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2009.01.14

[ゴーログ] おフランスは雇用天国なのか?

 皆さん、こんにちは。木村剛です。昨日のゴーログにおいて、改めて、年越し派遣村に関する違和感を書き記しましたが、「la_causette」さんは、「派遣村が日比谷公園にテントを張ったことに政治性を感じ取ったことは正当ですが、それをネガティブにみることは妥当ではないでしょう」と弁護しています。

そこに集まった意図が年末年始を過ごすというだけが問題ならばテントは水元公園に張っても良かったのでしょうが、企業が派遣労働者を簡単に切り捨て政府もこれを見捨てる政策に変更を迫るためには水元公園では不十分であって、マスメディアの目に触れやすい地を選ぶ必要があったわけです。それは、そこに集まった500人のためだけでなく、その背景にいる数万人、数十万人の失業者並びに非正規雇用労働者のための選択だったと思われます。・・・2006年のCPE反乱は「都心の公園にテントを張って年末年始を過ごす」なんておとなしいものではありませんでしたがフランス市民の多くはこれに賛意を示し、これにより反乱者の欲する政策がある程度実現したわけです。「都心の公園にテントを張って年末年始を過ごす」程度のアピール活動もせずに、失業者に電車賃を与えて故郷に帰すことでお茶を濁したら、失業者や非正規雇用労働者の生活の困難ぶりが政治家たちに伝わらず、依然として、議員さんに多額の政治献金をしてくれる人にのみ奉仕する政策だけが行われることになってしまいます。

 人権派弁護士であることを標榜している「la_causette」さんは、表層的な現象を取り上げることに懸命で、雇用問題を経済のメカニズムとして解決するという視点をお持ちではないようです(これは、法学と経済学の根源的な違いでもあります)。アピールの重要性を私は否定しませんが、アピールするだけでソリューションを持っていなければ、雇用コストを誰かに転嫁するという「下策の中の下策」しか出てこないという現実にそろそろ気付いていただきたいと思います。
 ちなみに、ご指摘のあったフランスの事例については、「貞子ちゃんの連れ連れ日記」さんが、以下のようにシビアな事実を指摘してくれています。

フランスは世界一若年層の失業率が高い国ですが、そのフランスも今は教育には力を入れ始めているようです。・・・なんと今のフランスの公立の高校生は、今は夕方5時まで学校に缶詰めになって、授業を受けているそうです。・・・フランスも再び「強い国」を目指す方向へと衣替えし始めているようです。フランス駐在から帰ってきた人から聞いた話ですが、一昨年あたりの世界同時金融危機前でも、フランスの地方は、けっこう「むごい」状態だったようです。観光地ではないフランスの地方都市などのショッピングセンターは、ちょっとしたゴーストタウンになり始めて、女性トイレでも扉はすべて撤去されているようです。・・・そういうところの扉が全部はずされているということは、レイプなどの犯罪が頻発しているという証拠なのです。金融危機前でこうだったのです。金融危機後のおフランスはもっとむごいことになっているとは思います。あなたが憧れを抱いているヨーロッパ階級社会の筆頭「おフランス」の現状なんてものは、まぁ、こんなものなのです。

私の暮らす住宅街でも、比較的女性が働き安そうな企業の求人情報は、すべて無くなりましたが、コンビニやガソリンスタンドや宅配関連では、まだまだ求人はあります。実際に、最近は若い女性の宅配業者の人がぼちぼち現れ始めてきました。渋谷まで出かけたら、ほとんどのマクドナルドとコンビニが求人広告を沢山出しています。気位さえ捨てたら、まだまだ都会では仕事(就労機会)が沢山あるのです。・・・けれども、今後・・・霞が関による規制強化が進めば、日本国内の企業のアウトソーシングを急速に加速させて、日本国内のこういったコンビニやマックやガソリンスタンドや宅配などのドメスティックな仕事の雇用機会でさえも、生活困窮者の間では争奪戦が起きてしまうことになるでしょう。今の日本では、一人でも多くの日本人が、中国やインドなどの平均的な労働者と充分太刀打ちできるような実学中心の教育制度の再整備をしてゆくことが、急務なのですが、文部科学省の動きは鈍すぎるというかなんというか・・・・。今の文科省には動いてほしくないというか、なんというか・・・。

 まとめてみれば、「【ネットEYE】新『もりもり』の『今』を読むブログ」さんが正確に指摘しているように、「よく『ヨーロッパは労働者の権利が手厚く保護されてる』と言いますけど、それは『すでに職に就いている人』のことであって、若年層の失業率は、日本の何倍も高いんですよね。つまり、『雇用法制の強化』は、雇用の拡大につながらない、そういうことです…」という経済的事実に尽きるのです。
 雇用問題を本気で解決しようと思うのであれば、年越し派遣村のパフォーマンスに一喜一憂するのではなく、「時事を考える」さんが指摘しているように、「完全失業者は250万人もいるわけで、政局に利用せず事実を踏まえた冷静な対応が望まれます」というスタンスを堅持しなければなりません。ちなみに、「だんなの馬房」さんは、冷静にこう語っています。

年齢や体力的な問題で職に就くことが出来ない人、こういった方を支援すべきであって、「派遣村」のボランティアも一律で支援ではなく、まずは求職活動のバックアップをすべきでしょう。その上で、現行法のセーフティネットである生活保護が受けられるよう定住支援を行うのが筋だと・・・。・・・今の「派遣村」の活動はマスメディアの目に映る表面的なものにしか見えません。日比谷公園の500人ではなく、全国の250万人を即支援すべきですから。「派遣村」を「偽善」と断ずるのは、非人間的なことでしょうか。

 せめて、「カトラー」さんのように、厚生労働省の歪んだ政策に対する正しい認識をした上で、雇用政策のあり方を議論してもらいたいものです。そうでないと、無能な役所に対して、無駄な経済政策を無益に求める結果に陥ってしまいます。

こうした問題の前面に立つべき厚生労働省については、この10年間でやったことといえば、京都の誰も行かない辺鄙な場所に雇用保険料を流用して580億円もの巨額の費用をかけて「私の仕事館」なる醜悪なハコモノを建設し、毎年10億円の赤字を垂れ流していることぐらいだろう。呆れたことに、この「私の仕事館」を廃止することを「改革」と称して、舛添要一厚労大臣は、この無駄遣いの張本人たる「雇用・能力開発機構」を同じ厚労省所管の独立行政法人「高齢・障害者支援機構」に統合させ、焼け太りさせようとしている。かくして、貴重な時間と金がドブに捨てられ、そのつけが回って、「派遣切り」という形をとって社会的弱者の人々を襲っているのだ。

 今回の騒動で、マスコミの力によって、年越し派遣村に来た人たちを優先して生活保護の対象に認定することになりました。しかし、それだけで問題が解決すると勘違いするのは、あまりに無責任で無能力すぎます。
 年越し派遣村を賛美している方々は、以前より長い間、西新宿の公園でテント生活しているホームレスの人たちのことをどう考えているのでしょうか・・・。

2009 01 14 [04. 経済政策を語ろう!] | 固定リンク

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