2008.07.12

[週刊!スモールビジネス] 病気の前兆 PART1

Bizmo0807
中小企業を芯から元気にするマガジン[BIZMO] 
7月号掲載
『いい病院の見分け方』  
東京医科歯科大学大学院教授 川渕孝一


 できれば一生涯病気などせず“ピンピンコロリ”と逝きたいところだ。長寿社会となった日本ではそうもいかない。幸か不幸かどんな病気にも前兆がある。主だった病気にどんな症状が出るか見ていくことにしよう。
 まず、第一は激痛を伴い、誰が見てもすぐに医療機関に行ったほうがよいというケース。問題はどこにどのような
痛みが走るかだ。
 たとえば、「突然、頭をハンマーで殴られたような激しい痛みが走るという場合は、くも膜下出血
が疑われる。頭蓋骨の下は硬膜と、くも膜という二層の膜で覆われている。そのくも膜の下にある、くも膜下腔という脳脊髄液の通り道に血液がたまってしまう状態をさす。原因の9割は、脳の動脈瘤の破裂。脳動脈瘤は、生まれつき動脈の壁の薄い部分が風船のように膨らんだもの。血圧の上昇などによって、その風船が破裂した結果、くも膜下出血が起こる。出血が多いと運動麻痺や意識障害を引き起こし、最悪の場合は死亡することもある。ポイントは普段と違う激しい頭痛に突然襲われたら、絶対に放っておかないこと。
 また、右肋骨下あたりに、転げまわるほどの激痛が突然走ると、胆石の疑いが濃厚。胆石とは、肝臓で作られる胆汁を十二指腸へ運ぶ通路である胆道に石(結石)ができる病気。胆道には肝内胆管と肝外胆管がある。肝外胆管には胆汁を一時的にためておき、脂肪が多い食品を摂ったときなど刺激に応じて胆汁を十二指腸に送る胆嚢がついている。胆道のどの部分に結石ができるかによって、胆嚢結石、総胆管結石、肝内胆管結石に分かれる。胆嚢結石では約50%の人が無症状で、その半数近くの人はなんの症状も発しないといわれる。激しい痛みを訴えるのは、総胆管結石や肝内胆管結石の人に多い。激しい腹痛が起こる少し前に上腹部の不快感や鈍痛がある場合も。
 また、「左胸の中央から肋骨にかけて焼けるような痛さで死の恐怖を感じるほど」の症状だと、心筋梗塞の疑いがある。冠状動脈に血の塊(血栓)ができて血管が詰まると、血液の流れが止まり、心筋が壊死する。これが心筋梗塞。胸が握りつぶされるような痛みで七転八倒する。死にそうなほど苦しいという。心筋梗塞を発病する前に、大低、狭心症の発作が起きる。胸が締め付けられて、息ができないほど。痛みは1~5分で治る。狭心症は、冠状動脈の内部が動脈硬化を起こして狭くなり、血液を十分に送れない状態で、運動中に起こる労作性狭心症と、夜寝ているときに起こる安静時狭心症がある。後者の発作は、前者に比べると約20分と、やや長く続く。 
 一方、急性膵すい炎は、突然、上腹部が痛み、次第に強くなる。急性膵炎にかかると、これも七転八倒するという。仰向けに寝ると痛いので、背中を丸めたり、前屈みで膝を抱き込んだり、こういう姿勢をとると和らぐ痛みを「膵臓痛」と呼ぶ。
 筋骨格系では急性腰痛症、いわゆるぎっくり腰がある。「咳をしたり重い物を持った弾みなどで、突然、激しい腰
痛」が襲う。その場にうずくまり、声も出せないくらいだ。湿布をして安静を保てば数日から一週間ほどでよくなる。
人間は立った状態を100とすると、寝ると50、前傾姿勢で200もの圧力がかかる。最も問題の大きい動作は中
腰で荷物を持ったとき。20キロの荷物を直立の姿勢で持つと2倍になるが、中腰だと4倍にも跳ね上がる(Wilke
のin vivoの椎間板内測定)という。ただ、椎間板ヘルニアや腰椎の異常など、他の病気も考えられるので、早めに整形外科医に診てもらおう。(続く)

2008 07 12 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.06.28

[週刊!スモールビジネス] 景気悪化は米国で起きてるんじゃない!

「景気悪化は米国で起きてるんじゃない!日本で起きてるんだ!」
≪フィナンシャル ジャパン7月号掲載 400万社のホンネ≫

 残念ながら、景気はハッキリと悪化した。皮膚感覚として感じる不動産価格が、この3カ月ほどで2~3割下落したことだけをみても、危険信号が出ている。
 遅行指標の感がある日銀短観ですら、中小企業の景況感は4四半期連続の「悪い」超。マイナス幅を着実に拡大している。カバレッジの広い法人企業景気予測調査では、2008年1~3月において、「良い-悪い」は▲30・4%となり、急激な悪化を表面化させた。中小企業月次景況調査では、一年前には▲20%台であったのに、この年初から▲50%台に移行し、「真っ暗」というにふさわしい様相を示している。国民生活金融公庫総合研究所や全国商工会連合会のアンケート調査でも軒並み▲40~▲50%。「良い」と答える企業は完全な少数派になった。
 その背景にあるのは売り上げの不振。全国中小企業団体中央会の調べでは、今年1月の「増収-減収」が▲4
0・5%。おおむね1年前の2006年12月において、▲ 7.1%という小さな不振だったのが「夢」のようだ。日本振興銀行の調査でも、この2月から「減収」と答える会社が「増収」と答える会社を上回った。全国商工会連合会のアンケートでも▲40%台が定着している。
 国内の消費は一向に盛り上がっていない。日本を代表する小売りの雄であるイオンですら、2008年2月期決算で10年ぶりに営業減益となり、国内事業の縮小に舵を切った。国内437店舗のうち約100店舗を閉鎖もしくは業態転換するという。国内の4分の1をリストラする大手術だ。要するに、国内市場が拡大していないのである。
 世界最速で少子高齢化を迎えている日本においては、新しい知恵やアイデアで活気づけていかない限り、市場規模は縮小していく。縮小を防止するためには、新しい商品やサービスを企てる異質の人々を受け入れる度量がなければならない。異なったカルチャー同士のぶつかり合いが、市場を活性化させ、予期せぬフロンティアを切り拓いていく。 しかし、いま日本政府がやっていることはまったく逆である。机上の空論に基づく、現場の実態に合わないルールを厳格適用し、異質な人々を排斥して、経済を統制するという極めて愚かな行為に血道をあげてい
る。成長を見込めない国内市場が閉塞感に喘ぎ、ドメスティックな産業である小売りですら海外に活路を見出さざるを得なくなっている中で、さらに統制色を強めて、国内市場を魅力的でなくしている。このままでは、日本経済の将来は極めて危うい。
 採算面をチェックしてみればいい。全国中小企業団体中央会や全国商工会連合会のアンケート調査は散々の結果だ。比較的財務体質が良い先が対象となっている日本振興銀行の調査においても、赤字先が黒字先を上回っている。
 そういう中、資金繰りはタイト化。どの調査を見ても、ジワジワと中小企業の資金繰りが厳しくなっていることが見て取れる。ひとつ判断を間違えればデフォルトしかねない――そういう危険な綱渡りの中で、日本経済の裾野を支えている小さな企業群は日々を過ごしている。
 ところが、霞が関と永田町では、サブプライムローン問題を取り上げ、「米国経済が混乱に陥ったから、日本経済に悪影響があるかもしれない」という議論を繰り返すばかり。要するに、「サブプライムローン問題がなかったら、日本経済は問題がなかった」と言っているのだ。
 その認識は、根本的に間違っている。いまの景気失速は、日本国内に第一義的な問題があるからだ。サブプライムローン問題が発生する前から、国内消費の不振は明らかだった。ビール会社は今年度の年間売上目標を前年割れに設定していたし、デパートもスーパーもコンビニも既存店の売り上げは冴えなかった。
 それなのに、その現実をみようとしない。サブプライムローン問題という格好の言い訳があるから、米国経済の話ばかりしてしまう。米国に責任があるとして、日本国内で処方すべき対策を何も講じない。そういうスタンスこそが問題である。
 映画「踊る大捜査線」において、「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」と吠えた青島刑事ならこういうだろう――「景気悪化は米国で起きてるんじゃない。日本で起きてるんだ」と。

