[フィナンシャル ジャパン 11月号] 超経済外交のススメ
独立総合研究所 社長・兼・首席研究員 青山繁晴氏
北京オリンピックは、中国共産党と、その一党支配下にある中華人民共和国の力の誇示のために捧げられた。それは、もはや誰にも否定しがたい。
だが同時に、これは一種の総力戦外交だ。中国共産党がチベットやウイグルの叛乱をどんな無理をしてでも抑えきってオリンピックを今、開こうとしたのはなぜか。
中国は人件費が上がり、地区の共産党委員会による恣意的ルール変更も嫌われ、外資が逃げ出しつつある。オリンピックで、中国はやはり魅力的な投資対象だと強調する必要があった。そのためには、たとえば巨大な競技場を出現させ周辺の環境を外国人にも見栄えよくしようと、市民の住む家々を、あろうことか法的手続きも踏まずに打ち壊して更地にした。
隣国の日本をはじめ西側諸国の経済にとって最大の問題は、その総力戦外交が果たして中国経済の先行きにとって是か非か、そのリアルな一点にある。
北京オリンピックにこれから下る歴史的評価に、偽装五輪の汚名がつきまとうことは、避けがたい。
前述の北京の無理な「浄化」も、市民の権利を保護する民主主義の価値観からすれば、偽装であるが、中国はこれでもかこれでもかと分かりやすい偽装例をオリンピックの開催中、繰り出した。
日本では、開会式で、少女に口をパクパクする演技をさせ、別の少女が陰で歌う声を満場に響かせた「口パク事件」ばかりが報じられているが、欧米社会に長い影響を残すのは、それよりも体操競技での深刻な年齢詐称の疑惑だ。
体操競技では、未成熟な体型がむしろ有利とされるために、16歳未満は参加資格がない。ところが中国は、金メダルの何可欣選手をはじめ3人もの選手が14歳などの実年齢ではないかと欧米メディアに追及されている。欧米が勝手に疑うのではなく、中国共産党の機関紙・人民日報や国営通信社の新華社がオリンピック開催前の国内大会で報じていた年齢では、明らかに3人は16歳未満だ。
これに対し中国当局は、北京で開かれているオリンピックであるのに、なぜか少女たちのパスポートを示して、16歳以上だと強調した。中国は今後も否定を続けるだろうが、欧米社会にとって衝撃的なのは、これが子供の虐待につながりかねないという問題だ。
年齢詐称がもしも事実なら、子供に無理な練習をさせた上に、国家が子供に嘘をつかせ、さらには、あろうことか国家がパスポートを偽造したことになる。
欧米社会は産業革命の当時に、子供に無理な労働を強いて多くを死なせ、その反省から人権意識が育った。この疑惑は、中国は根源的に異質な世界だと、欧米の深層心理にまで届いて思わせる恐れが強い。これらを総じて言えば、北京オリンピックは仰々しいまでに「成功」を強調しながら、深い部分で大失敗であった。
オリンピックを機に、外資の投資意欲は衰えの道をたどり、産業資本が育っていない中国経済は主要なエンジンを失いかねない。
日本はこの中国経済の失速に備えるだけでは足りない。世界をぐるぐる回るカネ、資本を、日本に呼び込むチャンスと捉えて行動せねばならない。2016年に東京オリンピックを招致し、北京とは対照的に世界と普遍的な価値を共有するオリンピックを開いてみせることも、行動の一つになり得る。
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[あおやま・しげはる]1952年兵庫県生まれ。共同通信記者、三菱総研研究員を経て、独立総合研究所 社長・兼・首席研究員。原子力委員会(内閣
府)、総合資源エネルギー調査会(経産省)の各専門委員や海上保安庁・政策アドバイザーなどの公職、および近畿大学経済学部客員教授も務める。
さらに講演や作家活動のほか、テレビ朝日系「TVタックル」、フジTV系「報道2001」などの番組に出演。最新刊に『日中の興亡』(PHP)があり、『王
道の日本、覇道の中国』(PHP)も近日刊行。 独立総研ホームページ http://www.dokken.co.jp/、 個人ブログ http://shiaoyama.com/
2008 10 26 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン 11月号] 次の一手 マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏
上海市浦東(プドン)新区陸家嘴(ルージャーズィ)地区に、森ビルによって、建物本体の高さでは世界最高層(101階建/高さ492メートル)の垂直の複合都市「上海環球金融中心」(SWFC=Shang ha i World Financial Center )、通称「上海ヒルズ」が建てられ、8月30日、オープンした。
1997年に着工したが、アジア通貨危機のため工事は2度にわたって、合計4年あまり中断された。その後、「六本木ヒルズ」が開業した2003年に再開され、事業決定から14年、工事開始から11年の歳月経て、このたび
、完成を迎えた。
「環球(ホワンチュー)」とは、世界、国際を意味し、まさに今後、上海が世界経済の中心となることを高らかに宣言する、物理的・地理的・歴史的ランドマークである。
司馬遼太郎は『都市とは才能の市である』と喝破したが、記者会見で森ビルの森稔社長は、「ここは金融・情報・能力のグローバルマグネットです。上海を世界の金融センターにするハブとなってほしい」と述べた。
展望台に昇るべく、実際にこのビルのエレベーターに乗って100階のボタンを押してみたが、1970年の大阪万博開催前の日本で東京タワーの展望台に初めて上がる時の感動はどんなものだったのかとふと思った。2010年には上海でも万博が開催される。このビルの隣では、さらに高い「上海センター」(632メートル)が建設中だ。
ところが、国内外で中国バブル崩壊を懸念する声は大きい。北京五輪景気の終焉で上海総合株価指数は、0
7年10月のピークから1年足らずで6割も下落した。
国際金融センターとは言っても、株式や不動産への外国人の投資はいまだ制限されている。
経済成長率も07年は11・9%の2けた台を誇った。その後も、「中国などの新興国は、世界経済の減速とはデカップリングだ」などと言われたが、景気過熱に対する政府による金融引き締めに続き、サブプライムショック以降、鈍化傾向にある。しかし、それでも9%である。もしそれ以下に下がっても、ゼロ成長やマイナスには成り得ない。
金融危機の発震源であるニューヨークでも、01年9月12日の同時多発テロで崩れ落ちたワールドトレードセンターの跡地に「フリーダムタワー」(541メートル)が建設中だ。1929年の大恐慌の直後に完成した「エンパイアス
テートビル」はテナントが集まらず、“エンプティ(空から)ステートビル”と揶揄された。「六本木ヒルズ」も、完成時は不況の真っ只中で厳しいスタートだった。
「完成に至るまで私は一度もこのプロジェクトから撤退しようとは思わなかった。上海の人々のパワーを肌で感じ、国際金融都市としての将来性を感じていたからだ」という森社長の言葉は、中国の人々のハートをしっかりととらえたに違いない。
世界的投資家、ウォーレン・バフェット氏も活動を再開し、中国をはじめとするアジアの企業に目を向け始めた。世界同時恐慌に突入しそうな今こそ「リスクフォビア」(リスク恐怖症)に陥らず、未来に向けて踏み出す時だ。
2008 10 19 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン11月号掲載 会社法がわかれば商売がわかる!
【会社法がわかれば商売がわかる!】 中央大学法科大学院教授 野村 修也氏
自民党の総裁選挙に巷間の注目が集まっている。自民党の党則によれば、原則どおり総裁の「公選」が行われる場合には、地方予備選の方法は「ドント方式」と決められている。それに対し、総裁が任期中に欠けた場合で、しかも特に緊急を要するときは、党大会に代わる両院議員総会にて総裁を選ぶことができることになっている。
この場合には、地方予備選を実施するかどうか、また、仮に実施するとしても、その方法を「総取り方式」にするか「ドント方式」にするかは、地方組織の判断に委ねられる。今回は、両院議員総会での選出となるため、都道府県ごとの地方組織はその対応に苦慮している。
いうまでもなくドント方式とは、比例代表選挙の方法の一つで、各候補者の得票数を、1、2、3と順次整数で除してみて、商の数の多い順に当選を決めていく方法である。例えば有権者が支持政党に投票し4人の議員を当選させる場合に、A党、B党、C党がそれぞれ1200票、800票、500票を獲得したとしよう。この場合、A党は2で割ってもなおC党の得票数に勝ることになるため、A(÷1=1200)、B(÷1=800)、A(÷2=600)、C(÷1=500) の順に議席を獲得することになる。
こうした比例代表の方法は、取締役の選任に関し会社法上にも用意されている。会社法342条に定められた累積投票がそれである。累積投票の場合には、各株主は、選任すべき取締役の員数に自己の持株数を掛けた分だけ議決権を持ち、それを1人にまとめて投[票してもよいし、複数の候補者に分散して投票してもよいものとされる。持株数の多い株主はそれを2つに分けて投票したり、3つに分けて投票したりすることで、自らが支持する候補者を一人でも多く当選させようとするのに対し、持株数の少ない株主は意中の候補に集中的に投票することになるが、この行動が、ドント方式の割り算と同じ効果を持つことは言うまでもない。しかし、この累積投票という制度は定款によって排除できることから、採用している上場企業は皆無と言ってよい。つまり、わが国における取締役の選任方法は、いわゆる「総取り方式」なのであり、極端な場合、多数派と少数派の票差がたった1票であっても、多数派の推挙する候補だけが取締役になるわけである。
最近の株主総会では、アクティビスト・ファンドなどが、会社提案とは異なる取締役候補を複数提案してくるケースが見られるようになった。しかし「総取り方式」をとる以上、この種の反対候補の中からは、一名たりとも取締役は選ばれないことになる。
ここで注目されるのは、アメリカ法における取締役の選出方法だ。例えば、ニューヨーク州法614条(a)項では、累積投票が採用されない場合でも、株主は、会社側提案の候補者と反対提案の候補者全員の中から最も良いと思われる人物に投票し、得票数の多い順に当選するという方式が採用されている。近時若干の修正が施されたが、デラウェア州法216条(3)項や、カリフォルニア州法708(c )項も原則として同じ方法だ。最近では、日本エルエスアイカードのように、アメリカ型の採決方法を株主総会参考書類に明記して実施した会社も現れている。
はたして日本型の「総取り方式」は今後とも維持できるのかどうか。今後の展開に注目したい。
2008 10 18 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン掲載] FJ120景気指数
各月に決算を迎える企業から、基本的に売上高上位企業を10社選出。
全体の業種配分に配慮して調整し、計120社を選出した。
各社の各期連結決算の売上高、来期売上高予想、経常利益、来期経常利益予想の前年比を抽出。
各変化率を120等分して合計することで、売上高の多寡による影響を排除。
新たに決算を迎えた10社の数値を毎月更新。
速報性を重視し、当期の変化率を一致指数、予想変化率を先行指数として最新の企業景況感を読む。
当期利益が急落、来期利益予想が急上昇し、指数はパックリと口を開けるような形に交差した。ちなみにこの両者がこのパターンでかい離したのは2006年9月期までで、時計の針が逆回転し始めたようにも見える。果たしてこの逆転現象をプラスの予兆と捉えてよいのだろうか?
今期の減益要因として各社がほぼ口を揃えるのが、「世界的な景気減速」と「激しい価格競争」。さらに、たとえば三協・立山ホールディングスの場合、改正建築基準法の影響による住宅着工減少とアルミ価格の急騰というダブルパンチを食らった。
今、世間で3Kといえば、「貸金業法改正」「金融商品取引法」「建築基準法改正」だが、これはある意味で、ロクでもない政策が(政策当事者は良かれと思っているのかもしれないが)、人為的に景気の足を引っ張ったようなもの。「官製不況」といわれる由縁だ。企業としては、これらの悪影響は徐々に和らぐと思いたい気持ちは分かるが、しかし誰も確信を持ってそうは言い切れない。この利益指数の交差を景気回復の予兆と捉えるのは、なお時期尚早であろう。
2008 10 12 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
『フィナンシャル ジャパン』
投資戦略基本講座のお誘い 第5回経済理論で現実の経済を読む
「経済理論」マスター検定問題
Q1 ( )に当てはまる語句は何か。
お札の発行高は、日本銀行の財務諸表では( A )となります。
❶資産 ❷負債 ❸資本
Q2 ( )に当てはまる語句は何か。
経済原則で考えると、物価高になると金利は( B )しすい。
❶上昇 ❷下落
Q3 ( )に当てはまる語句は何か。
経済原則で考えると、物価高になると為替は( C )に動きやすい。
❶円高 ❷円安
回答と解説
Q1
❷負債
日本銀行券は、日銀の借用証書です。日本銀行にとって、お札を発行することは負債をすることになります。
Q2
❶上昇
物価高となると、早く資産を購入した方が有利になります。そのため、資金を借りて購入する人が増え、おカネ
を借りる費用である金利は上昇します。
Q3
❷円安
物価高が進むと、企業は海外から安い価格のものを輸入しようとします。多くの企業が輸入代金を手当てする
と、円安ドル高に働きます。物価安ということは通貨の価値が下がっているとも言えます。
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「経済事象に関する10原則」
金利
第1 原則 「景気がいい=高金利」 「景気が悪い=低金利」
第2 原則「おカネが少ない=高金利」 「おカネが多い=低金利」
株価
第1 原則「景気がいい=株高」 「景気が悪い=株安」
第2 原則「低金利=株高」 「高金利=株安」
物価
第1 原則「景気がいい=物価高」 「景気が悪い=物価安」
第2 原則「おカネが多い=物価高」 「おカネが少ない=物価安」
第3 原則「物価高=高金利」 「物価安=低金利」
為替
第1 原則「景気がいい=円高」 「景気が悪い=円安」
第3 原則「物価安=円高」 「物価高=円安」
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経済理論は役に立つのか
―― 株式投資で利益を上げるためには、経済理論は必要ですか?
株式は、経済環境の変化を受けて上下します。経済理論を知っていると、経済環境の変化を理解することができますので、株式投資にもメリットがあります。
株価は毎日動きますが、経済の状況は毎日変わるわけではありませんよね。経済環境の変化で毎日の株価の動きは説明できません。ですから、デイトレードのような短期の売買では経済理論は役に立ちません。しかし、中長期的には、株価は経済環境の変化の影響を受けて動いています。
―― どのような理論を知っておくとよいでしょうか。
右の表にまとめてある、「10の原則」を覚えておけば十分でしょう。細かい理論は必要ありません。「このような状態の時には、このように作用する」ということを理解しておけばよいのです。例えば、株価に関する第一原則
は「景気がいい=株高」「景気が悪い=株安」というものです。実際はどうなっているかを見てみましょう。下の図は、景気の状況を示す鉱工業生産指数と日経平均株価の推移を比較したものです。変化のタイミングや変動幅の違いはありますが、概ね同じ方向に動いていることが見て取れます。景気の良し悪しが株価の動きを予想す
る判断材料の一つとなるのがわかります。
―― では、この「10の原則」を覚えておけば、株価の動きが予想できますね。
必ずしも、予想できるとは限りません。下のグラフでも、鉱工業生産指数と株価の動きが全く同じではありませんね。
また、「10の原則」には矛盾することが含まれています。例えば、株価に関する第二原則は「低金利=株高」「高金利=株安」となっています。さらに、金利に関する第一原則は「景気がいい=高金利」「景気が悪い=低金利」です。この二つをあわせて考えると、「景気がいい=株安」「景気が悪い=株高」と考えてしまうことになりかねません。
その時その時によって、作用する「原則」が違ってきます。また、強く作用するものも、弱いものもあります。現実の経済はさまざまな状況の影響を受けて動きますので、いろいろな要素を加味しながら、総合的に判断することが大切です。経済理論がそのまま現実の経済にあてはまるわけではありませんが、基本的な原則を理解して
おくと、経済の流れが読みやすくなります。
金融危機と投資戦略
10/8の日経平均は前夜のNYダウの下落をうけて952円58銭安の9203円32銭となり、
下落率-9.34%と1986年のブラック・マンデー、1963年のスターリン暴落につぐ史上三番目の下げを記録した。
これは1929年の大恐慌以来、最悪の金融危機の到来なのか。個人投資家はどうすればよいのか。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/081009/081009mag_kiki.html
2008 10 11 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン 10月号 窪田真之の株式投資力トレーニング講座
第5回 分散投資の黄金比率
株3・債券7の比率で分散投資をすると、安定的に良好なリターンが得られることが、過去の経験からわかっています。この黄金比率は、将来も有効であると考えます。
株式投資において一番大切なことは、みんなが悲観的になって株が安くなった時に買い、みんなが楽観的になって株が高くなった時に売ることです。これって、言うのは簡単でも、実際にやるのはとても難しいことですね。
みんなが悲観的になった時ってどんな時でしょう? それは、まさに今ですよ、今! 買収価値から見て考えられないほど割安な株がゴロゴロしているのに、誰も株を買いたがらなくなっています。残念ながら、多くの投資家は、市場のムードに影響されやすいのです。ムードが暗いと株を売りたくなり、ムードが明るいと株を買いたくなります。しかし、それでは、結果的に安い時に売り、高い時に買うことになります。
ムードに左右されやすい人は、「いいタイミングで買っていいタイミングで売る」ことは、一切考えないようにしたほうがいいと思います。短期的な相場予測をすることなく、株3・債券7の黄金比率で、淡々と分散投資を続けていくことが、結果的にすぐれた運用成果を獲得することにつながります。
株式の銘柄選択に自信のない人は、無理に個別銘柄を選ぶ必要はありません。日経平均やTOPIX(東証株価指数)に連動するETF(指数連動型投資信託)に投資するだけで、割安な日本株への投資は完了です。
というわけで、今日は、分散投資の価値をしっかり理解しているかどうか、試すクイズです。今日は、2問出題です。正解を、①~③から選んでください。
Q1. 日経平均が3万8915円87銭の史上最高値をつけた1989年12月に、全財産の30%を日本株(日経平均)に、
70%を10年(固定利付)国債に投資してしまった人がいました。その人の財産は10年間放っておいたら、どうなってしまったでしょうか?
〈選択肢〉
①約20%増える
②約20%減る
③約50%減る
Q2.長期金利が0.5%まで低下した2003年5 月に、全財産の30%を日本株(日経平均)に、70%を10年国債に投資してしまった人がいました。その人の財産は、長期金利が2%まで上昇した2006年5月にはどうなってしまったでしょうか?
〈選択肢〉
①約25%増える
②約8%増える
③約8%減る
A. 正解は、両方とも①です。
まず、Q1について解説します。日経平均は1989年12月に史上最高値をつけた後、暴落しました。10年後には、半値以下になってしまいます。ただし、残り7割の長期債で大きなリターンが得られます。当時の10年金利は約5%で、10年間で50%のリターンが得られます。株の下落分を補って十分なリターンです。
次に、Q 2 を考えます。2003年5月に0.5%だった長期金利は、3年後には2%まで上昇します。金利上昇で国債は値下がりします。ただし、2003年5月の日経平均は約8000円でその3年後には約1万7000円に上昇しています。株の値上がりで、債券の下落を補って十分なリターンが得られます。
ところで、株と債券の間に、どうしてこのような見事なヘッジ(一方が下がる時、他方が上がることでリターンを安定させる効果)関係が成り立つのか、おわかりでしょうか。
①景気が拡大、物価が上昇する時→株上昇・金利上昇(債券価格が下落)、②景気が低迷、物価が下落するとき→株下落・金利下落(債券価格が上昇)という関係が、長期的に成立しているからです。日経平均が最高値をつけたのは1989年12月でしたが、90年9月に、長期金利は8・28%と、当時の最高値をつけました。そして、日経平均が直近の最安値(7607円88銭)をつけた2003年4月とほぼ同時期の03年5月に、長期金利は直近の最低水準である0.5%割れまで低下しました。その後、日本の景気回復につれ、株価上昇、金利上昇が続きまし
た。しかし、足元は、景況の悪化で株価が下落、金利も低下してきています。
さて、ここからが大切なところです。これから先、株価は上がるでしょうか、下がるでしょうか? 金利は上昇するでしょうか、下落するでしょうか?
私は、今後3年くらいを考えると、株価が上昇、金利も上昇すると予想しています。しかし、それはあくまでも予想にしかすぎません。将来、株価が上がるか下がるか、金利が上昇するか下落するか、一生懸命考えても、なかなか当たるものではありません。「株価が下がると嫌だから株は買わない」、「金利が上昇する前に長期国債を買ってしまうと損だから長期国債も買わない」と言っていたら、いつまでも何もしないまま銀行預金にお金を眠らせておくことになります。
相場予測はやめましょう。日本株3割、長期固定利付国債7割で、淡々と分散投資を続けましょう。景気拡大、金利上昇シナリオが実現すれば、日本株が大きく上昇するでしょう。景気低迷、物価下落シナリオが実現する場合は、長期国債が宝物になることでしょう。
いいタイミングで買っていいタイミングで売るなんて一切考えないで、株3・債券7の黄金比率で、淡々と分散投資を続けましょう。それが、結果的にすぐれた運用成果につながるはずです。
[くぼた・まさゆき]大和住銀投信投資顧問シニア・ファンド・マネージャー。日本証券アナリスト協会の企業会計研究会委員。企業会計基準委員会のセグメント情報等開示専門委員会専門委員。
2008 10 05 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン]九10月号掲載
本誌2006年1月号から 7年4月号で連載し好評を博した小説『ニッポンウーマン』が文庫本になった。
作者は数々の経済小説を発表し、高い評価を得ている江上剛氏だ。
合併銀行で働く30歳を目前にした女性主人公の目を通して、彼はいったい何を表現しようとしたのか。
女性が頑張れる社会
私は日本経済が今後も成長するためには、女性がもっと頑張れる社会にならないとダメだと思っています。2006年度の日本の労働力人口は約6700万人。そのうちの約42%、2800万人が女性です。私は取材で海外にもよく出かけますが、日本ほど女性が「ガラスの天井」で苦労している国はないと思う。米国だけじゃなくて、香港や上海のほうが、日本より、はるかに女性が伸び伸びと活躍できる場がある本は世界第2位の経済大国です。しかも、20年以上も前に、男女の雇用機会を均等にする目的で法律まで作ったのに本当にダメですよね。私も銀行の人事部で仕事をしていましたが、総合職で入行した女性社員が結婚を機に辞めてしまうとか、社内で置かれている自分の立場が中途半端だから、銀行を辞めて海外に留学し、日本に帰ってくると外資系の会社で偉くなってしまったとか(笑)、そんなケースをよく見てきました。日本企業は女性の能力を生かし切れていないのです。
30歳は人生の分かれ道
いろいろ取材してみると、女性にとって30歳という年齢が一つの区切りになっていることが分かりました。30歳になるまでに結婚をしようとか、そういう機会がなかったら、そのまま仕事を続けようとか、多くの女性にとって、人生の分かれ道になっていた。だから、29歳の女性という主人公の目線から、仕事のこと、普段の生活のこと、周りにいる男たちのことを切り取ってみたら面白いんじゃないかと思ったんです。
男の社会は結構内向きで、自分の見栄とか、名誉とか、派閥とか、立場とかで、物事を決めていくところがある。むしろ女性のほうが、もっと「グローバル」な視点で物事を見ているように思います。こうした内向きな社会の典型ってどこだろうと思ったときに、合併した銀行のことが頭に浮かびました。お客さまのことなんか、どこかに行ってしまって、どちらの銀行出身者が生き残るのかという闘争に明け暮れている。こうした日本の会社や社会のどうしようもなさが、女性の目を通して描くと、クリアに表現できるんじゃないかと思いました。
この作品は女性目線で書かれているので、私の作品を読みなれている読者は、ちょっとビックリするかもしれませんね。各章のタイトルも、「風のささやき」とか、「水のやすらぎ」とか、エコロジーやロハスではありませんが、そういうことをイメージさせるようにしました。女性は男性よりもはるかにナチュラルな存在だという意識が私の中にあったからです。また、作品中に登場する飲食店などは、すべて実在しています。私の作品の読者層は30、40歳代
のサラリーマン男性が中心ですが、去年出した『失格社員』(新潮社)あたりから、ずいぶん女性の読者も増えてきました。主人公同様にキャリア・ウーマンとして活躍している女性には、ぜひ、この作品を読んだ後に、文中に登場したお店を探し出して、主人公のようにお酒を飲んだり、料理を食べたりしてほしいですね(笑)。
日本を元気にする作品を書きたい。
本当にありがたいことですが、今、いろんな出版社から、企画の話をいただいています。今年の3月に出した『我、弁明せず。』(PHP研究所)という三井財閥のトップになり、日本銀行総裁にもなった池田成彬の生涯を描いた作品が好評で、明治時代のある偉人をテーマに経済小説を書かないかという話をいただいています。
しかし、今の日本社会や経済は活力がないですよね。だから、日本が元気になれるような作品が一番書きたいな。今後も多くの人たちに楽しんでもらえる作品をどんどん発表したいと思います。
2008 10 04 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン 10月号] 次の一手 マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏
『魚離れ』をストップせよ!魚食こそが日本再生への道
東京海洋大学の公開講座であるフィッシング・カレッジ(奥山文弥校長)の一部を編集した『サバがマグロを産む日』(つり人社)なる本が、折りからの日本の魚を取り巻く諸問題とあいまって、話題を呼んでいる。
日本人はクジラも食べるが、地球上でクジラの次に魚をたくさん食べているに違いない。一人当たりの消費量で見れば日本はアイスランドに次いで世界第2位だ。どちらの国も世界一を争う長寿国で、さまざまな研究データが示すように魚食が長寿につながることは明らかである。
魚や蒲鉾に多く含まれる不飽和脂肪酸(EPA、DHA)、タウリン(アミノ酸)が、高血圧や動脈硬化を防ぎ、脳卒中や心筋梗塞、ガン、老人性痴呆症などのリスクを下げる。また、DHAは記憶学習中枢を構成する主要な物質で、今まで日本の子どもの情緒が比較的安定し、知能指数が高かったのも魚を多く摂っていたためだといわれる。
しかし、このところ日本人のすべての世代で魚離れが急速に進んでいる。今や、魚は小学生が嫌う学校給食の第1位であり、高校生が嫌う食べ物の2位になってしまっている。刺身や寿司はまだ食べられても、煮魚や焼き魚は骨を取るのが面倒だと特に嫌われる。これは共働きの増加で調理に手間がかかると家庭の食卓で敬遠されが
ちで、日常的に魚を食べる習慣が減ったことが、大きな要因となっている。
一方、海外では魚の消費量が急速に増えている。過去30年でアメリカは5割、EUでは3割増え、中国は5.3倍にまで増加している。
1996年に牛のBSEの人への感染が問題となり、2003年には鳥インフルエンザが発生してから、世界的な魚の消費に拍車がかかった。欧米では健康志向の高まりによって肉食から魚食への需要シフトが起こり、中国では経済発展にともなう食の高級化によって海の魚を食べる機会が増えているのだ。
日本の魚の消費は4割を輸入にたよっている。ところが、各国の魚の需要の増加によって、このところ日本が魚の購入価格で海外勢に「買い負け」することが増えてきた。その結果、ますます魚の価格が上昇し、魚離れが進む悪循環に陥っているのだ。
そこに、原油価格の上昇が追い討ちをかけている。7月15日に、燃料価格の高騰のために「漁に出れば出るほど赤字が膨らむ」窮状を訴えるべく、国内ほぼすべての漁船20万隻が休業した前代未聞の一斉ストは記憶に新しい。漁船の燃料であるA重油の価格は過去5年間で3倍になった。しかし、魚の市場においてはほかの食品のように輸送コストの高騰を商品価格に転嫁することが難しい。それは魚は鮮度が命なので価格が折り合わないからと売らないわけに行かず、競りでの取引がメインなので買う側が価格決定権を持っているからだ。また、ただでさえ高い魚を値上げすれば、さらに食卓の魚離れが進んでしまう。
魚を調理せず、魚を食べなくなったのと機を一にして、日本人はキレやすく、打たれ弱くなり、学力も低下してきている。このまま行くと寿命も短くなりかねない。「魚食文化」の再生こそが日本再生への澪標である。
2008 09 28 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン 10月号] 超経済外交のススメ
独立総合研究所 社長・兼・首席研究員 青山繁晴氏
アメリカ大統領選の民主党候補、オバマ上院議員がヨーロッパ諸国を歴訪し、ロックの新しいスーパースターが登場したかのような熱狂の歓迎を受けた。
ベルリンでは実に20万人が集い、オバマ候補の演説に酔いしれた。巧みな動員もあるにはあったが、アメリカ嫌いの増えているヨーロッパ人がここまで沸くのは、一驚すべきことだ。
オバマ議員はまだ大統領になれるかどうかわからず、1候補の選挙戦術にすぎないと言えばその通りだが、それでもなお、アメリカは国家の総体としてしっかり、まさしく「超経済外交」を遂行していると言える。
なぜか。大統領選はアメリカの国家システムの根幹の1つだ。先進国で最悪の黒人差別が存在してきた国であるにもかかわらず、その大統領選で、47歳の若い黒人を2大政党制のうちの1党の正式な大統領候補に押し出し、2つに1つの確率で大統領になれる可能性を彼に持たせた。
しかもアメリカ合州国(合衆国は良くできた誤訳)の大統領は、国家元首と、世界最大の政治力、経済力の遂行者と、それから世界最強の5軍(陸海空軍に海兵隊、宇宙軍)の最高指揮官とを兼ねる存在だ。被差別者を一気に、その高みまで持っていく柔軟性をアメリカは世界に見せつけた。初めて女性を大統領候補に据えるのとは、ケタ違いのインパクトだ。
2008年は3月にドルがかつてない弱さをみせた年であり、このまま行けばドルが世界の基軸通貨から滑り落ちる現実を初めて諸国が知った年だ。それから数カ月でアメリカは、自らが想像を超えて変身できる可能性を示した。
11月の大統領選で、オバマ大統領が誕生すれば、直ちにドルは買われて急上昇するだろう。アメリカに若い自己変革の潜在力があることを証明するからであり、アメリカ経済がまだ伸びる余地のあることを雄弁に物語るからだ。
逆にマケイン大統領が誕生すれば、特にヨーロッパ市場はブッシュ政権の亜流とみなして落胆し、ドルを売るだろう。
しかし、そのケースでも暴落にはならず、意外に高い水準で底を打つのではないか。オバマ候補が大統領になれない場合も接戦になることは確実であり、オバマ議員は4年後にもう一度、候補になる可能性も残る。いずれにしてもアメリカは、おのれを変える力をまだ失っていないことを、大統領選という世界最大の政治ショーで既にして充分みせた。それによってドルを少なくとも当面は、致命的な凋落の危機から救った。
国家の外交とはこのように、その国家を支える基幹システムのポテンシャル(潜在能力)を、みな使って遂行するものだ。
翻って、われらが祖国をみれば、誰しも深い溜息が漏れるだろう。
日本外交は、一握りの外務官僚に任せきりになってきたから、外交官の在外公館での華美な暮らしや不正蓄財までが起きるのであり、かつてその一部が露見したのは決して一過性の事件ではない。
最終責任は、われら主権者、ひとりひとりの国民にある。拉致被害者がいまだ帰れずにいるのも、外国とのあいだで起きることは外務官僚に任せてきた時代が長かったからだ。本欄が「超経済外交のススメ」を訴えているのは、伊達や酔狂ではない。日本の国民と国家の生存がかかっている。
2008 09 27 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン 9月号] ミクロが変える経済 経済ジャーナリスト 財部誠一氏
産経新聞によれば、福田内閣の支持率は内閣改造後に「急上昇」し、過去最低となった前回調査(7月12、13日)よりも7.6ポイント増え、29・3%になった。しかし、昨年夏、参院選で大敗した安倍内閣でさえ、改造直後に11%内閣支持率が上昇したことを思うと、今回の支持率アップもじつは著しく迫力不足であることがわかる。そもそも福田内閣は当初から「居抜き内閣」と呼ばれた。『広辞苑』によれば「居抜き」とは「住宅や店舗を、家具や
商品・設備をつけたまま、売りまたは貸すこと」となっている。要するに安倍商店の設備(閣僚)をほぼそっくりそのまま引き継いだことから、そう呼ばれてきた。
それだけに今回の内閣改造は、さまざまな制約要因があるとはいえ、福田首相自らが主導してつくりあげた、初めての内閣ということになる。7月下旬頃から、永田町は新閣僚の顔ぶれがどうなるかで、ざわついていた。元来、私は政局にあまり関心がないのだが、今回の内閣改造は別だった。なぜなら、福田政権誕生以来すでに11
カ月もすぎているというのに、福首相はいったい何をしたいのかがまったくわからなかったからだ。衆参ねじれ現象のもと、インド洋での給油問題、年金問題、後期高齢者医療問題が、怒涛のごとく押し寄せ、国会が波乱するなかで、守勢一方にならざるをえなかった福田首相が独自色をだせなかったのも、しかたなかったといえなくもない。洞爺湖サミットになみなみならぬ意欲を見せたことは間違いなかったが、いずれにしても日本をどうしたいのか。それが依然として見えてこない。その答えが内閣改造で見えてくるに違いない。そう期待していた。
ところが、全国紙のベテラン政治記者の話を聞くと、全員が口をそろえてこう答えた。「福田さんにはやりたいことなんて何もない」
なぜ、そう思うのか?「首相になる際だって、自分で手をあげなかったじゃないか」
しかし国権の最高責任者に就任してすでに1年。それでも、政治部のベテラン記者たちが「やりたいことがないんだよ」と口をそろ私は正直いってベテラン政治記者たちにも強い違和感を覚えている。なぜなら、政治のプロ中のプロである彼らがもっとも信頼する政治家が、ほかでもない福田康夫だったからである。おそらく永田町の評論家としては、福田康夫は第一級なのだろう。無役の頃でも「月に1度は福田さんの話を聞きにいく」という記者もいたほどだ。
だがいまや福田シンパだった記者たちまで「あの人にはやりたいことが何もない」という始末。
福田首相が何をやりたいのかは、依然として不明だ。「国民の安心、安全実現内閣」だと言うが、国民の不安を解消する布陣になっているだろうか。年金、医療の不信と混乱に無力だった舛添要一厚労相は留任。内閣の要である官房長官も留任。新設される消費者庁担当に野田聖子氏を起用した目新しさはあるが、結局のところ“解
散準備内閣”でしかない。たしかに麻生太郎氏の幹事長起用で来るべき総選挙に向けた挙党体制はできた。だが、それだけだ。
1日も早い解散総選挙を望むばかりである。
2008 09 21 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン10月号掲載]
【会社法がわかれば商売がわかる!】 中央大学法科大学院教授 野村 修也氏
新会社法において分配可能額の算定の出発点となるのは剰余金の額である(461Ⅱ①、446)。旧商法の下では、純資産の額を出発点として、そこから資本金等を控除する方式がとられていたが、近時の会計基準の改定によって、資産の評価・算定差額等の控除が複雑になったことから、剰余金の額を出発点にそれに所要の額を加減することによって分配可能額を導く方式(いわゆる積み上げ方式)に変更した。
会社法446条の文言上は、純資産の額から所要の控除を行う形式が残っているが、同条1号イからニまでの額は剰余金の算定に当たり無関係な数値と整理されたことから、会社計算規則117条1号および2号によって相殺することとし、結論的には、会社計算規則177条2号および3号に規定された「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の最終事業年度の末日における合計額が剰余金になるよう仕組まれている。
その上で、会社法は、かくして導かれた①最終事業年度の末日における、その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計額に、②最終事業年度の末日後の自己株式処分差損益(446②)・資本金および準備金の減少額(446③④)・吸収型再編によって受入側に生ずる「その他資本準備金」および「その他利益準備金」の増加額
(446⑦、会社計算規則178Ⅰ④)を加算し、③最終事業年度の末日後に消却した自己株式の帳簿価額(446⑤)・剰余金を配当した場合の「その他資本剰余金」および「その他利益剰余金」の減少額(446⑥⑦、会社計算規則178Ⅰ②)・資本金または準備された「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の最終事業年度の末日における合計額が剰余金になるよう仕組まれている。
その上で、会社法は、かくして導かれた①最終事業年度の末日における、その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計額に、②最終事業年度の末日後の自己株式処分差損益(446②)・資本金および準備金の減少額(446③④)・吸収型再編によって受入側に生ずる「その他資本準備金」および「その他利益準備金」の増加額
(446⑦、会社計算規則178Ⅰ④)を加算し、③最終事業年度の末日後に消却した自己株式の帳簿価額(446⑤)・剰余金を配当した場合の「その他資本剰余金」および「その他利益剰余金」の減少額(446⑥⑦、会社計算規則178Ⅰ②)・資本金または準備接・有限責任を享受する前提として、株主があらかじめ拠出した責任財産を会社が任意に返還することを防止する制度を設けているのであるが、この資本金をベースに行う配当規制は、時として不十分であり、時として過剰である。
そこで、アメリカでは、負債の弁済可能性に着目した配当規制が設けられるようになっている。例えば、貸借対照表に欠損があっても、損益計算書上で純利益が出ていれば配当を可能とする州や、資産と負債の比率や流動比率を基準に配当を認める州などが存在している。わが国が、直ちにこうした方向で制度改正に踏み切る可能性
は小さいが、現行の配当規制が唯一絶対のものではないことを知っておくことは大切である。
2008 09 20 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン9月号
伯楽諫言 木村剛
悲しい予言をしなければならないようだ。古典的な経済破綻――『通貨の堕落』――に向かう道を、日本政府が選択したようにみえる。『通貨の堕落』とは、野放図な財政出動と大幅な金融緩和の結果としてもたらされる手ひ
どいインフレを意味する。
これまでも、その兆候はみられたが、日本政府が「プライマリーバランスを2011年までに黒字化する」などと言い張ってきたので、先進国最大規模の財政赤字であっても、急速に膨張する危険性が高くとも、『通貨の堕落』への道はそれほど明確ではなかった。
しかし、現在は違う。『通貨の堕落』へとつながる。古典的なバラマキ財政が始まったからだ。
7月28日、福田内閣は、燃料価格の高騰で苦しむ漁業従事者に対する緊急支援を決定し、燃料価格上昇分の9割を補てんすることを決めた。補てん自体の額は80億円だが、無利子融資枠拡大200億円や積立金の免除6
5億円などを加えると、総額は745億円。決して少ない支出ではない。
それにしても、対応が速かった。燃料費高騰の苦境を訴えて全国20万隻の漁船が休漁した7月15日から2週間も経たないうちの対策発動だ。テレビで大きく取り上げられたことが、内閣の危機感を煽ったのだろう。民主党が、バラマキ政策を公言して人気を博しているだけに、自民党も負けてはいられない。次の選挙で負ければ、政権交代もあり得るから、バラマキ本家本元の血が騒ぐ。
とはいえ、このスピード対応は危うい。燃料高・食糧高に加えて、所得が上がらないというスタグフレーション的な苦境下なのに、一部の業種で苦しむ声が高まった瞬間に、その場しのぎ的な財政出動で対応してしまった。これから、同様の苦境の人々が増えてくるから、同様の要求が次々と出てくる。景況が悪化するにつれて、小出しに財政が出動し、ついには野放図な放漫財政に至るだろう。「漁師がかわいそうだと思わないのか」と批判されそうだ。誤解しないでもらいたいが、漁師の苦境に心を痛めているという点において、私は人後に落ちない。ただ、同様の意味で、ノンバンクから借りられなくなった零細企業はかわいそうだし、銀行からお金が出なくなった不動産業者もかわいそうだ。建築基準法の改悪で破綻した建設業者もかわいそうだし、風俗営業法の強化で商売があがったりの銀座のお店もかわいそうだ。
いつの世でも、かわいそうな人々はごったがえしている。それらの人々をどのように救済するかを総合判断するのが政治の役割。そのためには、経済全体を鳥瞰的に捉えた上で、優れた調整案をひねり出す工夫が求められる。というのは、原資が無尽蔵にはないからだ。 ところが、福田政権の対応は、場当たり的な財政緩和。後期高齢者が怒ると保険料負担を軽減し、ネットカフェ難民がマスコミで話題になると公的融資を決定する。テレビのキャスターが「かわいそうだとは思わないのか!」とたんかを切ったら、さからえない。
結果的にもたらされるものは、なし崩しの放漫財政とジャブジャブの金融だ。こうしたユルユル・ジャブジャブの政策はつかの間の安息をもたらしてくれるが、その後に訪れる結末は、古今東西、常に『通貨の堕落』であり、庶民の生活を困窮に陥れてきた。改造内閣を「財政再建内閣」と呼ぶ人もいるがそうならない公算は高い。
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緊急シンポジウム
「自民党総裁選を斬る ~空気読めない候補者は去れ~」
【概要】
竹中平蔵氏をはじめとするチーム・ポリシーウォッチによるシンポジウム。
【スピーカー】
■チーム・ポリシーウォッチ
●竹中 平蔵(慶應義塾大学教授 / 経済学博士 )
●加藤 寛(嘉悦大学学長 / 慶應義塾大学名誉教授/ 千葉商科大学名誉学長 / 経済学博士)
●松原 聡(東洋大学経済学部総合政策学科教授 / 経済学博士)
●冨山 和彦(株式会社経営共創基盤代表取締役CEO)
●木村 剛(株式会社フィナンシャル代表取締役社長&CEO) ![]()
●野村 修也(中央大学法科大学院教授 / 森・濱田松本法律事務所客員弁護士)
●岸 博幸(慶應義塾大学教授)
■特別ゲスト
●本間 正明(関西社会経済研究所所長 / 近畿大世界経済研究所所長)
【募集要項】
日 時:9月15日(月)16:30~18:00
受講料:無料
詳細はこちらから>>>
http://webcas.mori.co.jp/mail/u/l?p=mMl9jtAvUy8Z
お申込みはこちらから>>>
http://webcas.mori.co.jp/mail/u/l?p=4YsfLasuN5IZ
2008 09 13 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン9月号掲載]-失礼ながらその投資本ではもうかりません
注目度を強めるために、わざと違和感のあるタイトルをつけられた本は、真に訴えたい内容がハッキリとせず、タイトルだけで衝動買いを誘うことが多いので、ダメ本というのが通り相場だ。
『月光!マネー学』(日本経済新聞出版社)は、そういう匂いがプンプンしていたので、期待しないで読んでみたら、これはビックリ。まともな投資本ではないか!
まずは、「国内と海外の株と債券に分散して10年間持つだけで、資産は2倍近くに増える」という事実を懇切丁寧に説明。日本株と日本債券、外国株と外国債券に4分の1ずつ投資した場合の成績をグラフ化し、日本株だけの場合と比べて、変動がなだらかになったことを示した後、長期間保有した場合の成績を明らかにするところから説き起こしている。10年間保有の場合は、なんと年平均で6.6%も増えているのだ。すると、資産は11年で2倍になる。「面倒な銘柄選びも、チャート分析などを使ったタイミングの判断も、何もいらないのです。ただ、持ち続ければいいのです。しかもどの年に始めても10年間持てば損をしないのです」と指摘して、「運用成績の9割を決めるのは資産配分」と解説し、銘柄選びやタイミングに偏った投資を戒めている。
コストに関するアドバイスも的確だ。「コストが1%増えれば10年後の成績は1割よりもっと大きく低下する」と指摘し、ノムラ日本株戦略ファンドやさわかみファンドのコスト構造の違いを鮮明に示している。このグラフを見たら、誰でも、信託報酬と販売手数料の重さが実感できるだろう。
また、「『投信はプロが運用してくれるのだから成績がいい』というのは幻想」と断言するのもイイ。ITバブルが崩壊した2000年2 月末からの8 年間で東証株価指数のパフォーマンスを上回った日本株のアクティブ(積極運用)型投信は3割しかなかった。
そもそも、直近8年間で純資産が200億円以上あるアクティブ型の日本株投信は、16本しかない。「投信は本来中長期的の資産形成の手段であるはずなのに、資産を増やしながら長く運用されてきた投信がそもそも少ない」という著者の嘆きは、日本の貧弱な投信事情を端的に表している。
これだけでも十分良書の資質があるのだが、さらに価値を高めているのが、「トホホな商品にサヨナラを」と題した第3章。
「大手銀行の外貨預金よりは外貨MMFのほうが圧倒的に有利」「期間限定での高利率の表示にだまされるな」「セット販売で上積みされる円定期の利率は、もともとは自分が払った手数料」「『銀行が満期を決める高金利定期預金』よりは国債のほうがお得」「若い資産形成世代は、毎月分配型投信は選ばないほうがいい」「リスク限定
型投信は実は『リターン限定』型投信」「『売れている商品=販売側に都合がよい商品』であることも」など投資にまつわる箴言がてんこ盛り。これで、定価1500円は安い! 久しぶりに出版された良心的な投資参考書だ。
2008 09 07 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン9月号掲載]
【会社法がわかれば商売がわかる!】 中央大学法科大学院教授 野村 修也氏
新会社法において分配可能額の算定の出発点となるのは剰余金の額である(461Ⅱ①、446)。旧商法の下では、純資産の額を出発点として、そこから資本金等を控除する方式がとられていたが、近時の会計基準の
改定によって、資産の評価・算定差額等の控除が複雑になったことから、剰余金の額を出発点にそれに所要の額を加減することによって分配可能額を導く方式(いわゆる積み上げ方式)に変更した。
会社法446条の文言上は、純資産の額から所要の控除を行う形式が残っているが、同条1号イからニまでの額は剰余金の算定に当たり無関係な数値と整理されたことから、会社計算規則117条1号および2号によって相殺することとし、結論的には、会社計算規則177条2号および3号に規定された「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の最終事業年度の末日における合計額が剰余金になるよう仕組まれている。 その上で、会社法は、かくして導かれた①最終事業年度の末日における、その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計額に、②最終事業年度の末日後の自己株式処分差損益(446②)・資本金および準備金の減少額(446③④)・吸収型再編によって受入側に生ずる「その他資本準備金」および「その他利益準備金」の増加額(446⑦、会社計算規則178Ⅰ④)を加算し、③最終事業年度の末日後に消却した自己株式の帳簿価額(446⑤)・剰余金を配当した場合の「その他資本剰余金」および「その他利益剰余金」の減少額(446⑥⑦、会社計算規則178Ⅰ②)・資本金または準備金への組入額(446⑦、会社計算規則178Ⅰ①)を控除したものを、剰余金の額とすることにした。
これらの操作は、最終事業年度の末日から剰余金の配当等が効力を生ずる日(配当日)までの間に生じた変動のうち、剰余金の額に反映させるべきものを加減することによって、配当日における剰余金の額を算出するために行われるものである。
会社法は、以上の操作によって算出された配当日における剰余金の額から、①配当日における保有自己株式の帳簿価格、②最終事業年度の末日から配当日までの間に処分した自己株式の対価、③最終事業年度の末日から配当日までに消却した自己株式の帳簿価格、④のれん等調整額が資本等金額(最終事業年度末日における資本金及び準備金の合計額)を超過した場合における超過額等、⑤最終事業年度末日におけるその他有価証
券評価差額金及び土地再評価差額金がマイナスである場合における当該マイナス金額を控除したものを、分配可能額としている。
このように会社法は、株主が間接・有限責任を享受する前提として、株主があらかじめ拠出した責任財産を会社が任意に返還することを防止する制度を設けているのであるが、この資本金をベースに行う配当規制は、時として不十分であり、時として過剰である。
そこで、アメリカでは、負債の弁済可能性に着目した配当規制が設けられるようになっている。例えば、貸借対照表に欠損があっても、損益計算書上で純利益が出ていれば配当を可能とする州や、資産と負債の比率や流動比率を基準に配当を認める州などが存在している。わが国が、直ちにこうした方向で制度改正に踏み切る可能性
は小さいが、現行の配当規制が唯一絶対のものではないことを知っておくことは大切である。
2008 09 06 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン 9月号] FJマーケットデータ 「スタグフレーション」
世界的な原油や食料価格の急騰によって、スタグフレーションが現実味を帯びてきた。
21世紀の新型スタグフレーションは、従来型のそれとどのように違うのか?
今後の日本経済の舵取りはどうあるべきか?
元日銀マンであり経済問題に造詣が深い大塚耕平参議院議員に、その現状と対策を聞いた。
ジャブジャブのマネーは溢れ出すマグマ
―― スタグフレーションの再来が語られているが。
20世紀後半という時代は、世界的に見て金融緩和が長く続いた時代。つまりマネーが過剰に供給され続けた時代だった。最大の要因は、基軸通貨であるドルの供給過剰が続いてきたこと。そこへ、プラザ合意後の日本の金融緩和、さらにはバブル崩壊後の異常ともいえる超金融緩和が加わった。また、1990年代後半以降は、中国の金融緩和も重なった。中国はドル買い介入によって人民元を市場に放出し続けることで、事実上の金融緩和政策を続けている。
今は、世界中にマネーがジャブジャブに溢れた状態。過剰流動性の問題は20世紀後半以降、基本的には変化していない。いつ本格的なインフレが始まってもおかしくない状態だ。
世界の過剰流動性は90年代後半にまず東南アジアへ向かい、21世紀初頭にはITバブルの起爆剤となり、その後は世界各地の不動産へ、さらに新興国株式へと転々とた。各市場で次々と価格急騰を招いたが、逃げ足の速い資金の逃避でバブルは敢え無く次々と崩壊した。去年から今年にかけて、マネーは資源と穀物に向かい、価格急騰を招いている。
このような世界の過剰流動性は、マグマに例えられるだろう。マグマが増え過ぎると、一部は必ず地表のどこかに噴出する。あるときは、不動産という火山になり、今は資源コモディティーという火山を形成している。このマグマは当分の間、減りそうにも収まりそうにもない。被害を最小限に食い止めながら、上手にコントロールすることが必要だ。これが今後10年の世界経済の大きな課題になるだろう。
ここにきてECB(欧州中央銀行)は金融引き締めに転じた。バーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長もインフレを警戒して、金融緩和の小休止を示唆している。世界中がインフレを警戒しなければいけない事態が発生している。
21世紀のスタグフレーションは複雑
一般に経済の教科書には、景気が良い時は物価や賃金が上がり(インフレ)、不況期には物価や賃金が下がる(デフレ)と書かれている。ところが、1960年代からアメリカが基軸通貨のドルを刷り過ぎたために、不況のもとでもインフレが起きるようになった。こうした状態をスタグフレーションと呼ぶ。
70年代、スタグフレーションは2度に及ぶオイルショックをきっかけに、すべての先進国共通の課題になったが、当時はなんとか切り抜けた。21世紀の今は2度目の本格的なスタグフレーションだ。今回のスタグフレーションの背後には、人類がかつて経験したことのない大きな構造変化も伴っている。中国・インドなどの新興国群では、安い賃金で働く大量の労働者が存在する。これによって世界的な賃金裁定が働き、先進国の賃金は上がりにくくなった。
また、巨大な人口を抱える国々が、一斉に文化的な生活を求め始めた。当然、資源エネルギーや穀物の価格は上昇する。賃金が上がらないのに、モノやサービスの価格が上昇する。これが、現在直面している21世紀の新型スタグフレーションだ。対策を立てるにあたり、これまでの常識や経験則は通じないだろう。
物価動向も「原材料」「中間財」「最終消費財」の3つに分けて考えなければならない。急激に値上がりしているのは、資源エネルギーや穀物などの原材料。また、イノベーションの効果があまり波及しないガソリンや食料品など、最終消費財も値上がりしている。
一方、イノベーションや新興国群の安い労働力が大きく影響する一部の物価は値下がりしている。中間財や一部の最終消費財は、それほど値上がりしていない。21世紀の新型スタグフレーションは、その影響が複雑な現れ方をしているのが特徴だ。
超金融緩和からの脱却を
今後の日本がとるべき対策としては、まず超の付く金融緩和から脱却し、金融政策を方向転換すべきだろう。第二に、まったく新しい分野での内需振興策をトライすること。輸出と低金利が長らく日本経済浮揚の鍵だったが、このような従来型の経験則や対応はもはや通用しない。
長引く超低金利政策は、個人の預貯金に利息がつかない弊害のほうが日増しに強く意識されるようになっている。金利を上げると預貯金の利息が増え、円高傾向を強める。預貯金の利息増加と円高は、国民の可処分所得や購買力の増加につながる。
金利を上げたら株価が下がるというのが今までの経験則だが、21世紀は違うかもしれない。預貯金の金利と株式の配当は競合関係にあり、金利を引き上げれば、企業も配当を増やさざるを得なくなる。企業が配当を増やすようになれば、内外投資家が日本の株式市場へ戻って来る。金利引き上げは、国内の個人所得を増やし、海外の投資マネーを日本の株式市場へ呼び戻し、市場を活性化する。こうしたことが相まって、結果的に内需拡大につながるだろう。
次に重要なのが、20世紀型の輸出依存から脱却して、まったく新しい分野での内需振興策に舵を切ることだ。そうした観点から、今後は「食料」「医療」「環境」の3つが成長のキーワードになる。
21世紀では、食料はもはや資源である。食料は作れば作るほど増える資源。新たな資源を獲得するという発想で、日本の農業・食料政策を転換すべきだ。減反政策を止めて、日本の農業に輸出競争力を持たせるという政策に切り替えていく必要がある。
また、日本の医療産業は、世界をリードする潜在的競争力を十分に持っている。薬だけではなく医療機器も期待できる。産業の発展を阻害している厚生労働省の政策の方向性の転換が急務だ。食料・医療の分野で構造改革を推し進めれば、これらが大きな起爆剤になって日本経済は発展できる。
最後は環境。CO2削減に世界が本気で取り組むほど、排出権の市場価値が高まることを、日本は強く意識しなければならない。CO2の排出権取引ではEUがすでにリードしており、アメリカもここにきて急にその価値を強く認識し始めた。世界規模でのCO2排出権取引を日本国内でも「新しい通貨」「新しい金融商品」として育成してゆくことは、資源の少ない日本にとって極めて重要だ。科学技術によってCO2削減を図り、そのことによって排出権という資源を獲得することになる。
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[おおつか・こうへい]1959 年名古屋市生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、日本銀行に入行。2000 年末に退職し、01年7月に参議院議員に初当選。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:中小企業支援4千億円はまやかしだ
政府が今月中にまとめる総合経済対策に、中小企業支援対策費として4千億円が
盛り込まれる事が決まった。
4千億円を信用保証協会に出資することで8兆円規模の融資が出るのではないかと
いうことだが、はっきり申し上げて絵空事だ。
続きはポッドキャスティングで・・・・。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080828/080828mag_mayakashi.html
2008 08 31 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン 9月号] ミクロが変える経済 経済ジャーナリスト 財部誠一氏
6月27日電源開発(Jパワー)の株主総会が終わった翌朝、英国系投資ファンド、チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)のアジア代表であるジョン・ホー氏と会った。
TCIはJパワーの株式保有率を9.9%から20%にまで引き上げようと、外為法による事前申請を行なったが、経済産業省と財務省が安全保障上の理由を根拠に中止を勧告。
TCIがこれを拒否すると両省大臣が中止命令を出すという異例の経緯をたどっていただけに、Jパワーの株主総会には注目が集まった。
株式持ち合いの制限、社外取締役の導入、増配、自己株式の取得などTCIが行った株主提案はすべて否決。さらにJパワー側から提出されていた中垣喜彦社長の再任にTCIは反対を表明したが、承認された。結果だけ見ればTCIの完敗だった。
ホー氏はさぞや落胆しているのではないかと思ったが、その表情は意外とさばさばしていた。1年前の株主総会での孤立ぶりとは打って変わり、TCIの株主提案に賛同する機関投資家や個人投資家が一気に増えたからだ。
「株主総会では両極端の意見が示されたと思います。機関投資家や個人投資家たちはわれわれに力強いサポートを表明してくれました。その一方で、株の持ち合いをしている企業株主はわれわれの想像を超えて頑強に反対してきた」
Jパワーの株主比率をみるとおおよそ4割は金融機関など、株式持ち合い企業が占めている。だが当初、ホー氏は「配当引き上げ」の提案に対しては、彼らも単純には反対できないのではないかと考えていた。
ところがふたを開いてみれば、株式持ち合い企業の結束は予想以上に強く、ホー氏は驚いていたようだった。しかし今年の株主総会では、ホー氏の提案を支持する株主も少なくなかった。
ホー氏が「間接的に聞いたところでは」と前置きして語ったところによれば、TCIの提案に対して3~4割の賛同を得たという。株式の持ち合いが4割もあるなかで3~4割の賛同を得たというのだから、TCI提案が一般株主の
利害と相当程度、合致していたことになる。
株主総会の翌日、読売新聞が「株持ち合いで勝利」という見出しをつけたのもうなずける。
昨年の株主総会は1時間半で終わったが、今年はじつに4時間にもわたって議論が続いたのも印象的だった。私はホー氏がさぞや厳しい質問を投げ続けたのかと思ったが、彼は株主提案理由の説明をしただけで、ついに一度も質問をする機会はなかったという。「興味深かったのは、取締役の再任に対して約30%、中垣氏については約35%の反対があったことです。Jパワーは持ち合いを正当化する議論をしていましたが、投資家の人々が自らの利害関係を超え、持ち合いが市場の効率性を損なう、という高度な議論をした場面もありました」
日本は今海外からの投資促進が経済成長の有力なエンジンになることを期待している。国内的にも「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げてきた。ならばいかなる株式市場が理想的な姿なのか。真剣に問い直すべき時である。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:中小企業支援4千億円はまやかしだ
政府が今月中にまとめる総合経済対策に、中小企業支援対策費として4千億円が
盛り込まれる事が決まった。
4千億円を信用保証協会に出資することで8兆円規模の融資が出るのではないかと
いうことだが、はっきり申し上げて絵空事だ。
続きはポッドキャスティングで・・・・。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080828/080828mag_mayakashi.html
2008 08 30 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン9月号
伯楽諫言
6月25日、人材サービス大手のグッドウィル・グループは、100%子会社で日雇い派遣を営むグッドウィルを、7月末を目途に廃業すると発表した。
グッドウィルは今年1月、違法派遣を繰り返したとして、厚生労働省から事業停止命令を受けたばかり。厚労省が派遣事業の許可を取り消す方針を固めたため、事業の継続が困難になったものだ。
この結果、グッドウィルは、従業員約4000人に対して7月末までの退職を求める。日本人材派遣協会を通じて、同業他社に受け入れを要請する模様だ。また、派遣スタッフ7000人については、派遣先企業に直接雇用を働きかけることになるという。全国で会社都合の失業者が64万人いる現状で、さらに1万人余の失職者が出ることは、経済全体にとってもネガティブインパクトが強い。
厚労省は、2000年のそごう倒産以来となる雇用対策本部を設置。全国の労働局に相談窓口を置き、ハローワークで職業を紹介するという。そして、舛添要一厚労相は「日雇い派遣を禁止する法改正を検討する」と宣言した。
愚かなことだ。その結果、起こるのは、日雇い派遣で生計を立てている人々の生活が圧迫されるということだけ。世間では「認可取り消しで職を失う派遣労働者たちの生活を保障しろ」という声が強くなってきたが、もはや手遅れだ。表面上はともかく、実態として、派遣労働者たちの労働環境が上向くことはしばらくあるまい。
代替策なしに、業者を傷めつければ、業者による恩恵と保護を大なり小なり受けていた弱者にしわ寄せがいく。小さな正義が大きな害悪をもたらすリスクに、為政者の配慮が行き届いていない。
グッドウィルの派遣業務を禁止してここまでの大混乱をもたらすくらいなら、派遣労働者たちの給与水準を引き上げるよう、厚労省が公式に強く勧告すればよかった――それだけの話である。『論語』に「鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん」とある。小事に大掛かりな策を用いることの愚を警告したものだ。最近の日本は、まさにこの愚を繰り返している。
1年前に厚労省が、同グループのコムスンを撤退の憂き目にあわせた結果、介護業界には誰も参入しなくなった。倒産も多い。そもそも儲けたら保険の点数が低くされて苦しくなるという致命傷を抱えた業界である。
もともとは、採算が厳しいので、誰もやろうとしないため介護保険という補助金をつけて、政府が背中を押した話だ。それなのに、一方的に補助金を削っていった結末が、水増し請求のまん延だった。
違法行為をした業者に対して厳しいペナルティーを課すことに異論はない。しかし、事件が起こった背景や教科書と異なる実態を知らずして、牛刀だけを用いるならば、その被害は甚大になる。
コムスンを再起不能にして、わが国の介護ビジネスは再生不能に陥った。英会話のNOVAを殺した結果、最大の損害を被ったのは、受講者であった。建設基準法の改正で救われるはずだった人々は、わが家を増築できないという不利益を我慢し、投資家保護を謳った金融商品取引法によって、投資家が投資市場から排斥されている。
業者をたたけばいい、という安直な発想は、世の中を真っ暗にするだけで、明るい未来を指し示してくれない。牛刀を用いる前に、知恵を用いるべきなのである。
2008 08 24 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン9月号 FJコラム メディアより
――土曜ドラマ「監査法人」が話題に NHKは自分の「厳格監査」から
NHKの土曜ドラマ「監査法人」が人気らしい。もともとNHKは、大河ドラマをはじめ、丁寧な作りで見ごたえのあるドラマを放送してきた。最近では、元読売新聞記者の真山仁氏原作の土曜ドラマ「ハゲタカ」が好評で、国内外のさまざまな賞を受賞し、大きな話題を呼んだ。
日本公認会計士協会がホームページで、「公認会計士を舞台としたドラマは、今までほとんどなかったものと思われますので、こうしたNHKという全国的な放送媒体での放映により、公認会計士の業務を一般に理解していただくよい機会であると思います」と言及しているように、確かに公認会計士を主人公とするドラマは記憶にない。
この10年間に、りそな銀行や足利銀行が一時国有化され、カネボウのような歴史のある上場企業が倒産、粉飾決算を長年続けていたことが明るみになった。また、ライブドア事件では公認会計士に有罪判決が下され、企業の会計監査や監査法人、公認会計士のあり方に社会的に高い関心が集まるようになった。これが番組制作の背景にあるが、ドラマチックに描きたいというディレクターの思いが強すぎるようで、巨悪を憎む「検察官」のように描かれると誤解を招かないか。会社を訪問する様子は、なんだか「特捜検察」のようだし、会計士は決算書が「適正かどうかを判断する」のであって、決して「承認」したりしない。
特殊法人であるNHKは会計検査院の検査を受けている。2005年からは外部の監査法人による会計監査を実施している。HP で「監査は、公金意識の徹底、コンプライアンス(法令遵守)の強化、適正経理の推進、視聴者第一主義に立った“NHKだからできる”放送の追求、地域放送の充実、受信料の公平負担の徹底と受信料収入の回復、業務改革の推進などについて検証しています」と高らかに謳っている。
しかし、NHK ではこの数年、番組プロデューサーによる制作費の横領や、放送記者らによる株式のインサイダー取引など、コンプライアンスに関わる問題が多発した。監査法人をテーマにしたドラマ制作よりも自分の組織の「厳格監査」から始めるべきではないだろうか。
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NHK土曜ドラマ
元読売新聞記者で作家の真山仁氏の小説『ハゲタカ』と『バイアウト』を原作とするドラマ「ハゲタカ」で高い注目を集めるようになった。最近ではプロ野球のコーチから高校教師に転身した人物の実話をドラマ化した「フルスイング」のように、現実感のある内容のものが多い。
2008 08 23 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン8月号
特集:官製不況が日本を滅ぼす
投資家不在? 行政・企業が責任をなすり付け合い
投資家保護を目的に金融商品取引法が導入された。少なくない個人投資家が、金融機関のリスク商品の販売方法に不満を持っているようだ。
だが悪いのは法律なのか。金融機関はどう考えているのか。
販売員に求められるのは「販売しない」というスタンス?
「接客する時に『販売しようとしない』スタンスで臨まなければいけない。これでは『貯蓄から投資へ』の流れなんて進むわけがない」。ある証券会社役員が、金融商品取引法(金商法)施行後の販売現場で感じるやりづらさについて、こうこぼした。
またネット証券の社員は「うちのようなネットビジネスはともかく、対面型の証券会社はつらいみたいですよ……。せっかくお客さまが商品に興味を持っていても、『買われないほうがよろしいのでは』なんて断ることがよくあるそうですからね」と明かした。
本来、投資家をサポートすべき法律である金商法。だが販売の現場では投資家が不自由を強いられている。長時間の説明を聞き、膨大な資料を読み、サインする。確かにリスクについてのしっかりとした理解は不可欠だが、こうした“まわりくどい”手順に嫌気して、商品の購入が面倒になることは容易に想像がつく。
日本経済新聞が昨年、金商法施行後に行った、個人投資家を対象にしたアンケートでも、「リスク商品に対する説明が長すぎる」と感じている人が52%に上っている。
日本証券業協会が昨年12月から今年3月の間に、金融機関を対象に行った調査(462社回答)でも、銀行では「顧客からの苦情や不満が多い」との回答が20・5%に達しこれは「苦情や不満がほとんどない」( 7.6%)を上回っている。混乱は販売の現場だけで起きているわけではない。さまざまな金融商品の広告や販売用資料が、リ
スク表示だらけになった。ある投資信託の広告では、ページの半分以上がリスクに関する説明で占められ、一番肝心な「どんな特徴を持った商品なのか」ということが伝わってこないのだ。
「金融商品の広告では、リスク情報を12ポイント以上の文字・数字で記載しなければならないと聞きますが、本当ですか」―― 。
同法に関する問い合わせがあまりに多いことから、金融庁と証券取引等監視委員会が2月、金融機関向けに説明会を開催した。この質問は、その際に配布された資料「金融商品取引法の疑問に答えます」で挙げられた事例だ。資料では、「利用者の視点からは、商品の特長とリスクがバランス良く書かれていることが重要と考えられます」とした上で、「例えば、リスク情報(元本欠損や元本超過損が生ずるおそれ等)を広告中の最も大きな文字と著しく異ならない大きさで表示しなければならない」と説明。「広告の中のリスク情報に係るポイント数は、指定
されていません」と回答している。
だが、ある証券会社の社員はこう反論する。
「法律を見れば、ポイント数が書かれていないことくらいわかる。要は、“著しい”というのがどれくらいかがわからない」
金融先物取引業協会に加盟する、別の金融会社の社員も「金融庁も協会も、広告などを見せて『これは問題ないか』とたずねても、いいとも悪いとも言わない。言うのはあくまで一般論で、お墨付きは決してもらえない」とこぼす。金商法に関連する摘発の実績がないだけに関係者は恐々としているのだ。
金融庁長官は反論
金融機関側にこそ問題がある
投資信託協会によると、昨年9月の金商法施行以降、投信の売り上げは落ちている。今年4月の株式投信の設定は1兆1489億円。投信は、初心者でも比較的購入しやすい金融商品と考えられるが、このところ、投信の設定額は減少傾向にある。もちろんこの減少が、必ずしも金商法のせいとは限らない。サブプライムローン問題の発覚後、外国人投資家が日本市場から撤退したこと、外国人の撤退で純資産総額が減ったのを見て、日本の個人投資家も保有投信を売却したことなども理由と考えられるからだ。
しかし、金融商品を販売する金融機関が窮屈さを感じているのはまぎれもない事実だ。果たして、金融庁はどういうスタンスなのだろうか。佐藤隆文金融庁長官は6月2日の会見でこう述べている。
「当局向けのアリバイ作りのようなことに注力するよりは、顧客のニーズを踏まえた商売への努力のほうが生産的ではないか」つまり、金融機関が処分を回避しようと慎重過ぎる対応をして、自らが道を狭めているという指摘だ。佐藤長官はさらに、「各金融機関の取り組みの成果を注意深く見守りたい」などとして、前向きな取り組みへの期待感を示している。
またモルガン・スタンレー証券勤務の経験を持つ大久保勉参議院議員も「金融機関はこれまで“箸の上げ下ろし”まで指摘されることに慣れすぎていた」と解説する。金融機関側にも問題はありそうだ。実際、前出の金融会社の社員は「社内でも、広告担当部署と、コンプライアンス担当部署とで軋轢が生まれている。広告担当者は『少
しでも商品のことをわかってもらいたい』と思って表現を工夫するのに対し、コンプライアンス担当者は『とにかく法令に違反しないように』と修正しようとする。そこに責任のなすり付け合いがあるのは確か」と話す。
しかし、複数の金融関係者の話から浮かび上がる行政の態度は、必ずしも佐藤長官が示しているような金融機関への前向きな期待ではなく、「自らの責任を明確にしようとしない」というものだ。
金商法改正案は6月の通常国会で可決された。東京市場の国際競争力を向上させることを目的に、ETF(指数連動型上場投資信託)の多様化や機関投資家などに参加者を限る「プロ向け市場」の創設などが盛り込まれている。またインサイダー取引などに対する証券取引課徴金を現行ルールの2倍程度に引き上げるという。
法律を改正しても、その運用に携わるのは人間だ。そして金融機関も金融庁も組織である以上、構成員(社員、職員)は「組織内での責任問題」をある程度気にするのは仕方ない。しかし、それを言い訳に、個人投資家という、弱く、守られるべき存在をないがしろにしてはいけない。金融関係者は、お互いに責任を他者になすり付けようとせず、建設的な議論をする必要がある。
今のままでは、外国人投資家が日本という、“投資しづらい”市場に参入しなくなるばかりか、国内投資家も投資しなくなる。「貯蓄から投資へ」というフレーズもむなしく響く。法律のせいにしている余裕など、日本にはない。
2008 08 10 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン8月号
特集:官製不況が日本を滅ぼす
「有害」の判断は民間でただ国が関与する余地も
青少年ネット規制法案が可決された。「有害情報」の選別に対する国の関与は、当初の自民党案より薄まったが、その余地を残したとも言える内容だ。
「死ね」「ウザい」……
深刻化するネットいじめ
福岡県北九州市で5月29日、私立高校1年の女子生徒が自殺しているのが見つかった。読売新聞によると、遺書には、「自分のブログに中傷や悪口を書かれてつらかった」旨を書き残していたという。
「出会い系サイト」にアクセスして事件に巻き込まれたり、「学校裏サイト」で“ネットいじめ”に遭ったりと、未成年者が被害に遭う事例が相次いでいる。
“ネットいじめ”の温床となっているとされる「学校裏サイト」は全国に約3万8000件はあることを、文部科学省が確認している。約2000件をサンプリング調査したところ、約半数に、「キモい」「ウザい」といった中傷の言葉が書き込まれていた。わいせつな言葉があったサイトが37%、「死ね」「消えろ」といった暴力につながる言葉も27%のサイトで見つかっている。「学校裏サイト」とは、学校の公式ウェブサイト以外の、児童、生徒が管理する学校関連のウェブサイトやブログ、掲示板などのこと。中には、他人への誹謗・中傷のな、“健全な”サイトもある。だが、
自民党の高市早苗前少子化担当相は雑誌のインタビューで「私の子供の頃でもいじめはありましたが、家に帰れば、いじめっ子から逃れられました。今は、帰宅しても転校してもネットや携帯でいじめは続きます」と答えている。親世代には想像がつかないかもしれないが、ネットを使ったいじめは悪質で、深刻さを増しているのだ。
昨年起きた出会い系サイトに関わる事件では、被害者の85%に上る1100人が18歳未満だったという。警察庁のまとめによると、07年の児童買春・児童ポルノ禁止法違反事件で、児童買春で摘発された1347件の約半数、679件「出会い系サイト」をきっかけとしたものだった。このほかにも、硫化水素による自殺、違法薬物のやり取りなど、ネットに端を発したとされる事件は珍しくなくなったようでもある。こうした事件から青少年を守ることを目的に、国会では議論が続けられてきた。
有害情報の判断は民間で
だが国が関与する余地も
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案(青少年ネット規制法案)が6月6日、可決された。参議院も通過する公算だ。
法案では、青少年の健全な成長を阻害する「有害情報」が掲載されたサイトの閲覧を制限するため、キャリア(携帯電話会社)に、18歳未満の子どもが使う携帯電話へのフィルタリングサービスの提供を義務付け、ネット接続業者にも同サービスの提供を義務付けたほか、サーバー管理者には、閲覧防止措置を講じるよう努力義務を課している。有害情報を「定義」する考えもあったが、「例示」にとどめた。
ここに至るまでの議論で、焦点の一つだったのが、「有害情報を誰が判断するのか」ということだ。自民党では、青少年特別委員会(高市早苗委員長)が、政府の審議会が判断基準を作り、有害情報の削除などを業者に義務付けることを盛り込んだ法案骨子をまとめていた。有害情報の基準は国が決めることになっていた。
これにネット事業者らは猛反発。ヤフーや楽天、ディー・エヌ・エーなど5社は4月末、合同で会見を開き、「表現の自由」の観点から問題である旨の声明を出している。
高市案には、賛成意見の一方、党外だけでなく、党内の反対も根強かった。自民党はなかなかまとまらず、修正案が検討された。有害情報の判断を第三者機関に委ねる方向で議論が始まったが、国の関与を強めようとする自民党と、民間の自主性を尊重する民主党の間で意見は割れた。最終的には、法案を成立させたいという与野党の思惑が一致。第三者機関への国の関与は見送られることになった。
しかし、有害性を判断するこの第三者機関について、機関が一定の要件を満たし、登録を希望する場合は「国に登録することが可能」とした。国が今後関与する可能性を残した格好だ。
日本新聞協会は法案可決を受けての声明で、「有害情報を実質的に判断するフィルタリング推進機関を国への『登録制』とすることについても、公的関与の余地を残す懸念がある」とした。さらに、『例示』といえども、有害情報がいったん法律で規定されれば、事実上の情報規制を招く根拠ともなりかねない」と批判している。
マイクロソフトの楠正憲・技術統括室CTO補佐は、インターネットメディア「ITmedia」の記事で、この法案について「実害はないが実効性が低い」と指摘。「民間主体の対策は緒についたばかりで、効果が上がるまでには時間がかかる。残念ながら今後もネットを舞台にした青少年の関係する事件は起き続けるだろうし、それを指して『民
間の自主努力が足りないのではないか』といった指摘がされる公算が大きい」との懸念を示した。
有害性の判断を国が直接行うという当初の議論と比べれば、基本的に民間にゆだねられることになった点で、「前進」と言える。法律は3年をめどに見直しが行われるが、楠氏が指摘するような議論が3年を待たずして起き、国が「やはり民間には任せておけない」と口出しするようにならないとも言えない。
そうなれば、表現の自由の問題はもとより、ネットを使った新しいビジネスが生まれにくくなる恐れも生じる。いまや、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や動画投稿サイトなどのユーザー参加型のコンテンツは、世界的にも成長産業とされている。こうしたサービスが新たに生まれなくなれば、経済に与える影響は深刻。今後も
注視が必要だ。国の口出しを受けずに第三者機関が有害情報を定義したとしても、犯罪がなくなるわけでもない。犯罪や自殺の防止は、法制度や行政だけが担うものでもない。携帯電話に関していえば、保護者の同意
でフィルタリングは受けなくて済む。「子どもの教育の責任は最終的には保護者が持つもの」ということだ。
法案が成立しても、ネット業者、第三者機関、政府、保護者、そしてユーザー自身が、責任を他者になすりつけず、事件や事故を防止するための実効性のある対策を考え、講じ続ける必要がある。
(2008年6月21日発売 フィナンシャル ジャパン8月号より)
2008 08 09 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
皆さん、こんにちは。木村剛です。「ただいま満席!日替わり定食Blog」さんが「大阪府の橋下徹府知事が、関西空港の活用のため、大阪空港(伊丹空港)の存続を巡り、一石を投じて、周辺自治体に波紋をよんでいるようです」というネタを寄越してくれました。
大阪空港(伊丹空港)周辺の自治体は、猛反発しているとか…。しかし、もともと、大阪空港(伊丹空港)の、騒音問題が契機となって、関西空港の構想が浮上して、関西空港を作る代わりに、大阪空港(伊丹空港)は廃止する、ということになっていたんでは…。それに、客観的にみれば、どう考えても、関西圏に、関西、大阪、神戸の3空港は、多すぎますよね。民間企業であれば、費用対効果を考えて、「関西工場」を作れば、「伊丹工場」は廃止・売却、というところですが、一旦出来上がってしまうと、そうならないところが、公共事業、お役所仕事の難しさです。・・・ 例えば、昔々、「炭鉱離職者」を支援するため、設立された「雇用促進事業団」という、特殊法人がありました。それが、「炭鉱離職者」は減る一方なのに、どんどん事業を拡大し、「雇用促進住宅」の建設や、勤労者福祉施設の整備、一般勤労者の職業訓練まで手を広げ、赤字がどんどん拡大して、平成11年には、「廃止」されることになったのに、今でも、「雇用・能力開発機構」として、看板を架け替え、存続しています。雇用保険から800億円を使って建設した、「私のしごと館」を、運営しているのも、この法人です。・・・将来に向けたビジョンを、打ち出さなくては、この国は、漂流してしまうと思います。
私もまったく同感です。そういう意味で、福田「霞ヶ関復権内閣」の象徴的な試金石は、「私のしごと館」を残すのか、廃止するのか、ということになるのかもしれません。まぁ、もうすでに、結果は決まってしまったに等しいわけですが・・・。
あ~あ、霞が関復権内閣万歳!
