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2008.09.13

[フィナンシャル ジャパン] 「かわいそうだ論」の経済的結末

フィナンシャル ジャパン9月号 
伯楽諫言 木村剛

 悲しい予言をしなければならないようだ。古典的な経済破綻――『通貨の堕落』――に向かう道を、日本政府が選択したようにみえる。『通貨の堕落』とは、野放図な財政出動と大幅な金融緩和の結果としてもたらされる手ひ
どいインフレを意味する。
 これまでも、その兆候はみられたが、日本政府が「プライマリーバランスを2011年までに黒字化する」などと言い張ってきたので、先進国最大規模の財政赤字であっても、急速に膨張する危険性が高くとも、『通貨の堕落』への道はそれほど明確ではなかった。
 しかし、現在は違う。『通貨の堕落』へとつながる。古典的なバラマキ財政が始まったからだ。
 7月28日、福田内閣は、燃料価格の高騰で苦しむ漁業従事者に対する緊急支援を決定し、燃料価格上昇分の9割を補てんすることを決めた。補てん自体の額は80億円だが、無利子融資枠拡大200億円や積立金の免除6
5億円などを加えると、総額は745億円。決して少ない支出ではない。
 それにしても、対応が速かった。燃料費高騰の苦境を訴えて全国20万隻の漁船が休漁した7月15日から2週間も経たないうちの対策発動だ。テレビで大きく取り上げられたことが、内閣の危機感を煽ったのだろう。民主党が、バラマキ政策を公言して人気を博しているだけに、自民党も負けてはいられない。次の選挙で負ければ、政権交代もあり得るから、バラマキ本家本元の血が騒ぐ。
 とはいえ、このスピード対応は危うい。燃料高・食糧高に加えて、所得が上がらないというスタグフレーション的な苦境下なのに、一部の業種で苦しむ声が高まった瞬間に、その場しのぎ的な財政出動で対応してしまった。これから、同様の苦境の人々が増えてくるから、同様の要求が次々と出てくる。景況が悪化するにつれて、小出しに財政が出動し、ついには野放図な放漫財政に至るだろう。「漁師がかわいそうだと思わないのか」と批判されそうだ。誤解しないでもらいたいが、漁師の苦境に心を痛めているという点において、私は人後に落ちない。ただ、同様の意味で、ノンバンクから借りられなくなった零細企業はかわいそうだし、銀行からお金が出なくなった不動産業者もかわいそうだ。建築基準法の改悪で破綻した建設業者もかわいそうだし、風俗営業法の強化で商売があがったりの銀座のお店もかわいそうだ。
 いつの世でも、かわいそうな人々はごったがえしている。それらの人々をどのように救済するかを総合判断するのが政治の役割。そのためには、経済全体を鳥瞰的に捉えた上で、優れた調整案をひねり出す工夫が求められる。というのは、原資が無尽蔵にはないからだ。 ところが、福田政権の対応は、場当たり的な財政緩和。後期高齢者が怒ると保険料負担を軽減し、ネットカフェ難民がマスコミで話題になると公的融資を決定する。テレビのキャスターが「かわいそうだとは思わないのか!」とたんかを切ったら、さからえない。
 結果的にもたらされるものは、なし崩しの放漫財政とジャブジャブの金融だ。こうしたユルユル・ジャブジャブの政策はつかの間の安息をもたらしてくれるが、その後に訪れる結末は、古今東西、常に『通貨の堕落』であり、庶民の生活を困窮に陥れてきた。改造内閣を「財政再建内閣」と呼ぶ人もいるがそうならない公算は高い。

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緊急シンポジウム
「自民党総裁選を斬る ~空気読めない候補者は去れ~」

【概要】
竹中平蔵氏をはじめとするチーム・ポリシーウォッチによるシンポジウム。

【スピーカー】
■チーム・ポリシーウォッチ
 ●竹中 平蔵(慶應義塾大学教授 / 経済学博士 )
 ●加藤  寛(嘉悦大学学長 / 慶應義塾大学名誉教授/ 千葉商科大学名誉学長 / 経済学博士)
 ●松原 聡(東洋大学経済学部総合政策学科教授 / 経済学博士)
 ●冨山 和彦(株式会社経営共創基盤代表取締役CEO)
 ●木村  剛(株式会社フィナンシャル代表取締役社長&CEO) chick
 ●野村 修也(中央大学法科大学院教授 / 森・濱田松本法律事務所客員弁護士)
 ●岸  博幸(慶應義塾大学教授)
■特別ゲスト
 ●本間 正明(関西社会経済研究所所長 / 近畿大世界経済研究所所長)

【募集要項】
日 時:9月15日(月)16:30~18:00
受講料:無料

詳細はこちらから>>>
http://webcas.mori.co.jp/mail/u/l?p=mMl9jtAvUy8Z
お申込みはこちらから>>>
http://webcas.mori.co.jp/mail/u/l?p=4YsfLasuN5IZ

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