2008 06 28 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.06.21

[週刊!スモールビジネス] 後期高齢者医療制度を問う

中小企業を芯から元気にするマガジン[BIZMO] 6号掲載
 『いい病院の見分け方』  東京医科歯科大学大学院教授 川渕孝一

 原則75歳以上の高齢者約1300万人を対象にした後期高齢者医療制度(通称、長寿医療制度)が今4月からスタートした。厚生労働省の不手際もあって評判が悪い。新制度では、職業に関係なく加入者全員が個人単位で保険料を負担するのが特徴だ。年額18万円以上の年金受給者の保険料は介護保険と同様、年金から天引きされる。1年以上滞納者には全額負担の受給資格証が交付される。
 保険料は、被保険者の所得割(所得に応じて負担する部分)と均等割(すべての者が等しく負担する部分)の
合計額となり、住んでいる場所によって保険料は異なる。厚生年金受給額208万円(年額・単身者)の場合は、
平均月額6200円(厚労省試算)で、最高の福岡県(8479円)と最低の長野県(5975円)とでは1・42倍の開きがある(2007年11月26日しんぶん赤旗)。
 後期高齢者といえども相当の負担を課すのは、今後、2006~12年のわずか6年間で75歳以上人口が23・6%
も増えるからだ(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」)。事実、33兆円を超えた国の05年度の国民医療費を見ても、75歳以上の医療費は約10兆円と全体の約3割を占めている。25年度には56兆円に増え、その半分は後期高齢者が占めるという推計もある。
 こう言うと後期高齢者といえども負担は避けられないと考えるのが普通だが、国にだまされてはいけない。実は、75歳以上で線を引く科学的根拠などないのだ。実際、筆者らが全国の84の一般病院から回収したデータを分析すると、悪性新生物では確かに75歳以上の医療費が高いが、心疾患や脳血管疾患では、75歳未満のほうがむしろ高いという結果だった。
 この分析はすべての急性期病院を網羅するものではないので、その解釈は慎重を要するが、患者一人ひとりを見ていくと、後期高齢者の医療費は必ずしも高くないのかもしれない。
 終末期医療も然りだ。病院で亡くなった患者の医療費を事後的に分析したところ、死亡1週間前は、がん、心疾
患、脳血管疾患ともに、後期高齢者の医療費のほうが75歳未満より低いことがわかった。
 にもかかわらず、今4月から、医師や看護師が75歳以上の患者と〝医療の遺言書(リビング・ウィル)〟を交わせば、保険から2000円の「後期高齢者終末期相談支援料」という〝お手当〟が支はらわれる仕組みが新設された。
 厚労省は、終末期医療費を約9000億円(死亡前1カ月の平均医療費112万円×医療機関での死亡者数8
0万人)と推計しているが、リビング・ウィルにお金をつけたのは世界広しといえど日本だけだろう。国はまさに
「2000円あげるから死んでください」と言わんばかりだ。
 そして、厚労省は、長期入院を要する介護療養病床を2012年3月末をもって廃止するとしている。とても正気
の沙汰とは思えない。
 なお、見逃されがちだが、後期高齢者医療制度と併せて今4月から前期高齢者(65~ 74歳)の医療費に係る財政調整制度がスタートした。従前、60~74歳の人は、国保や健保に加入していた。新たな制度では、原則6
0歳から65歳に引き上げられ、制度間の財政調整が実施される。国の試算によれば中小企業が加入している政管健保の負担が0.6兆円から1.5兆円に増えるという。実は、これが今回の制度改革の目くらましの部分だが、であれば負担増に対する見返りが欲しいものだ。

2008 06 21 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.06.07

[週刊!スモールビジネス] 税から見る中小企業の事業承継リスク

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BIZMO5月号掲載 『明日から使える会社経営のためのワンポイント・アドバイス』

Q. 後継者について悩んでいます。息子を跡取りに考えていますが、相続の問題で注意すべきことはありますか?

事業承継税制とは?

 前回は、中小企業においては社長が最大のリスクであることをお話ししました。そのリスクとは、社長が死亡することで不在になることにくわえ、後継者の有無や相続における遺留分制度のリスクなども説明しました。
 今回は、それらのリスクを軽減するために進められている「経営承継税制」と呼ばれるものについてお話し致します。
 経営承継税制とは経済産業省が国会に提出する予定の法案で、中小企業経営の承継の円滑化を支援するものです。
 大きく分けると
❶遺留分に関するもの
❷相続税に関するもの
の2点が特筆できます。

生前贈与で
遺留分から除外できる

 1点目の遺留分についてですが、法案では、あらかじめ事業承継を準備することにインセンティブが置かれています。つまり、生前贈与を行うメリットが大きくなっているのです。
 私財も担保に含まれることが多い中小企業の経営者の財産は、たとえ後継者に遺産相続したとしても、民法によって一定の取り分が家族や兄弟などの相続人に保証されています。これを株式については生前贈与株式を遺留分から対象外とすることができます。これは相続による株式の分散を防止する役割も期待できます。
 また、生前贈与株式の評価額を事前に固定することができる見込みです。
 これまで、後継者が頑張り成果を上げるほど、遺留分として請求される金額が増大し、みずからの首を絞める結果となってきました。この評価を事前に固定することにより、後継者の事業意欲を高めることも期待されています。

相続税でも優遇される

3

 2点目の相続税に関するものについて詳しくお話しすると、これまで発行済株式総額20億円未満の会社に対し10%の減額措置を行ってきました(ケース2)。この場合、たとえば90億円の企業は対象から外れ、減額措置はありませ
ん(ケース2)。
 新しい法案では、対象を中小企業基本法上の中小企業まで枠を広げ、発行済株式総額の3分の2を上限とし、その80%が納税猶予されることになります。
 ケース3でご説明すると、発行済株式総額90億円の3分の2は60億円。この80%が減額対象ですから、48億円となります。ケース1では対象外でした。
 同様にケース4のようにより小規模になって20億円未満の企業でも大幅に減額対象が増えることになります。
 これらが適用される条件としては、承継以後5年間にわたり雇用の8割以上を維持しなければならないことや、相続した株式の継続保有などがありますが、これまで億円未満に制限されてきた減税措置が拡充し、多くの中小企業がメリットを享受できると言えるでしょう。
 ただし、いずれも生前に手続きを行うことで享受できる仕組みになっていますので、これまで考えることを避けてきた「社長の死」について、真摯に向き合う必要はあります。ぜひ、皆さんの回りでも一度話しをしてみましょう。