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:日証協はジャスダックを訴えるべき!?
ジャスダック証券取引所が2009年3月期の業績予想を下方修正し、42億円の赤字となる見通しとなった。
今回の赤字はかなり質が悪い。大阪証券取引所との合併が決まっているにもかかわらず自分たちの保身のために新規投資をした旧経営陣がジャスダック側にいるのだ。
本来ならジャスダックの株主である日本証券業協会は怒るべきところだ。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080730/080730mag_jasdaq.html
2008 08 05 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 8月号掲載
『食』『資源』『観光』で北海道はよみがえる
日本人の魚離れが続いている中で、世界では魚介類の需要が着実に増加しており、北海道からも輸出が増えている。漁業が輸出産業に変身を遂げ、北海道経済を支える可能性はあるのか?北海道漁業協同組合連合会(北海道ぎょれん)の宮村正夫副会長に聞いた。
国内の魚離れ、海外の魚ブーム
── 魚介類の輸出が増えている?
北海道の漁業は漁業生産量の減少が続く一方、漁業生産額は回復傾向にあり、すなわち魚価が回復している。この浜値の回復を支えているのが、近年の輸出の拡大による需給バランスの改善だ。同時に、いわゆる日本の「買い負け現象」で、水産物の輸入が減少していることも需給をタイト化している。漁業生産量が減ったといって
も、沿岸増殖事業の成功も寄与し、依然として北海道のシェアは全国の4分の1。北海道は三方を日本海、太平洋、オホーツク海に囲まれ、暖流と寒流が交差し、大陸棚が長く、好漁場に恵まれている。日本有数の漁業エリアだ。
もちろん引き続き、一大消費地が国内である事実は変わらない。ただし、輸出の増加による需給バランスの改善は、北海道の漁業復活の明るい兆しだ。漁業には豊漁と不漁が付きものだが、輸出による価格安定化効果も見逃せない。
── どんな魚がどこに輸出ているのか?
たとえば秋鮭の場合、2003年を境に中国への輸出が急増した。現状では北海道で獲れる秋鮭のほぼ半分が輸出されている。ただし、実は中国は加工基地であり、消費地は欧米。欧米向けではすべての魚の骨を取り除く必要があり、中国を経由するケースが大半だ。このため、中国への輸出が急増したようにみえるが、健康志向の高まりで欧米で魚介類の消費が増えているのが実情だ。骨を除去する必要がない“ほたて”などの場合には、直接欧米に向けて輸出されている。
── 北海道の魚には輸出競争力がある?
欧米では天然物志向が強いので、北海道の魚介類は人気が高い。資源水準の低下から世界の漁業生産量は頭打ちで、中国を中心に養殖生産が増加中。課題は天然資源の持続可能性であり、これ以上は漁獲量を増やせないため、天然物の価値はますます高まる傾向にある。天然物が主体の北海道の魚介類は、今後も一層、世界からの引き合いが強まるだろう。
魚介類を奪い合う日が来る
── 新興国でも需要が急増すると魚介類が不足するのでは?
F A O( 国連食糧農業機関) は2015 年に世界の水産物が1100 万トン不足すると予想し、「世界の水産物需給は将来的にさらにひっ迫し、価格が上昇する見通し。水産物を奪い合う時代が来る恐れがある」としている。
── さらに北海道ブランドを確固たるものにするためには?
骨抜きの作業なども中国ではなく、日本国内で行うことで付加価値を高める必要があるだろう。今は人件費の格差が大きいが、中国の人件費の上昇で急速に縮小している。 また、近い将来には「自動骨抜き機」の開発も視野に入っており、フィレに加工して欧米へ空輸することも十分可能になる。足元では燃料である重油価格の上昇という逆風も吹くが、世界の需要は増える一方。ブランド力もある北海道の漁業は、産業として極めて将来性が高いと考えている。
2008 08 03 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
『フィナンシャル ジャパン8月号』 株式投資力トレーニング講座
高い空の上からながめる鳥の目に映る地上の姿を、鳥瞰図といいます。
細かいところが見えない代わりに、全体像が一目でわかります。企業の財務諸表を見る際に大切なことは、まず1分で鳥瞰図をしっかりつかむことです。最初から細かいところばかり見ていると、大所高所からみた大切な問題が見えなくなります。
来た来た来たぁぁぁ!米国サブプライムローン問題が完全にかたづかない内に、今度は、世界を襲う原油危機と食糧危機。株式投資家の肝を冷やす悪材料の連続!株なんか見たくもないって人が増えているかもしれませんね。
でも、21年間ファンドマネージャーとして日本株投資をやってきた経験から、今こそ言いたい。日本株投資の魅力が高まってきましたねと。株は安いところで買って高いところで売ればもうかります。景気が悪いときに買って、景気がいい時に売れば、結果的に安いところで買って高いところで売ることになります。短期的な景気見通しでな
く、株が安いかどうかを投資判断の基準としましょう。
現在、日本株は、買収価値から見て、常識では考えられないほど安くなっています。解散価値と言われるPBR(株価純資産倍率)1倍を割り込んだ銘柄が東証1部で半分近くあります。財務内容も収益力も改善し、配当利回りも高くなった日本株がここまで売られるのは異常だと思います。日本株に対する短期マネーのパニック売りは、3月が最終局面だったのだろうとみています。買収価値から見て極端に割安な株は、今後見直し買いでゆるやかな上昇が続くでしょう。
というわけで、今回のクイズも引き続き、解散価値といわれるPBR1倍を割れた銘柄の選び方です。まず、クイズを解いてください。PBR1倍割れの銘柄を買うということは、投資家に人気のない割安株を買うということです。みんなが熱狂する人気株に飛び乗るより、人気のない割安株をコツコツ拾っていっていつか見直されるのを待
つ方が、長い目でみると投資効率の高いことがわかっています。でも、倒産懸念のある銘柄だけは、手を出すべきではありません。バランスシートをパッと見て異常値が出てないかチェックすることが必要です。
1分でバランスシートの問題点を見抜く力をつけましょう。
左のページに出ているA社とB社、どちらもPBR(株価純資産倍率) 0.5倍。ずばり、買うなら、どっち?
〈図の見方について〉左頁の図は、会社の資産内容を示すバランスシートを図式化したもの。左側が資産。流動資産とは、原則1年以内にキャッシュ化できる資産。固定資産とは、すぐにはキャッシュ化できない土地・建物のような資産。右側が、負債・資本を示す。流動負債は、1年以内に返済期限の訪れる負債。固定負債は、返済期限が1年以上先の負債。自己資本は、返済の必要がない。
小宮一慶氏の「1秒!で財務諸表を読む方法」という本が話題になっています。財務諸表の細部にとらわれず、もっとも重要なメッセージを一目で見抜くノウハウをきちんと解説した良書だと思います。本当に1秒で読めるかどうかはさておき、財務諸表を見る際、一番重要なポイントは、まあ1分くらいでわかるように訓練した方がいいでしょうね。ちなみに、クイズに出ているA社のバランスシートがきわめて異常であることは、見て1秒でわかってほし
いところです。A社は資金繰りが苦しく、今にもキャッシュ不足を起こしそうです。株価がいくら割安でも買うべきではありません。倒産してしまったら元も子もありません。
一目でわかるA社の問題点は、短期借入金300億円、その他流動負債100億円に対し、1年以内に現金化できる流動資産が200億円しかないことです。これでは、いつキャッシュ不足で倒産しないとも限りません。こんなひどい状況を脱するには、①固定資産を売却し短期借入金を返済するか、それができないなら、②短期借入金
を長期借入金に乗り換えるしかないわけです。誰も長期資金を貸してくれなくて、それもできないというなら、はっきりいって存続に不安のある会社ということになります。B社は、バランスシートにキャッシュ持ちすぎ、ゆとりあり過ぎで、逆の意味で異常です。これだけゆとりがあるわけですから、まあ、倒産するリスクはほとんどないで
しょう。株価がPBR0.5倍まで売り込まれる必要はないわけで、これは、絶好の買いチャンスです。現在の、日本株には、B社のように財務内容に問題がないのにPBR一倍を割れた銘柄がたくさんあります。
それでは、自己資本400億円が解散価値といわれる意味を、改めて考えてみましょう。会社を解散するには、すべての資産を売却し、すべての負債を返済する必要があります。流動資産は時価に近いところで売れるかもしれませんが、土地や建物などの固定資産は簡単には売れません。急いで売ると、時価を相当下回る価格でしか売れないかもしれません。A社は、自己資本が400億円でも、資産のほとんどが固定資産であるため、現実に会社を解散してしまうと、とても400億円は回収できないことになります。B社の資産にはキャッシュなど流動資産が多いので、解散した時に残る金額は、A社より大きいはずです。解散価値はA社よりB社の方が高いことになります。
[くぼた・まさゆき]大和住銀投信投資顧問シニア・ファンド・マネージャー。日本証券アナリスト協会の企業会計研究会委員。企業会計基準委員会のセグメント情報等開示専門委員会専門委員。
2008 08 02 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 8月号掲載
『食』『資源』『観光』で北海道はよみがえる
観光白書によると、07年の世界全体における観光産業の規模はGDP比では10・4%、就業人口は全雇用者数の約8.3%に相当する見込み。北米では対GDP 比10・5%、雇用者の割合は11・1%、EU諸国ではそれぞれ10・9%、11・8%。観光業は先進国のみならず新興国にとっても規模の大きな産業であり、観光客誘致の経済効果は大きい。
ニセコ地域への外国人訪問客は、オーストラリア人を中心に年々増大。04年にニセコ地域へのオーストラリアからの訪問者数は4200人、ニセコ地域に進出した外国系企業数は10社にすぎなかった。ところが06年にはこれらの数がそれぞれ9400人、34社へと急増した。
2年前から私はニセコ地域をさらに発展させるには、世界と競争できる「理想の国際リゾート」にしなければならないと主張している。理想のリゾートとは何もしなくとも、そこにいるだけで心身ともにリラックスできる環境、長期の滞在中に自然の中で楽しめる遊びのフィールドがあること、おいしい食事とショッピングができる環境があることだ。
現在、地元自治体や外資系を含めた民間企業の動きをみると、すでにニセコは「国際リゾート地」になるべく第一歩を歩み出したと言えよう。
コンドミニアムが立ち並ぶ倶知安町の山田地区は、2006年、07年と2年連続で住宅地の基準地価が上昇率全国一となった。バブルの懸念はないのか? 同町で外資系企業の不動産登記を数多く取り扱っている司法書士、吉田聡氏は「世界のリゾート地と比べればまだ割安。このエリアの地価は日本人ではなく、外国人が決めている」と指摘する。
そもそも同地区が外国人に注目されたきっかけは、オーストラリア人のロス・フィンドレーさんが、倶知安町にラフティング会社を設立したころにさかのぼる。彼がこの地に居ついたオーストラリア人のパイオニアとされ、口コミで人気を広げた功績で国土交通省から「観光カリスマ」にも選ばれた人物だ。
コンドミニアムに代表的な同地区の観光開発は、これまでは圧倒的にオーストラリア資本によるものだった。「ただし、次第に香港資本が増加しており、今年は逆転するだろう」(吉田氏)とのこと。その実態は香港在住の白人や華僑のようで、ネット時代のグローバル投資の垣根の低さを感じさせる。不動産価格の急騰にもかかわらず、現在も不動産取引が活発であるという事実は、ニセコがスイスのサンモリッツやカナダのウィスラーなどに匹敵する、世界のリゾート地になる目前であることを示唆している。
2008 07 27 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 8月号掲載
連載コラム―次の一手 (マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏)
メタボならぬ「メノボ」をご存知だろうか?
女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって女性に現れる更年期障害 menopause を略して「メノポ」と呼ぶ。同様に、男性ホルモン(テストステロン)の減少とストレスによって男性に現れる様々な身体的、精神的症状、menopause of boys あるいは menopause of bosses を略して「メノボ」と呼んでいる。「えっ、更年期? 女の話だろう」と思ったら大まちがい。実は男の「メノボ」こそ恐ろしいのだ。
男性ホルモンは20歳を過ぎると加齢とともに減少していく。40歳前後から減少の速度が増し、60歳になると40代の25%も減少してしまう。男性ホルモンは、骨を太くし、筋肉を強くする。ところが、これが減ると、中性脂肪やコレステロールの代謝機能が低下し、太りやすくなる。その結果、内臓脂肪や皮下脂肪が増える。当然、睡眠時無呼吸症候群にも陥りやすくなる。また、赤血球を増やす造血作用や血管を軟らかく保つ作用もあるが、減少によって動脈硬化も起きやすくなる。認知機能、記憶力、判断力にも関わると言われる。
男性ホルモンが減少する時期に強いストレスに襲われると、「メノボ」の症状が強く現れる。当然、個人差はあるが、身体的症状として、ED(勃起不全)、不眠、疲労感、多量の発汗、頻尿、肩凝り、しつこい筋肉痛、頭痛、耳鳴り、めまい、動悸、ほてり、のぼせ、冷え性などである。特に男性機能に現れる場合が多く、性欲が減退する。朝立ちが減り、1カ月以上ないと要注意だという。
精神的には、うつ、気力が続かない、集中力が続かない、毎日が楽しくない、イライラする、キレやすいといった症状が現れる。肉体的、精神的にも男としての自信を喪失して、本人も情けなく思って自暴自棄になり、酒浸りになるなど悪循環に陥りやすい。
男の「メノボ」は、2002年頃から日本でも報じられるようになり、やっと少しずつ浸透してきた。テレビでも活躍していた漫画家のはらたいら氏が、突如、重い不定愁訴に襲われ、講演会の最中に倒れて救急車で運ばれた事件によって、広く知られることとなった。それまで、そんな症状は単に疲れや歳のせいにされてきた。女性では少ない過労死が男性に多いことや一向に減らない自殺も「メノボ」が原因だという見方もある。
「メノボ」は、45歳から65歳の働き盛りの特に頑張って生きてきた人に出やすいと言われる。男は、職場でも家庭でも弱さを見せられない。飲み屋でも友達同士でも、泣きごとも言えず弱音も吐けない。死ぬまで競争を続ける精子のように戦い続けるしかない。負ければ、落伍者、負け犬の烙印を押される。オンタイムは、常に緊張感の中で生きている。家庭でも子供が巣立つと夫婦のすれちがいが増え、疎外感と孤独感と老後の不安にさいなまれる。まさに「男はつらいよ」だ。
女性は女性ホルモンの投与で劇的に改善が期待できるが、男性の場合、EDもうつも精神的な要素も大きいため、ホルモン投与が必ずしも有効ではない。眠れない日々が続き、危機的情況に陥ってから奥さんに病院に付き添われてくる人も多いという。男の「メノボ」に要注意だ。
2008 07 26 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン8月号掲載]
【会社法がわかれば商売がわかる!】 中央大学法科大学院教授 野村 修也氏
最近、JR 東日本やNTTなどで、株式1株を100株に分割する動きが活発化している。株式の100分割といえば、かつてライブドアが、株券の印刷が間に合わない状況を作り出すことで、証券市場の需給バランスを崩し、株価を高騰させる手段として悪用していたことを思い出す人も多いだろう。しかし、今話題となっている株式の100分割は、合理的な理由に基づくものである。
その理由とは、株券の電子化への対応である。2004年に社債等振替法が改正され、株券の電子化が決まった。ただし、システム開発等の準備のために、法改正から5年間の準備期間が設けられた。そのため当初は、株券電子化が始まるのは随分と先のことのように思われたが、それもつかの間いよいよ来年には5年目を迎える。今のところ、来年早々(予定では1月5日)には、株券の電子化がスタートする見通しである。
株券電子化に伴う難題の1つとして、タンス株の問題があることはよく知られている。タンス株とは、証券保管振替機構(ほふり)に預託されずに、株主自身が保管したり保護預かりを頼んだりしている株式をいう。タンス株の場合は、ほふりに預託された株券とは異なり、電子化に際して新しい口座簿への自動移行が行われないため、放っておくと株式の譲渡ができなくなるといった不利益が生ずる。とはいえ、タンス株については、会社が費用を負担して特別口座簿に一時保管する仕組みになっていることから、株券電子化と同時に権利がなくなってしまうというわけではない。ところが、こうしたタンス株とは異なり、株券電子化に伴って口座簿に載せてもらえなくなってしまう権利がある。それは、端株である。端株とは、1981年に会社法を改正した際、出資単位の引き上げに伴って1株に満たない端数の経済的価値が高まったことに配慮して設けられた制度であった。例えば、株の数を1.5倍
にする株式分割が行われた場合、10株持っている人は15株になるが、5株しか持っていなかった人は7.5株になってしまうことから、この0.5株分を端株と称して、その譲渡や買増しを認めてきたわけである。しかし、2005年の新会社法では、単元未満株式制度との関係を整理する観点から、端株という制度は廃止された。すなわち、新会
社法の下では端株が新規に発生することはなくなり、この世の中に残っているのは、改正前に発行された古い端株だけということになったわけである。そのため、株券の電子化に際しては、端株用の口座簿という制度は用意されなかった。
そこで、端株が残っている上場会社の多くは、株券電子化がスタートする前にそれを解消すべくさまざまな対策を講じている。これまでは、会社に対して端株の買取りを請求したり、逆に買増しを請求したりすることで、端株を
解消するよう促してきたが、株主側のアクションが必要であることから、この方法には自ずと限界があった。そこで、ここに来て会社が取り組み始めたのが、株式の大量分割というわけである。
例えば、1株を100株に分割したとすれば、先ほどのケースで7.5株を有していた株主は750株を保有することになり、問題は解決するからである。
いよいよ株券の電子化も秒読み段階に入った。システムの開発も含めて、スムーズな制度移行を期待したいものである。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:米サブプライム処理のスピードは日本の10倍!?
アメリカの住宅公社のファニーメイとフレディマックが経営の危機に直面していると言うことで
アメリカの金融当局が救済に乗り出している。
これは問題の深刻さを正面から捉えた措置だが、当局の常識から言うと、
信じられないくらいの早さで、信じられないくらいの大きさの対策を打っている。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080716/080716mag_subprime.html
2008 07 20 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン8月号掲載 「伯楽諫言」 木村 剛
5月18日付けの毎日新聞の「携帯電話:小中生の使用制限『法整備』で一致」という見出しの記事を読んで、正直ぶったまげた。小中学生が携帯電話を持つことを法律で規制するというのだ。教育再生懇談会という首相の諮問機関の意向だそうだが、危ないこと、この上ない。
子どもに携帯電話を持たせないという個々人のスタンスは是認できるし、私自身、そういう考え方に近い。それぞれの親が決めればいいだけだ。ただ、その程度のことに、いちいち国が出しゃばるという発想には恐ろしさを感じる。
さすがに反対意見もあったようで、教育再生懇談会の第一次報告では、「必要のない限り小中学生が携帯電話を持つことがないよう、保護者、学校はじめ関係者が協力する」という線で落ち着いたが、お上頼みが目立つ最近の風潮はいよいよ危険水域に入ってきた。「子どもを有害情報から守る」という意図は悪くないが、その処方箋として、携帯の保有を禁止するという発想は、子供じみている。残念ながら、世の中は、無害なモノばかりで構成されているわけではない。有害なモノに出合う確率は少なくない。だからこそ、有害なモノと無害なモノを峻別することのできる目利きや、有益なモノを探し出す嗅覚を、子どもに身に付けさせなければならないのだ。
目利きや嗅覚は、無菌状態の温室に隔離することで育成されるものではない。有害なモノと直面して誘惑され、時に失敗し傷つきながら、自分で身に付けていくものだ。子どもたちに必要なことは、自力で有害なモノの誘惑と戦い、打ち克つという体験である。
それなのに、「有害なモノから隔離すればいい」という誤解に基づいた正義が横行すると、健全な部分に様々な弊害が及ぼされる。改正貸金業法は、「高い借入金利から隔離すればいい」という誤った正義を振り回した結果、日本国中の資金の融通をストップさせた。「耐震偽装の危険から隔離すればいい」という短絡的な発想で作った改正建築基準法は、日本中の建設にブレーキを掛け、国内需要を一気に冷え込ませた。「投資に関するリスクから隔離すればいい」という教育的指導を潜ませた金融商品取引法は、金融機関の行動を制約し、資本の動きを鈍らせた。
どんなに元気な経済であっても、資金の流れが滞り、需要がしぼんで、資本が動かなくなれば、ダメになる。規制だらけで自由がなくなれば、かつての社会主義国のように、当然、沈滞する―― 残念ながら、それが、いまの日本の姿だ。
そういう認識のない政府は、さネットを取り締まろうとしている。しまいには、『消費者庁』という規制モンスターを出現させ、「企業=悪」というドグマに依拠して、経済統制を狙っている。一世紀遅れた社会主義者たちが「格差をなくせ!」と叫び、「消費者を悪い企業から隔離せよ!」と危険な実験を日本で行おうとしているのだ。本当にこのままでよいのだろうか。
非常に残念なことではあるが、「社会主義は富める者を引きずりおろすが、自由主義は貧しき者を引き上げる。社会主義は企業を殺すが、自由主義は企業を特権や保護の足かせから救う。社会主義は資本を攻撃するが、自由主義は独占を攻撃するのである」と喝破したウィンストン・チャーチルのような政治家は、日本の永田町には
いないようである―― 嗚呼。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:米サブプライム処理のスピードは日本の10倍!?
アメリカの住宅公社のファニーメイとフレディマックが経営の危機に直面していると言うことで
アメリカの金融当局が救済に乗り出している。
これは問題の深刻さを正面から捉えた措置だが、当局の常識から言うと、
信じられないくらいの早さで、信じられないくらいの大きさの対策を打っている。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080716/080716mag_subprime.html
2008 07 19 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン 7月号掲載]
東京メトロ副都心線が、来る6月14に開業する。従来の交通網から取り残されていた都心の街を、池袋・新宿・渋谷へとつなぐ。埼玉県からは東武東上線、西武池袋・有楽町線、将来的には神奈川県から東急東横線が
直通する。果たして新線開業は首都圏の大規模地殻変動を促すのか──
埋もれた街に駅が来た
東京都豊島区雑司が谷。夏目漱石、永井荷風など文豪や著名人が眠る雑司が谷霊園と子育て祈願で知られる名刹・鬼子母神を中心に、都心にもかかわらず、どこか鄙びた雰囲気を醸す街だ。そんな静かな街でも新駅建設が着々と進んでいる。これまで池袋・目白・護国寺など、周辺駅へのアクセスに時間を要した環境が大きく改善されそうだ。
東京メトロ広報部によると、この副都心線開通に投じられた費用(池袋〜渋谷)は総計2510億円、ルートは都心の大動脈の一つ、明治通りの下を走る。新駅のうち、雑司が谷・西早稲田・北参道の3駅は従来、地下鉄接続と無縁だった地域だ。利便性の低さから一帯には〝昭和風〞の街並みが残るが、新線開業で沿線は様変わりする可能性がある。
影響は無論、新線沿線の街並みだけにとどまらない。西武鉄道・東武鉄道は相互乗り入れでは副都心線と共同する格好だが、同線と競合する面もある。〝副都心線対策〞の一環として、6月14日からTJライナー(有料の座席定員列車)を運行する東武鉄道では、「開業で和光市〜池袋間の利用客減もありうる」(同社広報部)と想定
する一方で、「池袋駅(東武)リニューアルやTJライナーで沿線の優位性を高める。また副都心線利用者にも東上線の魅力をPRし、将来的な沿線価値向上につなげたい」と話す。
向上する利便性波及効果はどう出る?
副都心線は1985年に出された運輸政策審議会の答申で計画が示され、2001年に着工した。「開業初年度1日平均約15万人、東急東横線との相互直通運転開始予定前年度となる2011年度には1日平均約21万人の利用を想定」(東京メトロ広報部)とされる。
この新線開業の全体的な影響を、三菱総合研究所主任研究員の加藤勲氏は、「(副都心線の)両側の東武東上線、西武池袋・有楽町線、さらに東急東横線と直通することで、首都圏の鉄道ネットワークが充実する」とし、ルート面での特徴を、「オフィス街の大手町、東京、有楽町といった山手線内東南部を通らない点が従来の地下鉄
路線とは異なる」と指摘する。副都心線がオフィス街へ向かわないのは、当初の計画段階から、池袋〜渋谷間の山手線の混雑緩和を目的としていたためだ。だが埼京線の登場で、その混雑も若干緩和されつつある状況だ。では新線に寄せられる期待は何なのだろうか?
新線開通では、利用者にとっての〝身近な〞利便性が気になるところ。都営大江戸線開通時(00年)には、駅ホームが地上から深く、利用者からは移動が負担になるとの声もあった。
この点について東京メトロでは、「新たに建設した駅では全駅で上下エスカレーターのほか、地上までのエレベーターを確保している」とし、高齢化社会を念頭に着々と準備を進めている。
また同線開業は、都心の交通事情にも影響を与える。東京メトロは、「(副都心線が地下を走る)明治通りは都営バスの重要な幹線だが、開業はこの通りの渋滞緩和につながる」としている。一方で、渋滞緩和の見込みについて、「バスの運行体系が再編されるなどすればある程度の影響は出るだろうが、驚くほどの変化は見られない
のでは」(三菱総研・加藤氏)との見方もあり、開業後の変化は未知数だ。
05年のつくばエクスプレス(つくば〜秋葉原)開業では、新駅を中心に三井不動産が大規模な開発を行い話題となった。今回の副都心線でも、そういった動きが生じるのか。 沿線住民でなくとも興味をそそられるが、「鉄道の収益性だけでは、新線の開業効果は捉えられない」(加藤氏)上に、利用者の利便性向上や沿線住民増加による自治体の税収増など、開業の効果はさまざまな事象を複合的に見て判断する必要があるため、「経済効果は〜億円」といったわかりやすい数字を求めるのは簡単なことではない。
副都心で〝商圏〟獲得競争勃発か
新線開業でしばしば持ち出されるのが、「商圏」という言葉だ。「一定の商取引の行われる地理的範囲(広辞苑)」のことなのだが、「つくばエクスプレス」によって「秋葉原」の商圏が広がり、大きく注目が集まったのは記憶に新しい。国内最大規模のヨドバシカメラが集客に一役買っているほか、秋葉原UDX、アキバ・トリムといっ洗練された複合施設ビルがオープン、「オタクだけのもの」だった街のイメージが刷新され、商圏自体も拡大した。
副都心線開業ではどうなのか?新宿・渋谷は日本有数の商業施設集積を誇っている中、「もともと池袋は私鉄各線利用者にとって、目的地というより経由地の意味合いが強かった」(三菱総研・加藤氏)。
新宿・渋谷へ直行できることになる開業は、池袋という商圏にとって脅威になりかねない。
池袋の商業施設が、新線開業で新宿・渋谷との「顧客獲得競争」に巻き込まれるとの予測も出てくるゆえんだ。
「副都心線開業で大きな影響を被ることはないと考えている」と明言するのは、池袋西口の東武百貨店(以下、池袋東武)の広報担当・金井靖氏だ。
同氏によれば、JR埼京線が新宿へ延伸されたとき(1986年)も、「池袋の空洞化」が世間を騒がせたが、池袋東武では「ほとんど影響はなかった」という。
今回の開業についても、「池袋東武は食品の売り上げが全体の30%を占める地域密着型店舗で、〝ハレ〞の日に利用してもらうよりは、日常の用向きに応えるのが使命」(金井氏)とし、〝ハレ〞の新宿・渋谷の百貨店との「顧客獲得競争」は生じないとの考えだ。ここ5年間、1300億円程度で推移する売り上げにも変化は生じないと見る。「非日常の新宿・渋谷」と「日常の池袋」。戦う土俵が違うということだろう。
ピンチよりもチャンスが増える
池袋東武は関東地区百貨店の中でトップの売り場面積を持つ(8万3000㎡)。店舗内の構成も、ユニクロが入店し、低廉な商品から高級品まで幅の広い品揃えをアピールする。顧客層も性別や年齢に偏りはなく、「近隣住民から手軽に来店できる点で便利」と認知されている。従来の顧客が、物珍しさから一時的に直通列車で新宿・渋谷へ流れても、最終的には身近な池袋の利便性を選ぶはず。池袋東武はそう読んでいる。 むしろ同店では新線が集客増につながると期待している。沿線住民増が実現し、結果的に池袋を訪れる人口増も見込まれるからだ。また副都心線池袋駅は出口を西口側に持つため、JR線との連絡では必然的に同店を通過することになる。
「全集客の25%を担うこのエリアの入り口で交通量が増えるのはプラス」(金井氏)の効果が期待できる。加えて池袋東武が中核とする顧客は練馬、板橋、北、文京、豊島の5区だが、豊島区の場合、これまで東口側までしか来なかった駅東南部(雑司が谷方面)の住民も新線利用で西口へ呼び込めるという。
今年度中には東京メトロが地下鉄駅内商業施設「エチカ池袋」をオープンさせる。新線開業は、空洞化ではなく、池袋の商業施設集積を促す効果のほうが大きくなりそうだ。
三菱総研・加藤氏が指摘する「池袋独自の魅力を掘り起こせば集客増になる」とは、東武の戦略がまさに体現しているとも言える。
副都心線が生み出すインパクトは、利便性向上という点では非常に大きい。ただ東京・首都圏は街同士の〝棲み分け〞も進んでおり、商圏の大きな争奪戦が勃発する可能性は低いようだ。新線開業は、街の独自性をより鮮明にするきっかけとなるのかもしれない。
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副都心線とは・・・・
新設部分(池袋~渋谷)は全長8.9キロ。全体は東武東上線、西武池袋線・有楽町線から、新宿、渋谷方面へ直通する。2012年に渋谷から先、東急東横線との相互乗り入れも実現する。
東武・西武の両社では開業日に合わせてダイヤを改正する。東武は朝ラッシュ時に上り7本、昼間4本の渋谷行きの他、夕方ラッシュ時下り4 本を運転、西武は朝ラッシュ時に上り6本、昼間4本の渋谷行きの他、夕方ラッシュ時下り4 本を運転する(いずれも1時間あたりの本数)。直通運転は通勤サラリーマンの乗り換え負担軽減に貢献しそうだ。なお副都心線を走る列車は急行、通勤急行、各駅停車の3 種。池袋〜渋谷を急行11分、各停16分で結ぶ。
2008 07 13 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン7月号 連載コラム『超経済外交のススメ』 青山繁晴氏
時代の転換は、ちいさな予兆にこそ表れる。
中東イエメン沖で日本の原油タンカーが海賊に攻撃された。関係者は衝撃を受けたし報道もされた。だが船体の損害は軽微で、負傷者なく、航行に大きな支障もなかった。だから不可解な一過性の出来事として忘れられるだろう。
ところが、これまでの海賊事件と決定的に違う一点がある。
それは精製前の原油を積むタンカーが狙われたことだ。
海賊は転売できる積み荷こそを狙う。精製後のガソリンや軽油なら狙われてきたが、転売できないはずの原油が狙われたケースはあるか。海賊事件について、完璧に信頼できる国際統計はない。しかし日米英の当局者はいずれも「過去になかった」と話し、海上保安庁の公式アドバイザーを務めるわたしも、一度も聞いたことがない。
「お馬鹿な海賊が間違って襲ったんだろう」とみることもできる。それなら忘れ去ってよい。
だが、この海賊船を追尾した多国籍海軍の情報によると、海賊船は5隻が組織立った行動をとり、武装もロケットランチャーや機関砲を備えていたようだ。すなわち高度なプロフェッショナルという可能性がある。それならば精製設備を持つ国家あるいは企業が海賊団に発注して、この初攻撃となった可能性を考えねばならない。
襲われたタンカーは空荷だった。だから15万トンの巨体が16・5ノットで逃げ、海賊は約50分で追跡を止めた。これも「やはりお馬鹿な海賊」と考えて済ませる思考法もある。しかし「情報がまだ不充分だったか、日本船と多国籍海軍の動きをみる小手調べだったか」と考えてみる方法論もある。
海賊という言葉は、古い野蛮な賊のイメージだ。そのような海賊も確かにいる。だが多くは不法ビジネス集団であり、確かな需要か契約があって初めて動く。そうでなければ船団と戦闘員を維持できず、弾薬や糧食を補給できない。
そして、ちいさな事件の底流に巨大な潮流が動いている。眼を中東から北極海に転じてみよう。
北極海は、地球の温暖化によって氷が解け、北極グマが足場を失うという危機にある。そこへカナダは軍を出し、同じく軍をせり出してきたロシアと鋭い緊張が高まっている。なぜか。氷が溶けるのなら海底の資源を採れるからだ。
あの穏やかなはずのカナダにして、これである。世界は資源戦争に突入している。中国やインドの爆発的な資源消費がある以上、奪い合いは続く。この背景を考えれば原油タンカー襲撃が一過性とは、とても決めつけられない。日本が中東から船で油もガスも運べない時代も想定せねばならない。
この危機に備えるために、ひとつは自衛隊のシーレーン防衛の開始がある。そしてより根本的な解決として、自前資源の開発がある。
わたしたちはみな、日本は資源小国だと幼い頃から教わってきた。だが真実は、隠された資源大国である。人類の第四の埋蔵資源であるメタンハイドレートの世界最大級の埋蔵国だ。また国連機関の報告では、東シナ海の尖閣諸島から沖縄にかけて原油と天然ガスが一定量、埋蔵している。
日本の資源外交とは、外国からいかに安定的に資源を売ってもらうか、であった。これを東シナ海をはじめ、自前資源を新開発するための環境を整える外交に変える。まさしく超経済外交である。
2008 07 12 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン] 株式投資力 トレーニング講座
株式投資は、武器の多い人が勝ちます。PBR(株価純資産倍率)という武器を自由に使いこなす人は、PBRを見ない人より、有利に戦いを進めることができます。なぜならば、日本株投資では、PBRの低い割安な株に投資したほうが、PBRが高い銘柄に投資するより高いリターンが得られる可能性が高いからです。
道を歩いていたら、いきなり声をかけられました。「すいません。この1000円札、800円で買ってください」。1000円札が800円? そんなこと、あるわけないですね。でも、それと似たようなことが起こっています、日本の株式市場で。1株当たり純資産が1000円ある会社で、株価が800円だったりするのですから。日本株には、そんなのが、たくさんあります。現在、東証1部上場銘柄の約半数が、解散価値といわれるPBR(株価純資産倍率)1倍を割り込んだ異常事態です。
PBRとは、株価を1株当たりの純資産で割った数字です。株価が800円で、1株当たりの純資産価値が1000円だったとすると、PBRは0.8倍(800円÷1000円)です。日本では、普通に利益を上げていて財務内容になんの問題もない銘柄が、PBR1倍を割れですよね。
欧米の株式では、PBRは普通2~3倍です。つまり、1株当たり純資産額が1000円ならば、株価は2000~
3000円するってことですよ。なんだって、日本株ばかり、そんなに割安に放置されるのでしょう。私は、PBR1倍割れの割安株は買いの好機と見ています。ただし、投資企業を選ぶ際に気をつけなければならないことがあります。まず、今日のクイズを解いてください。
A社とB社、どちらもPBR(株価純資産倍率)が0.5倍。ずばり、買うなら、どっち?
会社の資産内容を図式化したものです。まず、A社を見てください。A社は総資産が1 兆円、自己資本が2000億円、負債が8000億円です。自己資本とは、返済義務のないお金のことです。これに対し、負債には将来の返済義務があります。銀行から借りたお金や、他人に一時的に立て替えてもらっているお金が負債です。自己資本の2000億円は俗に言う、解散価値です。A社の株式時価総額は1000億円です。A社株をすべて時価で買い取るならば1000億円必要ということです。つまり、解散価値の半分の金額で、会社が丸ごと買えることになります。
割安株投資には、成長株投資とはちがった醍醐味があります。解散価値であるPBR1倍を割り込むところまで売り込まれた銘柄を買えば、いつか、割安さが見直されて株価はPBR1倍まで戻るかもしれません。たとえば、PBR0.5倍で投資して、株価がPBR1倍になったところで売れば、投資した金額は2倍になります。投資した企業の売り上げや利益が倍になって株価も倍になるのを目指す成長株投資とは異なる面白さがあります。
ただし、PBR1倍割れ銘柄を買って、高いリターンを得るためには、一つ重要な条件があります。投資した企業が倒産しないことです……。解散価値を割り込むまで株価が売り込まれている銘柄には、倒産リスクが高くなっている銘柄も含まれています。上場企業とはいっても、本当に倒産してしまうこともありますから注意が必要です。
倒産リスクの調査は、厳密にやれば、とても大変な作業になりますが、一つ簡単な目安もあります。自己資本比率を見ることです。自己資本比率とは、総資産に占める自己資本の比率のことです。A社は20%(2000億円÷1兆円)、B社は80%(8000億円÷1兆円)です。自己資本比率の高いB社は、自己資本比率の低いA社よ
りも倒産リスクが低いと推定されますので、ここで買うなら、B社を選んだほうが無難です。 企業は、借金が返済できなくなると倒産します。借金がほとんどなければ、つまり自己資本比率が高ければ、たとえ業績はさえなくても、倒産することはないわけです。同じPBRの低い銘柄だったら、自己資本比率の高い銘柄を選んだほうが無難なわけです。
ただし、自己資本比率が20%のA社の倒産リスクが高いというわけでは決してありません。自己資本比率が2
0%でも財務内容に問題なく、黒字を計上している企業ならば、割安株投資として魅力的な投資対象です。でも、きちんと財務内容や業績動向を調べてから買うようにしましょう。そのような調査が自分ではできないという人は、あえて自己資本比率の低い銘柄を選ぶべきではありません。
PBR0.5倍で投資したら、倒産しない銘柄であれば、「果報は寝て待て」。1年後か2年後か、はたまた5年後かもしれませんが、いつか割安さが見直されて、株価がPBR1倍まで上昇するかもしれません。5年なんて長すぎるなんて言わないでください。5年で株価が倍になればリターンは+100%ですから、年平均20%のリターンに
なります。他人のすすめる株を買って下がってしまったり、短期トレーディングで失敗して苦い思いをした人は、一度ぜひ、割安株の長期投資に挑戦してみてください。急がば回れ。
窪田 真之(くぼた・まさゆき)大和住銀投信投資顧問シニア・ファンド・マネー
ジャー。日本証券アナリスト協会の企業会計研究会委員。企業会計
基準委員会のセグメント情報等開示専門委員会専門委員。
2008 07 06 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
第7回資産運用サミット2008
北野 一 JPモルガン証券株式調査部 マネジングディレクター チーフストラテジスト
朝倉智也 モーニングスター社長 COO
木村 剛
暫定税率や日銀総裁人事など政治の迷走が目立つ中、景況感は悪化し、物価は上昇している。経済の専門家や企業トップによる講演などが行われた「第7回資産運用サミット2008」。「いま個人投資家が持つべき視点・取るべき行動」について考える機会となったようだ。詳細をレポートする(肩書きは当時)。
景況感が “ようやく”悪くなってきた
4月12日午後、東京・六本木のアカデミーヒルズ。約300人の個人投資家らが来場した「第7回資産運用サミット」の冒頭、フィナンシャル ジャパン発行人の木村剛が「日本経済と金融の行方」と題して講演した。
最近の景況感について「大企業を含めて“ようやく”悪くなってきた。だが中小企業の景況感は以前から良くなかった。年商1億円以下、従業員10人以下の小企業は深刻で、特に2007年の秋口から特に悪くなったと感じている経営者が多かったはず」と述べた。
サブプライムローン問題が表面化して以降、日本ではアメリカ経済を心配する声が高まっているが、「日本のほうが株価は下がっている。アメリカより自国の心配しなければいけない」と訴えた。
日米の対応のスピードに大きな差があることを問題視。アメリカは、シティグループのトップ更迭、中東マネーの受け入れ、FRBによる特融などが一気に行われた反面、「日本は90年代の不良債権処理を思わせる遅さ」と指摘。「福田政権はその原因を真摯に考えるべきだ」と警鐘を鳴らした。
日本の現状を憂れうべき証拠として、「欧米と日本の金融機関の貸出量が、サブプライム前と後でどれだけ変化したか」というデータを提示。07年1月と8月の各前年同月比を見ると、アメリカの法人貸し出しは1月より8月のほうが5.8ポイントも伸びて19・8%になっているし、EU(欧州連合)加盟国も同様に1.3ポイント伸びて14・5%に
なっている。一方の日本は、2.8ポイント下がって▲0.3%。前年よりも法人への貸し出しが減ったということだ。
その上で、こうした日本の現状を「行政不況」と断じた。例として、金融商品取引法の施行で金融商品の説明に何時間もかかるようになったことや、建築基準法の改悪で審査に時間がかかるようになり新規住宅着工件数が激減したことなどに言及した。
さらに、貸金業法の改悪でグレーゾーン金利が廃止され、商工ローンなどの貸金業者による貸出金額が、以前の半分である10兆円程度になるとの見通しを示した。「中小企業が借りている金額を1社500万円としても、200万社が影響を受ける計算だ。少なめに見積もって50万社が商工ローンから借りているとして、日本にある440万社からすると8社に1社は貸し渋りにあう。これで経済に影響がないわけがない」と訴えかけた。
こうした中で、資源価格のみならず、各種の物価指数も上昇していることに触れ、インフレに負けず、政府や年金だけを当てにしないためにも、投資の必要性があると述べて講演を締めくくった。
米国金利動向に注視――北野
予測より分散投資を――朝倉
「負けない投信の選び方」と題したパネルディスカッションには、投資信託の評価を行うモーニングスターの朝倉智也・社長COOと、JPモルガン証券株式調査部でチーフストラテジストを務める
北野一氏が登場した。司会はFJ発行人の木村が務めた。
北野氏はまず、日本の実体経済がかなり悪くなっているとした上で、日本の株式市場がアメリカの金利動向にリンクしていることを指摘。「FRBの金利引下げが打ち止めになれば日本の株も下げ止まるだろう」と述べた。その例として、06年にはアメリカの金利引き上げが一旦止まった、その10週前に日本の株価が当時のピークを
つけていることを挙げた。
朝倉氏は「常々、『マーケットを予測して買っては行けない』とお話ししている。サブプライムローン問題が起き、先進国とのリンクは低いと見られ、一時は上がり続けた中国などエマージング諸国の株価も、結局今では下がっている。この点、予想を外した専門家もたくさんいる。だからこそ分散投資が必要なのです」と自説を展開。分佐藤氏の方法として「違った値動きをする商品を複数買うこと。よくわからない商品に投資しないことです」と訴えた。
さらに、日本の金融資産が約1500兆円として、投信の残高は約75兆円に過ぎない。一方でアメリカは1200兆円もあるという事実を挙げ、「国内外、株式や債権などにバランスよく投資してくれる投信がもっと投資先になら
なければ」と話した。
投信選びのポイント
分散投資はつまらないが……
日米の投資について考え方の違いについて北野氏は、欧米の運用会社では、ファンドマネジャーの評価が過去8年の成績でボーナスが決まることもある一方、日本では四半期とか半年、1年での結果が求められるとし、「日本の投資家のほうが、予測が当たったか外れたかどうかに対する評価が厳しい」と述べた。理由として、海外の投資家は、投資先を最終的に決めるのが自分であるという意識があるからだと述べた。海外では、予測の当たり外れよりも、(予測が自分の考えに)刺激をもたらしたかどうか、論理に一貫性があったかどうかが重視されるという。
朝倉氏は、日本の個人投資家には、目的を持たずに投資している人が多いと述べ、「目的がないから、リスクを取る必要のない人が取りすぎていたり、逆にリスクをもっと取って投資していい人が、リスクを取らなすぎたりしている」と問題提起。「『半年で倍になる商品を教えてくれ』などと言われることがあるが、それは投資ではなく投機です」として、あくまで長期投資の必要性を強調した。
さらに朝倉氏は、投信選びのポイントとして、▽過去5年以上など長期にわたる運用実績▽トータルでかかるコスト(ノーロードでも信託報酬が高いものがある)▽運用会社の得意とする分野――などを見ることを提案。販売員から商品に関する説明を受けたあとで、「ところであなた(販売員)はこの投信を買ったのですか? と聞けばいい」とまとめた。
北野氏は豊富な経験からさまざまなエピソードも披露した上で、「分散投資はつまらないものです。隣で集中投資をしてたまたま高リターンを出している人がいても情をコントロールしてそれをうらやまず、“平凡な”利回りを出
すことです。年7%でも複利運用すれば10年で元金が倍になるのですから」と呼びかけた。
来場者の中には、メモを取っている人、真剣なまなざしで壇上を見つめる人も少なからずいて、経済の先行きが不透明な時代だからこそ、投資の指針が求められていることがうかがえた。
資産運用サミットではこのほか、保育所運営会社などを傘下に持つJPホールディングスの山口洋社長によるIRプレゼンテーション、木村剛との対談なども行われた。
2008 07 05 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン7月号掲載]
【会社法がわかれば商売がわかる!】 中央大学法科大学院教授 野村 修也氏
上場企業のうち株主優待制度を実施している会社は、1000社を超えている。そのうち7割以上の会社は、5月から7月にかけて優待品を株主に届けている。まさに、春から夏にかけてのこのシーズンは、株主優待の季節だ。
個人株主増強策として、すっかり定着した感のある株主優待制度であるが、最近では、その内容にも進化が見られるようになっていることは周知の通りである。
例えば、株主優待に代えて、社会福祉施設やNPO法人等への寄付を選択できるようにする会社も見られるようになった。会社が用意している優待品(自社の飲料水)の代わりに環境活動への寄付を選択できるようにしている、アサヒビールやキリンホールディングスなどがその代表例である。そのほか、目薬の商品名を社名に採用しているロート製薬では、盲導犬の育成に努めるアイメイト協会への寄付を選択できるようにしており、本業と親和性のあるCSRの運動に株主を巻き込むことが試みられている。
その他、注目すべき傾向として、優待内容に工夫を凝らす企業が増ている点も指摘できる。例えば、アパレル業のクロスプラスは、100株以上の株式を有する株主を対象に、株主総会の会場で海外旅行券の抽選を行っている。TBSやテレビ東京などのように、スタジオ見学や公開番組への招待といったユニークな株主優待を実施
しているところもある。
そんな中で注目されているのが、同じ株式数でも長期に保有している者への優待を厚くする仕組みである。例えば、インターネット上で飲食店の情報を提供しているぐるなびは、株主優待として飲食券を配っているが、3年以上連続して株式を保有していると、その枚数が倍になる仕掛けだ。お米券を配っている投資会社の昭栄の場合も、3年以上連続して株式を保有している株主には、1 kg分のお米券が追加されることになっている。
株式の長期保有に対するインセンティブを付与しようとするこの試みは、一歩間違えれば、露骨な安定株主工作を通じた買収防衛策と見られる危険性があることから、リーガル・チェックが不可欠である。
株主優待制度が抱える法的な問題点は、①株主に対する利益供与の禁止規定(会社法120条)に抵触しないか、②株主平等原則(会社法109条)に違反しないか、③配当規制(会社法453条以下)の脱法行為となっていないか、という三点に集約できる。①については、形式的にみれば株主優待は会社法120条に抵触しそうであ
るが、同条はもともと総会屋に対する利益供与を禁止する趣旨で設けられたものであるから、その趣旨に照らし、株主優待には適用されないというのが通説である。
しかし、敵対的買収が現実化している中で、突如高価な株主優待が導入されたり、長期保有に極端な優遇措置を設けたりすれ、会社法120条との関係が問題になる可能性は否定できない。また、合理的範囲を逸脱する形で、差別的な優待制度を導入したり、分配可能額がないために無配になっている会社が、漫然と高額な株主優待を継続することにも、厳しい目が向けられる可能性がある。
特に、最後の点については、金銭のみならず現物での配当が認められるようになった新会社法の下では、配当と優待との区別が難しくなっていることにも留意する必要がある。
2008 06 29 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン7月号掲載] 少子化日本で勝つ“ディズニー” コンテンツ力が支える快進撃
東京ディズニーリゾート25周年記念セレモニーはファン殺到
「25周年記念オープニングセレモニーにご来場ありがとうございます。これもひとえにこれまで来場してくれた多くのゲスト、支えてくれたパートナーであるウォルト・ディズニー社のおかげです」。
4月15日、東京ディズニーランドのシンデレラ城前で開かれた「東京ディズニーランド25周年記念オープニングセレモニー」で、オリエンタルランド(OLC)の加賀見俊夫代表取締役会長兼CEOはそう語った。続いて米ウォルト・ディズニーのボブ・アイガー社長が登壇し、「米ディズニーにとっても意義深い日」と祝辞を述べ、「これからの25年に大きな期待を寄せています」とした。
さらにシンデレラ城の上方にミッキーマウスが顔を出し、25周年の開幕を告げると花火が華々しく打ち上げられ、楽隊の演奏とともにキャラクターやキャストが賑やかに踊るイベントが始まった。
この日は、平日にもかかわらず開演前には1万5000人を超えるゲストが東京ディズニーランドの入り口前で列をなしていた。1年間を通じて行われる25周年記念イベントに向けられるファンの期待は大きい。開門の時刻を迎えると、来場者が勢いよく駆け込む光景が見られた。OLCが掲げた今年のテーマは、〝夢よ、ひらけ。〞だ。今年も夢見心地のひとときを求める人が数多く来園するのだろうか――。
3月、「ウォルト・ディズニー・ジャパン」の動向が大きな注目を集めた。まず同月1日に「ディズニー・モバイル」がスタートした。次いで6日には、日本におけるアニメ制作が発表された。今年は奇しくも「東京ディズニーリゾート25
thアニバーサリー」。〝ディズニーイヤー〞めいたものすら感じられてくる一連のニュースだった。
東京ディズニーリゾートを運営するOLCは、米ウォルト・ディズニーからライセンスを受けて運営する(同社広報部)という立場にあるものの、「〝ディズニー〞のコンテンツがわれわれの大きな強みのひとつ」とするように、コンテンツの浸透力とは無縁でない。コンテンツの人気と盛り上がりは追い風にもなる。
少子高齢化にも対応東京ディズニーリゾートの戦略
OLCによると、07年度の東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの合計来園者数は2542万4000人。これは前年比98・5%だが、同社広報部は「これまで〝周年〞の年は増加となってきた。25周年の今年は過去最高を目指したい」と意気込む。
OLCは昨年5月に発表した「中期経営計画」で、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーという「コア事業の更なる強化」を掲げた。ここに、「ターゲットの明確化」という項目が含まれている。
これについて、OLC広報部は、「子供向け」の発想から脱した魅力開発・提供で時代に応じていく姿勢を強調する。
「従来はファミリー中心で来園者を見ていたが、近年は、子どもが参加できる〝ディズニーキッズ・サマーアドベンチャー〞や、子育てを終えた世代向けにディズニーシーで実施する〝フラワー&ツリーツアー〞といったサービスを用意している」。
こういった老若各階層の特性に合わせた〝参加型〞スタイルの手法は、少子高齢化が進行する中、マーケット確保の意味で有益な手だてとなろう。
また「クオリティの向上」(同経営計画)の一環として、今年7月には総工費440億円をかけた「東京ディズニーランドホテル」が開業する。室数はリゾート内のディズニーホテルでトップの705室で、「現在来場者の3割半ばを占める〝滞在型の来場者〞を、これからもっと増やしたい」とするOLCの狙いを象徴している。
10月には、「アレグリア」などで知られるエンターテインメント集団、「シルク・ドゥ・ソレイユ」専用の常設劇場「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京」がオープンし、滞在型で楽しめる環境づくりは着々と進んでいる。
OLCでは、年々増加しつつあるアジアを中心とした、海外からの集客にも着手している。専門の営業チームを設置し、中国、香港、台湾、韓国で現地メディアを巻き込んだPR活動を展開中だ。06年度の時点ではこの層は、全来場者数の3.6%と占有率は低いものの、中国をはじめとしたアジア圏の成長が、東京ディズニーリゾートの来
園者増につながる可能性もある。
徹底した〝非日常〟の演出
End重視で満足感を引き出す
娯楽産業のサービス創出に詳しい長島直樹氏(富士通総研上席主任研究員)は、東京ディズニーリゾートの独自性を、「全体システムでの非日常性創出」にあるとする。
外部の日常的な建物が見えないよう配慮された設計は、その最たるものだ。同氏は、「①コンテンツ(アトラクション、ショー・花火)、②〝キャスト〞と呼ばれる現場スタッフ、③心理学を応用した空間設計」が相まってリピーター率95%という驚異的な数字を残す結果につながっていると分析する。
さらに長島氏は、東京ディズニーリゾートは「ピーク・エンド・ルール」に照らしても理に適っているという。同ルールは、米国の行動経済学者ダニエル・カーネマンが提唱、顧客の評価は最高もしくは最悪の時間(Peak)と最後の体験(End)で決まるとするもの。
夜に花火を打ち上げ、帰宅する来場者が駐車場から出るときも自社スタッフが丁寧に応対するのも、このルールに適い、来場者の満足に寄与していると同氏は見る。02年には、首都圏で「横浜ドリームランド」「向ヶ丘遊園」、関西圏では03年に「宝塚ファミリーランド」、06年に「神戸ポートピアランド」が閉園した。「子供向け」の遊園地は、少子化の時代、厳しい戦いを強いられる。
だがもちろん希望はある。エンターテインメント自体にお金を使いたいと考える人が減少しているわけではないからだ。経済産業省の調査によれば、所得が年間100万円ずつ10年間増える(計1000万円)と仮定した場合に、「娯楽」は「貯蓄」に次ぐ2位で約140万円が割り振られるとの結果が出た。
同調査では、全体で見ると60代〜70代がもっとも「娯楽」にお金を注ぎ込みたいと考えている(=遊びたがっている)ことから、テーマパーク・遊園地ビジネスにとって、「孫を連れて」というニーズの捕捉が今後は重要事項となるかもしれない。
この点で、「大人が〝遊園地〞に行くという心理的抵抗を取り除く〝テーマパーク〞のスタイルを確立している東京ディズニーリゾートは強い」(富士通総研・長島氏)との見方が成り立つ。老若各階層の嗜好・興味を丁寧に読み取る姿勢が、テーマパーク・遊園地ビジネスの厳しい状況下でも、同リゾートの好調を導き出す要因なのだろう。
注目集まったモバイル進出コンテンツ力で集客効果
「ウォルト・ディズニー・ジャパン」は3月1日から、ソフトバンクモバイルと協同して「ディズニー・モバイル」をスタートした。ユーザーは既存の携帯電話サービスが提供する主要サービスすべてが利用可能なほか、ディズニー・デザインの携帯電話機(シャープ、ソフトバンクと開発)、ディズニー・ドメイン(〜@disney.ne.jp)、限定コンテンツなどのサービスでファンに訴求していく。
ビックカメラ有楽町店の原沢友之・携帯電話コーナー主任は、ディズニー・モバイルの勢いを、「発売から3月下旬にかけて非常に勢いがあり、まさにお客さまが〝群がっている〞印象があり、契約も伸びた」と語る。
同氏によると、立ち止まって手に取るのは10代後半から30代の女性が圧倒的だったという。「毎日を楽しく生きたい20〜30代を中心とする女性にむけて開発されたサービス」(ウォルト・ディズニー・ジャパン発表資料より)という送り手の戦略は、見事に成功している。
「注目度の高さは商品カタログが短期間でなくなったことからもわかる。1000部程度用意しても2、3日でこれがはけてしまったため、店頭に置く際、部数を限定せざるを得なかった。通常の携帯電話ではこういうことはない」(原沢氏)やはり、〝ディズニー〞という知名度・認知度の高いコンテンツによって、来店者の目を引く効果が生まれたことは確かなようで、中年の来店者まで足を止めていたという。
〝ディズニー〞は、送り手の意図を超えて、老若男女を問わず、幅広い層に受け止められていると言っていい。 「4月に入って若干落ち着いてきた感じもするが、今後は新商品が投入されるとの話も聞いている」(原沢氏)ため、これまで以上の反応も見込まれる。
日本市場を意識かアニメにも〝ローカル色〟
アニメと言えば、世界的な高評価を受け、〝日本のお家芸〞との意識も国内で高まっているが、今回のウォルト・ディズニー・ジャパンによる日本でのアニメ制作は、日本の制作会社と協業する形であり、日本のアニメ力を取り込もうという意図も感じられる。同社は『リロ&スティッチ』(03年)を、沖縄県竹富島を題材にテレビアニメ『スティッチ(仮)』として日本で制作すると発表した。日本市場を強く意識した作品作りを視野に入れている。
〝ディズニー〞はアメリカ発の〝舶来品〞だが、アニメ、キャラクター商品、そしてテーマパークの魅力を通じ、国籍〞を超えた市民権を得るに至った。始まったソフトバンクとの協業、日本のアニメ制作会社との提携、東京ディズニーリゾート25周年もさらにその流れを強めるだろう。確立された〝コンテンツ力〞を基盤に、少子高齢化で日本の人口構成が変わろうとも、性別・年齢を超える〝ディズニー〞の快進撃は変わらず続きそうだ。
2008 06 28 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 7月号掲載
連載コラム―ミクロを変える経済 財部誠一氏(経済ジャーナリスト)
「分けてください」
本当に美味しいものを売っている京都の老舗に買い物に行くとき、ついついそんな言葉がでてしまうと、堀場さんが言う。堀場さんとは、あの堀場製作所の創業者、堀場雅夫さんだ。BS日テレの情報番組『財部ビジネス研
究所』の取材でお目にかかった時の話である。
本当に価値のあるものを作れば、お客さんのほうから「お願いですから、分けてください」と言ってくる。それくらい価値のあるものを創りださなければいけないというわけだが、私にはこの言葉がじつに新鮮に響いた。短期の収益を追いかけるあまり、コストカットや合理化ばかりが取りざたされるようになり、商品の価値そのもので勝負をするという思想が、ないがしろにされすぎてはいないだろうか。
「分けてください」と客に言わせてしまう京都の老舗は、見ようによっては「プロダクト・アウト」に見える。客の事情などおかまいなし。供給者の論理で、一方的にモノを売ろうというやり方は最低最悪だ。対照的にお客さんの声、市場の声に真摯に耳を傾けた「マーケット・イン」が正しいと誰もが言う。その通りだ。だが客におもねり、値
下げまでして売ろうというのはちょっと違う。価格競争しなければ売れないというのは、市場価値が低いだけである。本当にお客さんが望む商品やサービスを提供していれば、お客さんのほうから出向いてきて「分けてください」となる。
商売の本質だ。
先日、大阪で日伝の西木利彦社長とお目にかかった。日伝は産業機械や工場設備などに必要な部品等々を幅広く扱う卸問屋である。この西木社長からこれまた驚くべき新鮮な言葉を聞かされた。「うちは仕入先第一主義です。顧客第一主義ではありません」
卸問屋としての価値は、いい品物をどれだけ扱っているかで決まる。まずやらなければならないことは、素晴らしい商品を生産している仕入先との間で絶対的な信頼関係を構築することだという。それができなければ、お客さんの要求に応えられない。問屋の価値を決めるのは仕入先の価値だというわけである。
まさに「分けてください」に通じる考え方だ。最近は猫も杓子も口を開けば「顧客第一主義」。だが言葉通り、本当に顧客利益を第一に考え、行動している企業はめったにあるものではない。ほとんどすべての企業は「自社第一主義」だ。自分の会社の利益が第一で、それを最大化するための手段、方便、それが世の中一般の「顧客第一主義」である。
しかし堀場さんの「分けてください」や西木さんの「仕入先第一主義」という思想のほうが、実質的にはどれだけ顧客利益にかなっているかわからない。本物の価値、最高の価値を顧客に届けるという哲学が彼らの言葉の背景から見えてくる。本物の価値、最高の価値を顧客に届けるという哲学が彼らの言葉の背景から見えてくる。
自分の会社にとって本当の「顧客第一主義」とはなんなのか。そんな議論をまじめに、繰り返し、やってみる。いまこそ青臭い議論が必要なのではないだろうか。会議で「マーケット・イン」をいくら叫んだところで空しいばかりだ。顧客への思いの深さが商売繁盛を呼び寄せるのである。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ: 社会保険庁をぶっ潰せ
福田首相が消費税の引き上げを示唆するような発言をした。
今の財政状況を考えれば、何らかの増税は必要ということは理解できる。
しかし、我々の保険料を無駄使いしている社会保険庁を残したままの増税には反対だ。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080618/080618mag_shaho.html
2008 06 22 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン7月号掲載 「伯楽諫言」 木村 剛
4月16日、経済産業省は、英投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンド」(TCI)による電源開発株の買い増しを中止することを決定した。資本に関する外資規制自体は他の先進国にもある。だから、判断自体を間違いだと言うつもりはない。
ところが、反対する論理の中身が薄っぺらすぎる。ある関係者は、「TCI は3~5年の投資期間を考えているからダメ」と語ったが、国内のファンドに対しては、同様の規制を課すつもりがない。そこで、「国内では短期で逃げる人はいない」と語ったからビックリ。いつから日本人投資家は、長期投資家に変身したのだろう。
そもそも、TCI が短期間で高い投資効率を求めると、電源開発の経営が不安定になり、電力料金が上がったり、安定的に供給されなかったり等の影響が出る、という筋書き自体に無理がある。
中でも、「TCI ファンドに対する勧告について」という公式文書には、「電源開発に対してROE を少なくとも10%、
ROA を少なくとも4%といった経営指標の目標値を設定し、その達成に経営陣が説明責任を負うことを要求している。他方、これら要求内容の具体的な実現方法は必ずしも明確ではない」と記されているのだが、これは笑止千万。
株主がわがままなことを言うのは彼らの権利。命の次に大事なおカネを投じているのだから、経営を委託した経営者に対して、高い目標を要求するのは当たり前だ。
その手の要求に対して、「それは、こういう方法で成し遂げます」と応えるのか、それとも、「大変申し訳ありませんが、その要求は非現実的と考えます。ただし、この程度の目標であれば達成してみせます」と回答した上で、結果を示して戦うのが、経営者の手腕と力量というものである。
なお、TCI が求めているROE10%という水準は、厚生年金を運用している企業年金連合会が要求しているレベルと同じ。法外に高いものではない。
だから今回の顛末をみていると、「年金を運用する主体が必要としている利益水準を、日本企業に求めるなんて強欲だ」と開き直っている感じすら受ける。
わが国の株式会社を率いる経済産業省がそういう考え方に染まっている限り、私たちの年金の運用利回りが改善することはない。そういう体たらくだから、公的年金はうまく運営されないのだ。
冷静に考えてみてほしい。「具体的な実現方法を株主に問う」というのは、「現経営陣はバカなので、その要求にお答えする方法がわかりません。だから、株主であるあなたが示す義務があります」と主張しているに等しい。だったら、トットと現経営者をクビにすべきということになる。
要するに経済産業省は、「俺たちの会社である電源開発に文句を言うやつは要らない」と言って、駄々をこねているだけなのだ。電源開発は2004年10月に上場して以来、営業利益を減らし続けているが、天下りを含めた役員全体の報酬は増額され、一人当たり7000万円ももらっている。トップは1億円を軽々と超えているに違いない。
それだけの高給を食んでいる経営者であれば、ROE1割というハードルごとき軽々と超えてみせてほしい。それが、経営者としての心意気なのではあるまいか。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ: 社会保険庁をぶっ潰せ
福田首相が消費税の引き上げを示唆するような発言をした。
今の財政状況を考えれば、何らかの増税は必要ということは理解できる。
しかし、我々の保険料を無駄使いしている社会保険庁を残したままの増税には反対だ。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080618/080618mag_shaho.html
2008 06 21 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
皆さん、こんにちは。木村剛です。「むとうすブログ」さんが、圏域人口や羽田空港までの所要時間が酷似している福島空港と比較しながら、茨城空港について語ってくれています。
福島空港について。現在一日に片道で、大阪へ5便、札幌へ2便、沖縄へ1便飛んでいる。・・・2007年度の国内線利用者は40万人ほど。・・・福岡便が2006年に、名古屋便が2007年になくなっている・・・。・・・大阪便の・・・利用率は平均で60%前後で、小型機を使って便数を増やしても、利用者の減少に歯止めが掛からない・・・。2007年度には関空便が1往復減、今年はさらに伊丹便が1往復減っている。・・・大阪便には、札幌便や那覇便にない利用価値がある。それは、福島空港では維持できなかった福岡便をはじめ、四国、九州方面へ、大阪乗り継ぎ利用を期待できるという点。しかし、新幹線を使って羽田空港を利用した方が安い。しかも便数が多いので時間的なデメリットは大きくない。つまり、お金を出して都心での乗り換えを嫌う人にしかメリットがない。 茨城空港について考えてみる。・・・需要予測は年間約81万人とのこと。しかし、東京へのアクセスで似た条件にある福島空港から見ると、まず、大阪便、札幌便、沖縄便で福島空港の年間利用者40万をクリアできるかどうか。これが結構厳しいハードルであることが見えて来る。羽田空港までの料金はどうかというと、郡山からは新幹線を使って8,440円で、水戸からは特急を使って4,490円、バスならさらに安くて3,500円。この差が小さくないように見える。茨城空港で札幌、沖縄、大阪以外のルートはどうか。やはり羽田空港に料金的に福島空港より近いという点が大きい。福島空港で飛ばなかったものが、茨城空港で飛ばせるとは想定し難い。昨今は、燃料高騰によりむしろ地方路線は整理が進んでいる。そんな中で、福島空港よりも条件が悪そうに見える茨城空港に対して、茨城県の要請に応える会社がいくつあるだろうか。
要約すれば、茨城空港はペイしないということですね。「むとうすブログ」さんの読みは概ね正しいのではないか、という感じがします。額賀財務大臣は増税による財政再建を唱えていますが、地元空港の不採算性に目をつぶるのであれば、説得力はほとんどない。消費税率アップの前に、茨城空港を断念することを英断したらどうでしょう?
