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2008.07.19

[フィナンシャル ジャパン] 隔離さえすればよいのか?

フィナンシャル ジャパン8月号掲載 「伯楽諫言」 木村 剛

 5月18日付けの毎日新聞の「携帯電話:小中生の使用制限『法整備』で一致」という見出しの記事を読んで、正直ぶったまげた。小中学生が携帯電話を持つことを法律で規制するというのだ。教育再生懇談会という首相の諮問機関の意向だそうだが、危ないこと、この上ない。
 子どもに携帯電話を持たせないという個々人のスタンスは是認できるし、私自身、そういう考え方に近い。それぞれの親が決めればいいだけだ。ただ、その程度のことに、いちいち国が出しゃばるという発想には恐ろしさを感じる。
 さすがに反対意見もあったようで、教育再生懇談会の第一次報告では、「必要のない限り小中学生が携帯電話を持つことがないよう、保護者、学校はじめ関係者が協力する」という線で落ち着いたが、お上頼みが目立つ最近の風潮はいよいよ危険水域に入ってきた。「子どもを有害情報から守る」という意図は悪くないが、その処方箋として、携帯の保有を禁止するという発想は、子供じみている。残念ながら、世の中は、無害なモノばかりで構成されているわけではない。有害なモノに出合う確率は少なくない。だからこそ、有害なモノと無害なモノを峻別することのできる目利きや、有益なモノを探し出す嗅覚を、子どもに身に付けさせなければならないのだ。
 目利きや嗅覚は、無菌状態の温室に隔離することで育成されるものではない。有害なモノと直面して誘惑され、時に失敗し傷つきながら、自分で身に付けていくものだ。子どもたちに必要なことは、自力で有害なモノの誘惑と戦い、打ち克つという体験である。
 それなのに、「有害なモノから隔離すればいい」という誤解に基づいた正義が横行すると、健全な部分に様々な弊害が及ぼされる。改正貸金業法は、「高い借入金利から隔離すればいい」という誤った正義を振り回した結果、日本国中の資金の融通をストップさせた。「耐震偽装の危険から隔離すればいい」という短絡的な発想で作った改正建築基準法は、日本中の建設にブレーキを掛け、国内需要を一気に冷え込ませた。「投資に関するリスクから隔離すればいい」という教育的指導を潜ませた金融商品取引法は、金融機関の行動を制約し、資本の動きを鈍らせた。
 どんなに元気な経済であっても、資金の流れが滞り、需要がしぼんで、資本が動かなくなれば、ダメになる。規制だらけで自由がなくなれば、かつての社会主義国のように、当然、沈滞する―― 残念ながら、それが、いまの日本の姿だ。
 そういう認識のない政府は、さネットを取り締まろうとしている。しまいには、『消費者庁』という規制モンスターを出現させ、「企業=悪」というドグマに依拠して、経済統制を狙っている。一世紀遅れた社会主義者たちが「格差をなくせ!」と叫び、「消費者を悪い企業から隔離せよ!」と危険な実験を日本で行おうとしているのだ。本当にこのままでよいのだろうか。
 非常に残念なことではあるが、「社会主義は富める者を引きずりおろすが、自由主義は貧しき者を引き上げる。社会主義は企業を殺すが、自由主義は企業を特権や保護の足かせから救う。社会主義は資本を攻撃するが、自由主義は独占を攻撃するのである」と喝破したウィンストン・チャーチルのような政治家は、日本の永田町には
いないようである―― 嗚呼。

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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:米サブプライム処理のスピードは日本の10倍!?

アメリカの住宅公社のファニーメイとフレディマックが経営の危機に直面していると言うことで
アメリカの金融当局が救済に乗り出している。
これは問題の深刻さを正面から捉えた措置だが、当局の常識から言うと、
信じられないくらいの早さで、信じられないくらいの大きさの対策を打っている。

http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080716/080716mag_subprime.html

2008 07 19 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク

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