《今月のアドバイザー 佐藤克治氏》

2008 06 07 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.05.31

[週刊!スモールビジネス] 予防に勝る良薬なし

 中小企業を芯から元気にするマガジン[BIZMO] 5月号掲載
 『いい病院の見分け方』  東京医科歯科大学大学院教授 川渕孝一

 これから本コラムでは「よい病院」探しの旅に出ることにする。「不思議な国にようこそ」と言いたいところだが、ホテルやレストランと違って病院はできれば行きたくない所だ。英語で病院はホスピタル。語源はホスピタリティ(もてなし)だが、日本の病院には、サービス業のかけらもない。
 それでは、どうすればよいのだろうか。簡単だ。病気にならないことである。それには予防が必要。「人は必ず死ぬのであり、どんな名医でも治せない病気はある」と医師は言う。「喫煙、暴飲暴食をし、睡眠時間を削って仕事をするなどもってのほか。個々が、病気にならない努力をすることが大事」── これは、日常的に人の生死に立ち会っている看護師の口グセだ。
 高度医療の分野では日本の先を行く米国でも、予防医学が盛んだ。ついつい、不摂生しがちな現代人にとっては、病気にならないように努力することが不可欠。確かに、毎月、給料から天引きされる社会保険料は頭にくるが、誰も、払った保険料の元を取るほど病気や入院をしたくはないはずだ。近年、金融の世界では、リスクのある金融商品に投資するとき、「自己責任」ということがよく言われるが、医療についても然り。健康保険制度の限界が見え始めた今、健康の維持、病気になってからの治療法、病院・医師の選択まで、自己責任の時代が始まろうとしている。
 その証拠にわが国では、健康ブームが起きている。健康志向の高まりを背景に、サプリメント(栄養補助食品)や青汁などの「健康保持用摂取品」の購入が増えているのだ。総務省の家計調査によると、一世帯当たり年間の健康保持用摂取品に対する支出額は、1995年を100とすると、2004年は227に達した。医薬品や保健医療器具などを含む「保健医療」全体でも、04年は123に増えている。 こうした健康ブームに便乗してか、厚生労働省もこの4月から特定健康診査を40歳から75歳未満の人に義務付けた。今後、保健活動を中心に国民の疾病予防を後押しするという。しかし、従来実施されていた老人保健事業による基本健診の受診率は、全国平均で4
3・8%。中小企業の多い政府管掌健保に至っては、被保険者の受診率は29・3%と低い。2012年度末に、65
~80%の受診率を国は目指しているが、実現は簡単ではなさそうだ。
 1999年に全米でベストセラーとなったシカゴ大学医学部教授マイケル・ロイゼン著『リアルエイジ』によれば、「この20年あまり、多くの医者は、遺伝子の謎が解き明かされれば人類を苦しめる医学上の根本問題にも解決の兆しが見えるのではと信じてきた」という。事実、糖尿病、アルツハイマー、がん、心臓病などの病気も、遺伝子とのかかわりが大きいと久しく考えられてきた。遺伝子情報によって、肥満しやすい人もいれば、血中のコレステロール値が高くなりやすい人もいる。
 確かに、このような傾向を持つ人々は、ある種の病気にかかりやすく、老いるのも早い。だが意外なことに、遺
伝子の研究が進めば進むほど、私たちの健康に重要なのは、生きている環境への対処の仕方だという事実が浮かび上がってきた。
 私たちは、遺伝子の影響をコントロールすることができる。どう老いるかは日々の選択にかかっている。ロイゼン教授によれば「老いは自然の摂理なのでどうしようもないとする考え方が主流であっても、遺伝的体質による老化現象は、実のところ全体の三割にも満たない」という。やはり「予防に勝る良薬なし」ということだろうか。

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1959年富山県生まれ。一橋大学商学部卒業。シカゴ大学経営大学院修士課程修了(MBA)。民間病院などに勤務の後、旧厚生省国立医療・病院管理研究所(現国立保健医療科学院)勤務、日本福祉大学経済学部教授などを経て、現職に。『医療改革』(東洋経済新報社)など著書多数。

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BIZMOとは
「Biz-Magazine OF Venture Company and Entrepreneur」の略です。
日本でビジネスを行うすべてのベンチャー企業と起業家の明日からの仕事に役立つ情報を提供するマガジンです。




2008 05 31 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.05.17

[週刊!スモールビジネス] 予防に勝る良薬なし

 ≪BIZMO 5月号≫ いい病院の見分け方

 これから本コラムでは「よい病院」探しの旅に出ることにする。「不思議な国にようこそ」と言いたいところだが、ホテルやレストランと違って病院はできれば行きたくない所だ。英語で病院はホスピタル。語源はホスピタリティ(もてなし)だが、日本の病院には、サービス業のかけらもない。

 それでは、どうすればよいのだろうか。簡単だ。病気にならないことである。それには予防が必要。「人は必ず死ぬのであり、どんな名医でも治せない病気はある」と医師は言う。「喫煙、暴飲暴食をし、睡眠時間を削って仕事をするなどもってのほか。個々が、病気にならない努力をすることが大事」── これは、日常的に人の生死に立ち会っている看護師の口グセだ。
 高度医療の分野では日本の先を行く米国でも、予防医学が盛んだ。ついつい、不摂生しがちな現代人にとっては、病気にならないように努力することが不可欠。確かに、毎月、給料から天引きされる社会保険料は頭にくるが、誰も、払った保険料の元を取るほど病気や入院をしたくはないはずだ。近年、金融の世界では、リスクのある金融商品に投資するとき、「自己責任」ということがよく言われるが、医療についても然り。健康保険制度の限界が見え始めた今、健康の維持、病気になってからの療法、病院・医師の選択まで、自己責任の時代が始まろうとしている。
 その証拠にわが国では、健康ブームが起きている。健康志向の高まりを背景に、サプリメント(栄養補助食品)や青汁などの「健康保持用摂取品」の購入が増えているのだ。総務省の家計調査によると、一世帯当たり年間の健康保持用摂取品に対する支出額は、1995年を100とすると、2004年は227に達した。医薬品や保健医療器具などを含む「保健医療」全体でも、04年は123に増えている。
 こうした健康ブームに便乗してか、厚生労働省もこの4月から特定健康診査を40歳から75歳未満の人に義務付けた。今後、保健活動を中心に国民の疾病予防を後押しするという。しかし、従来実施されていた老人保健事業
による基本健診の受診率は、全国平均で43・8%。中小企業の多い政府管掌健保に至っては、被保険者の受診率は29・3%と低い。2012年度末に、65~80%の受診率を国は目指しているが、実現は簡単ではなさそうだ。
 1999年に全米でベストセラーとなったシカゴ大学医学部教授マイケル・ロイゼン著『リアルエイジ』によれば、
「この20年あまり、多くの医者は、遺伝子の謎が解き明かされれば人類を苦しめる医学上の根本問題にも解決の兆しが見えるのではと信じてきた」という。事実、糖尿病、アルツハイマー、がん、心臓病などの病気も、遺伝子とのかかわりが大きいと久しく考えられてきた。遺伝子情報によって、肥満しやすい人もいれば、血中のコレステロール値が高くなりやすい人もいる。
 確かに、このような傾向を持つ人々は、ある種の病気にかかりやすく、老いるのも早い。だが意外なことに、遺
伝子の研究が進めば進むほど、私たちの健康に重要なのは、生きている環境への対処の仕方だという事実が浮かび上がってきた。
 私たちは、遺伝子の影響をコントロールすることができる。どう老いるかは日々の選択にかかっている。ロイゼン教授によれば「老いは自然の摂理なのでどうしようもないとする考え方が主流であっても、遺伝的体質による老化現象は、実のところ全体の三割にも満たない」という。やはり「予防に勝る良薬なし」ということだろうか。

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川渕孝一 
東京医科歯科大学大学院教授
1959年富山県生まれ。一橋大学商学部卒業。シカゴ大学経営大学院修士課程修了(MBA)。民間病院などに勤務の後、旧厚生省国立医療・病院管理研究所(現国立保健医療科学院)勤務、日本福祉大学経済学部教授などを経て、現職に。『医療改革』(東洋経済新報社)など著書多数。

2008 05 17 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.05.10

[週刊!スモールビジネス] ペット保険の事業化に成功 

 2007年12月、アニコム損害保険は、金融庁より損害保険業免許を取得し、日本で初めてペット保険専門の保険会社が誕生した。
 大手保険会社はじめ、これまで参入しては撤退が続いたペット保険において、唯一といっていい成功事例となった。先人が失敗を続けるなか、なぜアニコムだけが成功したのか。そのヒミツを探った。