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ: 蔓延する政府規制への「変な妄想」
政府の教育再生懇談会の第一次報告のなかで、
「有害情報から守るため、小中学生に携帯電話を持たせない」という提言が出された。
法律で規制するという話まであったこの問題だが、あまりに純粋培養だし、
この問題に限らず、「政府がちゃんとやれば何とかなるんだ」という
変な妄想が増えてきていないだろうか。
2008 06 17 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン6月号掲載]
【会社法がわかれば商売がわかる!】 中央大学法科大学院教授 野村 修也氏
4 月1日より、上場企業の四半期開示が充実した。金融商品取引法の施行によるものである。
わが国における四半期開示の制度は、東証マザーズの創設に伴って、1998年から始まった。その後、東京証券取引所が、新興企業のみならず上場企業全体に四半期開示を義務付けたのは、2003年4月のことである。し
かし、これらはあくまでも取引所の自主規制であって、従来の法律では、通期決算と半期決算が義務付けられていたにすぎなかった。
そのため、取引所の自主ルールに基づく四半期開示については、公認会計士や監査法人による監査は行われず、仮にその開示内容に虚偽があったとしても、罰則の適用はなかった。また、損害賠償を容易にするための推定規定も適用されないといった点が指摘されてきた。さらに、開示すべき期限も明確ではないといった問題があっ
た。こうした問題点は、今回の法制化によって大幅に改善された。四半期報告書への虚偽記載に対しては、刑事上および民事上の厳しい制裁が加えられるようになったほか、公認会計士または監査法人による簡易監査も導入された。さらに、四半期報告書は、3カ月ごとの期末から45日以内に提出することが義務付けられた。
一方、会社法は、これに先立って、四半期配当を可能とする制度を導入している。旧商法の下では、営業年度を1年とする会社は、年に1回の利益配当と、年1回の中間配当しか認められなかった。しかし、剰余金の配当と実質上同じ機能を持っている「自己株式の取得」が何度でもできるのに、配当だけ回数を制限するのはバランス
を欠くといった批判が強かった。また、分配可能額の範囲内でのみ配当を認める形にするのであれば、債権者の保護に欠けることにはならない。そこで、会社法は、利益配当の回数制限を撤廃し、期中に何度でも配当を行えるようにしたわけである。
その結果、株式会社が、最終の事業年度の直後の事業年度に属する一定の日(臨時決算日)を定めて、その日における財産の状況を把握するための臨時計算書類(441)を作成し、決算に要する監査等の手続き(441ⅡⅢⅣ)を経た場合には、臨時計算書類に属する損益計算書上の当期純利益(461Ⅱ②イ・⑤)と、自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価額(461Ⅱ②ロ)を、分配可能額に加算することが認められることになった。言い換えれば、分配可能額の算定基準時を臨時計算書類の確定時にずらすことによって、最終の事業年度の決算日後に生じた利益を株主に分配することを可能としたわけである。これにより理論上は期中に何度でも配当できることになるが、決算の手続きを要することからすれば、事実上は四半期配当を想定したものと理解できる。
いずれにせよ、いよいよわが国でも、四半期ごとに決算を行い、その業績を開示するとともに、四半期ごとに剰余金を配当する時代が現実味を帯びてきたことになる。現場からは、3カ月ごとに「業績を作るのが大変」との声もささやかれているが、決算はそもそも「作る」ものではない。その意味では、会社の側に「お化粧」の時間を与えないことが、これらの一連の改正の最大のメリットかもしれない。
2008 06 15 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン] 6月号掲載 勝者の実学 スポーツジャーナリスト 二宮清純氏
北京五輪を前に、競泳は空前の世界記録ラッシュに沸いている。先の欧州選手権では男子50、100m 自由形のベルナール(フランス)、女子50m 自由形のフェルトハイス(オランダ)、同400m 自由形のペレグリニ(イタリア)らが立て続けに世界新記録を樹立した。
AP 通信によると、2月中旬以降に生まれた世界新記録は実に13。このうち12までがスピード社製の水着によるものだった。
ここまでくれば何がしかの因果関係があると見るのが自然だ。偶然の産物とはとても思えない。
さすがに「水着と浮力の関係」を無視できなくなったのか、国際水連は調査に乗り出す構えを見せているが、スピード社は「国際水連は一度、使用を認めている。なぜ今になって問題視するのか」と疑問を呈している。
五輪の歴史は、同時に用具類の“進化”の歴史でもある。水着に限って見ても、1960年代から70年代にかけてはまだスクール水着をアップグレードさせた程度のものだった。
それが80年代に入ったあたりからシームレスや超極細繊維の水着が続々、登場し、90年代に入ると画期的な低抵抗素材による水着が生まれる。水との摩擦抵抗を極限にまで減らす研究が進んだことで、いよいよ「ハイテク水着」の時代を迎える。
その象徴が2000年シドニー五輪を席捲した「サメ肌水着」だ。ほぼ全身を覆うボディスーツ型で、イアン・ソープ(オーストラリア)が400m 自由形をはじめ合計3個の金メダルを獲得したことは記憶に新しい。
「サメ肌水着」というネーミングでもわかるように、水着の表面にはV字型の溝が刻み込まれていた。整流効果を高めるためだ。流水力学の結晶がこの「ハイテク水着」だったのである。
聞くところによると製品開発チームは実際にサメが泳いでいる姿を観察し、ウロコの形状まで事細かに調べ上げたという。
ところで新型水着が登場するたびに「ルール違反だ」「いや合法だ」との議論が巻き起こる。国際水連は「推進力や浮力を与える用具」の使用を禁止しており、規定に抵触するかどうかが争点になる。私に言わせれば、五輪競技はルールと科学技術の進歩との永遠のいたちごっこである。字義どおりに解釈すれば、水着の生地表面
の凹凸を熱プレスで加工するだけで、これはもうルール違反である。表面にV字の溝を刻む「サメ肌水着」なんてもってのほかだ。
そもそも水着メーカーは「推進力や浮力を与える用具」こそを最良の製品として追求しているわけであり、その結果としての世界新記録の誕生なのだ。
一部にルールの一層の厳格化を主張する者もいるが、今さらスクール水着の時代に戻れるわけがない。先祖返りして世界新記録のひとつも誕生しない五輪を誰が歓迎するだろう。もちろん行き過ぎは論外だが、科学技術の進歩をどのようにして競技の発展に結びつけていくか、それを模索するほうがはるかに建設的だと言えよう。
ちなみに競泳の日本代表チームは他社との契約の関係上、スピード社製の水着を着ることができない。選手が望んでもダメなのだ。北京五輪で「8個の金メダル」を目標に掲げるJOCはこの硬直性こそを問題にすべきである。
2008 06 14 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン6月号 連載コラム『超経済外交のススメ』 青山繁晴氏
外交とは、国民の広い総合力で臨むものだ。だが、日本国では、外交・安保に関わる者は社会の深い部分で「変わり者」とみなされ、「狭い分野の人」にされてしまう。いわゆる軍事オタクの話ではない。専門家が、外交・
安保を包括的に国家戦略に組み込もうとすればするほど「いや、外交・安保の世界だけに閉じ籠もっていろ」という圧力を受ける。
しかし逆に国の外交・安保が、たとえば一見は関係の薄い個人個人の名誉の問題と、どう根っこで繋がるかを国民が理解すれば、日本外交が劇的に変わる希望が生まれる。
わたしは過日、長野県の松代町を訪れた。信州の山並みに残雪が美しい日曜日、ここで一人のアメリカン・ヒーローの法要が行われた。栗林忠道さんである。
太平洋戦争末期の凄惨な硫黄島の戦い、そこで玉砕した陸軍中将の栗林さんがアメリカン・ヒーローとは、奇をてらって述べているのではない。栗林中将は、戦った敵国のアメリカでは名将として称えられ、祖国日本では忘れられ、生地の松代では「2万人の兵を玉砕に追いやった人」と貶められて、戦後の60年が過ぎた。
ところが一昨年、ハリウッド映画「硫黄島からの手紙」が公開され、このアメリカからの発信で栗林中将の見直しが始まった。わたし自身も、硫黄島を忘れていたおのれを恥じて、民間人は立ち入り禁止の硫黄島に入ろうと防衛庁(当時)と交渉を始めた。難交渉の果てに、自力で島に入った。
遺骨収集に同行し限定的に島を見た人たちはいるが、完全に自由に島内をくまなく検証したのは、いまだに不肖わたしだけである。
その検証から浮かびあがったのは、指揮官・栗林中将の冷静にして熱い志だ。中将は将兵にバンザイ突撃と自決を禁じた。帝国陸軍に稀な親米派であり、最後まで日米開戦に反対したからこそ、アメリカがなぜ硫黄島を取ろうとするか、その真意を知っていたのだ。
なかなか降伏しない日本を降伏させるには、硫黄島を拠点に本土を爆撃し、女性と子供を殺害して「民族根絶やしになる前に降伏しよう」と決断させる。それが真意だと見抜いて、玉砕を禁じ、灼熱のなか地下壕を掘って籠もり、奇跡のように持ちこたえて本土爆撃を遅らせてから、最後に玉砕した。
見抜かれたアメリカは、海兵隊の猛将をはじめクリバヤシをフェアに絶讃し、いまだに硫黄島が大統領の演説に登場する。
松代町で開かれた法要は「63回忌」であった。死者を偲ぶのは、ほんとうは50回忌で終わりだ。法要は単なる法要ではなく、栗林さんと、それから硫黄島で戦った「日本兵」という名の、30、40歳代のふつうの日本国民の名誉を回復する試みだった。だが、それは胸を突く異様な法要でもあった。主がいない。墓に遺骨がない。いまだ
硫黄島に取り残されたままだ。なぜか。名誉なき悪者にされているからだ。2万人の戦死者のうち遺骨となって帰郷したのは、たったの8千余。1万2千人以上が63年を経てなお、閉じ込められている。
この法要を開くまでには、地域で嫌がらせもあったと聞く。参列し、つたない講演をしたわたしにも、これは全国から嫌がらせがある。おのれの名誉を知らない国に、たとえば名誉が何であるかを知るアメリカと、対等な外交はない。
経済交渉であれ同じ事である。
2008 06 08 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン6月号掲載 大学生の就職人気ランキング
2008年の新人が入社したばかりだが、すでに09年の就職活動(就活)戦線は動いている。学生の人気企業ランキングも公表されており、常連大手の名前が並んでいる。
大卒就職は
超売り手市場
大学生の就職事情はここ数年、かなりの売り手市場だ。その背景には、団塊世代が退職し始めていることや、バブル期の大量採用とその後の採用抑制で、年齢構成のバランスが崩れていることがある。毎日コミュニケーションズが09年春に卒業見込みの大学生、大学院生を対象に行った調査(有効回答数は1万7153人)を見てみ
よう。その中でも経済学部や法学部、文学部の学生を主に対象にした、いわゆる「文系」の人気ランキングについて検証する。
1位はJTBグループ。以下、資生堂、ANA(全日本空輸)、三菱東京UFJ銀行、JAL(日本航空)、トヨタ自動車など、「知らない者はいない」と言えるほど知名度が高い会社が並んでいる。
選んだ理由を見ると、JTBグループは「やりたい仕事ができそう」、資生堂は「業界上位である」「企業イメージがいい」、ANAやJAL(日本航空)は「国際的な仕事ができる」「やりたい仕事ができそう」、トヨタ自動車やメガバンクは「業界上位である」「安定している」という理由で支持されている。
上位20社を見る
人気企業の財務状況は?
人気上位の企業は、果たしてどのような財務状況なのだろうか。上位20社まで広げて見ていこう。このうち、JTBグループ、サントリー、講談社、集英社は非上場企業だ。
当然といえば当然だろうが、20社はみな、広く名前が知られた企業だ。マスコミ、運輸、電機、自動車。各業界のトップ企業がずらりと並んでいる。
項目別に見ていくと、会社の規模の目安になる「売上高」「従業員数」とも圧倒的なトップに位置するのは、トヨタ自動車。大学生全般で人気が高く、文系では8位だが、理系では5年連続して首位の座を堅持している。
収益性の目安となる「売上高経常利益率」を見ると、メガバンクが上位を占める。また、「自己資本比率」を見ると、フジテレビジョンが突出して高いことがわかる。続いて積水ハウス、ベネッセコーポレーションとなっている。
健闘しているといえるのが、「エイチ・アイ・エス」だ。平均年収を公開している15社のなかで唯一、500万円以下。平均年齢が30歳未満ということもあるだろうが、「収入よりもやりたい仕事」を優先する社員が多いということかもしれない。
前年との比較では、トップ3どころか、6位までの企業は(位置こそ変わっているものの)顔ぶれに変わりはない。7位に入った三井住友銀行が、22位からランクを上げた点が特徴といえるだろう。上位にいきなり食い込むのは難しいといったところだろうか。
ちなみに、理系のトップ10を挙げると、
①トヨタ自動車
②資生堂
③ソニー
④カゴメ
⑤シャープ
⑥日立製作所
⑦サントリー
⑧松下電器産業
⑨三菱重工業
⑩本田技研工業
となっている。俄然、メーカーが増えるなかで、4位のカゴメが目を引く。前年度と比較してみると、ソニーが20位から一気に3位へ。シャープが13位からトップ5に入ってきた。世界企業の面目躍如といえる。
20年前は
「公務員」がランクイン
就職人気企業は世相を反映する。過去の変遷をたどってみよう。
現在、企業活動の中心を担っている40歳代のビジネスマンが、就職活動したのが1980年代。今年の新卒社員が赤ん坊のころだ。この時期、人気があったのは、公務員や保険会社、商社などだ。
そこから日本は、バブル経済に向かい、人気企業は一転。銀行や旅行会社が花形企業として躍り出る。バブルが崩壊すると、銀行は人気企業から姿を消す。94年を見ると、民営化されたJR各社、日本道路公団(JH)がランクイン。安定志向が復活したのだ。
その後のIT革命は文系学生の意識にも影響を及ぼした。NTT、ソニーなどが人気を集めた。ランクには入っていないが、ITベンチャー企業が多く登場して注目されたことは記憶に新しい。
注目したいのがJALだ。ここ数年、度重なるトラブルなどから経営が危ぶまれたにもかかわらず、文系大学生からは高い支持率を誇る。「ナショナルフラッグは潰れないだろう」と思っている学生が多いということなのだろう。
09年も採用数は増加へ
学生のイメージだが……
2009年度の新卒採用計画数については、さらに伸びることが予想されている。
業界別にみると、電機業界は東芝、シャープ、松下電器産業が採用数を増やすことを発表。自動車業界では、トヨタ自動車は前年並みだが、本田技研工業は採用数を増やすことを発表している。
サブプライムローン問題の影響が大きい金融業界だが、大手に関しては前年と同程度以上であるようだ。みずほフィナンシャルグループは前年度と同水準の2350人、三菱東京UFJ銀行は前年度比でほぼ1割増の1500人、三井住友銀行は前年度比5割増となる2400人の採用を予定している。ここ数年、採用数を増やしてきた生命保険会社はほぼ横ばいだ。
「大学生就職人気企業ランキング」は、あくまで学生のイメージであって、社会人として感じるもの、投資家として感じるそれとは異なっているかもしれない。だが、未来を担う若者が「自分が入るとしたらここがいい」と思う企業は、世間一般からのイメージも悪くはないだろう。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ: 蔓延する政府規制への「変な妄想」
政府の教育再生懇談会の第一次報告のなかで、
「有害情報から守るため、小中学生に携帯電話を持たせない」という提言が出された。
法律で規制するという話まであったこの問題だが、あまりに純粋培養だし、
この問題に限らず、「政府がちゃんとやれば何とかなるんだ」という
変な妄想が増えてきていないだろうか。
番組登録はこちらから
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080604/080604mag_keitai.html
2008 06 07 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン6月号] 窪田真之の株式投資力トレーニング講座
株式投資で大切なことは、資産の何パーセントまで株を買うか、最初に決めておくことです。
株式への投資比率は、人によって事情が異なるので一概には言えませんが、私は総資産の3割程度が適当だと思います。株が暴落している今、3割をメドに株への投資を考えてみませんか。
フィナンシャル ジャパン読者のみなさま、はじめまして! 今月から新しい連載を担当する大和住銀投信投資
顧問の窪田真之です。私は、日本株運用歴21年の現役ファンド・マネージャーです。今、私には個人投資家の方々に伝えたい熱いメッセージが、たくさんあります。その思いのたけを、この連載にぶつけます。みなさまの株式投資にどれだけお役にたてるか真剣勝負です。どうかよろしくお願いいたします。
「右脳でわかる! 株式投資力トレーニング」は、1月に日本経済新聞出版社から出版した私の著書名です。この連載は、同書の内容に沿って、中身をさらに膨らませながら進めます。著書と同様、まず私が出すクイズに答えてから解説を読んでいただく形式です。初心者でも、右脳の直感、野性のカンで答えながら、楽しくトレーニングできるようにしています。
Q.投信Aと投信Bの過去5年の基準価額の動きが示されています。ここで、どちらかのファンドを選んで投資するとしたら、どちらを選ぶべきですか?
投信Aは過去5年間で50%値上がりしたので、年平均のリターンは10%でした。一方、投信Bは5年間で20%、年平均では4%値上がりしています。
A.大きなつづらと小さなつづら、どちらか差し上げます。どちらか選んでください」と言われたら、どうしますか? 「正直じいさんが小さなつづらを選ぶと大判小判がザックザック、欲張りじいさんが選んだ大きなつづらからは、ヘビやトカゲやカエルがゾロゾロゾロ」というのが、日本の昔話のお決まりパターンですね。投資の世界も、これに通じるところがあります。
年率30%の儲け話なんてのは、だいたいインチキに決まっています。年率10%も相当高いリスクを負わないと出ません。
投信Aはこれまで年率10%のリターンが出ています。相当リスクの高い運用だと見て間違いありません。事実、5年間の値動きを見れば、急騰急落を繰り返していて、値動きはものすごく荒いことがわかります。ということは……、急騰直後の今買い付けると、ここから急落することもありえるわけです。
私は、今ここで投信Aに大量のお金を投じるのは得策でないと思います。ただ、乱高下しながらも長期的に値上がりが期待できるファンドなので、とりあえず、投資資金の3割以内で時間分散しながら買っていくのはいいかもしれません。
投信Bは値動きが穏やかなので、もう少したくさん買ってもよさそうです。ところで、投信Bの値動きを、よく見てください。投信Aの動きと見比べて、何か気づきませんか? そうそう、そうです。投信Bは、投信Aに30%、長期国債(年利1.3%)に70%投資して作ったファンドなのです。長期国債に分散投資している分、BはAよりも値動きが穏やかになっています。Aが8000円まで下落した時でも、9500円までの下落で済でいます。その代わり、Aが
1万5000円まで値上がりした時は、約1万2000円までしか上昇していません。
なーんだつまらないって言わないでください。5年で20%は、今の低金利の世の中で、立派なパフォーマンスです。それ以上高望みすると、それこそ、ヘビやトカゲがゾロゾロってことになりかねません。投信Aと投信B、投資対象としてどちらを選んでも問題はありません。いくら買うかだけが、問題なのです。全財産を投入して値動きの荒いAを買うようなことは、決してすべきでありません。
もし、あなたが5年前に全財産を投入して投信Aを購入していたら、どういうことになっていたか考えてみてください。「5年間投信Aを持ち続け、財産は50%増加しました、めでたしめでたし」となっていたでしょうか。多分そうはいかないと思います。全財産を投入した投信Aがこんなに激しく乱高下したら、気持ちが休まる時がないでしょう。元本割れの時、いつもため息をつき仕事が手に付かなくなるかもしれません。基準価額8000円まで落ちた時、これ以上の下落には耐えられないと、あわてて損切りしてしまうかもしれません。資産の3割以内で投資しておけば、下がっている時にもなんとか我慢して5年間持ち続け、最後の高いパフォーマンスを得ることができるかもしれなかったのに……。
近年の日本株は、ジェットコースターのように激しく乱高下しています。私は、今のように日本株が安くなったときこそ、コツコツと長期投資で株を買っていくべきだと思います。
投信Aは、実は株式投資を象徴しています。Bは株3割、債券7割の分散投資を象徴しています。安全にも配慮しながら、リスクをとって運用していくには、Bはすぐれたファンドです。
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[くぼた・まさゆき]大和住銀投信投資顧問シニア・ファンド・マジャー。日本証券アナリスト協会の企業会計研究会委員。企業基準委員会のセグメント情報等開示専門委員会専門委員。
2008 06 01 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン6月号] 快眠ビジネス最前線
春たけなわ、「春眠暁を覚えず」。だが、日本人は世界的にも睡眠不足の国民だという。そんな睡眠不足の人には一考の価値ありの商品・サービスは日々進化を遂げている。〝快眠市場〟の最前線に迫った。
快眠”ブランドで成功
ビジネスホテルに女性が殺到
「睡眠不足は肥満になりやすい」。そんな研究結果がさきごろ日本大学の兼板佳孝講師によって発表され、話題を呼んだ。〝残業にネットで夜更かし三昧、出勤時は頭がぼんやり〟という人も少なくないだろう。
枕のオーダーメイドで知られるロフテー社が運営する睡眠文化研究所の「健康と睡眠に関する実態調査」(2006年)によれば、回答者(首都圏在住・20~50代の男女日勤者300人超)の約7割が「睡眠不足」としており、睡眠は必ずしも満たされていない。
これに加えて「朝目覚めた時の気分」も、「良い」「やや良い」が17%にとどまり「やや悪い」「悪い」の計49・8%を大きく下回った。もっと眠りたい、それも快適に、目覚めがよくなるように――これが現代人の切なる願いだと言ってもいいだろう。
世界的に見ても睡眠時間が短いとされる日本人。たとえ短くても良質な睡眠を得たい。そんなニーズを掘り起こそうとするビジネスが注目を集めている。
快眠は厳しい競争下にあるホテル業界でも重要なトピックだ。快眠枕やベッドやグッズを用意し、深いリラクセーションを謳う「快眠プラン」は、都市部のホテルを中心に利用できる。
だがこれまでのホテルの快眠はあくまで〝プラン〟でしかなかった。ここからさらに踏み込み、全室〝快眠仕様〟としたホテルが昨年11月に東京・日比谷にオープンした「レム」(阪急阪神第一ホテルグループ)だ。
同グループの岸野順治・レム事業部長は、「客室単価は平均1万2000円で半期の売り上げは3億5000万円。予想を上回る結果が出ている」と話す。通常のビジネスホテルでは女性が1割程度のところ、レムは予想を上
回って女性客が多く、男女比は6:4だという。
これはレディースフロアを設け、レストランではなく良品計画の「Ca fé&Mea l MUJI」をテナントに迎えるなどして、〝快眠〟をコンセプトとするホテルらしい落ち着いた雰囲気づくりを行った結果だ。
肝心の客室の方は、日本ベッド製造と共同開発した「シルキーレム」を導入したほか、レムオリジナルの枕、マッサージチェア、リラクセーション効果の高いレインシャワーやバスアメニティを配し、快眠環境を整えている。
進む他企業との連携
快眠というコンセプトでの展開について、前出の岸野氏は、「レムは〝ホテル〟という単語はウェブサイトや印刷物でのパブリシティで極力使わないようにしている」と語る。通常のホテルと同列にされたくない――そんな強力なブランド意識が、独自の地位を獲得することを可能にしたようだ。
「家よりも熟睡できた」「仮眠しただけだが爽快感がちがう」といった利用者からの声は、レムの戦略の成功を裏付ける。
従来ビジネスホテルは、トップクラスのホテルの設備・アメニティをランクダウンした形で一通り揃えるというのが一般的だった。このため低価格での価格競争が激化する結果を招いていた。レムはこれを打破した格好だ。
知名度が上がるにつれ、快眠関連企業との連携体制も整ってきた。医薬部外品の飲料「グッスミン」(ライオン)がフロントで入手可能なのはその一例で、岸野氏によれば、これからも同様の企画は進むとのことだ。
「眠りに対して〝贅沢〟な人はもっと増える」(岸野氏)ことが予測されるなか、レムは4月17日にレム秋葉原を駅前の商業ビル「アキバトリム」にオープンさせた。さらに2012年をめどに新大阪駅近くに進出することを目指している。
「レムはビジネスホテルの少し上で、かつ高級ホテルよりは下に位置する」という岸野氏の言葉は、ニッチなニーズを、時代を切り取るコンセプトで掘り起こした証左だとも言える。
人生を変えるほどの快適枕
東京・日本橋のビルの明るい半地下のフロア。明るいイメージで統一されたなかで並ぶのは5段階の高さに細分化された8種類の枕だ。
07年10月にオープンしたこの「ロフテー枕工房本店」運営するLOFTY(以下、ロフテー)は、枕に特化した商品・サービスを展開、「オーダーメイド枕」(03年から)や枕を預かりメンテナンスする「ロイヤル枕クラブ」(07年から)
などで、30~40代の男女の支持を集めている。
07年の売上高は28億円、現在は全国のデパートなどで計64店舗を構える。同社の快眠スタジオ所長安達直美氏によると、購入者からは「寝つきが良くなった」「睡眠薬に頼らずに眠れるようになった」というものから、「人生が変わった」といった声が寄せられている。
マーケットは〝啓蒙〟で広がる
枕市場自体は、安達氏によると米テンピュール社が強く押し上げ、03年に1000億円近くに達した。
だがこれ以降、次第に下降線をたどり、07年は719億円と、97年の755億円近くまでのレベルに戻ってしまった。このため〝枕ブーム〟は去ったとの見方もある。
安達氏はこの点について、「もっと掘り起こせるニーズがある」と悲観していない。
「日本人の体型が変わり、枕は低めのものが適合するようになるなどアピールすべきポイントは多い。枕はよい睡眠、体の健康にかかわる繊細なもの。重要性を広く消費者に伝えていきたい」(安達氏)
ややもすると枕はベッド・布団に比べれば寝具の脇役との印象も持たれかねないが、ロフテーにおける売り上げの平均単価は1万2000円と、決して安くはない。
だが安達氏が、「値段は見ないで、フィッティングの良し悪しで購入されるお客さまが多い」と語るように、枕で快眠が得られるのであれば割安と考える人が増えている証左なのだろう。
嗜好の多様化が指摘されて久しいが、〝個別の眠り〟を受け止める枕もそんな流れのなかにある。
眠りの総合プロデュース
このロフテーも含め、イワタ(寝具)、エスエス製薬、グンゼ(アパレル)、太陽化学(加工食品な)、パラマウントベッド、松下電工の計7社が参加してつくるのが「快眠コンソーシアム」だ。
「眠り」関連分野の市場創出を目指してPR活動などを行う同コンソーシアムに参加する松下電工は、06年に「快眠環境システム」を立ち上げている。同システムは、「睡眠に必要なもの=寝具」という従来の考え方から大きく前進したものだ。
スタート時は、「カイミンソリューション」事業の一環としてベッド一式と映像・音響などを組み合わせたセットを発表し、これまでテスト販売を行ってきた。そしてこの3月に満を持して新商品を発表、今後の実販売に取り組む。
同社快眠環境システムグループの塀内隆博氏は、「当初、ホテル・施設向けと個人向けという方向づけだったが、個人向けはまだ価格面で厳しい。一方のホテル・施設は手ごたえを感じている」と話す。「発表時は『こんなものがあるのか、すごいね』と言われるだけだった。これが『具体的に導入の検討をしてみよう』となった。関心は
高まっている」(塀内氏)
08年3月の時点で「快眠環境システム」はロイヤルパーク汐留、グランヴィア大阪、西鉄グランドホテル(福岡)、ニューオータニ大阪などホテルのほか、企業の社員向け宿泊施設で導入されている。また導入済みホテルに宿泊した他ホテルの担当者から導入の検討を相談されることも多い。
独特な日本人の眠りを踏まえ
「快眠環境システム」を更新
「快眠環境システム」の最新版は、06年以降のテスト販売で得られた結果から、「寝る前には眼鏡を外すので映像は不要」「体位を変えて体をほぐすベッドの動作音が気になる」「コントロールパネルが、ホテルのナイトパネルと別にあって使いこなしにくい」といったユーザーの声を反映させており、快眠の〝環境づくり〟をさらに一
歩進めた形だ。新商品の価格は約55万円。発注者の要望に合わせてオプション対応も可能。
日本と韓国では、寝室に入ってから寝るまでの時間が欧米に比べて短いとされる。松下電工では、こういった事実を踏まえ、入眠までの短い時間でいかにくつろいだ状態に導けるかに気を遣って開発を行っている。
ただことホテルとなると、お酒を飲んでからスムーズに寝つく人も多いため、「翌日の目覚めの方が大切。新商品はこの点に配慮している」(塀内氏)というから、念には念を入れている。
〝快眠〟に資する商品と言えば、睡眠改善薬の「ドリエル」(エスエス製薬)や前出の「グッスミン」)といった経口スタイルのものから、アロマやお香のように情緒・精神面に訴求するものまで多々ある。だが松下電工の目指すところは、快眠のための究極の〝環境〟づくりとなる。
「松下電工は各家電事業で早くから〝睡眠〟を扱ってきた。快眠環境システム事業は、テレビやオーディオなどで進めてきた研究開発を集約して総合的にプロデュースしたものだ。これから“快眠市場”は、入眠無呼吸症候群(SAS:夜の睡眠時、断続的に呼吸停止が繰り返される)患者等に向けた医療分野と、自分の睡眠習慣・環境
を改善したい人向けのものに二極化するだろう。松下電工としては、後者をターゲットとしていく」
塀内氏が語るように、同社の事業は、広く消費者が発する快眠志向を、その先端でとらえる好例と言えるかもしれない。
4月から始まった〝メタボ健診(特定健診・特定保健指導)〟など、健康意識の高まりはもはや既定路線だ。3大欲求のひとつである〝眠り〟は健康とも密接につながるため、需要はある意味で底堅い。
ネット利用など生活の深夜化が進み、睡眠不足が意識されるなか、快眠ビジネスは、道具の範疇を脱
し、広い意味での〝眠りの環境づくり〟へと移行しつつある。
2008 05 31 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン 6月号掲載
世界が求める日本の水技術
外資参入や企業の淘汰、業界再編といった言葉からはネガティブなイメージもつきまとう。だが日本の外を見れば、水ビジネスの沃野が立ち現れる。
GWJ吉村氏によれば、今後世界の平均的な経済成長率が5%と見込まれ、水関連機器市場(浄水・排水)では6〜12%、特にアジアは10%の伸びが予想されている。
世界有数の水関連技術を持つ日本企業がビジネスを展開できるフィールドがここにはあり、なかでも水から不純物を取り除く「膜ろ過技術」では群を抜く。
海水淡水化などに使われるRO(逆浸透)膜で世界3強の一角を占める東レの場合、「海水淡水化では中東と地中海沿岸諸国、下水再利用向けとしては中東、中国、オーストラリアで強い需要がある」(同社広報部)とみる。同社は、全種類独自開発による水処理膜を持つ唯一のメーカーという点で強みを持つ。
同グループでは、水処理事業全般で、売上高を07年の420億円から2015年には1000億円以上へ伸ばす意気込みだ。
これも「2025年には世界の上下水道事業では、年間需要が05年の50兆円から100兆円規模になる」(東レ推定)という、世界全体の確実な人口増加と水需要の上昇を見込んでのことと言える。
サミットでPR、注目集まるか?
さらに日本の水ビジネス企業の海外進出には、国を挙げてのバックアップも期待できる。来る7月に迫ったG8北海道洞爺湖サミット。ここで日本が培った水関連の技術・ノウハウを内外にアピールする動きがある。自民党の「水の安全保障研究会」(会長・中川昭一元農水相)がその中心だ。
日本は世界平均を下回る降水量にもかかわらず、水を安定供給し、下水処理により少ない資源を有効利用する技術を磨いてきた。翻って世界の水は不安が大きい。
同研究会の設立趣旨では、「10億〜20億人が深刻な水ストレス」にさらされている世界の現状を指摘、「気候変動に伴い、さらに数億人単位が深刻な水不足に直面する」と述べ、温暖化が焦点となるサミットで、日本の能力を訴える構えだ。
GWJ吉村氏は「汚水をクリーンにする技術が温暖化防止に役立つ。汚水を処理し、そのCO2排出権を得るべき」と強調する。
汚水にはCO2、メタンガス、亜酸化窒素が含まれる。温暖化係数はCO2を1とすると、それぞれ21倍、310倍だ。この厄介な問題を解決するために日本のクリーン技術を投入することで、ひいては温暖化防止にも貢献できる。
海外進出に向けた壁は総合的な〝国際経験〟
日本の個々の技術は売り込める。だが外国企業のように水道事業を丸ごとで請け負うスタイルはこれから先のことになりそうだ。
「日本企業が単独で上下水道事業を運営した経験が皆無」(GWJ吉村氏)のためで、技術面での強さが、日本の水ビジネスの総合的な強みにつながっていないのだ。
一方の仏ヴェオリア、仏スエズ、英テムズウォーターといったグローバル企業には経験がある。1980年代から海外での包括的な水道ビジネスに取り組んできた彼らは、トータルで水道事業ができる。上下水道をビジネスと捉え、処理すべき水量から水質維持、供給といった課題や料金回収まで含めた全体のビジネスモデルを持っ
ているのだ。
これに対して日本はODA(政府開発援助)で水道施設をつくっても「箱物」どまりだ。施設の維持管理はフランス企業など外国勢に委ねられ、日本企業の参加は期待できない。アジア現地では日本がつくった水道でも「フランスがくれた水」といった認識も広まっている。
GWJ吉村氏はこの点について、「ヒモつき援助として、維持管理も含め、技術者までつけてしまう方が国益にかなう」と持論を語る。「このままでは日本企業は海外で仏企業に買いたたかれている納入業者となりかねない」。
世界的に水資源をめぐる状況が厳しくなる中、水ビジネスに対する期待は高まっている。「電力、証券、ガスといった分野の企業が水ビジネスに関心を寄せている」(GWJ吉村氏)のだ。
投資の分野を見渡せば、〝水〞は金融商品にもなっており、注目度は高い。三菱UFJ投信が「三菱UFJグローバル・エコ・ウォーター・ファンド(ブルーゴールド)」を、野村アセットマネジメントが「ワールド・ウォーター・ファンド」を、日興アセットマネジメントが「グローバル ウォーター ファンド」を設定・運用している。
それぞれの組入銘柄の上位を見ると、ヴェオリアやスエズといった世界的な水ビジネス企業のほか、「ブルーゴールド」には東レと栗田工業が入る。世界的な需要の上昇を受け、水に関わる企業は必然的に投資対象として、注目を集めていると言えよう。
水道施設は自治体の責任で設置し、事業の責任を自治体が負う形態は、今後も変わらない。だが民間企業の事業領域・役割は広がっていく。PPPのあり方を考えればこれは必然だろう。企業にとってこの分野ではビジネスチャンスは拡大することはあっても縮小することはなさそうだ。
米商務省の調査(2002年)によれば、日本市場は上下水道料金収入6兆円超でアジア最大規模。この市場は内外企業にとって魅力となろう。
内で始まった民間参入、水ビジネス業界の再編、外には日本企業のチャンスも開けている。いまや水は金融マーケットの対象になる時代だ。長らく続いた水の管理は「お役所」だとする単純な見方は上下水道施設と同じく、
そろそろ更新すべき時期に差しかかっている。
2008 05 25 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
日本の“水”が民営化の道を突き進んでいる。
財政難の自治体が水道事業を単独で担えない時代に入ったのだ。生活に必須の水。
これを安定させるべく、民活導入が進み、水ビジネス企業が存在感を増している。日本と世界の水ビジネスをめぐる知られざる現状を探った。
フィナンシャル ジャパン 6月号掲載
外資参入も拡大中
日本の水道に異変あり
家庭で蛇口をひねって出てくる水、トイレから流れていく水、その水を管理するのはすべて「お役所」。そんなイメージが強いのではないだろうか。だが実際は異なってきている。
三菱商事と日本ヘルス工業が出資して設立したジャパンウォーターは、すでに10を超える自治体から水道事業を委託されている。広島県では、自治体による水道事業(上水道)の民間委託を可能にした水道法改正(2002年)後、初の全面的な水道事業委託の例として注目を集めた。
日本企業の活動と同様に、一般の認知度は低いが、外資企業も日本市場に参加し始めている。02年に日本に
進出した仏「ヴェリア・ウォーター」は06年広島・埼玉両県で、「下水道の維持管理包括委託」で計34億円に達する事業を受注、「ヴェオリア黒船ショック」として、業界に大きな衝撃をもたらした。07年には千葉県で下水道施設の包括委託契約、福岡県と熊本県で上水道施設の事業運営を受注、実績を積み上げている。
ビジネス全般で参入障壁が高いと言われる日本。外資の水ビジネス企業にとっての魅力は何か?
世界の水ビジネスに詳しいグローバルウォータ・ジャパン(GWJ)代表の吉村和就氏は、「日本の年間水道料は現金で3兆円を超え、しかも料金回収率が98%と非常に安定度が高い。未払いの2%も、自治体が立て替えてくれる例もある。最近では米GEや独シーメンスが日本市場を調査中との情報もある。ヴェオリアの成功には、日本を避けていた外資の水ビジネス企業を誘引する効果があった」と分析する。
なぜ「官から民へ」なのか?
水インフラは現在、上下水道ともに危機にさらされている。水道管は破裂事故が頻発、下水管は年間約5000件の陥没事故が発生している。日本の地下を走る水道管の距離は約60万キロ。このうち約4割が布設から20年を経るなど老朽化が進む。
この老朽化の問題に加え、上下水道の維持管理にあたる技術者が不足し始めている。「水道統計」(平成17年度)によれば、水道事業者の職員約5万5000人中、50歳以上60歳未満が2万1000人となっている。
前出のG W J 吉村氏は、「公共事業費は年5 % の割合で減少し、1995( 平成7)年に4兆8000億円あった下水道市場も現在では2兆円以下に縮小した。こういった外部の厳しい状況にあっても業界の再編はまった
く進まなかった」と指摘する。「04年に東レが水道機工を買収、昨年はヴェオリア(仏)が西原環境テクノロジーを傘下に、日本ガイシと富士電機が95億円出資する『メタウォーター』がこの4月にスタートと、再編は始まったばかりだ」
上下水道事業の主体である自治体は財政難で建設・運営コストの削減は必至。そこで頼るべきは民間活力(民活)であり、業務の委託が求められることになる。ある業界関係者は、「運営上のコスト増を料金に転嫁可能であれば、従来通り自治体による直営もできるだろうが、それはできない」と指摘する。そうである以上、民間の経営システムを活用した事業効率の向上を通じ、事業の安定を図るしかない。
P P P( 官民連携: PublicPrivate Partnership の略。民間資金活用を行うPFI=PriveteFinance Initiative を含む)は小泉政権が掲げた「小さな政府」にかなう考えであり、手法だ。
ただ、こと水となると、民活導入に対し、「民間がやると水道料の値上げが簡単にされてしまいそうだ」との不安も出そうだ。だが、同料金は自治体首長の了解のもと、議会の議決が必要なため、委託を受けた一私企業の事情だけで進む話でもない。
また上下問わず水は生活や環境と密接にかかわるため、安全性というハードルも課されるが、ある自治体から委託を受けた企業関係者によれば、水質管理などで変更点はなく、自治体側からの監督とチェックも行われているという。
官は民活を積極推進
厚生労働省は2004年、「水道ビジョン」を発表した。これは日本の上水道のあるべき将来像を描くもので、ここで民活導入も水道事業が取り得る選択肢として明示された。他方、下水道を監督する国土交通省でも民活導入に取り組んでいる。04年に、下水道の「維持管理における包括的民間委託の推進」を各自治体に通知、「委託の積極的な推進を要請」している。
上下ともに水道は民間委託推進が明確に既定路線である以上、外資参入も進む。
「PFIが広がるなか、外資の持つ価格競争力は強みだ。さらに彼らはファイナンスに力があり、国内で水ビジネスを行う企業が借りられない額を動かせる」(GWJ吉村氏)ため、外圧を云々するうちにも、日本の上下水道市場は開かれていくことになろう。
(続)
2008 05 24 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 6月号掲載
連載コラム―次の一手 (マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏)
アメリカで45年ぶりにベビーブームが再来している。第二次大戦後の人口増加期の最後とされる1961年と同じ、年間約430万人(2006年の米保健当局統計を元にしたAP通信調べ)の子どもが生まれているのだ。
合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む平均的な子どもの数)は、76年に1.7人まで下がったが、85年から
上昇、89年以降2人を超え、ついに2.1人と先進国中トップとなった。2.1人はマジックナンバー(奇跡の数字)と呼ばれる。というのは、これを超えると国民の再生産が行われ、人口が減少しないため、将来の労働力不足や税収
不足、高齢者への社会保障費の負担増といった懸念が減るためだ。
出生率が1人をほんの少し上回る程度に低迷している日本、韓国、台湾、シンガポールなどの東アジア、さまざまな行政施策も成果が出ずに1.3人強にとどまっているドイツやイタリアと比較すれば、いかに高い水準かがわかる。
アメリカの出生率が高いのは、宗教的に避妊や人工中絶を避けるカトリック教徒の多いヒスパニック系の出生率が高いことが最大の要因とされる。ヒスパニック系の新生児は全体の4分の1を占め、出生率も3.2人と群を抜いている。子どもに生まれながらの米国籍を取得させようと越境する不法移民も多く、その率はメキシコの2.4を大きく上回る。
しかし、出生率が増加しているのはヒスパニック系だけではない。非ヒスパニック系の白人の出生率も、21世紀に入って1・85人と高い水準にあり、さらに若干の増加傾向を示している。しかも、欧州各国や日本のように、国や州政府が直接的に支援する出産・育児制度はほとんどなく、民間の託児所を経営する企業やNPOなどがサポートしているだけだ。
この背景には、妊娠中絶の件数が減っていることが大きい。ニューヨーク州の非営利団体によれば、05年の中絶件数は120万件で、47年以来、最も低かった。中絶については、その是非をめぐって国論を二分する問題になっている。中絶反対の立場を採るキリスト教右派など保守的傾向の強い一部地域では中絶手術が受けにくくなっているとも言われる。
地域差もはっきりと表れており、平均より中絶件数が多く出生率が低いのは、リベラル色が強いとされるニューヨーク州などの北東部地域だ。保守的傾向が強い中西部や南部や山間部では、中絶件数は少なく出生率は高い。
もう一つの理由は、ティーンエイジャーの出生率が、06年、15年ぶりに上昇に転じたこともある。これについて専門家らは、避妊薬使用の減少、中絶施設の利用の難しさ、性教育の不十分さ、貧困などを理由に挙げている。人口の増加も決して手放しでは喜べない。
日本は、第一次オイルショック後の75年に出生率が2人を下回って以来、人口再生の水準を回復していない。先進国の中で最も早く高齢化、少子化が進みつつある。しかし、マイナス面ばかり考えていても仕方がない。新たな変化をアドバンテージとすべきである。最初に経験するということは、最も早くそれに応じた、商品やサービス、施設や街の作り方、社会制度のモデルを構築できるわけで、それ自体も一つの競争力となり得るはずだ。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「パンダより物価高を考えよ」
5月14日、日本銀行が発表した国内企業物価指数が14年ぶりの高水準となった。
原材料の高騰による物価高はとどまる様子がない。
高齢化社会における物価高は悪であり、福田政権はそういう話をすべきなのだ。
番組登録はこちらから
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080514/080514mag_boj.html
2008 05 18 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 6月号掲載
連載コラム―ミクロを変える経済 財部誠一氏(経済ジャーナリスト)
3月27日午前、全日本空輸は三菱重工業の小型ジェット機「MRJ」を25機導入することを役員会で正式決定。それを受けて、翌28日、三菱重工が「MRJ」を事業化することを正式発表した。「MRJ」とは「三菱リージョナル・ジェット」の略だが、これにより40年ぶりに日の丸ジェットが誕生する。
このコラムでも以前、三菱重工の西岡喬会長が日の丸ジェットによせる熱い思いを紹介したことがある。技術は十分だが、資金調達と販売という大きなハードルをいかに乗り越えていかれるかが最大の課題だという話であった。それから1年余、ついに全日空がMRJ25機の購入を決めた。三菱重工の技術がどれほどのものであったとしても、第一号顧客が決まらなければ、事業化はままならない。全日空はこれまで国内線小型機としてボーイング社の小型ジェットを採用してきたが、「MRJ」に切り替えるとじつに40%もの燃費の改善が見込める。1年間で5
0億円もの収支改善につながるという。
戦争を知っている世代にとって「日の丸ジェット」は悲願であ。かつて世界に冠たる航空機技術を誇った日本だが、太平洋戦争の敗戦によって、その技術を封印された歴史がある。その後、プロペラ機だが戦後初となる国産航空機「YS―11」を生み出し、世界から名機の評判を勝ち得たものの、短期間で収支を黒字化することが見込めないと判断した国は「YS― 11」の生産停止をあっさり決めてしまった。以後、日本の航空機技術は米国ボーイング社の下請けとしてその命脈を保ってきた。
まだボーイング社の本社工場がシアトルにあった頃、ボーイング社の航空機製造の現場を取材したことがある。巨大なジェット製がパーツ、パーツに分けられて、組み立てられていく光景は、自動車や家電メーカーの工場とは規模があまりにも違いすぎた。私はただただそのスケール感に圧倒され、日本企業がジェット機製造を事業化することなどまったく思いもよらずに帰国した。だがボーイングの工場で組み立てられていたパーツは多くは紛れもなくメード・イン・ジャパンであり、その時すでに、日本企業なしにボーイングなしというのが現実だった。
つまり日の丸ジェットを飛ばす技術の集積は十分だということだ。問題は下請け根性からの脱却だった。世界屈指のハイテク技術と正確無比な部品の数々。その気になればいつでも日の丸ジェットを世に送り出す技術は十二分にあったが、「航空機を自ら作る」という強い意思を日本は欠いていた。商売は技術だけで決まるものではな
い。魅力的な製品と果敢なマーケティング戦略とあくなきコストダウンの継続なし、寡占化した世界のジェット機市場に殴りこむことなど不可能だからだ。
三菱重工の「MRJ」の事業化が正式決定した背景には「YS―11」の開発や販売に携わった世代の執念がある。いまやらなかったら、日本は永遠に国産ジェットを作ることができなくなるという強烈な危機感だ。三菱重工の西岡会長はそんな世代の象徴でもある。
日の丸ジェットビジネスを採算に乗せていくのは至難の業で、三菱重工にとってもこれからが正念場だが、とにもかくにもスタートしなければ何も始まらない。今後に期待したい。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「パンダより物価高を考えよ」
5月14日、日本銀行が発表した国内企業物価指数が14年ぶりの高水準となった。
原材料の高騰による物価高はとどまる様子がない。
高齢化社会における物価高は悪であり、福田政権はそういう話をすべきなのだ。
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2008 05 17 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 6月号掲載
連載コラム―次の一手 (マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏)
アメリカで45年ぶりにベビーブームが再来している。第二次大戦後の人口増加期の最後とされる1961年と同じ、年間約430万人(2006年の米保健当局統計を元にしたAP通信調べ)の子どもが生まれているのだ。
合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む平均的な子どもの数)は、76年に1.7人まで下がったが、85年から上昇、89年以降2人を超え、ついに2.1人と先進国中トップとなった。2.1人はマジックナンバー(奇跡の数字)と呼ばれる。というのは、これを超えると国民の再生産が行われ、人口が減少しないため、将来の労働力不足や税収
不足、高齢者への社会保障費の負担増といった懸念が減るためだ。
出生率が1人をほんの少し上回る程度に低迷している日本、韓国、台湾、シンガポールなどの東アジア、さまざまな行政施策も成果が出ずに1.3人強にとどまっているドイツやイタリアと比較すれば、いかに高い水準かがわかる。
アメリカの出生率が高いのは、宗教的に避妊や人工中絶を避けるカトリック教徒の多いヒスパニック系の出生率が高いことが最大の要因とされる。ヒスパニック系の新生児は全体の4分の1を占め、出生率も3.2人と群を抜いている。子どもに生まれながらの米国籍を取得させようと越境する不法移民も多く、その率はメキシコの2.4を大きく上回る。
しかし、出生率が増加しているのはヒスパニック系だけではない。非ヒスパニック系の白人の出生率も、21世紀に入って1・85人と高い水準にあり、さらに若干の増加傾向を示している。しかも、欧州各国や日本のように、国や州政府が直接的に支援する出産・育児制度はほとんどなく、民間の託児所を経営する企業やNPOなどがサポートしているだけだ。
この背景には、妊娠中絶の件数が減っていることが大きい。ニューヨーク州の非営利団体によれば、05年の中絶件数は120万件で、47年以来、最も低かった。中絶については、その是非をめぐって国論を二分する問題になっている。中絶反対の立場を採るキリスト教右派など保守的傾向の強い一部地域では中絶手術が受けにくく
なっているとも言われる。
地域差もはっきりと表れており、平均より中絶件数が多く出生率が低いのは、リベラル色が強いとされるニューヨーク州などの北東部地域だ。保守的傾向が強い中西部や南部や山間部では、中絶件数は少なく出生率は高い。
もう一つの理由は、ティーンエイジャーの出生率が、06年、15年ぶりに上昇に転じたこともある。これについて専門家らは、避妊薬使用の減少、中絶施設の利用の難しさ、性教育の不十分さ、貧困などを理由に挙げている。人口の増加も決して手放しでは喜べない。
日本は、第一次オイルショック後の75年に出生率が2人を下回って以来、人口再生の水準を回復していない。先進国の中で最も早く高齢化、少子化が進みつつある。しかし、マイナス面ばかり考えていても仕方がない。新たな変化をアドバンテージとすべきである。最初に経験するということは、最も早くそれに応じた、商品やサービス、施設や街の作り方、社会制度のモデルを構築できるわけで、それ自体も一つの競争力となり得るはずだ。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「胡錦濤主席来日と福田内閣」
5月6日、中国の胡錦濤国家主席が来日した。
農薬混入の冷凍ギョーザや東シナ海の天然ガス田の共同開発問題、
チベット問題など日中間には解決しなければならない様々な問題がある。
それに対して福田内閣は斬り込むことが出来るのか。注目のポイントを語る。
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2008 05 11 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン6月号 伯楽諫言 木村 剛
やること為すこと停滞気味の福田政権において、着実に進んでいる案件が一つだけある。
それは、消費者庁構想だ。「消費者重視」は、福田内閣における数少ない目玉政策だといえる。
3月27日に、首相の諮問機関である国民生活審議会が報告書を公表したのだが、熟読すると、なかなか興味深いことが書いてある。
「消費者関連法における直罰規定の拡大や、法人に対する罰金の増額等を検討すべき」「現在課徴金制度が導入されていない消費者関連法について、新たに何らかの行政上の金銭的不利益処分制度の導入を図る」「既に課徴金制度が導入されている法律についても、その範囲の拡大等を検討することが適当」「親会社や支配株主に対する責任追及を可能とする方策について検討すべき」「積極的に解散命令を活用することや、再犯歴がある個人は会社設立に関与する資格を剥奪する制度を構築することも考えられる」。
どうだろう。かなり強烈な文言の連続に驚かれるのではないか。
その中でも、「経済法規としての是正措置ないし救済措置という法目的の実現を優先させる刑事手続きとは別個の法体系の下で、違法・不正行為を幅広く対象として被害者の救済の拡充を図ることが考えられる」という文章は極めて味わい深いものがある。
わかりやすく言い換えれば、悪質商法で得た業者の違法収益を政府が没収して、被害者の救済に充てるということだ。悪徳商人の蔵から金銭を盗み出し、庶民に分け与えた鼠小僧の現代版である。
そのこと自体は悪いことではない。悪質業者が存在していることは事実であり、それによる被害者が後を絶たないことも確かであるから、こうした法制度を構築することに意義はあるだろう。
しかし、現実に運用するとなれば、解決すべき重要な点が一つある。それは、「悪質商法=違法行為」として認定される以上、対象となる消費者関連法の条文が、世の中の現実と商売の実際に適合している必要があるということだ。
残念ながら、わが国の場合、現場を知らない素人が、机上の空論で立法し、きれいごとの解釈論で法を運用する結果として、消費者保護ではなく、消費者を排斥してしまったり、不必要なコスト高を招いてしまう例が無数にある。
そういう実態を改善せずに、罰則や罰金の強化だけが先行すれば、現在の「コンプライアンス不況」をさらに深刻化させるだろう。
じつは、足元を見ても、改正貸金業法、改正建築基準法、金融商品販売法に加えて、改正割賦販売法が実態無視の方向に流れつつある。「包括支払可能見込額」という文言が盛り込まれ、「調査義務」が課される方向だからだ。
最悪の場合、改正貸金業法における総量規制のような悪影響を信販会社やクレジットカード会社に及ぼすことになる。消費者に対する与信はさらに絞り込まれることになるだろう。
これに加えて、消費者庁の鉄槌が下されれば、経済活動は、窒息状態になる。中長期的に縮小する日本市場を見捨てて、海外に軸足を移す企業が続出しよう。
経済評論家の三原淳雄氏は、「地獄への道は正義の小石で敷き詰められている」と説いていた。正に至言だ。福田政権は、懲りずに愚かな政策を繰り返すのか、それとも正気に戻ることができるのだろうか。ここは正念場である。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「胡錦濤主席来日と福田内閣」
5月6日、中国の胡錦濤国家主席が来日した。
農薬混入の冷凍ギョーザや東シナ海の天然ガス田の共同開発問題、
チベット問題など日中間には解決しなければならない様々な問題がある。
それに対して福田内閣は斬り込むことが出来るのか。注目のポイントを語る。
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2008 05 10 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」5月号掲載
【会社法がわかれば商売がわかる!】 中央大学法科大学院教授 野村 修也氏
国土交通省が今国会に提出する予定だった「空港整備法」の改正案は、ひとまず見送りとなった。そこに盛り込もうとしていた外資規制に対し、一部の閣僚が反対を表明するなど、政府・与党の足並みが揃わなかったから
である。
この法案が検討された背景には、主として2つの問題がある。ひとつは、成田国際空港会社が2009年度に上場を予定していることが挙げられる。特段の手当てもなく上場すれば、外資による乗っ取りの脅威にさらされるからだ。もうひとつは、すでに羽田空港の旅客ターミナル等を運営する日本空港ビルデング社の株式を、オーストラリアの投資ファンドであるマッコーリーが、約20%保有するに至っているという問題がある。危機が現実のものになっているというわけだ。海外の事例ではあるが、ロンドンのヒースロー空港が特段の手当てをすることなく上場したところ、スペインの企業によって買収され、上場廃止になったというケースも、外資規制論者の背中を押していた。
そこで、国土交通省は、まず成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港といった3つの空港会社と、日本空港ビルデング社のような旅客ターミナル運営会社を対象に、外国人の株式保有割合を議決権ベースで3分の1未満とする法案を準備した。
こうした外資規制は、すでにわが国でも、いくつかの法律によって導入されている。まず一般的な規制を施しているのが外為法であり、昨年9月の改正で外資規制を強化している。これによれば、防衛関連商品を製造する日本企業の株式を10%以上保有しようとする外国企業は、主務大臣に事前に届け出ることが要求される。これを
受けて主務大臣が必要と判断した場合には、計画の変更や中止が勧告される仕組みだ。そのほか、NTT、放送局、航空会社、証券取引所などについては、それぞれを規律する個別の業法(NTT法、放送法、電波法、航空法、金融商品取引法など)によって、外資規制が行われている。
国土交通省は、武力行使事態法に基づいて空港会社に対し滑走路等の利用について協力を求めても、その会社が外資に支配されていたのでは、十分な協力が期待できないなど、安全保障上の理由を持ち出して、個別の業法に基づく外資規制の仲間入りを目指していたわけである。確かに、タイやオーストラリアなどでは、個別の法律を定めて、空港会社の外資規制を行っている。また、フランス、ドイツ、オランダなどでは、空港会社について、上場後も国が一定以上の株式を保有し続ける仕組みになっている。
しかし、今回の国土交通省の提案は、やはりどこか胡散臭い。成田空港とは異なり、羽田空港の滑走路は国有のままである。つまり、日本空港ビルデング社が仮に外資に乗っ取られたとしても、有事の際に国が滑走路を使用することに何の障害もないわけだ。成田国際空港についても、有事の際の行為規制をしっかり整備すれば、安全保障上問題はないという意見も聞かれる。
いずれにせよ、今回の拙速な法案提出騒動は、外資ファンドの動きに対する「後出しジャンケン」との謗りを免れることはできないだろう。福田首相がダボス会議で「対日投資拡大」を語った前日に、外資ファンドを「経営者を脅す悪い株主」と決め付けた官僚トップがいる国を、いったい誰が信頼するだろうか。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「日銀はしっかり日本の現状を見よ」
日銀は4月30日午後、白川総裁になってから初の展望リポートを公表し、
2008年度の実質国内総生産(GDP成長率)の中央値を1.5%と予想、昨年10月の2.1%から下方修正した。
景気の現状については「減速している」と指摘し、その一番の要因は海外要因(サブプライムローン問題)によるもの
であるという。しかし、実際は日本の景気の悪さは海外の問題によるものではない。
国内の消費が良くないという現状をもっとしっかり捉えるべきだ。
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2008 05 06 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン5月号] 特集 ロシア経済丸かじり
ロシアを読み解くキーワード EPOCH
旧ソ連時代、世界に先駆けて人類を宇宙に飛ばした底力。テクノロジー(технология)なかでもハイテク(H)が近未来のロシアを見通す不可欠の要素になる。
ロシアは〝中国〟にはならない
グーグル、スカイプの共通点は何か?
それは「旧ソ連」である。グーグル創業者のひとり、セルゲイ・ブリンはユダヤ系ロシア人であり、スカイプ開発の地はエストニアだ。
旧ソ連時代から世界に存在感を示してきた頭脳は、現今のロシアでも変わらない。その頭脳こそが、「ロシアは中国にならない」ことを証明するだろう。
旧ソ連崩壊後も世界的に高く評価される〝ハイテク〟(H)はロシアを他の新興国と差別化する要素のひとつになるのだ。
この「H」のなかには、航空宇宙分野のほかにも核エネルギー開発、バイオテクノロジーなどが含まれる。
ロシアの科学力を示す端的な数字をここに引こう。BRICs のなかで、物理学・化学・医学の分野におけるノーベル賞受賞者の数は、ロシア・旧ソ連が14人(06年末時点)と突出し、ブラジル、インド、中国の3国で同分野を足し合わせた8人を上回るのだ。文字を読み書きできない層が人口の3割を占めるとされるインドと異なり、ロシアは識字率100%の国だ。教育面から見ても〝BRICs〟のひと言では片付けられない魅力がある。
旧ソ連時代から大学が無償であったように、その教育レベルは極めて高い。
こういった旧ソ連時代からの蓄積を背景に、政府も育成に乗り出している。また、今後は対内直接投資を通じて先進国の技術・ノウハウ・仕事の要諦が導入されることが予想される。
基礎研究は優れているが、商品化するメソッドを欠く――このロシアのハイテクに向けられる一般的な評価も近いうちに覆されるかもしれない。
現時点でもBRICs のなかで抜きんでた研究開発への注力。そこに外国資本が流入すれば、ハイテク産業として興隆するきっかけになるだろう。
ハイテク分野で有望なのは、①航空宇宙、②医療、③IT、④ナノテクで、すでにこれらを育てるため経済特区も整備され始めている。
投資家も注視 ロシア・ハイテクの動向
ファンド投資を通じ、ロシアのハイテク・マーケットを知る前出の大坪氏は、「ITを例にとると、『中国:低格で下請け』、『インド:設計仕様に対し、自らアイデアを出して開発』、『ロシア:次の次に来る世代のアーキテクチャ(枠組み)の研究・開発』となる」とロシアの実力を高く評価している。「インテルやボーイングはすでにロシアに進出しているが、彼らが求めるものは高い」(大坪氏)
欧米企業はすでにロシアを囲い込もうとしている。では日本企業の動きはどうなっているのか?
ロシアの頭脳を取り込んだ日本企業の成功例として味の素がある。
「同社は90年代末にロシアで『ジェネチカ』という旧ソ連時代から存在する研究所を買収、ここに相当額の投資を行い、今では日本の自社ではできない研究開発を行っている。日本では明日売れるものを研究開発する必要があるが、ロシアは5年、10年先のものを見据えたことができるというメリットもある」(大坪氏)
「ウイルス検知率世界1」を謳い、日本でもソフト販売を開始したロシア発のアンチウイルスソフト企業「カスペルスキー」の日本法人社長の川合林太郎氏は、ロシアITの特徴を次のように語る。
「ロシア人技術者は総じて、シンプルだが高機能なものを作ることに長けており、その能力は非常に高い。マイクロソフトやインテルの技術者のほとんどがロシア系であることからもそれがわかる」
カスペルスキーの技術はヨーロッパで高評価を受け、すでにドイツではトップシェアを確立している。
だが無論、こういったテクノロジーの可能性が〝産業〟として花開くまでは、時間を要する。
DWSのカリン氏は、「ファンドの運用面から見ると、銘柄にバラエティがない。まだハイテク銘柄はマイナーポジションにある」と述べ、現時点でロシアのハイテク株を積極的に買うのは難しいとする。規模が小さく企業数も少ないからだ。
だが、「状況が2、3年後には変わるだろう。この分野で改革が進めば、ファンドの銘柄にもっと組み込みたい」(カリン氏)とのコメントからは、ロシアのテクノロジーに対する期待は高まっていることが伝わってくる。
「ロシアの人口は1億4000万人。そのすべてをテクノロジーだけで養えるほど、〝テクノロジー大国化〟する公算は低い。ただし、今後も外貨は資源エネルギーで稼ぎ、テクノロジー産業が全体の1~2割を占めるくらいにまで広がる可能性はある。30年後のロシアは、今のアメリカの姿に近づくのではないか」(大坪氏)との観測もある。
「E」で始まり、「H」に至るロシア。エネルギーが稼ぐカネがハイテクへと流れ、国の姿を変えていく。
EPOCHが語るロシアは、未来のロシアも示している。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「日銀はしっかり日本の現状を見よ」
日銀は4月30日午後、白川総裁になってから初の展望リポートを公表し、
2008年度の実質国内総生産(GDP成長率)の中央値を1.5%と予想、昨年10月の2.1%から下方修正した。
景気の現状については「減速している」と指摘し、その一番の要因は海外要因(サブプライムローン問題)によるもの
であるという。しかし、実際は日本の景気の悪さは海外の問題によるものではない。
国内の消費が良くないという現状をもっとしっかり捉えるべきだ。
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2008 05 05 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン5月号] 特集 ロシア経済丸かじり
ロシアを読み解くキーワード EPOCH
ロシア語が使うキリル文字では「C」が英語の「S」。この「C」から物語られるのがサンクトペテルブルク(Санкт-Петербург )だ。
このヨーロッパに開かれた都市が持つ、現代ロシアにおける重層的な重要性とは何なのか——。
ヨーロッパに開かれた〝ロシアの上海〟
旧ソ連時代に革命の英雄レーニンにちなんでレニングラードと名付けられたサンクトペテルブルクは、バルト海に面し、ヨーロッパ周辺国に海路でアクセスできる唯一のルートなのだ。
長くヨーロッパ世界への玄関口として機能し、開明的な雰囲気が連綿と受け継がれ、「ロシアの上海」とのイメージも持たれている。同時に、世界遺産にも登録された古都としての一面もある。
このサンクトペテルブルクにトヨタが05年春に進出した。これ以降、日本企業の視察団による同市視察が急増した。
だが、従来ロシアの自動車産業が集積していたのは、内陸部のボルガ地方だった。
同地域に旧ソ連時代、自動車産業が形成されたのは、付近が鉄鋼、石炭、石油の主要産地だったことと、ドイツによる侵攻の脅威を考慮し、「内陸」を理由に選ばれたことが背景にある。
だが同地域の自動車産業は、外国メーカーの求める品質に達していない。そこで工業水準の高いサンクトペテルブルクに熱い視線が注がれるようになった。
いまでは日産、スズキと日本メーカーが相次いで進出し、フォード(隣のレニングラード州)やGMも工場を持つことから、同地が「ロシアのデトロイト」になると見る向きもある。
〝利益誘導〟を超える要因
では、なぜ企業はサンクトペテルブルクを選ぶのか?
