« [ゴーログ]麻生内閣:日本は封建国家なのか? | トップページ | [フィナンシャル ジャパン] 分散投資の黄金比率 »

2008.10.04

[フィナンシャル ジャパン] 日本が成長するためには、女性が頑張れる社会が必要だ

 [フィナンシャル ジャパン]九10月号掲載

 本誌2006年1月号から 7年4月号で連載し好評を博した小説『ニッポンウーマン』が文庫本になった。
 作者は数々の経済小説を発表し、高い評価を得ている江上剛氏だ。
 合併銀行で働く30歳を目前にした女性主人公の目を通して、彼はいったい何を表現しようとしたのか。

女性が頑張れる社会

 私は日本経済が今後も成長するためには、女性がもっと頑張れる社会にならないとダメだと思っています。2006年度の日本の労働力人口は約6700万人。そのうちの約42%、2800万人が女性です。私は取材で海外にもよく出かけますが、日本ほど女性が「ガラスの天井」で苦労している国はないと思う。米国だけじゃなくて、香港や上海のほうが、日本より、はるかに女性が伸び伸びと活躍できる場がある本は世界第2位の経済大国です。しかも、20年以上も前に、男女の雇用機会を均等にする目的で法律まで作ったのに本当にダメですよね。私も銀行の人事部で仕事をしていましたが、総合職で入行した女性社員が結婚を機に辞めてしまうとか、社内で置かれている自分の立場が中途半端だから、銀行を辞めて海外に留学し、日本に帰ってくると外資系の会社で偉くなってしまったとか(笑)、そんなケースをよく見てきました。日本企業は女性の能力を生かし切れていないのです。

30歳は人生の分かれ道 

いろいろ取材してみると、女性にとって30歳という年齢が一つの区切りになっていることが分かりました。30歳になるまでに結婚をしようとか、そういう機会がなかったら、そのまま仕事を続けようとか、多くの女性にとって、人生の分かれ道になっていた。だから、29歳の女性という主人公の目線から、仕事のこと、普段の生活のこと、周りにいる男たちのことを切り取ってみたら面白いんじゃないかと思ったんです。
 男の社会は結構内向きで、自分の見栄とか、名誉とか、派閥とか、立場とかで、物事を決めていくところがある。むしろ女性のほうが、もっと「グローバル」な視点で物事を見ているように思います。こうした内向きな社会の典型ってどこだろうと思ったときに、合併した銀行のことが頭に浮かびました。お客さまのことなんか、どこかに行ってしまって、どちらの銀行出身者が生き残るのかという闘争に明け暮れている。こうした日本の会社や社会のどうしようもなさが、女性の目を通して描くと、クリアに表現できるんじゃないかと思いました。
 この作品は女性目線で書かれているので、私の作品を読みなれている読者は、ちょっとビックリするかもしれませんね。各章のタイトルも、「風のささやき」とか、「水のやすらぎ」とか、エコロジーやロハスではありませんが、そういうことをイメージさせるようにしました。女性は男性よりもはるかにナチュラルな存在だという意識が私の中にあったからです。また、作品中に登場する飲食店などは、すべて実在しています。私の作品の読者層は30、40歳代
のサラリーマン男性が中心ですが、去年出した『失格社員』(新潮社)あたりから、ずいぶん女性の読者も増えてきました。主人公同様にキャリア・ウーマンとして活躍している女性には、ぜひ、この作品を読んだ後に、文中に登場したお店を探し出して、主人公のようにお酒を飲んだり、料理を食べたりしてほしいですね(笑)。

日本を元気にする作品を書きたい。

本当にありがたいことですが、今、いろんな出版社から、企画の話をいただいています。今年の3月に出した『我、弁明せず。』(PHP研究所)という三井財閥のトップになり、日本銀行総裁にもなった池田成彬の生涯を描いた作品が好評で、明治時代のある偉人をテーマに経済小説を書かないかという話をいただいています。
 しかし、今の日本社会や経済は活力がないですよね。だから、日本が元気になれるような作品が一番書きたいな。今後も多くの人たちに楽しんでもらえる作品をどんどん発表したいと思います。

2008 10 04 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15160/42677686

この記事へのトラックバック一覧です: [フィナンシャル ジャパン] 日本が成長するためには、女性が頑張れる社会が必要だ:

» 野党にはない答弁権 [ある女子大教授の つぶやき から]
野党の答弁権  臨時国会が始まり衆参両院で論戦が繰り広げられている。論戦とはそもそも、書類に記載されている文章を読み上げるものではなくて、相手の顔を真正面に見て言葉を戦わすものである。あるいは米国の大統領のように、隠されているカンニングペーパーを見ながらでも、国民に語りかけるように偽装することも大切である。大統領候補や副大統領候補の論戦でも書面を見てしゃべれば減点になる。  ... 続きを読む

受信 2008/10/04 9:01:08

» 【年金犯罪】「ヤクニン」は「インテリヤクザ」か [【ネットEYE】「もりもり」の「今」を読むブログ から]
昨日のニュースで、 「年金問題」は、また大きくとりあげられていました。 なんでも 続きを読む

受信 2008/10/04 11:09:00

» 笑えるけれど、笑えない!投票権印刷しちゃった!フライング! [くまさんの自立 から]
ああ、麻生太郎首相も新聞社、マスコミも罪作りだ。あんまり10月26日に衆院選投票日の予測をするものだから、影響されやすい埼玉県上尾市と本庄市の選挙管理委員会が投票所入場券を印刷してしまった。 なんと16万5000枚。ため息だ。  勇み足も勇み足だ。  気持はわかるけれど、軽率な判断だ。 ... 続きを読む

受信 2008/10/04 13:25:20

» 第171話 「金融安定化法(2)」 [世界のお金情報-プロの目で見た成功の鍵 から]
米国時間10月3日に無事、金融安定化法が下院で可決されました。しかし、「Buy 続きを読む

受信 2008/10/04 18:16:02