 そもそも人間の健康保険の実験

 アニコムインターナショナルの代表取締役を務める小森伸昭は東京海上出身。同僚から頭一つ抜ける優秀な人材だった。経済企画庁に出向し、白書の編纂に携わり、健康保険制度の分析
を行ったという経験を持つ。
 その時、病院同士でカルテを共有化し、過剰な診療や検査を減らすことができれば、健康保険制度をより改善できるのではないかと考えた。しかし、実証分析をしないと現実的な論理展開はできない。それなら人間同様に家族の一員となりつつあるペットで実験できるのではないかと考え、退社の道を選びペット保険を作った。
 「保険の制度設計自体は動物でも人間でもモノでも大きな差はありません」。小森は過去の失敗事例を参考にこだわり抜き、「お客さまに満足して継続いただける保険ができた」という。実際、創業から8年たった現在も、保険の制度設計自体に大幅な変更はないという。

 動物を家族として扱う

 完璧だと自負した保険の加入頭数が増えない苦しい日々もあったが、加入者が増えた要因は「動物をペットとしてではなく家族として扱ってきた」ことにあるという。「たとえば、契約書やコールセンターで『オスですか? メスですか?』と聞くのと『男の子ですか? 女の子ですか?』と聞くのでは温かみが違います」
 アニコムでは、動物はペットではなく家族という考えのもと、契約者とのコミュニケーションに改善を重ねてきた。
オフィスをネットで生中継する掲示板を開設しお客さまの質問や意見に一つひとつ答えるのもそのためだ。結果、信用が必須と言われる保険の販売において、地道に契約者の信頼を得てきた。それが、口コミとなり、加入頭数の増加につながった。
 「文言や伝え方の工夫は私よりよほど現場の社員が勉強して気をつかっています」。実際、ロールプレイングなど、社員同士が切磋琢磨する場を設けているという。

ロールプレイングが社員の力を高める

 創業8年、売り上げは連結でおよそ60億円。保険会社の免許も得て、アニコムは次のステージに入っている。信頼が不可欠な保険会社において、カリスマ性のある社長だけでは立ち回れなくなりつつある。
 「人材育成については、まだまだ勉強を始めたばかり。でも、これからは社員の力がますます大切になってくる」。そう言う小森社長のこだわりはロールプレイング。
 「ロールプレイングは発表会みたいなもの」。各チームで、業務についての寸劇を演じる。そのなかで、リスクの高いところや、お客さまに高い価値を提供できるところを明確化する。「業務フローを書くよりも的確に業務が見えます」。 信頼を高めていくため、組織としての成熟化も合わせて目指す。

 共済から保険へ

 とはいえ、アニコムは大きな課題の最中にある。これまでアニコムクラブの会員に向けて共済として提供していた「アニコムどうぶつ健康保障共済制度」(同社のグループ会社が運営を受託)が改正保険業法の影響で終了。2008年4月からアニコム損害保険として新たに補償を提供する。アニコムクラブとアニコム損保に連続性はなく、改めて加入者を募らなければならない。どれだけのお客さまが、改めて契約をしてくれるのか、アニコムの新たなステージに向けた信用力が試される。(文中敬称略)


中小企業を芯から元気にするマガジン 『BIZMO』 
 特集ーヒット商品の舞台裏より

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2008 05 10 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.05.04

[週刊!スモールビジネス] 広告宣伝費ゼロ 口コミが生んだ 新しく懐かしい味

 2005年9月、社内での期待も少なく、小売りや問屋の反応も上々とは言えないなか、「ふんわり名人 きなこ餅」は発売された。
 「だれもヒットするとは予想してなかったと思います」。越後製菓で開発に携わった小林正義取締役(49歳)は率直に言う。

「外国人は米菓を食わんぞ」

 代表取締役社長に就く星野一郎ら経営陣が、1990年代初頭、主要な製品開発担当者を集めてこう言った。「外国人は米菓を食べないのはなぜだ。いや、そもそも口どけの悪い米菓は、日本人の若者だって食べないぞ」。それ以後、星野からは事あるごとに、「外国人でも食べる米菓を作れ」と檄が飛ぶようになった。
 小林は当時を振り返り、「社長は米菓が嫌いなんじゃないかと思ました」と打ち明ける。それほど、星野の既存の米菓概念から脱却する意志は強かった。「外国人でも」とは「若者でも」食べるものをという意。実際に米菓
は年配のほうが消費者層として厚いだけに、若者が食べずに年を経れば、米菓の需要も落ち込むという危機感があった。
 「〝口どけ〞にヒントがあるのに気がつきました。米菓独特の口に残る食感が嫌われているんだと」。それ以降、口どけのよさを目標に数多の製品が生み出されては消えていった。

米菓として販売していいのか

 2005年、ついに現在のふんわり名人の口どけを実現する。しかし、これを「売れる!」と考えた社内の人間はごく少数だった。「これは米菓じゃない」ベテランの開発者や営業、そして取引先からも、同様の声が多数でた。実際、星野のトップセールスでトップ同士で話がついても、現場担当者のあいだでは「売れそうにない」と白紙に戻ったこともあった。
 しかし、好評価する者もいた。社長の星野、そして、工場の女性たちである。それを見た小林も経験的に実績
ある秘策に出る。「家族の団らんの場に、何も言わずにふんわり名人を置いておくんです。するとおいしい商品は自然に減っていくばかりか、子どもからは『もっと持ってきてよ!』と催促される」。米菓の専門家であるゆえに、製品への迷いを女性たちが払拭していった。

売れない商品のブレークスルー

 それでも小売りの棚に並ぶことは難しかった。しかも、過去の失敗の経験もあり、宣伝には予算はかけられない。しかし、ここでも活躍したのは女性たち。イベントや小売店に出かけては試食品を配布した。なかでも札幌営業所では、ふんわり名人ファンが多く、積極的に試供品を配布した。すると、試供品を配布した店舗での売り上げ
が突出するようになる。
 「試供品の配布でわかったのは、一度食べていただければ、ファンになってくださるお客さまがたくさんいること」。営業本部の山谷浩隆(45歳)は振り返る。
 地道な試供品配布を繰り返すなか、大きな変化が訪れる。テレビ東京の人気番組『TVチャンピオン』の菓子通選手権高橋千宏チャンピオンが、2005年のスナック菓子MVPとしてふんわり名人を選んだ。知る人ぞ知る高橋の評価に、ブログでの取り上げられ方が膨れ上がった。結果、著名人のブログやTVでの扱いが増加。売り上げが伸び始める。
 そして、圧倒的に若い女性からの支持が多い事実を改めて知る。「若い女性から支持をいただきながら、彼女たちがもっとも商品を目にするコンビニでの扱いが少なかった」(山谷)。そこで、コンビニ向けに小袋に入ったラインナップを整備。すると出荷数はわずか2カ月で3倍になった。ふんわり名人のヒットの瞬間だった。

なぜ他社は真似できないのか?

 発売後2年半以上がたち、ライバル企業の類似商品が隣に並ぶことも多くなった。しかし、ふんわり名人のこだわった、とろけるような口どけを再現できる商品はない。
 歴史ある米菓の製造において、「プロセスはどこも大体同じような形」。現場に長年身を置く小林は言う。では、なぜ越後製菓だけがふんわり名人を生み出せたのか?
 そこには、餅メーカーとしての強みが隠されていた。ふんわり名人のヒット以前は、売り上げの大半を、鏡餅をはじめとする餅が生み出していた。越後製菓は米菓メーカーである以前に餅メーカーとしてコアコンピタンスを備えていたのだ。
 通常、米菓をつくる場合、まず餅を作る。米を洗い、蒸し、つく。「ここまでは他のメーカーさんと違いはない」と小林は言う。ついた餅を切るためには、一度冷やさなくてはならない。餅は冷やして固めずには切れないのだ。
 しかし、固めてしまった餅を米菓として焼いてもふんわりはしない。デンプンの性質がここでは関係している。いかに冷やさずに餅を切るか- -ここに餅メーカーとしての強みがあった。
 「ふんわりさせる理屈は他社もなんとなくわかっているはず。それをなぜ越後製菓が実現できたかは、技術と人材、そして10年以上も地道に試行錯誤が続けられるカルチャー」。商品化への成功要因を小林はこう振り返る。