「(サンクトペテルブルクは)プーチン大統領の出身地。利益誘導の感も否めない」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング・堀江正人氏)との見方がある一方で、前述の開明性から欧米流のビジネスを理解する人がロシアでもっとも多いことも、投資誘致に成功する理由に挙げられる。
同市の「安全性」がカギと見るのは、丸紅経済研究所のシニア・エコノミスト榎本裕洋氏だ。同氏は、「サンクトペテルブルクは、現地紙の〝連邦構成主体別投資安全度順位〟で1位になっている」と指摘する。
長期化するチェチェン問題から、首都モスクワでテロが発生したのは遠い過去のことでもない。「劇場占拠事件」(02年10月)、「地下鉄爆破事件」(04年2月)といったテロは、ビジネスの基本たる安全を脅かす因子となる。
他方、サンクトペテルブルクにはそれがない。一定額以上の固定資産投資を行う案件には、税制面で優遇措置が受けられるなど、投資対象としての魅力もある。
自動車メーカーに限らず、ここに日本勢ではNEC、日本たばこ産業(JT)、アメリカ勢ではコカ・コーラ、ペプシコなどが進出しており、ロシア北西部地域の中心地の役割を果たしている。
事業開始に至るまでの煩雑な事務手続きから、強権的な政府という政治レベルに至るまで、ロシアに対するマイナス・イメージは根強い。そんな状況がある中で、サンクトペテルブルクは投資対象として、安定度がひときわ高いということだろう。
ロシアの前途を決める?モスクワに集まる「C」人脈
政治的に見れば、同市の「安定度」は納得がいく。前出のように、この都市はプーチン大統領の出身地である。まさかここを騒乱とテロの街にすることは、大統領の面子にかけて許されない。
また、プーチン政権は、同市出身者の重用を特色としてきたことも見逃せない。いわゆる「サンクトペテルブルク
人脈」の存在だ(同地生まれでなくとも、そこにある大学・専門学校出身者であれば、その範疇に入るとされている)。
彼らはプーチン政権で、政策決定に重要な役割を担ってきた。プーチンに近いセルゲイ・イワノフ第一副首相、イーゴリ・セーチン大統領府副長官(石油会社「ロスネフチ」会長)などがそうだ。
ロシアにはさらにもうひとつの「C」が存在することを忘れてはいけないだろう。それが「シロビキ(силовики )」だ。「シロビキ」とは、軍、内務省のような軍・治安機関を職場としたか、現在もそうである人々が形成するグループだ。
彼らは「武闘派」との別称が冠せられることもあり、強面の印象がある。彼らは、「強いロシア」を目指しており、プーチン大統領はリベラル派とこのシロビキとの間に立ち、うまくバランスを取りながら国を率いてきた。
世界的に注目を集めているロシアに対し、「強いロシア」の紋切り型が溢れるなか、その原動力として、2つの「C」は押さえておくべき要素だ。さらに言えば、そしてメドベージェフ次期大統領もまた、サンクトペテルブルク生まれ、レニングラード大学卒業であることは、広く知られた事実である。
「C」の厳然たる存在感は、ロシアの未来を決め得るものだと言っても過言ではない。
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今週のテーマ:「日銀はしっかり日本の現状を見よ」
日銀は4月30日午後、白川総裁になってから初の展望リポートを公表し、
2008年度の実質国内総生産(GDP成長率)の中央値を1.5%と予想、昨年10月の2.1%から下方修正した。
景気の現状については「減速している」と指摘し、その一番の要因は海外要因(サブプライムローン問題)によるもの
であるという。しかし、実際は日本の景気の悪さは海外の問題によるものではない。
国内の消費が良くないという現状をもっとしっかり捉えるべきだ。
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2008 05 04 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン5月号] 特集 ロシア経済丸かじり
ロシアを読み解くキーワード EPOCH
ロシアの「O」にはいささか不気味な影が差す。オリガルヒ(Олигархи)がそれだ。
彼らは一時期政治にも口を出す勢いだった。08年版米「フォーブス」誌の長者番付ではロシアの富豪がランクイン、力の程を見せつけたがーー。
エネルギー強者たちの興亡
「オリガルヒ」とは、一般的に〝新興企業家〟を指すとされ、莫大な富を持つ。彼らは90年代、エリツィン大統領による国有資産民営化の過程で富を築き、石油会社、銀行、マスコミを独占的に支配した。「フォーブス」誌が3月5日に発表した2008年版長者番付の25位まで見ると、ロシアから6人が入っている。そのうちのトップ(全体では9位)はオレグ・デリパスカ(「ロシア・アルミニウム」社長)で資産は280億ドルに達する。また同2位(全体15位)はロマン・アブラモビッチ(石油会社「シブネフチ」など経営)は資産が235億ドルとなっている。このほかの富豪も資産は200億ドル前後だ。
資源エネルギー産業を牛耳るオリガルヒのなかにはプーチン大統領ら政府とも近い者もいる。その全貌を知る機会が少ないだけに、彼らの政治関与すらあるとなれば、怪しい印象も免れない。だが前出の大坪氏は、オリガルヒをめぐる現状を冷静に見る。「ロシアは資本主義が根付き始めて間もない国。日本でも、明治維新以後、政商・財閥が誕生した歴史がある。オリガルヒにしても問題を与したことはひとつの事実だ」
独占資本家たるオリガルヒが割拠する現実があろうとも、資本主義の歴史の浅い国に、今の段階では高い透明性は期待しない方がいいのかもしれない。
プーチンvsオリガルヒの構図
オリガルヒは誕生以来、外国資本との結びつきを強化し、政治にまで影響力を及ぼすようになった。これが政府の一部オリガルヒに対する強硬姿勢の引き金になった。
この動きをつくったのが、まさにプーチン大統領だった。彼は就任直後、オリガルヒに対して「政治には口を出すな。納税さえ行えば、過去の罪(国有資産の分捕り)は
問わない」と言って一種の〝手打ち〟を行ったとされる。
そして03年に石油会社「ユコス」の社長ミハイル・ホドルコフスキーが逮捕された(ユコス事件)。容疑は70億ドル以上の脱税。ホドルコフスキーはイラク攻撃の是非に関し、対米追従的な主張を行った。加えて「ユコス」と「シ
ブネフチ」の石油大手が2社合併後は、その株式の25%を米石油企業「エクソンモービル」などへの売却を目論んでいたとされる。これが彼の〝罪状〟となった。
以下、プーチン大統領が倒したオリガルヒと、彼に近いオリガルヒを紹介しよう。
ボリス・ベレゾフスキー
1946年生まれ。応用数学者から実業界入り。石油会社「シブネフチ」や航空会社「アエロフロート・ロシア航空」、テレビ・新聞をも保有する大財閥を築いた。故エリツィンと親しく政界にも関与。99年に下院議員に当選したものの、プーチンの政策に反対して00年辞職。以後はロンドンに在住。
ミハイル・ホドルコフスキー
1963年生まれ。石油会社「ユコス」の社長の地位にあって、自分の意のままに動く議員グループの設立を画策したとされる。03年逮捕され、現在はシベリアの刑務所で服役中。
ロマン・アブラモビッチ
1966年生まれ。事実上の創設者がベレゾフスキーである石油会社「シブネフチ」の民営化に参加、資産の基礎を作った。プーチン大統領と近い関係にあることで知られている。
三人目のアブラモビッチは、政治介入を拒むプーチン体制にうまく適合したオリガルヒの一例と言える。アブラモビッチは41歳。前出のオレグ・デリパスカも42歳だ。
この二人以外で「フォーブス」誌長者番付20位に入った他のロシア人富豪もみな40代前半と、メドベージェフ次期大統領の42歳も併せて考えると、その若さが際立つ。“成長”イメージにふさわしいとも言えよう。
* * *
“手打ち”後、生き残ったオリガルヒたちはいずれも〝政治不介入〟の立場にあると見てよい。
「プーチン大統領は、90年代に跳梁した彼らを骨抜きにした。エリツィン時代とは、すなわち彼らとマフィアの時代であり、無法ですらあった。オリガルヒは、私利のためなら国益も損なうほどの存在だった。ロンドンに亡命中のベレゾフスキーなどが典型だ。現在オリガルヒの政治関与はない。その勢力は国家のコントロール下に入っている」(前出のフェシュン氏)
資本主義勃興期に現れた彼らオリガルヒは、経済成長とともに、国家の求める国益実現に向け、より洗練された存在へと変貌を遂げつつあるのかもしれない。〝国賊〟を取り除かれた「O」は、世界企業に冠たる大企業として、存在感をさらに増していくに違いない。今後、富を積み上げ、いかにロシアという大国家を押し上げていくの
かが注目される。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「日銀はしっかり日本の現状を見よ」
日銀は4月30日午後、白川総裁になってから初の展望リポートを公表し、
2008年度の実質国内総生産(GDP成長率)の中央値を1.5%と予想、昨年10月の2.1%から下方修正した。
景気の現状については「減速している」と指摘し、その一番の要因は海外要因(サブプライムローン問題)によるもの
であるという。しかし、実際は日本の景気の悪さは海外の問題によるものではない。
国内の消費が良くないという現状をもっとしっかり捉えるべきだ。
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2008 05 03 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
皆さん、こんにちは。木村剛です。「ニッポンを生きる!」さんが、『フィナンシャル ジャパン』について、ブログで取り上げてくれました。
堀江氏と佐藤優氏の対談「亡国論」が掲載された2007年11月号からこの雑誌を欠かさず購読している。その名の通りfinancialな内容が主であるから、普段「オンナコドモ」の世界にどっぷり浸りきって全然使われていない脳部分が、ガツガツ刺激されるのである。言うならば、アブドーラ・ザ・ブッチャーが頭をフォークで刺す、あの感じである。決して内容が「難解」で「専門的」ゆえにそうなるのではなく(事実語り口はむしろ平易かつ明確)、この雑誌に一貫して流れる「気骨」、これにビシビシやられるのである。だから、「真っ当なチャレンジ」を受けるのを基本的には好む私としては、毎号をちょい緊張しながらも「さー来い、ドンと来い!」と、心待ちにしている。
ご愛読ありがとうございます。本ブログでは、『フィナンシャル ジャパン』に掲載した「キャッツ事件」で有罪になった細野祐二氏のコメントに対する貴重な反論をいただきました。編集部では、そうした反論も踏まえた上でアウフヘーベンし、よりよい誌面にするよう日夜努力しておりますので、今後ともドシドシご意見くださいますよう、お願い申し上げます。
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今週のテーマ:「Jパワー株買い増しに政府どうしようもない中止勧告」
英投資ファンドTCIによる、Jパワー株の買い増しについて、
政府が中止や変更を求める方針を決めたが、その理由がお子様以下だ。
「日本の投資家なら短期で売り抜けることはない」というのだが、
TCIの3年から5年という保有期間は日本の投資家を見ても実は少数派だ。
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2008 04 29 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン5月号] 特集 ロシア経済丸かじり
ロシアを読み解くキーワード EPOCH
ロシアのPとはもちろんプーチン(Путин)だ。その冷静な印象もあって“皇帝”、“専制君主”の雰囲気すら漂わせる。KGB(旧ソ連国家保安委員会)出身という“出自”もあり、ミステリアスかつ危険なイメージすら持たれている。
強権の専制君主か、怜悧な戦略家か
そのプーチン大統領は2期8年にわたりトップの座にあったが、今年5月の任期満了に向け、3月2日に大統領選が行われたのは記憶に新しいところだ。
5月には当選したドミトリー・メドベージェフ第一副首相が新たに大統領職に就く。一方で、プーチン氏を首相に指名するとしており、これを理由に「プーチン院政」と見る向きもある。メドベージェフ氏の得票もすべて「プーチン体制」への〝賛成票〟と考えるのもあながち強引なことでもない。 かつて皇帝が君臨したロシア。今また専制的な皇帝政治の道へと突き進んでいるのか。
そもそもロシア大統領には、93年に制定された「93年憲法」で強大な権限が付与されている。議会が大統領を罷免するのは非常に難しい。最高裁判所が大統領の国家反逆罪・重大犯罪を確定するのが条件だ。
安全保障や外交を垂直的に指導する大統領の権能には、帝政ロシア時代のツァーリ(皇帝)を彷彿とさせるものがある。巨大な国営企業群と産業支配――。ロシアの再帝国化を危険視する見方が出てしまうのも致し方ない
のだろうか。
だがメディアの報道とは裏腹に、ビジネスの立場から語られるプーチン、後継者メドベージェフ評は非常に好意的な印象に満ちている。
高まる改革への期待
年初来、ロシア首脳(プーチン、メドベージェフ)がたびたび演説を行い、ほぼ同様のことを主張している。これは〝改革〟という点で共通項を持ち、次の5項目が挙げられる。①法の厳守、②減税、③官僚主義の是正、④起業環境の整備、⑤医療、教育分野での改革と、投資家にとって魅力的な面も多い。
とりわけ「法の厳守」や「起業環境の整備」は、個人・機関投資家にとって安心材料になると、前出のカリン氏(DWS)は言う。
この改革は、資本市場も視野に入っており、企業の透明性は増し、より西側のスタイルに近いものになる見込みが強い。決算基準、報告義務等、整備されていく。
経済面の要素に着目すると、「プーチン・ロシア脅威論」や「帝国化」との見方には懐疑的にならざるを得ない。
プーチン支持の背景にあるもの
「プーチン政権の肯定的広報」を担うものとして知られる保守派青年組織「ナーシ」(登録人数10万人)
による派手なプーチン礼賛イベントの開催などから、「民主主義の不在」を懸念する見解もある。
だが、ロシア・ノーボスチ通信社東京支店長のアンドレイ・ フェシュン氏は、「民主化を云々してプーチンを否定的に見る西側メディアは、彼が経済成長を実現した功労者だという点にも注意を払うべきだ」と指摘し、〝改革者ゴルバチョフ〟神話の虚妄性をロシア人の視点で明らかにする。
「ゴルバチョフのペレストロイカは国を混乱の極みに落とし込んだ。あの時期、国は無計画のまま、未知の世界に飛び込んでいった。ゴルバチョフが達成したのは、立て直しではなく〝ソ連崩壊〟、つまり壊しただけに過ぎない。西側が〝ゴルビー、ゴルビー〟と舞い上がっているとき、ロシアはじつにひどい状況にあったのだ」(フェシュン氏)
メディア支配と民主主義の現在
国境なき記者団」(本部パリ)が毎年発表する「報道自由度ランキング」によれば07年、ロシアは144位。かなり低い位置にある。
また、チェチェン侵攻に踏み切ったプーチンには負のイメージはどうしてもつきまとう。
元KGBのリトビネンコ暗殺、チェチェン政策に批判的な執筆活動を展開していたジャーナリスト、ポリトコフスカヤ暗殺など、政府が関与したと囁かれる事件が存在し、厳しいメディア規制があるとも言われる。
「メディア支配を指摘する見方もあるようだが、プーチンを〝人食い人種〟にして風刺したコミックもあるほどで、ロシアにも自由は存在する。メディア全般を見ても、国の規制が強い国営も残るが、民営化は進んでいる。〝国営+民営〟の合弁スタイルは減りつつあり、一概に〝メディア支配〟を見るのは偏っている」(フェシュン氏)
実際ロシアではすでにCATV、衛星放送が普及し、CNNやBBCといった外国メディアにも接することができる。これは鎖国イメージの強かった旧ソ連との大きな違いを感じさせる。
またフェシュン氏の指摘する、プーチン大統領が任期中に経済の安定をもたらしたことは、紛れもない事実だ。
2期目の大統領選挙(04年)では、国民の7割という圧倒的支持を受けた指導者である以上、これがひとつの〝ロシア流民主主義〟の体現だと言うこともできよう。
日本のメディアでは、ことロシアに関して、ネガティブな先入観にとらわれた報道が多いとされる。「日米同盟堅持という国是があるから」(フェシュン氏)との観測がここに成り立つ。
だが同盟国アメリカは今、景気減速の危機にさらされ、ドル下落などで世界の経済大国としての地位に綻びも見せ始めている。
一方かつての敵国ロシアは向かうところ敵なしの成長を遂げ、旧来のイメージから解き放たれようとしている。
Pから読むロシア。それは、われわれ日本人の対外認識と今後の対ロシア関係の将来にも関わる問題だと言えよう。
2008 04 27 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン5月号] 特集 ロシア経済丸かじり
ロシアを読み解くキーワード EPOCH
EPOCHとは、英語で「(それまでとは異なった特徴のある)時代」(広辞苑)のこと。これこそ経済成長で沸騰するロシアにとって、格好の言葉だ。新時代に突入したロシアを読み解くためのEPOCHとはいったい何を示すのか? ここでじっくり探ってみよう。
ロシアの「E」とは、エネルギー(энергия)のEだ。世界的な資源エネルギー価格の高騰を追い風にしたロシアの経済成長。疑いなく、この国は原油、天然ガス、石炭などに恵まれた資源大国だ。
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ロシアの1日の原油産出量( 2006年)は、砂漠の石油王国サウジアラビアを上回る949・8万バレル。これは世界第1位の数字だ。原油埋蔵量は世界第7位を占め、天然ガスの埋蔵量となると世界第1位で全体の約27%
に達する。また石炭埋蔵量は、同2位と圧倒的な地位にある。いずれも世界の資源エネルギー動向に大きな影響を及ぼす規模だ。
そんなロシアを代表する企業が「ガスプロム」だと言えるだろう。ロシア企業12社が時価総額500社中にランク入りした〝世界の時価総額ランキング〟(07年末)で「ガスプロム」は第7位につけ(3336億ドル)、第6位マイ
クロソフトとの差は2億ドルだった。
「ガスプロム」会長は、プーチン大統領の〝後継者〟メドベージェフ第一副首相(次期大統領)。この会社はGDPの7%、政府税収の4分の1を賄うとも言われ、生産から輸送に至るまで国内のガス産業をほぼ独占下に置く。 「ガスプロム」は政府持ち株が50%超であり、大手石油会社「ルクオイル」ではこれが80%に達している。原油パイプライン運営企業「トランスネフチ」の場合、政府持ち株100%だ。エネルギーという富を国家の管理下に置く「産業支配」の姿勢が見て取れる。
たとえば航空業界が燃料価格高騰で苦しむなか、アエロフロート・ロシア航空は近年業績好調が伝えられる。もし「産業支配」が〝真実〟ならば、政府から何か燃料面でサポートがあるのでは――との疑念も浮かぶ。だが「51%の株式を政府が持つが、燃料購入は国際価格とまったく同一価格」(同社日本・オーストラリア支社長マナツァカノフ氏)と、この点に〝支配〟などないようだ。
「産業支配」は本当に警戒すべきか
西側が警戒するロシアの産業支配に対し、過剰な反応は無用との声もある。ユナイテッド・マネージャーズ・ジャパンの大坪祐介氏(UMJロシアファンド担当)は、「国家の産業関与は、確かに資源エネルギーを中心として多い。だがそれ以外の分野は違う」と断言する。「日本のメディアが〝資源エネルギー価格高騰を背景に、ロシアは
国家統制へ逆行していく〟といった見通しを伝えることもある。これはロシアのある一面しか見ていないことがもたらす悪弊だろう。『ガスプロム』に対する国の出資比率も例になろうが、他国でも資源エネルギー企業の株式の3
0%を国家が持つケースは珍しくない。小売りやハイテクなど、非資源、非国防のいわゆるニュービジネス分野ではロシアの自由度は高く、日本の比ではない面もある」(大坪氏)ならば、原油価格高騰に依存した成長は、価格下落とともに終焉するのか? これは安易に「イエス」とはできない。ロシアの成長は、国内消費と国内投資に後押しされている面があるからだ。
ドイチェ・アセット・マネジメント・グループのDWSでロシア・東欧を担当するロバート・カリン氏は、「例え1バレル50ドルに下落したとしてもGDP成長率は3~4%が見込める」と話す。ロシア経済は原油価格下落となっても容
易には倒れないというのだ。
カリン氏はその理由を次のように説明する。「1バレル70ドル程度までの下落なら、ほとんど問題は生じないはず。GDPは6%成長を達成するだろう。30~35ドルまで落ちると成長も懸念されるが、ロシアからバルト海を通ってドイツへガスを供給するパイプラインの工事風景(AFP=時事)ロシアは原油下落に備えて、政府系ファンド『安定化基金』(原油価格の27ドル/バレルを超過した部分の90%を繰り入れる政府の基金。以下、安定化基金)を持つ。現在総額1600億ドルの規模を持ち、エネルギー企業の納税額の一部を取り込んで毎月20億ドルずつ伸びている。万一の事態にも、これが使えるだろう」
安定化基金の伸び方は、月単位で見ても明らかであり、それが直接ロシア経済の「安定化」につながることは明白だと言える。同氏はロシア成長のカギである国内消費と国内投資についてこう述べる。「国内消費は年20%成長を見せ、国内投資も同様の数字を見せる。原油価格が下落しても、急激にこれらが鈍化することはない」
新たな成長の原動力、それは〝消費〟だ
この国内に持つ強みを、前出の大坪氏は、「経済成長の牽引力は、輸出する石油にあるのではない」と明言し、国内消費がGDP成長を促す点を強調する。「ロシアはこれまで国内投資で成長した国ではない。中国ではGDPに占める国投資の割合は40%だが、ロシアの場合は10%と、大幅に少ないと言える」
ロシアのGDPは世界第10位、旧ソ連時代からの旧式化したインフラではいまや国内需要には追いつけない状態にさえなっている。「現在ロシアの1人当たりGDPは1万5000ドル。モスクワに限れば3万ドルで先進国とほぼ同じ。同市にはヨーロッパ最大のショッピングセンターがあり、週末には100台のレジが30分待ちになるほど賑わう。人口1000人当たりの自動車台数はロシアが185台、フランスは500台。この数字から日産ゴーン社長も伸び代を強調している。07年、ヨーロッパトヨタの半分以上の利益はロシア市場が担ったと聞く。むろん台数はEU主要国が上だが、ロシアは高級車志向が非常に強いため利益率が高い」(大坪氏)
国内消費は成長エンジンとなりつつある。ロシアのE、すなわち「資源エネルギー」はあくまで横顔のひとつにすぎない。ロシアが消費大国として、「イギリスを抜く日も近い」(大坪氏)可能性があることは、世界の常識になりつつある。「資源エネルギー」だけでロシアを語るようでは、時代から取り残されてしまうことになる。
2008 04 26 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 5月号掲載
連載コラム―ミクロを変える経済 財部誠一氏(経済ジャーナリスト)
メディアの注目度が高いばかりではなく、最近は仕事がらみからプライベートまで、さまざまな人たちの会話のなかに「ドバイ」という言葉を耳にする機会が劇的に増えている。近所のすし屋にいっても「ドバイに行ってきたというお客さんがたくさんいる」という話を聞かされる。事務所に届いた郵便物をみると大学の同級生が南アフリカ駐在からドバイへ異動になったという葉書が届いている。
じつは私も先日、取材でドバイを訪ねた。人口わずか150万人。日本でいえば京都市程度のものだが、いまドバイには世界のクレーンの4分の1が大集合しているといわれるほど、とんでもない建設ラッシュにわいている。
ドバイのビジネス街“シェイク・ザイード通り”は「中東のニューヨーク」などと称されるように近代的な高層ビルが林立している。日本のメディアではドバイは砂漠のなかに出現した超近代国家として紹介されているが、ドバイの
国家建設はまだ緒についたばかりだ。正直な取材実感をいえば、観光地としても、ビジネス街として、ドバイはまだ密度の薄い、スカスカ状態だ。世界唯一の七つ星ホテル(自称)のバージュ・アル・アラブや、完成すれば世界一高いビルとなるバージュ・ドバイなど、話題には事欠かないが、それらはみな孤立した「点」にすぎない。「点」
がつながり「面」となるまでには、もう数年間、時間がかかるだろう。 だがそれが実現したとき、ドバイはいったいどうなっているのだろう。末恐ろしさを感じる。
その恐ろしさは、これまで幾多の国々が経験した経済発展とは比べ物にならない異常な速度で超近代国家へと姿を変えていくことの異様さからくる。たしかに旧市街地にいけば、ドバイがたどってきた歴史を垣間見ることができるが、ドバイの超近代国家はすべての過去を全否定する形で国づくりが行われている。そこが異様なのだ。
ドバイの人口150万人のうち、ドバイ人はわずか20万にすぎない。残り130万人はインド人、パキスタン人を中心とした外国人労働者だ。ホテルでも、レストランでも、スーパーマーケットでも、そして建設現場でも、働いている
のはすべて外国人労働者である。ドバイ人が管理者としているのだろうが、旅行者や私のような取材者の目にみえる勤労者は外国人労働者ばかり。青果市場にもいってみたが、市場に並べられた野菜や果物もすべて、トルコやエジプトなど近隣諸国から持ち込まれたものばかり。笑ってしまうのは、ホテルや空港のみやげ物売り場である。みやげ物もすべて外国製だ。グランド・ハイアットの地下1階で売られているチョコレートやオリーブオイルはパッケージが素晴らしかったが、よく見ればイタリア製。ツナの瓶詰めはノルウェー製。ドバイ製品はいっさいみあたらない。ドバイ国際空港にいっても事情はなにも変わらない。
労働者も野菜もみやげ物もみな「外国製」。ドバイにドバイなし、だ。石油収入の少ないドバイが目指す世界一の超近代国家は、長期的にみたときに本当に国家として機能していくのだろうか。中東と世界を結ぶゲートウェーとして大きな役割を担っていくのだろうか。いずれにしてもドバイは新しい国づくりの壮大な実験場である。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「Jパワー株買い増しに政府どうしようもない中止勧告」
英投資ファンドTCIによる、Jパワー株の買い増しについて、
政府が中止や変更を求める方針を決めたが、その理由がお子様以下だ。
「日本の投資家なら短期で売り抜けることはない」というのだが、
TCIの3年から5年という保有期間は日本の投資家を見ても実は少数派だ。
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2008 04 20 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
金融庁の調べによれば、今年1月末で、全国の貸金業の登録業者数が9819社となり、1万社を割り込んだという。1986年には約4万7000社あったから、この20年で5分の1にまで減少した格好だ。
貸金業法が改正されて、2009年からは2000万円以上の純資産がないと営業ができなくなることから、業者数については、さらに減少することが見込まれている。
愚かなことだ。貸金業者がいなくなることが世の中のためになると本当に信じているのだろうか。消費者向け貸金業者の是非についてはともかくとして、事業者向け貸金業者が絶滅しつつあるという現実をもっと深刻に考えたほうがいい。
貸金業者による事業者向け貸付残高を見ると、10年前は50兆円ほどあった。それが一昨年前には20兆円
程度にまで縮小しているから、おそらく現在は十数兆円にまで落ち込んでいるに違いない。
それは、日本経済のすそ野の末端にまで血液を送りこんでいた金融システムの崩壊を意味している。銀行や信用金庫や信用組合は、世の中でいわれているほど、中小企業に貸し込んではいない。零細企業や個人事業主に積極的に貸そうとしているところなど皆無である。
倒産確率の高い小さな会社に貸すことは、自分の人事考課にとって、プラスなどない。せっかく勝ち組の銀行に就職したのに、そんなリスクを取る愚か者などいないのだ。
万が一、否、二十に一、デフォルトしてしまったら、これまで積み上げてきた学歴と職歴に傷がつく。貸すのは、誰もが納得する大企業と、デフォルトしても責任を問われない信用保証協会の保証付きと相場は決まっている。
その上、金融庁の検査でうるさくいわれるリスクとコストを考えれば、中小企業貸出などやっているふりだけしていたほうがいい。昨年秋から信用保証協会の保証が100%でなくなってからは、その傾向が極めて強くなっている。「外食は水ものだ」「アパレルは流行に左右される」「エステやマッサージは資産がない」「運輸業は夜逃げ
する」などと貸せない理由ばかり並べ立てて貸そうとしないのが、銀行という組織である。そこで困っている中小企業、零細企業、個人事業主に資金を融通していたのが、事業者向け貸金業者だった。
だから、事業者向け貸金業者がいなくなれば、いきなり資金繰りに窮することになる。その結果、事業の撤退や会社を畳んだ中小企業は数知れない。経営者が夜逃げや自殺に至ったケースも少なくないだろう。
貸金業者というと、どうしても「サラ金」というイメージを抱きがちだが、金融庁によれば、消費者向け無担保貸金業者、消費者向け有担保貸金業者、消費者向け住宅向け貸金業者、事業者向け貸金業者、手形割引業者、クレジットカード会社などの12種類がある。
このうち事業者向け貸金業者と呼ばれるノンバンクが、事業者向け貸付の約4分の3を担っており、リース会社の5倍以上の存在感を示しているのだが、これらの貸金業者は日本から抹殺されつつあると言っても過言ではない。
また、その他の貸金業者が貸している事業者向け貸付を拾い集めれば、リース会社とほぼ同額になるのだが、ここでも貸し渋りが起きている。遠くない将来において、貸金業者の事業者向け貸付は10兆円にまで萎んでも不思議ではないだろう。
極めて大雑把であるが、20兆円の貸し付けが10兆円に減少するインパクトを試算してみよう。これらの貸金業者1社から借りる事業資金は、だいたいが200万円程度である。2~3社から借りていると仮定して、1社あたり500万円借りているとする。
10兆円÷500万円=200万社という、とてつもない数字が出てくることに気付かざるを得ない。これは、日本の中小零細企業の約半数に当たる数値だ。
保守的に見て、仮に半分としたところで100万社である。事業者向け貸付残高の縮小という現実がもたらす経済的なインパクトは、極めて甚大なものになってしまうのだ。
貸金業者が1万社を割り込み、中小零細企業100万社が路頭に迷うという現実を直視しないで、正しい経済政策を為すことはできない。
報道によれば、福田内閣は、期末に向けて中小企業に対する対策を打ち出すらしい。ところが中身を見ると、業績悪化が著しい業種を政府が調査し、2月末までに信用保証枠の拡大に応じるという。国民生活金融公庫では、第三者の保証人が不要の融資限度額を2000万円から4800万円に引き上げるようだ。
こうした対応を見るだけで、現政権の無能さが浮き彫りになる。そもそも、業績悪化が著しい業種がどこかということを把握していないという事実にあ然とするし、必要とされているのは、300万~500万円の資金を素早く貸すことなのに、「上限を4800万円にすればいい」という現場を知らない机上の空論を振り回しているからだ。
路頭に迷う100万社になりたくなければ、政府を当てにせず、経営者が自ら血路を切りひらくしかないようである。
『フィナンシャル ジャパン』5月号掲載 「400万社の本音」
2008 04 19 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
フィナンシャル ジャパン5月号 伯楽諫言 木村 剛
1月下旬に北畑隆生経済産業事務次官が、「株主は、能力がないうえに、浮気者で無責任。
しかも強欲で、脅迫までする」という趣旨の発言をしたことは、市場関係者に衝撃を与えた。あまりにも株主蔑視の発言だったからだ。
ただ、この舌禍事件は、福田内閣にとって千載一遇のチャンスでもあった。というのは、北畑次官を即時クビにすることで、「日本は株主を蔑視していない」と強くアピールできたからだ。今夏には退官予定の方である。予算が要らない格好の株価対策になっただろう。ダボス会議において福田首相が「市場開放努力を一層進める」と演説した直前だったから、タイミングとしても絶好だった。
ところが官邸では、北畑次官を叱責するどころか、「よくぞ、言ってくれた!」というムードすら漂う。だから、空港運営会社の外資規制も議論が錯綜してしまった。外資規制自体は突拍子もなく悪いわけではないが、議論の中身がお粗末すぎる。「空港は、検疫や出入国の管理などを担っており、外資に支配されたら国の安全が脅かされる」とか「空港は出入国を管理する水際である以上、国家的な機密が少なくなく、保安情報の流出や有事の機動性低下などの問題がある」など、誤った事実に基づく主張を垂れ流すのだから呆れてしまう。
空港運営会社において、経営判断に任されているのは、空港ビルの中のレストランとショップの運営ぐらい。出入国管理や税関や検疫や航空管制などは、政府の管理下にある。株主に与えられている権利は、経営者の指名程度なのだから、オタオタすべきではない。経営陣の保身がそんなに大事なら、上場しなければよかった。
電源開発に関しても同様だ。英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドが買い増したいとオファーしたら、「安全保障と公共の秩序」という理屈を持ち出して邪魔している。先方は、そういう事案については議決権を行使しないと宣言しているのに、「ダメだ」の一点張り。
要するに日本においては、会社は「経営者のモノ」なのであり、経営者に居心地のいい環境を壊す株主は排除したいということなのだろう。私も米国資本100%の下で辛い思いを経験したから、その気持ちは十分わかる。しかし、だったらなおさら「上場するな!」と言いたい。上場するという行為は、「誰にでも買われていい」という宣言そのものだからだ。
その程度の常識すらないから、サッポロホールディングスの経営陣は、買収を提案しているスティール・パートナーに対して、「支配株主として責任ある行動をとろうとしていない。ひたすら自らの利益を追求する可能性がある」と生意気にも批判してしまう。だったら、経営陣がMBOすればいい。
その一方、米国においては、マイクロソフトからの買収提案を断ったヤフーの経営陣が、株主から「株主利益を考えるべき取締役としての義務に反する」「高値で売却する機会を失った」「取締役が保身を図った」などと訴えられている。本当に対照的だ。
投資家は、株主を大事にする国と株主を大事にしない国のどちらを選ぶだろうか。どちらの国の株価がより上がるだろうか。結果的に、どちらの国の経済が発展し、国民の生活が豊かになるだろうか。
そんな基本的なことさえ、この国の為政者はわかっていないのだ。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「Jパワー株買い増しに政府どうしようもない中止勧告」
英投資ファンドTCIによる、Jパワー株の買い増しについて、
政府が中止や変更を求める方針を決めたが、その理由がお子様以下だ。
「日本の投資家なら短期で売り抜けることはない」というのだが、
TCIの3年から5年という保有期間は日本の投資家を見ても実は少数派だ。
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2008 04 19 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン4月号] FJ REPORT
東京都内のタクシーが全面禁煙化された。
夏までには全国の自動販売機が「成人識別」対応機になる。愛煙家とたばこ業界を取り巻く環境は厳しさを増す一方だ。
一分の隙もない禁煙化
1月7日、東京都内を走るタクシーが全面禁煙となった。ドアには禁煙シール、窓ガラスには禁煙グッズの広告が貼られている。分煙・禁煙化が進む昨今、タクシーは〝喫煙の自由が残る唯一の交通機関〟と言ってよかった。だが、2003年施行の「健康増進法」は、タクシーも「受動喫煙防止」に努めなければならないとしており、世のすう勢には逆らえなかった格好だ。
東京都の法人タクシー会社約320社が加盟する業界団体、東京乗用旅客自動車協会(東旅協)の堀清孝広報委員長に禁煙化の経緯を聞いてみた。「07年8月に運賃改定が決まった際、改定に合わせたサービス向上の一環として、全車両の〝2割〟を禁煙とする案が出された。その後 〝その程度だと非喫煙者が禁煙車を選び出すのは難しい。いっそ全面禁煙にすべき〟との議論があり、今回の措置を決定した」
乗務員は携帯灰皿を常備、喫煙途中で乗車した利用客には、これで消してもらうようマニュアル化されているそうだ。それでも吸いたければ、いったん降車を求めるなど、徹底した禁煙対策を講じる。堀氏によれば、禁煙化から1週間が経過した時点で、苦情はわずか5件程度にとどまった。都内タクシーの平均利用金額は1500円程度とされ、時間にして5~ 10分だから、我慢は可能なようだ。
利用者と運転手両者の合意が禁煙化の出発点だった
禁煙化となれば、「タクシー=融通の利く交通機関」というイメージはなくなり、営業面でマイナスになりそうだが、東旅協は心配していない。前出の堀氏は、「禁煙化の背景には、利用者はもとより、乗務員からの要望も根強くあった」という。
利用客の意見については、東旅協が00年から公募で選んだアドバイザーによる会議を設置。ここで禁煙を求める声が強かったという。乗務員からは、「体に悪いので禁煙化してほしい」という声が東旅協に寄せられていたとのことだ。利用客と乗務員。双方の要望を実現するのだから、不満は出ないだろう――そんな判断があった見られる。どうやら分煙・禁煙という〝たばこ包囲網〟はどうやら最終段階に入ったようだ。
自販機でたばこを買うには「taspo」が必要
こうして、愛煙家の多くが〝吸いにくくなった〟と感じ始めているなか、今度は〝買いにくく〟なるかもしれない。3月から7月、全国の自動販売機で順次、成人識別用のICカード「taspo(タスポ)」が導入される。今後は、タスポで識別ユニットにタッチしないと自販機でたばこは購入できなくなる。カードの申し込みは2月1日に開始されている。運用は東京都の場合、7月1日からだ。
800億〜900億円をかけてタスポを導入する社団法人日本たばこ協会(以下、TIOJ)の未成年者喫煙防止対策室の小澤博之氏は、「タスポは未成年者の自販機を介した購入・喫煙を防止するためのもの」と説明する。タスポの目的が、愛煙家に対して購入のハードルを高くすることではないというのだ。
タスポ取得のための手続きは、次の通りだ。たばこ店などに置かれた申込用紙に必要事項を記入し、顔写真と本人確認書類を貼付して日本たばこ協会に送付、約2週間でカードが手に入る。本人確認書類として認められているのは運転免許証、健康保険証、住民基本台帳カード、年金手帳などだ。もちろんタスポには、自販機の識別ユニットにタッチするだけで買える便利さがある。
だが現金を出せば買えていたものに対し、申し込み手続きを求められると、「心理的な抵抗が生じるのでは」という危ぐもある。「導入を機に禁煙しよう」と考える人が出てくるとしたら、たばこ業界にとって苦しいところだろう。
たばこしか買えない電子マネー
タスポには、利用者の利便性を考慮して、電子マネー「Pidel(ピデル)」が付帯される。
電子マネーと聞くと、SuicaやPASMOのような、汎用性の高い機能を期待するのは当然だろう。しかし、ピデルは自販機でチャージ可能ではあるものの、利用はたばこ自販機に限定されているのだ。
前出の小澤氏は、「理想はすべての喫煙者がタスポを取得すること。〝カード即時発行バス〟を使って宮崎県、鹿児島県でPRイベントを開催したところ、反響は上々だった」としており、喫煙者のタスポに対する関心の高さがうかがえるという。
だが現実に、喫煙人口のほうは減少の一途をたどっている。JT(日本たばこ産業)の調査では、07年の喫煙者
率は26・0%で、97年の35・3%から10%近くの減。この推移には、人口減少に加え、分煙・禁煙の拡大も無縁ではないだろう。
国内市場の縮小を受け、05年にJTは2兆2530億円をかけて英たばこ会社ギャラハーを買収すると発表するなど、すでに海外でたばこ事業を展開しており、とりわけロシア・東欧の新興国での成長に活路を求めているとされる。
分煙・禁煙化、受動喫煙、未成年の喫煙防止。たばこは今や、社会の厳しい目にさらされている。タクシー全面禁煙化とタスポ導入もその一例だろう。21世紀は、たばこを吸う側だけでなく、売る側にも容易な時代ではないようだ。
2008 04 13 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン5月号] 正しい投資信託の活用術 朝倉智也 モーニングスターCOO
「勝つ投資」から「負けない投資」へ
「長生きのリスク」に備えなければならないこれからの時代、投資の必要性がますます高まるだろうと言われる。また、眠れる個人金融資産1500兆円を有効に活用することは、日本経済の活力維持にも不可欠だ。ところで昨今では一般の投資家にも、「リスク分散」や「国際分散投資」の必要性が広く認識されつつある。ただし、これは“言うは易く行うは難し”であり、専門的な知識を持たない普通の投資家が直ちに実行するのはむずかしい。
そもそも、「リスクの高低をどうやって見分けるのか?」「どこまで手を広げれば“分散”したことになるのか?」「国際分散の対象には何が含まれるのか?」。これらを理解しないまま闇雲に“分散”をしたのでは、期待した効果が得られないばかりか、いたずらにコストをかけるだけの結果に終わりかねない。
特に国際分散となると一般個人には得られる情報が少なく、海外株式投資の場合には自ら銘柄を選択することなど不可能に近い。そこで投資信託という器を利用することで、プロの力を借りながら世界の資産クラスに投資し、広範な資産クラスを組み合わせて理想的なポートフォリオを作ることによって、分散効果を最大限に享受する
ことが可能になる。
著書『投資信託選びでもっと知りたいこと』にその術を詳細に記したモーニングスターの朝倉智也COOは、「安定的なポートフォリオを作るために私が推奨するのは、『国内株式』『国内債券』『外国株式』『外国債券』からなる4つの“コア投信”に、『REIT(不動産)投信』『コモディティ(商品指数連動型)投信』『新興国(エマージング)株式投信』『ヘッジファンド』という4つの資産クラスからなる“サポート投信”を加える方法。これらのサポート投信を組み込むことによって、よりリスクを抑えることができることはデータ的にも実証されている」と語る。
後者の4資産は歴史の比較的新しい商品群だが、日本の投資家も商品知識を蓄えて成熟したため、投資に対する抵抗感が薄れてきたこれらのプラスα の投信を加えることで狙うのは、『どのようなマーケット状況でも大きく負けることのないポートフォリオ』を作ること。
昨年来の世界的な同時株安の局面で原油や金の価格が上昇したことが示すように、値動きの異なる相関の低い複数の資産が、ポートフォリオ全体の価格変動を抑える効果が期待できる。投資信託は長期保有が原則。しかし中長期的に相場を予測することは、誰にとってもむずかしい。『勝つ投資』から『負けない投資』への発想転換を勧めたかった」(朝倉氏)。
「夜、安心して眠れる投資」をところで「リスク」とは何か?
一般的には抽象的な意味合いの言葉だが、投資の世界では「価格変動率(標準偏差)」で表される。
たとえば「【Aファンド】:期待利回り=6%、価格変動率= 10%」「【B ファンド】:期待利回り=6%、価格変動率=20%」の場合、どちらが投資対象として望ましいか? この場合、期待利回りがどちらも同じなのだから、価格変動率の低い【Aファンド】のほうが投資対象として適している。つまり、「リターンが同じならばリスクは低いほうが望ましく、リスクが同じならリターンは高いほうが望ましい」と言える。[図1]
では、リスクとリターンはどちらを重視すべきか? 朝倉氏は「私たちは資産運用と聞くと、『積極的に運用し、できるだけ多くのリターンを得ること』と考えがち。しかし実際には、資産運用は防衛的に行うことが何より大切だ。大きな損失を避け、何かしたくなる衝動に打ち勝ってゆったりとした気持ちで資産運用に臨むうえでは、リターンよりもリスクのほうに注目するべき」と語る。[図2]
また、投信の良し悪しを見分ける指標のひとつに、「シャープレシオ」というものがある。これは端的に言えば「運用効率」を示すもので、リターンの値をリスクの値で割って算出する。シャープレシオの値が高い投信ほど、運用効率が優れていることを意味している。先ほどの例を用いて計算すると、「【Aファンド】:リターン6%÷リスク10%=0.6」「【Bファンド】:リターン6%÷リスク20%=0.3」となる。これらの数値から、リターンが同じでも、シャープレシオの高い【Aファンド】を選ぶべきだと判断できる。。
ただし、「リスクの高低」や「運用効率」は数値化できても、リスク許容度は投資家によって千差万別。「余剰資金で行うこと」を大前提としても、投資家それぞれの許容度そのものを数値化することはむずかしい。
朝倉氏は「余剰資金を運用しているはずなのに、『これ以上損をしてしまったらどうしよう』と不安を抱えて眠れぬ夜を過ごすようなら、それは、あなたのポートフォリオのリスクと、あなた自身が実際にとれるリスクの程度(リスク許容度)のあいだにギャップがある証拠。その場合は、よりリスクの低いポートフォリオに変更したほうがよい。
一時的なポートフォリオの変動で、投資スタンスが“ブレる”ようではいけない。苦しいときにも耐えられるか、一貫した運用をどれだけ維持できるかという点が、リスク許容度を決める際のポイントになる」と指摘した。
2008 04 12 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
第6回FJ資産運用サミット2008
投資家から日本は見放されたのか 日本市場“低迷”時代の投資法
玉塚元一 リヴァンプ 代表パートナー
スコット・キャロン いちごアセットマネジメント 社長
木村剛 フィナンシャル ジャパン発行人
日本経済低迷の理由はサブプライムだけではない「今、景気がいいと思われる方は手を挙げていただけますか?」
2月2日、東京・六本木のアカデミーヒルズで開かれた「第6回FJ資産運用サミット」。『フィナンシャル ジャパン』発行人の木村剛が講演で、会場に詰め掛けた約300人の聴衆に問いかけた。しかし、誰も手を挙げなかった。
木村は、「サブプライムローン問題の広がりで、米国では貸し渋りが発生していると言われるが、一番貸し渋りが起こっているのは日本だ」と話した上で、貸し出しの統計を示した。
米国の不動産向け貸し出しは、06年11月には前年同期比14・8%で、翌年同期には同7.1%。伸びは鈍くなっているが、法人向け貸し出しは逆に伸びており、14・9%から19・3%になっている。で、翌年同期には同7.1%。伸びは鈍くなっているが、法人向け貸し出しは逆に伸びており、14・9%から19・3%になっている。これに対し、日本の法人向け貸し出しは、1.6%からマイナス1.2%と減少している。企業の倒産件数は06年の1万3245件から、07年には1万4091件と6%強増加(中小企業庁調査)。日本の景気はすそ野から崩れつつある。
「昨年の日経平均株価のマイナス11・8%は、主要国の中でも最低にい。社会主義国のベネズエラと同じレベルだ」と木村は嘆いた。 下落の理由に挙げられるのがサブプライムローン問題だが、これは米国発の問題。なぜ日本のほうが景気や株価が悪くなっているのか。木村は、「コンプライアンス不況や日本市場の信頼性が低下していることが背景にある」と解説した。貸金業法の改正によるグレーゾーン金利撤廃の決定(06年12月)、改正建築基準法の施行(07年6月)などの規制強化で、企業活動が停滞して経済全体に悪影響を与えているというのだ。
スティール・パートナーズがブルドックソースの買収防衛策導入差し止めの仮処分を求めた裁判についても言及。判決で、「安ければ買うし、高ければ売る、という徹底した利益至上主義には慄然とする」とした裁判所の姿勢を糾弾。「外国人投資家は日本に愛想を尽かした。昔はアジアに投資するには日本しかなかったが、今は中国
やインドという有望な投資先がある。日本市場は見捨てられかねない」と言い切った。
最後に近著『投資戦略の発想法2008』(DMD JAPAN)に記した投資法を紹介。「余裕資金で投資することが大前提、住宅ローンなどの借金を完済した上で2年分の生活費を分けておくことが大事」と前置きし、「基本は分
散投資・長期投資を心掛けることだ」と話した。そして、「自分が転職したいと思える会社の株を買いましょう。知らないものには手を出さず、新聞に値段が載っているような金融商品に投資することが重要です」と締めくくった。
日本市場は“歴史的な買い場”?
パネルディスカッションでは「モノ聞く株主」を標榜する独立系投資顧問会社いちごアセットマネジメントのスコット・キャロン社長と、ロッテリアの再生などを手がけるリヴァンプの玉塚元一代表パートナーが登壇した。
「日本株は歴史的な買い場だ」
冒頭、キャロン氏が発した言葉に会場がどよめいた。「東証1部の平均PER(株価収益率)が13倍ほどに下がってきており、多くの企業がPBR(株価純資産倍率)1倍を割っている。それでも株価が下がっているのは、金融不安の環境下から買いを入れるには勇気がいる状況で、中長期スタンスでないと手を出しにくいからだ」とキャロン氏は続けた。
銘柄の選別方法について、「当ファンドのポートフォリオには、10社しかありません。それもすべて小型株です。投資は人間の集団への投資なので、取引先などとも会って、半年ぐらい検討した上で組み入れを決定します。夜は安心して寝たいので、財務健全な企業だけを選んでいます」と笑った。
一方の玉塚氏は、司会役の木村に「一人の投資家だとしたら、どんな企業に投資するか」と尋ねられ、「3点を重視します。事業の軸を持っているか、顧客視点になっているか、大局を見ているかです。長い目で見て、正しいことを正しく実行する会社が成功すると考えています。その企業が10~20年前はどういった状況だっか、2~3年前の経営者の決断がどういう結果をもたらしているのかといったことを調べることが大事です」と答えた。
日本企業の経営が話題になると、キャロン氏は、「私は経営者を正確に評価する自信はありませんが、多くは有能な人だと思います」と持ち上げる。玉塚氏は、「日本に足りないのは信じてやり切ろうとするリーダー。また、経営と現場にコミュニケーションがないために、適切な仕事に向かえていないのが問題。方向を定めれば、
一気に経営の改善は進むと思う」と語った。
企業側にさまざまな経営改善の要求を突き付ける“モノ言う株主”の存在がここ数年話題になっているが、キャロン氏は“モノ聞く株主”を標榜している。「企業訪問する場合、経営陣はその事業に何十年もたずさわっていて知識も豊富なので、敬意を払わないといけません。日本の礼儀作法からすると、5%の株式を取得したからと
いって声高にモノを言うのは無礼です」と話し、日本人が持つ外国人投資家のイメージとはかけ離れた姿勢であることを印象付けた。
さらに、「一度納得できないことがあって、行動を起こしたこともありましたが(合併問題を巡っての東京鋼鐵との委任状争奪戦)、そうなってしまったのは私のミスです」と振り返った。
これに対して玉塚氏は、「会社の価値が下がっているのに対して、株主からプレッシャーがかからないというのはおかしい」と主張。するとキャロン氏は、「株価が買った時の半値になったら、手紙をIR宛てに送るなどして企業
とコミュニケーションをとるべきでしょう。我々の財産を守ってくださいと伝えるのです」と付け加えた。
最後に個人投資家へのアドバイスを求められたキャロン氏は、「長い目で見るとグロース(成長株)投資よりバリュー(割安株)投資の方が良いパフォーマンスを示しています」と過去のデータを紹介。「機関投資家はすぐに結果を出すことが重要なので、短期視点になっています。その点、長期投資することができる個人投資家は有利でしょう」と述べた。
第7回FJ資産運用サミットは前お申し込み受付中≪事前登録要・参加費無料≫
http://www.financialjapan.co.jp/summit/
【日時】4月12日(土)12:30~17:00 予定
【会場】六本木アカデミーヒルズ49(六本木ヒルズ森タワー49F)
2008 04 06 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
[フィナンシャル ジャパン4月号] FJ REPORT 早めの予防で花粉に勝つ!
年末から売れ出す商品も注目は“わさび”
日本人の約16%が花粉症に悩み、そのうち約70%はスギ花粉症だと推測されている(厚生労働省など調べ)。ドラッグストアの店頭では、花粉症対策商品は「季節商品」としてすっかり定着した。インターネットの通販サイト、ケンコーコムやアマゾンにも専用カテゴリーができている。
民間の市場調査機関、富士経済の「一般用医薬品データブック2007」によると、花粉症対策商品の市場規模は、約430億円。花粉の飛散量によって販売高の増減はあるが、花粉の猛威を受けた01年ころから市場は拡大
し、ここ数年は毎年400億円前後の販売高がある。
「以前は、花粉が舞い始めてから商品が動いていたが、最近は早めに動くようになった。乳酸菌は12月ころから売れている」。ケンコーコム商品本部バイヤーの宮川崇氏は、そう話す。
くしゃみや鼻水、目のかゆみといったアレルギー症状が出てから対応するよりも、花粉が大量に飛び始める前の予防で症状が軽減されるのなら、それに越したことはない。アレルギーになりにくい体質づくりに効果があるといわれる健康食品や栄養機能食品を摂取したり、高機能マスクや花粉防止スプレーを使ったりして、迫りくる花粉に備えるというわけだ。
同社が昨年、発表した「2007年花粉症売れ筋TOP 10」では、第1位が花粉用マスク、2位以下には乳酸菌、アロマオイル、鼻洗浄機、お茶、花粉防止スプレーなどが入っている。長年、固定ファンに支持されている商品がよく売れるという。店頭ではあまり扱っていないような商品でも、9万種類以上の品揃えを誇るケンコーコムなら買うことができるとあり、幅広く利用されている。
花粉症に悩む人にとっては、自分の体質に合った対策を見つけることは急務。「効果がある」という噂を聞けば、口コミで広がる民間療法にもすがりたくなる。
製造などにあたって明確な規制がない健康食品は、異業種からも参入しやすい分野。「一時期は健食品バブルの様相だった。しかし、数年前に薬事法違反やデータねつ造事件などが続発したことにより、消費者からの信頼が揺らいでしまったように思う。ただ、そのことで参入のハードルが高くなり、消費者から信頼される商品が残ったようだ」と、宮川氏は説明する。
今年、話題になっているのは、“わさび”。本わさびに含まれる「スルフィニル」という成分が注目されている。日本花粉学界の調査では、スギ花粉症患者に発症時期の1カ月前からスルフィニルを含むサプリメントを摂取してもらったところ、鼻水と目のかゆみでは70%以上、くしゃみで60%以上の患者が効果を感じたという。名古屋のわさび製品会社、金印が商品化し、販売している。
装着感いい高機能マスク 市場規模2倍に拡大
ケンコーコムの「花粉症売れ筋TOP 10」で第1位を独走するマスクは、花粉シーズンの必須アイテム。これまではガーゼを素材にしたタイプが多かったが、軽くて通気性に優れた「不織布」と呼ばれる合成繊維を使った使い切りタイプの製品が登場。形状にも工夫が施され、顔の形に沿った「立体型」が人気だ。
マスク人気の火付け役となったのは、ユニ・チャームが03年に発売した「超立体マスク」。
「マスクの市場規模は150億円といわれている。超立体マスクを発売したころから数年で約2倍に成長した」と、ユニ・チャーム秘書広報IR室の服部聖子氏は説明する。
立体型マスクは、もともと医療機関向けの商品として販売していたが、現場の医師らから好評を得て、花粉症対策商品として改良し、市販化にふみ切ったという。発売当初こそ、個性的な形状に抵抗感を抱いた人があったものの、花粉を強力にシャットアウトでき、装着感がよく、めがねがくもらないなどの理由でまたたく間に市民権を得た。
「どんな人の顔にもフィットするように試作をくり返してできあがった形。使用後は装着面を内側にして二つ折りにできるので、捨てるときも衛生的。女性には、口紅がつきにくいことも好評」と、服部氏は個性的な形状へのこだわりを話す。07年に新発売した「超立体マスク 花粉用スーパー」は、鼻の部分から花粉が入り込まないよう、すきまを減らした。
花粉症は一度、発症してしまうと自然治癒が難しい病気。花粉飛散初期から対策することで発症を遅らせたり、症状を弱めたりできるという。また、発症していない人でも、スギ花粉を体の中に大量に取り込まないようにすることが発症への予防となる。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「ガソリン値下げで騒ぎすぎ」
ガソリン税の暫定税率が期限切れとなり、4月1日から、値下げされたガソリンが一斉に出荷された。3月分の在庫は安くならないためにガソリンスタンドの対応はまちまちで、混乱しているかのような報道がなされている。
たかだか25円ガソリンが下がって、社会に混乱が起こるとか騒ぐ事自体全くのナンセンスである。
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2008 04 05 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」4月号掲載
【会社法がわかれば商売がわかる!】 中央大学法科大学院教授 野村 修也氏
食品偽装や異物混入など、食品会社の不祥事が後を絶たない。
企業にとっては、訴訟に巻き込まれるリスクや評判が低下するリスクを回避するために、不祥事の起こらない体制を整備することが何より重要であることは言うまでもない。しかし、それに加えて、近時特に注目されているのが、不祥事が起こった後の対応である。とりわけ食品会社の場合には、いち早く事実を公表し、被害の拡大を防ぐことが重要である。
2007年1月18日、大阪高等裁判所は、日本で許可されていない食品添加物の混入した大肉まんを製造販売したダスキンの取締役らに対し、事件を隠蔽しようとしたことを厳しく指弾した。すなわち、「当面の販売停止や在庫破棄に伴う損害を回避するただそれだけの目的で、事実を隠蔽し、販売を継続することは、消費者の食の安全衛生に関する心理を無視して自社の目先の利益を優先するものにほかならず、明らかに消費者を軽視するものであり、消費者からの重大な反発を招き、ダスキンに対し、当面の損害回避によって得られる利益を遥かに超える深刻な損害をもたらすであろうことは、雪印乳業株式会社の事例によっても、容易に想像できたものである」という下りがそれである。
結論として、大阪高等裁判所は、被告(控訴人)である取締役らに対し、53億4350万円の損害賠償を命じた。
これらの取締役は、フードサービス部門の責任者であって、被害が出る前の段階から問題を把握していたにもかかわらず、口止め料を払うなど積極的な隠蔽行為を行っていた点で悪質であった。したがって、高額な損害賠償が命じられたことも首肯できないわけではない。
それに対し、06年6月9日に同じ大阪高等裁判所が下した判決は、ダスキンの取締役のうち、直接事件に関わっていなかった者の責任を扱ったものである。争点は、社内で事件が発覚した後直ちに公表しなかったことについて、事件に直接関与していなかった取締役もまた、公表義務違反の責任を問われるか、という点にあった。
この点につき、大阪高等裁判所は、「万一安全性に疑問のある食品を販売したことが判明した場合には、直ちにこれを回収するなどの措置を講じて、消費者の健康に被害がでないようにあらゆる手立てを尽くす責任があることはいうまでもない」と判示し、事件に直接関与しなかった取締役についても責任を認めた。
ここで注目すべきは、そもそも大肉まんは店頭で蒸して販売されるため、事件が発覚した時には、すべて消費されているか、またはごみとして処分されている可能性が高かったにもかかわらず、裁判所が公表義務を否定しなかった点と、「(未認可の)食品添加物が実際に健康被害をもたらすおそれがあるのかどうかにかかわらず」公
表義務があると判示した点である。通常の責任論に照らして、いずれの判断もやや厳しめであることは、誰の目から見ても明らかであろう。
昨年10月、ダスキンは、ミスタードーナツで販売していたフルーティミルクに賞味期限切れのシロップが使われていたことを公表し、直ちに販売を中止した。ダスキンに限らず、こうしたスピーディな対応は消費者から好感を
持って受け止められているが、食品各社にみられる、やや過剰とも言える対応の背景には、大阪高裁判決の影響が読み取れる。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「速報!!日本内部統制大賞2008 表彰式」
3月26日に東京証券取引所・東証ホールにて「日本内部統制大賞2008-Integrity Award-表彰式」
が開催された。今年4月から上場企業の財務報告に係る内部統制が金融商品取引法で義務化されることもあり、
内部統制を本格的に入れようという気運が高まっている。
皆さんもサービスやモノを買うときに裏側にある経営者の実際の管理のやり方、あるいはそのビジョンを実現するための仕組みづくりがどうなっているのか気をつけて頂きたい。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080326/080326mag_ia.html
2008 03 30 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」4月号掲載
【超経済外交のススメ】 独立総合研究所 社長・兼・首席研究員 青山繁晴氏
マーケットは「フクダウリ」一色である。世界経済にサブプライムローンあり、原油高あり、しかし日本の株安は、ほんとうは「福田売り」に尽きる。
国際マーケットで日本にいくらかでも関心を持つフィナンシャル・アナリストやトレーダーに話を聞くと、その共通語は「フクダウリ」であると分かる。福田康夫首相という個人が売られているのではない。それならまだ良い。福
田内閣という統治を、この時期の世界に送り出した日本そのものが、ひたすら売りを浴びている。
その日本売りには、福田政治を超克する役割を果たすはずの野党第一党も、加担している。
小沢民主党は、福田政治の後ろ姿を見るために置かれた合わせ鏡のようだ。日本は前からみても後ろからみても売り、民主党はむしろそれを強調している。
世界は、日本が新年度予算をどう使うか、固唾を呑んでみていた。もはやグローバリゼイションという小綺麗な言葉では表せないほど、世界はぎゅっと縮んで一つに絡まり合っている。
日本が巨大な図体の予算の活かしかたを誤って経済がさらに弱まれば、確実に世界に響く。
ところが日本政治は、ガソリン税に上乗せした25円をどうするか争うばかりだ。民主党が「ガソリン値下げ隊」をば結成し「ガソリン解散」を叫び、与党がこれを押しとどめる。予算をめぐる本格論戦はほとんど、これだけだった。
小沢政治がポピュリズムであることなど、世界の誰の目にも分かる。なにせ党代表だった前原誠司代議士が公然と、「小沢政治は内政バラマキ、外交反米、これで政権を担えるのか」と発言している。
そして与党は、このガソリン税の使い途に関連して、小泉、安倍両政権が施政方針演説などに「道路特定財源を一般財源化する」という方向を盛り込んだが、福田政権では姿を消した。きちんと理論武装、国民そして世界への説明があってのことならまだしも、音もなく消えている。小泉時代はやっと構造改革をやろうとしているようにみえた、安倍時代はややグレーになった、福田時代は改革がどこかへ消えた。だから小泉政権当時の日本は買い、安倍政権では様子見、そして福田政権は売り。それだけのことだ。
世界マーケットに見捨てられては、日本が超経済外交へ脱皮するなど空しい夢となる。
本稿を執筆しているパソコンのディスプレイの一角には、テレビ画面が開く。衆院予算委の中継が映っている。質問する議員をTVカメラが写すとき、そのアングルに入る位置に、質問とは無関係な議員が談合し順番を決めて入れ替わり立ち替わり座り、さも質問を熱心に聴いているかのようなポーズでTVに映る。選挙区で、「あ、センセイが映ってる」と言って欲しいからだ。この馬鹿馬鹿しい慣習を国民は知らない。わたしは政治記者の時代に、議員たちがこれを例に挙げて「選挙は大変なんだよ」と言うのを何度も聞いた。
正直、その涙ぐましいとも言える努力?に、こころのうちでは同情もした。しかし今は、カメラ目線の自意識過剰の顔を見ながら、腹を立てないわけにはいかない。
日本国が売られているときに、あなたがたは自分がいちばん大切なのか。それでもいい。しかし、どうか国会議員の職だけは辞していただきたい。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「速報!!日本内部統制大賞2008 表彰式」
3月26日に東京証券取引所・東証ホールにて「日本内部統制大賞2008-Integrity Award-表彰式」
が開催された。今年4月から上場企業の財務報告に係る内部統制が金融商品取引法で義務化されることもあり、
内部統制を本格的に入れようという気運が高まっている。
皆さんもサービスやモノを買うときに裏側にある経営者の実際の管理のやり方、あるいはそのビジョンを実現するための仕組みづくりがどうなっているのか気をつけて頂きたい。
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2008 03 29 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 4月号掲載
連載コラム―次の一手 (マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏)
2008年は『周年当たり年』《眼力》が問われる節目の年
2008年は、まさに節目の年であり、周年当たり年、アニバーサリー集中年である。平成になって20年、十二支の始まりの年であり、洞爺湖サミットが開かれ、北京五輪が催される。しかし、それだけではない。さまざまな周年が目白押しで、全国津々浦々で記念イベントが予定されている。
有名なものの一部を挙げるだけでも枚挙にいとまがない。日本の金融史の始まりともいえる和同開珎発行1300年。国際的に注目すべきは、日仏修好通商条約締結150周年、日本からのブラジル移民100周年。昨年は早稲田大学創立125周年だったが、今年は慶應義塾創立150周年である。また、関東大震災発生85年、十勝沖地震発生5年を迎える。
そして、話題を呼んでいるのは全国各地の代表的な施設の重要な周年に当たっていることだ。東京タワー開業50周年、関門トンネル開通50周年、成田空港開港30周年、横浜スタジアム開場30周年、東京ディズニーランド開園25周年、東京ドーム開場20周年、青函トンネル開通20周年、瀬戸大橋開通20周年、福岡ドーム開場15周年、横浜ランドマークタワー開業15周年、明石海峡大橋開通10周年、六本木ヒルズ開業5周年。並べて見ると日本の戦後史そのものである。
一方、文化やスポーツの分野も話題に事欠かない。『赤毛のアン』出版100周年、マハトマ・ガンジー没後60年、ベーブ・ルース没後60年、NHK総合テレビジョン放送開始55周年、ヘレン・ケラー没後40年、マーティン・ルーサー・キング牧師没後40年。J -WAVE開局20周年、Jリーグ開幕15周年。
年齢によって興味は異なるだろうが芸能界も華々しい。和田アキ子歌手デビュー40周年、竹内まりやメジャーデビュー30周年、キャンディーズ解散30年、BOOWY解散20年、B'z メジャーデビュー20周年、浜崎あゆみメジャー
デビュー10周年、モーニング娘。メジャーデビュー10周年、宇多田ヒカルメジャーデビュー10周年。 節目の年の節目とは竹の節目のように区切りを示す。周年は暦を一周巡ったことを指す。アニバーサリーとは、anni はyear、
versaryはturnを意味する。さて、2008年度に向けて、日本経済はこれからどんなフェーズに進むのか?明らかに潮目は変わった。時代は分水嶺を超えたのだ。
再バブル・プチバブルがはじけて株価は低迷。進む円高。地価も天井を打ち、再び貸し渋りが始まった。25年ぶりの原油高、資材高、人手不足、人件費高騰。もはやバブル後に続いてきたデフレとは質が異なっている。少なくとも中小企業や地方経済は、不況下のインフレ、つまり、スタグフレーションに襲われている。しかも、コストの増加を自社が提供する商品やサービスには価格転嫁できない。その上、記録的な寒さ、京都議定書の実行約束年、ねじれ国会と、企業を取り巻く環境は厳しさを増している。
しかし、変化は商機である。変化は新たなビジネスチャンスを生み出す。この周年特需を見逃す手はない。日本もアメリカも政治決戦の年。そして、経済も決戦の年だ。節目の年はいいが目が節穴ではいけない。目の着け所が問われる一年となる。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「米国株急反発とバーナンキの試練」
3月11日の米国株式相場は急反発して5年8カ月ぶりの上げ幅となった。
今回FRBがとった対策は、これまでの「学者っぽい」バーナンキからすれば、なりふり構わぬものだった。この相場の反応は、マーケットが本当のプロフェッショナルを必要としているということの証である。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080312/080312mag_frb.html
2008 03 23 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 4月号掲載
連載コラム―ミクロを変える経済 財部誠一氏(経済ジャーナリスト)
好調なのはグローバルな大企業だけで、国内の中小企業は不振のきわみ――。景気論議で必ずといっていいほどステレオタイプに語られる。だが大企業がグローバルで中小企業がドメスティックだなどという認識はあまりにも古い。
いぜん本コラムでベトナムに進出したエースコックをとりあげたことがある。ベトナム国内シェアNo.1になったばかりか、それをテコに総合国食品メーカーに脱皮して、世界市場に打って出るという痛快な経営をしていることはお伝えしたが、その後日談がある。なんとキリンビバレッジがベトナム進出にあたり、エースコックと提携することになった。飲料のトップブランドであるキリンが業界5位のエースコックに提携話をもちかけるなどということは、日本国内ではちょっと考えにくい。ベトナムだからこそ、実現したカップリングであろう。だがこれによってベトナムを拠点としたエースコックの総合食品化、国際化戦略は大きなリアリティを持ち始めた。
エースコックはこてこての大阪の会社である。もちろん大企業ではない。だが単純な海外進出ではなく、海外進出をきっかけに、さらに大きな市場を取り込んでいこうというエースコックのようなビジネスモデルが、じつはベンチャー企業のあいだにも続々とひろがっている。
先日、ハワイに拠点を置いているベンチャー企業2社の話を聞く機会があった。ひとつは「三好池」という錦鯉の生産・販売をしている会社である。錦鯉の産地といえば新潟県小千谷市が有名で、そのせいか錦鯉の生産には寒冷地が向いているのかのような錯覚をあたえる。だが、それはまったくの勘違いで、気候温暖のほうが鯉の成
長も早く、水等々の条件も併せ持ったハワイが錦鯉の育成には最適だ。三好池は投資家から資金を調達してハワイに広大な生産拠点を建設したが、彼らが狙ったマーケットはハワイではない。最大のマーケットは米国本土だ。これが見事に的中した。
ハワイを拠点に米国本土を狙う戦略だが、まったく同じ考え方で成功しているレストランチェーンがある。「食堂
JAPANESE」。ワイキキからそう遠くない、オアフ島最大のショッピングエリアであるアラモアナショッピングセンター近くに2年前オープンした和食レストランだ。だが「食堂JAPANESE」のターゲットは日本人旅行客ではない。地
元ハワイの人々が日常的に利用できるレストランだ。日本の居酒屋メニューをハワイのロコ向きに改良した料理が基本だが、一人2000円ほどでお腹いっぱい食べられる。日本人が食べてもじつに美味い。これが大成功した。
すると「食堂JAPANESE」の経営者は資本を調達して、米国本土への上陸作戦を展開した。まずはロスへ進出。これも当たった。現時点の目標は10年で米国国内に50店舗の店をオープンすることだ。
中小企業だからグローバル化できないなどという話はナンセンスきわまりない。日本の国内市場が人口減少で縮小せざるをえないという時代背景の中で、それでも成長していこうというなら、中小企業といえども自らの意思と力で海外市場をとりこんでいくよりほかに選択肢はない。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「米国株急反発とバーナンキの試練」
3月11日の米国株式相場は急反発して5年8カ月ぶりの上げ幅となった。
今回FRBがとった対策は、これまでの「学者っぽい」バーナンキからすれば、なりふり構わぬものだった。この相場の反応は、マーケットが本当のプロフェッショナルを必要としているということの証である。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080312/080312mag_frb.html
2008 03 22 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
『フィナンシャル ジャパン』 3月号
ジャン・フランソワ・カントン(コムジェスト社長)+澤上篤人(さわかみ投信代表)+木村 剛(本誌発行人)
日本株は今買いなのか
澤上 インフレが起きた70年代当時の世界人口は40億人でしたが、そのうちの30億人はソビエト連邦、東欧、中国、インドなど社会主義的な国の人たちでした。成長はしていましたが、ごく限られたものだったのです。それに、彼らは「成長」が何を意味するのか知りませんでした。先進国だけが消費の中心だった時代のインフレなんですね。しかし、今、消費の中心は、先進国だけではありません。発展途上であり成長過程にある国の人々はさらに豊かな生活と成長を求めています。彼らは「成長」とは何かを理解し、さらなる「成長」を求めるでしょう。その流れは、どんどん加速しています。
木村 そうなると、需要の増加は止まりませんね。
澤上 需要の高まりは、誰にも止めることができません。世界の人口も、より良い生活を求める人の数も増えます。彼らがさらなる成長を求めるようになれば、その流れを誰にも止めることはできないのです。物やエネルギーなど、すべてに対する需要が伸び続けることになるでしょう。これからは、世界の人々が必要とするモノに投資をすべきだと思います。
木村 マネーゲームではなく、ファンダメンタルズに投資すべきということですね。そういう局面にあるとすれば、投資家は何をすべきなのでしょうか。
カントン 株価の下落局面で買いに出ることです。サブプライム・ショックが起きた07年8月中旬は誰もが悲観的でしたが、そういうときでも株を少しは買っておくべき。従来の水準から考えると株価収益率が低いので、下降リスクは限られたものです。とはいえ、株式市場が大幅に好転するとも思えません。銀行やヘッジファンドが破綻するかもしれませんし、サブプライム・ショックによる金融不安が実体経済にどれだけの影響を与えるかわからない。そういう不安に対する正確な答えが投資家に与えられるまで、市場の動きは限られたものになるでしょう。
木村 日本の株価はかなり低くなっていますが、今は買いのタイミングなのでしょうか。
カントン 投資という仕事は、頭が良くなくても務まります。ただし、規律と勇気が必要です。株価が落ち込んでいて、皆が株式市場を敬遠していても、少しは買うべきです。日本円の水準は極めて安いと思いますし、株価も著しく過小評価されています。だから、買っていいと思います。ただし、何がきっかけになって株価が上昇するかは分かりませんが(笑)。澤上 同意見ですね。だから、さわかみファンドは日本企業の株を買っているんです。資金が続けば、いくらでも買います。
木村 そういう中で、澤上さんは地元の人々が地元の人々のために運営する「おらが町投信」の組成を手伝っておられますよね。
澤上 08年初には3つの「おらが町投信」が立ち上がる予定です。いずれ地方の各地で、30くらいの投信が立ち上がればと思っています。これらの投信会社が、それぞれ独自の調査機能を有するには膨大なコストがかかるため、ファンド・オブ・ファンズになるわけですが、そのためには、基となる良質のファンドがなくてはならない。じつは、コムジェストは「おらが町投信」に対して、エマージング市場の株式とヨーロッパ株式のファンドを提供してくれるサポーターでもあるんです。これらのファンドを採用するしないは自由ですが、金融当局との折衡が済み次第、日本でスタートします。こうした優れたファンドがあればこそ、「おらが町投信」は成功することができるのです。カントン 私は、澤上さんの考えをサポートしています。それで私は、東京に日本コムジェストを開設することにしました。今ライセンスを申請しているところです。
木村 日本経済の将来は非常に明るいと考えているわけですね?
カントン はい。投資家にとっては、今はチャンスだと思います。
木村 日本経済の将来については悲観的な考え方を持っている人が大勢いるようですが。
澤上 だから、私たちは今、投資しているんですよ(笑)。
カントン ヨーロッパのファンドは日本から資金を引き揚げています。だから、コムジェストは、日本に投資するんです(笑)。
今後投資家に必要なことは何か
木村 日本の金融規制が不透明であるとか、司法判断がビジネスを理解していないという批判もありますが、気にはなりませんか。
カントン そういうことは考慮に入れなければなりません。私たちは、投資環境を変えられる立場にはいませんからね。ただし、コムジェストは、アクティビストになるつもりはないので、日本の規制や慣習は尊重し、与えられた投資環境の中で良い運用成績を収められるように努力するだけです。
澤上 私たちは長期投資なので、そうした話題は気にならないのです。そうではなく、ファンダメンタルズに重点を置いています。人々の生活様式や、その傾向、企業の経営方針のほうが重要です。優良企業は、法令を遵守してキチンと適切にビジネスを行いますから、長期運用である限り、規制や司法を気にしなくてよいのです。私たちのような運用野郎たちにとっては、関係のない話なんです。
カントン 私たちは、短期間で儲けるつもりはありませんからね。
木村 長期的な視点で見れば、そうした短期的な問題はいずれ解決する、と考えられるわけですね。
カントン そう願っています。
木村 でも、日本は、資本主義の国ではなく、社会主義の国かもしれませんよ(笑)。
澤上 国民の生活や経済活動は資本主義に根ざしています。日本の投資家は、自分たちの投資に目を向けることを怠りがち。政治や時事問題に目を向けていては、優れたポートフォリオを作成することはできません。投資家に必要なことは、優れた企業や業績のよい企業を探すことです。そのほうがよっぽど面白いですよ。
木村 確かにそうですね。消えた公的年金を議論しているよりも前向きですしね(笑)。
カントン 過去5年間を振り返ると、日本企業の配当額はかなり引き上げられました。10年前と違って、配当性向を意識しています。これは良いサインですね。
木村 日本経済が良くなるかどうかはともかくとして、良くなっている個々の日本企業はある。
カントン 多くの日本企業は、この10年間、非常に良い業績を残しています。キヤノン、信越化学、アシックス、任天堂などは、長期にわたり素晴らしい業績を残しています。今後5~ 10年の間に、最高の企業となる会社を正しく選べば、日本経済に関係なく、良い運用成績を残せるでしょう。そんなに難しい話ではありません。
木村 優れた企業は、国境を超えるわけですね。
カントン キヤノンや信越化学は時価総額が増え続けていますが、それは収益がほぼ毎年増え続けた結果です。
澤上 慎重になったり、神経質になるのは自由ですが、時間はどんどん流れていきます。今この瞬間においても、世界人口は増え続けています。日本企業の多くが、世界の需要に応えるため、世界を舞台に成長を続けています。長期運用に重点を置いている限りは、時の流れに乗っていくことができるのです。日本の多くの投資家や、
金融機関が、足踏みをしている間に、私たちのような運用野郎たちは、彼らの先を進んでいきます。
カントン 株価の上昇と利益の拡大には相関関係があります。それは、日本を含め、すべての地域に共通することです。今後5~ 10年の間に年率で12%ほどの成長が期待できる企業をポートフォリオの中に加えておけば、少しずつ良い結果を出していくことができます。日本企業を含めて、そうした企業は世界にたくさんあるんです。キヤノンの業績と株価を比較すると、私が言っていることが理解していただけるでしょう。
木村 サブプライム・ショックを心配していてはダメですね。
カントン むしろチャンスととらえて、優良企業を正しく選択すればいいのです。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「米国株急反発とバーナンキの試練」
3月11日の米国株式相場は急反発して5年8カ月ぶりの上げ幅となった。
今回FRBがとった対策は、これまでの「学者っぽい」バーナンキからすれば、なりふり構わぬものだった。この相場の反応は、マーケットが本当のプロフェッショナルを必要としているということの証である。
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2008 03 16 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
『フィナンシャル ジャパン』 3月号
ジャン・フランソワ・カントン(コムジェスト社長)+澤上篤人(さわかみ投信代表)+木村 剛(本誌発行人)
株式投資が好きで好きでたまらない日本とフランスの「運用野郎」の代表が、サブプライムローン問題で揺れる株式市場を一刀両断。「こんなときこそ仕入れ時だ」とニンマリ笑って長期投資に邁進する彼らの投資哲学の深淵を探ってみた。
さわかみファンドとコムジェストは似ている
澤上 カントンさんは、フランスの大手銀行に長年ファンドマネージャーとして勤めていたんですが、そこでは本当の運用ができないというので、20年前に飛び出した「運用野郎」なんです。
木村 なぜ飛び出したんですか?
カントン 投資ビジネスの世界では、その時代時代で、新しい流行や新しい考え方があり、専門家はそれを共有しています。他の専門家と同じ意見を共有していないと、その業界ではやっていけないわけです。私が飛び出した当時の流行は、ベンチマークとインデックス・ファンドでした。
木村 当時の株式市場は、数年間右肩上がりを続けていました。
カントン どの銀行も、ベンチマークに負けないインデックス・ファンドを立ち上げようとしていました。でも私は、そのやり方に馴染めなかった。それで、1986年に起業したのです。
木村 インデックスに負けるのを嫌がって、インデックスをベースにしたポートフォリオを構築する投資が多いようですが、コムジェストはそうではないのですね。
カントン 例えば、99年当時、インデックスをベースにポートフォリオを構築することが一般的でした。そうでないと、大変危険だと考えられていたのです。でも、その考え方は間違っていました。というのは、当時のフランス株式市
場のインデックスにおいては、フランス・テレコムが2割を占めていたからです。でも、フランス・テレコムの株をあのときの高値で買うことは、危険なことでした。つまり当時は、ベンチマーク自体が非常に危険だったのです。
木村 コムジェストでは、インデックスは使わないのですか?
カントン インデックスはパフォーマンスを比較する際のツールとしては使います。しかし、インデックスをベースにして、ポートフォリオを構築する手法は間違っています。
木村 コムジェストは、どんなやり方をしているのですか?
カントン 株式市場全体ではなく、個々の企業に焦点を当てています。投資プロセスは2段階になっていて、第1段階は中期的な視点で見た優良企業を選ぶこと。売り上げや収益の伸びを見るのですが、個々の企業が、どうやって参入障壁を強化し、厳しい競争を有利に勝ち抜いていくのかを理解します。私たちの基準を満たすのは、強いブランド力を持った企業が多いですね。モエ・ヘネシー・ルイヴィトンなどの有名ブランドの場合もありますし、新薬を開発した製薬会社など高い技術力を持った企業の場合もあります。
木村 財務内容については?
カントン 徹底的に検証します。特にキャッシュフロー(純現金収入)がどれだけ創出されたかには注目しますね。そのようにして優良企業を選んだ後、第2段階として、潜在的価値を算出し、現実の株価と比較します。オーソドックスな配当割引モデルを使って、株価が、私たちが算出した価値よりも35%低い場合には、その株を購入することにしています。
木村 コムジェストのスタンスは、さわかみファンドと似ているように思えます。
澤上 共通点は、長期投資を行っているということ。長期投資を口にするファンドマネージャーは少なくありませんが、実際には、ベンチマークとの比較だったり、短期的に収益を狙っています。さわかみファンドとコムジェストは、
世界的に見ても、数少ない長期投資運用会社だと思います。
木村 つまり、少数派なんですね。
澤上 将来は主流派になりますよ。先程フリーキャッシュが重要だというお話がありましたが、この考え方には本当に同感しますね。ただ、敢えて比較すると、さわかみファンドのスタンスは、コムジェストよりも長期的かもしれ
ません。というのは、今、業績が芳しくない株でも、将来の社会に必要な企業であれば、苦しい時に応援するつもりで買って、ポートフォリオに組み込むからです。投資するタイミングがかなり早い場合もありますが、さほど気にはしていません。そういう意味では、世界の市場で投資を行っているコムジェストとは異なっています。
木村 どうしてそういう違いが出てくるのですか。
澤上 日本の場合、「短期的にいくら儲かるか」ばかりを考えている投資家が多い。誰かが買って上がると、乗り遅れまいと次々に買い進み、突然弱気になって売りに転じるという癖がある。株価が過剰に下落しがちなんですね。日本の投資家は、皆、同じ方向に動きたがるので、安く買おうと思ったら、投資家が反応する前に買っておかなければいけない。
カントン 日本市場の場合は、回復局面を狙った投資のタイミングは限られているので、早めに参入しなければいけません。
木村 さわかみファンドとコムジェストの違いは?
