸出金額が、以前の半分である10兆円程度になるとの見通しを示した。「中小企業が借りている金額を1社500万円としても、200万社が影響を受ける計算だ。少なめに見積もって50万社が商工ローンから借りているとして、日本にある440万社からすると8社に1社は貸し渋りにあう。これで経済に影響がないわけがない」と訴えかけた。
こうした中で、資源価格のみならず、各種の物価指数も上昇していることに触れ、インフレに負けず、政府や年金だけを当てにしないためにも、投資の必要性があると述べて講演を締めくくった。
米国金利動向に注視――北野
予測より分散投資を――朝倉
「負けない投信の選び方」と題したパネルディスカッションには、投資信託の評価を行うモーニングスターの朝倉智也・社長COOと、JPモルガン証券株式調査部でチーフストラテジストを務める
北野一氏が登場した。司会はFJ発行人の木村が務めた。
北野氏はまず、日本の実体経済がかなり悪くなっているとした上で、日本の株式市場がアメリカの金利動向にリンクしていることを指摘。「FRBの金利引下げが打ち止めになれば日本の株も下げ止まるだろう」と述べた。その例として、06年にはアメリカの金利引き上げが一旦止まった、その10週前に日本の株価が当時のピークを
つけていることを挙げた。
朝倉氏は「常々、『マーケットを予測して買っては行けない』とお話ししている。サブプライムローン問題が起き、先進国とのリンクは低いと見られ、一時は上がり続けた中国などエマージング諸国の株価も、結局今では下がっている。この点、予想を外した専門家もたくさんいる。だからこそ分散投資が必要なのです」と自説を展開。分佐藤氏の方法として「違った値動きをする商品を複数買うこと。よくわからない商品に投資しないことです」と訴えた。
さらに、日本の金融資産が約1500兆円として、投信の残高は約75兆円に過ぎない。一方でアメリカは1200兆円もあるという事実を挙げ、「国内外、株式や債権などにバランスよく投資してくれる投信がもっと投資先になら
なければ」と話した。
投信選びのポイント
分散投資はつまらないが……
日米の投資について考え方の違いについて北野氏は、欧米の運用会社では、ファンドマネジャーの評価が過去8年の成績でボーナスが決まることもある一方、日本では四半期とか半年、1年での結果が求められるとし、「日本の投資家のほうが、予測が当たったか外れたかどうかに対する評価が厳しい」と述べた。理由として、海外の投資家は、投資先を最終的に決めるのが自分であるという意識があるからだと述べた。海外では、予測の当たり外れよりも、(予測が自分の考えに)刺激をもたらしたかどうか、論理に一貫性があったかどうかが重視されるという。
朝倉氏は、日本の個人投資家には、目的を持たずに投資している人が多いと述べ、「目的がないから、リスクを取る必要のない人が取りすぎていたり、逆にリスクをもっと取って投資していい人が、リスクを取らなすぎたりしている」と問題提起。「『半年で倍になる商品を教えてくれ』などと言われることがあるが、それは投資ではなく投機です」として、あくまで長期投資の必要性を強調した。
さらに朝倉氏は、投信選びのポイントとして、▽過去5年以上など長期にわたる運用実績▽トータルでかかるコスト(ノーロードでも信託報酬が高いものがある)▽運用会社の得意とする分野――などを見ることを提案。販売員から商品に関する説明を受けたあとで、「ところであなた(販売員)はこの投信を買ったのですか? と聞けばいい」とまとめた。
北野氏は豊富な経験からさまざまなエピソードも披露した上で、「分散投資はつまらないものです。隣で集中投資をしてたまたま高リターンを出している人がいても情をコントロールしてそれをうらやまず、“平凡な”利回りを出
すことです。年7%でも複利運用すれば10年で元金が倍になるのですから」と呼びかけた。
来場者の中には、メモを取っている人、真剣なまなざしで壇上を見つめる人も少なからずいて、経済の先行きが不透明な時代だからこそ、投資の指針が求められていることがうかがえた。
資産運用サミットではこのほか、保育所運営会社などを傘下に持つJPホールディングスの山口洋社長によるIRプレゼンテーション、木村剛との対談なども行われた。
2008 07 05 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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