ヒットの舞台裏

 餅メーカーとしての技術力があったにせよ、米菓は嗜好品。好き嫌いが分かれるうえ、リピーターとして購入を続けてもらえるかがロングセラーのカギ。「愛される商品になりたい」。山谷もそう言う。
 おそらく口どけのふんわり感だけでは、これほどのヒット商品にはならなかっただろう。やはり、繰り返し食べたくなるには「味」への探求もある。「味付けにだれも知らないような特別な調味料なんて使ってません。ただ、きな粉、砂糖、油の種類の組み合わせでも何万通りもある。そのなかで『コレだ』という味を模索しました」(小林)。
ふんわり名人は少ししょっぱい気がするのは記者だけだろうか。もう一つ食べたい。そう思わせるヒミツは明かしてはくれなかった。(文中敬称略)

中小企業を芯から元気にするマガジン 『BIZMO』 
 特集ーヒット商品の舞台裏より

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2008 05 04 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.04.26

[週刊!スモールビジネス] ブームから定番に

「あの行列のドーナツ屋さん」「とにかく話題になってた」--等々。
クリスピー・クリーム・ドーナツが日本に進出したのが2006年12月。それ以来、マスコミ、ブログをはじめとして、各種メディアでのPRが目を引いた。
しかし、3号店は川口という郊外型。そこには、これまでとは違うヒットの秘訣が隠されていそうだ

マジック・モーメントとは

 取材当日、川口店の最寄りの蕨駅に到着すると、あいにくの雨。行列も見れないかな、と思い向かうと、午前中にもかかわらずすでにお客さまの並ぶ姿が見られる。
 まず最初に目を引いたのが、広い間口と大きな店舗。子どもたちも楽しくなりそうなドーナツ型のソファに、ドーナツシアターと呼ばれるドーナツの製造工程が見えるディスプレー。そして、次に感じたのが店舗の「元気のよさ」だ。
 「クリスピー・クリーム・ドーナツ(以下、KKD)にはマジック・モーメントという理念があり、それがお客さまへのサービスにつながっているんです」と言うのは同店の店長・佐藤昌美。マジック・モーメントとは、「楽しい!」「うれしい!」をお客さまから引き出す瞬間のこと。感動を与える瞬間、といえるだろうか。「マジック・モーメントをお客さまに体験してもらうために、現場は元気なんです」と佐藤は言う。
 実際、クルーと呼ばれるアルバイトも、元気なばかりではなく、気遣いが豊富。クルーたちの細やかな配慮は、ありがちなファストフードのサービスとは一線を画す。

いかに現場力を高めるか

 ドーナツシアターを眺める子どもに手を振るクルー、最後尾に並ぶか並ばないか迷っているお客さまに声をかけるガードマン(KKDの社員ではもちろんない)、荷物の多いお客さまのドーナツを席まで運ぶ- -それらの配慮も「自発的にクルーが行っているだけで、マニュアル化されているわけでもありません」という。クルーたちがみずか
ら考え、行動に移す。その現場力はどこから来ているのだろうか。
「クルーになるためにはオーディションがあり、KKDに共感できる人材が残るんだと思います」。オーディションとはいわゆる採用試験。ただし、面接ではなく、グループでの寸劇がその中心。恥ずかしがっていたり、斜に構えていたりする応募者は、そこで落とされる。しかも、グループワークのため、協調性やリーダーシップも判断しやすい。
 さらに、寸劇はKKDとの理念であるマジック・モーメントを実感してもらい、理解を深めてもらう機会でもある。寸劇のテーマは、これまでのマジック・モーメントの体験をグループで再現するものなのだ。
「マジック・モーメントは、なかなか理解しにくいもの。寸劇を通じて、理念を理解、共感してもらえれば、現場に出たとき、同じ方向を向いて仕事ができるんです」

現場の力を発揮させる

 「クルーも社員もマジック・モーメントの大切さが分かってます。だから、現場でお互いの仕事を見て『何か違うな?』と感じれば健全に議論できるんです」佐藤は言う。実際、現場の改善点の多くはクルーからの提案や意見を実現したもの。たとえば、並んでいる子どもたちに被せてあげるクリスピー・クリームの帽子。帽子を被せるには、ホールで働くクルーの両手が空いていなければならない。布巾やメニュー、帽子を含め、手に持たずに
子どもと接することができるようにポシェットを下げる。
「現場で働くクルーがお客さんや仕事について一番よく知っています。だから、クルーからの意見が店舗をどんどんよくするんです」

ヒットの舞台裏

 KKDが日本に上陸したとき、各種マスコミが取り上げ、話題が沸騰していたのは間違いないだろう。しかし、一度来店したお客さまが、何度も繰り返して何時間も行列を待ち、購入するのはなぜだろう?
 一つは、ドーナツの商品力。海外でも人気を博し続けているドーナツは確かにおいしい。
 くわえて、現場のクルーの力。クルーがお客さまのマジック・モーメントのためにするサービスは、お客さまには心に残ることが多い。あの楽しいお店にまた行きたい。そう思わせる力がある。(文中敬称略)

中小企業を芯から元気にするマガジン 『BIZMO』 
 特集ーヒット商品の舞台裏より

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2008 04 26 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.04.13

[週刊!スモールビジネス] 税から見る中小企業の事業承継リスク

[BIZMO4月号] 明日から使える!!
会社経営のためのワンポイント・アドバイス

Q.後継者について悩んでいます。息子を跡取りに考えていますが、相続の問題で注意すべきことはありますか?

社長こそ最大のリスク

 日本の廃業率は、バブルの崩壊以後、高い水準の推移を続けています。しかも、企業の大小でみると、小さい規模ほど、事業承継が難しくなっているのです。
 これについては、これまでも中小企業庁や経済産業省を中心に取り組みはありましたが、ここにきて、それを抜本的に見直す法律を2009年度の通常国会で提出することになりました。
 そもそも、なぜ中小企業の事業承継は困難なのでしょうか? 前提として、中小企業にとって、社長とは絶対的な存在であることが言えます。言い換えると、最大のリスクでもあるんです。社長が亡くなってしまうと、事業ばかりか会社も存続の危機に直面してしまうわけです。
 ただし、中小企業の社長は元気な方が多い。自身も周囲も「まさかうちの社長が」と考えている甘えもあるはずです。
 病気にしても、「癌はまだまし」と言われることもあります。癌は診断されてからも余命があり、承継の準備をそれからでも取りかかれるのです。しかし、心筋梗塞や動脈硬化など、突然襲ってきて意識や命を奪う病気はその猶予すらありません。
 また、亡くなるばかりではなく、高齢社会において、社長の年齢も高くなっています。
 私の知る実話ですが、ある日社長が土地を買ってきた。周囲が何のために買ったのかわからない物件をです。なぜか? 実は社長は認知症だったんです。昨今、運転免許でも、高齢者が返却すトを享受できる仕組みがありますが、事業承継についても、真面目に考えるべきでしょう。
 話題にしにくい、対策を立てる必要性が高くない、そんな事情で、後回しにされがちですが、そのリスクを自覚し、何らかの対応を準備すべきです。