カントン もう一つ異なる点は、私たちが集中型のポートフォリオを運用していることです。コムジェストのポートフォリオの銘柄数は最大でも35社程度ですから。
澤上 澤上ファンドの場合、銘柄数はその10倍くらいありますね。
カントン 私たちのポートフォリオには優良企業だけを入れたい。長期間にわたって収益を平均12%程度増加させ続けることのできる企業の数はごくわずか。難しい局面、不況や経済が低迷している時にでも収益を増加させる力を持っている企業だけを求めています。
澤上 さわかみファンドの投資手法は、コムジェストのやり方と似ているんですが、先程お話ししたように、日本の投資家はとても熱しやすく冷めやすいので、一度売ると決めたら、企業の業績や価値についてはまったく考えずに、とにかく株を手放して抜け出そうとする。そのために、質の高い優良な株でさえ、質の悪い株と同じように値を下げてしまうのです。
木村 それは逆に、株を買う絶好のチャンスになりますね。
澤上 日本の場合、ポートフォリオに入れる銘柄を絞りすぎずに、幅を広げる必要がある。絞りすぎて集中させてしまうと、いい企業であってもリスクを高めてしまうのです。長期的には心配ありませんが、下落局面では、「質の高い企業への投資」と「インデックス型」とのパフォーマンスの違いがなくなってしまう。それで、さわかみファンドの銘柄数はコムジェストの10倍になるのです。
木村 コムジェストの場合、35社は世界中から選ぶのですか?
カントン そうです。コムジェストの運用する基幹ファンド4本のパフォーマンスは、過去十数年間で平均10・5%になっています。
木村 そんなにパフォーマンスが良いのであれば、コムジェストの真似をするライバル会社が出てくるのではないですか?
カントン 私たちの真似をする会社があるかどうかは気にしていませんし、私たちと同じような運用哲学を用いている人たちは、他にも大勢います。ポートフォリオ・マネージャーは、自分が納得できる投資戦略や投資哲学に従って運用を行うべきです。私たちには、私たちのやり方が一番合っていると思いますが、私たちの方法が他の人たちにとっても最良の方法だとは限りません。
木村 今後の投資を考える際に気をつけるべきことは?
カントン これまでの20年間は、低インフレ、原材料価格の低下、金利の低下を経験した時代でした。そういう環境下だと、誰でも株で儲けることができたわけです。しかし、これまでの傾向が、今後20年間もさらに続くかどうか
は分かりません。いま原材料費や物価は、長期的な上昇サイクルにあると思われます。インフレ率はこれまでの2
0年間よりずっと高くなると思いますし、おそらく金利も上昇するでしょう。そういう考え方に立てば、過去20年間、ポートフォリオに持っていた株を他の株に置き換えるべきなのかもしれません。その意味では、澤上さんのほうが、コムジェストよりも少し先を読んでいる。彼のポートフォリオには、そういう企業の株がすでにいくつか入っています。私たちのポートフォリオには、まだそういう株を入れていません。
澤上 現在の世界人口は66億人。今後40年間で、90億~100億人にまで増えると予測されています。その間に世界中で多くの人々の生活がどんどん豊かになっていくでしょう。アジアやアフリカなどあらゆる地域で、皆が富や成長を求めるようになる。その願いは、誰も止めることができません。より良い生活を望む人たちは次から次へと物を買い、あっという間に贅沢な暮らしになっていく。普通の人たちも、20年前、30年前と比べれば「成長」していることに気がつきます。社会主義国や共産主義国にいて、「成長」という概念をあまり理解していなかった人た
ちも、今では「成長がもたらしてくれる美味しさ」を知っている。一度豊かな暮らしを味わってしまったら、それを止めることはできません。食糧・物、工業原材料、エネルギーに対する需要は加速度的に高まっていくでしょうが、資源には限りがあります。
木村 インフレについて考える時期に来たということですね。
澤上 徐々にでしょうが、強いインフレの流れが来ると思います。
カントン 同感です。実質的なインフレ率は、公式なインフレ率より高いと思われます。アジア、ヨーロッパ、北米においてインフレ率は、政府によって操作されており、統計の数字はおそらく間違っている。実質的なインフレ率は、すでに、公表されている数字をかなり上回っていると思います。
木村 統計上のインフレよりも、生活実感としてのインフレは、すでに高くなっている。
各国の金利水準は低い
カントン それは、世界的な傾向だと思いますね。各国の中央銀行は、公定歩合を公式のインフレ率を見ながら決定していますが、どこの国の投資家も、その結果としての金利は「低すぎる」と感じているのではないですか。
木村 実質的なインフレ率を考慮すると、金利水準は低すぎる。
カントン だからこそ、目端の利く投資家は、金利が低いことを利用して、少しでも多くのお金を借り入れて、不動産や芸術品などに対して投機を行っている。クリスティーズでは、毎週のように売り上げ記録が塗り替えられています。中央銀行が低い金利水準を維持しているから、世界中の投機を刺激しているのです。
木村 各国の中央銀行による金利引き上げは遅れてしまっている。
カントン 各国の中央銀行は金利を引き上げるべきです。政治的な理由が背景にあるのでしょうが、いずれは金利を引き上げることになるでしょう。
木村 そんな中、サブプライム・ショックが起こって、お金を借りるのが難しくなりました。さて、世界ではどういう変化が起きているのでしょうか。
カントン 私たちは、07年の初めからショックを警戒していました。市場からチクタクと時限爆弾の音が聞こえていました。多くの投資家が内容を十分に理解していない投資商品を大量に購入していましたから(笑)。限度を超えれば、爆弾は爆発します。今回の結果、各国の中央銀行は、マーケットに対して、さらなるお金を投入するでしょう。でもそれは、次のバブルを引き起こす。最初にバブルが起きるのは、おそらくエマージング・マーケットでしょうね。
澤上 本来であれば、おカネというものは、経済状況に即した程度に出回っていれば十分なものなのです。しかし、ニクソンが1971年8月にドルと金の交換を中止すると発表したニクソン・ショック以降、アメリカは好きなだけドル紙幣を発行できるようになりました。つまり、ドルを垂れ流したわけです。その垂れ流しが、80年代にマーケットを闊歩した証券化やデリバティブズ、そしてヘッジファンドが台頭してきた背景にありました。ドル紙幣の垂れ流しがあったから、そういうことが起こったのです。そういうトレンドの延長線上に、今回のサブプライム・ショックがあります。
木村 長い目で見れば、ドル紙幣の垂れ流しを背景にした、金融工学の行き過ぎがあった。
澤上 このトレンドは、人工的に作られたもの。皆がこのトレンドに乗ったのです。しかし、今やこのトレンドは危険領域に突入しました。そこで各国政府は、さらにマーケットに資金を投入する。しかし、その行為は、実体経済を良
くするのではなく、よりバブルを起こさせる方向に働くだけ。
木村 先程のインフレに関する議論を踏まえると、危険な兆候とも言えるわけですね。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「米国株急反発とバーナンキの試練」
3月11日の米国株式相場は急反発して5年8カ月ぶりの上げ幅となった。
今回FRBがとった対策は、これまでの「学者っぽい」バーナンキからすれば、なりふり構わぬものだった。この相場の反応は、マーケットが本当のプロフェッショナルを必要としているということの証である。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080312/080312mag_frb.html
2008 03 15 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
株価が冴えない展開を続けている現状を見るにつけ、福田康夫首相が1月18日に行った施政方針演説は一体全体なんだったのか、と首を傾げたくなる。
「中国やインドなどの急成長に象徴される世界経済の変化の中で、我が国の経済力をいかに保つのか」とか「厳しい財政事情の下で社会保障制度をいかに維持するのか」など多くの課題を挙げてみせたものの、極めて空疎にして情緒的な内容だった。
たとえば、国民が豊かさを実感できる「活力ある経済社会の構築」を成し遂げるための対策は、「革新的技術創造戦略」「グローバル戦略」「全員参加の経済戦略」という「3つの柱」。中身を紹介しようにも、具体性に甚だしく欠ける代物であるため、説明は省略するが、言葉遊びもいいかげんにしてほしいものだ。
その中でも笑えない笑い話が中小企業対策だったように思う。よくわからない「つながり力」という不思議な力があるので、「地域経済の活力の復活と中小企業の生産性の向上を実現するため、地域連携拠点を全国に200から300か所整備します」ということらしい。
「この拠点が中心となって、ITを徹底して活用し、経験豊富な大企業の退職者や中小企業、農業、大学が相互に連携して、新たな商品やサービスを生み出す取組を支援します」というが、その程度の対策が現在苦境に陥っている中小企業のサポートになることなどない。官僚の天下り先を増やすだけだろう。
福田首相は、現実の日本経済を直視すべきだ。苦境に喘ぐ中小企業の経営者たちの声に耳を傾けるべきだ。貸金業法の改悪という「人災」によって、慢性的な資金繰り難に陥ってしまった彼らの実態をよく見るがいい。倒産する仲間が急増している中で、元気が出るはずもない。中小企業の景況感は、確実に悪化の度合いを増している。
日本銀行や財務省が相手にしている大きめの中小企業はともかくとして、商工中金や全国中小企業団体中央会、そして日本振興銀行、国民生活金融公庫、全国商工会連合会などのアンケートからは、零細企業や個人事業主をの悲鳴が聞こえてくる。「景気が良い」などと言っている企業は完全な少数派だ。
その背景には、売り上げの不振がある。特に、昨年末にかけての売上不振はかなり深刻だ。中小企業庁の調査では、3四半期連続で悪化し、5四半期ぶりの低水準にまで落ち込んでいる。国民生活金融公庫のアンケートにおいても、04年5月の▲19・4以来の悪い結果だ。国内経済のパイが膨らんでいる気配はまったく感じられない。
そういう状況だから、採算が良くなるわけがない。商工中金の調べでは02年4月以来の低い採算になっているし、国民生活金融公庫のアンケートでは11月に2年ぶりのマイナスを記録した。中小企業庁が調査しても、日本振興銀行が調べても、全国中小企業団体中央会や全国商工会連合会がヒアリングしても「儲かりまへん」という回答ばかり。
残念ながら、以前から警告してきとおり、資金繰りは極めて厳しい状況になってきた。ドンドン悪くなっている様が数字に表れている。資金の出し手がいないのでは、努力のしようがない。昨年9月にクレディアが破たんして以来、ノンバンクへの貸し出しをほとんどの銀行はストップした。したがって、ノンバンクによる中小企業への貸し出しも全面的に止まってしまった。メガバンクは中小企業などを相手にしないし、信用金庫も信用組合も冷たい対応に終始している。
福田首相は、「私は日本人の力を信じています。日本人は、目前に困難があろうとも、必ずや未来を切り拓く、その力があると確信しています」と施政方針演説の最後の最後で訴えたが、貸金業法の改悪などという「人災」を起こし、中小企業のカネ回りを悪くさせた張本人が言うべき台詞ではない。
現在起こっている中小企業の資金難は、誤った政策によって引き起こされたものである。中小企業による経営失敗に起因するものではない。
まずは、貸金業法の改悪を是正し、中小企業の資金繰りが正常化してから、「日本人の力」を確信してもらいたいものだ。目先のおカネが回らない状況で、内容不明の「つながり力」が力を発揮できるわけがない。
[ 『フィナンシャル ジャパン』 400万社の本音より]
2008 03 15 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 2月号掲載
連載コラム『次の一手』 マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏
原油高で新ビジネスモデル登場 脱石油革命は、逆・産業革命!?
原油高に世界が悲鳴を上げている。日本でも円建ての原油価格が25年ぶりに最高値を更新した。リストラに次ぐリストラを重ねてきた企業にとって、ここまで燃料代が高騰すると、もはや「省エネ」などという標語を社内でいくら掲げても問題の解決にはならない。そんな中、あらゆる企業が「脱石油」に向けて知恵を絞り出している。北海道では、この冬、灯油があまりに値上がりしているために、灯油ストーブが姿を消し、昔ながらの薪ストーブが空前の大ヒットである。それと同様に、「脱石油革命」とも言える様々な取り組みは、まるでラセン階段を一周上がって一つ上の階の同じ地点にきたように、産業革命をリバースする「逆・産業革命」とも言える。
例えば、運送会社などが、なるべく自動車に頼らない輸送、つまり「人力輸送」の比率を高める努力をしだした。具体的には、今までは顧客の事業所や家の前までトラックやワゴンで乗り付けていたのを、あちらこちらにステーションをつくり、そこにクルマを止めて、そこからは可能な限り人力で配達するのだ。
燃料コストの急激な上昇にシフトして、モノの運搬にガソリンを使わない、自転車や三輪車、リヤカー、人力車といった昔ながらの乗り物が装いも新たに高性能バージョンとなった「エコ・ヴィークル」として、続々、復活を遂げているのである。
おしゃれなエコバッグが主婦の間で人気を呼んでいるが、消費者も自動車による移動を極力減らして、途中からは自転車で移動する、「パーク&ライド」が増えるに違いない。最近、都心部でも自転車通勤のビジネスマンやOLが増えているし、住みたい街No.1の吉祥寺がある武蔵野市では、市の幹部や商工会議所の会頭でさえ、移動に
は自転車を使っている。そういった「エコ・トランスポーテーション」は、ガソリン代の削減になるだけでなく、メタボ対策にもなって健康にも良いし、地球環境にも良く、渋滞の緩和にもなり、一石四鳥だ。
一方、工場では、有料のエネルギーを要するエンジンやモーターをなるべく使わず、重力やぜんまいで動かす「無動力マシン」が増えている。例えば、工場のスタッフがみんなでアイデアを絞って、ある程度の重さになると重力によってパタンと、ししおどしのように動いたり、カラカラと滑車が回る仕組みが開発されているのだ。そういった工夫は日本人の真骨頂でもある。それらのマシンは、日本古来のからくり人形の現代版とも言えるが、そのような「からくりロボット」の開発に全国の工場が競って力を入れだしているのだ。
また、電子商取引ならぬ、新たな「原始商取引」が脚光を浴びつつある。燃料費高騰で、ご用聞き的発想による「地域密着ビジネス」が復活してきているのだ。例えば、町工場でも「板金ならおまかせ」などと近隣の家にポスティングを積極的に行い、仕事を増やしたりしている。採用も仕事によっては、広告を出すより会社周辺で募集したほうが効率が良い。その土地で作られた作物をその土地で食べる「地産地消」のように、地域の顧客に対してサービスする「地業地客」、地元の人を雇う「地才地用」である。原油高が生み出す21世紀型ビジネスモデルに注目だ。
2008 03 09 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 3月号掲載
『投資戦略発想法2008』を読み解く7つのポイント―コラム
2 007年7月9日、ブルドックソースのTOB(株式公開買い付け)を巡って、東京高裁がスティール・パートナーズ・ジャパンの敗訴を言い渡した。この判決は、投資ファンドであるスティール・パートナーズが東証第二部の上場企業であるブルドックソースを買収しようとしたため、同社の経営陣が前例のない買収防衛策を講じたことに対するものだ。
買収防衛策に対しては株主総会で圧倒的な賛成が得られていたので、スティール・パートナーズが敗訴すること自体は「想定内」だった。しかし、判決の内容が波紋を呼んだ。裁判長がスティール・パートナーズのことを「濫
用的買収者」と認定したからだ。本件を裁いた藤村啓裁判長は、投資ファンドに対して「ひたすら自らの利益のみを追求しようとする存在」と、あからさまに嫌悪感を表明。この発言に、世界の投資家たちは驚き、呆れかえってしまった。
裁判所がここまで踏み込むのは「余計なお世話」ではないかという気がするし、見方を変えれば、この判決は「資本主義に対する名誉棄損罪」に相当するように思える。おそらく、マスコミ世論に気をよくして、「資本主義が嫌いだ」という本音が出てしまったのだろう。この判決は、日本が資本主義ではないことを端的に示したと言えるのではないだろうか。
2008 03 09 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 3月号掲載
資産運用のエッセンスを学ぶ教科書として個人投資家に人気の『投資戦略の発想法』(木村剛著)が、2年半ぶりにリニューアルされた。
その名も『投資戦略の発想法2008』。そこで、この著書の一部を抜粋し、7つのポイントに分けてそのエキスを抽出した。
Point
財産形成の「三段階投資」をマスターする
全年代に有効な三段ロケット式
ここまで述べてきたように、わたしは財産形成を三段階で考えるべきだと思っています。それは①「生活防衛資金」の段階、②「5分割ポートフォリオ」の段階、③「株式20銘柄ポートフォリオ」の段階という3つです。
第一段階では、「生活防衛資金」として、少なくとも2年間の生活を維持できる安全資産を持つことを目標にします。投資の対象は銀行預金だけで十分です。対象範囲は、広げたところで、郵便貯金やMMF、せいぜい国債まででしょう。
第二段階では、「5分割ポートフォリオ」を意識して少しずつリスク資産に投資していきます。外貨MMFや外国為替証拠金取引を試しましょう。株式投資については、インデックス・ファンドやETFが第一歩としてはお勧めです。残りの余裕資金については、国債投資を検討してみましょう。
最後の第三段階では、「株式20銘柄ポートフォリオ」で高いリターンを求めていきます。たじろがずに長期的に投資していくのです。短期的な価格変動にうろたえることなく、マーケットに居続けるというのが勝利の秘訣です。たとえて言うならば、ホップ、ステップ、ジャンプの三段ロケット式の財産形成だとも言えると思います。
マネー誌などには、よく年齢別のポートフォリオを組みましょうと書かれています。20歳代で始めるなら株で大きく勝負して負けても巻き返しがきくので、全財産の65%を株で運用し、逆に60歳代なら将来の収入がなくなるので、株の保有は25%にしましょうといったアドバイスです。
でも、20歳代ではまだ株に投資できるおカネはたかが知れているでしょう。巻き返せるといっても、生活防衛資金まで株式投資で失ってしまっては元も子もありません。あまりおカネがない人がリスク資産を組み込んでポートフォリオを作っても、安定が得られないどころか、ただのバクチになってしまいます。20歳代でもよほどのおカネ持ちならそうしたポートフォリオを組めばいいでしょうし、60歳代ではキャッシュを多く持てといっても、おカネ持ちなら
株を持ったほうがいいでしょうから、万人向きとは言えません。
しかし、この三段階投資戦略であれば、どんな年代の人にでも適用することができます。30歳代で結婚した子供のいない共働き夫婦なら、かなりのキャッシュがすでにあるはずですから、第二段階から始めればいいでしょう。預金もあるしリスク資産ももう持っている、もっとリスクをとっても大丈夫という人なら、第三段階に進み株を長期的に買い始めればいいと思います。また、考え方としても前向きで理解しやすいのではないかと思います。一般の個人投資家が財産形成のために投資をするのは、より豊かなハッピーリタイアメントを迎えるための、人生を豊かにするための資金づくりであるはずです。目標金額を達成するまでの期間が長い人が、第三段階の期間を長くとれて有利になりますから、とにかく早く第一段階をクリアするように、しっかり仕事をして収入を増やさなくてはなりません。
一流の仕事をするように日々切磋琢磨していれば、第一段階をクリアするころには、あなたはサラリーマンとしてひとかどの人物になって、収入も生活も安定してくるはずです。そうしたら二段目のロケットでリスクの世界に飛び込み、仕事の経験や情報を活かしながら投資をするのです。投資を通じた経験が仕事に活き、仕事が投資への理解を深めていくという好循環が生まれてくるでしょう。そうなったら、長期の株式投資に対するリスク許容度はだいぶ大きくなってくるはずです。そこで、三段目のロケットで、もっと遠くへ、もっと早く到達できるようにするということになります。
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木村剛が講師をつとめる 「投資戦略基本講座2008」 4月より開講
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財産形成を真剣に考えている方や投資について学び直したい方など
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「日銀総裁人事が政局の具でいいのか」
3月19日に福井日銀総裁が任期満了を迎えるが、後任選びが難航している。
総裁の人事で与野党が対立して国会が空転するような馬鹿なことをしているのは日本だけだ。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080305/080305mag_boj.html
2008 03 08 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 3月号掲載
資産運用のエッセンスを学ぶ教科書として個人投資家に人気の『投資戦略の発想法』(木村剛著)が、2年半ぶりにリニューアルされた。
その名も『投資戦略の発想法2008』。そこで、この著書の一部を抜粋し、7つのポイントに分けてそのエキスを抽出した。
Point
自己流「20銘柄ポートフォリオ」の勧め
分散効果は20銘柄で十二分
投資信託とはあなたに代わって株を運用してくれるファンド・マネジャーを、おカネを払って雇うようなものですが、それに比べて、彼らの運用成績がすべてのケースにおいて満足できるとは限りません。それなら、彼らに任せずに自分で株式ポートフォリオを作って運用してみてはどうでしょうか。
先ほどリスクと銘柄数の関係についてご説明しましたが、分散投資をして銘柄の数を増やせば増やすほどポートフォリオのリスクは減るけれども、おおむね20銘柄より増やしてもリスクはほとんど変わらないという計算になるのです。専門的に言いますと、20銘柄以上をポートフォリオに保有していれば、個別銘柄に特有の要因によって引き起こされる「非システマチックリスク」を十分に軽減することができるのです。残るのは、株式投資をする限り逃れられない「システマチックリスク」が大部分を占めるポートフォリオになります。興味のある方は、投資に関する経済学や資産運用の専門書を読んでみてください。
「5分割ポートフォリオ」で経済指標の読み方にも慣れ、個別株に関する相場観ができてきたら、次の段階として日本株式を20銘柄に分散投資することをお勧めします。必要な生活防衛資金はすでに貯えてあるのですから、あとはアップショット(=うまくいった場合の好成績)をねらうために日本株式に投資するのです。
できるだけリスク(=ボラティリティ)を減らし、コストを減らし、そのために20銘柄を選んで買い、買ったらずっと手放さないで長期保有するのが最良の選択です。自分で直接株を買えば、ファンド・マネジャーに報酬を払うわけではないので、そのぶん確実にコストが減らせます。
そのときに気を付けていただきたいのは、全銘柄が上がらなければならないという考えを棄ててほしいということです。ピーター・リンチ氏だって、「5つ買った銘柄の中で2つくらい下がってもいいじゃないか」と言っているのです。2銘柄が紙屑になっても、残りの3銘柄のうちひとつが3倍になれば損をしないのですから。百戦百勝はピーター・リンチ氏やウォーレン・バフェット氏だって無理なのです。あなたも、わたしも、百戦百勝などは無理なのです。
だから20銘柄については、すぐに潰れるような企業でなければ、あなたの好きなものを選べばいいと思います。本当は、業界で分け、商品やサービス内容が異なる銘柄を選んだほうが、分散効果を最大限活かすためには好ましいのですけれども……。
ただ、ひとつの産業分野への投資はポートフォリオの10%以下にするとか、ひとつの銘柄への投資はポートフォリオの5%以下にするべきという一般的なルールがあることは記憶にとどめておいてください。産業分野については、12以上選ぶべきとする考え方もあります。つまり、異なる商売をしている銘柄のほうが好ましいということです。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「どうする借金大国」
財務省は2007年末時点の「国の借金」が
昨年9月末に比べ4兆3068億円増え、過去最大の838兆50億円になったと発表した。
この増え続ける借金を減らす方策はないのだろうか。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080227/080227mag_debt.html
2008 03 02 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 3月号掲載
資産運用のエッセンスを学ぶ教科書として個人投資家に人気の『投資戦略の発想法』(木村剛著)が、2年半ぶりにリニューアルされた。
その名も『投資戦略の発想法2008』。そこで、この著書の一部を抜粋し、7つのポイントに分けてそのエキスを抽出した。
Point
「5分割ポートフォリオ」をマスターする
より洗練されたポートフォリオ
生活防衛資金はもう確保できている。長期的な視野を持っている場合には、株が有利だということもわかった。
では、株に全額投資すればいいのか……。
ちょっと待ってください。
株式に投資する前に、もう少し広い視野に立ってポートフォリオを考えておきましょう。それがこれから説明する「5分割ポートフォリオ」です。
この「5分割ポートフォリオ」という考え方は、伝統的な財産分割法とは異なります。伝統的な財産分割法では「財産を土地と安全確実な預貯金と株式などのリスク商品に3分割すべき」とされてきました。しかし、実態はまず土地などの持ち家ありきだったと言えるでしょう。なるべく早い時期にマイホームを手に入れ、住宅ローンを払っている間に不動産価値が高まって、預貯金や下手な株式投資をしているよりもはるかに高いパフォーマンスを実現してきた――それが、これまでの日本における投資の常識でした。
伝統的な財産分割法は、あくまでも土地や家屋を主体とする財産形成法であり、預貯金や株式投資などは「おやつ」程度の扱いしか受けてきませんでした。生活に支障がない程度の預貯金を持ち、株式投資は遊び程度に抑えておくというのが、多くの人たちによる資産運用の実態だったのです。
しかし、これからの時代における投資戦略は違います。そこでわたしがお勧めするのが「5分割ポートフォリオ」なのです。
数年前と比べると、わが国における資産運用の環境はかなり整備されてきました。筋悪の金融業者の多くが淘汰されたほか、少なからぬ良心的な金融機関が低コストの金融商品を売るようになってきています。「ポートフォリオ」という概念についても、少しずつ知られるようになってきたような気がします。
このため、一般の個人投資家であっても、人並みの注意力があれば、良質のポートフォリオを組むことができる環境になってきたのです。これは本当に喜ばしいことです。それで、ここで紹介するポートフォリオにおいても、少し洗練されたものを提案できるようになりました。
ここで説明する「5分割ポートフォリオ」は、それほどむずかしいものではありません。ポートフォリオとは、リスクゼロの安全資産とリスク資産を組み合わせて、その人その人の状況に合わせ、それぞれの将来の目的に沿っ
たリターンを期待して考えるものです。それをあなたも実践するのです。
あなたは生活防衛資金をリスクゼロの安全資産ですでに確保しています。生活費2年分の預金もしくは国債(担保として借り入れが可能)を手にしているはずです。そこでいよいよ本格的な財産形成の段階に移ります。預金以外のリスク資産の運用を始めるわけです。いきなり株ということでも決して悪くはないのですが、とりあえずはおカネを4等分して、リスク資産に投資することを考えましょう。
この本における「5分割ポートフォリオ」の対象は、これまでに貯えた銀行預金(生活防衛資金)に、外貨MMF(もしくは外国為替証拠金取引)、日本株式、外国ETF、日本国債の4つを加えた5つになります。
もともと投資理論の専門書には、日本株式、国内債券、外国株式、外国債券、その他という5分割の考え方が解説されていたのですが、かつて『投資戦略の発想法』を執筆した時点において、個人投資家がそれを実践することは容易ではありませんでした。教科書やマネー誌に書かれている内容とは異なり、実際に投資する場合は、
「買えない」「売れない」という場面によく出合うからです。現実の金融商品には、流動性が低いものが少なくないですし、筋悪の商品や筋悪の業者も多いのです。
わたしは、金融にそれほど詳しくない個人投資家は流動性が高く時価がはっきりとわかるものを中心にポートフォリオを作るべきだと考えています。なぜなら、流動性が低くて時価がわかりにくいものは、金融業者に騙されて大損する可能性が高いからです。特にセールスマンが一生懸命勧めてくるものについては十二分に注意すべきです。
ですから、わたしは投資の初心者に対して、中国やベトナムの個別株式への投資を決してお勧めしません。そういう高度な投資は、もっと経験値を高め、リスク許容度を増して、自分なりの投資哲学を身に付けてから始めるものです。書店にあふれるマネー誌などでは、「次に来るのは、BRICsだ」などと書かれています。確かに後から振り返ってみると、ブラジル株(B)やロシア株(R)、そしてインド株(I)や中国株(C)のパフォーマンスは飛び抜けて良いかもしれません。しかしそれは結果論。まずは投資戦略の基本を学ぶことに集中してください。
「5分割ポートフォリオ」の基本設計
①銀行預金――生活防衛資金として、年間支出の2年分を持つ(それが難しい場合でも1年分は確保する)。
②外貨MMF(もしくは外国為替証拠金取引)――保険としての性格を重視しながら、リスク許容度の範囲内で多めに持っておく(④外国ETFを含めて、①銀行預金を除いたポートフォリオの4~5割を最大限の目安とする。ただし、外貨リスクに慣れるまでは1~2割にとどめる)。
③日本株式――①銀行預金、②外貨MMFを差し引いた残りの余裕資金を元手に、本来の投資の主力としてできる限り購入する。
④外国ETF――国際分散投資を意識し、リスク許容度の範囲内で、②外貨MMFの資金の一部を振り替えて、勉強のつもりで少額を購入してみる。
⑤日本国債――①銀行預金、②外貨MMF、③日本株式、④外国ETFを差し引いた残りの資金で、個人向け国債を中心に投資する。
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今週のテーマ:「どうする借金大国」
財務省は2007年末時点の「国の借金」が
昨年9月末に比べ4兆3068億円増え、過去最大の838兆50億円になったと発表した。
この増え続ける借金を減らす方策はないのだろうか。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080227/080227mag_debt.html
2008 03 01 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 3月号掲載
Point
「生活防衛資金」を貯める
投資に成功するための心の余裕
経済学では「ラチェット効果」として知られている原理ですが、誰でもいったん経験して慣れ親しんだ生活水準を落とすのには、非常に大きな苦痛を伴います。家族にも大きな苦痛が伴うはずです。支出には慣性の法則が強く働くのです。すぐには変えられません。また、将来や老後における毎月の生活費を試算する基礎も、現在の生活水準にあります。
したがって「今の生活水準を長期的にどうやって守っていくのか」という視点は投資戦略上、本当に重要です。
一方、世の中はリスクに満ちています。長い人生には、予想だにしないことが発生するものです。自分の勤め先が倒産したり、リストラに遭ったりするかもしれません。病気になったり、地震に見舞われて思わぬ出費を迫られたりするかもしれないのです。それは、誰にも予測できません。
すぐにキャッシュが必要になるという可能性は常にあるものです。世の中で何が起きようが、会社が倒産しようが、クビになろうが、自分と家族の生活を守るという一点をベースにして、投資戦略を考えるべきなのです。それがあなたの重要な投資目的であるはずです。その目的を達成するためには、まずは生活費を捻出するだけの貯えが絶対に必要です。現在の生活水準を維持するだけのおカネが要るのです。
会社が突然倒産したとします。退職金が出るかどうかもわかりません。急いで次の就職先を探さなくてはならなくなりました。見つかるまでどのくらい期間がかかるかもわかりません。雇用保険がありますから、何カ月かの間は、国から今までの給料の7割程度を支給されるでしょう。しかし、その間に、今までと同じ給料水準の就職先が見つかるかどうかはわかりません。年齢が高くなればなるほど難しくなります。そういう状況で投資などしていられますか?
どんなときにも、心の余裕がなければいけません。それを確保してくれる投資戦略でなければならないはずです。職を失うというリスクに対しては、最低2年の余裕はみておきたいものです。2年分の貯えがあれば、1年間は余裕をもって次の職場を探せるのではないでしょうか。あせって、「とにかく何でもいいから仕事をください」と頭を下げて回らずにすみます。足元を見られずに、対等な立場で交渉するためにも、2年間の猶予は欲しいと思います。最初の1年がダメでもあと1年あると思えば、心の平安を保つことができます。
そういう意味では、まず、今までの生活水準を落とさずに2年間暮らしていけるだけの資金を準備しておかなくてはならないわけです。会社がつぶれても、揺るがない安心感を確保するために、これは絶対に必要なおカネです。
この資金のことをこの本では「生活防衛資金」と呼んでいます。このおカネが今の生活水準を維持し、再就職にあたって交渉力を持ち、心の平安を保つために、財産形成に絶対必要な基点になります。このおカネだけはリスクのある投資に振り向けてはなりません。いつでも引き出せる銀行預金か、換金性の高い証券会社のMMFや短期国債で持つことが望まれます。元本を失うことなく、流動性を確保することが最重要です。
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木村剛が講師をつとめる 「投資戦略基本講座2008」 4月より開講
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2008 02 24 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 3月号掲載
資産運用のエッセンスを学ぶ教科書として個人投資家に人気の『投資戦略の発想法』(木村剛著)が、2年半ぶりにリニューアルされた。
その名も『投資戦略の発想法2008』。そこで、この著書の一部を抜粋し、7つのポイントに分けてそのエキスを抽出した。
Point
モニタリングする
「頭の体操」=「投資の修業」
資産と負債を洗い出すと、自分のバランスシートができます。その資産から負債の金額を差し引いた金額があなたの保有している純粋な資産(=純資産)です。
さて、バランスシートができたら、ようやく次の作業、モニタリングが始まります。定期預金を持っているなら、金利はどうなっているのか、外貨預金なら金利と為替がどうなっているのか、株なら株価はどうなのか、できれば月
に1回程度チェックして、バランスシートの横に書き込んでおきます。やり方は自己流で結構です。長く続けられる方法を選びましょう。あまり凝りすぎると続きません。ただ、時間があれば、預金口座がある銀行の格付けや株式を購入した会社の経営状態について考えてみるのもいいと思います。
でも、ここで詳細に検討する必要はありません。今おカネを預けているA銀行の定期預金の利息は、B銀行よりも0・01%低いからB銀行に移し替えようか――などと考える必要などまったくありません。わずかな違いを気にす
るべきではないのです。
定期預金の利回りは低すぎるから少し株式投資を増やしてみようかな、国債でも買ってみようかな、などと頭の体操をしてみましょう。その程度で十分です。実際に資金を移さなくてもいいのです。自分の頭の中でシミュレーションをする、これを繰り返すことが、経済のメカニズムに対する大きな相場観や懐の深い投資マインドを育てていくことになります。
つまり、バランスシートをモニタリングするという作業を続けることは、投資の修業そのものだと言えるのです。修業なのですから、もうけそこなってもいいのです。小さな金額を移し替えることなどしなくてもいいのです。自分のバランスシートを管理することを通じて、生きた経済の勉強になればそれでいい――その程度の割り切りで根気よく続けていくべきなのです。
Point
支出をコントロールする
投資よりずっと有利な運用術
資産と負債の管理が終わったから、いよいよ投資だと思われたかもしれません。
その前に、ひとつクイズに答えてください。誰でも可能で最も有利な運用方法は何でしょう。
株式投資ではありません。投信でもない。当然、ヘッジファンドでもありません。外国為替の売買でもなければ、銀行預金でもありません。
正解を申し上げましょう。それは、支出のコントロールです。
どんな企業でも、バランスシートの内容が悪くなったら、まずは経費を切りつめようとします。「一発大逆転を狙って、株式投資で当てましょう」などと言う社長はいません。もし、いるとしたら要注意です。大バクチに出る前に、ま
ずは手堅く利益が出る体質にするように努力すべきでしょう。あなたの会社でも経費節減を当然やっているはずです。それと同じことを家庭でもやればいいのです。支出のコントロールは、投資を始める前にしておく最重要事項のひとつです。
支出のコントロールが重要だという理由は簡単です。支出金額は自分の意思だけでコントロールできるからです。マーケット次第でどうなるかわからない投資のパフォーマンスとは違うのです。自分の人生をきちんと設計して管理するという観点から見れば、収入や投資のように自分の力だけでコントロールできないものとは明らかに異なります。
何と言っても、支出のコントロールは確実です。金利は自分でコントロールできるものではありません。日本銀行ですらなかなか思い通りにできないのです。株価も同じです。誰も株価水準を管理することはできないのです。収入もなかなか自分の力だけではコントロールできません。そうなると、自分の力でコントロールできるものは、家計の支出くらいしかないことがすぐにわかると思います。
支出の切りつめなんて、ただの節約ではないか、と思われるかもしれません。でも、あなたの最終的な目的は十分な財産を形成することにあるはずです。そのための手段を株式売買だけと決めつける必要はありません。「結果的に」財産を形成することが重要なはずです。節約という戦略は、個人投資家にとって重要な投資手法なのです。節約ができないと、個人投資家にとっていちばんパフォーマンスが高い投資商品をみすみす捨ててしまうことになります。
どんな個人投資家でも、プロフェッショナルであるポートフォリオ・マネジャーに勝てる投資方法があります。どんなマーケットの状況でも勝てる方法があるのです。それが節約なのです。
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木村剛が講師をつとめる 「投資戦略基本講座2008」 4月より開講
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2008 02 23 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 3月号掲載
資産運用のエッセンスを学ぶ教科書として個人投資家に人気の『投資戦略の発想法』(木村剛著)が、2年半ぶりにリニューアルされた。
その名も『投資戦略の発想法2008』。そこで、この著書の一部を抜粋し、7つのポイントに分けてそのエキスを抽出した。
Prologue まず、そもそも…なぜ投資が必要なのか?
投資でヘッジする“日本リスク”
これからの日本において豊かな生活を維持していくためには、投資という経済行為の意味を理解することが不可欠です。
極めて残念なことですが、2006年に入った頃から、「資本主義経済とは何か」とか、「株式市場とは何か」とか、「利益の本質はどういうものなのか」ということを、政府や裁判所は理解しようとしていないことが明らかになってきました。低俗なマスコミと歩調を合わせて、「額に汗しないで儲けるなんてケシカラン」とか「安く買って高く売るという利益至上主義には慄然とする」と囃し立て、資本主義経済の法則に反する方向に日本を導こうとしてい
るようにみえます。
もしも、日本が誤った方向に進んでいるのだとすれば、なおさら投資という経済行為の意味を学ぶことが重要になります。
良くも悪くも、わたしたちが勤めている会社は、「日本というフィールド」の影響から逃れることはできません。海外で外国企業に就職することはなかなか難しいことですし、日本語の通じない他国において自分のビジネスを展開するということは至難の業です。
しかし投資であれば「日本というフィールド」の影響を受けない外国企業の株や債券を買うことが可能です。また、日本経済が最悪の事態に陥った場合でもリターンが上がるようなヘッジを利かせたポートフォリオを組むことも可能です。
そうです――日本人であるわたしたちは、通常、日本政府や日本経済という枠組みの中で暮らすしかない環境に置かれています。しかし、投資という経済行為をマスターすれば、わたしたちはその束縛から脱して、自由を勝ち取ることができます。「投資戦略の発想法」を身に付ければ、仮に日本が危機に陥ったとしても、生活を維持するための財産を確保しておくことができるのです。
Point
バランスシートを作る
まず汝自らを知れ
さて、それでは「投資戦略の発想法」を習得するための講義を開始しましょう。ただし、その前に、答えていただかなければいけないことがあります。
それは、「あなたの財産はいくらありますか」という問いです。「何なんだ?」と思われたかもしれません。投資の話が始まると思って、心の準備をしているのですから、「そんなことを聞いてどうするんだ」という反発がわき上がるのも当然です。それとも、「バカにするなよ。それぐらい答えられるよ」という反応でしょうか。
それでは、次の3つの質問にきちんと答えてみてください。
①あなたが保有している資産の現在価値はいくらですか。
②あなたが背負っている負債の総額はいくらですか。
③資産から負債を差し引いた純資産はいくらありますか。
ものすごくシンプルな質問です。しかしこの3つの質問に即答できる人は、意外と少ないものです。あなたは即答できたでしょうか。さらに、「保有資産や負債の存在を証明する書類をすぐに提示できますか」と聞かれたら、ほとんどの人が脱落してしまうのではないでしょうか。
即答できる人が少ないというのは無理もないように思います。預金は銀行、株や投資信託は証券会社、生命保険は保険会社といったように、取り扱っているところが別々の金融機関です。それらをまとめて1カ所で管理してくれる金融機関はいまのところありませんし、かといってそれらの資産をまとめて一覧表に書き出している人も少ないようです。つまり、現在の自分の資産や負債の状況を把握していないわけです。
手持ち資産の把握があいまいなのに、株式投資に関する専門知識ばかりを勉強している人が少なくありません。株以外の資産や負債の状況を知らないのに、デイトレーディングに熱中しているサラリーマンも多く見られます。何かアンバランスではないでしょうか。現時点の残高管理がしっかりできていないのに、投資という厳しい世界で成功を収めることができるのでしょうか。
まずは、自分の資産と負債を一覧表に書き出しましょう。それほど難しいことはありません。こんな簡単なことをやっていない人に、「投資戦略」を実践する資格はないのです。
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木村剛が講師をつとめる 「投資戦略基本講座2008」 4月より開講 ![]()
毎月1回 全12回のコースです。
財産形成を真剣に考えている方や投資について学び直したい方など
におススメの学習講座です。個人投資家に必要な投資に関する知識を
『投資戦略の発想法』の著者が直伝!
お問い合わせ: 「投資戦略基本講座2008」事務局
TEL: 03-3519-1213
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「官僚トップが資本主義経済を否定!?」」
経済産業省の北畑事務次官が講演会で、個人投資家のデイトレーダーや投資ファンドを軽視する
ような発言をしたが、会社を振興するような立場の人間の発言としていかがなものか。
これは官僚トップが資本主義経済を否定してしまったに等しい。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080214/080214mag_kitabata.html
2008 02 17 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 3月号掲載
コラム『伯楽諫言』 木村 剛
最近、米国のサブプライムローン問題を最重要課題と捉えて、経済を語る風潮がある。「世界的な信用収縮は大きなマイナスインパクトを及ぼす」という指摘にとどまらず、日本経済の先行きについても「サブプライムローン問
題の動向がポイントになる」など、この問題を語らない者は、経済を語るなというムードすらある。
日本経済に関する限り、これらの論調は誤っている。日本経済を語るのであれば、日本における経済の足元や裾野の現実を直視すべきであって、遠い彼方の米国における低所得者たちの住宅事情や欧米金融機関が被った損失など、二次的な問題でしかないからだ。
その事実は、銀行貸出の伸びを眺めてみるだけでわかる。過剰報道によって、サブプライムローン問題による信用収縮の懸念を刷り込まれている人たちは、米国や欧州において、銀行貸出が激減していると思い込んでいるに違いない。
米国を見てみよう(以下、計数は前年同月比)。確かに、2007年10月における住宅担保貸出は+2.1%にすぎ
ない。06年12月の+5.5%と比較すれば半減しており、信用収縮の傷跡が見える。また、不動産貸出を見ても、06年12 月の+ 15・0%から、07年10月には+ 7.1%にまで大きく下落している。
しかし、商工業向け貸出は、同時期において+ 14・9%から+ 18・5%にまで加速しており、銀行貸出全体は、+ 11・0%の大幅増だ(07年10月)。06年12月時点の+ 12・0%と比べれば鈍化しているものの、「成長経済」と呼ぶに相応しい。
欧州についても見ておこう。確かに、07年10月時点の住宅ローンは、06年12月の+ 10・2%から低下し、+0 .7%にまで鈍化している。個人向けの貸出も、同じ時期において+8.3%から+6.6%へと低下している。
しかし、法人向け貸出を見ると、同じ時期に+12・8%から+13・4%へと伸びを高めている。つまり、少なくとも、法人向け貸出に関して見る限り、信用収縮は全く以って見られていないのだ。
それらの計数と冷静に比較すると、日本経済の惨めさがよくわかる。個人向け貸出が+ 1.9%(07年10月)
に過ぎないからだ。
この水準は、サブプライムローン問題のダメージを最も受けているはずの米国の水準よりも低く、欧州と比べると大幅に下回っている。つまり、日本が欧米の住宅市場を心配する資格はないのだ。
さらに悲惨なのが法人向け貸出。06年12月に+ 1.6%だったものが、07年10月には▲0.3%と前年割れした。中小企業向け貸出は、同時期に+3.0%から▲0.9%へと推移しているから、貸し渋りと言ってよい状況にある。
つまり、信用収縮が起こってしまったのだ。サブプライムローン問題が生じても、欧米では、リアルな貸出における信用収縮が軽徴なのに、サブプライムローン問題の傷が最も浅い日本では、リアルな法人貸出が減少している。銀行貸出全体で見ても+0.9%(07年10月)しか伸びていないのだから、欧米の心配をしている暇などない。
その理由は、貸金業法と建築基準法と証券取引法の改悪による経済と金融の停滞にある。日本が本当に懸念すべきは、これらを原因とする「コンプライアンス不況」であるにもかかわらず、愚かな識者たちはサブプライムローン問題に注目している。この悲喜劇に気付けないとすれば、2008年は相当暗い年になるだろう。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「官僚トップが資本主義経済を否定!?」」
経済産業省の北畑事務次官が講演会で、個人投資家のデイトレーダーや投資ファンドを軽視する
ような発言をしたが、会社を振興するような立場の人間の発言としていかがなものか。
これは官僚トップが資本主義経済を否定してしまったに等しい。
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2008 02 16 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
『フィナンシャル ジャパン』 2月号 ――特集 ニッポン総 プレミアムサービス その深層と可能性を探る
“プレミアムサービス”の空中戦が繰り広げられようとしている。次々と高品質なサービスを打ち出しているのは、日本航空だ。
果たして経営再建につなげられるのか。
進出相次ぐ海外勢
日本の空をめぐる戦いが激しさを増している。大韓航空は2007年11月26日、低運賃の航空会社「エアコリア(仮)」の設立を発表した。08年5月、日本、中国、東南アジアを中心にサービスを開始する。07年3月には関西国
際空港に豪カンタス航空傘下の「ジェットスター」が就航。このほかに新規就航する海外エアラインがいくつか取りざたされている。
海外勢の進出に、日本の会社も負けていない。なかでも今最も注目されているのは、経営再建をはかる“ナショナルフラッグキャリア”日本航空。その戦略の要の一つが「プレミアム戦略」なのだ。12月1日午前7時半、東京
・羽田空港。張り詰めた冷たい空気の中、日本航空が国内線で含めて導入するファーストクラスを備えたボーイング777機が、ほぼ定刻に伊丹へ向かって離陸した。ファーストクラスのシートは最前方に2席ずつ7組、わずか14席設けられただけ。わずか8000円の追加で利用できるとあって前評判も高く、第1便は満席。用意されたマグロの西京焼きに舌鼓を打ち、高級感あふれるソファのような本革のシートでリラックス。1時間10分の短いフライトを堪能していた。12月上旬は早々に予約が入り、就航前から第1週は90%以上が予約で埋まっていた。
運航トラブルが相次ぎ、経営再建が必要になった日本航空。会社再生に向けた道のりとして、JALグループが0
7年2月に掲げたのが「2007―10年度 再生中期プラン」だった。主な内容は人件費の削減、燃油費対策、高収益路線へのシフト、機材を小さめにするダウンサイジングの推進など。商品競争力を高めるためにあげられたのが、「プレミアム戦略」だ。
国内線の「ファーストクラス」と同じく12月1日にスタートしたのが、国際線の「プレミアムエコノミー」だ。従来のエコノミークラスと比べて前方座席との間隔を2割拡大。全席でAC電源が利用できるほか、リクライニングしても前方の席の背もたれが倒れてこない「スカイシェルシート」を導入しており、テーブルを使って仕事をしたり、機内でくつろいだりしたいビジネスパーソンのニーズにこたえている。当初は東京―ロンドン線で導入され、08年には東
京―パリ、東京―フランクフルトと拡大する予定だ。
国内線の「ファーストクラス」、国際線「プレミアムエコノミー」。共に年間40億円ほどの収入増を見込む(再生中期プランによる)。
これを追う形で全日空も08年4月から「スーパーシートプレミアム」の座席をリニューアルするといわれている。二大航空会社によるシートをめぐる戦いは、今後激しくなっていくだろう。
そもそも、国内線では以前、両社共に「スーパーシート」を提供していたが、サービス内容や料金は同じだった。
最初にシート改革に着手したのは日本航空だった。04年6月に「クラスJ」を導入。エコノミーと比較して肘掛は約12センチ、座席の間隔も18センチ拡大したほか、ヘッドレスト、レッグレストも調節可能にした。追加料金はわずか1000円で大ヒットした。搭乗率は今でも85%を維持するほどの人気。今回の国内線ファーストクラスの導入で、クラスJ人気がかげることもなさそうで、予約率は落ちていない。
クラスJ導入の好調ぶりを見た全日空が導入したのが、「スーパーシート」を改良した「スーパーシートプレミアム」だ。こちらは高級路線で当時注目を集めた。
全日空は国際線のプレミアムエコノミーをいち早く導入していただけに、今回の日本航空の相次ぐ新サービス開始を黙って見ていることはないだろう。シート競争はより激しくなっていくはずだ。
プレミアム戦略で再生へ
ただ日本航空が取り組むプレミアム戦略は、何もシートの変更だけではない。
新東京国際空港(成田空港)のラウンジも07年7月、リニューアルオープンした。ファーストクラスラウンジ、サクララウンジを共に拡充。広さは国内最大となる総床面積約4000平方メートルで、合計の座席数は668席。朝、
昼、夜それぞれに温かい食事を出すレストラン(THE DINING)では、東京を中心に人気を集めているスープ店「Soup StockTokyo」との提携で人気スープも提供している。ほかにも午後3時以降にはバーテンダーのバーコー
ナー、無料のマッサージ、仮眠室、そしてPCやLAN環境の整ったビジネスコーナーも備えている。
商品・サービス企画部の松浦光昭部長は、「空港は特別な場所なので、慣れた方でもストレスがたまるもの。解放できる空間を提供し、出発前に最上のひとときをすごしていただけるはず」と自負する。
同社では、12月18日に成田空港のファーストクラス、エグゼクティブクラス向けのカウンターもリニューアルした。ファーストクラスのカウンターは、木目調の落ち着いた雰囲気。エグゼクティブクラスカウンターには、新たに自動チェックイン機を導入し、チェックインを素早くできるようにした。同時に介助や補助が必要とされる乗客が利用するサポートカウンターでは、カウンターの高さを低くして椅子を用意した。
こうしたプレミアム戦略に、同社は約650億円もの予算を投じる計画だ。松浦氏は、「プレミアム戦略を進める上で、全社的に一つのコンセプトの下、同じベクトルに向かって進んでいる。そのコンセプトとは、『心づかいとすぐ
れた技で創る最高品質』。世界に誇れる、日本らしさ、日本人らしさ、そして日本航空らしさ。これらを目に見える形にして、信頼を取り戻したい」と力強く話す。
日本航空が直面する難局は、そうやすやすと打開できるようなものではないだろう。だがそれを一番わかっているのは同社だ。
同社が再建を果たし、他社と健全な競争を繰り広げることによってこそ、日本、ひいては世界の空において、安全で高品質な旅が実現される。
離陸したばかりの「プレミアム戦略」から目が離せない。
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企業経営者向けの≪トップリーダー・セミナー≫
~2008年大激変時代の経営者の取るべき選択
◆ 特別講演 木村 剛 「企業戦略とマーケティング」
◆ 新マーケティング手法を活用した経営課題解決のご提案 (株式会社ジー・エフ)
日時: 2008年2月14日(木)13:00~16:30 予定(開場12:30)
会場: ホテルメトロポリタン 3F 富士C
参加費: 3000円(税込)
お問い合せ先:
主催 株式会社ジー・エフ TEL:0120-18-4477
http://www.gf-net.co.jp/seminar/
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「認めがたい「法の拡大解釈」」
消費者金融大手「武富士」の創業者から受けた株の贈与を巡り、
創業者の長男が、贈与税などの追徴課税処分の取り消しを求めた訴訟の
控訴審判決が1月23日、東京高裁であった。
判決では処分取り消しを命じた東京地裁判決を取り消し、国側が逆転勝訴した。
問題なのは今回の判決が法律を変えるくらいの拡大解釈によってくだされたことである。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080206/080206mag_kazei.html
2008 02 11 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
『フィナンシャル ジャパン』 2月号 ――特集 ニッポン総 プレミアムサービス その深層と可能性を探る
再編が急速に進む百貨店業界。ネットなどとの競争激化で、売り上げの低迷が叫ばれるなか、
各社が重点を置いているのが“お得意様”サービスの充実だ。VIPルームの充実など
特別なおもてなしで競い合っている。百貨店のプレミアムサービスの現状とは
相次ぐ「VIPルーム」の新設・リニューアル
百貨店各社が、購入額の多い“お得意様”の囲い込みに力を入れている。最近のサービスの柱となっているのが、いわゆる「VIPルーム」だ。
松屋銀座は2007年4月、「サロン・ド・ギンザ」を新設した。クレジットカード「松屋カード」の会員で、年間100万円以上の利用がある顧客(ロイヤルカスタマー)や外商顧客を対象とした施設だ。コーヒーなどが提供される
休憩用のスペースのほか、商談や試着に使える個室を備える。
また、髙島屋は「メンバーズサロン」の対象者を、年間購入額100万円以上のカード会員と外商顧客から、年会費1万5000円の「タカシマヤカード《ゴールド》」の会員に広げた。4月に全面改装オープンした「新宿タカシマヤ」でも、サロンの席数を増やすなどしている。
西武百貨店も、「シブヤ西武」を3月に改装した際、「プラチナサロン」もリニューアルしている。
サロンが自宅の応接間?