継承者がそもそも不在

 実際に、後継者が存在しないという問題もあります。この場合、たとえば息子さんはいる。でも、そこそこサラリーマンとして優秀だと、あえて中小企業の社長になろうという人は少ないんですね。忙しい、けっして高給ではない、幼い頃から親の様子を間近で見る機会が多かった親族にとっては、茨の道であることは身にしみてわかっ
ているわけです。
 ただ、親族が会社を継いでくれない、という事実があらかじめわかることも大切です。それが判明していれば、会社をあえて「残さない」という決断もできます。社長が衰え、企業価値が低まる前に、会社を清算したり、事業の一部を売却したりと、尽くすべき手は多くあります。
 幸いにして後継者に恵まれたとしても、課題は残ります。
 もっとも大きいのは、相続の問題です。中小企業の社長の多くは、私財である家や敷地も会社の担保に入っていることが多いです。息子と妻が相続したとして、遺留分制度により、たとえ遺言ですべてを息子に相続させるとしても、妻も遺留分を要求できます。遺留分とは、配偶者や子どもなどの相続人が最低限主張できる取り分の
ことです。
 典型的な例を挙げると、会社や工場などは息子が相続し、自宅の家屋と土地は妻に相続、というケースは多いです。
 しかし、会社を継ぐ息子にすると、妻が相続した私邸は、会社の担保です。
 それを理解してもらえずに、担保の印鑑を継続して押してもらえないこともあります。担保がなくなれば、銀行も資金を貸してくれません。息子は会社を継いだ途端、資金的なリスクが高まるわけです。
 社長が事前にそのことを妻に伝え、準備していれば、このようなことはなくなるでしょう。しかし、そのような準備もまたないがしろにされているわけです。

<今月のアドバイザー>
佐藤克治氏(日本アドバイザリー代表取締役、佐藤会計事務所所長。TaxHouse新宿南口店)


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中小企業を芯から元気にするマガジン BIZMO(ビズモ)は4月創刊されました。ご興味のある方はお近くのTaxHouseや日本振興銀行の支店で・・・。

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2008 04 13 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.03.01

[週刊!スモールビジネス]福田政権の政策は寝言だ!

 景気は完全に不調に入った。「良い-悪い」のDIは、▲ 15・2%と大幅に悪い状態のままである(①)。前月と比べれば+0.9%改善しているものの、「良い」と答えた先は5.2%にすぎず、2006年9月に調査を開始して以来、最悪の結果となった。

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 悲惨なのが、売り上げだ。「増加-減少」のDIは4カ月連続で悪化し、1.6%と調査開始以来最も低い水準を記録している(②)。売り上げが増えた企業は9.4%となり、調査開始以来初めて10%を下回った前月の水準を下回った。

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 こういう苦境だから、損益面も冴えない。「黒字-赤字」のDIを見ると、3カ月ぶりに赤字企業の数が黒字企業の数を上回った(③)。黒字企業の割合は6.6%と調査開始以来最も低い水準となっている。「儲かる」という単語を経営者から聞くことは稀になった。


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 資金繰りは相変わらず厳しい。「楽だ-苦しい」のDIの水準は多少改善したものの、▲ 19・8%と調査開始以来3番目に悪い水準となっている(④)。経営上の悩みに関するDIが多少改善していることが唯一の吉報だ(⑤)。
 ノー天気の福田政権もさすがに、景気の変調を感じ取ったのか、期末に向けて中小企業に対する対策を打ち出す。ところが中身を見ると、業績悪化が著しい業種を政府が調査し、2月末までに信用保証枠の拡大に応じるのだという。また、国民生活金融公庫では、第三者の保証人が不要の融資限度額を2000万円から4800万円に引き上げるらしい。

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 こうした対応を見るだけで、無能さが浮き彫りになってくる。そもそも、業績悪化が著しい業種がどこかということすら把握していないという事実に唖然とするし、必要とされているのは、300~500万円の資金を素早く貸すことなのに、「上限を4800万円にすればいい」という現場を知らない机上の空論だからだ。
 ある情報筋によれば、官邸の認識は、「サブプライムローンと原油価格と建築基準法改正の影響によって、景気は減速しつつあるが大丈夫だ」というものらしい。なぜならば、サブプライムローンも原油の問題も日本に原因があるものではなく、建築基準法改正の影響も時間が経てばなくなっていくからなのだという。
 まさに寝言である。悲惨な現実を直視せず、寝言を言っている政権には何も期待すべきではない。

≪月刊スモールビジネス(日本振興銀行刊)―「スモールビジネスサーベイ」より≫


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2008 03 01 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.02.09

[週刊!スモールビジネス] 米国ではなく日本の現実を見よ!

 サブプライムローン問題による世界的な信用収縮が懸念されている昨今だが、日本経済の裾野を凝視すると、厳しい信用収縮がすでに発生していることに気付く。
 そして、日本に関する限り、信用収縮のマイナスインパクトは、米国のサブプライムローン問題の比ではなくなっているのが実情だ。

 そもそも冷静に見れば、米国における銀行貸出は、今でも全体として前年比10%以上伸びている。日本における銀行貸出全体の前年比が1%を超えない水準であることと比べてみれば、どちらの国が「信用収縮」を懸念すべきかがわかるはずだ。
 伸びが鈍化して先行きが心配されている住宅ローンですら米国では3%近く前年の残高を上回っている。その一方、日本における個人向けの銀行貸出は、前年同月比2%程度が精一杯という体たらくだ。
 法人向け貸出をみると、彼我の差がさらにはっきりとする。米国においては、商工業向け貸出残高が18%近く前年を上回っているのに対して、日本の法人向け貸出残高はわずかながら前年を割り込んでしまっているからだ。
 要するに、「信用収縮」に限って言えば、米国のことを心配する前に、日本が自国のことを率先して懸念すべき状況になっているのである。
 悲しいことに、中小企業向け貸出に至っては、さらにその傾向が強まる。というのは、銀行による中小企業向け貸出は、前年の残高を1%近く割り込んでおり、完全に信用収縮へと向かっているからだ。
 ノンバンクによる中小企業向け貸出が激減しているだけに、問題の深刻化が懸念される。ちなみに、事業者向け貸金業者の最大手であるSFCGをみると、新規顧客への貸出件数は、前年同期比▲40・3%という悲惨な状況にある。ちなみに、銀行による中小企業向け貸出のおおむねを占めている信用保証協会の保証状況をみても、前年水準を割り込んでしまっている。保証残高こそ何とか前年同月比で+1%半ばを維持しているものの、「日
本の銀行は中小企業貸出に興味がない」と見られても仕方のない状況にあるのだ。
 そういう中で、信用保証協会がデフォルトの際に支払っている代位弁済額が急増してきた。保証を付与することに慎重にならざるを得ないから、貸出環境はさらに悪化するだろう。前年同期比をみると、07年1~3月は▲1.6
%だったものの、4~6月に+ 13・9%と大幅増に転じ、7~9月も+ 13・1%と連続増加。デフォルト増によるコスト増が表面化してきた。
 実際、中小企業の倒産件数は、07年入り後に増加に転じており、前年比でみると、1~3月+ 2.4 %、4~6月+ 10・0%、7~9月+ 6.3 %と前年を上回る傾向を強めている。そして、10月+7.7%、11月+ 11・3%とさらに増加する気配すらみせているのが実情だ。
 このまま倒産が増えて、代位弁済が増加していくと、公的な機関である信用保証協会であっても、損失負担が重くなるので、軽々には保証できなくなる。07年10月から始まった責任共有制度は、そもそも代位弁済増による信用保証協会の財務内容の悪化を薄めるために導入されたものだからだ。
 営業の現場を眺めてみれば、銀行に対して、20%のリスク負担を求める責任共有制度の導入は、すでに銀行による中小企業貸出の出足を止めてしまっている。だから、中小企業に対するおカネの流れは大きく滞ることになってしまった。
 そういう中で、中小企業の経営環境が確実に悪化している。これも、貸出環境をさらに厳格化させる要因となるから悩みはつきない。
 日本銀行の短観を見る限りにおいては、対象となっている「中小企業」がどちらかと言えば大きな中小企業であるため、それほど明確には出てきていないが、日本振興銀行が実施している小規模企業と個人事業主を対象としたアンケート調査をみると、極めて厳しい状況が浮かび上がってくる。
 まず景況感をみると、07年11月における「良い-悪い」のDIは、同行が、2006年9月に調査を開始して以来、最悪の結果となっている。「良い」と答えた企業は6.3%にすぎず、調査開始以来、最低の水準を記録しているほか、「悪い」と答えた企業は、ほぼ4社に1社の割合になっている。
 売り上げも悲惨だ。同月における「増加」-「減少」のDIは、景況感と同じく、調査開始以来最も低い水準。売り上げが増えた企業は、調査開始以来初めて1割を下回った。黒字企業の割合も7.4%と、調査開始以来最も低い水準となっている。
 こういう状況だから、資金繰りはかなり苦しい。「苦しい」と答えた企業は3割近く。「経営上の悩み」として、4割以上が「資金」だと回答しているから、中小企業における資金繰り難はかなり深刻化していると判断したほうがよい。
 こうした状況下、強気だった政府も、「景気回復が続くと見込まれる」という見通しを、「景気回復が続くと期待される」とトーンダウンした。また、金利水準の引き上げを目論んできた日本銀行も、景気の鈍化をみて、しばらくの間、現行水準を維持することを覚悟したようにみえる。かなり遅かったが、ひょっとすると実態に気付いたのかもしれない。
 日本企業のほとんどを占めている中小企業の実態に対して、もっと素直に目を向けよう。サブプライムローン問題などにかまけている暇などないことがわかるはずだ。
 貸金業法の改悪は資金の流れを止め、建築基準法の改悪は有効需要に大きなダメージを与えた。そして、証券取引法の改悪(=金融商品取引法)は金融活動を全般的に萎縮させてしまっている。これらの複合効果によって生じた「コンプライアンス不況」が、回り回って、中小企業の資金繰りを厳しくしているのだ。
 前年比10%を超えている米国と比べて、異様なほど低い銀行貸出の伸びをもう一度確認してほしい。米国における低所得者層の住宅事情に同情を寄せる前に、日本における中小企業の資金繰り問題に憐れみを感じるべきなのではないだろうか。

≪フィナンシャル ジャパン3月号 『400万社の本音』より≫

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2008 02 09 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.01.25

[週刊!スモールビジネス] 中小企業は景気が悪い

 先日、官公庁や民間企業や研究機関が公表している中小企業の景況調査を調べていたところ、とくに昨年11月・12月は売り上げ、採算、資金繰りも含めてかなり落ち込んでいるようで、悪化傾向にあるようです。

  大田大臣の「日本はもはや経済では一流ではない」という発言や、サブプライムローン問題で揺れる米国より下落し、低迷する日本の株価・・・。建築基準法の改正や、貸金業法の改正、金融商品取引法の改悪などの影響が出始めている今、政治の重要性を訴える声も出てきたようにも思えますが、今年の日本経済とすそ野を支える中小企業はどうなるのでしょうか。要注目です。

 中小新興企業に特化した融資をおこなっている日本振興銀行の高田馬場店からの中小企業や街の情報です。
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 高田馬場は言わずと知れた学生の街です。早稲田大学の存在が大きいですが、それ以外の大学や専門学校、予備校も数多くあり、街は20 歳前後の若者たちで埋め尽くされています。夜遅くまで学生たちの笑い声が響き、日本で最も活気ある街の一つとなっています。
 しかし、街を闊歩する若者たちとは対照的に、高田馬場店を利用されるお客さまの層は、ほかの店舗とそれほど変わりません。印刷業やIT 業、飲食業などにたずさわる中小企業の社長さまが多くいらっしゃいます。高田馬場店がある豊島区だけでなく、新宿区や板橋区、足立区など幅広い地域から訪ねてこられるのが特徴です。最近は景気が下向きになってきたのか、飲食業や小売業に元気のない方もいらっしゃるのが心配です。
 高田馬場店は2007年7月31日に西新宿店と統合し、現在7名のメンバーで約650社のお客さまに対応させていただいております。朝からひっきりなしに業務に忙殺されますが、学生たちの若いエネルギーに力をもらって、お客さまのお手伝いをさせていただいております。
 高田馬場駅からは少し離れた場所にありますが、それだけに落ち着いた雰囲気のもとでビジネスのご相談をすることが可能です。ぜひお気軽にお越しください。

高田馬場店
住所:東京都豊島区高田3-20-1 斎藤ビル1F
TEL: 03-5952-5921
FAX: 03-5952-5922
JR 山手線、東京メトロ東西線、西武新宿線高田馬場駅/都電荒川線学習院下駅下車

[日本振興銀行刊 月刊スモールビジネスより]
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日本振興銀行の個人向け定期預金はこちらからご覧になれます。

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2008 01 25 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.01.19

[週刊!スモールビジネス] コンプライアンス不況で中小企業が倒産する

 先日発表になった昨年12月の米国の民間住宅着工件数は、前年同月比で▲38.2%でした。過去をさかのぼって調べたところ、1991年1月の▲47.1%以来の最低水準になっていました。
 日本の住宅着工件数の発表は確か月末だと思いましたが、はたしてどうなるのか。

 【フィナンシャル ジャパン2月号 『400万社の本音』より】
 残念ながら、予測されていたとおり、中小企業の倒産が急増してきた。
 民間信用調査会社の東京商工リサーチによれば、2007年10月の全国企業倒産(負債総額1000万円以上)は、前年同月比8%増の1260件となり、7カ月連続で前年同月水準を上回ることとなった。中小企業の倒産は、そのうちの99・4%を占めている。
 原油価格の高騰などで中小企業・零細企業の業績が急速に悪化したことから、小口倒産が増加しており、全体の件数が底上げされている。なかでも、目立っているのが、建設業者の倒産。07年10月は、今年最多の390件を記録し、前年同月比では25・8%の増加となった。改正建築基準法の改悪による建築確認手続きの厳格化に伴って、新設住宅着工戸数が大幅減となっている。そういう状況だから、資金繰り難や受注難に喘いでいる中で力尽きて続々と倒れている感じだ。
 世の中の報道は、サブプライムローン問題一色になっており、日本の株価が落ちるのも、日本の景気の先行きも、サブプライムローン問題の行方によって左右されているという感じを受けるが、「そんなことより、日本経済の足下をしっかり見ろ」と言いたい。
 確かに、サブプライムローン問題は、深刻な悩みの源であり、結果的に、世界的な信用収縮が発生していることは忌々しき事態である。
 ただ、日本の金融機関において、これまでに判明しているサブプライムローン関係の損失は、すべて足し合わせても2300億円程度であり、それが致命的な問題を引き起こすとは思われない。
 日本において、むしろ懸念されているのは、サブプライムローン問題の煽りで、米国の景気が減速し、中国などにその影響が波及することで、外需が弱まることだったりする。
 じつは、日本経済に対する、こうした見方自体が見当違いなのだ。
 というのは、サブプライムローン問題で、最も株価が落ちたのは、日本だという事実がある。8月に第一次ショックが襲いかかったとき、米国の株価が8%下落するのと同時に、日本の株価は16%急落した。そして、この11月に第二次ショックが訪れたとき、米国の株価は10%下落した。日本の株価はと言えば、15%も落ちてしまったのだ。
 なぜ、米国で発生したサブプライムローン問題なのに、しかも、痛手は日本のほうが少ないはずなのに、株価の下落が激しいのか――答えは簡単、日本経済のほうが、米国経済よりも痛んでいるからだ。
 米国は、サブプライムローン問題で住宅着工件数が落ち込んでいるという。確かに、前年同月比でみると、9月▲ 31%と悲惨なものだ。しかし、10月には▲16%とマイナス幅を半減させている。
 一方、日本はと言えば、住宅着工件数は、9月▲44%、10月▲35%となっており、じつは米国よりも凄惨な状況になっているのだ。
 これは、米国のサブプライムローン問題によるものではない。建築基準法の改悪が原因だ。つまり、純粋な国内要因によるものなのである。日本経済は、不況の入り口に立っているという認識を持つべきだろう。
 じつは、10月だけで、倒産に見舞われた社員の数は1万3349人に上っている。3年8カ月ぶりに1万3000人を上回った。
 直前の07年4~9月においても、すでにその兆候は表れていた。半年で7081件という倒産件数は、年度上半期の記録としては4年ぶりの7000件台になっていたからだ。そのうちのほぼ3割を占める2035件が建設業者である。倒産に見舞われた社員の数は、前年同期比18・5%増の6万1598人。4年ぶりに6万人を上回った。
 こういう悲惨な状態だから、なおさら銀行は中小企業への貸し出しに慎重になる。中小企業の資金繰りの現場は風雲急を告げてきた。
 そうした中、信用保証協会が中小企業の借入金返済を肩代わりした代位弁済額も増加に転じた。協会の合計で見ると、今年4~9月の代位弁済額は3831億円となり、前年同期比で13%も増えている。じつは代位弁済の増加は5年ぶりだ。
 保証協会の代位弁済額は、02年度の1兆2600億円をピークに減少し、06年度は6850億円となって半分のレベルまできたのだが、今年4月以降は増加基調に転じている。
 北海道信用保証協会では、4~9月の代位弁済額が93億円と急増し、前年を79・9%も上回った。建設や小売・卸売業の販売不振や取引先倒産が要因だ。東京信用保証協会でも、553億円の代位弁済額を出し、前年同期比26・8%も増えている。147億円の代位弁済をした愛知県信用保証協会も前年同期比+29・1%。福井県信用保証協会では、前年同期比+46・8%の61億円で、協会が設立された1948年以来最悪の数字であるという。一言で言えば、お先真っ暗の一歩手前である。
 そんな中、信用保証協会による保証付き融資が焦げ付いた際に、銀行や信用金庫などの金融機関にも2割の負担を求める「責任共有制度」が10月1日にスタートしたわけだが、9月末にかけて、ものすごい数の駆け込み需要が発生した。
 事務処理が一辺に膨らんだため、融資の承認がなかなか下りていないようだが、代位弁済額の実態が明らかになるにつれ、承認される率は落ちていくことが予想される。日本経済は、すでに信用収縮のプロセスに入ってしまったのだ。
 貸金業法の改悪、建築基準法の改悪、証券取引法の改悪(=金融商品取引法の制定)、という三つの「改悪」
を通じて、経済全体が「コンプライアンス不況」に突入しつつある。経済の実態に合わない不合理な法制度を導入することによって、経済活動を委縮させてしまう結果として、景気が悪化してしまったのだ。
 貸金業法の改悪で資金の流れが止まり、建築基準法の改悪で国内の需要が止まり、証券取引法の改悪で資
本の活動が止まる。この「コンプライアンス不況」は愚かな人災である。可及的速やかに対策を講じなければ手遅れになるだろう。