渋谷といえば、「109」「センター街」を思い起こす人が多いだろう。“若者の街”というイメージが定着している。
だが、シブヤ西武の顧客層は、必ずしも若者だけではない。以前から、城南7区とよばれる世田谷、渋谷、目黒、港、大田、品川、杉並区の富裕層や政財界、芸能界などの顧客が多いという。
西武百貨店とそごうで作るミレニアムリテイリングには、年間100万円以上購入する顧客を対象とした「お得意様部」がある。同部企画担当の小林佳彦氏は、「少しだけ先回りしたサービス、ちょっと気の利いた心配りが求め
られます。とても難しく緊張感があります」と実感をこめて話す。
シブヤ西武の「プラチナサロン」はB館の8階、宝石や時計、美術品が並ぶフロアにある。利用できるのは、お得意様部の顧客のほか、クラブ・オン・メンバーで、前年に100万円以上買い物をした人だ。年間利用客は延べ約5万人いるという。広さは約300平方メートル強で、専用の受付にはコ・ンシェルジュが常駐。休憩できるスペースや3つの個室を備え、一流アーティストの生け花や、壁には絵画がかけられている。渋谷にいることを忘れさせるほど、落ち着いた空間だ。
長年にわたってシブヤ西武を利用している顧客の中には、“自宅の応接間”のような感覚で訪れる人もいるという。特別な空間でありながらも、くつろげる雰囲気づくりが成功しているのだ。コンシェルジュをはじめとしたスタッ
フの「マニュアルに書けないサービス」(小林氏)と心配りが行き届いている証拠といえるだろう。
場面に応じたファッションの提案をするコーディネーター
西武ではこのほかにも、「パーソナルコーディネーター」を配置することで、サービスの差別化をはかっている。顧客の要望にあわせて洋服や小物選びを手伝う専門職で、西武百貨店のなかで。この肩書きを持つ専門職を置
くのはシブヤ西武のみだ。男性、女性向けそれぞれ2人ずつの計4人おり、主に「パーソナルコーディ
ネイトルーム」を利用してファッションの提案をしている。予約が入っていなければ誰でもコーディネートを依頼できるが、利用者の多くはお得意様部の顧客だ。
「パーソナルコーディネイトルーム」はA館、B館にそれぞれあり、大きな鏡とクローゼットを備えた部屋では、ドリンクのサービスも。人の目を気にせずにゆっくりと試着でき、数時間利用する人
も珍しくなく、「一度利用したお客さまのほとんどが再びおいでなる」(パーソナルコーディネーターの鎌田泰夫氏)という。
百貨店にはブランドがテナントとして入居しているが、ブランドにまたがったコーディネートはできない。パーソナルコーディネーターは、そうした枠にとらわれず、旅行、デート、観劇、パーティー出席など、状況にあわせたコー
ディネートを提案してくれる。
「最近では、政治家の利用も少なくないんですよ」という鎌田氏は、ファッションに携わって40年以上のベテランコーディネーターだ。日頃心がけていることについて、「百貨店を自宅のように感じてお買い物していただけるよう、
くつろげる空間をつくる努力をしています」と話す。実際には、「お客さまの要望の一歩先を行くサービス」(鎌田氏)を提供している。それこそが、高いリピート率を実現する秘訣なのだろう。
合理化と再編の波の中で
百貨店が“お得意様”の確保に熱心な背景には、顧客1人当たりの購買単価を引き上げたいという意図がある。消費不況が長引く中、高級スーパーの出現やオンラインショッピングの浸透で、百貨店は売り上げを減らしている。日本百貨店協会によると、06年度の売上高は、ピークだった1991年度の8割に落ちている。
経営合理化をはかる各社の間で、統合も相次いでいるのは周知の事実。たとえば大丸と松坂屋ホールディングスは「J・フロントリテイリング」を設立。阪急百貨店と阪神百貨店は「エイチ・ツー・オーリテイリング」として経営統合した。08年4月には三越と伊勢丹が持ち株会社「三越伊勢丹ホールディングス」を作る予定で、07年11月20日に開かれた臨時株主総会で承認されたばかりだ。
西武百貨店とそごうも03年「ミレニアムリテイリング」として再出発している。独自の道をいく髙島屋や松屋を尻目に、各社とも経営の合理化を急いでいるのだ。
こうした無駄を省く努力のほか売り上げを拡大するための施策の柱が優良顧客の囲い込みだ。
しかし、「品質と値段が同じであれば、サービスが良い店で買う」というのは、富裕層に限ったことではないだろう。たしかにVIPルームのサービスは、訪れた客すべてが享受できるわけではない。だが、そうした限定サービスにこそ、その店の質の高さが表れるというもの。
“お得意様”向けのサービスを充実させれば、優良顧客の確保だけでなく、顧客全体の数を増やすことにもなるかもしれない。
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企業経営者向けの≪トップリーダー・セミナー≫
~2008年大激変時代の経営者の取るべき選択
◆ 特別講演 木村 剛 「企業戦略とマーケティング」
◆ 新マーケティング手法を活用した経営課題解決のご提案 (株式会社ジー・エフ)
日時: 2008年2月14日(木)13:00~16:30 予定(開場12:30)
会場: ホテルメトロポリタン 3F 富士C
参加費: 3000円(税込)
お問い合せ先:
主催 株式会社ジー・エフ TEL:0120-18-4477
http://www.gf-net.co.jp/seminar/
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「認めがたい「法の拡大解釈」」
消費者金融大手「武富士」の創業者から受けた株の贈与を巡り、
創業者の長男が、贈与税などの追徴課税処分の取り消しを求めた訴訟の
控訴審判決が1月23日、東京高裁であった。
判決では処分取り消しを命じた東京地裁判決を取り消し、国側が逆転勝訴した。
問題なのは今回の判決が法律を変えるくらいの拡大解釈によってくだされたことである。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080206/080206mag_kazei.html
2008 02 10 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
『フィナンシャル ジャパン』 2月号 ――特集 ニッポン総 プレミアムサービス その深層と可能性を探る
少子化が盛んに叫ばれるようになって久しい。
育児は変わり、育児に用いるグッズにも変化が生じている。
子どもの数が少ないだけに、かけられる費用は増えている。
現在の育児グッズのトレンドとはーー。
「6ポケット」―― 。子ども1人に衣料品や小物を買い与えたり小遣いをやったりするのが、両親とその祖父母の「6人」ということを意味する言葉で、以前から広く知られている。
しかし最近では、「6」では足りず、「8ポケット」「10ポケット」という言葉が生まれているという。おじ・おばなども加わったのだ。
日本で少子化が深刻になっているのは周知の事実だ。2006年の出生数は109万2674人。前年を約3万人上回り、00年以来6年ぶりに増加に転じたものの、第2次ベビーブームの1973年前後の200万人超と比べると半減している。合計特殊出生率も前年を0・06 ポイント上回る1・32となり、出生数と同じく6年ぶりに上昇したが、「超少子化国」と呼ばれる水準(1.3未満)に変わりはない。
これに晩婚化も伴って、子どもを持たない大人たちが、おいっ子やめいっ子にプレゼントをするということも多くなっているようだ。博報堂生活総合研究所の推計では、2007年に「夫婦+子ども」という “標準世帯”の数を“一
人暮らし世帯”の数が抜く。シングル世帯の増加は、子ども1人当たりのポケット増加に関係しているだろう。
最近の育児環境の変化として、以前より男性の“参加”が進んできたことがあげられる。「まだ不十分」という意見もあるだろうが、進歩はしている。男性が育児休業を取るだけでニュースになった時代は終わったといえそうだ。
厚生労働省は06年、「男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会」(北城恪太郎座長、15人)を開催、企業経営者に向けた提言をまとめた。
ここのところ注目されているのが、NPO法人「Fathering Japan」(ファザーリング・ジャパン、安藤哲也代表理事)だ。06年に設立された団体で、「父親であることを楽しもう」という意識を持った男性を支援するのが目的。セミナーを開催しているほか、08年3月に予定している「第1回 子育てパパ力ぢから検定」の準備を進めている。「男性が自主的に育児にかかわるきっかけになるように」と企画したもので、現在、インターネット上で練習問題に挑戦できる。
男性の育児に対する意識は確実に変わってきている。
育児もカッコよくこだわりを持って
子育て費用の増加、男性の育児参加。こうした変化に伴い、オシャレで機能的な育児グッズの人気が高まっている。競合品と比べて価格が高くても、「こだわり派」は付けられており冬でも寒くないよう工夫されている。乗り心地へのこだわりはもとより、親が使いやすいよう、いろいろと配慮されている。競合品と比べて価格が高くても、「こだわり派」は出費を惜しまない。もちろん、ポケットが増えたことも後押ししているだろう。
たとえばマクラーレンのベビーカー。数千円の商品が多いバギータイプの中で、人気の「ヴォロー」は2~3万円と高めだが、都内でよく見かける。
核家族化が進行したことで、昔の知恵が若い世代に伝わらなくなったといわれる。その半面、若い夫婦は古い考えにとらわれず、「自分らしさ」を育児にも求めるようになった。価値観の多様化を認める風潮も広がっているし、書店に数多く並ぶ子育てをテーマにした雑誌でも、こだわりの育児法やグッズの紹介が好評という。
日本のメーカーもこだわりの商品を企画、販売している。
創業50年を迎えた老舗の大手、コンビ(東京都台東区)の最近のキーワードは、「おもてなし」だ。
07年7月に発売したチャイルドシート「EX COMBI ゼウスターン ラグジュア ZW」(メーカー希望小売価格、税込み7万5600円)。パステルカラーが多いチャイルドシートの中にあって、革張りをイメージさせる黒。土台の部分まで珍しく黒で、シート横にはゴールドまたはプラチナカラー(シルバーに近い)のラインが入り、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「ゼウスターン」は、子どもの乗せ降ろしが楽にできるようシートが回転する人気のシリーズだった。そこに、「革張りの高級車にもあうデザインを」と新しく追加されたのが「ラグジュア」なのだ。「エッグショック」と呼ばれるゲル素材を敷くことで、子どもにかかる衝撃を低減。こうした機能は、子どもに対する「おもてなし」といえるだろう。
また、親も満足して使える一品でもある。「使いやすい商品にすることが、使用されるご両親に対しての私たちなりの“おもてなし”」というマーケティング企画部の佐伯康広氏。この商品は車好きな男性にも受けているようで、
「お父さんからの指名買いが多い」と話す。
また、12月下旬発売予定のA型ベビーカー「EX COMBI グランパセオ LX―720」(同7万5600円)も、おもてなしの精神にあふれた商品だ。足カバーが付けられており冬でも寒くないよう工夫されている。乗り心地へのこだわりはもとより、親が使いやすいよう、いろいろと配慮されている。
安全面にも細心の注意が払われている。通常ベビーカーのタイヤは、4カ所に2つずつ付けられている。そのタイヤの間に列車のドアが挟まれる事故が続けて起きたことがきっかけで、同社はJR東日本と協力、「電車ドア挟み対策キャスター」を開発。挟まれたときにドアセンサーが感知するサイズにした。
佐伯氏は、「デザイン、機能などあらゆる面で、コンビが長年培ってきたものの集大成」と自負する。
最近では、コンビも男性へのアプローチを強めている。「ラグジュア」の広告はスポーツ新聞にも掲載したという。
「育児は女性のもの」「面倒で大変なもの」という時代は終わった。今はまだ男性は育児に“参加”する時代。だが、「夫婦がこだわりを持って、自分たちらしく楽しむもの」になる日も近いのかもしれない――。
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企業経営者向けの≪トップリーダー・セミナー≫
~2008年大激変時代の経営者の取るべき選択
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日時: 2008年2月14日(木)13:00~16:30 予定(開場12:30)
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参加費: 3000円(税込)
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「認めがたい「法の拡大解釈」」
消費者金融大手「武富士」の創業者から受けた株の贈与を巡り、
創業者の長男が、贈与税などの追徴課税処分の取り消しを求めた訴訟の
控訴審判決が1月23日、東京高裁であった。
判決では処分取り消しを命じた東京地裁判決を取り消し、国側が逆転勝訴した。
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2008 02 09 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
お年玉や毎月のお小遣い。友達同士でのお金の貸し借り。
子どもの世界もお金と無縁ではない。子どものうちに、しっかりと「お金との付き合い方」を身につけさせなければ、将来、“だらしない”大人になってしまうかもしれない……。今、「お金の教育」が注目されている。
「フィナンシャル ジャパン」 2月号掲載 文=FJ編集部
電子マネーやクレジットカードが普及し、インターネット取引や携帯電話での商品購入が珍しくなくなった。現金が手元になくても、欲しいものが手に入る時代になったのだ。マイレージやポイントサービスもブームになっている。お金の概念は、以前とは確実に変わってきている。
現在、子育て中の大人が幼かったころ。今から十数年から数十年前には、こうした便利なサービスはほとんどなかった。それだけに、わが子に健全な金銭感覚を身につけさせようとしても、「どうしていいかわからない」という保護者は多いだろう。
こうしたなか、FJ発行人の木村剛が、親子で一緒に楽しみながら「お金との付き合い方」を学べるようにと、絵本「おかねのあのね」を近く上梓する。
これは、ゲーム好きの主人公・大輝(だいき)が、テレビゲームから飛び出してきたお金の妖精・トラスと一緒にいろんな世界を旅する話だ。その冒頭の一部を紹介する。
第1章 冒険の始まり 大輝はゲームが大好き。 学校から帰ると宿題そっちのけでゲームです。お気に入りはアドベンチャーゲーム。冒険しながら、隠された宝物を探し出します。 「 どうせ、今日もお母さんは遅いし……」 お父さんが交通事故で亡くなったので、お母さんは、近くの銀行で働きはじめました。毎日のように残業で、帰っ てくるのは夜の9時近くです。 ゲームでさびしさをまぎらわせる大輝には、1つだけ悩みがあります。欲しいものをお母さんが買ってくれないことです。 それは携帯電話です……。
この後、物々交換の町や偽札がまん延する村に行って、悪者をやっつけたり、ゲーム会社を作ったりと、大輝はいろいろな問題を次々とクリアする。物語が終わるころ、クラスのいじめっ子に嫌みをいわれても、まったく気にならなくなっている。それは、トラスとの冒険を通して、「大切なこと」がわかったからだった。
「お金がテーマ」と聞くと難しそうな気がするかもしれないが、イラストもかわいらしく、「勉強」といった堅苦しいイメージはない。あくまで、“楽しみながら”読むことができ、結果的に、お金について考える機会が与えられる内容だ。小学生や中学生だけでなく、大人が読んでも、いろいろな発見があるはずだ。
絵本『おかねのあのね』は2008年初旬に発売する予定だ。親子で一緒に読むことから、「お金の教育」を始めて
はいかがだろうか。
▶ 『おかねのあのねブログ』随時更新中! http://ameblo.jp/okane-no-anone/
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「ルールを守ることが目的なのではない」
製紙会社の再生紙偽装問題が次々と発覚し、各方面で波紋を呼んでいる。
最近、多くの偽装問題が発覚するなかで、確かにルールを守らない
企業や経営者は悪いのだが、元々そのルールが実態に合っていたのか
ということを考えてほしい。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080130/080130mag_rule.html
2008 02 03 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 2月号掲載
連載コラム―ミクロを変える経済 財部誠一氏(経済ジャーナリスト)
11月25日、ベトナムのグエン・ミン・チエット国家主席が国賓として来日した。26日夜には主席夫妻を歓迎する宮中晩餐会が天皇、皇后両陛下の主催で開かれた。皇太子さまや福田首相夫妻も出席。日越の友好関係を象徴する温かい晩餐会になったようだ。いまや日本にとってもっとも安心・安全かつホットな二国間関係はベトナムとではないかといいたくなるくらい、日越は相互補完的な蜜月関係にある。
ミン・チエット主席の来日にはなんとベトナム企業120社のトップが随行し、晩餐会の前に行われた日越経済フォーラムでは主席同席で、日越企業資本提携の調印式が延々と続いた。
調印式に立ち会った取材クルーによれば、主席の前で代わる代わる資本提携する日越企業のトップが出てきては調印、出てきては調印というカタチで、やや流れ作業的風景ではあったようだが、列席した日本企業をみるとそ
うそうたる顔ぶれだ。三菱重工業に、NTTデータ、住友商事、三井住友銀行など。三井住友銀行がベトナムの輸出入銀行に直接投資をするが、これは邦銀としてはもちろん初めてで、おそらくこれがベトナムの銀行に出資する最初で最後の例になるだろう。
なぜならベトナムの主要銀行は欧米の金融機関との提携を選び、主要15行の中で残っていたのは輸出入銀行1行のみであったからだ。三井住友銀行は海外金融機関と激しいつばぜり合いの末に、やっと直接投資への道をこじあけたというのが本当のところだ。
不良債権処理に手間取った邦銀は、この10年というもの、縮小均衡をくりかえすのみであった。なかでも国際業務の縮小ぶりは、ものすごいものがあり、どこの銀行をみても海外の支店網は続々と廃止され、有能な人材は外資に流れるか、国内セクションに異動になってモラールダウンするといったことばかりが続いてきた。
余談だが、世界の金融市場を揺さぶったサブプライムローン問題で、日本の金融機関が被った損害が欧米金融機関と比べて一桁違うほど少なくすんだのは、それだけリスク管理能力が高まったからではない。日本の金融機関が国際業務から手を引く一方で、欧米金融機関から周回遅れになっていたために、サブプライムローンにコミットする機会が少なく、結果的に救われたというのが本当のところである。それほど国際業務が立ち遅れている中、ベトナムの主要プレーヤーである輸出入銀行に三井住友が食い込めたのは朗報だ。
ベトナム企業120社のトップを引き連れて来日したミン・チエット国家主席と、じつは私もお目にかかる機会があった。10月末から1週間ほど、テレビ朝日系列「サンデープロジェクト」の特集の取材でベトナムを訪問したおりに、日本のテレビとしては初となる単独インタビューができた。
この時の印象は格別だった。ベトナムはご存じの通り、共産国家である。どのような人物なのかと、戦々恐々としながら、主席官邸を訪ねたのだが、驚くほど朗らか、にこやかな人物であった。やはり会ってみないとわからない。日本国内でイメージされる共産党一党独裁国家の元首のイメージとはまるで違っていた。その内容の一端は次号でご紹介しよう。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「ルールを守ることが目的なのではない」
製紙会社の再生紙偽装問題が次々と発覚し、各方面で波紋を呼んでいる。
最近、多くの偽装問題が発覚するなかで、確かにルールを守らない
企業や経営者は悪いのだが、元々そのルールが実態に合っていたのか
ということを考えてほしい。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080130/080130mag_rule.html
2008 02 02 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」2月号掲載
【会社法がわかれば商売がわかる!】 中央大学法科大学院教授 野村 修也氏
敵対的企業買収やアクティビスト・ファンドの活動が活発化するにつれて、株主総会における議決権の争奪戦が重要度を増している。その前哨戦として注目を集めているのが、競業者による株主名簿の閲覧請求だ。
会社法は、旧商法とは異なり、株主名簿の閲覧・謄写請求権に関して、5つの拒絶事由を明文化した(会社法125条3項各号)。その1つとして、「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき」という拒絶事由が追加されたため、その適用をめぐる紛争が生じている。
この拒絶事由は、法制審議会の「改正要綱」では言及されていなかったものを、法務省の担当官が、株主による帳簿閲覧請求権の拒絶事由(会社法433条2項各号)を参考に追加したものである。そのため、学界では、この改正の必要性に疑問を呈する声が多く聞かれる。
改正前は、帳簿閲覧請求権の拒絶事由しか法定されていなかったため、それを株主名簿の閲覧請求に類推適用するかどうかが議論されていた。通説は、競業を理由とする拒絶事由について、「株主名簿を閲覧させても、競業者に有利な情報を提供することになるものとは特に認められない」ことを根拠に、類推適用を否定していた。また、帳簿閲覧請求権の母法であるアメリカ法でも、例えばデラウェア州法では、帳簿閲覧請求権についてのみ拒絶事由を法定しているにすぎず、株主名簿の閲覧・謄写請求権には明文の拒絶事由を設けていない(デラウェア州一般会社法219条、220条参照)。ところが、会社法の制定後は、条文が新設されたことから、「(会社法125条3項)3号の趣旨は、他の競業者に株主名簿が閲覧され、株主の氏名、住所、有する株式数等の詳細を把握されると、競業に利用されて株式会社の利益を害するおそれがあるから、これを防止することにある」といった裁判所の決定が出されるようになった(東京地裁平成19年6月15日決定)。これを敷衍するならば、裁判所は、会社の取引先が株主となっている場合には、株主名簿を閲覧した競業者は、その情報を利用して競争上有利な立場に立つことができる点を、条文新設の根拠と考えていることになる。
しかし、このような意味での抽象的な危険に基づいて閲覧・謄写を拒絶できるとすると、およそ競業関係にある者は、もっぱら社員的利益(例えば、自己の提案に賛同してくれる株主を探す目的など)のために株主名簿を閲覧・謄写することさえも否定されることになり、著しく不当である。それどころか、例えば買収合戦が行われているような場合、競業者以外の買収者は、株主名簿を閲覧・謄写することによって一般株主への働きかけを行うことができるのに対し、競業者である買収者にはその機会が与えられなくなる点で、公平性を欠く結果となる。
また、敵対的買収者が、企業価値の向上に資する買収提案を行おうとしている場合でも、その者が競業者であったならば、現経営陣の自己保身のために株主名簿の閲覧・謄写が拒絶され、ひいては企業価値向上の機会が失われる危険性もある。
そうだとするならば、抽象的な危険を根拠に競業者による閲覧・謄写請求を一律に拒絶するのではなく、具体的危険性が認められる場合にのみ、拒絶を正当化するのが、合理的なのではないだろうか。
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FJ資産運用サミット開催のお知らせ
日時: 2008年2月2日(土) 13:00~17:30 予定
●講演 ==========
「投資戦略の発想法2008」木村剛
【トークセッション】「長期投資の哲学(仮)」
スコット・キャロン氏 いちごアセットマネジメント 社長
玉塚元一氏 リヴァンプ 代表パートナー
●個人投資家向け会社説明会(企業IR) ==========
◆トップ対談(企業IR)株式会社 テレウェイヴ
(証券コード:2759)代表取締役社長 齋藤 真織
◆トップ対談(企業IR)創建ホームズ株式会社
(証券コード:8911)代表取締役社長 丸本 吉紀
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●プレゼント抽選会
2008 01 27 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 2月号掲載
連載コラム『次の一手』 マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏
人気お笑いコンビ「麒麟」の田村裕(28)が、中学生時代にホームレス生活を余儀なくされた体験をつづった、笑って泣ける貧乏自叙伝『ホームレス中学生』(ワニブックス)が、発売2カ月という異例の速さでミリオンセラーとなった。過去10年間で、ノンフィクション作品としてはもちろんタレント本としても百万部達成のスピードは最速だ。読者層は10代の若者から中高年、高齢者に至るまで幅広く、全国の学校や図書館からも注文が殺到している。
本のあらすじを簡単に紹介しよう。当時、中学生だった田村少年の家が、突如差し押さえられ、父親による「解散!!」の一言で一家離散。その日から、一人ぼっちのホームレス生活となり、公園にあるコンクリート製の巻き貝の形をした滑り台の中での寝泊まりが始まる。
おなかが空くと、落ちているお金を探しに自動販売機の下を見て回り、ハトのエサのパンくずを拾い集め、雑草を食べ、水で濡れた段ボールで飢えをしのぐ(お隣の国の段ボール食品報道は冗談ではなかった!)。風呂にも入れず雨がシャワー代わりの悲惨な日々。1カ月後、見かねた近所の人たちがアパートを世話してくれ、過酷な生活は終わる。しかし、両親や社会への恨みはなく、いつも遠くで見守ってくれていた母を想い、周囲の人々の親切に感謝する。
そんなつらくはかない日々をつづった、ユーモアとペーソスあふれる、プロレタリア文学ならぬ“プロレタリア・コメディ”が大ヒット中だ。
一方、キューバ革命の英雄エルネスト・チェ・ゲバラが、10代後半から20代の男女に人気を呼んでいる。アパレル大手のワールドが運営する東京・原宿のセレクトショップ「トーキョー・ヒップスターズ・クラブ」は、店の象徴にゲ
バラを用い、没後40年の追悼イベントを開催したり、ゲバラの書籍やTシャツやiPodケースなどを販売している。
また、出版界でもゲバラ本は新刊ラッシュだ。中央公論新社は、『ゲバラ日記』の新訳版出版に続いて、来春までに演説集やインタビューなど4冊を刊行予定だし、朝日新聞社も来春、ゲバラ夫人の回想録の邦訳を出す。オスカー受賞のスティーブン・ソダーバーグ監督による『ゲリラ』『アルゼンチン』という2本の映画も公開される。没
後40年に続いて、2008年は生誕80年。チェ・ゲバラ人気はますます盛り上がりそうだ。
近頃、若者の間では、これまでどんな貧乏な体験をしたことがあるか、悲惨な体験をしたことがあるかを言い合う「貧乏自慢」「悲惨自慢」が広がっている。『ホームレス中学生』の爆発的なヒットやチェ・ゲバラの人気をはじめ、今は単なる流行でしかない様々な現象が地下水脈でつながってきているように思える。
社会主義、共産主義の思想は地球上から実質的に絶滅したかのように思われているが、日本を含め先進国の若者の間では、明らかに社会主義的な思想やイメージへのあこがれが再び急速に広がっている。日本では過激な行動に走る若者はまだほとんどいないが、フランスなどにおける若者の暴動を見ても、もう一段階、日本経済が沈み格差が広がれば、危険水域に入る可能性も出てきかねない。
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FJ資産運用サミット開催のお知らせ
日時: 2008年2月2日(土) 13:00~17:30 予定
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2008 01 26 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 2月号掲載
コラム『失礼ながらその投資本では儲かりません』
今月はおススメ本です。
今回は、多少難解だし、分量も相当あるのだが、読むべき良書として、前FRB(米連邦準備制度理事会)議長であったアラン・グリーンスパン氏の『波乱の時代(上・下)』を紹介する。1987年から2006年までの20年間という長期にわたり、米国の中央銀行総裁として金融政策を司り、世界の金融市場に影響を与え続けた人物の著作であるだけに、投資を真剣に考えている人であれば、ぜひ手にとってもらいたいと思う。
読破するのはシンドイという方には、下巻だけでも読んでもらいたい。時間が限られているのであれば、日本経済のことについて触れた部分をざっと読むだけでも価値がる。
例えば、グリーンスパン氏は、「日本の行動は、他の資本主義国とは違う」と結論付けている。そして、その理由を「日本人にとって『体面を失う』ことが、いかに屈辱的か」という点に求めているのだ。
その事例として、2000年1月に宮澤喜一大蔵大臣(当時)と会談した内容を挙げている点が興味深い。グリーンスパン氏は、米国を含む他の諸国が講じてきた不良債権処理の方策を示唆した。日本流にいえば、「金融再生プログラム(通称、竹中プラン)」を実行するように迫ったのだ。
そのとき、宮澤大臣は、「それは日本のやり方ではない」と否定したのだという。グリーンスパン氏は、早期に不良債権処理を断行していれば、「調整期間はもっと短くなり、何年も前に通常の経済に復帰していたはずだと確信していたし、いまも確信している」と証言する。そして、「日本人は、多くの企業や個人の体面が傷つくのを避けるため、あえて巨額のコストがかかる経済の停滞を受け入れたのだ」と結論付けている。
また、公的年金制度の将来について、日本の高官に尋ねた部分も示唆に満ちている。グリーンスパン氏が「日本の年金給付水準は、将来維持できないと思えるが、どうするつもりなのか」と聞いたところ、「給付水準を下げるし、それは問題にならない、日本人は制度の変更を国益のなかで考える、それで十分なのだ」と答えたというのだ。
もし、この会話を日本人が聞いていたら激怒しただろう。この会話は「最近」だとグリーンスパン氏は書いているから、誰が答えたかを明らかにしてもらいたかった。
ありがたいことに、日本経済の将来については、楽観的な見通しを示してくれている。とはいえ、「2030年になる前に、日本は世界第2位の経済大国という地位を失うとの予想は多い。だが、日本人がその結果に満足するとは思えず、対抗策を講じるとみられる。いずれにせよ、日本は豊かで、技術と金融の両面で有力な存在でありつづけるだろう」というのは、リップサービスという色彩が拭えまい。
グリーンスパン氏は、「今日の世界で、政府の規制を増やすことがプラスになると考える理由が、わたしにはよくわからない」と明言しているが、そのよくわからない規制強化に邁進しているのが、いまの日本だからである。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「日経平均大幅続落の原因 」
1月16日、日経平均は連日で大幅続落、2005年10月以来の安い水準となった。
このところ日本株が下げている原因はどこにあるのだろうか。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080116/080116mag_sage.html
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「投資戦略の発想法2008」木村剛
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(証券コード:8911)代表取締役社長 丸本 吉紀
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2008 01 20 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 2月号掲載
コラム『伯楽諫言』 木村 剛
金融商品取引法が9月末に施行されてから、金融業界は半ば麻痺状態に陥っている。
金融商品を販売する際、「元本欠損が生ずるおそれ」や「当初元本を上回る損失が生ずるおそれ」がある場合は、それを顧客にキッチリと指摘しなければならないほか、契約や義務の内容など取引の仕組みについても説明が求められているからだ。
いわゆる「適合性の原則」が強化されたことが特徴点。顧客の知識、経験、財産の状況および金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行ってはならないということになった。知識や財産があっても、安全運用を目的としている顧客に対して、ハイリスク・ハイリターンの商品の契約を締結することは、適合性の原則に反することとなる。
広告規制も導入された。損失が生じる恐れがある場合には、その関連情報を表示しなければならないし、顧客の不利益になる重要な事実については、明瞭かつ正確に書いておかなければならなくなった。リスクに関する情報については、それ以外の事項の文字または数字のうち最も大きな文字または数字と著しく異ならない大きさで
表示しなければならないという。
日本の当局は「一罰百戒主義」を採っているので、金融業者は戦々恐々だ。「自分だけは最初の生贄になりたくない」とビビっているので、過度に保身的になり、リスクが少ないMMFの販売にも2時間かけて説明する窓口があったりする。法の適用が平等でも透明でもなく、強引に解釈論でしょっ引くという感じだから、「何とか狙われないように」とひたすら目立たないことを心掛けるしかない。
ところが、そんな風潮を無視して、誇大宣伝を続けている金融商品がある――宝くじだ。
TVコマーシャルで、西田敏行と小林幸子が「ドリームジャンボ3億円」と絶叫しているし、宝くじの販売員がリスクを説明している風もない。それもそのはず、宝くじは、金融商品取引法や金融商品販売法の対象ではないのだ。
しかし、冷静に考えてみると、おかしくはないだろうか。
アンケート結果を見ると、「賞金目当て」と答える人が6割いるのだから、宝くじはれっきとした「投資商品」である。そして、元本割れとなる可能性が明らかに高い金融商品でもある。
しかも、毎年の売り上げは1兆円を超えており、宝くじを買ったことのある人は7150万人。最近1年間に1回以上買っている人は5383万人に上る。つまり、被害者となる可能性がある人々の数が異様に多いのだ。70歳以上の層でも過半数の人が宝くじの購入経験があるというから、「適合性の原則」が守られているか、本当に心配になってくる。
一獲千金の夢をあおって売りさばいている宝くじの期待リターンは、じつは、▲54%というとんでもないマイナス。宝くじの売上金の46%しか、当選金として配分されていないという事実をもっと広く知らしめるべきだろう。
本当に消費者を保護したいと思うのなら、宝くじについても、売る前に「100円の宝くじを買うと、平均して46円しか戻ってきませんが、それでもお買い求めになられますか」と尋ねさせるべきだ。
売り上げがお上の懐に入る場合だけ、消費者に対する説明責任を果たさなくていいというのは、あまりにもズルいのではないか。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「日経平均大幅続落の原因 」
1月16日、日経平均は連日で大幅続落、2005年10月以来の安い水準となった。
このところ日本株が下げている原因はどこにあるのだろうか。
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/080116/080116mag_sage.html
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FJ資産運用サミット開催のお知らせ
日時: 2008年2月2日(土) 13:00~17:30 予定
●講演 ==========
「投資戦略の発想法2008」木村剛
【トークセッション】「長期投資の哲学(仮)」
スコット・キャロン氏 いちごアセットマネジメント 社長
玉塚元一氏 リヴァンプ 代表パートナー
●個人投資家向け会社説明会(企業IR) ==========
◆トップ対談(企業IR)株式会社 テレウェイヴ
(証券コード:2759)代表取締役社長 齋藤 真織
◆トップ対談(企業IR)創建ホームズ株式会社
(証券コード:8911)代表取締役社長 丸本 吉紀
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●プレゼント抽選会
2008 01 19 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 1月号掲載
コラム『超経済外交のススメ』
青山繁晴氏 独立総合研究所 社長兼主任研究員
アメリカ太平洋軍のキーティング司令官が訪中の際に、「中国が空母を造るなら支援する」と発言した。ふつうに考えれば驚天動地である。アメリカは中国軍の膨張に強い懸念を示してきたし、中国海軍が空母を保有すれば台湾海峡の緊張も極度に高まる。
フランスが中国に空母を売ろうとしたとき、わたしはパリへ行き、フランスの国防省や海軍の高官たちに「東シナ海の軍事バランスを崩し、日本にも大きな脅威になる」と中止を強く求めた。
その後、中国は空母を自主建造する方針に傾き、キーティング発言が飛び出した。これを「アメリカはビジネスのために何でもやる」と解釈するなら、一面的だ。
アメリカが建造を支援するとすると、それは巨大な空母の全体を制御する電子システムや、空母を中心とする艦隊を指揮するための通信システムになるだろう。こういった技術はブラックボックス、すなわち中身を開けて見ることのできない状態で提供される。つまり、中国海軍の空母の心臓部を実質的にアメリカが握る。そこにバグを潜ま
せて、いざとなれば遠隔操作で空母を無力化することも不可能ではない。
だから中国も、キーティング発言に努めて冷淡な反応を返した。
日本ではほとんど報道されないこの経緯は、CX(自衛隊の次期輸送機)問題の、もう一つの真実を考えるヒントになる。
守屋武昌・前防衛事務次官のゴルフ接待漬けは、浅ましい限りだ。接待した宮崎元信・山田洋行元専務がCX のエンジンを米国GEから買う代理人である以上は、CX の機種選定に、この癒着関係が影響したのは間違いない。
政治家も関与している――これも、確実だ。わたしは捜査関係者から、元・副大臣と、驚くほかない意外な大物政治家の名を、内偵の対象者として聞いた。
官僚も政治家も、賄賂を受けとった者は断罪されねばならない。接待もキャッシュも、賄賂であることは同じだ。
だが官僚であれ政治家であれ、個人の犯罪追及で終わるなら、根っこを見逃すことになる。
輸送機は、一国の防衛の支柱だ。戦闘機と比べ地味にみえるが、必要なときに必要な場所へ兵員、武器・弾薬、それに食糧や医薬品を運べなければ、いかなる防衛も成り立たない。
その重要な輸送機の心臓部、エンジンがなぜ、アメリカ製なのか。
防衛庁(当時)は、政府専用機のエンジンもGEであるから整備に共通性があるなどと、関係者が非公式に説明し、GEに決めた。
だが、そのようなメリットと、航空エンジンを自主開発して日本の技術力を根本的に高める、また防衛主要装備の心臓部をアメリカに委ねない、それらの大切さを天秤にかければ、どうなるか。
コストはかかるが、少なくとも国内勢に参入検討の機会をフェアに与えることが必要だった。
敗戦国の日本は戦勝国のアメリカに軍事の中枢はお任せせねばならない、この構図が当たり前のように続けられている。航空機開発をフルに祖国の手に取り戻す、これを日本の経済外交の焦点の一つにすべきだ。情けない汚職事件からも、わたしたちはこの重要な外交改革を考えることができる。
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個人投資家向けセミナーイベント FJ資産運用サミット2008
【開催日程】 2008年2月2日(土)13:00~17:30 予定
【会場】六本木アカデミーヒルズ49(六本木ヒルズ森タワー49F)
【講演】「投資戦略の発想法2008」 木村 剛
【トークセッション】「長期投資の哲学(仮)」 スコット・キャロン氏 いちごアセットマネジメント 社長 ほか
※ 個人投資家向け企業IRもあります。
※ 参加無料です。↓お申し込みはこちらから
http://www.financialjapan.co.jp/summit/
2008 01 13 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 1月号掲載 --亞洲情報交叉路口
地球上の人口の約6割を占めるアジアには、
多様な文化、人種、宗教がひしめき合う。
世界で最も注目される地域であるアジアの“今”をレポートする
平均時速が大きく向上
「 3日前に切符を買っておかなければ乗れない」「時間に遅れるのは当たり前」「車内は汚く乗客のマナーも悪い」――。
このように悪名ばかり高かった中国の鉄道事情だが、最近、大きく変わりつつある。経済の発展とともに輸送力を向上させる必要性が急速に高まり、整備が急ピッチで進んでいるのだ。
今年1月には、上海―杭州間、上海―南京間を結ぶ路線に、日本の新幹線「はやて」をベースにした列車CR
H(チャイナ・レイルウェイ・ハイスピード)型と呼ばれる車両を導入。4月の全国的なダイヤ改正では、平均時速は従来の160km から200km(一部区間で250km)へ一気に引き上げられた。また、北京―広州間、北京―上海間などでも、CRH 型の高速走行が可能な列車が導入された。
スピードアップしたことにより、各路線の所要時間も当然、短くなってきている。たとえば北京―上海間(1463km)は、1997 年以前は約17 時間かかっていたが、現在は約10 時間に短縮されている。旅客にとっての利便性と輸送力の向上が経済全体にもたらす効果は大きい。
政府は2010 年までに、鉄道への投資額を現在の4倍に増やす計画だ。既に全長約1 万7000km の鉄道網を新たに敷設する計画が進行中で、ここでは時速300 ~ 350kmでの運行を目指している。さらに、北京―上海間には専用高速線を建設しており、2010 年の上海万博までには、同区間の所要時間は現在の半分の5時間程度になる見込みだ。
使い勝手や快適さも向上している。自動券売機を導入することで切符の買いやすさが改善された。車両のインテリアが良くなり、快適性も格段にアップした。主要都市間の運行では車内販売も行われるようになった。車内の清潔さも保たれるようになり、乗客のマナーも良くなってきている。
そのせいか、今年1- 8 月の鉄道旅客数は前年同期比6.9%増の約9 億1700 万人に上った(中国鉄道部の発表による)。
世界最長の高原列車や
リニアモーターカーも運行
開発は都市が集中する沿岸部だけではなく、内陸部でも徐々に強化されている。その象徴が06 年7 月に開通した青蔵鉄道だ。青蔵鉄道は、青海省の西寧とチベット自治区のラサを結ぶ全長1956km の路線で、世界で一番高いところを走る高原鉄道として知られる。海抜5000 m級のタンクラ峠を走る上、永久凍土を通る区間も約50km あるため、地盤変動対策がしっかり施されているほか、車内には酸素を補充する最先端の空調設備が整えられている。この鉄道の開通により、北京や上海などの大都市とラサが一本でつながった。
中国では、日本でもまだ導入に至っていないリニアモーターカー(上海トランスラピッド)が04 年から営業運転を開始している。上海浦東国際空港と上海市内をつなぎ、最高速431kmで運行している。ドイツの技術を導入したもので、常設実用線のリニアモーターカーとしてはイギリス、ドイツに続いて世界で3番目。現在、営業運行している鉄道では世界最速を誇る。
沿岸部の主要都市を拠点に、内陸部にもネットワークが広がり、充実しつつある中国の鉄道網。日本の新幹線、フランスのTGV、ドイツのICE などに並ぶ世界レベルの鉄道が整備される日も近いかもしれない。
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個人投資家向けセミナーイベント FJ資産運用サミット2008
【開催日程】 2008年2月2日(土)13:00~17:30 予定
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2008 01 12 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
【フィナンシャル ジャパン1月号】 第8回FJ投資クラブ
ライブドア・ショック以後、下落続きだった新興市場が息を吹き返している。だが、上昇相場のなかで急騰している
銘柄を買うと、“高値掴み”となってしまう危険性もある。
この点に気をつけながら、将来、飛躍的に伸びる可能性がある銘柄を選んで投資することにした。
構成= FJ編集部
マザーズの10連騰で低迷していた銘柄が復活
新興市場の代表的な指標であるマザーズ指数は、9月25日から10月9日まで10連騰した。これは2003年の算出開始以来、初めてのこと。この10営業日間の上昇率は実に40%を超えている。
FJ投資クラブが保有している「ACCESS」は、「欧州の携帯電話メーカー向けにソフトを提供する」との好材料から急騰の主役となった。20万円台前半だった9月の底値から、50万円超にまで一気に跳ね上がっている。
埋もれた有望銘柄を探せ
新興市場は活性化してきたものの、この流れが長期的に続くものなのか、それとも下げ過ぎた反動なのかはわからない。急騰している銘柄をあわてて買って失敗しないように、上昇相場から取り残された銘柄のなかで、これから大きく株価が上昇する可能性があるものに狙いを定めた。
まず、購入を決めたのが「日清食品」だ。現在は原料価格高騰に苦しんでいることや、国内需要が頭打ちであることなどから、株価は伸び悩んでいる。しかし、中国向けなど海外での販売に期待が持てると考えた。また、“モノ言う株主”として知られるスティール・パートナーズが17・97%( 10月末現在)の株式を保有していることも理由だ。同ファンドは6月のブルドックソース株主総会で買収防衛策の導入を防げなかったことから、日本からの撤退観測も出ていた。しかし、「日清食品」はその後買い増していたのだ。ブルドックソースと同じく、TOB(株式公開買い付け)を仕掛けることになれば株価が上昇することも考えられる。
次に注目したのは、フィルムメーカーの「KIMOTO(きもと)」。液晶部材用拡散フィルムや出力フィルムの不調から、08年3月期第1四半期は前年同四半期と比べ減益で株価も下落。コンスタントに利益を出し続けている企業にもかかわらず、PER(株価収益率)は東証1部平均の20倍弱を大きく下回る約10倍で、PBR(株価純資産倍率)も1倍割れで、解散価値のほうが高い。だが、そんな中でも、タッチパネル向けのハードコートフィルムの売り上げは、大きく増加している。米アップル社製の携帯オーディオプレイヤー「iPodtouch」のように、タッチパネル式の商品がヒットしている今、今後の需要拡大が見込めると判断した。
そして、ちょうど会合日に有機EL 技術の実用化を発表した「セイコーエプソン」を購入。液晶ディスプレイ事業の不振などから、株価は過去最安値水準にある。有機EL 事業が失敗してもそれほどリスクはなく、成功すれば大きなリターンが狙えると考えた。
「サンリオ」は、少子化でキャラクター商品の売り上げが低迷していることから、株価も昨年の高値から半値以下の水準まで落ちている。しかしここ数年、海外へ積極的に展開しており、売り上げを伸ばしている。女優のキャメロン・ディアスや歌手のマライア・キャリーも、“キティちゃんグッズ”を愛用しているという。キャラクタービジネスをけん引する存在になりうるとして、購入した。
また、「8月の下落相場中の上方修正が株価に織り込まれていない」として購入した「富士フイルムホールディングス」だが、このところの上昇相場で“織り込まれた”と判断して売却した。
今回購入した銘柄は、いずれもいつか大当たりが狙えるようなものばかり。株式ならではの攻めのポートフォリオを構築するために、こうした銘柄を今後も探していきたい。
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「FJ 投資クラブ」は、実体験から“投資のイロハ”を学ぶために設立された会員組織。「FJ プレミアム倶楽部会員」のなかから希望者を募り、2007年結成された。
2008 01 06 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
【フィナンシャル ジャパン1月号】 こんな投資はしちゃいけない! vol.26
小林亜由子 CIFA(日本IFA 認証機構認証)
仕事のミス、失恋。それが次の仕事や新たな恋に悪い影響を及ぼすことは、誰にでもあります。「またミスしたらどうしよう」「もう振られたくない」……。失敗は人を臆病にさせるもの。それは投資も同じです。
過去の失敗を気にしすぎて再び失敗したお客さまがいらっしゃいました。そのお客さまは、プラザ合意後の円高が進んだ時期に外貨を持っていて、大きな損失を出してしまったそうです。その体験が忘れられず、以後「為替リスクがある投資」に、過度に慎重になっていました。
90年代に入り、ある金融商品が発売されると、その方は目の色を変え、飛びつくように買われました。円建ての外国債券、いわゆる「サムライ債」です。“為替リスクなく”外国債券に投資できるとあって、よほど気に入られた様子。資産の8割をアルゼンチンのサムライ債で運用されていました。円建て債券では日本国債よりも金利が高くないと魅力がありません。そのため、アルゼンチンのように信用格付けが低く金利を高くせざるをえない新興国がサムライ債の発行体だったのです。ただ当時、新興国は好景気だったため「サムライ債は為替リスクがない安全な
商品」と“錯覚”されていました。
しかし、信用格付けが低い債券にはデフォルト(債務不履行)のリスクがつきまといます。それに、そもそも資産の8割を一つの商品に投じるような方法はオススメできません。
そこで私は危険性を訴えました。しかし、その方は為替変動で損をした痛手を引きずっておられました。いつの間にか、「為替リスクさえなければどれも優良な商品」と思い込み、信用リスクを軽視するようになっていたのです。その後、私が違う会社に移ったこともあり、資産運用のご相談を受ける機会がなくなったのですが、もし同じ運用方法を続けていたら、数年後のデフォルトで大変な目に遭われたことでしょう。
過去の経験は役立つこともありますが、こだわり過ぎてもいけません。失敗したら、原因を冷静に見極めること。投資する商品の現状やリスクを十分分析することが大切です
2008 01 05 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」1月号 巻頭企画
--リーダーの条件 安倍・小沢「投げ出し」騒動の本質
本宮ひろ志(漫画家)+伊藤達也(衆議院議員)+二宮清純(スポーツジャーナリスト)+木村 剛
「男」はどこに行ったのか
二宮 本宮作品の神髄は「男」ですよ。「男はかっこいい」ということが描かれている。僕はリーダーうんぬんの前に、なんだか「男」がいなくなったなと思うんです。
本宮 それは仕方がないんだよ。
二宮 そうなんですか(笑)。
本宮 仕方がないんだ。僕は1947年生まれです。うちのおふくろは僕と一緒に親父の悪口を言う。どういう意味かと言うと、つまり僕は母親の教育で育ったということです。
戦前までは明らかに男の教育です。「将来お前は軍人になれ。軍人がダメなら博士か大臣になれ」と言われた。その一方で女性は「それにかしずいて、いい子どもを産んで育てて、いい家庭を作れ」と教わる。でも戦争で負けて、結局、男が国をなくしちゃった。
だから戦後は女の教育です。男には「他人に迷惑をかけるな。優しい人間になれ」と。その一方で女性には「自立」を教えてきたんですから。
二宮 そうか。男を作らないような教育になっているわけですか。
本宮 そうそう。そういう教育を受けた僕たちの世代がさらに悪いんだ。つまり今度は、そういう子どもが子どもの「ノリ」で、自分たちの子どもを育てた。しかも男は仕事が忙しいと言って、教育放棄して、その場から逃げた。つまり、母親に育てられた強烈な女性が、一人で子育てしたわけ。さらに女の教育が行われた。これじゃあ、「男」なんて作りようがない。
リーダーはチャーミングであるべし
木村 スポーツ界にはリーダーらしいリーダーはいますか。
二宮 サッカーの川淵三郎氏(日本サッカー協会キャプテン)はリーダーだと思います。週刊誌なんかで「暴君」なんて書かれて、最近かなり批判されていますが、確かにあれは当たっている(笑)。でも、それ以上に川淵さんには勝負勘がある。
リーダーというのは、子分になった奴らが、「この人の下でケンカをやったら勝てるな」と思わせるような何かを持っているかどうかだと思うんです。
例えば「時期尚早だ」という批判を受けると川淵さんは「時期尚早だと言う奴は、100年経っても時期尚早だと言う」「前例がないと言う奴は、100年経っても前例がないと言う」と切り返す。「この人と何かを一緒に組んだら
面白いことができるんじゃないか」というものを見せてくれる。川淵さん以外にも、亡くなった仰木彬さん(プロ野球・オリックス・ブルーウェーブ元監督)も、面白かった。やることなすことチャーミングだった。「この人とだったら面白いことができる」「勝てそうな気がする」「なんか違う場所に連れて行ってくれる」みたいなものを持っている人がリーダーだと思います。要するに、人生の水先案内人ですね。
木村 福田首相はどうですか。「遊び」のあるチャーミングなリーダーですか。
伊藤 意外にね。福田さんなりのキャラがあるんじゃない(笑)。癒し系とはちょっと違うと思いますが、ここしばらく政治がガチャガチャしてしまったので、「もう少し落ち着いた政治をしてほしい」という声の中で誕生したリーダーだと思います。
しかし、これから先は福田さんの真価が問われます。いまの政治状況は、過去と照らし合わせても、やはり特異な状況なんです。つまり分断した政府というものが誕生したということです。衆議院の権力と参議院の権力というものが分断されていて、2つの権力が存在している。民意は「衆議院の権力と参議院の権力がよく話し合って、いい方向を導き出してくれ」ということを要求しています。
国民は自民党に対して「誠実に話し合う姿勢」を求める一方で、民主党に対しては、「法案に対する拒否権を握っているのだから責任感を持て対応しろ」という要求している。福田さんはそれに応えるためのリーダーとして誕生した、という感じがします。
本宮 今の日本は本当にバラバラでしょう。国家という概念や国民の意識も、まとまらなくなっていると思うんですよ。だから、テーマを細分化していかないと成り立たない。全部を一緒に考えていたら、どこに行けばいいのか、本当にわからなくなる。
『サラリーマン金太郎』はなぜ売れたのか
木村 そういうバラバラな時代だからこそ、多くの日本人がヒーローみたいなリーダーを求めていると思うんです。例えば『サラリーマン金太郎』がすごい人気になった背景には、そういうことがあると思うんです。それにしても、金
太郎はちょっとかっこよすぎませんか。
本宮 いや、あんなのが実際いたら、1週間もたないと思う。
全員 あはははは(笑)。
本宮 でもね、やはり「それってあってもいいじゃん」と思うんです。だから金太郎みたいな主人公を描く。ただし、テレビで言うところの視聴者に迎合してはダメです。確かに合わせたら人気は出る。だけど絶対にロングセラーにならない。だから、ちゃんと自分の中のハードルを越えたものを世の中に出さないといけないんです。それができていないと、絶対に自己嫌悪に陥る。
若い頃、野球作品を描いことがあるんです。スポーツをテーマにした作品と言えば、当時は『巨人の星』と『あしたのジョー』の2枚看板じゃないですか。本人としては、行き詰まってどうにもならなくなっているときに、その2作
品を抜いて、僕の作品が人気1位になった。でも本人としては自己嫌悪です。だから連載を「止めたい」と編集部に言った。そうしたら、編集長以下全員が僕のところにやって来て、「『あしたのジョー』と『巨人の星』を抜いて1位になったのに、なんで止めるんだ。お前は何を考えているんだ」と責めるんです。
でも僕は「ちょっと待ってほしい。あなたたちは、俺のこの作品が歴史に残ると思いますか」と反論した。仮に1位や2位が取れたとしても、『あしたのジョー』や『巨人の星』以上に名を残す作品になるわけがないと思ったからです。
木村 「読者に媚を売ってしまうとロングセラーにならない」ということは、先ほどの「遠くを見ていないと、まっすぐ走れない」というヨットレースの話と似ていますね。例えば媚びないということがリーダーの基本条件なんじゃな
いですか。
二宮 野球でいえば、メジャーリーグへの道を切り開いた野茂英雄なんかは一切媚びてないですよ。だからめちゃくちゃマスコミに叩かれた。野茂が渡ったアメリカは、勝ち組と負け組が入れ替わる社会です。今日の負け組が明日の勝ち組になり、その逆もある。しかし、私たちが住む日本では、格差社会の議論もそうですが、「一度落ちたらもうおしまい」みたいな話になっている。
人生なんて8勝7敗でいいじゃないですか。いや引き分けだったとしても、金星がひとつあればいい。みんながひとつの物差しで人生の価値を競い合おうとしている。だから格差という言葉に過剰反応してしまう。
そういう意味では安倍さんの「再チャレンジ」は、悪くなかったと思う。安倍さん自身も、今回は落ちたけれども、「もう1回俺はチャレンジする」と明確に意思表示したらいいと思います。
本宮 日本のテレビを筆頭とするメディアは次から次へといじめる相手を見つけては、自分こそ正義みたいにいじめるけれど、安倍さんはいじめる対象にならないぐらいにコケた。政治家として安倍さんは再登板を考えていると思いますか。
伊藤 うーん、再登板を考えて決断したというようには思えなかったですね。今回明らかになったことは、自民党の中でリーダーを選ぶ仕組みが、いままでとはだいぶ変わってしまったことだと思うんです。つまり、今までは派閥の激しい権力闘争を勝ち抜いた人間が総裁となり、総理大臣になった。タフなリーダーを作る仕組みがあったわけです。しかし小泉さんが「自民党をぶっ壊す」と言って、派閥の機能を低下させたことで、そういう競い合いの仕組みを失った。そこで登場した安倍さんには、何度も何度もチャレンジして権力を取りに行くとか、転んでもまた挑戦するとかいう気持ちはないんじゃないかな。
二宮 選挙の仕組みが小選挙区制になったことで、派閥の役割はほとんど終わったような気がするんですけど、今回の総裁選で、経世会の額賀福志郎さんは一度手を挙げたのに、結局出馬をとりやめて、福田支持に回りました。そして、気がついてみると財務大臣に留まっている。総裁候補としては、いささか物足りない感じがするん
ですが……。
伊藤 非常に答えにくい質問がきましたね(笑)。一番重要なことは、小選挙区制が導入されて10年が経ち、この制度がいよいよ定着したということです。ある意味では、政権交代が実現可能な時代に突入したということです。緊張感を持って民主党と競い合う体制を整えなければいけないのに、内向きなエネルギーしか働かない。旧来の発想で手をあげようとしても、天下を狙う流れは出来ません。だから福田さんは、単なる談合の中で誕生したリーダーではないですね。民意が対話を求める混迷した時期にふさわしい「知恵のあるリーダー」ということで選ばれたと思います。
福田vs.小沢のリーダー対決
木村 じつは福田さんはタフな人物だということですかね。では、タフで媚びないというのが仮にリーダーの条件だとしたら、民主党の小沢一郎代表はどうですか。
伊藤 鍛え抜かれていますよ。何度も修羅場をくぐり抜け、何度も失敗している。小沢さんは10回に1回、特大のホームランを打つんです。勝つ試合はめっぽう強いが、負ける試合はもうベタベタに負ける。今は逆バリ、逆バリで自民党の弱いところを徹底的に突いてきている。完全に小沢さんの勝ちパターンで攻めてきている。
正直に言って、敵ながら「アッパレ」だと思います。見事に構造改革の痛みを突いてきた。あの小沢さんが「生活者の立場に立って」って言うんですよ。新進党を作った時の小沢さんからは考えられないでしょう(笑)。
木村 新進党を作った当時の小沢さんは、どんなことを言っていたんですか。
伊藤 「日本は普通の国にならないといけない」と言っていました。タカ派的な強いリーダーのイメージがありました。ところが、今の小沢さんは「格差の中で傷ついた人たちに愛の手を差し伸べたい」「自分たちがそういうところに足を運び、その痛みを受け止めたうえで政治をやる」と訴え、参議院選挙を戦った。
本宮 でもね、小沢さんは細川政権のときに、何の前触れもなく「福祉目的税で7%だ」といきなり発表しちゃう人ですよ。ずっと後で振り返ってみたら、政局を荒らしただけの政治家にしか見えないかもしれない。あまり好きじゃないんだよね、僕は(笑)。田中派が108人とか、強いとか、言われたていたときに、小沢辰男さん(元厚生大臣)に世話になっていましてね。同じ小沢でも「いっちゃん」はただの若い衆にしか見えなかったな。
二宮 小沢さんがそこまで言っているんだから、自民党は西の横綱vs.東の横綱で勝負したほうがいいですよ。そう考えると、福田さんは大関ぐらいじゃないですか。やはり小泉さんが総裁として戻ってくる。その時が本当の“関ヶ原”でしょう。「大きな政府」vs.「小さな政府」とか、「官から民」vs.「官治政治」とか、対立軸をはっきりさせて、勝負したほうが国民にはわかりやすい。
僕は経済の専門家ではありませんが、中川秀直さん(元自民党幹事長)や竹中平蔵さん(元総務大臣)らの成長路線、財政規律重視の主張は、まだわかるんです。しかし、与謝野馨前幹事長や谷垣政調会長らの主張は“大きな政府”に戻るという意味に聞こえてしまう。これでは未来に大きなツケを残しますよ。同じ自民党なのに、これだけ意見が違っていていいのかと思います(笑)。
伊藤 それとまるっきり同じ構造が民主党にもあるんです。今後は政界再編が重要なテーマになると思います。
過去の「角福戦争」の再来のように言われて、田中角栄的な政治の小沢氏と福田首相のぶつかり合いに注目が集まっています。でも、本当はその先あるものが重要なんです。つまり、私たちのような中堅や若手が「修羅場をくぐれるのか」「勝負できるのか」ということが問われている。
木村 福田首相は対立軸を出すというよりは、対立軸を消す方向で対処していますね。今後はなんでも「丸飲み」でいくんですか。
伊藤 ボクシングのクリンチ作戦ね(笑)。
木村 「クリンチ」を繰り返す福田首相の指導の下で、日本はいい方向に進むんでしょうか。
伊藤 座談会の冒頭に、本宮さんが今の日本の政治状況を言い当てています。社会が非常に多元的になり、価値観が多様化した。そのなかで、二大政党制が本当に機能するのかということが問われています。こういう多元的な社会で、多様な価値観を政治の世界にうまく反映させるためには、もう少し比例代表制の比例の部分に重点を置くべきだと思うんです。
しかしその一方で、日本が直面している問題は、多様性のなかで解決するといよりも、まだ壊さなきゃいけない部分もあるし、戦わなければいけない部分がある。
例えば格差問題がそうです。アジアの中で、国際競争で負けたことが、格差の原因です。日本がアメリカのような競争社会になったから、格差が生まれたわけじゃない。これは国内問題ではないということです。
確かに「地方を救う」「弱者を守る」ことは正しい。しかし、国力が落ちていくなかで、果たして本当にそうできるのか。だから「できること」「できないこと」をはっきりと国民に言える政党や政治家、そしてリーダーが求められているんじゃないでしょうか。
木村 結局、銀次郎は強いから優しくなれるんですよね(笑)。優しくない人は絶対に強くなれないもの(笑)。
本宮 それは本当にそうだと思う。いつの時代でもそのままだよ。だから、さっき独裁者と言ったのも、根底には絶対的な正しさと優しさを持った独裁者ということですね。
木村 福田さんも小沢さんも、リーダーを目指す人たちには、まずは『硬派銀次郎』を読んで勉強してもらいましょう(笑)。
二宮 そう!、それが今日の座談会の結論ですね。
木村 皆さんお忙しい中、今日はどうもありがとうございました。
2008 01 03 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」1月号 巻頭企画
--リーダーの条件 安倍・小沢「投げ出し」騒動の本質
本宮ひろ志(漫画家)+伊藤達也(衆議院議員)+二宮清純(スポーツジャーナリスト)+木村 剛
「田中的な政治」を壊した男
木村 本宮さんが田中角栄と並んでリーダーの一人に挙げた小泉純一郎とはどういう人物ですか。
伊藤 田中角栄氏と別の意味で、小泉純一郎という人間は存在感のあるリーダーだったと思います。今話を聞いていて興味深いなと思ったのは、小泉氏の政治的なテーマが「田中的な政治」というものをぶち壊すという点にあったことですね。「経世会をもう粉々にする」ということに、非常に闘志を燃やしていたと思います。
木村 大嫌いだったわけですね。もう「政策もなにも関係ない」みたいな感じですか(笑)。
伊藤 それに「郵政民営化」という長年の目標を重ね合わせていったというのが小泉政治です。
木村 小泉首相は田中角栄氏のようなトップダウン型ですか。
伊藤 小泉さんは首相になってから、どんどん変わっていったと思います。就任当初は、誰も小泉純一郎という政治家がああいう感じでリーダーシップを発揮するとは思っていなかったと思います。
2001年の第19回参議院選挙で大勝した後、小泉首相は強烈なリーダーシップを発揮するのではないかと思われていましたが、不良債権処理問題にしても、特殊法人の廃止・合理化といった問題にしても、意外にリーダーシップを発揮しませんでした。その後1年間は、小泉批判がかなり噴出した。「戦略がない」「政策の順位がつけ
られない」「支えるチームがない」と言われ続けた。しかし、小泉首相は、そう批判に晒されながらも、戦い方を覚え、支えるチームも生まれ、郵政民営化に向けてひとつずつ着実に手を打ちながら、政局を回していった。
リーダーとしての小泉首相の最大の特徴は、テレビ時代のリーダーだということです。ワンフレーズ・ポリティクスに代表されるような、誰の目から見ても、非常にわかりやすい政治を展開した。テレビという装置を使い、見事なまでに悪者と戦う正義の味方というような単純な図式を作りだし、国民の支持を取りつけました。亀井静香氏(元建設大臣)や野中広務氏(元自民党幹事長)は、小泉首相の政策に反対する「悪者役」にピッタリとはまってしまい、改革派である小泉首相が真っ向から闘うというイメージが国民の間に広がった。「政治というものは面白いものなんだ」と、国民の関心と支持を獲得しながら、リーダーシップを発揮する。これまでの自民党にはない新しい政治のスタイルを確立しました。
本宮 例えば田中角栄さんは、どさくさに紛れて、「ちょっとオッサン」なんて言いながら、手で触れられるようなムードがあるんです。小泉さんも、触ったりできそうな雰囲気はありますか。「チョンチョンチョン」と指でつつけるみたいな……(笑)。
伊藤 そうですね。非常に愛嬌のある、チャーミングな人物ですよ。
アントニオ猪木と小泉首相の類似点
二宮 小泉首相の一番の発明品は「抵抗勢力」という言葉でしょう。「なんで世の中が変わらないんだ」という気持ちが国民の間に鬱積しているときに、「抵抗勢力」という言葉を持ち出し、仮想敵を目の前に出現させた。僕はそのとき、「アントニオ猪木の手法と一緒だ」と思った(笑)。
アントニオ猪木はタイガー・ジェット・シンとか、スタン・ハンセンとか、敵をいっぱい作って自分をベビーフェースに仕立て上げた。亀井さんなんか、サングラス掛けたら、悪役にぴったりじゃないですか(笑)。小泉首相も敵対する政治家たちをヒールとして「小泉劇場」に登場させた。実はアントニオ猪木のほうが、ゲンコツで殴ったりして、悪いことしているんですよ(笑)。しかし、外見からして相手のほうが悪役だから、反則が問題にならない。
僕は田中角栄氏と小泉純一郎氏はタイプが違うと思っています。田中氏は新潟から出てきて、敵と味方は分けたけれども、「お前らみんな、俺のところに来いや」みたいな親分タイプだった。一方で小泉氏は親分というよりも、維新の志士のような、ある種、革命家タイプだと思いました。
本宮 話は変わるんですが、僕は今、ヨットレースを題材とした作品を描いています。皆さんも知っていると思うけれども、「アメリカズカップ」という国際的なヨットレースがあります。この参加者は、それぞれの国の威信を賭けて
闘っている。まさに世界最高峰のヨットレースです。そういうところでの外国人連中の激しい競争を見ていると、ものすごいリーダーシップと強烈な意思がないと、絶対に勝てないと思う。
だから、日本人がそこで勝つためには、相当なものがないとダメだと思うんです。それを可能にするリーダーをどうやったら描けるかなという感じで悪戦苦闘しています。
取材のためにヨットを走らせることがありますが、遠くに目標を定めていないとまっすぐ走れない。目先の波とか風とかに合わせていたら、どこへ行くか、もうわからないんです。人間も一緒で、遠くに目標を持たないとまっすぐ
に進めない。それがわかっているはずなのに、人間という生きものは目先のことしか考えてないし、それに左右されすぎてしまう。僕に言わせれば、今の日本社会はそんな状態です。
二宮 『俺の空』だったと思うんですが、「砂漠のなかで、何もないところに立たされたときに、どっちに水があるか、わかる奴とわからない奴がいる」という話が出てきたんです。
名前は忘れましたが、インテリ的な男が「お前にはそれがわからない。安田一平にはそれがわかるんだ」と言われ、ショックを受けるんです。僕はそれを読んで「なるほど、そういうものなのか」と妙に感動した(笑)。
やはりリーダーは「先見力」ですよ。「こっちに行けば幸せになれる」というように先が読める人がリーダーになるんです。
本宮 本当の意味でのリーダーって、本気で10人を動かせる人間だと思うんです。それ以上の人数になると「組織」が出来てしまう。総理大臣も国会の決定がないと、何もできないじゃないですか。だから、本当は総理大臣はリーダーと呼べないかもしれないと思うときがある。
俺、政治家になるんだったら、独裁者以外になりたくない。
全員 あはははは(一同爆笑)。
本宮 政治というのは、本当は独裁体制でしかあり得ないと思いますよ。
木村 田中さんも小泉さんも独裁的だったということですか。
本宮 リーダーの匂いが極めて強く漂ってくるということでいえば、独裁的な面がすごく強かったんじゃないですか。
木村 そうなると、安倍さんはそれが足りなかったということですか。独裁的なムードはなかったですよね。
伊藤 「誠実」「いい人」という言葉に表れているように、安倍さんの人柄が前面に出ていたと思います。独裁的ではないけれども、自分のキャラクターを活かしたリーダー像を作り上げようとしたんだと思います。ただし、先ほどのヨットレースの話から考えれば、安倍首相は目先のことに捉われるのではなく、自分の理念を前面に出して、それを実現するための長距離砲を撃とうとした。理念型の政治家を目指したという点からも、や
はりリーダーだったと言えるんじゃないですかね。
木村 「憲法改正」や「教育」という、ものすごい長距離砲の弾を用意しましたね。
伊藤 しかし、いまの政治は足元を大切にしていないと、そこで足をすくわれてしまうんです。民主党の前原誠司氏が約1年半前に「メール事件」が原因で代表を辞任しました。その失敗と同じようなことが、安倍首相の周囲で起きてしまった。手柄争いや勇み足、問題解決力のなさ、百戦練磨の参謀を欠き、経験不足から、どんどん悪い方向に進んでしまった。それが非常に残念でした。
本宮 皆さんにとってリーダーらしい政治家って誰ですか。
二宮 僕はもし「好きな政治家を挙げろ」と言われたら、本宮さんが挙げた田中角栄と小泉純一郎の2人です。
「国土の均衡ある発展」を最大の政策目標にして、日本的社会主義体制を築いたのは田中角栄氏だと思います。そして、それをぶち壊したのが小泉純一郎氏ですよ。郵便局のネットワークを使った集票の仕組みも道路建設で地方にお金を落とす仕組みも、田中角栄が作ったものじゃないですか。小泉首相の「郵政民営化」や「道路公団民営化」とは、これらをぶち壊すことだった。しかし、確実に言えることは、この二人のエネルギーのすごさ。
「加藤の乱」が起きたとき、加藤紘一氏が死ぬ気で勝負をかけていたら、総理・総裁になっていたと、私は今でも思っています。でも勝負をかけきれなかった。砂漠の中で先が読めないインテリのように
見えた。
勝負どころで1歩を踏み出せるかどうか、踏み出してからの加速力がリーダーには必要なんです。恐らく加藤さんは頭がいいから、戦いながら票読みをして「これじゃあ、何票差で負けるじゃないか」と不安になり、最後の一歩
が踏み出せなかったんじゃないかな。その結果、派閥は分裂してしまい、総理大臣への道は断たれてしまった。負ける人間というのは、目先の足し算、引き算ばかりをやっている。
そんな時代にはなって欲しくないが、もしリーダーが「俺は戦争する」と決断したら、国民は戦争に駆り出される。それも、ある意味、その時代に生きた国民の運命ですが、悪いけれども、加藤さんや安倍さんと一緒に私は戦争がしたくない。きっと負けるから(笑)。
木村 確かに、良し悪しは別にして、リーダーにはエネルギーが必要だと思います。しかも内側に秘めたエネルギーじゃなくて、外から見てもわかるようなエネルギーを持っていないと、他人を引っ張っていくことはできない。
でも、安倍首相にそのエネルギーを感じたかというと、残念ながら、なかったように思う。「本宮世代」の人間としてはあまりに物足りない。『硬派銀次郎』にしても、『男一匹ガキ大将』にしても、本宮さんの作品の主人公にはエネルギーがある(笑)。
伊藤 安倍さんのことを語るには、与党の一員としては、まず最初にお詫びしたい。そのうえで、ぜひわかってほしいことは、1 年で判断するのはちょっと酷だったということです。小泉さんだって、1年目はもうボロボロに批判されていたんですから。
木村 でも、小泉さんは言われても辞めなかったじゃないですか。
伊藤 確かに小泉さんは、そこから道を開きました。意志あるところに自分の道と運を開いたと思います。しかし、安倍さんは参議院選挙での負け方がきつかった。
本宮 ボロ負けした原因はなんですか。
伊藤 国民との信頼関係を作ることに失敗したということだと思います。まず年金問題です。初動の対応がまずかった。あれほどの問題が起きたのに、「大丈夫だ」と言ってしまった。「あんなにひどい社会保険庁なんだから、きっとほかにも問題があるだろう」とみんなが思っているのに、「大丈夫だ」と簡単に言ってしまったため、逆に多くの国民が不安を感じた。そしてもう一つは、「この問題は民主党の菅さん(菅直人民主党代表代行。96年の第一次橋本内閣の厚生大臣)にも責任がある」と発言したことでしょう。あそこで安倍さんの誠実なイメージが傷ついたと思います。
二宮 そう!、それです。あれはリーダーが一番やっちゃいけないことです。あのとき僕は、ものすごくガッカリした。安倍さんは国のトップですよ。それを「菅さんも悪い」と責任転嫁した。あれはものすごく情けなかった。「すべ
ての責任は私にある。よって私がすべてを解決する」と言うべきだった。
伊藤 だから、安倍さんの誠実なリーダー像というのが完全に揺らいでしまった。そこに「政治とカネ」の問題が噴出した。さらに、「美しくない閣僚の発言」が出て、最後に「絆創膏大臣」でとどめを刺された(笑)。
国民の怒りは爆発して、参議院選挙は大敗です。
本宮 そういう理由で国の流れが決まっちゃうところが、日本とはじつに面白い国だと思う(笑)。でも、僕には「全部ブン投げて、その場からいなくなりたい」という安倍さんの気持ちもわかったなあ……(笑)。まあ、国民にして
みれば「ええっ」と驚くしかなかったけれどね(笑)。
しかし、田中角栄が作ったり、小泉純一郎が壊したりできたのは、「その時代だったから」という要素が強い。高度経済成長の時代に壊すことはできなかったし、成熟社会になった今だからこそ、小泉さんは壊すことができた。
逆に今の時代に作れる人がいたら、そいつは間違いなくリーダーです。しかし、安倍さんにはできなかった。
木村 安倍さんも一応作ろうとしたわけでしょう。
伊藤 作ろうとしました。
木村 でも、いったい何を作ろうとしたかは見えなかった。
伊藤 かれが用意した弾は長距離砲すぎました。「戦後レジームからの脱却」とか「美しい国」とか、国民の心に響かなかったということでしょう。だから、もう少し、みんなの心がつかめるようなテーマを設定したうえで、理想主義の旗を掲げるべきだったという感じはします。
本宮 でも、今の時代は理想的なアドバルーンを上げても、現実に目の前に流れている風や波があまりにも一定じゃないから、理想の旗を立てようがないと思うんです。「ネットカフェ難民」がいる一方で、「ITバブル長者」がい
るような時代でしょ。
くだらない話だけど、学生時代に全然モテない女の子が色気づいて化粧をし出すと、一斉に男が騙されて声を掛ける。女の子は声を掛けられるのが初めてだから、うれしくって、声を掛けてきた順についてっちゃう。これが「お化粧デビュー」(笑)。同じように男には「成金デビュー」というのがある。合コンばかりやっている「ヒルズ族」みたいなのがいるでしょ。彼らの話を聞いてみると「お前はれを自慢するのをやめろよ。金がなかったら誰もついて来ないぞ」と思う(笑)。
そんな彼らも新興企業のトップだったりするわけでしょ。一応リーダーということなんだろうけど、僕に言わせるとリーダーじゃないね。(続く)
2008 01 02 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」1月号 巻頭企画
--リーダーの条件 安倍・小沢「投げ出し」騒動の本質
本宮ひろ志(漫画家)+伊藤達也(衆議院議員)+二宮清純(スポーツジャーナリスト)+木村 剛
リーダーの資質が今問われている
木村 安倍晋三前首相の突然の辞任や防衛省の守屋武昌前事務次官の業者との癒着問題など、このところ国や組織のトップのあり方が問われるような問題が次々と起こっています。そこで今回は『男一匹ガキ大将』をはじめとする数々のヒット作品を世の中に送り出し、多くの若者に影響を与え続けている漫画家の本宮ひろ志さんと、小泉政権時代に金融担当大臣を務め、内閣総理大臣という日本の最高責任者を間近で見てきた自民党の伊藤達也議員、そして、小誌連載コラムでお馴染みの二宮清純さんと私の4人で、「リーダーの条件」について議論したいと思います。
まず、本宮さんをこの座談会に誘ってくれたのは二宮さんなんですが、どうして「リーダーの条件」について、本宮さんに話を聞こうと思ったんですか。
二宮 伊藤さんには本当に申し訳ないけれども、私の目には突然辞意を表明した安倍前首相の姿が、「敵前逃亡」に映ったんです。国会の代表質問の前に、いきなり「お腹の調子が悪くなった」と言って、緊急入院してしまった。国際的には国連総会にも行かなければならない大事な時期だった。「国益」「国益」とあれだけ繰り返し言っていた人物が、一番国益を損なっているじゃないかと思いました。おまけに「美しい国づくり」と言っていた人が、あまりにも「美しくない」引き際を見せてしまった。
そのとき私は「安倍首相は男じゃないな」と思いました。私たちの世代はいわば「本宮世代」じゃないですか(笑)。『男一匹ガキ大将』『俺の空』『硬派銀次郎』を読んで育った世代としては、本宮漫画に登場するような男気のあるリーダーが本当に少なくなったなと感じている。だから本宮さんがこうした現象を、どう見ているのか知りたかったんです。
本宮 今はね、リーダーにとって、極めて難しい時代だと思うんです。世の中の方向性がピンポイントで決まっていて、それがあらゆる方向に向いている。つまり、個人の価値観があまりにも多岐に分かれているでしょう。そうした時代にリーダーになるのは極めて難しい。
例えば、終戦直後は本当に簡単な時代だったと思うんです。「所得倍増で豊かになりましょう」ということで、みんなが一本にまとまることができた。そうすると、どんな人物がリーダーになっても、全体が一つの方向に向いているから、そんなに難しくなかった。ところが、今はあらゆる方向にみんなが向いている。
しかも、たいていの人たちは会社勤めのサラリーマンとして、生計を立てているじゃないですか。例えば、出版社で編集長というとリーダーですよね。でも、彼らのほとんどが、組織の中の部品の一つとしてしか育っていない。つまり、部品として育った人間が「ポン」とアタマを張っている状態なんです。残念なことに、彼らは全体を見ている感じがしないし、リーダーという顔つきもしていません。
政治の世界で言うと、明白な意思を持って、総理大臣という日本のトップの座を、自分が手にしたザルの中に強引に叩き落とすような方法で獲得したのは、田中角栄と小泉純一郎の2人しかいないと思うんです。安倍前首相にしても、今の福田康夫首相のお父さん(福田赳夫氏・第67代内閣総理大臣)にしても、みんな手にしたザルの中に勝手に落ちてくるのを待っていて、結果として総理大臣になったように見えるんです。
二宮 つまり、チャンスが転がり込むのを、策を弄しながら待っているだけだったと。
本宮 そうです。前に麻生太郎氏(前自民党幹事長)と話したことがあるんですが、「総理大臣になることは、ある目的を達成するための手段だ」と言っていた。その言葉を聞いたときは「麻生さんはきっと総理大臣になるな」と思った。でも麻生さんは、前回の総裁選のとき、無理をしてでも自分の手で総理のイスを取ろうとしなかった。
結局、安倍首相が誕生し、今の谷垣禎一政調会長のチャンスがなくなって、自然の流れから今回は麻生さんしかいないという雰囲気が出来ていたのに、結局、福田さんが総理大臣になった。やはり麻生さんには足りないものがあった。それは、自分の手で自分のザルの中に叩き落とさなかったことです。そこが田中角栄や小泉純一
郎という人物と大きく違う。
木村 政治家である伊藤さんから見て、田中角栄と小泉純一郎という人物は、やはり歴代の総理大臣と違いますか。
伊藤 うーん、僕は「ナマ角栄」を見てないから(笑)。田中首相については正直よくわからないんですが、小泉首相は実際に間近で見てきました。3回目の総裁選挙では、私は違う候補者を一生懸命に応援していましたから、敵方として、本宮さんや二宮さんが指摘する通り、「権力を奪い取るんだ」「自分の力で引き寄せるんだ」という、小泉さんの気迫を強烈に感じました。
木村 小泉首相は権力闘争が好きそうな雰囲気がありますよね。
伊藤 もう大好きかもしれないですよ(笑)。とにかく政局をいかに動かして、自分の悲願であった「郵政民営化」を実現するかということのために行動したという見方もできます。
木村 麻生氏は「落ちてくる」のを待っていた。一方の小泉首相は「俺が叩き落としてやる」という信念で行動した。そういったエネルギーの違いが、リーダーとしての条件なのでしょうか。
ナマ角栄の迫力にビックリ
本宮 落ちてくるのを待つのと、無理やり叩き落とすのとでは、ものすごく違うと思うんです。エネルギーと集中力において、比較にならないぐらいの差がある。僕は昔、「ナマ角栄」に会ったことがあるんですよ。
取材のために4時間ぐらい話をしました。びっくりしたのは「わしは総理大臣をやったことがあるんだぞ。お前だって知ってんだろう」と、会うなり僕にこう言うんです。
全員 あははは!(爆笑)
二宮 そりゃ、誰だって知っていますよ(笑)
本宮 それと「お前は敵か、味方か」みたいなことを言うんです。「お前みたいなのが敵に回っても、俺は怖くもなんともないんだ」といきなり言われました。しかも、平気な顔をして大声で言うんです。病院の待合室みたいなところの奥から、あのオヤジのデカいだみ声が響きわたるわけです。もう秘密なんかあるわけないですね、あの人は(笑)。
ちょうど土光敏夫さんが臨調(臨時行政調査会)をやっていた時代ですから中曽根政権の頃です。僕が訪ねたときは、台風が日本列島を直撃した直後で、部屋に入ると田中さんは電話中だった。建設省(当時)だと思うんですが、役所に電話している。「おお、わかった!じゃあ水道止めなくていいんだな!」なんて言っているわけです。「すいません、水道を止めるのを決めるのは田中さんなんですか?」と尋ねると「俺が決めている」と答えるんです(笑)。
二宮 水道の開け閉めまで決めていたんですか(笑)。僕は田中角栄氏を題材にした「大いなる完」という本宮さんの作品を読みました。確か、本宮さんは新自由クラブ(当時)の田川誠一氏も取材されていますよね。ロッキード事件で田中角栄氏が逮捕され、いわゆる「政治とカネ」という政治倫理が重要課題になっていたときに「田中的な政治ではダメだ」と田川氏は主張していた。
その作品の中で、今でも印象に残っているのは、それは田中角栄氏をモチーフにした人物のオーラのすごさと田川氏をモチーフにした人物の「言ってることは正しいけれど、人間としては面白くない」というような「器の違い」が描かれていたことです。
本宮 それは僕が言ったんじゃない。田中さんが言ったんだ(笑)。実は田川さんを取材したことを田中さんに伝えたら、「ああいうピーチクパーチクきれいごとを言ってる人間は気楽でいいやな」と田中さんが言うんです(笑)。
僕は連載の中で、それをそのまま描くわけです。すると今度はそれを見た田川さんが激怒して、「国会の代表質問のときに、君の漫画のことを質問しようと思ったぐらいだ」と僕に文句を言ってくるんです。
全員 へーっ(笑)
本宮 国会で取り上げられたら、ある種とんでもない宣伝になるし、僕は名誉なことだと思ったけれど、「お前はあの刑事被告人の田中角栄を持ち上げて、その言い分を全国の子供たちに読ませるとは何事だ」と、田川さんから長文の「お叱り」の手紙をいただきました。でも僕は、「子どもたちは純粋な、きれいな水の中で育っているわけじゃない。泥水だって世の中だし、それをそのまま伝えるのが自分の仕事だ」という返事をした。
しかし、今改めて思い返すと、田中角栄というあのオヤジは、やはり「天然」のすごい人物でしたが、正直に言うと、うまく会話ができなかった。
二宮 どういうことですか。会話ができないというのは。
本宮 田中さんは話し出したら、1人で喋りまくるんですよ、一方的に。それで会話するコツを教わった。当時はもう朝からオールド・パーを飲んでいたんですが、秘書から「ウイスキーを口に入れたときに質問しろ」とレクチャーを受けたんです(笑)。
飲み終わった瞬間に、こっちの質問が終わってもいないのに、バラバラバラバラーッと答えだすんですよ(笑)。
あの当時、田中さんとまともに会話ができたのは、おそらく真紀子さん(現衆議院議員・無所属)とお孫さんぐらいじゃないかな。僕はそのとき「この人とは会話ができないな」と思いました。その後、僕は竹下登(第74代内
閣総理大臣)さんにも会いました。パーティの席で、竹下さんは僕の顔を見て「君が本宮君か」と話しかけてきた。そのとき僕は「この人についていこう」というような気持ちになっちゃった(笑)。
田中さんとはまったく会話ができなかったけれど、竹下さんは「君が本宮くんか」というぐらいだから、少なくとも僕のことを知っているわけじゃないですか。
木村 つまり、竹下さんが本宮さんの作品を読んでいたということですよね。
本宮 しかも、僕を見ながらニコーッと笑ったんです。竹下さんは田中派内の勉強会として創政会を結成していましたが、その後、中間派を取り込んで経世会という自分の派閥を立ち上げるでしょう。田中さんの決定に、ほかの人たちは一切口をはさめなかった。ところが竹下さんはああいうタイプだったから、みんなは「彼を立てれば自分たちも意見が言える」と思ったんですよ。だから、一斉に竹下さんについて行った。経世会発足のニュースを聞いたとき、そう思いました。(続く)
2008 01 01 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」1月号 特集 資産防衛最前線 傾向と対策 より
藤巻 健史氏(フジマキ・ジャパン 代表)
インフレは過去の産物か?
―― なぜインフレに警鐘を?
インフレの要因はさまざまだが、いくつかの基本的なパターンがある。まず景気が良く、需要が供給を上回る場合。もうひとつは原材料価格が上昇して製品の製造コストが上昇したり、賃金が上昇してサービスを供給するためのコストが上昇したりする場合だ。
足元を見る限りモノ余りの構造は変わっていないし、賃金の上昇も鈍い。さらに、多くの日本人は、バブル崩壊後の15年間に、あまりにも長い経済の低迷期を経験したために、このような理由で起こるインフレなど、すっかり過去のものになったと信じて疑わない。
ただし忘れてはならないのは、貨幣価値の下落によりインフレが生じる可能性だ。足元のインフレ指数が落ち着いているとはいえ、日銀が超金融緩和を長期化しているので、国内はすでにおカネがジャブジャブの状態。仮に景気が悪くても、貨幣価値が下落すれば物価は上がる。この場合、一般物価の上昇に4~5年先だって生じレを作らざるを得ない。ただし、これは財政破綻の次に最悪の政策。本来は、同じ価値の貯蔵手段であるのに、土地とか株を持っている人は大儲けをするが、現金を持っている人は大損してしまうという「不公正」が起こる。社会的
な「不公平」「不公正」が起こるわけだ。
――ハイパーインフレはいつ起きるのか?
私は決して近い将来にハイパーインフレが来ると予想しているわけではなく、今すぐそれを回避する手段を打つべきだと主張している。日本人として、このような最悪の事態が訪れる前に、賢明な手段が取られることを望んでいる。
ただし今は、そのための青写真すら描けていないのが実情であり、実際にはほとんど選択肢がない。歳出削減と消費税増税の具体的なスケジュールすら決められず、一方ではこれをやり過ぎると景気が失速するというジレンマにも直面する。
ハイパーインフレという最悪の事態を回避する次善の策が、“穏やかな資産インフレ政策”だ。急激な資産インフレによるバブル崩壊は「いつか来た道」であり、過ちを繰り返さないためには、あくまでも“穏やか”であることが必
要だ。これに緩やかな歳出削減と増税を組み合わせるのが、現実的な選択肢だろう。財政赤字問題は、日本の“アキレス腱”。この行方が、日本の将来を左右する最も重要なポイントになる。残されているのは、インフレが“穏やか”か“急激か”の二者択一だ。
―― 政府も本音ではインフレを避けられないと思っている?
2011年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)が黒字化したところで、本質的な問題の解決にはならない。こんなものは、言葉の遊びにすぎない。ところが今はそれすら実現が危ぶまれており、不毛な成長率論争が繰り広げられている。
「最後はインフレ政策を取る以外に、ほかに解決策があるなら教えてよ」というのが政府の本音だろう。政治家は、今の財政赤字問題を自分の家計にたとえてみればよい。自分の任期を無事に乗り切るためだけの、長期的な視座に立たるのが、地価や株価の上昇が引き起こす資産インフレだ。資産インフレがもたらす「資産効果」は需
給を引き締めるので、巡り巡ってインフレ指数を押し上げる効果がある。
―― 財政赤字も将来のインフレ要因?
貨幣価値の下落は、日本の膨大な財政赤字とも深く関与している。財政赤字問題の解消へ向けて、さまざまな議論が行われているが、これだけ赤字額が膨大になると奇手奇策はない。
仮に赤字の解消が進まず、現在830兆円の国債発行残高が、むしろ900兆円、1000兆円へと膨らむようなことがあれば、インフレによって借金の実質的な価値を減らすよりほかに手段はないだろう。またこの場合、為替レートは理論上、円安に進む。
緩やかなインフレ + 歳出削減 + 増税が現実的
―― 政府がハイパーインフレによって借金を棒引きする?
万端尽きた後の最後の手段として、国は人為的にハイパーインフレを作らざるを得ない。ただし、これは財政破綻の次に最悪の政策。本来は、同じ価値の貯蔵手段であるのに、土地とか株を持っている人は大儲けをするが、現金を持っている人は大損してしまうという「不公正」が起こる。社会的な「不公平」「不公正」が起こるわけだ。
――ハイパーインフレはいつ起きるのか?
私は決して近い将来にハイパーインフレが来ると予想しているわけではなく、今すぐそれを回避する手段を打つべきだと主張している。日本人として、このような最悪の事態が訪れる前に、賢明な手段が取られることを望んでいる。
ただし今は、そのための青写真すら描けていないのが実情であり、実際にはほとんど選択肢がない。歳出削減と消費税増税の具体的なスケジュールすら決められず、一方ではこれをやり過ぎると景気が失速するというジレンマにも直面する。
ハイパーインフレという最悪の事態を回避する次善の策が、“穏やかな資産インフレ政策”だ。急激な資産インフレによるバブル崩壊は「いつか来た道」であり、過ちを繰り返さないためには、あくまでも“穏やか”であることが必
要だ。これに緩やかな歳出削減と増税を組み合わせるのが、現実的な選択肢だろう。財政赤字問題は、日本の“アキレス腱”。この行方が、日本の将来を左右する最も重要なポイントになる。残されているのは、インフレが“穏やか”か“急激か”の二者択一だ。
―― 政府も本音ではインフレを避けられないと思っている?
2011年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)が黒字化したところで、本質的な問題の解決にはならない。こんなものは、言葉の遊びにすぎない。ところが今はそれすら実現が危ぶまれており、不毛な成長率論争が繰り広げられている。
「最後はインフレ政策を取る以外に、ほかに解決策があるなら教えてよ」というのが政府の本音だろう。政治家は、今の財政赤字問題を自分の家計にたとえてみればよい。自分の任期を無事に乗り切るためだけの、長期的な視座に立たない無責任な議論などできないはずだ。
現預金は本当に安全か?
――インフレに備えるためにはどのような資産運用が望ましい?
私は個人的にも資産を運用するのと同時に、海外や日本の投資家に助言をする機会がある。その際には、「長期固定でおカネを借りるだけ借りて、日本の不動産を買ったらどうですか」「日本株、それとアメリカの株を買ってはどうですか」「外貨建て商品を買ってみたらどうですか」「債券、特に日本の国債を売ってみてはどうですか」と提案している。
資産インフレによって、不動産価格が上昇するのは言うまでもない。企業はインフレで売上高が増える。また、たいていの企業は借金をしており、インフレで実質的に借金が目減りするので株もよい。不動産価格の上昇で、不動産を多く保有している企業の株価はさらに上昇する。
日本でインレになるということは、円の価値が下がり、外貨の価値が上がることを意味している。その意味では、ドル資産を含む外貨建て資産も魅力的だ。
また将来、国内市場だけでは国債を消化しきれなくなったときに、長期金利は外国人投資家にとって魅力的な水準まで上昇せざるを得ない。そうでないと誰も日本国債など買ってくれない。したがって、今のように金利が低い水準では、国債への投資はお勧めできない。
―― しかし日本の個人金融資産は圧倒的に現預金が多い。
確かに日本人は個人金融資産1550兆円の半分以上を現金・預金で持っている。これは皆が、現預金が「安全資産」だと信じているからだ。デフレの時代には確かにそうであり、面倒な投資を行うよりもはるかに楽だった。
しかし、もし本当に大変なインフレになったら、現預金は安全資産ではなくなる。それどころか、一番の「リスク資産」になるかもしれない。たとえば汗水流して100万円貯めて、老後を迎える。ものすごいインフレが来て、仮に
タクシーの初乗り料金が100万円になったとする。こうなると一番危ないのが現金だ。100万円は価値がなくなったに等しく、ほとんど“紙っぺら”になってしまう。何が「安全資産」なのかは、その時代によって異なると考える
べきだ。
―― 日本人はリスク回避的?
そもそも日本人は、リスクシナリオにとらわれる性向が強い。さらに、バブル崩壊の“トラウマ”がまだ根強いことと、マスコミの報道にリスクを強調するバイアスがかかっていることも影響していると思う。
―― マスコミのバイアスとは?
最近の例でいえば、「サブプライム問題の影響はまだまだ続く」という類の報道は、欧米のマスコミ報道とは対照的。これは、「どうしてもそれをリスクと結び付けたい」という、日本人の性向を反映している。日本の報道はともすれば一方的になりやすく、国民はこれに流されやすい。
「貯蓄から投資へ」は本源的問題
――「貯蓄から投資へ」という掛け声が実現につながらないが。
貯蓄から投資へという流れは投資家のためでもあるが、同時に社会のためでもある。リスクマネーのない日本社会は、いずれ沈滞するしかないことを知るべきだ。「日本人が、これからも日本で働き続けることができるのか」という、より本源的な問題だ。日本に仕事がなければ、いずれは海外に出稼
ぎにいくよりほかなくなる。
―― 日本の株式市場が低迷している。
リスクにばかり目がいき、世界の株式市場が最高値圏にいる現実が見えていない。この事実に気がつけば日本の株式市場も上昇するだろうし、再び円相場が円安に振れれば、これを好感したラリーに入るだろう。
―― 不動産相場に過熱感は?