2008 01 19 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2008.01.05

[週刊!スモールビジネス] 景気の悪化を警戒せよ!

 新年あけましておめでとうございます。 2日のアメリカ市場で原油の先物価格が1バレル=100ドルの史上最高値を記録しました。東京株式市場の大発会は、日経平均株価が一時765円の大幅下落、また円高の進行で、株安・円高・原油高の三重苦での幕開けとなりました。
 新年早々の報道によると、経済産業省は中小企業の経営再建や資金繰りに対する支援を2008年度から強化するようです。また広島県福井県横浜市なども、中小企業支援に乗り出しているようですが、今年はどのような年になるのでしょうか。

 【小規模企業・個人事業主 景況感調査 2007年11月】
≪月刊スモールビジネス 日本振興銀行刊≫より

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 景気がついに悪化し始めた。「良い―悪い」のDIでみた景況感は▲6.9%と大幅に悪化(①)。2006年9月に調査を開始して以来、最悪の結果となった。「良い」と答えた企業が1割に満たないほか、「悪い」と答えた企業が16・0%と調査開始以来3番目に悪い水準となった。
 悲惨なのが、売り上げだ。実際、「増加―減少」のDIは2カ月連続で悪化し、+2.3%と調査開始以来最も低い水準を記録(②)。売り上げが増えた企業は11・3%と、これまた調査を開始して以来、最も悪い水準になった。
 こうなってくると、経営上の悩みも尽きない。33・2%の企業が悩みとして「売上」を指摘しており、前月比で2.4%ポイントも増えている。万年トップの悩みとなっている「資金」の33・7%に迫る勢いだ。売上不振は相当深刻化していると見たほうがいい。悩みのDI(「減少」―「増加」)も2カ月連続で悪化した(③)。

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 損益面については、「黒字―赤字」のDIが+0.6%と回復を見せたが、先行きは厳しいと見たほうがいい(④)。売上不振の下で、黒字企業の割合がこれ以上増えてくるとは思われないからだ。
 したがって、「楽だ-苦しい」で見たDIの水準が少し回復した資金繰りについても、楽観視すべきではない(⑤)。今後、「苦しい」と答える企業が増えることを警戒したほうがよいだろう。

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 こうした状況下、さすがに政府や日銀も景気の減速を認めざるを得なくなったようだ。
 たとえば、2007年12月18日に公表された政府の月例経済報告は、企業収益について、「改善している」という表現を「改善に足踏みがみられる」というふうに訂正した。先行きについても、「企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる」と強気の見通しを堅持してきたが、「企業部門が底堅く推移し、景気回復が続くと期待される」とトーンダウンし、「期待」にすぎないことを表明した。
 日本銀行も景気の先行きに対して弱気になってきたようだ。実際、12月に開催された金融政策決定会合では、金利水準の引き上げを決定できなかった。
 気付くのが遅かったとはいえ、ようやく政府と日銀は、現実を見始めた。問題は、それに対して、適切な対策を打てるかどうかだ。



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 「日本の中小企業を元気にする銀行」を目指している日本振興銀行も地方公共団体が応援する企業への支援体制を整えるなど、今年はさらなる中小企業支援に乗り出すようです。

提供: Nsb_1



2008 01 05 [19. 週刊!スモールビジネス] | 固定リンク | トラックバック

2007.12.22

[週刊!スモールビジネス] 中小企業対策は間に合うか?

 最近、UFO論議が官邸付近ではもちきりなのでしょうか・・。町村官房長官のコメントから石破防衛相渡海文部科学相、さらには石原都知事までコメントしてました。
 ここ数カ月の日本の新設着工件数はサブプライムローン問題でゆれる米国より前年度比でマイナスになっていて、結構深刻だと思いますけど・・・。

 日本銀行の金融経済月報によれば、「わが国の景気は、緩やかに拡大している」らしく、「先行きについても、景気は緩やかな拡大を続けるとみられる」というご託宣。2006年7月に、「わが国の景気は、着実に回復を続けている」という表現を現在の言い方に変更してから、1年3カ月の間、一文字も変えていない。
 つまり、日本経済の拡大基調は磐石―― という判断が続いているわけだ。倒産することのない日本銀行から下界を見れば、表面上はそう見えるのかもしれない。
 海外の収益を主体とする大企業は好業績を続けているし、雇用も逼迫が続いている。しかし、わが国の景気は、日本銀行の高台からは見えない、中小企業のすそ野の部分から下降し始めている。
 詳細に統計を眺めてみればわかる話だ。実際、楽観バイアスが強く働く日銀短観ですら、中小企業の景況感は、「悪い」が「良い」より多い。景気の下降を示すマイナスの世界に入ってしまっている。
 法人企業景気予測調査では、その傾向がより鮮明に出ている。一進一退を続けながらマイナス幅が拡大基調になっているからだ。
 商工中金が調べても、中小企業金融公庫が調査しても、全国中小企業団体中央会がヒアリングしても、「景気が良い」という声はない。小企業や個人企業においては、惨たんたるありさまのままだ。
 その大きな要因は売り上げ不振である。全国中小企業団体中央会の調査によれば、今年1月以降8カ月ぶりのマイナス幅になっているし、中小企業庁の調べでも、着実に悪化傾向を辿っている。
 こんな状況下で、商売の採算が良くなるわけがあるまい。坂道を転げ落ちる感じになっている。資金繰りのほうは相変わらずの厳しさではあるが、一段と悪くなるのを何とか必死に堪えている。とはいえ、時間の問題で、耐えられなくなる企業が増えてくるだろう。
 つまり、もはや景気は