まったく感じていない。現状は1980年代後半のようなバブルではないし、あのときのような投機的な相場ではない。また、アメリカの不動産市場の上昇も、決してバブルではないとみている。相場の上昇スピードは程度の問題であり、すべてをバブルという言葉で片づけてしまうのは安易な思考停止だ。
――「長期固定でおカネを借りてでも投資を」という発想は大胆。
これは個々人の考え方にもよるし、その人の置かれた環境によっても異なる。ただし私は、「国と同じポートフォリオを持っていればチャンスは大きい」と考えている。“個人”対“国”がガチンコ勝負をすれば、間違いなく国が勝
つ。財政赤字解消へ向けた妙案がない以上、国はインフレ誘導の誘惑を振り切れない。だから私も「長期固定でおカネを借り」、「そのおカネで土地、株と外貨建て商品を買う」。つまり「インフレ対応型のポートフォリオ」を構築しているのだ。
2007 12 31 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 1月号掲載
連載コラム―次の一手 (マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏)
巨大食品のブームがくると、数年前、『日経レストラン』誌のインタビューで答えたら、飲食関連のアナリストから「健康志向がますます高まる中、そんなことなどあるはずがない」とバカにされた。しかし、このところ、それが次々に実証されている。
一時期、苦境に陥っていた日本マクドナルドホールディングスが、2007年に入り毎月、前年同月比15%近くの伸びを示し、売り上げも過去最高を更新し、黒字転換するなど絶好調である。その救世主となったのが、07年1月に限定販売でスタートした、牛肉パティ(ハンバーグ)を4枚はさんだ特大ハンバーガー「メガマック」(税込み330円~380円、754kcal)だ。「メガマック」に続けとばかり、ほかの食品にも、《メガフード》(超どデカい食品)が、続々登場している。江崎グリコの「ハッピープッチンプリン」は通常の約3.6倍の大きさ。森永乳業の「おおきいうれしいヨーグルト」は240グラムもある。ファミリーマートは通常の1.6倍の「メガハンバーグ弁当」を発売。セブンーイレブン・ジャパンからは重さが380グラムもある「がっつりプリン&チョコパフェ」。サークルKサンクスは通常の2.8
倍の重量の「大きなおむすび!」。エーエム・ピーエム・ジャパンは「『ドカ盛り』フェア」と銘打ち、600グラムを超えるスパゲティや特大サンドイッチ、通常の2.5倍の重量のチーズケーキなどをリリース。
そして、これぞ、《メガフード》の真打登場と話題を呼んでいるのが、10月16日に、牛丼チェーン「すき家」が発売した「メガ牛丼」(650円~680円)である。その牛肉の量は通常の並盛の3倍。カロリーは何と1286kcal。2時
間ジョギングを続けないと消費できない熱量だ。どの店でも、普通のサラリーマンが喜々として注文し、紅しょうがや七味など薬味やカレーなどのトッピングを載せてガッツリと完食している。
なぜ、《メガフード》ブーム到来を予測したのかというと、物事には作用と反作用があるからだ。メタボ(内臓脂肪)対策など、日々、ここまで世の中の健康志向が高まると、逆に「腹一杯食べたい」という欲望のマグマが鬱
うっせき積する。また、健康に関する情報があふれかえる中で、逆に“キャラが立つ”(キャラクターが際立つ)ので、マスコミも取り上げ、口コミにも乗りやすい。
もちろん、体育会系の学生でもなければ、実際、それだけのカロリーを摂取する必要のある人などいない。つまり、そのモノ自体を消費する“モノの消費”ではなく、「食べたコトがある」という“コトの消費”、換言すれば“体験消費”の一つなのだとも言える。そこに、今やテレビで見ない日がない、大食い女性タレントの「ギャル曽根」の人気も拍車をかけている。
流通や食品業界は、長らく健康志向の食品の開発に力を入れてきたが、調査でも量にこだわる顧客が意外に多いことも明らかになってきた。また、1品当たりの単価が上がるので、少しでも売り上げを伸ばしたい各社にとっては魅力的な商品でもあるのだ。《メガフード》がさらに進化を遂げ、テラ、ギガと進み、「テラマック」「ギガ牛丼」も登場しそうな勢いである。
人の行く裏に道あり、花の山。
2007 12 30 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 1月号掲載
連載コラム―ミクロを変える経済 財部誠一氏(経済ジャーナリスト)
ベトナム取材への出発前日に書いている。ベトナムはBRICs に続く、成長期待の高い国として注目されている。一般的には、中国の人件費が高騰した結果、人件費の低いベトナムが相対的に魅力を増してきたということになる。
しかし、実際にベトナムに生産拠点を構築した日本企業のなかには、中国へのヘッジとしてベトナムを利用しているケースが少なくないようだ。中国での生産活動が軌道に乗っている会社であっても、中国経済の先行きになんらかの不安を覚えている企業は少なくない。そこで中国国内にもう一つ新たな工場を設立するなら、リスク分散の意味からも、ベトナムに進出したほうがいいのではないかという判断だ。
実際ベトナムは中国と国境を接する隣国であり、昔から中国とさかんに交易をしてきた歴史をもつ。つまり、中国の国内市場をあてにして中国国内で生産している会社でも、ベトナムに新たに生産拠点を設けても、そこから中国への輸出はわけもないということだ。
また、ベトナムというと、日本人は「小さな国」というイメージをもっているようだが、ベトナムは意外に大きい。ベトナムの人口はじつに8000 万人を超えている。つまり、人件費の安い生産拠点としてばかりではなく、消費市場としてもベトナムはなかなか魅力的だ。現時点では中間層はまだまだ育っておらず、ホーチミンやハノイなどの大都市の金持ちが消費の中心だが、中間層が育ってくるのも時間の問題だろう。
それにしても日本国内における予備取材の段階では、ベトナムはとにかく評判がよろしい。BRICs とは比較にならない。なんといってもベトナム人は日本人と相性がいいというのが、ベトナムを知る人たちの圧倒的多数を形成している。真面目で勤勉、向上心が高く、礼儀正しく、なおかつ親切だというのである。それが本当なら、中国人やインド人やロシア人とは随分と違う。
さらにいえば「食事が美味い」という声もあちこちから飛び込んでくる。有名なベトナム料理といえば「フォー」と呼ばれる平打ち麺だ。これぞベトナムの国民食といってもいいくらいの代表的な料理である。その「フォー」の即席
麺を日本のエースコックがベトナムで販売している。インスタントラーメンでは、日本は世界のさきがけだから「エースコックがベトナムで即席麺を売っている」と聞いてもさほど驚きはしない。
だがエースコックが即席フォーでベトナム市場の7割をおさえていると聞いたら、どうだろう。外国企業であるエースコックが国民食「フォー」をおさえてしまったのである。他人の国にいって、圧倒的なシェアを勝ち取り、確実に
収益を上げていくのは、並大抵のことではできない。一体どこに秘密があるのか。ぜひこの秘密をさぐってきたいと考えている。
もう一つ確かめたいことがある。ベトナムの若者の向上心だ。夕方5時、仕事を終えた若者たちのバイクで道路は大渋滞になるが、彼らの多くはそのまま帰宅せず、語学や法律などの専門学校に通うという。その授業が終わる午後9時頃、再び道路が大渋滞。「アジアでもっとも頑張る若者」は本当か。自分の目で確かめてみたい。
2007 12 29 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」1月号掲載
【会社法がわかれば商売がわかる!】 (中央大学法科大学院教授 野村 修也)
社外取締役を選任する上場企業が増えている。
会社法上、委員会設置会社を選択するためには、最低2名の社外取締役が必要である。また、監査役設置会社の場合でも、特別取締役制度を採用するためには、少なくとも1名の社外取締役を選任しなければならない。
特別取締役制度とは、取締役が6名以上いる会社において、3名以上の取締役をあらかじめ特別取締役に任命しておく制度である。会社が重要な財産を処分したり、多額の借財をする場合には、取締役会の承認が必要であるが、これら2つの事項については急を要することが多いため、特別取締役の過半数が出席し、その過半数の賛成を得れば、取締役会の決議があったものとして扱われる仕組みだ。取締役の数が多い会社では、急いで取締役会を招集しようと思っても、なかなか定足数を確保できないことから、それに対処するために設けられた制度である。
また、事前警告型買収防衛策の導入に際して、防衛策の発動の是非を評価するための第三者委員会のメンバーを、社外取締役として選任する動きもある。事前警告型の買収防衛策は、有事になって発行する新株予約権の適法性を高めるために、防衛策の導入時に株主総会の承認を得るのが一般的傾向となっている。議決権の3分の2以上の賛成票を集められるのであれば、定款変更を行うことも考えられるが、過半数の票集めで精一杯のときには、一工夫が必要となる。いわゆる宣言的決議という形で、法的根拠を持たない承認決議を行うことも考えられるが、防衛策の導入に伴う第三者委員会の設置を前提として、そのメンバーの候補者を社外取締役として選任する方法をとれば、過半数による選任決議をもって防衛策導入の承認決議とみることが可能となる。
さらに、諸外国の証券取引所では、その上場規則の中で、経営者から独立した取締役(独立取締役という。必ずしも「社外」取締役である必要はないが、社外取締役であっても独立性がなければ要件を満たさない)の割合等について規定を設ける場合もある。
例えば、ニューヨーク証券取引所は、指名、報酬、監査の各委員会の構成員は独立取締役のみによって構成されることと、取締役会の過半数が独立取締役であることを義務付けている。これを受けて、東京証券取引所も同様のルールの必要性について検討を行っている(今年3月27日に公表された、「上場制度整備懇談会の中間報告」参照)。
社外取締役が増加した背景には、おそらくこうした様々な事情が横たわっているのだろう。しかし、これらはいずれも、委員会設置会社や特別取締役制度の採用、買収防衛策の安定的な導入、海外市場での上場など、他の目的を実現するための手段として、社外取締役が活用されているにすぎない。他の目的を実現するための条件を整えるだけであれば、極端な言い方をすれば、社外の者なら誰でもいいということになりかねない。しかし、経営者としての知識と経験を有する者に、しがらみのない積極的提言と、耳の痛い箴言を期待するのであれば、それなりの人物を招かねばならないはずである。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「未確認○○を追え! 」
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/071219/071219mag_ufo.html
社外取締役を選任している上場企業の中で、そのこと自体に積極的意義を見出している会社はどのぐらいあるのだろうか。現状からすれば、社外取締役の増加は、実を伴わない水膨れに見えるのは、私だけだろうか。
2007 12 23 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」12月号掲載
――伯楽諫言 木村 剛
10月31日、日本銀行は、2008年度の消費者物価指数が前年比+0.4%になると予測したリポートを公表した。国内企業物価指数の前年比でみれば、07年度に+2 .0%になった後、08年度にも+1.0%を記録するとい
う見通しになっている。
確かに、デフレ的なムードは薄れている。私たちの身の回りを見回せば、価格の変化が起きつつあることに気が付くだろう。
原油相場は、誰も予想していなかった1バレル100ドル近辺にまで暴騰し、ガソリンは1リットル150円台に乗せてきた。石油を原料とした化学製品も着実に値上がりしている。
食品業界は、値上げラッシュだ。食用油、マヨネーズ、カレーやシチューのルー、即席麺、パスタ、食パン、ポテトチップ、ハム、ソーセージ、ちくわ、かまぼこ、冷凍ギョーザ、ツナ缶、コーン缶、生みそ、ジュース、ビール、ワインなど10~20年ぶりの価格引き上げが相次ぎ、メーカー側は10~20%の価格上昇を目論んでいる。
広島名物の「紅葉まんじゅう」も18年ぶりに値上げされた。あなたの馴染みのラーメン屋でも値上げがあるかもしれない。
年末年始にかけては、タクシーや電気・ガス料金が値上げされる予定だし、ティッシュやトイレットペーパーも値段が上がりそうだ。食品のラップ材やコーヒーチェーン店でも値上げ機運が高まっており、クリーニングの代金や航空運賃、トラック運賃にも波及する可能性がある。
無論、消費不振に直面している小売業界が、そのまま素直に値上げを受け入れるとは考えがたく、素直に値上げが反映されるまでには紆余曲折があるだろう。ただ、それにしても、デフレが喧伝されていた「失われた10年」の頃と比べれば、潮目は大きく変わったと認識すべきだ。
そういう状況下、福田首相は、11月初めに、消費者重視の視点で、すべての政策や法令を見直し、年内に緊急対策をまとめるよう指示したが、これは中長期的に価格押し上げ要因になるだろう。
というのは、霞が関から出てくる案は、多くの場合、業者に責任を押し付けるだけの代物だからだ。その結果、実態を無視した規制強化に終わりがちだ。
現在の風潮の下であれば、消費者重視というお題目を掲げながら、「消費者過保護=業者責任の過剰強化」という方向に世の中は進んでいくだろう。コンプライアンス強化によるコストアップが消費者への価格転嫁という結果に終わる公算が高い。
物価の上昇は、金融資産の価値を確実に毀損する。1%の物価上昇は、あなたの銀行預金の価値を1%損なうことになる。このダメージは軽視できない。
わが国の名目GDP(国内総生産)は510兆円だが、個人金融資産はその約3倍の1555兆円もある。達観して言えば、物価上昇1%のダメージをカバーするためには、名目成長率3%のアップが必要になる計算だ。
冒頭で紹介した日銀リポートによれば、08年度の実質GDP前年比は+2.1%にすぎない。その半分近くは、物価上昇による金融資産の価値減少によって相殺されてしまう可能性がある。
経済環境の変化に動じないようにするためには、いまのうちから物価上昇に備えたポートフォリオを組んでおいたほうがよさそうだ。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「未確認○○を追え! 」
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2007 12 22 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「このままでは日本経済の先行きは真っ暗です」。基調講演『年金はどうなる』で、FJ発行人である木村剛は約350人の聴衆に語りかけた。
FJ資産運用サミット2007 パネルディスカッション
三原淳雄 経済評論家
山崎 元 楽天証券経済研究所客員研究員
木村 剛 フィナンシャル ジャパン発行人
日本経済は一見すると好調だ。それなのに、なぜ危機意識を持つのだろう。「統計を点検すると、その実情はどうもおかしいのです」。そして変調の兆しを次々に紹介した。賃金は上がっていない。百貨店やスーパーの1軒当たり売上高は前年割れが続いている。
民需の柱のひとつである住宅建設の動向を示す新設住宅着工件数は8月に前年同月比でマイナス40%となっ
た。2005年に明かるみに出た耐震強度偽装事件の影響で、建築基準法が今年6月に改正され、規制が強化された。「審査の厳格化」の名目で、各自治体によるマンションなどの建設認可が下りにくくなっている。
また、貸金業法の改正で、貸出金利が規制されノンバンクによる融資が縮小。中小企業が資金繰りに困り、倒産は増加傾向にある。「役人による規制で経済がおかしくなった。これは『人災』です」と、木村は話した。
経済の変調に加えて、私たちは老後の不安に直面している。記録漏れや横領など、年金をめぐる問題が噴出しているのに、国も政治家も高齢社会のグランドデザインを示せない。高齢化が急速に進み、このまま行くと年金制度が成り立たないのは明らかだ。「霞が関の方々と話してわかったことがひとつだけあります。彼らは自分たち
の組織を守ることしか考えていないということです」。 こうした時代の自衛策は何か。「円建て資産だけに投資することは、日本経済のリスクをすべて背負うことになります」「成長する会社を見つけ、資産の一部を株式投資の形でゆだねることが必要です」という2つを木村は強調した。
変化をつかまえる「合理的へそまがり」たれ
パネルディスカッション「個人投資家のための投資戦略」では、経済評論家の三原淳雄氏、楽天証券経済研究所の山崎元客員研究員に木村剛が迫った。
8月にアメリカのサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題が表面化して、それをきっかけに日本の株式市場が下落した。山崎氏は「根の深い問題で影響はしばらく続く」と指摘するが、同時に「日本株をすぐに売る地合いではない」と分析。企業の好業績に支えられた日本の株価は割高でないと見切るためだ。
一方、三原氏はチャンスが訪れたと強調した。「1959年から私は株式市場を見ていますが、この程度の混乱は10年に1度起こるもの。天からのプレゼントと思って、相場につられて下がった優良企業の株を買いましょうよ」。
そして松下幸之助や、本田宗一郎などの名経営者に惚れ込んで株を買い続けた投資家がいたことを紹介しながら、「信じられる経営者と出会い長い付き合いをする。こうした本物の投資家が、資産を殖やせる」と投資の秘訣を語った。
両氏が気にしたのは、日本株の元気のなさだ。サブプライムローン問題で、アメリカ株は10%程度しか下落していない。一方、日本株は一時約20%以上も下がった。「東京市場は『ローカルマーケット』化しつつあり、外国人投資家の売買に左右された」と山崎氏は分析する。三原氏は「『金もうけはけしからん』という政府や社会の偏見が、今になって弊害として表れている」と憂いた。
それでは日本以外への投資をどのように考えるべきか。両氏ともこれを「分散の手段」として重視していた。「日本以外の国の持つ『成長の可能性』を資産の中に組み込む一手段」と山崎氏は話し、そして手数料の安い各国株のETF(上場投資信託)を勧めた。
三原氏は、日本の敗戦により家族がそれまで暮らしていた旧満州(現在の中国東北部)から、無一文になって帰国した経験を話しながら、「資産をある程度持つ人は、保全を考えなければなりません。各国への分散投資はその有効な手段です」と強調した。
個人投資家に向けたメッセージでは、山崎氏は「『合理的へそまがり』であってほしい」と話した。考え抜いた上で、世間一般の声やおかしな情報に惑わされないようにしながら投資をすれば、株式市場での成功をつかめるかもしれないという。「植木鉢を家庭菜園に、そして畑にする。こんな感覚でじっくり資産を育ててください」。
三原氏は社会に変化が起こったとき、それに委縮せずにチャンスに変えた企業の株が何度も「大化け」した例を見てきたという。「隠れたチャンスを見つけ出し、投資で自分のものにして下さい」と話した。
安易に儲けることなどできない。2人の率直な提言は、多くの参加者に強い印象を残したようだ。
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個人投資家向けセミナーイベント FJ資産運用サミット2008
【開催日程】 2008年2月2日(土)13:00~17:30 予定
【会場】六本木アカデミーヒルズ49(六本木ヒルズ森タワー49F)
【講演】「投資戦略の発想法2008」 木村 剛
【トークセッション】「長期投資の哲学(仮)」 スコット・キャロン氏 いちごアセットマネジメント 社長 ほか
※ 個人投資家向け企業IRもあります。
※ 参加無料です。↓お申し込みはこちらから
http://www.financialjapan.co.jp/summit/
2007 12 16 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
苦悩続きの百貨店業界が動く
売り上げが減少し続ける百貨店業界がいま、経営統合ラッシュだ。
老舗百貨店がプライドを捨て、消費の呼び込みに躍起になっている。
“攻めの再編”が始まった。
10年連続売り上げが減少し続ける百貨店業界
大丸と松坂屋ホールディングスが9月、「J・フロントリテイリング」を設立した。阪急百貨店と阪神百貨店は10月に経営統合し、「エイチ・ツー・オーリテイリング」としてスタートした。来年4月には、三越と伊勢丹が持ち株会社「三越伊勢丹ホールディングス」を立ち上げる。百貨店業界では生き残りをかけた再編が進んでいる。
日本百貨店協会によると、全国の百貨店の売上高は2006年度で、ピークだった1991年度と比べて80%に落ちた。97年度からは10年連続で前年割れ。苦境に立たされている。
今年に入って数字は若干上向いてはいる。07年上半期(1─6月)の売上高は、前年同期に比べ0.6%増と10年ぶりにプラスに転じた。8月単月では、前年同月比1.4%増加している。だが、これは中元商戦の前倒しや猛暑という一時的な要因によるもの。明らかな好転の兆しとはまだいえない。
百貨店業界に詳しいジャーナリストの溝上幸伸氏は、相次ぐ再編を“攻めの再編”とみている。「売り上げが下がったから統合しているのではない。むしろチャンスととらえている」と分析する。中でも販売・管理システムで成功している伊勢丹と大丸は、統合を機にそれぞれの長所を活かせる場が拡大することになる。
「売れる商品」を売り場に伊勢丹が成功した理由
伊勢丹が成功している理由は商品の単品管理だ。百貨店では従来、商品をロット(製造時の最小製造数単位)で注文する。同じ商品でもサイズや色ごとに注文するわけではない。
だが、伊勢丹は売れ筋の「サイズ」「色」を限定して注文を出す方式に変えた。たとえばシャツだ。ほかの百貨店では、「100枚」などのロット単位で一括して注文するため、たとえ一部のサイズや色ばかり売れたとしても、100枚が全部なくならない限り、新たな注文は出せなかった。結果として、売り場や倉庫には、売れないサイズ・色の商品が残ることになる。
伊勢丹はそこを改善した。注文単位が小さくなるため、たしかに手間がかかる。しかし、売れ筋のサイズ・色の商品を効率よく出せるようになった。消費者がそのとき一番「買いたい」と思っている商品を売り場に供給できるこのシステム。当然、不良在庫を減らすこともできた。溝上氏は「伊勢丹は、このシステムに自信がついたので、三越で試したいと考えたのです」と語る。
現場管理で成功した大丸サービス力で売る高島屋
接客の効率化で成功したのが大丸だ。多くの百貨店では、社員が在庫管理などの裏方の仕事をし、アルバイトが販売を担当していた。大丸はこれを入れ替え、売り場を強化したのだ。社員が担当することで接客の質は上がった。また、たとえば接客に時間がかかる靴売り場で、希望のサイズを倉庫に取りにいく時間を考慮に入れて人員配置をするなどし、販売員が客と接する時間を増やした。同時に待ち時間を減らして顧客満足度を高めることに成功した。この方式は、統合する松坂屋にも導入される。松坂屋が持つ一等地、銀座の店舗を再開発することで、統合効果が期待できそうだ。
統合が相次ぐなか、わが道を行くのは高島屋だ。単独で売上高1兆円規模を誇る高島屋は、「ベテランの力」を活かして質を高め、サービス力で売る。「従業員個々人が持つ能力の高さが、ほかの百貨店にはないところ」と溝上氏は話す。
03年に西武百貨店とそごうの持ち株会社として設立された「ミレニアムリテイリング」は不採算店舗を閉鎖、スリム化が進んでいるところだ。
統合の成否を分けるもの
三越や松坂屋の老舗百貨店は景気が落ち込んだときもブランド力に甘んじて販売システムを強化しないままだった。しかし、腰が重かった老舗もようやく動き出した。百貨店業界は大きな変革の時期を迎えている。
インターネットショップの出現やスーパーが高級イメージを打ち出した店舗を展開するなど、従来、百貨店を利用していた客層にとっても、商品購入のチャンネルは多様化している。百貨店の敵は百貨店だけではない。
また、消費者の目も厳しくなっている。「目の肥えた消費者に買ってもらうには、販売力を強化しないと生き残れない」と溝上氏は言う。そんな時代だからこそ、統合を単に「商品入荷ルートの統合「コストの削減」に終わらせていてはいけない。百貨店の強みである「信用力」や「ブランド力」、「豊富な品ぞろえ」や「接客サービス」をさらに強化した上で、新しい商品や手法を取り入れる必要がある。それが実現できるかどうかが、経営統合の成否を分ける。
2007 12 09 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」12月号掲載
――伯楽諫言 木村 剛
サブプライムローン」という言葉が徘徊している。言うまでもなく、焦げ付きが問題となった米国における低所得者層向けの住宅ローンのことである。
このサブプライムローンが証券化された投資商品を購入した銀行やヘッジファンドが多額の損失を被ったことが市場の疑心暗鬼を生んだために、信用供与が円滑に行われなくなった。英国では取り付け騒ぎまで起こっている。
もっとも、サブプライムローンの残高自体は、昨年末時点で約1・3兆ドルだから、160兆円程度の規模の話。1 割がデフォルト(債務不履行)したとしても、金融システムを揺るがすほど巨額ではない。無論、この問題の要諦
は、その損失金額自体なのではなく、損失を誰が被ったかわからないということによる心理的な抑制効果―― そのことによる信用収縮効果――にあるため、楽観視できないことは言うまでもない。
ただ、皮肉を込めて言えば、米国におけるサブプライムローン問題を憂う余裕があるのなら、日本におけるサブプライムローン問題を懸念したほうがいいと思う。
この十数年間、日本の銀行は、住宅ローンをひたすら提供し続けてきた。さらに詳細に言えば、変動金利―― 金利水準によって変動する返済金利――の住宅ローンを競って売ってきた。残高は182兆円もある。もっとも、それらは普通の個人に対するプライムローンであり、米国で問題となっているような低所得層向けのサブプライムローンではない。
とはいえ、もし、日本のプライムローンが米国のサブプライムローン並みにデフォルトする可能性が高まるとすればどうだろう。182兆円のプライムローンは、一挙に不安の種になりかねない。
というのは、この住宅ローンの大半が、変動金利型だからだ。日本では、金利上昇局面において、変動金利の住宅ローンがこれほど多かった時期は過去にない。住宅金融公庫による35年の長期ローンが主力だったからだ。
そして、日本では年収の5~6倍という、海外では考えられないレバレッジをかけている。中には、年収300万円の若者に、3000万円を貸すケースすらあるから、「サブプライム」的な要素を多分にはらんでいる。
そういう状況下で、もし金利が本格的に上昇し始めたら、目も当てられない。ほとんどの住宅ローンの借り手は、金利上昇を織り込んだ返済計画を立てたことがないからだ。大幅に金利が上がれば、阿鼻叫喚の地獄絵図が待っている。ちなみに、この10月に主要行は変動型金利を1年ぶりに0・25%引き上げて2・875 %とした。この金利水準は、約12年ぶりの高さである。
貸付残高で見ると変動金利型の住宅ローンは、2006 年9月末時点で住宅ローン全体の34・5%。加えて、固
定金利期間選択型2年物――2 年後に金利水準の調整を行うタイプ――が9・5 %。固定金利期間選択型3年物が27・5%を占めている。つまり、2 ~3 年の間に、住宅ローンを抱えているほとんどの人が金利上昇の洗礼を受ける可能性があるわけだ。
このインパクトは、米国のサブプライムローン並みの威力はある。米国を心配する暇があるのなら、近い将来発生し得る日本版サブプライムローン問題を大いに懸念しておくべきなのである。
ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「物価と金利のターニングポイント」
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/071205/071205mag_turn.html
2007 12 08 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」12月号掲載
――消費の現場で何か起きているのか
JR有楽町駅を降り、中央口から銀座方面に歩くと、東京交通会館の横にそびえ立つ新しい商業施設「有楽町イトシア」が見える。これを横目に首都高速をくぐると、おなじみの「プランタン銀座」と新顔の「マロニエゲート」が見
える。間の銀座マロニエ通りを抜ければ、松屋や三越などの百貨店が並ぶ中央通りに行き当たる。
「有楽町イトシア」は10月12日オープン。地上20階、地下1階(店舗部分)で10階以上はオフィスゾーン。商業スペースの核は1~8階の「有楽町マルイ」。隣のイトシアプラザには、映画館やレストランなどが入居する。
一方の「マロニエゲート」は9月1日、プランタン銀座の並びにオープン。地上12階、地下1階(店舗部分)で、セレクトショップや東急ハンズの銀座店など33店舗が入る。上層3階はレストランフロアで、フランス三ツ星シェフが手がける「ブラッスリー ポール・ボキューズ銀座」も入っている。
「プランタン銀座」は9月14日、リニューアルオープンした。開店前にもかかわらず、女性を中心に約700人が列を作った。リニューアルで本館(地下2階、地上7階)とモード館(地上5階、地下1階)のほとんどが様変わりした。改装後の目玉は本館地下の食料品売り場と5階のファッションフロアだ。食料品売り場は、従来の「デパ地下」のイメージと違い、スイーツとワインの店が主体。32店のうち21店がスイーツを扱っている。5階のファッションフロアに(=右下写真)は、銀座地域初進出の「セシルマクビー」をはじめ、「スライ」「アッシュ&ダイヤモンド」などの人気ブランドが軒を連ねた。これらは渋谷を中心とした、10代から20代向けのファッションというイメージだが、店舗や商品は“銀座仕様”。渋谷の雰囲気をそのまま持ち込んではいない。
プランタン銀座のターゲットはずっと変わらず20代~30代のOL。「手が届かない海外ブランド」ではなく、「通勤にも使える、働く女性の必需品」を並べてきた。丸井の進出を意識しないわけにはいかない。広報の村上薫氏もその点は認める一方で「有楽町・銀座を訪れるお客さまにとっては、(複数のビルを)回遊できることになる。マグネット力(人を吸い寄せる力)が強化される」と歓迎してもいる。
店が増えることは買い物客にとっては喜ばしいこと。有楽町は「銀座はちょっと敷居が高い」という若い世代が“銀座の持つ大人の雰囲気も楽しみながらリーズナブルな価格で買い物ができる”魅力的なエリアに進化している。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「利権横行は防衛省だけではない?!」
東京地検特捜部は防衛省の守屋前事務次官を収賄容疑で逮捕した。
利権が横行しているのは本当に防衛省だけだろうか
ほかの官庁でも随意契約で国民の税金を無駄に使っているではないか。
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/071128/071128mag_mori86.html
2007 12 02 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 12月号掲載
連載コラム―ミクロを変える経済 財部誠一氏(経済ジャーナリスト)
人口減少社会に突入することの恐怖が噴出している。
年金不安は社会保険庁の「ガバナビリティ」のなさではなく、人口が右肩上がりに増えていく時代に設計された制度が、もはや立ち行かなくなってしまった現実を、多くの国民は肌で感じ取ってしまったことにある。参議院選挙の民主党大躍進の背景は、21ある1人区で民主党が自民党を圧倒したことだった。
1人区とは、農業以外にこれといった産業のない地域である。日本の農業はいま危機に瀕している。農水省によれば、農業従事者のうち65歳以上の人が占める割合は2005年度ですでに58・6%だという。全人口に占める割合が20・1%であることを考えると、日本の農業がすでに「超高齢化」時代に突入していることは明らかである。このまま何もしなければ、あと10年で農業の担い手が半分になってしまう。戦慄が走る現実だ。
ところが日本社会では、人口減少社会の恐怖が実感を持って理解されない。なかでもことにひどいのが「景気」。所得格差や地域間格差によって景気回復実感がないという叫び声が日本中にあふれていることを、私は誰よりも強く認識している。しかしいかに不都合なものであっても、事実は事実として、まず受け入れなければなら
ない。
景気は劇的に回復しているという現実から、目を背けてはいけない。それが不幸の始まりなのだ。景気が回復していないから、格差が生じているわけでは断じてない。景気が回復していないから、所得が増えないわけでない。
この5年、日本経済は2%強の経済成長を続けてきた。10%以上の成長率を誇った「いざなぎ景気」と比較して、2%程度の経済成長など取るに足りない景気回復だという悪口を繰り返すテレビキャスターもいる。だがそれは大間違いで、GDP(国内総生産)が500兆円になった日本経済が2%程度の経済成長を5年以上も継続したのは、立派な経済成長である。少なくとも、ひねくれたり、さげすんだりされなければならない「数字」ではない。だが、回復実感がないという人があふれかえっているのは、なぜか。そこには年金や農業と同じバックグラウンドがある。人口減少社会に突入し、普通にしていれば国内経済は成長しないという現実を目の前にして、多くの大企業は海外に活路を求めた。ヒト、モノ、カネ。経営資源は日本国内ではなく、海外に投資をすることで、大企業は劇的な業績回復を達成したのである。
5、6年後には「07年頃の景気は絶好調だったね」と振り返らなければならない時がくるかもしれない。いわばビジネスを展開していく足元の地盤そのものが変動していることを前提とせず、言葉だけで「格差」を唱えたところで、不満のもとになっている現実は解消されない。長い時間軸で日本経済を眺めながら、自分の足元を見直すべき時がきているのである。
先月、テレビ朝日系列の「サンデープロジェクト」で三菱商事の特集を2週連続で放送したが、総合商社の劇的な業績回復は、こうした環境変化に対して、従来のビジネスモデルを大きく転換させた結果以外の何物でもなかった。次回以降で、詳述する。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「利権横行は防衛省だけではない?!」
東京地検特捜部は防衛省の守屋前事務次官を収賄容疑で逮捕した。
利権が横行しているのは本当に防衛省だけだろうか
ほかの官庁でも随意契約で国民の税金を無駄に使っているではないか。
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/071128/071128mag_mori86.html
2007 12 01 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」12月号掲載
【会社法がわかれば商売がわかる!】 (中央大学法科大学院教授 野村 修也)
東証マザーズに上場している「モック」による株式併合が、ビジネス法務の世界で話題になっている。
去る9月7日、同社は、自社の発行済株式について10株を1株とする「株式併合」を行った上で、大量の新株予約権を特定のファンドに有利発行すると発表した。これにより、同社の株主である約8400名のうち、10株未満の株式を保有する約8割の株主(約6700人)が株主権を失い、現金で締め出されることになる。そのため、かかる手法の正当性をめぐってさまざまな議論が展開されているわけだ。
株式併合の結果、1株に満たない端数が生じた場合には、端数は会社の手によって競売等の方法で一括売却され、端数の保有者にその売却代金が分配される仕組みになる。したがって、10株を1株にするといった大掛かりな株式併合が行われる場合には、かなりの株主が株主権を失い、端数の売却代金を渡されて締め出される結果
となる。
同社の発行済株式数は13万4 263株なので、併合後は、1万3423株となる一方、ファンドによって新株予約権がすべて行使された場合には、40万株の株式が新たに発行されることになる。つまり、発行済株式数の約30倍の株式を特定のファンドが保有することになるわけだ。この際、1株を取得するために払うべき新株予約権の行使価格は1万5000円であるため、本件計画を公表する前(株式併合前)の株価(8700円)を10倍にした額の8万7000円に比べて、約83%も安い価格で1株を手に入れることができる計算になる。
株主の締め出しは、現金を対価とする組織再編行為(交付金合併など)によっても起こりうるが、その場合には、反対株主に株式買取請求権が付与される点に留意する必要がある。それに対し、本件のような株式併合を用いたスキームでは、反対株主の株式買取請求権は認められない。この違いは、締め出し後に、会社の株価が上昇
するような場合に顕在化する。端数売却の場合には、売却時の市場価格が基準となるために、将来の株価上昇の見込み分は、締め出される株主に分配されない。組織再編行為の場合も、株式の市場価格を基準としたフェア・バリューで対価が計算されるため、その限りでは、将来シナジーの分配は行われにくいが、その額に不満がある株主は、株式買取請求権を行使することで、将来シナジーを考慮した公正な価格での買い取りを請求できる形になる。
こうした点に配慮して、良識的なビジネス・ロイヤーの多くは、株式併合による締め出しを「禁じ手」と考えてきた。その代わりに、手続きは面倒であるが、全部取得条項付種類株式を用いる方法が使われてきたわけである。すなわち、定款変更によって会社を種類株式発行会社に変更した上で、既存株式を全部取得条項付種類株式にする定款変更を行い、さらに株主総会の特別決議によって全部取得条項付種類株式を全部取得するわけだが、その対価として出資単位の大きい株式を用いることで、少数派株主の株式を端数にして売却するというスキームだ。この方法によれば、全部取得条項付種類株式への変更に際し、反対株主には株式買取請求権が付与されることになる。
しかし、9月末に行われたモックの株主総会は、この「禁じ手」を承認してしまった。法律家の良識が問われる出来事であった。
2007 11 25 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 12月号掲載
こんな投資はしちゃいけない! (文=河村 光昭 CIFA)
資産運用で大事なことは、「どの商品に投資するか」だと言われます。しかし私はそれ以上に、「どういう気持ちで投資するか」が重要と考えています。
ある年配のお客さまの話です。彼女の主な運用方法は株式投資で、気に入った会社の株を売買しておられました。株価が少し値上がりするとすぐ売却する反面、値下がりしても損切りせず、そのまま持ち続けたり買い増したりしていました。さらに下がると「もういいや」と半分あきらめ、塩漬けにしていました。こんな運用方法を続けた結果、彼女の損失は1億円にも達していました。私がアドバイスする以前のことです。
これは彼女に限った話ではないでしょう。ノーベル経済学賞を受賞した米国プリンストン大学のダニエル・カーネマン教授は、“損失回避的な行動”が珍しくないことを科学的に証明しました。「人は利益が出ているときは将来のリスクを避けようとし、損をしているときは実現損を出すことを恐れてリスクを取る傾向にある」と主張したのです。
資産運用を長期にわたって続けるためには、一時の感情に惑わされて合理的な選択ができなくなることがないよう、しっかりとしたルールを作っておくことが欠かせません。つまり、「どういうときに利益を確定するのか、もしくは損切りするのか」というルールです。
ご紹介したお客さまも、実はルールを決めていました。しかし、「感情に惑わされて」守ることができなかったのです。
そこで私は、“日々の株価の動きに心が惑わされないような”ポートフォリオの構築を提案しました。世界各国の株式と債券に分散投資することで、世界経済の成長に応じたリターンが得られると同時に、リスクも分散できます。たしかに、自分が気に入った会社の株を大量に買って大儲けするという可能性はなくなりました。しかし、日々の値動きに惑わされることは、もうありません。
資産運用で成功するには、自分の心をコントロールすることが何よりも大事なのです。
2007 11 24 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 12月号掲載
連載コラム―次の一手 (マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏)
銀座社交料飲協会(GSK)副会長の奥澤健二氏(クラブ「ロートレック」社長)は、「最近、銀座に素敵な女性が増えているんですよ」と目を細める。TOKYO MXテレビの番組「銀座ONE」で司会を務める銀座評論家の堂満謙三氏も、「このところ銀座の高級クラブで、ドンペリやローランペリエなど高級シャンパンの売り上げがバブル期を超えるほど伸びている」と言う。「グレ」、「麻衣子」、「サードフロアー」、「フレイア」など高級クラブはウイークデーでも常に満席。いまや華やかな銀座が復活、「銀座アゲイン」状態となっている。事実、昨今では昼も夜も銀座が再び活況を呈している。
2007年に入り、銀座の公示地価が、1993年以来、14年ぶりに坪1億円の大台を突破。日本一となったのは山野楽器銀座本店前の坪1億98万円で、バブル期のピークだった91年の水準の79%にまで上昇した。
また、ティファニーが、銀座の日本における旗艦店の土地とビルを約380億5千万円、山野楽器前を超える坪約1億8千万円でゴールドマン・サックスに売却したのも記憶に新しい。ティファニーは、96年から同所を賃借して営業を開始。03年、336・9坪の3階建ての店舗と土地を約165億円で購入し、たった4年で2.3倍もの価格で売却した。同社は、いわゆる「セールス&リースバック」方式で、売却先と長期リース契約を結び営業を続けている。サブプライム問題で不動産取引が鎮静化している米英を尻目に、今のところ銀座では、まだリバブル(再バブル)
が収まりそうにない。ここ3~4年で、銀座の商業店舗の賃料も急激に高騰している。銀座4、5丁目付近のビルの1階では、ひと月坪20万~25万円という物件も珍しくない。中央通り、晴海通り、並木通り、銀座マロニエ通り沿いでは、12万円以上が相場となっている。
「銀座アゲイン」は高級クラブの繁盛や地価上昇だけにとどまらない。新たな施設のオープンラッシュが起こっているのだ。近頃、銀座周辺で一番変化が激しいのは、JR有楽町駅から西銀座にかけてのエリアである。春にゴージャスな商業施設「銀座ベルビア館」が完成したと思ったら、秋になって変化の勢いが加速してきた。9月1日、「マロニエゲート」が開業し、その中に「東急ハンズ」が銀座地域初出店。9月14日には、「プランタン銀座」が2
0億円を投じて創業以来の大改装を行いオープン。10月12日には、「有楽町マルイ」が開業。しかも8割は今まで銀座・有楽町になかった店だ。
一方、数寄屋橋から徒歩圏内の、その昔、往年のスターたちが集った「日活国際ホテル」があった地に最高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」が、9月1日オープン。近くの「帝国ホテル」は、サーベラス・キャピタル・マネジメント傘下の国際興業が持つ株式39・58%の内、33・16%を三井不動産が約862億円弱で取得。周辺の再開発に拍車がかかりそうだ。
今、日本一の繁華街、銀座では、「グレーター銀座」「大銀座」とも呼ぶべき、従来の銀座を超えた拡大拡張現象が起こっている。中心部の地価や賃料はもうすぐ天井だろうが、①エリア②顧客層③価格帯の3つの点でレンジを広げつつ、銀座は成長を続けている。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「コンプライアンス不況と日本株」
このところ日本の株式相場がさえない。
世界の株価指数は定義にもより数多くあるが、
90種類くらいで見てみると、年初来上昇率の比較で、
日経平均は80位近くと最下ランクである。
その原因としてサブプライム問題による国際的な信用収縮を心配する向きがあるが
それよりも日本国内の信用収縮を私は心配している。
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/071114/071114mag_comp84.html
2007 11 18 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 12月号掲載
――失礼ながらその投資本では儲かりません
タイトルだけで、良書と悪書を見分けることは難しい。もっとも、ケバケバしい売り文句で儲け心をくすぐるようなタイトルの場合、悪書である可能性が高いものだ。
そういう先入観でみると、『現役プライベート・バンカーの5年後にお金持ちになる資産運用』(フォレスト出版)についても、「怪しい」と決めつけてしまいがちだが、意外に良書だったのでビックリした。
ほかの書籍の場合、「現役プライべート・バンカー」と銘打っている場合、裏で契約している筋悪のプライベートバンクもどきの会社の電話番号を巻末に明記して、後で紹介料をキックバックしてもらうという類の悪質な本が少なくない。
また、「5年後にお金持ち」というキャッチコピーを用いている場合、むやみやたらとリスキーな商品を勧めたり、できもしない神業のような売買手法を紹介しているものだ。
それらの悪書と比べれば、本書は良心的である。人は見掛けによらぬものというが、本も見掛けによらぬものということなのだろう。
まず、“金融商品には、何かウルトラC というか、「儲けるための裏技のようなものがあるのではないか」「密かな掘り出し物があるのではないか」と思っている人も多いのです。ですが、それは幻想にすぎません”と釘を刺してから本題に入っている。
デイトレーディングに関しても、“「デイトレーダーとして生きていきたいと思うが、どう思うか」という相談がいくつもあります。そんなとき、私は一言、「そんな馬鹿なことはおやめなさい」といいます。私は素人が株をやっても儲けるのは難しいと思います”とやんわりと諭し、〝「相場の動きは、基本的に誰もわかりません。プロにもわかりません」〟という基本スタンスで書いていることは共感できる。
特に、第2章の「意外と知らない『人気金融商品のリスク』」という部分は、味わって読んでいただきたい部分だ。
「金融機関だけが儲かる『外貨預金』」の部分では、“私は外貨預金はやりません。外貨建てMMFとの比較で税制面でも不利になります。加えて定期預金でないと利率は悪いし、定期預金にすると換金性も悪くなります”と断言。「絶対に買ってはいけない『日本国債』」のところも必読だろう。投資信託に興味のある方は、「買う価値はない!『元本保証型投信』」や「大人気の『毎月分配型投信』はどうなのか?」を熟読すべきだと思われる。
中でも、“問題の多い日本の『REIT』”において、筆者が“不動産投資はリスクをともなうため、10%以下の商品
ではリスクに見合わない”と断言し、“今後は人口が減少していく中で不動産の賃料が下がり、空室率も上がっていくでしょうから、配当は下がっていくでしょう”とか、“関係会社が多すぎるのが日本のREITの特徴です。各社が手数料を取るわけですから、関係会社が多いということはそれだけで投資家は不利になります”と説明した上で、“投資家に売れない不良物件を潜り込ませている商品もあります”と警告した部分は特筆しておきたい。
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『現役プライベート・バンカーの5年後にお金持ちになる資産運用』
前田和彦(著) フォレスト出版
オール紀伊國屋月別経済書ベストセラーランキング2007年9月 35位
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「コンプライアンス不況と日本株」
このところ日本の株式相場がさえない。
世界の株価指数は定義にもより数多くあるが、
90種類くらいで見てみると、年初来上昇率の比較で、
日経平均は80位近くと最下ランクである。
その原因としてサブプライム問題による国際的な信用収縮を心配する向きがあるが
それよりも日本国内の信用収縮を私は心配している。
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
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2007 11 17 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 11月号掲載
第2特集 昇る中国 中国が日本を超える日より
あまりにも急激な発展を遂げた中国は、「今後さらに成長できるのか」「発展により生じた、都市と地方の格差問題をどうするか」という課題に直面している。その解決策として期待されているのが、「汎珠江デルタ経済圏」構想だ。さらなる成長を牽引し、格差問題を解決するか
外資誘致策が成功
中国南部を流れ、香港とマカオの間を抜けて南シナ海に注ぐ河・珠江。その肥沃な河口地帯「珠江デルタ」は、世界中から製造業が進出し、中国で最も富んだ地域として知られる。アジアの金融センターである香港に隣接していたこともあり、外資の進出は早かった。中国政府も改革・開放後から市場経済のモデル地域として発展を促
進してきた。アメリカでIT不況の風が吹いた2001年ごろ、シリコンバレーにあったハイテク工場が労働力と土地の安さを求めて、こぞって工場を中国に移転させた。IBMやデルコンピュータなど、IT関連の大企業が現地生
産を展開している。日本の松下電器産業や三菱電機、カシオ計算機なども進出している。
とりわけ製造業が集まった背景には、“広東省式”委託加工方式がある。これは外資の製造業に土地、工場などを提供して委託加工という形でで製造するもの。合弁や独立資本で会社を設立するよりも手続きや税金の支払いが手軽という利点がある。中国国内での販売には制約があるが、輸出時の税制においても優遇を受けられる。
一大「加工貿易」都市として成長した広東省。その省都である広州は、「中国のデトロイト」になろうとしている。フランスの自動車メーカーのプジョーが撤退したことにより自動車産業は一時低迷した。だが、日系自動車メーカーが参入したことにより、再び盛んになり始めている。プジョー撤退後の工場に入り、年間24万台の生産能力を持つ広州ホンダのほか、06年には広州トヨタ自動車が生産を開始。それに伴い、デンソーなど部品メーカーが参入している。日産自動車も東風汽車集団との合弁会社を設立している。
広東省ではほかにも、1980年に経済特区に指定された深圳、珠海の成長が著しい。香港に近いという地理的優位性のある深圳には、製造業だけでなくサービス業、情報通信産業など多くの外資系企業が参入。珠海では、電子・電機関連や石油化学のほか物流、衣料品製造など、さまざまな企業が事業展開している。
GDP20%成長が20年
「東莞の奇跡」
珠江デルタの中でも特に伸びているのが東莞市だ。深圳と広州の中間にあり、面積は神奈川県程度。人口は約1200万人で、2年前の約750万人から急速に膨れ上がっている。躍進が始まったのは、85年に「珠江デルタ経済開発区」に指定されてからだ。
以前はライチの生産地としてられた東莞市。GDP(国内総生産)がここ20年、毎年20%ずつ上昇するなど、その成長ぶりは驚異的で、「東莞の奇跡」と呼ばれている。市人民政府の江凌副市長は「積極的にインフラ整備を行っ
たことと、人材を供給できたことが成功要因。これからの3年間も15%程度の伸びを維持できる」と自信を見せる。
東莞市への産業集積が進んでいることを示す好例がパソコンだ。通常パソコンを作るには、液晶から半導体・電子部品、プラスチックなど、さまざまな種類の製造工程を経なければならない。そのため、本体完成までに国境をまたぐことは珍しくないが、ほとんどを市内で済ませることができ、本体の95%までを製造できる。
携帯電話をはじめとしたIT産業、ハイテク産業の進出はめざましく、中国でシェア拡大を目指すフィンランドの携帯電話最大手ノキアが、10万人規模の工場を持っている。ほかにも台湾や日本の多くの企業が中国での製造拠点を東莞市に置いている。
ただ、あまりに急激に発展したため、人口が急増し、エネルギーの供給が追いつかないなどの課題も抱えている。
9省2地区を1つの経済圏に
中国の経済発展の推進力となった珠江デルタ。今後も中国にとって、非常に重要な存在であることは間違いない。それを裏付けるのが、「汎珠江デルタ経済圏」構想だ。これは香港、マカオと広東省という従来の珠江デルタを中心に、内陸部の四川省や雲南省、湖南省や江西省など8省をあわせ、合計9省2地区で1つの経済圏を完成させる構想だ。
具体的には、税金引き下げなどの貿易障壁の撤廃、観光分野での協力、教育機関の交流を活発化させるという計画が進められている。
また、省をまたぐ大規模なインフラ整備も行われている。高速道路や鉄道などを建設し、物流や人の移動がスムーズにできるようになる。経済圏内の主要都市を1時間で行き来できる高速鉄道のプロジェクトも計画されている。高速道路建設はすでに着工しており、香港から福建省、江西省、湖南省などを結ぶ工事が進んでいる。これにより、沿岸部に拠点を置く企業が内陸部への事業拡大をしやすくなる。このため、急激な発展で生じた地域格差の解決策としても期待されている。裕福な香港や広東省が、まだ富んでいるとはいえない貴州省などを経済的に引っ張っていくことができる。まさに、鄧小平が提唱した「先に豊かになれるものが豊かになり、貧しいものを引っ張る」という先富論の完全な実現が見えてくる。
過去20年の発展で、「先に豊かになれるものが豊かになる」点はすでに達成した。だが、「貧しいものを引っ張る」という部分は未達成であり、それが深刻な格差問題となっている。汎珠江デルタ経済圏構想は、その解決の糸口として大きな期待を担う。
たしかに環境問題やエネルギー不足など、成長という「光」に伴う「陰」も生じている。しかし、さらなる発展の牽引役にしたい政府の思惑と、世界規模での効率的な事業展開を実現し、中国市場での存在感を増したい海外企業のそれは一致している。珠江デルタの勢いは衰えることなく、今後も中国躍進の推進力となるだろう。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「小沢代表 辞意撤回の先にあるもの」
民主党の小沢代表が辞任の意向を示した後に撤回、続投を表明。
「政策はどうでもいい。総選挙に追い込んで衆議院で過半数をとる」という、
これまでの民主党の戦略は国民にとってはマイナスになるものだった。
今回の事件でそれはどのように変わるのか。
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/071107/071107mag_ozawa83.html
2007 11 11 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 11月号掲載
第2特集 昇る中国 中国が日本を超える日より
「世界の工場」の地位は取って代わられたが……
マグロの刺身を食べ、「資生堂」の化粧品でメイクをし、撮影はキヤノンのデジカメ。子どもには「機動戦士ガンダム」のおもちゃを与える――。
1970~80年代に「世界の工場」と呼ばれた日本が海外で獲得した「Made in JAPAN」ブランド。しかし「世界の工場」の地位はいまや中国に取って代わられた。一時より押され気味ではあるが、まだまだ日本製品のブランド
力は健在だ。
人口が多く若年労働者が豊富な中国は、労働力では日本よりも上。しかし、自動車や精密機械の技術力では日本に軍配が上がる。現地メーカーの技術力もたしかに伸びてはいるが、本田技研工業やトヨタ自動車、オリンパス、ニコンのように世界ブランドを確立した企業は、中国にはまだない。
製造業だけではない。資生堂の化粧品も人気がある。中国人女性の肌を研究して、現地向けに開発した製品を
94年から販売。庶民層から富裕層まで、幅広く女性の心をつかんだ。91年には合弁会社を設立し、マナーの悪かった販売員の教育に務めたことも功を奏し、「資生堂」は受け入れられた。
子どもたちに人気のキャラクターの1つが、バンダイの「高達」(機動戦士ガンダム。“ガオダー”と発音)だ。プラモデルは日本で生産した高品質のものを中国に輸出している。当局の規制は厳しいが、日本のアニメや、ウルトラマンなどの特撮ヒーローものの人気は根強い。
収入の増加に伴って食の嗜好も変化
飲食の面でも、日本の製品や食品、食文化が支持されている。
最近の中国では、マグロの刺身など生魚を食べるようになった。経済成長に伴って、所得を増やしつつある家庭が多くなり、食の嗜好も変わってきたのだ。日本料理屋や回転寿司店も、主に大都市の繁華街では珍しくなくなっているし、デパートでは、日本製の包丁やまな板などの調理器具も売られている。
コンビニエンスストアに入ると、サントリーのお茶、キリンビバレッジの紅茶などが並べられている。菓子類ではグリコ、明治製菓などが定番となっている。ただ、現地の人の本音は「日本のお菓子はおいしいが、ちょっと値段が高い」そうだ。
ほかにも、変わったところでは金魚や錦鯉などの観賞魚がウケている。日本で長年にわたって改良された品種が中国に入った。趣味にお金をかけられる富裕層が増えてきた証拠だろう。
私たちの生活では、中国製品は欠かせないものになっている。欧米のブランドでも製造や組み立てが中国だったり、日本のメーカーの名前で売られているものでも、工場が中国だったりというケースは珍しくない。だが、「中国製」を「良品」ととらえる日本人は、まだそんなに多くないだろう。
中国では、「日本の製品は質がいい」というブランドとしての力をまだ持っている。しかし、中国のメーカーも技術力を高めており、コピー商品だけでなくオリジナルでも優れた商品が生まれつつある。いずれ日本でも、「Made
in CHINA」がブランドになるかも……。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「小沢代表 辞意撤回の先にあるもの」
民主党の小沢代表が辞任の意向を示した後に撤回、続投を表明。
「政策はどうでもいい。総選挙に追い込んで衆議院で過半数をとる」という、
これまでの民主党の戦略は国民にとってはマイナスになるものだった。
今回の事件でそれはどのように変わるのか。
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
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2007 11 10 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」11月号掲載
【第二特集 中国が日本を超える日】 中国の可能性を引き出した日本企業 コラム抜粋
外資の流入とWTO加盟で急速に進む“国際化”
「言ったこととやることが違う」「期限を守らない」「資金が回収できない」――。1国2体制で、法制度は朝令暮改、政情は不安定。日本の企業がビジネスを展開するにあたり、中国独特の「カントリーリスク」が以前から数多く指摘されてきた。特に個人レベルの仕事に対する考え方や取り組み方の違いは業務を進める上での弊害になっていた。
しかし、ここ数年の経済発展とともに、“人”に変化が起きている。外資の流入により、中国のビジネスに対する
意識が変わり始めた。決め手となったのは、2001 年のWTO加盟。世界の通商ルールを受け入れたことで、国際
社会に合った感覚を持つ人が増えてきている。
これまでは日本やアメリカでは当たり前のビジネスの常識が、通用しない場合が多かったが、特に上海のような大都市では、ビジネス感覚は世界標準に達しているようだ。ある日系企業の駐在員も、「中国人との仕事のやりやすさが変わった。特に“サービス”に対する感覚が変わっている」と証言する。
〝バナナ族〟が変える未来
意識の変化はエリート層に顕著だ。彼らのほとんどは欧米の大学院に留学しており、庶民からは“バナナ族”と呼ばれているという。バナナの皮は黄色く、身は白い。つまり、「見た目は中国人だが中味は白人」という意味で、考え方が欧米化しているという皮肉だ。今やバナナ族が政治・経済界の各分野で活躍しており、今後ますます増えていくだろう。
インターネットの普及で、中国の若者たちが昔より情報を得やすくなったことも、外国人との付き合い方が変わってきた理由だろう。中国の若者は、以前は日本を「経済発展のモデル」と見ていた一方で、中国メディアが植え付けようとした“反日”のイメージも強く持っていた。だが、報じるメディアも外国人の目を気にするようになったのか、報道姿勢が変わってきた。若者たちからも偏見らしきものは薄まりつつあるようだ。
逆に中国人に対して、「モラルがない」といった“偏見らしきもの”を持っているなら、そろそろ改める時期なのでは?
2007 11 04 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」11月号掲載
【こんな投資はしちゃいけない!】 平尾仁邦 CIFA(日本IFA 認証機構認証)
「独自の哲学で投資している」という50代の非上場企業オーナーに、資産運用のアドバイスをすることになりました。
アドバイスをするにあたり、まずポートフォリオの内容をたずねたところ、驚きの事実が判明しました。彼は5億円を1、2年前から運用しており、すべて日本株に投資していたのですが、保有銘柄数は何と500! 国内の証券取引所で売買できる銘柄がおよそ4000 ですから、その10%以上を保有している計算です。これでは投資先が多すぎると思い、理由をたずねたところ、「リスク分散のために1銘柄の上限投資金額を100 万円に決めている」という回答でした。
たしかに、投資経験が数十年と長い個人投資家のなかには、保有銘柄数が多い方はいらっしゃいます。気に入った銘柄を買って持ち続けるうちに、保有銘柄が数百にふくれ上がったというパターンです。しかし、この方の場合は信用取引も交えた短期の資金運用であり、趣味ではありません。詳しく調べると保有銘柄には同業種で似たような値動きをするものが多数含まれていました。
分散投資の目的は、違った値動きをする資産(銘柄)を保有し、全体としてのリスク(バラつき)を低減させることです。同業種で似たような値動きをする銘柄をいくら保有しても、分散投資の意味はありません。
また、これだけの銘柄に“分散投資”すれば、取引コストが割高になるだけでなく、管理に膨大な手間が掛かります。運用が煩雑になり本業がおろそかになっては本末転倒です。
そこで私は、1業種当たりの保有銘柄数を減らすことを提案しました。業種別日経平均は36種類あるので、1業種1銘柄で平均1400 万円ずつ。これで管理の手間を減らせ、まとめて購入するためコストも削減できるでしょう。さらに、日本株以外にも投資して、期待されるリスクやリターンのブレを小さくするようにも提案しました。
分散投資の本当の意味を十分理解せず、やみくもにさまざまな銘柄を買っても、お金や時間を浪費するだけです。
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11月は2週連続で『FJ資産運用サミット2007』が土曜日に開催されます。
両日ともに木村 剛が出演します。
お申し込みサイトはこちらです。→ http://www.financialjapan.co.jp/FormMail/Supports/FormMail.html
2007 11 03 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 11月号掲載
連載コラム―ミクロを変える経済 財部誠一氏(経済ジャーナリスト)
学ばないというか、懲りないというか。米国のサブプライムローン焦げつきに端を発した金融市場の大混乱を目の当たりにすると、金融関係者たちのあいもかわらぬ軽佻 浮薄さにはあきれはてる。
株式市場は資本主義にとって最重要のフィールドである。にもかかわらず、メインプレーヤーである欧米の投資銀行やヘッジファンドのリスク管理能力といったら素人同然で、その間抜けぶりが、ここまで世界の金融市場を大混乱させてしまったといっていい。
私は米国の不動産事情についてこの6~7年、継続的に取材を行ってきた。単純な不動産バブル批判が当たらないと、過去に何度も発言をしてきた。しかし昨年秋の取材時には、明らかに赤信号がともっていた。マーケットの先行きは誰にもわからないが、「危うい」ことだけは認識できた。だがサブプライムローン問題で大損をした連中は、トランプのババ抜きをしている程度の認識しかなかったのではないだろうか。
そもそも米国のサブプライムローンの焦げつき問題自体は、米学ばないというか、懲りないというか。米国のサブプライムローン焦げつきに端を発した金融市場の大混乱を目の当たりにすると、金融関係者たちのあいもかわらぬ軽佻 浮薄さにはあきれはてる。
株式市場は資本主義にとって最重要のフィールドである。にもかかわらず、メインプレーヤーである欧米の投資銀行やヘッジファンドのリスク管理能力といったら素人同然で、その間抜けぶりが、ここまで世界の金融市場を大混乱させてしまったといっていい。
私は米国の不動産事情についてこの6~7年、継続的に取材を行ってきた。単純な不動産バブル批判が当たらないと、過去に何度も発言をしてきた。しかし昨年秋の取材時には、明らかに赤信号がともっていた。マーケットの先行きは誰にもわからないが、「危うい」ことだけは認識できた。だがサブプライムローン問題で大損をした連中は、トランプのババ抜きをしている程度の認識しかなかったのではないだろうか。
そもそも米国のサブプライムローンの焦げつき問題自体は、米上がり続けると信じていたとしか思えない。ローン負担に耐えられそうもない低所得者。短期資金を借りまくって資産を拡大したローン会社。借りるほうも貸すほうも自転車操業だ。不動産価格の値上がりだけが、唯一の支えだ。こんなデタラメな資産を担保に売りまくった連中も、買いまくった連中も、愚かのきわみだ。これまでにも彼らは数年に一度、必ずといっていいくらい大失敗を繰り返し、そのつど、世界の実体経済に危機的なダメージを与えてきた。今度もいつも通りだ。
そこにマスメディアが世界の「破滅」シナリオを声高に叫ぶものだから、個人投資家は恐怖におののき、大切な原理原則をすっかり忘れてしまうのだ。株式投資で成功する唯一の原則、それは「下がったら買い、上がったら売る」だ。プロも素人もない。これができるかどうかが持続可能な投資家の条件である。株暴落を目の当たりにしたとき、あなたはどう思っただろう? 「ヤバい」と恐怖にとりつかれたか。それとも「チャンス」とほくそ笑んだか。そこが運命の分かれ目だ。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「食品偽装報道に異議あり!」
ただでさえ、日本経済はピークアウトし、下降局面を迎えようとしているのに、この国の
操縦桿を握っている人びとは、その変化に気付いていないようだ。
最近でいえば「赤福騒動」が典型的な事例だ。
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/071024/071024mag_akaf81.html
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2007 10 28 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 11月号掲載
連載コラム―次の一手 (マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏)
2008年のNHK大河ドラマ「篤姫」のキャストが発表された。「篤姫」は、主人公の人生そのもののように異例続きである。今まで大河の主人公はすべて男だった。「利家とまつ」も「巧名が辻」も夫婦セットで主役だった。ところが今回は女が主役である。
篤姫を演じる宮﨑あおいも異例中の異例だ。宮﨑は放送開始時に22歳。「義経」を演じ滝沢秀明を抜き、大河史上最年少の主役となる。「巧名が辻」で山内一豊の妻を演じた仲間由紀恵が持つ女優の最年少記録も同時に更新。もちろん、大河出演は初めてで、篤姫役に決まった06年9月には、朝の連続テレビ小説「純情きらり」のヒ
ロインをまだ演じていた。朝の連ドラと大河ドラマの両方の主役の座を射止めた俳優も今までいない。
しかも、宮﨑が07年6月に21歳で撃結婚したり、NHKの関連会社が「篤姫」の商標を事前に独占的に取得して論議を呼ぶなど、放送前から話題に事欠かない。
篤姫の生涯は波乱万丈、まさに“ジェットコースター的人生”(「篤姫」チーフ・プロデューサー佐野元彦氏)である。「篤姫」は、宮尾登美子が初めて著した時代小説「天璋院篤姫」を原作に、江戸時代末期、第13代将軍、徳川家定の正室となった、薩摩藩主、島津斉彬の養女、篤子(島津敬子)の生涯を描く。篤姫は、勝海舟をして尊敬すべき人と言わしめた女性であり、アメリカの外交官として初めて将軍に謁見したタウンゼント・ハリスより献上されたミシンを日本人で初めて踏んだ人物とも伝えられる。
篤姫は、わずか一万石の薩摩藩島津家の分家に生まれる。しかし後に、薩摩藩主、島津斉彬の養女となり、さらに近衛忠煕の養女として、江戸幕府の第13代将軍、徳川家定に輿入れする。しかし、病弱だった家定は、篤姫が嫁いでからたった1年半ほどで亡くなってしまう。そして、後継の将軍家茂への皇女の和宮降嫁が決まる。こ
の時、薩摩藩は幕府に対し篤姫の帰国を申し入れる。しかし、それを彼女は自ら「私は徳川家の人間であるから」と断固拒否し、23歳の若さで出家して「天璋院」と名乗る。
その後、篤姫は大奥を預かる女頭領として、幕末の動乱の中、徳川家と日本のために懸命に生き抜いた。西郷隆盛ら薩摩藩を中心とした新政府軍に働きかけ、江戸城の無血開城の実現にも尽力したと言われる。しかし、開城の際には、和宮と共に大奥にあった金品を一切持ち出さなかった。また、3百人もいた大奥の女中たちの再就職に心を砕いた。明治維新の後は、徳川宗家を継いだ、血のつながりもない徳川家達(田安亀之助)の養育にまい進。そして、立派に成長した家達の婚姻を見届け、1883(明治16)年、東京の一橋邸で、天璋院は天に召された。享年48歳。そのとき、所持金はわずか3円(現在の6万円ほど)であったという。
夫家定の死に際しても、江戸城開城の際にも、決して薩摩に戻ろうとせず、最期まで徳川の女を貫いた凄まじいまでのブレない芯の強さ。それは「二夫にまみえず」といった伝統的な価値観に縛られた行動というレベルを超越している。その力の源は、天から与えられた役目に命をかける使命感に相違ない。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「食品偽装報道に異議あり!」
ただでさえ、日本経済はピークアウトし、下降局面を迎えようとしているのに、この国の
操縦桿を握っている人びとは、その変化に気付いていないようだ。
最近でいえば「赤福騒動」が典型的な事例だ。
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2007 10 27 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」11月号掲載
【会社法がわかれば商売がわかる!】 (中央大学法科大学院教授 野村 修也)
中小企業にとって事業承継ほど頭の痛い問題はない。
発行する株式のすべてを譲渡制限株式とすることによって株式の分散を防止している会社(会社法では非公開会社という)であっても、相続を原因とする株式の分散だけは防ぎようがない。なぜなら株式の「相続」は「譲渡」ではないので、譲渡制限株式であっても、取締役会の承認を受けることなく「相続」されてしまうからだ。
他の株主が、亡くなった元株主との間で固い信頼関係を有していたとしても、その相続人との間で同様の関係を結べるとは限らない。相続が時として内紛の火種になるのはそのためだ。そこで他の株主としては、いったん相続された株式を何とか相続人から取り戻せないかを検討することになる。
相続人の側が相続税の支払資金を賄う等の理由から、相続した株式を現金に換えたいと考えているならば、さほど問題は難しくない。他の株主自身か、あるいは、彼らにとって好都合な第三者のいずれかが購入を申し出れば、一件落着となる可能性が高いからだ。しかし、株式の値段が高額なために、個人では購入できない場合も考えられる。そのときは、会社自身が相続人から自己株式を取得する方法を検討することになる。
改正前の会社法では、会社が特定の株主から自己株式を取得する場合には、その株主だけを優遇する危険性があることから、株主総会の特別決議を要するとともに、他の株主にも同じ条件で株式を売却できるチャンス(売主追加請求権という)を与えなければならなかった。
他方において、株主に出資金を返還してはならないという株式会社の基本原則(資本維持の原則という)があるため、自己株式を取得するための財源は、配当に回すことのできる金額(新しい会社法では、分配可能額という)に限られるといった制約がある。そこで、改正前のように、他の株主に対して無制限に売主追加請求権が与えられるとするならば、相続人から取得できる株式の数が少なくなり、相続税を賄いきれなくなるといった不都合があった。そこで、新しい会社法は、相続人が株主総会で議決権を行使するまでの間は、会社が相続人から自己株式を取得する場合であっても、他の株主に売主追加請求権を保障する必要はないものと定めて(会社法162条)、問題の解決を図った。
では、相続人が、自己の相続した株式を譲渡したがらない場合はどのように対処すればよいのだろうか。
改正前の会社法では、このような場合を想定した効果的な制度は用意されていなかった。それに対し、新しい会社法は、あらかじめ定款で定めておけば、相続人の意に沿わない場合であっても、その相続した株式を会社に対し強制的に売り渡すよう請求できる権利を創設した(会社法174条以下)。すなわち会社は、定款の定めに基づき、株主総会で相続人に対する売渡請求を決議すれば、相続後1年以内である限り、相続人に対して株式の売渡を請求できるわけである。
この制度は、相続による株式の分散に頭を悩ましていた経営者には朗報であるが、注意すべき点もある。いったん定款を定めると、会社は株主総会で売渡請求を決議できることになるが、相続人はその決議に参加できないため、下手をすると、少数派に会社を乗っ取られる恐れがあるからだ。事業承継対策の難しさは、こんなところにも見え隠れしている。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「資産運用サミットに行こう!」
日本では学校でお金について学ぶ機会というのは無く、
投資本あるいはマネー雑誌というのは残念ながら筋の悪いものが多い。
このイベントを通じて本当に学ばなければならないの事は何なのか、そして、
株式や商品の情報に直接触れることの大切さを知ってもらいたい。
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134
http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/071017/071017mag_summ80.html
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2007 10 21 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 11月号掲載
――伯楽諫言 木村 剛
サブプライムローンという亡霊が徘徊した結果、世界のマーケットは乱高下し、「対岸の火事」であったはずの日本は狂乱に近い円高に襲われた。
外国為替証拠金取引でレバレッジをかけて外貨投資していた個人投資家は、かなりの含み損を抱えただろうし、強制的に損切りさせられた方々もたくさんいただろう。
ここまでやられたら、「外貨なんてもう見たくもない」という人々が増えて、一時期円安を主導した「ミセス・ワタナベ(日本の個人投資家の総称)」の影は消えてなくなると思われていた。ところがどっこい――円売りの底流は、かなり根強いようだ。
外国為替証拠金取引の大手である外為どっとコムが面白い統計を公開している。顧客のポジションにおける売り/買いの構成比率を毎日出しているのだ。米ドル買いの数値を見てみよう。5月末の64・6%から、6月末は77・6%、7月末には91・7%と米ドル買いの趨勢が強くなって円安が進んでいく中、円高への転換局面で8月15日に93・5 %のピークを記録する。つまり日本の個人は、あの円高局面で果敢にも買い向かっていたのだ。
続く16日の大幅続落局面においても、92・9%と米ドルの買いポジションの構成比はさほど低下しておらず、8月末も92・6%と大方の個人投資家は「将来の円安」という読みを捨てていない。
今回の円高局面で大損をした個人投資家が大量にいる中でも、外貨投資に対する意欲が衰えなかったことは注目に値するのではないか。この現象は、ひょっとすると、日本における本格的な外貨投資の到来を告げているのかもしれないからだ。じつは、日本はすでに貿易立国ではなく、投資立国になりつつある。2006年度で見ると、利子や配当などの所得収支が14・2兆円の黒字(6年前の2倍)になった。それに対して、貿易収支は10・5兆円の黒字にすぎない。つまり、すでに日本は、貿易の稼ぎよりも、資産運用で儲ける国になっているのだ。
所得収支の内訳を見ると、ビジネスから得られる直接投資収益が3兆円になっている。証券投資収益のうち、配当収益が1.1兆円で利子収入が9.8兆円だから、株式投資よりもリスクの少ない債券投資が主であるということがわかるのだが、外貨資産の運用に目覚めたということになれば、遅かれ早かれ、この数字は格段に跳ね上がっ
ていくだろう。
最近、外国為替証拠金取引が膨らんできたといっても、まだまだ6133億円の市場規模(07年3月期、矢野経済研究所調べ)。1536兆円ある個人金融資産の0・04%にすぎない。逆に言えば、日本の個人が本格的に目覚めれば、現在の10倍のスピードで資産が流れ出してもおかしくない。
事実、この円高局面で、富裕層はチャンス到来とばかり、日本国内の資産を海外へと持ち出し始めている。日本円100%だった保有資産が、国際分散投資に配慮したポートフォリオに変わるだけで、外貨に対するニーズは膨らんでいく筋合いにある。
安倍改造内閣の経済政策によっても、少子高齢化による国内市場の縮小トレンドが変わらない(おそらく変わらないだろうが……)のであれば、米ドル買いのポジションを取り続ける個人投資家はそれほど減らないのか……。
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ポッドキャスティング-木村 剛が斬る!
今週のテーマ:「資産運用サミットに行こう!」
日本では学校でお金について学ぶ機会というのは無く、
投資本あるいはマネー雑誌というのは残念ながら筋の悪いものが多い。
このイベントを通じて本当に学ばなければならないの事は何なのか、そして、
株式や商品の情報に直接触れることの大切さを知ってもらいたい。
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2007 10 20 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク | トラックバック
「フィナンシャル ジャパン」 10月号掲載
特集―Made in JAPAN ニッポンの底力
≪サービス≫ルーツは「寺子屋」!?日本で生まれた世界の学習法
海外の44カ国で266万人が学習
1974年、ニューヨークに「KUMON」の教室が開かれたのが海外第1号。88年、アメリカ・アラバマ州の小学校で正課として導入され、算数の試験の平均点が20点上がるという驚異の実績を上げ、一気に認知度が高まった。
日本国内で現在142万人が学んでいる、公文教育研究会の「公文式」は、今では日本を含め45カ国に広がっている。普及の早かった北米や、アジアや南米、欧州、オセアニア、アフリカと海外では約266万人が学んでいる。これだけ広く世界中で受け入れられた教育サービスはほかにはない。
広く浸透した理由は、「生徒自身の学ぶ意欲を尊重する」という姿勢と、「紙と鉛筆があれば、どこでもできる」という手法があったからだろう。個人別の自学自習というスタイルは、開発途上国でもスムーズに受け入れられた。
親から子への愛情がベース
「自分で考え、答えを出す」
公文式学習法は、高校の数学教師だった創始者の公文公(くもん・とおる)氏が、息子の毅氏のために算数の教材を手づくりしたのが始まりだ。その目的は「自分で考え、自分の力で解けるようになる」ことだった。
親子のコミュニケーションから生まれた公文式。それだけに、ベースには「愛」がある。「学ぶことで生きる力を付けてほしい」という親の愛、親心。橋口健グループ広報室長が「勉強さえできればいいというのではなく、将来のために生きる力を身に付けてもらいたいと願っています」というように、子どもに対する視線は、まさに親のそれだ。
各教室で教えているのは、主に数学、英語、国語(母国語)。教科を問わず、個人のペースに合わせて、“自学自習”で学んでいくのが公文の方式だ。たとえば数学。ゴールは高校3年生で習う「微分・積分」で、それに向かって、生徒がそれぞれ個別に足し算、引き算、掛け算とステップを上げていく。
教材はやさしいものから難しいものまで、小刻みに分けて作られている。幼児から大学生レベルまで、どこかにその個人に合う教材が必ず見つかる。それは海外でも同じ。学ぶ内容を学年で決めないため、得意な教科はどんどん先に進めるし、不得意な教科はじっくりと時間をかけて学べる。小学3年生が、まだ学校で習っていない、本来4年生で習う内容を学んでいるということもよくある。誰もが自分の能力に合った問題を解き、100点を取り、ステップアップする。「学ぶ喜び」を味わえる仕組みなのだ。国に関係なく、公文の優れている部分はここにある。
「子供優先主義」と
地域に根差した学習法
教材と学習方法に加え、教える人材の充実に力を注いだことも公文式が発展した理由の一つだ。世界各地に、「子供のために何かをしたい」という人はいる。そういう人たちに対して、「地域の教育者」になるための教材とノウハウを提供してきた。
こうした人たちに、ただ教室を開設し、運営するための指導をするわけではない。オーナーにも、教え方、子供との接し方を「自ら学ぶ」という姿勢で学習するよう促している。生徒だけでなく、指導者に対しても自学自習を求めるのが、公文式なのだ。
「日本のやり方」を押し付けるのではなく、その地域の人が、その地域の人のために教育を行うためのノウハウを提供するというスタンスに立っている。
海外展開が成功した要因として忘れてはいけないのが、利益よりも「教育の普及」をめざした精神にある。途上国では、教育費が払えない家庭は珍しくない。たとえばフィリピン。日本よりもはるかに貧富の格差が大きく、公文に通えるのはまだまだ富裕層に限られる。
こうした地域では、公文はNGO(非政府組織)とタッグを組み、貧しい地域の子どもたちも学べるような取り組みを行っている。橋口室長は、「会費が払えない方々にも、どうしたら学んでもらえるかを模索しています」と話す。
教育を通した地域への貢献。それが、公文が世界各地で受け入れられた大きな要因だ。
共通点多い寺子屋と公文式
なぜ日本で公文式の学習法が生まれたのか。その源流は、寺子屋にある。「自主的に学ぶ」「誰でもできる」「紙と鉛筆があればできる」「学ぶ喜びが味わえる」「学ぶ力が付く」――こうした公文式の特長は寺子屋と共通している。
西洋では、1700年代に貴族に対する教育や修道院での教育の制度は整備されていたが、庶民層への教育機関はなかった。その時代に、藩校や私塾、寺子屋と、武士階級から庶民までの教育機関がそろっていたのは日本だけだった。
このためか、日本の識字率は江戸時代末期から明治初期にかけて世界最高レベルだった。明治維新が成功し、近代化が実現したのも、寺子屋が存在し、庶民にも教育が施されていたからだとも言われている。
橋口室長は「公文と寺子屋は、個人別学習という点で共通点があります。寺子屋が描かれた浮世絵などを見ても、一人ひとりに教材が用意されていて、親近感もあります。また、女性の先生が多いのも共通しています」という。
寺子屋の時代から読み書きを大事にし、地域に根差した教育方法を培ってきた日本。そういうDNAがあったからこそ、公文式が生まれたのではないだろうか。
受験や学校の成績では、順位や優劣が付けられる。たしかに、そうすることで子どもたちのモチベーションが上がるなど、効用があることは否めない。
日本には、昔から競争至上主義ではなく、「勝ち負けを作らない」という風土がある。
公文式では、進み具合の差はあっても、“負け”がない。一斉学習ではなく、自分のレベルに合わせたスピードで、学習を進めていくことができる。だから、公文式では脱落する子は生まれない。つまり公文式は、「勝ち負けを決めるのではなく、常に昨日の自分よりも今日の自分をよくしていこう」という、「日本らしい」部分が良い方向に現れた結果なのだ。親から子へ。大人から子供へ。次世代を担う子どもたちに対する深い愛情と、可能性を信じる気持ちがあったからこそ、公文式は「KUMON 」となり、世界に広まっていった。
今日も、世界のどこかの「KUMON 」の教室で、子供たちが自らの意思で勉強し、生きるために必要な力を付けている。
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2007 10 14 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 10月号掲載 携帯電話向けのウェブサイトは、パソコン向けサイトの簡易版と思ったら大間違いだ。操作方法が違うこともあるが、パソコン向けよりも若いユーザーが多いため、コンテンツの種類がまったく異なっている。携帯ではパケット パケット定額が全てを変えた 今年上半期の書籍ベストセラーランキング(日本出版販売調べ)で異変が起きた。単行本フィクション部門上位5つのうち、4つまでがまず“携帯向けサイト”で発表された小説で占められていたのだ。これには10代を中心とし 携帯世界のお化けサイト 「モバゲータウン」は、ゲームのほかにSNS機能も合わせ持った携帯向けサイトだ。06年2月のサービス開始から急速に会員数を増やし、07年6月時点で603万人が会員登録している。 拡大する携帯市場 『モバゲータウン』が急成長した理由について、野村総合研究所主任コンサルタントの小林慎和氏は「交流型のネットワークでは、会員数は大体50~100万人を超えると、加速度的に増えていくが、そこを早期にクリアしたことが大きかった」と指摘する。 ------------------------------- お申し込みサイトはこちらです。→ http://www.financialjapan.co.jp/FormMail/Supports/FormMail.html
2007 10 13 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 10月号掲載---気になる「経済指標」の読み方 【貿易統計】 日本経済にとって、輸出は成長の生命線。人口減少に直面する日本経済は、今後ますます外需への依存体質を強めざるを得ない。 知られざる〝資源輸出国〟だった 日本は“貿易立国”である。そして、資源の乏しいわが国は“加工貿易”を得意とする。これは中学生でも知っている。しかし、かつて日本は知られざる資源輸出国だった。世界遺産への登録で一躍脚光を浴びる「石見銀山」は銀の一大輸出拠点で、16~ 17世紀にかけて日本から輸出された銀は、世界の産出量の約3分の1を占めたとされる。ポトシ銀山(ボリビア)と並ぶ2大鉱山として世界交易の発展に寄与したというから、おそらく当時“IWAMI” 世界が風邪をひくと日本は心臓麻痺をおこす? かつて、「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪をひく」と言われる時代があった。しかし、このグローバル化の時代にあっては、今や感染源はアメリカに限らず、もはや症状は風邪では済まないかもしれない。日本の輸出と先進国の景気との相関は一目瞭然だ。中国などへの輸出が増加した分だけリスクが分散されたのか、あるいはグローバル化の名のもとにリスクも一体化したのか定かではない。論壇は百家争鳴だが、実際はまだ誰もその危機を経験したわけではないからだ。 ---------------------- ● 日本の景気を判断する際に、輸出の動向は極めて重要。特に「輸出数量指数」は、鉱工業生産指数の先行指標として注目度が高い。
2007 10 07 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 10月号掲載 日本の製造業はたしかに強いが、最終組み立てメーカーとして生き残っている企業は少ない。 「これからの日本はキーデバイス国家になるべき」――。早稲田大学大学院経済学研究科の深川由起 -----------------------
2007 10 06 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 10月号掲載 「夢を失った子供」は社会の「縮み志向」の副産物 このデータを目にして愕然となった。
2007 09 30 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 10月号掲載 日本の投資信託の残高は少しずつ増えてきて、2006年12月に純資産総額は100兆円を超えました。種類も多くなっており、不動産、ヘッジファンド、新興国の株式や債券、金や原油などにも投資できます。これは、リスク分散の観点からすると喜ばしいことです。しかし、投資対象が増えるにつれて、投資家が内容を把握しづらくなっています。
2007 09 29 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 10月号掲載 去る7月21日の日本経済新聞朝刊は、法務省が、会計監査人の選任や報酬の決定に関わる権限を、経営陣から監査役に移すこと等を内容とする会社法の改正案を、来年の通常国会に提案する方針を固めたと報じた。法務省側は、完全なる「誤報」と言っているが、この会計監査人の選任等の部分に立法的課題があることは否定できない事実である。
2007 09 23 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 10月号掲載 武田信玄『風林火山』は経営の鑑 武田信玄と信玄の軍師である山本勘助を描いたNHKの大河ドラマ『風林火山』が経営者の間で人気を博している。勘助が実在したかどうかは別にして、信玄は、織田信長が唯一恐れた武将であり、徳川家康が後に幕府の礎となる家法を定めるに当たって最も研究した戦略家であった。
2007 09 22 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 9月号掲載 FJ投資クラブが銘柄選択に割いた努力が報われつつある。業績が好調な「丸紅」や「森精機製作所」の株価は順調に伸びており、割安に放置されていた「アミューズ」も上昇トレンドに入ってきた。また、下落続きだった「アコム」や「武富士」などの消費者金融株や、「りそなホールディングス」にも底打ち気配が漂ってきている。運用成績は5月に一時、投資額を割り込んだものの、6月11日の会合時点では、配当を得たこともあって投資額を5%弱上回るまで好転。FJ投資クラブのメンバーたちの顔にも安堵の色が広がっていた。 過熱感を懸念して サービス競争に勝つ証券会社 円高に強い企業 ポッドキャスティング-木村 剛が斬る! 「安倍首相が辞意を表明」衝撃的なニュースが世界を駆けめぐった。 http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134 http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/070912/070912mag_abe75.html
2007 09 16 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 9月号掲載 1年前の『フィナンシャル ジャパン』誌のコラムで、年金脱退権を認めることにより、実質的な税方式へと移行さ ポッドキャスティング-木村 剛が斬る! 「安倍首相が辞意を表明」衝撃的なニュースが世界を駆けめぐった。 http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134 http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/070912/070912mag_abe75.html
2007 09 15 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 9月号掲載 気になる指標の読み方 「CPIは世につれ、世はCPIにつれ」。人々の生活と密接に絡む一国の消費者物価は、今や世界経済の動向とも無縁ではない。宇宙のインフレーションを観測するのが高性能の望遠鏡なら、消費者物価指数は地球上で発生するビックバンを観測する精緻な顕微鏡だ。奥ゆかしくも深遠な「消費者物価指数(CPI)」の実態とは。構成=山本雅幸 世相を映す調査品目宇宙は1秒の1兆分の1をさらに1兆分の1にしたほどの瞬時の間に、砂粒のような小さな 忘れたころにやってくる -----------------------
2007 09 09 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 9月号掲載 買い物でポイントを貯めるのはいまや常識。米国のエアラインが始めたマイレージサービスがポイントカードの始まりだといわれているが、日本では、やはりポイントといえば家電量販店だろう。だがここにきてレンタルビデオのTSUTAYA が発行する“Tカード”が話題になってきた。注目点は提携企業の多さだ。現在“Tカード”とのアライ
2007 09 08 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」 9月号掲載 人生100年時代」到来 「一世紀人」(centenarian =センテナリアン)、つまり、100年以上、1世紀(century)以上を生き抜く人が増えている。2005年9月16日の国のデータでは、日本の100歳以上の人口は、男3779人、女2万1775人、計2万5554人だった。その後の06年10月1日のデータによれば、100歳以上の人口は男女合わせて2万9000人にのぼる。「一世紀人」だけで神宮球場がほぼ一杯になる数だ。
2007 09 02 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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「フィナンシャル ジャパン」9月号掲載 株主総会の集中日だった6月28日、終わったばかりの総会の傾向を分析していたら、けたたましく携帯が鳴った。直感的に「出たな」と思いながら通話ボタンを押すと、案の定、「ブルドックソースの件で、東京地裁の決定が出ました」との第一報が入った。
2007 09 01 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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≪フィナンシャル ジャパン 9月号 失礼ながらその投資本では儲かりません≫ 『投資信託にだまされるな!』 残念ながら、良心的な投資本は少ない。書店で目を皿にして探してみても1%あるかないかだろう。しかし、今年4月に上梓された『投資信託にだまされるな!』(ダイヤモンド社)はお勧めできる。
2007 08 26 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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≪フィナンシャル ジャパン 9月号 FJ資産運用サミット≫ 6月16日、東京・六本木の森タワー49階「アカデミーヒルズ」で開かれた第2回FJ資産運用サミット。好評だった今年2月の第1回を上回る人が集まった。 企業のトップ対談コーナーでは、首都圏に特化した高級住宅メーカー「創建ホームズ」の丸本吉紀社長に、『フィナンシャルジャパン』発行人の木村剛が迫った。丸本社長は、「高級住宅づくりと独自の成長戦略」と題して話 頭が良い人は親指が太い? 冒頭、木村剛・FJ発行人が、「頭が良い人は親指が太い」という演題に込めた意味を披露した。 「安倍首相は改革できる人」 サミットの終盤には、竹中平蔵・前総務大臣が登壇、「日本経済の行方」と題して特別講演した。大臣として支えた小泉内閣について触れ、「(小泉内閣)以前の政権は、バブル崩壊でがん患者のようになっていた日本経済に、一時しのぎの栄養剤を与えていただけ。小泉さんが構造改革という名のがん摘出手術に踏み切った成果が今出てきている」と話し、一時は8.4%あった大手銀行の不良債権比率が今では1.5%しかないことや、過去4年の経済成長率が2%の水準まで回復していることを挙げて評価した。 ○FJ資産運用サミットとは
2007 08 25 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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≪フィナンシャル ジャパン 8月号 世界投資 傾向と対策 PART4 いま投資するならこの新興4カ国≫ DATA―人口:約4728万人、面積:約122万km² (日本の約3.2倍の広さ)、 略奪と対立の歴史 アフリカ大陸最南端に位置し、世界の5大洋に数えられる太平洋と大西洋に面した南アフリカ(以下、南ア)の歴史は、略奪と対立に彩られている。 豊富に埋蔵するレアメタル ヨーロッパ諸国が進出した理由にもなったように、南アは資源が実に豊富だ。石油の産出はないものの、金は世界最大の埋蔵量と生産量を誇り、ダイヤモンドや、工場需要の高いプラチナなどの希少鉱物資源、石炭やウラン、鉄鉱石なども産出する。 海外企業が進出、金融業が発達 企業の進出も盛んで、ダイムラー・クライスラーやフォルクスワーゲン、トヨタ自動車や日産自動車が工場を建設、輸出の拠点としている。日本からは、自動車産業だけでなく、大手商社も軒並み進出。今年も、住友商事が、鉄鉱石などを生産するアソマン社へ資本参加している。 消費が堅調なのは、黒人所得が拡大していることが理由といわれる。アパルトヘイトが廃止された後、「ブラック・エコノミック・エンパワーメント(BEE)」と呼ばれる、黒人の経済進出を支援する政策に関連した法整備が進ん 拡大する経済規模 経済規模も拡大している。実質GDP成長率は、ここ10年をみると、98年に0.5%をつけているものの、05年には 課題も多いが資源・労働力豊富な「アフリカのリーダー」 このようにみてくると、これからも順調に発展を続けていきそうにも思えるが、もちろんリスクもある。 ポッドキャスティング-木村 剛が斬る! http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134 http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/070815/070815mag_loan71.html
2007 08 19 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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≪フィナンシャル ジャパン 8月号 世界投資 傾向と対策 PART4 いま投資するならこの新興4カ国≫ 社会主義のイメージを脱皮、日本企業も注目する「中欧」の中核 DATA―人口:約3830万人、面積:約32.3万km² (日本の約5分の4の広さ)、 多くの文化人・芸術家を輩出 天文学者コペルニクス、音楽家ショパン。映画監督ロマン・ポランスキー、アンジェイ・ワイダ。文化・芸術に秀でた彼らを生み出したポーランドは、長らく東欧に分類されていたが、西側にも近いことから、今では「中欧」として 驚異的な経済回復 1980年代末、ポーランド経済は壊滅的な状況にあった。500%を超えるインフレ率、数十億もの対外債務、農業の立ち遅れ――。商店の棚は空になり、製造された商品の質は低く、「メード・イン・ポーランド」は劣悪な製品の象徴とされるほどひどい状況だった。 教育水準が高く日本企業も進出 最近は、日本の企業進出も盛んになっている。社会主義体制時から教育水準は高く、労働力の質の高さには定評がある。石炭や亜鉛、銅など鉱物資源に恵まれていることもあって、伝統的に工業分野はい。日本貿易振興機構(JETRO)の調査では、06年5月時点で、ポーランドの日系企業は135社(うち43社が製造業)を超えている。00年末時点では14社だったというから、ここ数年で急伸したことがわかる。 個人所得も消費も順調な伸び万博に向け進むインフラ整備 経済は順調に成長を続けており、個人所得も伸びているという。JETRO によると、「新富裕層」と呼ばれる人たちも増えている。これは、新車の購入が可能なだけの十分な収入がある人たちのことだ。 ポッドキャスティング-木村 剛が斬る! http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=197875134 http://www.financialjapan.co.jp/podwmv/070815/070815mag_loan71.html
2007 08 18 [13. フィナンシャル ジャパン] | 固定リンク
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商業施設や展示会、イベントにおける内装や展示の企画・設計・施工に携わる乃村工藝社。115年の歴史を誇り、ディスプレイ業界のトップを走る。伝統ある会社が、新たな成長への階段
特集―Made in JAPAN ニッポンの底力より
定額制が各社で導入されたことを機会に、通信量が急拡大している。その流れのなかで成長している携帯向けサイトの世界を紹介する。
た若い世代で、携帯向けサイトの利用が進んでいることが背景にある。書店で携帯発の小説を手に取る女子高生の姿に、若者の本離れを懸念していた大人たちは驚いただろう。
日本での携帯向けサイトの歴史は、1999年にNTTドコモが「iモード」サービスを開始したことにはじまる。しかし、当時は通信量に応じて料金が加算されていたため、着メロのダウンロード、ニュースや天気予報、乗換案内の
閲覧といった「目的がはっきりしたサービス」の利用が主流だった。
だが2003年頃から、各社がパケット定額制を導入しはじめたことで流れが変わる。料金が定額となったことで、好きなだけネットサーフィンできるようになり、携帯サイトを利用する目的に変化が生じてきたのだ。
そこで急速に伸びてきたのがファッション関連の情報や商品を集めた「girls walker」(提供:ゼイヴェル)やネットショッピングモールの「楽天市場」(提供:楽天)、オークションの「モバオク」(提供:ディー・エヌ・エー)のようなサイトだ。また、人気が拡大しつつあったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「ミクシィ」や「グリー」も携
帯向けサイトに進出してきた。
1999年から無料での携帯やパソコンのホームページ作成サービスを提供していた「魔法のiらんど」も、パケット定額制の導入を機に登録者を増やしていった。そして、そのなかの小説執筆サービスから生まれた『天使がくれたもの』が、05年に書籍化され40万部を超えるヒット。06年に書籍化された『恋空』は上下巻合わせて130万部を超える販売数を記録、今年11月には映画版も公開される。現在、「魔法のiらんど」では100万を超える小説が発表されている。
こうしたサイトが普及していったのは、時間の制約を受けることなく携帯向けサイトを利用できるようになったことで、ユーザーが暇つぶしの目的でネットサーフィンするようになったからだ。そして、そのニーズを最も的確にとら
えて、急成長しているのが「モバゲータウン」だ。
サイトを開発したのは、オークションサイト運営からサービスを開始した「ディー・エヌ・エー」。同社広報グループの金子哲宏氏は「パソコン向けサイトでは、「Yahoo! オークション」相手に苦戦した。『人が集まるサイトにはさらに人が集まる』ことから、無料で面白いゲームの携帯向けサイトをつくって集客しようと思った」と誕生の背景を振り返る。
同様のサービスを提供する携帯向けサイトはほかにもある。「大集合NEO」(提供:オープンドア)は「モバゲータウン」に続いて06年9月にオープンしたが、会員数は100万弱と伸び悩む。
「モバゲータウン」が集客に成功した理由として、毎週新しいゲームを加えることで、ユーザーを飽きさせないようにしていることが挙げられる。また、ボタン一つで操作できるシンプルなゲームにこだわることで、とっつきにくさを解消。そして、高い点をとった人に手軽にコツを聞けたり、一緒にゲームを攻略するためのサークルをつくれたりして、会員同士が容易に交流できるようにしていることも成功の要因だろう。
友達を紹介することで、「モバゴールド」というサイト内の通貨が手に入ることも、会員の増加に貢献している。金子氏は「学校でクラスの誰かが知ったら、すぐにクラス中に広まります。16歳男性の登録率は世代人口の5割を超えています」と胸を張る。
「モバゲータウン」のようなサイトでユーザーの滞在時間が伸びれば、連動して広告の展開も盛んになる。小林氏は携帯の広告市場について「今年は500億円程度だが、2010年には1600億円まで拡大する」と予想する。
また三菱総合研究所では、携帯のゲーム市場は06年の752億円から2015年には6213億円、携帯の電子書籍市場は06年の540億円から2015年には5726億円になると予測。
若者からわき起こった波が、どのようにほかの世代を巻き込んでいくのか。これから本格的に拡大していく携帯向けサイトの行方が注目される。
11月は2週連続で『FJ資産運用サミット2007』が土曜日に開催されます。
両日ともに木村 剛の講演があります。
昔も今も、そして将来も、日本は貿易立国でしかあり得ない。
は国際語だったのだろう。また、この時期は日本からの銅の輸出も盛んで、長崎貿易の輸出額の約半分を占め、インド、東南アジア、中国などへ輸出されていた。ちなみにベトナムの通貨単位「ドン」の語源は「銅」である。
時代は飛んで1970年代。“国際収支の天井”を取り払った日本の輸出攻勢にヒステリックになった欧米人から、日本人は“うさぎ小屋”に住む“エコノミックアニマル”とのありがたくない評価を賜る。その後は超円高時代を経て、昨今では為替介入で貯め込んだ外貨準備の有効活用が話題になるに至った次第だ。
この間、日本から海外への直接投資が進んで現地生産が増え、また、米国の批判の矛先が中国に向かったこともあって、ひところのような対日批判は鳴りを潜めた。さぞや日本の貿易黒字は減ったのだろうと思いきや、実はその当時から一向に減少していない。それどころかGDP(国内総生産)に占める輸出金額の比率は近年、着実に上昇している。
人口減少にともなう内需縮小は日本の宿命で、外需頼みの傾向はこれから一層強まると予想される。輸出が日本の経済成長を大きく左右する現実は、当面変わりそうもない。
第一生命経済研究所の永濱利廣主任エコノミストは「景気を判断する際に、輸出の動向は極めて重要。貿易統計の中でも特に景気指標として注目されるのが、輸出を数量面から捉えた『輸出数量指数』だ。これは景気循環の源泉となる鉱工業生産指数に先行することから、景気の先行指標として位置付けられている。輸出品だけでなく、輸出品の生産に使われる国内向け生産財の出荷にも広範に影響するこから、景気変動を考える上で非常に重要だ」と指摘する。「現地生産が増えたといっても高付加価値品の生産は国内に留まっており、日本が依然として貿易立国であることは疑いない」(永濱氏)。
経済のグローバル化で、貿易構造にはどのような変化が生じるのか? 「グローバル経済の中では、環境変化の波及経路が複雑化している。昨今の資源価格の上昇の背景には、BRICs 経済の急成長がある。また、中国の対米輸出減少が日本の輸出に間接的に影響する経路も残る一方、中国自身が購買力を高めている影響も見逃せない。アジアの生産ネットワークが拡大するなかで、日本の部品などの生産財輸出が増加しているのは構造的な変化。日本がこれらの変化に対応するためには、高付加価値品の競争力をより高めるのと同時に、EPA(経済連携協定)の締結や、農業をはじめとする対外開放も必要だ」(永濱氏)。
ますます海外依存度が高まる日本。最近、内向きの議論が目立つが、“開かれた国”でいなければ日本経済の将来はない。
「貿易統計」とは?
● 輸出品の生産に使われる国内向け生産財の出荷にも広範に影響することから、そのすそ野が広い。
● 日本の輸出は先進国の景気と密接に連動している。
● GDP(国内総生産)に占める輸出金額の比率は、近年上昇傾向にある。
● 人口減少による内需減少で、日本の外需依存度は今後、一層高まると予想される。
[特集 Made in Japan ニッポンの低力鄭力]
モノづくりの「王様」を目指せ キーデバイスが経済を立て直す
「アナログの強みを活かすべきだ」
日本企業のあり方をこう語る江上剛氏は、日本経済を最前線で見続けてきた。これから日本企業がめざすべき方向について聞いた。
たとえば、トヨタ自動車や本田技研工業の自動車やオートバイは、世界中で売れている。しかし、自動車メーカーのほかに、海外で競争力を発揮しているのは、ソニー、松下電器産業のような電気機器メーカーぐらいだ。この業種にしても、中国や韓国のメーカーに追い上げられている。携帯電話は通信システムの事情から、日本でしか使えない機種しか作られていない状況だ。
最終組み立てメーカーとして勝負できているのが一部の企業だけとすれば、どこで強みを発揮するのがよいのだろうか。
それは、“アナログな感覚〟を活かして作る「部品の製造」だ。
化学メーカーのJ SRは、透過性のある特殊な高分子化合物を作っている。液晶スクリーンに塗って薄膜処理すると、光の透過度が調整されてきれいな色を出せる。これがないと液晶テレビの画質が落ちるので、絶対必要になる。韓国でも、サムスン電子やLG電子のそばにJSRの工場がある。
また村田製作所は、コンデンサ(蓄電器)のシェアで世界一だ。テレビも携帯電話も、村田製作所のコンデンサがないと作れない。
部品を作るのは容易ではない。たとえばパソコンは、意外と簡単に作ることができる。しかしそれは、「部品が揃っている」ことが条件だ。「組み立てるだけ」なら、少し知識があればできるのだ。
部品の製造には、“アナログな感覚〟が不可欠だ。どんなに高度なデジタル製品でも、その開発と製造は地道な作業だし、熟練が必要になる。そこが日本は強い。
JSRの例でいえば、高分子の混合比率などを決める際に、アナログな感覚が必要になる。日本人特有の美的意識が、色合いや風合いを出す上で力を発揮するのだ。
ある電子部品メーカーの技術者が「韓国や中国のメーカーと仕事をしても、モノづくりの楽しみがない」と話していた。
日本の最終組み立てメーカーの技術者は、一緒に考えて、いろいろと工夫して提案する。しかし、韓国や中国のメーカーは、「注文したものを届けてくれればいい」というスタンス。だからその人の目には、「モノづくりが好きじゃ
ない国」として映るし、「一緒に仕事していても楽しみがない」と嘆くことになるのだ。
子教授はこう主張する。
JSRと村田製作所に共通の強みは、「それがないと最終的に製品が組み立てられない」という部品を押さえていることにある。
ここにヒントがある。
つまり、「日本のキーデバイスがなければ、何もできない」という状況を生み出してしまえばいい。それは、「王様」になれるということだ。
ただ問題がある。
日本がモノづくりに携わる人材を大切にしていないことだ。待遇や研究開発の報奨金の面などには、改善すべき点が大いにある。
今、大学の理工系学部は、学生が集まりにくい状況だ。しかも、好景気になって金融機関が採用を増やしているから、理工系の学生でも「ひと儲けできる」と思って金融機関に就職する始末。なぜそうなってしまうのかは、しっかり分析しなければいけない。
日本はキーデバイス国家をめざすべきだ。そのためには、モノづくりに対して尊敬の念を持つ雰囲気を醸成しなければいけない。その上で、日本の製品を海外に売り込むために、しっかりとした「戦略」を立てなければならない。
江上 剛 作家
[えがみ・ごう]1954 年兵庫県生まれ。77 年早稲田大学政治経済学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。銀行員として勤めるかたわら、2002 年『非情銀行』で小説家デビュー。03 年の退行後は、作家・コメンテー
ターとして活躍。数多くの企業を取材している。
勝者の実学 -- スポーツジャーナリスト 二宮清純氏
「王子ブーム」に見る〝内向き社会〟
〈多少退屈でも平穏な生涯を送りたい〉という項目で、「とてもそう思う」と「まあそう思う」が米国38・4%、中国49・2%、韓国50・3%であるのに対し、日本は61・3%。
〈自分の会社や店を作りたい〉では、先の回答が米国60・4%、中国71・8%、韓国71・9%であるのに対し、日本は33・4%(財団法人日本青少年研究所)。
日本の子供たちが、ここまで夢を失っているとは、正直言って驚きだった。「Boys be ambitious」(少年よ、大志を抱け)の言葉で知られるクラーク博士がこれを知ったら、泉下で絶句していただろう。
ユニークな日本人論を展開するサッカー日本代表監督イビチャ・オシムが自著『日本人よ!』で、おもしろい指摘を行っている。
〈若者たちは普通、金銭欲を抱くこともあれば、誰かになりたい、何かになりたい、何かの象徴になりたいといった願いを抱くこともある。サッカー選手で言えば、新聞に載りたい、テレビに映りたい、写真に撮られたい、それらが人生で大きな意味を持ってほしいといったことがある。このようにサッカーで成功したい、何かを成し遂げたいと願う選手たちがいる。また私たち全員が、子供たちや家族、友人たちの手本となれることを望んでいる。全員が人生で何かを成し遂げよう、覚えてもらおうと望んでいるのだ。おおよそ、それが世界における人間性である。(中略)
だが、日本の場合はちょっと違う。まず、金銭欲について考えてみる。もしや日本人選手は「サッカー選手」である前に、安定した生活水準を持ち、それなりの生活の糧を得てしまった「日本人」なのではないか。あるいは「サッカーのキャリア以上に人生は長い時間が流れていくものだ」と、学校でしっかり教えられているのではないか〉
オシムの推論は悲しいかな、当たっている。彼の言葉を借りれば、日本の子供たちの多くが「世界における人間性」とは逆の方向に向かって進んでいるのだ。 そうした子供たちの“老成化”の背景に、社会の“縮み志向”がると私はみている。
その典型的な例が昨年から続くスポーツ界の“王子ブーム”である。ハンカチ王子にハニカミ王子、ついにはポッチャリ王子なる少年まで現れた。彼らが才能豊かなティーンエイジャーであることは認めるし、その明るく爽やかな
キャラクターにも好感が持てる。
しかし、彼らはグローバル化が進むスポーツ界にあって外国のジャーナリストまでが注目する実績を上げたわけでもなければ、そうした舞台で戦っているわけでもない。まだアイドルの域を出ない、グリーンボーイにすぎないのだ。
ところが、この国のメディアは、カラスが鳴かない日はあっても、王子の近況を報告しない日はないほどの過熱ぶり。これが国民のニーズを反映した結果なのか。
東京大学名誉教授の蓮實重彦氏が日本経済新聞のコラム(7月10日付)で、こう書いていた。
〈ハンカチ王子だの、ハニカミ王子だのがもてはやされる日本からはスターという概念そのものが失われ、生き残ったのは、いやしのペットだけなのだろうか〉
暗澹たる気分になってくる。
---こんな投資はしちゃいけない CIFA 鷲見 努氏
2~3年前のことです。“米ドル建て元本保証型ヘッジファンド”を購入されたお客さまから、「中途解約をしたら損失が出た」という相談をいただきました。このファンドは“元本保証”をうたっているものの、「満期まで預けた場合」に限られていました。そのお客さまは、元本保証されたヘッジファンド投資ということに魅力を感じて購入されたのですが、中途解約する場合についての細かい契約まではチェックしていなかったのです。金融機関の担当者も、
「元本確保が重要」というお客さまのニーズの把握を怠ったのでしょう。商品説明が不十分だったのです。
そこで私は、今後の運用計画として、米ドル建て債券と米ドル建て外貨MMFで資産運用することを提案しました。これは、米ドルベースでは元本が確保されます。お客さまは説明をきちんと理解してくださり、安心感を持って投資されました。
大切なのは投資商品をよく理解することです。調べることが面倒だからと、他人の意見をうのみにする人は往々にして失敗するものです。商品の種類が多いと、勉強が大変になります。しかし、選択肢の多さは投資家にとって有利な点であることは間違いありません。投資信託に限らず、債券や株式など1つでも多くの選択肢を知ることが、より良いポートフォリオの構築につながります。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、教え子のアレキサンダー大王に「学問に王道なし」と説きましたが、投資にも王道はありません。アレキサンダー大王は多くを学んで名をはせました。投資でも、学び、理解しようとする努力は欠かせません。少なくとも「よくわからないもの」に手を出してはいけません。
連載コラム―会社法がわかれば商売がわかる!
(中央大学法科大学院教授 野村 修也氏)
現行法上、会計監査人の最終的な選任は、株主総会において行われることになっており、この点を変える必要はない。問題は、その原案を決定するのは誰かという点にある。
会計監査人には、取締役から独立した人物が選ばれるべきであるが、選任議案の提案権を取締役会に委ねておく限り、その独立性を確保することは難しい。なぜなら、いくら会計監査人が社会の要請に応えるべくしっかりとした監査をしようとしても、監査対象会社の経営者に自らの人事権を握られていたのでは、及び腰にならざるを
得ないのが実情だからである。
そこで会社法は、このいわゆる「インセンティブのねじれ」を克服するために、まず監査役(会)設置会社について、取締役が会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出するには監査役(監査役が複数いる場合はその過半数)もしくは監査役会の同意を得る必要があるとした。また、それにとどまらず、監査役(監査役が複数
いる場合にはその過半数)もしくは監査役会は、取締役に対して、計監査人の選任を株主総会の議題とすること、もしくは、特定の者を候補者とする選任議案を株主総会に提出することを要求できることにしている。
それに対し、委員会設置会社の場合には、会計監査人の選任等に関する議案の内容を取締役会ではなく監査委員会に決定させる仕組みとすることで、会計監査人の独立性を担保することにしている。
このように、監査役(会)設置会社であるか、委員会設置会社であるかによって、会計監査人の選任議案は、その発議の仕方が異なっていることになる。
この点で、昨年の12月22日に金融審議会公認会計士制度部会が公表した「公認会計士・監査法人制度の充実・強化について」と題する報告書は、監査役(会)設置会社においても会計監査人の選任議案等の決定権を取締役ではなく監査役(会)に付与すべきではないかとの問題提起を行った。これについては、取締役(委員会設置
会社における監査委員は取締役である)と監査役との職責の違いをどのように整理すべきかといった会社法上の難問が横たわっているものの、改正の要否を含めて検討に値すべき問題提起であることに間違いはない。
冒頭の新聞報道は、こうした方向で法務省も動き出したと報じているが、筆者の知る限り、法務省が方針を固めたというには、いささか時期尚早のような気がする。この問題を解決するには、そもそも監査役(会)設置会社をど
のようなガバナンス・システムとして発展させていくのか、という根本問題にメスを入れる必要があるからだ。
会社法は、監査役(会)設置会社と委員会設置会社を限りなく接近させた。それを超えて、明治以来の監査役制度に抜本的改革を施すのかどうか、今後の法務省の動きに注目したい。
連載コラム―次の一手
(マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん氏)
信長、家康が畏怖した組織術
甲斐国は、塩を他国からの輸入に頼らざるを得ず、特産品もないやせた土地であった。しかも周囲の信濃、武蔵、相模、駿河の四カ国からの侵入を常に恐れねばならなかった。信玄の父信虎は、乱入してきた七倍以上もの今川勢を撃破し、実質的に甲斐を統一した名将であった。しかし、その父も地元の土豪たちに国外に追放されて
しまう。当初、信玄は、信用できない国人たちの連合政権に操られるお飾りの国主でしかなかった。
下克上の嵐吹き荒れる戦国時代に、内憂外患ばかりの貧しい弱小国において四面楚歌の中でリーダーとなった男が、いかにして内外の敵を倒し、無敵軍団を作り上げるに至ったのか。その戦略、戦術、戦法は、家康が「その法、今に至り違わず。向う後、いよいよその法を廃すべからず」と述べたように、いつの時代にも通用する。
加来耕三著『「風林火山」武田信玄の謎』(講談社)に詳しいが、信玄の定めた法は、あらゆる組織運営の、そして人生の教科書である。孫子四如の旗印「風林火山」は信玄の戦略そのものだ。疾きこと風の如く、徐(しず)かなること林の如く、侵椋(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如し。『孫子の兵法』の原典では、この後に、知り難きこと陰の如く、動くこと雷を震うが如し、と続く。
「信玄御一代敵合の作法三カ条」では、戦いに対する心がけを説いている。一、敵・味方の長所と短所を詳しく検討せよ。敵の地形、財力、人材などの情報を味方内で共有せよ。二、勝ち過ぎに注意せよ。八分の勝利は既に危険であり、九分、十分の勝利は味方が大敗を喫する元となる。三、四十歳(現在の六十歳くらいか)以前は勝つことを、四十歳からは負けないことを心がけよ。
管理職のあり方を記した「法度の元五つ事」は具体的である。一、上に立つ者は、部下の資質をよく目利きし、その能力に応じて適材適所に配置せよ。二、あらゆる階級の部下の功績、失敗を大小上下、細かく公正に客観的に評価せよ。三、部下に対する恩賞は、必ず功績に応じて行い、言葉の情を付け加えよ。四、上に立つ者は、部下には愛情を持って接することが肝心と心得よ。五、上に立つ者は、必要な時に怒り、部下の心を引き締めよ。
人材登用で誤りやすい事例をあげた「人を見損なう邪道七ツ事」もおもしろい。 一、油断のある人を落ち着いた人と見損なう。二、軽率な人を素早い人と見損なう。三、愚図な人を沈着な人と見損なう。四、早合点な人を鋭敏な人と見損なう。五、道理に暗くはっきり物の言えない人を慎重な人と見損なう。六、思慮もなく一日中しゃべっている人を世慣れた人と見損なう。七、信念のない人に限ってよく知りもしないことに固執して強情を張るが、これを負けず嫌いのしっかりした人だと見損なう。
戦わずして勝つことを旨とした信玄のガバナンスは、あるべき経営の鑑である。
FJ投資倶楽部 (文=編集部)
成績好調とはいえ、保有株の中には実力より高く評価され過ぎている銘柄があるかもしれない。そこで、ここ3カ月で30%以上も上昇している「丸紅」が売却候補として浮上した。
もともと「丸紅」は「商社株のなかでは出遅れている」という理由から購入したが、このところの上昇でPER(株価収益率)は13倍弱(6月11日時点)となり、三菱商事( 13倍強)や三井物産(12倍弱)など、ほかの商社と変わらない水準になっている。また、株価は968円(6月11日終値)と1000円の大台を前に足踏みを続けている。バブル崩壊前の1990年1月に記録した上場来高値の1190円も近くなっていることもあり、ここで一度利益を確定することにした。丸紅を売却すると、購入資金には余裕ができる。「多少は最低購入価格が高い銘柄を買っても大丈
夫だ」ということで、次に購入を検討したのが「日精エー・エス・ビー機械」。製品の展示会にFJ投資クラブのメンバーの1人が訪れていたこともあり、投資対象の候補として俎上に載せた。
同社はペットボトルなどを生産する「ストレッチブロー成形機」の製造・販売が主力で、ここ数年は売り上げが順調に伸びている。海外進出にも積極的で、輸出先は100カ国以上、海外販売比率は90%に達している。これから
中国やインドなどの新興国での需要が高まって、売り上げが伸びていく展開が考えられることに加えて、PERが10倍弱(6月11日時点)と、かなり低く放置されているので購入することにした。
次なる候補として、一橋大学との行動ファイナンスに関する共同研究のニュースが報じられていたことから、「松井証券」が話題にのぼった。共同研究については取引履歴の開示に反対する投資家の声を受け入れて無期限延期を決断したが、新しい試みに積極的という点では期待できる。
ネット証券業界では、手数料値下げ競争の段階から、サービス競争の段階に移行しつつある。「松井証券」は逆指値や追跡指値など役立つ注文システムを早期から導入しており、今も即時決済型の夜間取引市場の開設を目指している。値下げ競争ではなく顧客重視のサービス競争ならば「松井証券」に分が出てくるという見通しから、ポートフォリオに組み入れることにした。
そして最後に“ウォッチ銘柄”の「三井造船」「ミツミ電機」「あきんどスシロー」「富士フイルム」「大同特殊鋼」「サンリオ」をチェック。そのなかでも「大同特殊鋼」に注目した。「大同特殊鋼」は、高強度のステンレス鋼など特殊用途の鋼材を生産する鉄鋼会社。鉄スクラップ価格高騰のあおりを受けて利益が伸び悩んでいる。しかし、円高が進むと鉄鉱石などの原材料が安く輸入できるので、業績の改善につながる。現在の円相場は、対ドルだと過去3年の最安値水準に位置しているので、円高リスクもヘッジできるポートフォリオにするために、購入を決定した。
割安株買いの成果が出つつあるが、安値で放置されている銘柄はまだ数多く存在している。FJ投資クラブは、そうした銘柄をこれからも発掘していく予定だ。
「安倍首相辞任へ-リーダー不在の日本-」 はこちらからご覧いただけます。
世代交代の旗頭でもあり、今後の日本を考えた場合に安倍首相の世代やさらに若い世代が
どう日本を引っ張っていくのかが注目されたが、今回驚くと言うよりは呆れ返った。
これはリーダーシップの問題である。
『伯楽諫言』 木村 剛
せ、社会保険庁を国税庁に吸収させるべき、と書いた。
そのときの主張は、1年の歳月を経て、確信へと変わった。やはり、社会保険庁の自浄能力に期待すべきではなかったのだ。
公的年金自体の信頼性が崩れていく中で、職員の懇親旅行やゴルフ練習場の建設などの浪費で国民を呆れさせ、年金情報を不正に漏洩させただけでなく、不正免除や不正猶予を連発して規律を緩めてきた。そういう状況下での年金記録漏れの大量発覚。年金官僚たちの存在意義はもはやない。
政府は、総務省の下に年金記録確認中央第三者委員会を設置し、各地域にも地方第三者委員会を設けて審議を尽くすという。社会保険事務所の回答に不服がある場合、第三者委員会に持ち込まれるわけだが、ここまで混乱をきたしている以上、国民が第三者委員会の判断に承服するとは考え難い。
また、現実問題としては、保険料を支払ってこなかったにもかかわらず、「記録がない」と申し立てて、年金支給を求める詐欺的な行為も蔓延するだろう。社会保険庁の実務水準に一定の信頼感があるのならば、「私たちの事務にミスはない」とはねつけることも可能だっただろうが、お粗末な実態が明らかになっているだけに、詐欺的な場合も含めてクレームが増えるにつれ、年金給付を認めざるを得なくなっていくに違いない。
そもそも、第三者委員会の設置に、何億円かかるのだろうか。今回のドタバタ劇を見ても、年金官僚たちにコスト意識がないことはよくわかった。
先日行われたビラ配りの関連費用は、作成費用も含めて国民の財布から出ている。社会保険事務所の窓口時間を延長すれば、残業代が出ていくし、土日出勤させることになれば、休日手当がかさんでいく。コールセンターを設置したから、派遣費用や電話代もかさむ。それらの費用はすべて、年金官僚のポケットからではなく、私たちの年金財源から捻出されているということを忘れてはならない。
ハッキリ言おう。腐った公的年金制度を維持するために、追加的なコストを認めるべきではない。ビデオレコーダーに例えれば、次世代DVDの時代になっているのに、VHS方式に敗れ去ったベータ方式のビデオテープを工夫することによって対応しようとする愚行に近いと言ってよい。
ここまで腐ってしまったのなら、保険料支払いの有無にかかわらず、基礎年金部分については、国民全員に保障する覚悟をすべきだ。憲法に記されている人間らしい生活を営む権利を保障するために、基礎年金制度を生活扶助制度と統合して、すべて税金で支払うという発想に転じるべきと思う。
基礎年金だけで十分だと思う人には公的年金から脱退していただいて、付加的な年金も欲しい人には民間年金への移行を手助けするだけでいい。
腐った公的年金はゼロクリアして、誰でも基礎年金がもらえるというわかりやすいセーフティネットに乗り換えよう。保険料を廃止して、所得税もしくは消費税において同等の負担をさせられるほうがスッキリとする。
そういう大胆な政策転換を行わない限り、私たちの年金財源は、年金官僚たちのために無駄遣いされていくだけなのではないか。
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世代交代の旗頭でもあり、今後の日本を考えた場合に安倍首相の世代やさらに若い世代が
どう日本を引っ張っていくのかが注目されたが、今回驚くと言うよりは呆れ返った。
これはリーダーシップの問題である。
ものから、現在観測可能な領域以上の規模に拡大した。「宇宙のインフレーション理論」と呼ばれるものだ。
2006年3月16日のAP通信の報道によれば、「米国の宇宙物理学者チームが、この具体的証拠をつかんだと発表し
た。研究者たちは、宇宙全体に広がるかすかな輝きを観察することで、インフレーションの証拠を見つけた」という。
他方、この地球上で観測されるインフレーションは、そんなに壮大ではないが、私たちの生活に深刻な痛手を与えかねない代物だ。前者の観測機器が“ハッブル望遠鏡”だとすれば、後者の手段が、584品目に及ぶ詳細な価格調査に基づく「消費者物価指数(CPI)」である。
調査品目は実に細かく定義されており、たとえばスパゲッティなら「袋入り(300グラム入り)の“マ・マースパゲッティ”または“オーマイスパゲッティ”」という具合。ただし売れ筋商品は常に変化するので、物価動向の実態を正しく反映しなくなる可能性がある。
そこで、調査品目は5年ごとに見直しが行われる。ちなみに05年の改定では「外食」の分類で“のり巻き”が外されて、“すし(回転すし)”が追加され、「教養娯楽サービス」では“マージャン遊技料”が外されて、“フィットネスクラブ使用料”が追加された。また、「酒類」には“チューハイ”、「医薬品」には“鼻炎薬”と“サプリメント”が追加され
ているのも時代の世相を反映している。
一口に「物価」といっても種類はさまざまで、小売り段階の“モノ”と“サービス”両者の物価水準を示すCPIのほかには、「国内企業物価指数」「企業向けサービス価格指数」が代表的だ。
企業物価と比較するとCPIの上昇が鈍い理由について、第一生命経済研究所の永濱利廣主任エコノミストは「最大の要因は、消費者物価と表裏一体の賃金の上昇が鈍いこと。グローバル化した経済では、コストが均等化する圧力が働く。また、株主を向いた企業が、配当を重視するようになったこととも無縁ではない」と解説する。「ただし今後については、08年にかけて労働需給のひっ迫から賃金は上昇に向かうとみており、デフレ脱却が明確になるだろう。08年のCPIはゼロパーセント台後半の上昇ペースになると予測している」(永濱氏)。
またCPIを見る際には、「全国」に先行して公表される「東京都区部」の指数が、方向性がほぼ同じであることから速報値として有効であること、振れが大きい「生鮮食品を除く」コア指数の動向が重要であることには注意が必要。また、製品の高機能化を、価格下落分として調整するのもCPIの大きな特徴だところで基本的な疑問として、物価が上昇するのと下落するのとではどちらが望ましいのか?「デフレ脱却は日本経済の悲願であり、マクロ経済的に見れば借り入れ主体の実質的な負担が軽減されるメリットがある。借入金が多い主体ほど経済活動が活発なので、経済全体が活性化される」(永濱氏)。前者の点から言えば、「世界一の借金王」を自認する日本国政府が、デフレ脱却を望むのは当然だ。
ただし攻守所を変えれば、インフレで物価が上昇することは、それだけ同じ生活水準を維持するのにおカネがかかることを意味し、名目所得はそれだけ減価する。多くの消費者は同時に企業の被雇用者であることは悩ましい点だが、行き過ぎたインフレがコントロール不能に陥ることは歴史が証明している。
「CPIは遅行指数であり、それ自体から将来のインフレ到来を予測することはできない」(永濱氏)。日本銀行が、見えざる将来を懸念するゆえんだ。地球上のインフレーションは宇宙より遙かにゆっくりと進むが、それがいつ起きるのかわからないという点では共通する。
[まとめ]「消費者物価指数」とは?
● 「消費者物価指数(CPI)」は584品目の詳細な価格調査によって算出される。
● 小売り段階の“モノ”と“サービス”両者の動向を反映する。
● 調査品目は5年ごとに見直しが行われる。
● 「全国」に先行して公表される 「東京都区部」の指数が、速報値として有効である。
● 振れが大きい「生鮮食品」を除いたコア指数の動向が重要。
● 製品の高機能化を、 価格下落分として調整している。
● CPIは遅行指数であり、 それ自体から将来のインフレ懸念を読み取ることはできない。
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連載コラム―ミクロを変える経済 財部誠一氏(経済ジャーナリスト)
アンスに参加している36社。ファミリーレストランのガスト、メガネスーパー、エネオス、ニッポンレンタカー、洋服の青山などなど。将来的には異業種ばかりを100社集めるという。
なぜ“Tカード”なのか。じつは “Tカード”の情報精度の高さに魅かれて多くの企業が集まっている。いうまでもなくTSUTAYA はレンタルショップであり、貸したビデオやCDは回収しなければならない。そのために会員証である“Tカード”を発行する際、身分証明書の提示が絶対条件になっている。パスポート、運転免許証、健康保険証
など、住所、年齢、性別などの個人情報を確実に入手することができる。しかもTSUTAYAの会員証の有効期限は1年だ。更新手続きをしなければ会員資格がなくなってしまう。つまりTSUTAYA には正確な個人情報が定期的に更新されながら蓄積されているということだ。これは企業からすると得がたい情報だ。たとえば、ファミリーレストランで“Tカード”を使用したお客さんがいたとしよう。午後8時に来店した「男性」が「イタリアン・ハンバーグセット」を食べたという程度の情報なら、ファミレス独自でも集めて、蓄積することができる。だが「イタリアン・ハンバーグセット」を食べた「男性」が、どこに住んでいて、どのくらいの頻度で来店しているのかなど、突っ込んだ情報となると、なかなか独自には入手できない。もしそれができれば、店舗周辺で、来店客の多い地域と少ない地域を地図上に表示することも簡単にできる。来店客の少ない地域にだけ、集中的にダイレクトメールを送れば、限られたコストで効果的な宣伝もできるかもしれない。中高年が顧客の主流になっている企業からすると、“Tカード”と提携することが、若者を呼び込むツールにもなるという。「“Tカード”のポイントがつきますよ」と店頭で宣伝することによって、実際に若者の来店が増えた企業もある。しかしこうした話を聞くと「“Tカード”で商売するなら入会金をタダにしろ」と言いたくもなる。いや、それ以前の問題として、個人情報保護の観点から、そんなことが許されるのかという議論もあるだろう。
じつはTSUTAYA は個人情報をそのまま横流ししているわけではない。正確に言えば、TSUTAYA の子会社である「Tカード&マーケティング社」が、マーケティング情報として加工したものをアライアンス企業に提供するという仕組みになっている。いずれにしてもポイントカードを利用したマーケティングは今後、大きなトレンドになっていくに違いない。JR東日本にもSuicaとのアライアンスを求める企業が殺到している。いずれにして企業はいま精度の高い個人情報を求めて動き始めている。
連載コラム―次の一手 西川りゅうじん氏(マーケティングコンサルタント)
目指せ!《一世紀人(セ ンテナリアン)》
日本の人口は、国勢調査(06年10月31日公表)によると、男6234万8977人、女6541万9017人、計1億2776万7994人。単純計算すれば、「一世紀人」になれる確率は、男が、0・006%、約1万6000人に1人。女が、0.0 34 %、約3000 人に1人。全体では、0.02%、約5000 人に1人。世界的な資産家になる確率より高い。
日本人は世界有数の長寿な国民であるが、この6月、ギネスブックにもそれが認定された。男女そろって、日本人が世界最長寿となったのだ。宮崎県の東国原知事の出身地である都城市在住の、1895(明治28)年生まれで御年111 歳の田鍋友時(たなべ・ともじ)さんが世界最長寿の男性となった。田鍋さんによれば、「長寿の秘訣は、焼酎を飲み過ぎないことだ」という。そして、世界最長寿の女性は、現在114 歳である、福岡県福智町在住の皆川ヨ子(みながわ・よねこ)さんである。いまや日本は世界一の「一世紀人」大国なのだ。
経済の地域格差が問題視されているが、寿命の地域格差は経済とは逆である。「一世紀人」の都道府県別人口比率の順位は、1位が沖縄県、2位が高知県、3位が島根県で、後はほぼ同じ人口比率である。男女別の都道府県ごとの平均寿命の順位で見れば、男性は、1位:長野県、2位:福井県、3位:奈良県、4位:熊本県、5位:神奈川県。女性は、1位:沖縄県、2位:福井県、3位:長野県、4位:熊本県、5位:島根県。長寿は、これからの地域間競争の一つの重要なファクターとなるに違いない。
“人生1世紀時代”を迎えるようになると、冠婚葬祭の中でも「長寿祝賀ビジネス」が有望になる。長寿祝いや叙勲祝いのパーティや記念品などのビジネスだ。年令の節目の年はさまざまある。論語が出典の、50歳の知命(ちめい)、60歳の耳順(じじゅん)。数え年の61歳の還暦(60年で再び生まれた年の干支に還るので)。杜甫の詩にちなむ70歳の古希(こき)。そして、日本だけの漢字を解した呼び方だが、77歳の㐂喜寿(七を並べて喜と読む:きじゅ)、80歳の傘寿(傘の字中に八と十:さんじゅ)、88歳の米寿(米は八十八と書く:べいじゅ)、90歳の卆寿(九と十で卆=卒:そつじゅ)、99歳の白寿(百から一を取ると白になるのと100−1=99をかけて:はくじゅ)などがある。
古今東西、功成り名を遂げた人の望みは不老長寿だ。ビジネスエリートより「健康エリート」「長寿エリート」のほうがいい。聖路加国際病院の日野原重明理事長や女優の森光子さんは「ご長寿セレブ」とも言えるし、今後は金さん銀さんのような「ご長寿タレント」も次々出てくるに違いない。ホモ・サピエンスという種は、最長120 歳くらいまで生きられるらしい。目指せ!「一世紀人」(センテナリアン)
【会社法がわかれば商売がわかる!】 (中央大学法科大学院教授 野村 修也)
ご存知の通り、スティール・パートナーズから株式公開買い付けを仕掛けられていたブルドックソースが対抗措置として新株予約権の発行を決定したのに対し、スティール・パートナーズが、その差し止めを求めていた裁判の話である。
ブルドックソースは、現経営陣を支持する株主が多かったことから、外国人株主が多数を占める会社とは違い、敵対的買収の脅威が少ない会社だといわれていた。そのため、今流行の事前の買収防衛策の導入は行ってこなかったのであるが、思いがけずスティール・パートナーズのターゲットになったため、いわゆる有事になってから、急遽、防衛のために新株予約権の発行に踏み切った。具体的には、株主全員に対し、1株につき3個の新株予約権を無償で割り当てることとし、将来、1個の新株予約権につき1円を払えば株式に換えることを約束する仕組みだ。有利な内容なので、ほとんどの株主がこの新株予約権を行使することが予想され、一気に発行済株式数が増える結果となる。
一般株主への課税を避けるためには、株主全員にその持株比率に応じて新株予約権を割り当てる必要があることから、スティール・パートナーズにも新株予約権が無償交付されるが、その権利行使を認めると買収を防衛できないため、スティール・パートナーズとその仲間については、名指しで新株予約権の行使を否定する内容になっ
ている。スティール・パートナーズは、このいわゆる差別的行使条件が不公正だと主張したのであるが、それに対しブルドックソース側は、① 株主総会で議決権総数の3分の2を優に超える株主の賛成を得て発行したこと② スティール・パートナーズの新株予約権は、1個につき396 円で会社が買い取るので経済的損失は与えていない、と反論していた。
東京地裁の決定は、このブルドックソース側の主張をほぼ全面的に認める形になった。しかし、私には幾つかの疑問が残る。まず、裁判所は、右の②の措置を重視し、今回の措置の正当性を根拠付けているが、この点は、手段ないし方法の相当性に関するものであるから、その判断に先立って、防衛することそれ自体の是非が検討され
る必要がある。虫を殺すことの正当性が議論された後で、使用する殺虫剤の相当性が議論されるべきだからだ。その意味では、①の点が最大の争点ということになる。新株や新株予約権の発行により既存株主が持株比率の低下や持分の希釈化に見舞われることがあるが、その際には株主総会の決議があれば許されるというのが会社法の基本だ。しかし、それは株主全体が被害に遭う場合に株主の了解をとるという話であって、一部の株主にだけ危害を加えることを、被害に遭わない株主が賛成したにすぎない今回のケースとは場面が異なる。新会社法では、気に食わない株主を株主自身が多数決で排撃できるようになったとの主張もみられるが、やはり排撃の理由が問われるべきではないだろうか。
竹川美奈子(著) ダイヤモンド社
オール紀伊國屋月別経済書ベストセラーランキング2007年6 月 1位
特に第1章「こんな投信は買ってはいけない」がいい。まず「要注意商品1」として登場するのは、「定期預金とセットで販売されている投信」。「定期預金でじっくり増やす。投資信託でぐんぐん育てる。初心者に最適な入門プランです!」などというキャッチコピーで、庶民の心をくすぐる金融商品だ。申込総額50万円以上で、50%以上を投
資信託に割り当てた場合、定期預金が優遇金利である年利4%になるという感じのセット商品だが、銀行の店頭などで勧められた読者も多いのではないだろうか。
この本の良いところは、シンプルに種明かしをしてくれること。このセット商品の問題点は、優遇金利が付与される定期預金が3カ月と短期間であることを示した上で、具体的に金利を計算し、3カ月を経過した後は優遇金利が適用されないため、仮に100 万円を預けても、もらえる利息が年1万円に届かないことを示してくれる。
その裏側で、銀行は100 万円以上の投資信託を売ることで、1年目に4~5万円の手数料をとることができるというカラクリを説明し、銀行がもうかる仕組みになっていることを教えてくれる。
次に登場するのが、「『高利回り』を強調された投信」である。広告では利回りの良さだけを強調するグラフを駆使して、リスクについてはおざなりの説明だけ。しかも、下のほうに非常に小さな文字で「将来の運用結果を保証するものではない」とか「為替変動リスクがあります」などと書かれているだけだったりするから、なけなしのお金を投資する庶民としては、注意するに越したことはない。
「要注意商品3」は「毎月分配型投信」。毎月おこづかいがもらえるタイプで、日本における花形投信となっているが、この商品については、「分配金はどこかからわき出てくるわけではありません」と明確に釘を刺している。「分配金の原資はみなさんが投資したお金です。……分配金をもらうと資産が増えたような気になりますが、保有す
る資産の総量自体が増えたわけではありません。それどころか、分配金を受け取るたびに税金がかかるため、実際には税金分だけ資産が目減りしていきます」と言い切る解説が秀逸である。
「投信会社や販売会社に手数料を払って、自分の資産の一部を『分配金』として受け取っているだけ」という指摘には、関係者一同、顔を覆って小さくなるしかあるまい。
この後には、「資産分散型投信」が続き、さらに「最初の手数料負担が少ない『クラスB受益証券』」に関する留意点が解説される。それぞれに味わい深く、この第1章を読むだけでも、1500 円の定価を払っておつりがくる感じだが、その後の章においても丁寧かつわかりやすく投資家の立場に立って書かれている。著者の良心が伝わってくる良書である。
第3回FJ資産運用サミットは9月8日(土)開催です。
事前登録が必要になります。お手数ですが、こちらからお申し込みください。
前総務大臣で慶應義塾大学教授の竹中平蔵氏が、「日本経済の行方」と題して特別講演。小泉構造改革の功績と、今後の日本経済の見通しについて話した。
し、今後の展望を明らかにした。
外為どっとコムによる「今日から始めるFX取引」、セゾン投信の「投信マーケットに一石を投じる」といったミニセミナーが開催されたほか、木村剛・FJ発行人が「頭が良い人は親指が太い」と題して講演。「これから投資を始めよう」という投資初心者から、「投資の幅をさらに広げたい」という中級者まで、幅広い層にとってためになる、充実した1日となった。
メディアでしきりに取り上げられている格差問題について触れ、「格差が拡大していると繰り返すテレビ業界こそが格差の象徴だ」とバッサリ。また、「交通事故」「猟奇的な殺人事件」については、データを示したうえで、「ワイドショーが盛んに取り上げているが、そうした事件・事故の件数は増えてはいない」と立証。報道を鵜呑みにすることの危険性を訴えた。
コムスンによる一連の不正行為問題については、「ルール違反は良くないが、介護が必要な高齢者を誰が受け入れるのか。介護難民が出るのは目に見えている。(親会社であるグッドウィル・グループの)折口雅博会長を毛嫌いして、単にバッシングするだけでは本質的な解決にはならない」と警鐘を鳴らした。
ほかにも、社会保険庁による年金記録の管理問題やグレーゾーン金利の撤廃、ワーキングプア、フランス大統領選挙など話題は多岐にわたった。
最後には、「日本が強い国、経済大国であるというのは、もはや幻想。学校の勉強ができるだけの人はリスクばかり見て挑戦しないからダメ。民間にも役所にも経営マインドが必要だ」などと話した。
参議院選挙を控えて支持率が低迷している安倍内閣については、「今は厳しい時期だが、総理は改革ができる人。バブル崩壊による負の遺産を乗り越えて、ようやく“普通の生活”ができるようになった。今こそ、これ以上に押し上げるチャンス」と述べ、改革を継続することの重要性を訴えた。
訪れた個人投資家からは、「新聞などにはない視点で、非常にわかりやすかった」という声が聞かれるなど好評だった。
投資とビジネスに役立つ金融経済月刊誌『フィナンシャル ジャパン(FJ)』主催の個人投資家向けのイベント。今
年2月の第1回では、さわかみ投信の澤上篤人代表、レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長、FJ発行人の木村剛による鼎談などが行われた。
すでに第3回の開催が決まった。9月8日(土)、場所は同じく六本木・アカデミーヒルズ。経済評論家の三原淳
雄氏や山崎元氏らが参加する予定。
第3回FJ資産運用サミットは9月8日(土)開催です。
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労働力と消費が急増
資源豊かな「アフリカの盟主」
首都:プレトリア、通貨:ランド (1ランド=約16.62円 2007年6月8日現在)
1488年にポルトガル人の航海者バーソローミュー・ディアスが到達した岬は、後に「喜望峰」と名づけられた。この地は航海上の拠点として着目され、1652年にオランダ人が入植、ケープ植民地を建設。次第にボーア人と呼
ばれる新住民らが原住民と対立を強めた。
それ以降も、ヨーロッパ諸国から移民が続き、18世紀には、金やダイヤモンドなどの鉱脈を狙ったイギリスが進出、イギリス人とボーア人の対立が激化した。2度にわたる戦争に発展したが、結局、イギリスが勝利した。
1910年には、大英帝国内の自治領「南アフリカ連邦」として独立。アフリカーナ(ボーア人)が政治の中枢を掌握し、人種差別法をはじめとした白人優遇制度が次々に導入された。48年には、「アパルトヘイト政策(人種隔離
政策)」を打ち出した国民党が選挙に勝利。61年にはイギリス連邦から脱退し、「南アフリカ共和国」となるも、人種差別政策は続いた。その後、民主化の動きが進み、91年にはアパルトヘイト関連法が廃止、94年には全人種参加の総選挙が行われ、ネルソン・マンデラ氏が大統領に就任、国連にも復帰した。人種平等などを柱とした新憲法が97年に発効された。2000年の九州・沖縄サミット以降のG8に毎年参加しており、近年、国際的に政治・経済ともに注目を集めている。
国際協力銀行(JBIC)国際金融第2部で中東・アフリカを担当する小川和典課長は、こうしたレアメタルは、石油など産出国が多い資源と違い、世界的に偏在していることを指摘し、「企業が南アフリカへ進出したり、投資した
りするインセンティブといってよい」という。
たとえば航空機や液晶、燃料電池などの製造に欠かせない「フェロクロム」、ジェットエンジンやロケットの建造に用いる「フェロバナジウム」「五酸化バナジウム」というレアメタルがあるが、日本はこれらの輸入の半分以上を南アに頼っている。
海外企業が進出する理由はいくつかある。資源が豊富であることや、自国内よりも労働力が安価に獲得できること。そして、南アがEUと自由貿易協定を結んでいることから、非課税で輸出できるという有利な条件を備えているからだ。また、小川氏は「税制など、政府の優遇政策も進出の要因」と分析する。
産業構造は、自動車メーカーの進出が取りざたされることから、製造業が多いように思われがちだが、最近ではそのほかの産業への構造転換が進みつつある。日興コーディアル証券によれば、製造業は全産業の2割程度。商業・飲食業や金融・不動産など、いわゆる第3次産業がおよそ7割にも上る。特に現在は消費需要が堅調な
ことから、ホテルや飲食業が良好。携帯電話の普及も急速で、通信業も好調だ。
意外に思われるかもしれないが、金融業界は進んでいる。ヨハネスブルク証券取引所(現JSE)は1887年に設立され、2002年にはロンドン証券取引所と互換性のあるシステムを導入。今や上場企業の数は約390社、時価総額も60兆円で、規模は世界第15位に成長している。そもそも、アパルトヘイト政策をはじめとした人種差別政策の歴史があるものの、差別政策を行っていた白人社会は、いわば先進国のように発展していたのだ。
アパルトヘイト廃止とBEE政策
労働者の急増で消費も拡大
でいる。
JPモルガン・アセット・マネジメントの小谷聖子シニア・リレーションシップ・マネジャーは、「国民の8割といわれるほどの人たちが政策によって差別され、実質的に経済活動に参加できていなかった。その状況が変わり始めたことはインパクトが大きい。単純に、彼らが働き、収入を得て、消費することだけを考えても、今後の成長は計り知れないものがある」と話す。同社は、「VISTA」と呼ばれる新興国(ベトナム、インドネシア、南ア、トルコ、アルゼンチン)に投資するファンドを販売しているが、ほかにも「JPM・BRICS5・ファンド」というファンドも売り出している。これはいわゆる「BRICs 」の4カ国に「S」、つまり南ア(South Africa)を追加したもので、期待のほどがわかる。
実際、黒人の所得が伸びて中間層が増え、住宅など高価格の商品を購入するようになったほか、サービス業や小売業なども盛んになってきており、市場としての魅力も増している。
通貨「ランド」が人気
5.1%となるなど堅調に推移。96年に約8億ドルだった直接投資受入額は、05年には約63億ドルと7倍以上に伸びている。外貨準備高も約9億ドル(96年)から、約185億ドル(05年)に急伸している。
2010年には、サッカーのFIFAワールドカップが行われることから、競技場や空港、これらを結ぶ輸送設備などのインフラ整備が進むため、新規雇用が生み出されるほか、観光収入のアップも期待されている。
また、政策金利が約9%と高いことから、通貨「ランド」が投資家から注目されている。外為どっとコムは今年6月、外国為替証拠金取引(FX)の取引通貨ペアに「ランド/円」を追加した。また国際金融公社がランド建ての利付き債を発行しているほか、スタンダードチャータード銀行などがランド建ての外貨預金を発売して人気を集めている。
たとえば高い失業率。97年の21%以降、その後も20%を超える水準で推移しており、04年は27・8%と、約4人に1人が仕事のない状態だった。ほかにも、同じ黒人の間でも生まれ始めた所得格差の拡大、犯罪の増加、HIVのまん延、ワールドカップ開催準備の遅れなど、懸念される材料は少なくないのだ。
また、JETROが昨年発表したレポートによると、国内各地で停電が頻発しているという。急速な電力需要の拡大に送電能力が追いついていない証拠で、急激な成長を裏付ける皮肉な格好ともいえるだろう。
とはいえ、南アが、資源も労働力も豊富な国であることに変わりはない。アフリカ大陸内でもいち早く民主化、先進国並みの経済環境の整備が進んでいる南アは、アフリカ域内のリーダーたる存在なのだ。ひとまず、2010年のワールドカップまでは注目しておきたい国ではある。
「8月利上げとサブプライム問題」 はこちらからご覧いただけます。
首都:ワルシャワ、通貨:ズオティ (1ズオティ=約42.6円 2007年6月6日現在)
位置づけられている。
北はバルト海、西にドイツ。北東にロシアの飛び地やリトアニア、東はベラルーシ、ウクライナ。南にはチェコ、スロバキアと、多くの国と陸続きでつながっており、また平地が多いことからも、国境を越えた侵入が比較的容易で、歴史においても数々の戦争に巻き込まれてきた。そもそもポーランドという国名も、「野原・空き地」が語源とされている。
日本では、「あまりなじみがない」と思われがちな国だが、実は今、その地理的特性や豊富な埋蔵資源、高い教育水準から、経済が順調に成長している。
しかし、変革が訪れた。90年、当時の副首相で財務大臣だったレシェック・バルツェローヴィチが導入した「ショック療法」計画がその発端だ。彼は、それまで政府が規制していた価格を自由化するなど、規制緩和を促進。次第に経済は好転し、96年には経済協力開発機構(OECD)への加盟を果たした。昨年のインフレ率は1%まで下がるなど、驚異的な復活劇を果たしたのだ。
今では、2006年の実質GDP成長率は5.8%に増加。対外直接投資も、06年は約42億ユーロ(暫定値)で、04
年の約8億ユーロと比べても、2年間でおよそ5倍に伸びている。
04 年には欧州連合(EU)に加盟。域内の農産物貿易が自由化されたことから、価格面で農産物が高い評価を得て、輸出額も伸ばしている。
特に南西部には、トヨタ自動車をはじめとした自動車関連企業が進出。部品産業の集積はめざましく、「欧州向け自動車部品供給の中核を担うまでに成長してきている」(JETRO)という。国際協力銀行開発金融研究所が昨年、日本国内の企業(製造業)を対象に、海外事業展開について聞いたアンケート調査によると、ポーランドは「今後3年程度以内の有望な事業展開先」として、ドイツ、チェコと共に12位につけている。20位までを見ると、ヨーロッ
パでは、ほかにはイギリスとハンガリーだけだった(トップ5は、中国、インド、ベトナム、タイ、アメリカ)。
個人年間平均所得の推移を見ても、03年は6000ユーロほどだったが、07年は8000ユーロを超えるとみられている。クレジットカードの累積発行枚数も、00年には400枚程度だったが、08年には9000枚を超える予想がされている。
こうした所得の拡大に合わせるように、ワルシャワをはじめとした各地に複合型のショッピングセンターが次々と建設されている。市場での今後の売れ筋は、新車や薄型テレビ、パソコン、高級食料品となる見込みという。すでに、06年の薄型テレビ販売台数は、前年比2.9倍と大幅に伸びている。
拡大を続けるロシアとユーロ経済圏にはさまれたポーランドも、現在、ユーロ導入に向け、経済改革を進めている。2012年には、サッカーのヨーロッパ選手権のほか、日系企業が数多く進出している南西部の都市・ブロツワフで万博が開催される予定で、インフラ整備が進み、個人の就業機会と所得額はますます増える見込みだ。国際通貨基金(IMF)も、07年のGDPの成長率を、5.8%、08年を5.0 %と予想している。
今年は日本とポーランドが国交を回復して50 周年の記念すべき年。これから年末にかけても、さまざまなイベントが開かれる。成長するポーランドに関心を向けるよい機会かもしれない。
「8月利上げとサブプライム問題」 はこちらからご覧いただけます。

























